1 国際漁業資源管理の推進

(1) 国際漁業資源の管理・増大対策

 200海里体制の定着,公海漁業に対する規制強化の動き等漁業をめぐる国際環境の変化に対処し,国民のし好に合った食料の供給,海外漁場における我が国漁業の操業の確保を図るため,次の施策を講じた。

 ア 我が国かつお・まぐろ漁船が国際的な操業規制を遵守することによって,国際的資源管理へ積極的に貢献するとともに,国際的な信頼を高めるため,新たに,GPS衛星及びインマルサット衛星を活用して,漁船から送信される位置情報・漁獲データをリアルタイムに収集・解析し,資源管理を的確に行える体制を整備した。

 また,まぐろ資源の国際管理の適正化に資するため,便宜置籍まぐろ漁船の活動の実態調査を行った。

 さらに,くろまぐろに関して種苗生産・放流による資源増大を図るための技術開発に必要な施設の整備を行った。

 イ 我が国の漁業団体が諸外国の漁業団体との連携を図りつつ,内外の環境保護団体等との接触を密にし,その動向に関する情報収集に努めるとともに,公海漁業に対する正しい理解を求め,また,自らNGOの一員として積極的に関係国際会議に出席してその考え方を主張し得る体制を確立するための事業を実施した。

 ウ 我が国遠洋漁業の漁場確保にとって重要な諸外国の漁業政策,漁業制度及びその運用状況等の調査研究等を行ったほか,海外漁場における入漁関係事務処理体制の整備を図った。

 また,関係国に漁業使節団を派遣し,我が国の水産事情について相手国関係者の理解を得たほか,相手国の実情等について調査を実施した。

 さらに,ロシアとの合弁事業を通じて北洋漁場における操業機会の確保を図るため,ロシアにおける合弁に関する情報の収集,合弁プロジェクトの実施状況調査,調整等を実施した。

 エ 公海漁場での操業の確保につき関係国との情報交換等を行うとともに,特に漁業国との資源の保全及び合理的利用に関する協力関係を深めた。

 オ 我が国漁業に対する関係国の理解を得るため,我が国漁業の実情等を資料の配布等の広報手段を通じて広く諸外国へ紹介する事業を行った。

 カ 大型鯨類の管理は,国際捕鯨取締条約に基づき国際捕鯨委員会(IWC)において実施されているが,我が国においては25年ぶりの開催となるIWC年次会議を5年5月に京都で開催し,科学的根拠に基づいた捕鯨問題の解決を目指すとともに,各国のIWCコミッショナー等代表団に鯨を含む海洋生物資源の利用に関する日本の立場,捕鯨の歴史,文化等の理解を求めた。

(2) 国際漁業資源の調査

 ア 遠洋・公海漁業に係る厳しい国際情勢を反映して漁業資源の国際的な管理が強化される中で,漁業資源の管理に必要な調査・研究の重要性が一段と増大している。

 このような状況において,各種水産資源について国際的な資源管理に必要な調査・研究を強化拡大しつつ継続して実施した。

 さけ・ます類については,近年の国際情勢を背景に新たな資源管理体制として発足した北太平洋溯河性魚類委員会(NPAFC)において環境収容力などの新たなテーマに取り組んだ。

 大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)の管理下にある大西洋のくろまぐろ資源については,東西の系群構造の解明を含む資源推定の精度強化のための調査・研究を新たに行った。

 また,南半球の中・高緯度に広く分布しているみなみまぐろ資源については,従来より我が国,オーストラリア及びニュージーランドの3国間の協議を通じて資源の保存管理を図ってきたところであるが,新たに,若令魚の加入状況をより直接的に把握するための航空機目視調査等を実施した。

 さらに,従来国際的な管理体制が整備されていなかった北太平洋のまぐろ類についても,標識放流,産卵調査等資源管理に必要な調査・研究を推進した。

 このほか,東シナ海・黄海における重要底魚類についての調査・研究を新たに実施した。

 公海漁業に関する透明性の確保及び混獲生物の状況把握の観点から,民間科学オブザーバーを漁船に乗船させ,漁業の実態や混獲に関する情報収集を実施した。

 イ 鯨類に関しては,従来より国際捕鯨委員会(IWC)の商業捕鯨一時停止(モラトリアム)決定の見直しのための鯨資源の包括的評価に積極的に取り組んでおり,資源量,系群構造,死亡率等の科学的データの収集のため,北太平洋における大型鯨類目視調査及び南氷洋におけるミンク鯨の捕獲調査を含む大型鯨類の調査を行う(財)日本鯨類研究所に対して引き続き助成を行った。

 また,我が国周辺水域を中心とした北太平洋の小型鯨類資源の合理的利用・管理のため,系群構造の解明及び目視による資源量推定を推進した。

 さらに,IWCが南氷洋で実施しているIDCR(国際鯨類調査10か年計画)に対しては,我が国は現在南氷洋における鯨類の調査能力を持つ唯一の国家として全面的に協力しているところであり,引き続き調査船の運航等の経費を負担した。