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北陸農政局

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クローズアップ北陸農政局長賞

平成28年度に北陸農政局長賞を受賞された方々の取組や現在の様子をご紹介します。

ザ・そんぼ夢創(むそう)の会(石川県羽咋郡志賀町)

 
【受賞名】鳥獣被害対策優良活動表彰

【表彰目的】生産現場において鳥獣被害対策に取り組み、被害防止に貢献している者及び団体等を表彰し、このような取組を広く紹介することにより、被害防止技術の普及及び現場における効果的な被害防止活動を推進し、鳥獣による農林水産業等に係る被害の軽減を図ることを目的としています。

1.受賞概要

 
 
樋谷さん 
ザ・そんぼ夢創の会 会長 樋谷(ひだに)保さん
 
 
緩衝帯イメージ図 
 【緩衝帯イメージ】
農地に接する山林などの間に緩衝帯を設置する
ことにより、野生動物は農地に侵入しにくくなる。
 
 

石川県羽咋郡志賀町尊保・阿川(そんぼ・あこう)地区の全住民約20世帯が参加する村づくりの団体「ザ・そんぼ夢創の会」は、自然豊かな故郷を次世代に残そうと、各種の村おこし活動を展開しています。

平成25年度よりイノシシによる農作物被害が発生し始めたため、活動の一環として、速やかに被害対策体制を確立し、平成27年度に全住民が作業に従事して集落周辺の林地を連続した緩衝帯として、イノシシを寄せ付けない環境を整備するとともに、緩衝帯に沿って電気柵を設置し、人里への侵入防止効果を向上させました。さらに、捕獲活動の推進も加わり、農作物被害を減少させました。

この取組は地域住民相互の結びつきを一層強め、集落が連携する被害対策の優良事例として、周辺地域への波及が期待されています。

2.当地区の特徴や受賞したことによる周囲の反応を教えて下さい。

村おこし活動を50年近くやっていることが、当地区のベースであり、共同活動をうまくやっている理由です。
芋煮会やもち食い絶叫大会、当時は珍しかったバーベキューなどを行い何事も一致協力して取り組んできました。特に僕たちの世代の長男は全員この村に残ったこともあり、その長男が中心となって活動をしています。
ザ・そんぼの「ザ」は、座ると言う意味で、尊保に座るということを決意した言葉です。当地区では、一戸の空き家もありません。

当地区の人は、今回の受賞について誇りに思っており、他の地区等に出向いた時も賞をもらったことをPRしています。自分たちの活動が認められたことが、今後のやる気・元気の活力になっていると思います。また、受賞について町の広報にも取り上げてもらったので、よその地区からは、「見学させてくれ」、「講演をしてくれ」との反応がありました。

3.苦労した点、工夫した点を教えて下さい。

 
 
 緩衝帯整備の様子
集落周辺はすべて緩衝帯として整備
 
 

イノシシ被害発生当初は、自分たちが出来ることを考え、夜間パトロール、夕方の花火・爆竹による追い払い、ドラム缶を利用した巨大鹿威しの制作など、独自の対策を実施しましたが、イノシシが慣れ始めると効果は上がらなくなったため、志賀町等からの提案を受けて、緩衝帯整備に取り組むことにしました。

緩衝帯の整備は、「いしかわ身近な森保全事業(森林環境基金事業)」を活用し、農閑期の毎週土曜日午前中に地区住民全員参加で対象区域全域延べ10km4ha以上の除伐を実施しました。除伐は2班体制で実施し、重機運転等の技能を持った特別班を編成したことが当地区の独自の体制です。
除伐において一番困ったことは、隣接する他地区(4地区)の了解を得ることでした。長老の方で大木の除伐をいやがる方もいましたが、跡継ぎの方が説得してくれ、全地区の了解を得ることができました。
また、電気柵の設置については、平成26年度に2基を設置し、3年目の平成28年には11基に増設し、ようやく全農地の周囲10kmを囲むことができました。電気柵はどこに張れば作業の邪魔にならないか、維持管理が楽かなどを検討し、何回も張り替えましたが、最終的には緩衝帯に沿うようなるべく大きく囲むことで落ち着きました。何事もみんなでやるのが原則なので、11台ある電気柵のコントロールボックスは11人の責任者を付けています。

電気柵、緩衝帯整備、捕獲活動の推進と相まって、平成28年度には農作物被害額ゼロを達成しました。(平成29年度も農作物被害額ゼロを達成)

4.活動のポイントや今後の活動についてお聞かせください。

 
情報交換中! 
情報交換中!!

活動にあたり必要なことは、みんなの意識付けだと思います。田んぼを守る意識ではなく、地区を守る意志、住環境を守る意志が必要です。また、活動は地区住民全員の合意形成を得、全員参加を基本として、すべての作業は有償にしましたが、無理はしないことが大事だと思っています。

今回、集落住民総出で作業を行ったことにより、女性も子供もみんな笑顔で作業をしていました。特に女性は昔と違ってみんなが集まる機会が少ないので、共同作業の合間に情報交換が出来たことが、楽しかったようです。

今後も地区住民が一体となって、有害鳥獣被害額ゼロを目指した取組を継続していきたいと思います。ザ・そんぼ夢創の会の目標は、集落営農を将来にわたって継続していくことであり、イノシシとの共存を目指して活動を続けていきます。

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