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北陸農政局

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加治川の歴史

1. 地域の概要

本地区は、新潟県北部に位置し、北蒲原平野に広がる新潟市、新発田市及び北蒲原郡聖籠町の2市1町にまたがる約6,100haの稲作経営を主体とした農業地帯です。

加治川は、飯豊山系西ヶ岳から北股岳を源流とする延長65kmの二級河川で、途中、右岸側から北股川、内の倉川が合流し、北蒲原平野に流入します。その後、右岸側の二王子岳をはじめとする櫛形山脈東方の水を集めた坂井川(姫田川)と合流し、平野を横断して聖籠町次第浜で日本海に注いでいます。山地から平野にかけては、新発田市大槻付近を扇頂部とし、国道7号付近の扇端部に至る延長11km、幅6kmの加治川扇状地を形成しています。また、磐梯朝日国立公園(飯豊地区)を背景として、緑豊かな農村景観を形成しており、疏水百選(2005年)にも選定されています。扇央部には、五十公野丘陵と呼ばれる突出した地形がみられ、公園として市民の憩いの場となっています。加治川扇状地の外側(北西側)は三角州性低地(沖積低地)が広がっており、野生生物の保全活動が取り組まれている福島潟や旧塩津潟を結ぶ低地帯は、かつては内水面交通に利用され、現在は日本海東北自動車道が縦貫しています。

新発田市は、加治川扇状地の中央部に旧新発田城を中心とする城下町として栄え歴史ある町並みが発展しています。2003年(平成15年)7月7日に豊浦町と、2005年(平成17年)5月1日には紫雲寺町・加治川村と合併し、面積約533平方キロメートル、人口約10万人の都市となっています。

本地区の大部分を占める新発田市・聖籠町の米生産額は、新潟県全体の米生産額に対し、約7.8%(平成29年)を占めており、古くから「加治川米」と呼ばれる良質な米の産地で、県内でも有数の農業地帯です。

また、アスパラガスや大豆などの園芸作物や、葡萄、さくらんぼ、イチゴなどの果樹の生産も盛んになっています。新発田市は、新潟県一の出荷量を誇るアスパラガスの産地であり、毎年旬の5月頃には、「食のアスパラ横町、味めぐり」が開催され、新発田市内の飲食店で新発田産の美味しいアスパラガスを使った料理を食べることができます。

 アスパラガス畑

田植えの様子

2. 加治川の歴史

江戸時代以前は、信濃川から荒川までに海へ注ぐ川は一本も無く、内陸には加治川などの河川が乱流し、多くの潟や沼が点在する湿地帯が広がっており、当地区を含む北蒲原地域は、雪解けや降雨によって一面が泥沼のような状態となり、水が引いた後には蒲(がま)が生えることから、「水沼の蒲原(かんばら)」と呼ばれるなど、非常に水はけの悪い生産条件の不利な土地でした。

江戸時代に入り、加賀・大聖寺4万4千石の領主 溝口秀勝は、豊臣秀吉より幾多の武功から1万6千石を与えられ、現在の加治川以西の北蒲原群の大部分及び中蒲原、南蒲原平野に亘る広大な地域の領主として6万石と称されましたが、生産条件の不利さから、その実収は2万石程度でした。

そこで、藩の施政方針として「治水開田」を掲げ、河川の締め切りや川の瀬替え、潟の干拓など(治水年表参照)、歴代領主による長年の苦労と努力の結果、後年は実収40万石とも言われるほどとなり、日本一の米作地としての素地を作り上げました。

江戸時代以前

江戸時代以前事業着工前

事業着工前

出典:加治川農業水利事業誌

治水年表

治水年表

3. 加治川用水地区の事業概要

(1)一期事業の概要[S39~S49]

上述の通り、本地域は新潟市の東に位置し、新発田市を中心とした標高51m~1mの低平な水田地帯であり、用水源となっている加治川は、豊渇の差が著しく、沿岸農民は古来しばしば洪水や渇水の被害を受けてきました。戦後、国営による大規模な排水改良事業(国営阿賀野川農業水利事業 昭和48年度完工)が行われ、洪水被害の防止と湿田の乾田化が進められてきましたが、用水不足のため乾田化が進まず、稲作の改良や機械化を遅らせていました。

このため一期事業では、北蒲原平野の農業水利にメスを入れ、加治川の支流である内の倉川に農業用水、上水道用水の供給と洪水調節を目的とする多目的ダム(内の倉ダム)を建設するとともに、老朽化した34箇所の井堰を2箇所の頭首工に統合取水するとともに、土水路を舗装することで合理的な用水利用を可能とし、農業経営の安定と合理化がはかられました。

(2)二期事業の概要[H24~ ]

一期事業以降は、現在の取水形態が継続されてきたものの、水稲の主要な作付け品種が早生(コシイブキなど)から中生(コシヒカリ)に変わるなど営農形態が変化し、用水需要のピークがかんがい期後半の8-9月に集中するなど、農家の水使いが変化してきました。これに伴い、地区全体では、用水不足が発生するとともに、事業完了後約40年余りが経過していることから、施設の老朽化が進行し維持管理にも多大な経費と労力を要するようになりました。

このため本事業では、老朽化が進行している施設の改修を行うとともに、松岡ため池の新設など、新規水源施設の整備を行い、併せて関連事業により末端用水路の改修や区画整理を実施することで、用水の安定供給と営農の合理化を図り、農業生産性の維持向上及び農業経営の安定に資することを目的に事業を実施しています。


 ⇒加治川地区の現地調査資料( 食料・農業・農村政策審議会 農業農村振興整備部会 平成24年度第2回(現地調査)配布資料一覧より)

https://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/nousin/bukai/h24_2/pdf/data-1.pdf

 

お問合せ先

加治川二期農業水利事業所

〒957-0072  新潟県新発田市日渡96番地  新発田地方合同庁舎4階
TEL:0254-27-1510

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