1 我が国の漁業生産

 平成4年における我が国の漁業生産量は,元年以降4年連続の減少となり,前年比7%減の927万トンとなった( 図I-1-1 )。生産量が4年連続して減少したのは,昭和20年以来のことである。これを部門別にみると沖合漁業が大幅に減少しており,また,魚種別にみるとまいわしの減少が著しい。

 漁業生産額は,遠洋漁業及び内水面漁業で増加したものの,沖合漁業及び沿岸漁業で減少したため,前年に比べ4%減少し2兆6,070億円となった。

(1) 漁業部門別生産動向

ア 沿岸漁業

 4年の沿岸漁業の生産量は,前年に比べ4%増加し327万トンとなり,生産額は,前年に比べ3%減少し1兆3,789億円となった。

 このうち海面養殖業を除く沿岸漁業の生産量は,前年に比べ4%増加し197万トンとなった。これは,定置網漁業でさけ類,採貝漁業であさり類,ぱっち網漁業でいわし類等が減少したものの,採藻漁業でこんぶ類,定置網漁業及びいか釣漁業等でするめいか等が増加したためである。生産額は,いか釣漁業,定置網漁業,採藻漁業等で増加したものの,小型底びき網漁業,採貝漁業等で減少したため,前年に比べ2%減少し7,663億円となった。

 海面養殖業の生産量は,ぶり類,のり類等が減少したものの,ほたてがい,こんぶ類,たい類等が増加したため,前年に比べ4%増加し131万トンとなった。生産額は,ぎんざけ,かき類等で増加したものの,ぶり類,のり類,たい類等で減少したため,前年に比べ4%減少し6,126億円となった。

イ 沖合漁業

 4年の沖合漁業の生産量は,15年振りに500万トンを下回る水準となり,前年比17%減の453万トンとなった。また,総生産量に占める割合も15年振りに5割を下回る水準となった。これは,大中型まき網漁業でまいわしが大幅に減少したためである。生産額は,大中型まき網漁業及び沖合底びき網漁業で大幅に減少したのを始め多くの漁業種類で減少したため,前年に比べ13%減少し6,107億円となった。

ウ 遠洋漁業

 遠洋漁業の生産量は,公海における漁獲量の減少等に伴い,63年以降減少が続いていたが,4年は,遠洋かつお一本釣漁業でかつおが減少したものの,その他の多くの漁業種類で増加したため,前年に比べ8%増加し127万トンとなり,5年振りに前年を上回った。生産額は,遠洋いか釣漁業等で減少したものの,その他の多くの漁業種類で増加したため,前年に比べ6%増加し4,501億円となった。

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エ 内水面漁業・養殖業

 養殖業を除く内水面漁業の4年の生産量は,前年に比べ10%減少し9万7千トンとなった。これは,はぜ類等は増加したものの,さく河性さけ・ます類,しじみ等多くの魚種で減少したためである。生産額は,あゆの価格の上昇等により前年に比べ1%増加し685億円となった。

 内水面養殖業の生産量は,多くの魚種で減少したため,前年に比べ7%減少し9万1千トンとなった。生産額は,うなぎの価格の上昇等により前年に比べ2%増加し980億円となった。

(2) 主要魚種別生産動向

 海面漁業の主な魚種別の生産動向をみると,まいわしの生産量は,資源減少に伴い急速に減少している。4年は,前年に比べ26%減少し222万トンとなった( 図I-1-2 )。

 いか類の4年の生産量は,こういか類,あかいか等は減少したものの,我が国周辺水域でするめいかが大幅に増加したため,前年に比べ24%増加し68万トンとなった。

 すけとうだらの4年の生産量は,遠洋水域での漁獲量の減少は小さかったものの,我が国周辺水域における漁獲量が引き続き減少したため,前年に比べ8%減少し50万トンとなった。

 まぐろ・かじき類の4年の生産量は,めばち,びんなが等が増加したため,前年に比べ13%増加し38万トンとなった。

 かつお類の生産量は,近年変動の大きい増減を繰り返している。4年は,前年に比べ18%減少し35万トンとなった。

 かたくちいわしの生産量は,63年以降増加傾向にあったが,4年は,前年に比べ9%減少し30万トンとなった。

 あじ類の4年の生産量は,まあじは前年並みであったものの,むろあじが減少したため,前年に比べ9%減少し29万トンとなった。

 さば類の生産量は,まさば資源の減少に伴い62年以降減少を続けていたが,4年は,前年に比べ5%増加し27万トンとなった。

 さんまは,近年高水準の漁獲が続いている。4年は,資源はなお高水準にあるものの,生産量は,前年に比べ12%減少し27万トンとなった。

 さけ・ます類は,ふ化放流事業の成果により我が国沿岸での秋さけの漁獲量が高水準で推移していたが,4年の生産量は,北海道沿岸で秋さけが減少したため,前年に比べ17%減少し18万トンとなった。

 ほたてがいは,種苗放流の効果により近年高水準の漁獲が続いている。4年の生産量は,前年に比べ8%増加し19万トン(殻付重量)となった。

 次に,海面養殖業の主な魚種別の生産動向をみると,魚類では,4年の生産量は,ぶり類が前年比8%減の14万9千トン,ぎんざけが前年並みの2万6千トンであったものの,たい類は,前年に比べ10%増加し6万6千トンとなった( 図I-1-3 )。また,量的には少ないものの,ふぐ類は,前年比41%増と大幅に増加し,4千トンとなったほか,まあじ,ひらめ等も増加した。

 魚類以外では,のり類が前年比5%減の38万3千トン(生重量)となったものの,かき類が前年比2%増の24万5千トン(殻付重量),こんぶ類が前年比71%増で史上最高の7万3千トンとなるなど,生産量が増加した種類が多かった。

 我が国の漁業生産量は,47年から2年までの間1,000万トンを超える水準を維持していたが,その間における養殖業を除く海面漁業の生産量の推移をみると,すけとうだら,さば類及びまいわしの漁獲量の変動幅が大きく,また,それらが交互に漁獲量のピークを迎えることによって長期にわたり高水準の漁業生産量が維持されていたことがうかがえる( 図I-1-4 )。その他の魚種については,魚種ごとに変動があるものの,全体としては,わずかながら減少傾向で推移している。すけとうだらについては,従来の主漁場が米口両国の200海里水域内に取り込まれ,また,べーリング公海における操業も規制されることとなったため以前のような漁獲量の増大は見込めず,さば類の資源は低水準にあり,まいわしについても資源の更なる減少が懸念されるなど,我が国の漁業生産を量的に支えてきたこれら3魚種については現在非常に厳しい状況にある。

〔5年の動向〕

 5年の主要42港における水揚量(貝類及び海藻類を除く。)は,4年に比べ6%減少している。

 主な魚種では,さば類,まあじ等が増加し,まいわし,すけとうだら等は引き続き減少している。