4 漁業金融

 4年度の我が国経済が前年度に引き続き低迷状態で推移したことから,日銀は,4年度において,3度にわたり公定歩合の引下げを実施したが,5年度に入っても景気回復に向けた動きに足踏みがみられることから,日銀は更に,5年9月に公定歩合を史上最低の1.75%に引き下げるに至った。

 このような状況の下,4年度末における全金融機関の漁業関係融資残高は,運転資金がその大部分を占めるとみられる短期資金の増加等により,前年度末に比べ0.3%増加し2兆8,572億円となった。しかしながら,このうち約9割を占める沿岸・中小漁業向け融資残高は,設備資金の借入れが手控えられたこと等により,前年度末に比べ0.5%減少し2兆5,710億円となった。

 次に,漁業関係融資残高の約3割を占める主要な制度資金についてみると,漁業近代化資金の4年度の融資実績は,漁船関係の設備投資の手控え等により,前年度に比べ9.6%減少し720億円となった。しかしながら,4年度内の償還額が融資額を下回ったことから,4年度末の融資残高は前年度末に比べ1.4%増加し2,749億円となった( 図II-4-1 )。一方,農林漁業金融公庫の4年度の融資実績は,漁船の建造等が減少したことにより,前年度に比べ29.6%減少し526億円となり,その結果,4年度末の融資残高は,前年度末に比べ5.0%減少し4,647億円となった。また,漁業経営の維持安定を図るために設けられている漁業経営維持安定資金,漁業経営再建資金等の緊急融資資金の4年度の融資実績は,前年度に比べ31.9%増加し79億円となった。しかしながら,4年度内の償還額が融資額を上回ったことから,4年度末の融資残高は,前年度末に比べ14.4%減少し490億円となった。

 このような漁業金融動向の背景には,沿岸・中小漁業の経営状況が厳しさを増したこと等により,漁船建造等の設備投資が総じて手控えられたこと等があるものと思われる。

 中小漁業者等に対する資金の融通の円滑化を図るための信用補完制度である中小漁業融資保証制度についてみると,保証残高は,57年度末をピークに年々減少しており,4年度末は,前年度末に比べ1.1%減少し2,928億円となった。しかしながら,代位弁済額は,前年度を2.5%上回る81億円となり,依然として高水準で推移している。一方,農林漁業信用基金の支払保険金(漁業関係分)は,前年度に比べ12.4%減少し63億円となった。保険事故は,近年の漁業経営の厳しい状況を反映して4年度も高水準で推移しており,引き続き中小漁業融資保証制度の信用補完機能を確保することが重要となっている。