ホーム > 食育地域レポート > なるほど!食の安全セミナー
農林水産省北海道農政事務所函館地域センターでは、消費者が日常生活の中で感じた食に対する疑問について、科学的な見地からの情報提供を推進するため「 なるほど!食の安全セミナー」を開催しました。
このセミナーは、12月15日、函館地方合同庁舎において、「冬も危ない食中毒。家庭でできる予防法」をテーマに開催し、43人の参加をいただきました。
北海道大学大学院水産科学研究院 教授 一色 賢司 氏を講師に迎え、農場や漁場などの食料生産から最終消費までの全過程で発生している食中毒事例や、それを防止するための安全管理の重要性と家庭でできる食中毒予防のポイントなどについて情報提供しました。
また、一色教授研究室で開発された食中毒菌増殖を警告するための新しい技術もご紹介されました。

〔講演概要〕
【食中毒の危険性】
国内での食中毒は、年間を通じて発生しており、冬季においてもウイルスによる食中毒が多発している状況にある。
特に、ノロウイルスによる食中毒は発症例が多く、塩素系殺菌剤やアルコールに抵抗性があること、少量の摂取量でも発症すること、人から人への二次感染も被害が拡大することから注意を要する食中毒菌である。
また、今年はベロ毒素を生産する腸管出血性大腸菌(O111、O157)食中毒による死亡者が発生した。この腸管出血性大腸菌による食中毒は、平成21年の厚生労働省の発表データでは患者数が181人となっているが、実際には、病院等で腸管出血性大腸菌感染症と診断される患者は、その20倍の3~4千人報告されているので、菌は我々の身近にいるという認識を持つことが重要である。
【食品の安全性】
人類は、安全な食料の調達に長い歳月を掛け、生物の食べられる部分を選び抜き、また、豆類やイネなど、そのままでは食べられない物も火を利用することで食べてきた。特に火の利用は、微生物や寄生虫の活動防止、食料の保存性・消化性向上など食料の調達や安全性と栄養の確保に大きく貢献してきた。
食品を食べることにより体調が悪くなることを食性病害というが、その原因は食品がもともと持つ有毒成分や寄生虫、調理に使用する水の汚染、不適切な扱いによる食中毒菌の繁殖などがある。それは、生産現場である農場や漁場から食品工場などの加工、飲食店や家庭での調理過程など、最終的に消費されるまでの全過程に潜んでいる。
食品が安全かどうかは、その毒性と摂取量による。毒性が強くても、摂取量が少なければ健康には影響を及ぼさないことがあるし、毒性が弱くても多量に摂取すれば生体への影響が大きく出る場合もある。
また、体に必要な栄養素も摂取量によっては健康に悪い影響を及ぼす場合がある。例えばビタミンAは、不足すると夜盲症を発症するが、サプリメントなどで過剰に摂取するとビタミンA過剰症(軽度な場合下痢などの食中毒症状、重篤な場合倦怠感、皮膚障害など)になる。

【家庭での予防法】
世界保健機関(WHO)は、食品を安全に食べるための5つのポイントとして、「(1)食中毒菌をつけない(清潔に保つ)(2)生の食べ物と加熱した食べ物を分ける(3)菌をやっつける(よく加熱する)(4)食中毒菌を増やさない(食品を安全な温度に保つ)(5)安全な材料を使う」ことを提唱している。
食中毒予防の基本は、台所など調理・保管する場所を常に清潔し、調理した食品は食中毒菌の増殖に時間を与えないよう迅速に食べること。また、食品を保管する場合は温度管理に気を付けることが重要である。
家庭でできる食中毒予防としては、「(1)食品の購入は、新鮮な物で消費期限を確認して購入する。(2)買って帰ったらすぐに冷蔵庫や冷凍庫で保存する。(3)下準備では手を洗い、きれいな調理器具を使う。(4)調理する時も手を洗い、十分に加熱する。(5)食事の時も手を洗い、室温に長く放置しない。(6)残った食品はきれいな容器で保存し、食べる前に再加熱する」ことなどが重要である。
近年、家庭用冷蔵庫の性能は向上しており、魔法の箱のように思われているが、リステリア菌などの低温増殖性食中毒菌は、条件がそろえば増殖することから過信は禁物である。特に、食品の詰め過ぎや棚や床が汚れ、原材料と調理品が一緒、ふたや包装がないなど、その使い方が悪いと食中毒の危険性が高まるので、冷蔵庫の掃除を行うなど清潔にすることが大切である。
【函館で開発された新技術「温度上昇警告インディケータ」】
日本は水産物が豊富で、刺身など生で食べる文化があるが、それらの食品を安全に流通させる場合、低温での温度管理が重要になってくる。
「温度上昇警告インディケータ」は食用色素等を利用した、経過時間に伴う色の変化(青色から赤色へ)により要冷蔵食品の温度上昇の警告を可視化でき、生食用と加熱食用を分別する際の判断などに有効な手段の一つであり、食料の生産から、加工、流通、販売および消費までのすべての過程(フードチェーン)での食品安全のための自主的な温度管理への活用が期待される。

家庭用冷蔵庫での使用を試す機会として、一色 氏から参加者に「温度上昇警告インディケータ」が提供されました。
参加者からは、真空保存の食中毒防止効果やインディケータの使い方などについての質問が出され、家庭内における食中毒の危険性やその予防法について、「菌によって対策が違うなど、大変参考になった」「早速、家の冷蔵庫を掃除してインディケータを試してみたい」などの感想がありました。
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