3 新技術開発の強化
(1) 新技術開発の推進
ア 沿岸漁場の整備・開発,栽培漁業等つくり育てる漁業を従来にも増して効果的に推進するため,新たな観点からの技術開発の促進を図ることとし,産・学・官の連携による共同研究開発組織である(社)マリノフォーラム21が行う緊急重点研究テーマとして沖合養殖システム技術開発,人工湧昇流発生パイロット事業のほか,浮魚礁システム,超微粒子人工配合飼料,海洋牧場技術システム等の先進的技術開発研究に対する助成を引き続き実施した。
また,新たに,汚濁の進行によって失われた海域の機能を回復するための技術の開発に対し助成した。
イ 我が国周辺水域における水産未利用資源を高度かつ多用途に利用し,水産業の新たな展開を図るため,(社)マリノフォーラム21が行う海洋生物特有の体成分,産生物質等の食品,飼餌料等への利用を目指した新技術開発に対して引き続き助成した。
ウ 現在,(社)マリノフォーラム21等で技術開発が進められている浮魚礁を使用して,我が国周辺の沖合水域での漁場造成を図ることを目的に海洋水産資源開発センターが行っている実操業レベルでの企業化調査に対し引き続き助成した。
エ 水産分野における育種の本格的な展開を図るため,引き続き水産分野へのバイオテクノロジーの導入等に関する新技術開発試験を実施した。
また,海洋に関する調査研究の効率化を図るため,人工衛星高度計等を利用した漁況海況調査手法及び船舶に搭載可能な完全自動海水分析システムの開発を実施した。
オ 地域に適合したバイオテクノロジーの開発を図るため,国の水産研究所等との連携の下に,都道府県水産試験場が行う水産生物へのバイオテクノロジー手法の活用技術の研究開発に対して引き続き助成したほか,バイオテクノロジーにより作出された三倍体魚等を養殖業に導入し生産性の向上を図るためのバイテク魚の大量作出技術の開発,飼育方法のマニュアル化等に対し新たに助成した。
また,バイオテクノロジーの試験研究及び産業化促進のための施設整備に対し農林漁業金融公庫資金等を引き続き融通した。
さらに,NTT資金による無利子融資制度を活用した水産関係研究開発・企業化基盤施設整備プロジェクト(民活型)を推進した。
カ 漁業経営の合理化を図るため,省エネルギー化,低コスト化等の観点から漁具・漁法,漁船等について新技術の開発を行ったほか,新たに,音声認識技術を用いた操業・操船支援システムの開発,多獲性魚類の新温度帯生産・流通システムの開発,ハイテク定置網の開発,魚の加工向け効率凍結と解凍システムの開発及び以西底びき網漁業離底二そうびき漁法システムの開発に対し助成した。また,開発実用化された機器,装置等の普及を図るため,民間団体による水産用機器等型式基準作成事業に対し助成した。
キ 東シナ海,南シナ海等におけるまき網漁業について,新たな機器の導入等による省人化,漁労の効率化等総合的なコスト削減等を図り,資源状態に見合った新しい操業形態を確立するため,海洋水産資源開発センターが行う洋上実証化調査等を内容とした新操業形態開発実証化事業に対し引き続き助成した。
(2) 試験研究の推進
ア 国の試験研究機関においては,各種の試験研究を引き続き推進するとともに,農林水産系生態秩序の解明と最適制御に関する総合研究(バイオコスモス計画),生物情報の解明と制御による新農林水産技術の開発に関する総合研究(バイオメディア計画),あかいかの高選択性漁獲技術の開発,細菌性魚病迅速診断技術の開発,あわび・かき等の育種技術の開発,黒潮の開発利用調査研究,有害赤潮の生態学的制御による被害防除技術の開発に関する研究,海産魚類による汚染物質の影響評価手法の確立に関する研究,地球環境変化に伴う農林水産生態系の動態解明と予想技術の開発,酸性降下物の水生生物に及ぼす影響に関する基礎的研究等のプロジェクト研究等を都道府県水産試験場等関係機関の協力を得て実施した。
また,バイオテクノロジー等科学技術の進歩による遺伝資源利用の増大に備えるため,農林水産省ジーンバンク事業の水産生物部門として,藻類等の収集・保存を行った。
さらに,我が国周辺水域の漁業資源調査を始め,我が国漁業が対象としている資源等に関する調査研究活動を実施した。
このほか,都道府県水産試験場等が実施する試験研究のうち,重要かつ緊急性が高いものについて助成した。
イ 中央水産研究所及び水産工学研究所の移転整備に取り組んだほか,国の試験研究機関の施設等の整備拡充を図った。