2 世界の漁業生産

 世界の漁業生産量は,50年代中盤から60年代にかけて年々増大してきたが,63年に初めて1億トンを超えて以降はおおむね横ばい傾向で推移している。3年の生産量は,ほぼ前年並みの1億183万トンとなった( 図I-2-1 )。これを国別にみると,中国,チリ等は増加したが,我が国,旧ソ連等は減少した。また,主な魚種グループ別にみると,にしん・いわし類,たら類等の減少により魚介類は減少したが,海藻類は増加した。

(1) 国別生産動向

 主な国別の生産動向をみると,中国は,近年急速に生産量が増加しており,元年以降世界第1位となっている。3年の生産量は,海藻類が前年比43%増と大幅に増加したこと等により,前年に比べ13%増加し1,568万トンとなった。中国では淡水魚類養殖を中心とする内水面における漁業生産の割合が高く,全生産量の1/3を占めているが,一方,海面における漁船漁業の振興にも積極的であり,その結果,中国沿岸域や我が国周辺水域を含む太平洋北西部における中国の魚類の生産量は,61年から3年までの間に292万トンから475万トンヘと約1.6倍に増加した。

 旧ソ連の生産量は,元年までは横ばいで推移していたが,その後減少傾向に転じており,3年は,前年に比べ12%減少し929万トンとなった。これは,旧ソ連の全生産量の約1/4を占めるすけとうだらが減少傾向にあることに加え,まいわし,チリまあじ,南極おきあみ等が大幅に減少したことによるものである。

 ペルーは,浮魚類である南米まいわしとペルーかたくちいわしの2魚種が全生産量の9割以上を占めているため生産量の年変動が大きいが,近年は比較的高水準で安定した推移となっている。3年は,前年に比べ1%増加し694万トンとなった。

 チリもまた,全生産量の8割以上を浮魚類が占めており,ペルーと同様,生産量の変動が大きい。3年は,南米まいわしが引き続き減少したものの,チリまあじが大幅に増加したため,前年に比べ14%増加し616万トンとなった。

 米国の生産量は,63年以降横ばい傾向で推移していたが,3年は,前年に比べ6%減少し559万トンとなった。これは,大西洋での生産量が横ばいであったものの,たら類等の減少により太平洋北東部での生産量が減少したためである。

(2) 主要魚種グループ別生産動向

 世界の漁業生産量の動向を主な魚種グループ別にみると,にしん・いわし類の生産量は,全生産量の約2割を占めており,60年以降2,000万トンを超える高水準で推移している。しかしながら,まいわしが最近減少傾向にあること等により,生産量は2年,3年と連続して減少しており,3年は,前年に比べ4%減少し2,141万トンとなった( 図I-2-2 )。

 たら類は全生産量の約1割を占めており,底魚類の中では最も生産量が多い。たら類の生産量は63年以降減少が続いており,3年は,前年に比べ11%減少し1,047万トンとなった。このうち,すけとうだらは,単一の魚種としては世界最大の生産量があるが,61年の676万トンをピークにその生産量は減少傾向にあり,3年は,前年に比べ15%減少し489万トンとなった。また,たら類のうちすけとうだらに次いで生産量が多い大西洋まだらは,欧米諸国にとって極めて重要な魚種であるが,かつては200万トンを超える水準にあった生産量が63年以降減少傾向にあり,3年には134万トンと,62年の約2/3にまで減少した。この2魚種の減少はたら類の国際需給にも大きな影響を与えている。

 あじ・さんま類の生産量は近年増加傾向にあり,3年は,前年比4%増の1,008万トンとなり,初めて1,000万トンを超えた。あじ・さんま類の生産量のうち約4割はチリまあじが占めている。

 その他の魚種グループについて3年の動向をみると,こい類,さけ・ます類,かつお・まぐろ類,えび類,かに類,いか・たこ類,海藻類等は増加したが,一方かれい類,さば類等は減少した。