3 国際漁業資源等の調査

 ア 外国200海里水域・公海における漁業に係る厳しい国際情勢を反映して漁業資源の国際的な管理の強化が求められており,より精度の高い資源評価や資源の将来的な動向予測に対応する調査・研究の重要性がますます増大している。こうした社会的要請は国際漁業資源の管理の枠組においても強く認識されており,各国独自の調査・研究の強化に加えて,国際的な共同調査や研究協力についてもその必要性が高まっている。

 さけ・ます類については,公海操業を禁止した「北太平洋の溯河性魚類の系群の保存のための条約」に基づき設立された北太平洋溯河性魚類委員会(NPAFC)等を通じて,北太平洋におけるさけ・ますの生産機構,環境収容力等の課題について調査・研究を促進した。まぐろ類については,大西洋のくろまぐろに関し大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)加盟国と協力しつつ,資源推定精度を高める観点から東西系群や産卵・加入機構など資源構造解明に向けての調査・研究を実施したほか,太平洋のくろまぐろ及びめばちまぐろについて,将来的な国際管理の導入にも対応し得るよう北太平洋まぐろ類暫定科学委員会等と協力しつつ漁獲に関する情報・データの蓄積に加えて,生態の調査及び電子標識放流試験を実施した。また,みなみまぐろについて,みなみまぐろ保存委員会(CCSBT)加盟国と協力しつつ,資源回復判定の重要項目である若齢魚の加入について標識放流試験,音響探索調査及び航空機目視調査を組み合わせた広域精密調査を実施したほか,親魚の資源動態を把握するため産卵場調査を実施した。さらに,現在漁獲データが得られていない水域・時期において資源状況を推定するため,我が国独自に調査漁獲を実施した。

 底魚類については,ストラドリング魚類資源を中心に具体的にはベーリング公海すけとうだら資源に関する調査,東シナ海・黄海底魚資源に関する生物学的特性と地理的分布調査等を実施した。

 このほか,漁業と生物生態系の間の良好な相互関係の下で,公海における漁業資源の持続的利用を確保するため,漁業資源と野生生物の相互作用等に関する情報の収集・整理,混獲生物に係る調査・研究等を実施した。

 イ 鯨類に関しては,従来よりIWCの商業捕鯨一時停止(モラトリアム)決定の見直しのための鯨資源の包括的評価に積極的に取り組んでおり,資源量,系群構造,死亡率等の科学的データの収集のため,北太平洋及び南氷洋におけるミンククジラの捕獲調査等の大型鯨類の調査を実施する(財)日本鯨類研究所に対し助成した。

 また,我が国周辺に分布・回遊する小型鯨類の合理的利用と資源管理のため,遺伝学的手法による系群構造の解明と洋上目視調査等による資源量推定を推進した。

 さらに,IWCが南氷洋で実施している南氷洋鯨類・生態系調査(SOWER)に対しては,我が国は南氷洋における鯨類の科学的調査を推進し,実行している国家として全面的に協力しているところであり,調査船の運航等の経費を負担したほか,IWCが実施するシロナガスクジラ等の資源回復手法解明のための調査についても経費負担等の協力を行った。