6 需給バランスと価格

(1) 需給バランス

 我が国の食用魚介類の需給規模は,50年代終盤以降,消費者の健康志向等を背景として拡大傾向が続いてきた。最近においても水産物消費は依然堅調に推移しているとみられるが,国内生産量が減少する中で,需給規模は,量的には元年以降縮小傾向にある。4年は,供給量は若干増加に転じたものの,需要量は引き続き減少した。

 4年の需給を原魚に換算した量でみると,供給量は,国内生産量は減少したものの,輸入量が増加したため,前年に比べ1%増加し888万トンとなった( 図I-6-1 )。一方,需要量は,国内消費仕向量はほぼ前年並みであったものの,輸出量が減少したため,前年に比べ1%減少し871万トンとなった。

 この結果,4年の国民1人当たりの魚介類年間供給量(供給粗食料)は,前年に比べ0.3kg減少し66.4kgとなった。また,国民1人1日当たりの魚介類によるたんぱく質供給量は,前年に比べ0.1g増加し18.5gとなり,動物性たんぱく質供給量全体の40%を占めており,引き続き国民への動物性たんぱく質の最大の供給源となっている( 図I-6-2 )。

(2) 水産物価格

 水産物産地卸売価格指数(2年=100)は,ここ数年おおむね上昇傾向にあったが,4年は,前年に比べ3.9%低下し96.8となった( 図I-6-3 )。このうち生鮮品は,かつお,さけ類等で上昇したものの,するめいか,すけとうだら,さば類,さんま等で低下したため,前年に比べ4.7%低下し97.2となった。冷凍品は,するめいか等で低下したものの,かつお等で上昇したため,前年に比べ1.4%上昇し95.4となった。4年の産地価格を主な品目についてみると,かつお,さけ類,めばち(冷凍),きはだ(冷凍)等水揚量の減少した品目の価格は上昇し,するめいか等水揚量の増加した品目の価格は低下するなど,おおむね品目ごとの水揚動向に応じた変動をしているとみられる( 図I-6-4 )。ただし,水揚量が前年並みであったさば類については,漁獲が小型魚中心であったため価格が低下している。また,すけとうだらについては冷凍すり身の供給不足から前年に価格が高騰したことにより,さんまについては漁期直前の在庫量が比較的高水準であったこと等により,それぞれ,水揚量は減少したが,価格も低下している。

 水産物輸入価格指数(2年:100)は,57年をピークにその後急速に低下したが,近年はおおむね安定的に推移している。4年は,前年に比べ2.8%低下し97.5となった。

 魚介類消費者物価指数(2年=100)は,元年以降上昇傾向にあり,4年は,前年に比べ1.6%上昇し105.7となった。このうち,生鮮魚介(冷凍を含む。)は,産地価格や輸入価格の低下を反映して,前年に比べ1.5%低下し101.1となったが,塩干魚介は2.5%上昇し105.1となり,魚肉ねり製品は,主原料であるすけとうだら価格が前年高騰したこと等から14.9%と大幅に上昇し130.7となった。

 このように,4年の水産物価格については,産地卸売価格指数や生鮮魚介の消費者物価指数の低下がみられる。これは,基本的には品目ごとの需給動向を反映した結果であると考えられるものの,年後半以降の景気低迷に伴う消費支出の伸び悩みも影響しているものとみられる。