4 漁業金融

 平成10年度末における全金融機関の漁業関係融資残高は,経営の悪化に伴う漁業経営体の信用力の低下を背景として,前年度末に比べ2.9%減少し2兆5,376億円となった( 表III-4-1 , ダウンロード )。

 金融機関別にみると,一般金融機関の融資残高が前年度に比べ2.6%減少したが,これは,信用力の低下に加え,10年度の早期是正措置の導入により,自己資本比率の向上を図るために貸出資産の圧縮が進められたためである。また,系統金融機関の融資残高は,漁業経営環境の悪化を背景とした新規資金需要の縮小,国際漁業規制の強化に伴う遠洋漁業の縮小により,前年度に比べ2.3%減少した。政府関係金融機関においては,農林漁業金融公庫を中心に前年度に比べ6.9%減少した。

 また,主要制度資金についてみると,厳しい漁業経営環境の影響を受け,新規借入れが進まず,融資残高は減少傾向にある( 表III-4-2 , ダウンロード )。漁業近代化資金の融資実績は,前年度に比べ0.4%減少し527億円となった。資金種類別にみると,養殖用及び加工用施設資金は増加したものの,種苗の購入・育成資金を中心に減少した。農林漁業金融公庫資金においては,漁船資金が大幅に減少したものの,HACCPへの対応に要する水産加工資金等が増加したため,融資実績は11%増加し305億円となった。漁業経営の維持安定を図るための制度である緊急融資資金の融資実績は,前年度に比べ46%減少し35億円となった。これは,漁業経営維持安定資金及び漁業経営再建資金が減少したためである。

 中小漁業融資保証制度についてみると,保証残高は,漁業近代化資金の融資額の減少等に伴い年々減少傾向にあるが,10年度末は,前年度末とほぼ同額となった。漁業信用基金協会による代位弁済額は,前年度に比べ減少したものの,厳しい漁業経営環境の下,今後の増加が懸念される。