ホーム > 食育地域レポート > 食を学ぼう!なるほど講座(第7回)
農林水産省北海道農政事務所では、消費者が日々の生活の中で感じた食に対する不安や疑問に対して、科学的な見地からの情報提供を推進するため「食を学ぼう!なるほど講座」を札幌市消費者センターと共同で開催しています。
本年度7回目の講座は、1月17日、札幌エルプラザにおいて、「輸入食品の安全性確保」をテーマに開催し、33人の参加をいただきました。
今回は、厚生労働省小樽検疫所 食品監視課長 二瓶 渉 氏をお招きし、輸入食品等の届出件数など現在の状況、監視体制の概要や実際にあった食品衛生法違反の事例などについてご説明いただきました。

【講演概要】
食品等の輸入状況の統計資料や輸入国、国内における監視体制について、以下の概要のとおり説明されました。
〔食品等の輸入状況〕
日本の食料自給率は約40%であり、食料を国内だけでは賄えず、輸入をしながら生活している状況である。また、以前は原料を輸入して日本で加工していたが、現在は海外で製品化した加工食品が多く輸入されるようになり、届け出件数は増加している。輸入食品等の品目別の割合は、重量ベースで農産食品が半分以上のシェアを占めている状況である。
〔輸入食品の監視体制〕
輸入食品の監視体制は検疫所だけでは出来るものではなく、輸出国、輸入時(検疫所)、国内(各自治体の保健所等)の三段階でチェックしている。輸出国側では、現地の証明書等の作成、国同士の制度確認等を行い安全性を確保している。また、検疫所は輸入者が貨物に問題が無いか確認をするための事前相談を行っており、その後、検疫所に届出をすることとなっている。その手続きが終わらなければ税関で国内に貨物を入れることは出来ない仕組みとなっている。その際、過去の違反の事例や輸出国の状況、原材料や添加物等の書類審査の後、食品衛生法違反の可能性の高低に応じた検査が行われ、初めて食品が輸入される。また、輸入後も保健所において、食品衛生法に関する検査を随時行っている。
〔輸出国における衛生対策〕
厚生労働省は輸出国における衛生対策として、日本の制度について輸出国の大使館等へ情報提供を行っている。実際に食品衛生法に違反した事例があれば、輸出国と日本側の相方で違反原因の究明に基づいた再発防止対策を行い、問題点を解決していく。また、独立行政法人国際協力機構を通じ、専門家の派遣等を行い、輸出国への技術協力を行っている。
〔輸入時の監視体制〕
輸入の手続きの際は、食品衛生法で定められている「輸入者の氏名、住所」、「食品の品名、数量、原材料、添加物」等の書類審査を行い、内容に不備があれば具体的に調査をし、状況によって現場に出向き検査等を行っている。また、輸入時における検査制度には、過去の違反事例等を参考とし、輸入者に対し定期的な実施を指導する「指導検査等」、年間計画に基づいて無作為に食品を選定し検査を行う「モニタリング検査」、輸入者に対し食品衛生法違反の可能性が高いと見込まれる食品について、届出された貨物の全て検査の実施を命じる「検査命令」がある。「検査命令」は輸入者に対し、輸入の都度実施を命じる検査であり、検査結果判明までは輸入は出来ないこととなっている。
<参考:平成22年度の食品衛生法違反内容>
・輸出時における事故による腐敗、変敗、カビの発生
・衛生証明書の不添付
・食品の成分規格違反、添加物の使用基準違反 等
〔輸入者の営業の禁停止処分〕
以前は、輸入者が違反を繰り返しても営業の禁停止処分は無かったが、平成15年以降、食品衛生法の改正が行われた。現在は、状況に応じて営業の禁停止処分を行う制度がある。
〔平成23年度輸入食品監視指導計画〕
毎年、年度当初に輸入食品監視指導計画を立てている。その際、国民からも意見を聞くために、パブリック・コメントを募集し、その意見も加味した上での年度計画としている。
【参考情報】
最後に、参考情報として「残留農薬のポジティブリスト制度」、「農薬の残留基準の設定方法」について、以下の概要のとおり説明されました。
〔残留農薬のポジティブリスト制度〕
残留農薬のポジティブリスト制度は、平成18年5月29日の食品衛生法の改正により施行されている。農薬の残留基準は、農作物によって毎日摂取する量、栽培に必要な農薬の量が異なることから、食品ごとに基準が設定されている。しかし、様々な食品ごとに、800種類近くの農薬について、それぞれ基準を設定するのは時間を要するため、まだ基準値が設定されていない農薬については、一律に0.01ppmという基準値が設定されており、それを超えた場合は輸入は出来ない。
〔農薬の残留基準の設定方法〕
人が生涯その物質を毎日摂取し続けても、健康に有害な影響が現れないと考えられているADI(一日許容摂取量)をもとに、それぞれの食品について残留農薬の基準値を設定している。なお、国民平均だけではなく、幼少児、妊婦、高齢者も考慮して基準値を設定している。また、一つの食品だけを考えているのではなく、日本人が食べる多くの食品についての摂取量を調査した上で設定している。
【意見交換】
講演の後には、参加者の皆さんからたくさんの質問をいただき、二瓶課長から回答いただきました。(意見交換概要(PDF:97KB))
また、ご協力いただいたアンケートでは、「検疫所の制度と実態は全く知らなかったが、今日の説明で良く分かった。国民の健康に対する不安感を解消するためにも、検疫所の仕事の内容等をもっとPRしてほしい」、「輸入食品の検査の安全性を見直すことができた」などのご感想やご意見をいただきました。