はじめに

 我が国水産業は,平成8年6月の「国連海洋法条約」の批准により,本格的な200海里時代を迎えた。また,水産業をめぐっては,周辺水域における水産資源の悪化等による漁獲量の減少,担い手の減少・高齢化の進行,漁業地域の活力の低下等厳しい状況に直面している。

 こうした中で,我が国水産業の持続的な発展を確保するためには,新たな海洋秩序に即応した水産行政の基本政策の確立が必要となっており,我が国水産業はいわば政策の転換点に立ち至っている。

 このような諸情勢の下,平成11年12月,今後の水産政策の指針となる水産基本政策大綱が決定されたところであり,今後これに沿って,平成13年の通常国会に向けた新たな基本法のとりまとめ等施策の具体化が進められることとなっている。

 水産政策は,水産物の供給をはじめ国民生活に密接に関連した課題であることから,その確立に当たっては,我が国経済社会における水産業,漁業地域の役割や位置付けについての国民の理解や合意が必要である。

 11年度の漁業の動向に関する年次報告は,このような観点に立ち,水産業,漁業地域をめぐる課題や今後のあるべき方向についての国民的な議論に資するよう,国民生活と水産業,漁業地域のかかわりを考える素材を提供することに重点をおいた。

  第I章 では,食において水産物が果たしている役割,国民と漁業地域のつながり等,水産業,漁業地域と国民生活とのかかわりについて記述した。

  第II章 では,水産資源の持続的利用と海洋環境の保全に向けた取組について記述した。

  第III章 では,漁業生産構造と漁業経営の動向について記述した。

 最後に,「 むすび 」として,水産業や漁業地域の果たす役割について,国民全体で考える際の論点を整理した。

( 我が国漁業の概要(10年) )