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北陸農政局

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クローズアップ北陸農政局長賞

平成28年度に北陸農政局長賞を受賞された方々の取組や現在の様子をご紹介します。

農家レストラン大門(おおかど)株式会社(富山県砺波市)


【受賞名】地産地消給食等メニューコンテスト(外食・弁当部門)

【表彰目的】地産地消を推進するため、北陸地域において地場産農林水産物を活用した学校給食・社員食堂・外食・弁当等のメニューについて、優れた取組を表彰しています。

~大門素麺と伝承料理~

1.受賞概要

境代表と女将の嘉代子さん 
境貞雄代表と女将の嘉代子さん
(看板は砺波市長直筆のもの)

■地産地消の取組内容

「農家レストラン大門」は、地域住民が会社を設立し、空き家となっていた伝統的家屋を活用し、郷土料理を提供する農家レストランとして、平成27年3月に開店しました。
女将の境嘉代子さんが中心となり伝承料理の保存継承活動に取り組み、毎月、様々なイベントにおいて、伝承料理の提供・作り方等を紹介しています。
また、大手旅行会社と提携し、「よごし」料理体験ツアーなど、各種体験メニューの実施に取り組んでいます。野菜等の食材は、地元農家が提供し、地産地消メニューに活用しています。



 
主な地産地消メニューの特徴

 
(大門(おおかど)素麺)
江戸時代の後期に加賀藩の御用素麺を製造していた能登の蛸島から製法を継承し、全国的にも珍しい丸髷(まるまげ)の形をした手延素麺です。地元大門産を含む小麦を原料に、庄川の清らかな水でこね合わせ、何回もよりをかけながら、細く長く延ばしたもので、晩秋から初冬にかけて生産されています。
(よごし)
野菜をゆでて細かく切り、硬く絞り、炒りつけた後、味噌で和えたものです。味噌で和える行為が、「汚す(よごす)」という行為に似ていることから、この名前がついたと言われています。
(ゆべす)
寒天に溶き卵、しょうがを入れ、醤油や砂糖で味付けをして固めたもので、 正月や婚礼、法事、祭りなどに欠かせない一品です。冷たくて口当たりが良く見た目もきれいで、 べっ甲のかんざしに似ていることから「べっこう」、または、菓子の「柚餅子」に似ていることから「ゆべし」、「えびす」とも呼ばれています 。 

メニュー写真 
~受け継がれてきた砺波地方伝承料理の解説~

2.受賞に対する思いや周囲の反応などをお聞かせください。

農家レストラン大門(あずまだち家屋)
農家レストラン大門(あずまだち家屋)
 

北陸農政局長賞受賞を機に、当農家レストランが農村・地域振興のお役にたてればよいと思っています。特に平成29年にテレビ番組の取材を受け、その後の県内外からの反響に驚きました。
 
農家レストランを始めるきっかけは、砺波市から、大門地区で約4年間空き家となっていた砺波地方の伝統家屋「あずまだち」の空き家対策として相談を受け、地区の有志とともに株式会社「農家レストラン大門」を設立しました。
砺波市から「10年間は頑張ってください」とエールを送られ、レストランでの食事だけではなく砺波地方特有の散居村の豊かな田園風景、目前には標高3000m級の立山連峰が眺望でき、春にはチューリップ、初冬には雪吊り等様々な目に見える風景で、もてなすことにも工夫を凝らしています。
お客様からは「風情がある」とのお声をいただいていますが、これからも、地域の特徴を生かした様々なアイディアを取り入れ、新たな付加価値を付けて全国に発信したいと思っています。

3.取組にあたり苦労した点や、工夫した点を教えてください。

特に苦労した点は、味付けでした。砺波地方の味付けは一般的に塩気がやや強めの濃口ですが、女将が食生活改善指導員として食に携わっていたこともあり、当初試作した料理のほとんどが薄口となってしまいました。
このため、レストラン経営に必要なおもてなし方法や味付け等を学ぶために、いろいろなお店に出向きましたが、味付けは一般的にやや濃口でした。しかし、試作や試食をしているうちに、「外で仕事をしている人達にはやや薄いけれど、事務職の人達には丁度良い塩加減ではないか」「一般的に女性は薄口を好む傾向ではないか」とメンバーからアドバイスがあり、現在の味付けになりました。
お客様の中には、「京都に近い味付けですね」とのお声をいただいていることもあり、この味を維持するため、計量器を使用して誰でも同じ味付けになるように工夫しています。また、食材は季節ごとに地区の会員農家の方が持ち込んでこられる朝採れの新鮮な野菜等を使用し、食材を生かした献立に工夫しています。  

4.現在の状況や今後の目標をお聞かせください。

昔から継承している伝承料理のため、厨房内の調理人はすべて女性であり、65歳で一番若いという状況で後継者がいないことが大きな課題となっています。
料理は、すべて手作りで時間もかかり5名程度が必要ですが、地区内で女性の会合等があると調理人がいなくなってしまうこともあり、無理を言って厨房に残ってもらっています。現在の従業員は大門地区在住者のみですが、今後、他の地区からの採用も必要と考えています。

食育ネットほくりく交流会での事例紹介 
北陸農政局「食育ネットほくりく」交流会での事例紹介
 
 

また、伝承料理全般を熟知しているのは、女将のみで、この知識や技術のノウハウを次の世代へ継承していくことも重要な課題と考えています。
このため、子供の時から伝承料理に馴染んでもらうために、地域の小学校の子供達に味わってもらい、砺波地方に伝わる食文化や和食の良さを理解してもらうことを目的として、「食育」に取り組んでいます。
その一環として、平成29年11月29日にレストラン内で開催した、北陸農政局主催の「食育ネットほくりく」交流会(写真)においても、「地域に根ざした郷土料理の伝承」をテーマに事例紹介を行いました。
 
農家レストラン大門の運営は、地域の理解や素材提供等の協力の下、地域一体となった取組が必要と考えています。そのためにも、これまで受け継がれてきた地産地消の伝承料理を中心に、県内外からの観光客等を取り込み、地域振興につなげたいと思っています。
その一つとして、地域が一体となって「内閣総理大臣賞」受賞を目標にしたいと思っています。

お問合せ先

富山県拠点
〒930-0856 富山市牛島新町11-7 富山地方合同庁舎
ダイヤルイン:076-441-9305
FAX:076-441-9325