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アジアモンスーン地帯に位置し、国土の約7割が急峻な山という平地の少ない日本。2千数百年前、ここに稲作が伝播し、急激に全土に広がりました。それから稲作を中心とする国土づくりが始まりました。稲作は水田で行われるため大量の水を必要とします。 疏水とは、大量の水を水田へ送るため、川から水路を引き、水を分け合うためにつくられた水路です。水田に水を引く水路は開田とともに次第に長くなり、その一部は城下町、そして都市の成長へも寄与しました。 また、これらの疏水は、食料生産のみならず、国土や環境の保全においても重要な役割を果たしています。金沢は「用水のまち」と呼ばれるように、多くの農業用水が市内に網の目状に張り巡らされ、生活上の動力源、物資運搬、防御、防火、融雪など城下町の形成に重要な役割を担ってきました。町中を流れる用水は現在でも生活文化や周辺環境と密接に関わっています。 しかし、疏水を取り巻く環境は、いま大きな曲がり角を迎えています。国民共有の資産である疏水は、これまでほとんど農民の手によって維持管理されてきました。水路周辺の草刈り、泥上げ、ゴミ拾い、破損個所の修復など。 上流部の中山間地域の農村では過疎化・高齢化が進行し、条件の悪い耕地は放棄されつつあります。このままいくと10年後には深刻な事態となることが危惧されています。 国民共有の資産である疏水。その役割を維持し、美しい景観と国土を次世代へ継承するためには、農村のみではなく、地域住民や都市部の人々も含めた国民全体で保全活動に取り組むことが求められています。 このような状況の中、地域の身近に流れる用水の存在を一人でも多くの人に知ってもらうため、農林水産省は平成18年2月に全国の疏水の中から110ヶ所を「疏水百選」として選定し、これを契機として「疏水サミット」が開催されました。 「疏水サミット」は、疏水が持つ様々な役割を再認識し、次世代に継承していくため、疏水の価値とその保全の必要性について理解を深めることを目的に開催されています。昨年の青森県に続き、2回目となる今回は、「用水が織りなす水と人の環」をテーマに石川県で開催されました。 |
石川県立大学学長 丸山 利輔 氏
日本学士院賞を受賞された石川県立大学学長の丸山利輔氏から、「水分子から太陽系まで~私たちの環境と水はどのように係わっているか?~」と題し、水分子の特性から太陽系のなかでの水の存在の偶然性を説き、水は生物を育てること、物質の運搬に大きな役割を果たすこと、環境を形成することなど、水の持つ大きな役割を説明されました。
この中で、「世界の水田灌漑の事例、水田の水質浄化や気候緩和、森林と水と漁業との関係」などを説明され、「水循環は広い範囲でバランスを取ることは難しく、水を流域や地域のスケールにあわせて改めて見直してはどうか」、「水と土をつないで農業土木に役立ててきた我々の“水土の知”に誇りを持とう」と呼びかけ、「人間にとっての水の存在意義や、水と土は人類生存基盤である」と講演されました。
審査委員長 写真家 織作 峰子 氏
「疏水のある風景」写真コンテスト2007審査委員長の織作峰子氏からコンテスト優秀作品について作品の印象、受賞の理由、撮影技術などについてわかりやすく講評を頂きました。また、サミット会場のロビーで作品展示を行いました。作品は以下をご覧下さい。
今回のサミットの開催に先立ち「いしかわと用水と水土里のフォーラム運動」が関係機関により立ち上げられました。市民の疏水に対する理解を深めるため、市民講座や疏水探訪サイクリング、ウォークラリー、フォトコンテスト等の取り組みが発表され、サミットはその集大成として位置づけられました。
フォーラムでは、石川県の用水について、様々な観点から事例が発表された、その後、会場を交えた議論が展開されました。

事例発表者
コーディネーター
金沢市歴史遺産保存部長 岡田 宜之 氏
金沢の用水について城下町成り立ちの歴史を踏まえて説明するとともに、低下した用水機能を回復し、街中に風情を取り戻した事例や後世に引き継ぐことを目的に制定された「用水保全条例」の取り組みについて紹介されました。また、金沢市民にとって用水は農業のためだけではなく、洗い場としての利用や消雪、防火、景観の形成など地域の生活文化と密接に関わっており、このような身近な用水を守り、育て、活用し、まちづくりに活かしていきたいと話されました。
農業生産法人(株)ヤマジマ代表取締役 島崎 貢 氏
七ヶ用水が作られた歴史的背景をひもとき、地域のために尽力してくれた先人の苦労の中で、今日の我々が恩恵を受けていること、農業を通じて、白山の水のありがたさを感じていることについて話されました。また、グランドカバーによる植生やせせらぎ水路整備等を通じた水辺づくりなどの取り組みの紹介や、潤いのある憩いの場としての「川の駅」構想について提案があり、用水を作った先人の恩恵を受けるだけでなく、用水に新しい付加価値を付けて後世に引き継いでいきたいと述べられました。
金沢大学教授 中村 浩二 氏
身近な自然である里山は、多面的な公益機能を持っているが、過疎化・高齢化等による農業活動や保全活動等の縮小に伴い、生物多様性が貧困になりつつある現状について説明されました。また、能登半島が有する環境資源を活かし、有機農業の推進や地域リーダーの育成によって、能登の自然環境が整備され、将来的にトキが戻ってくるような地域づくりに取り組んでいるとの話がありました。
写真家 織作 峰子 氏
2006年の疏水のある風景写真コンテストの入賞作品を例示し、実際に用水が流れているだけでなく、人の手を加えて常に管理されていることで、美しく保たれていると話されました。また、海外を取材するに当たり、食料を自給している国は生き生きしており、日本は食生活を見直すなどを行っていくべきではないかと提言されました。
この後、林先生と事例発表者が意見を交わした後、会場から用水保全条例と補助事業の関係及び疏水写真コンテストなどについての質問がありました。林先生は「疏水は、現在使われているからこそ価値がある。20世紀までは開発の時代だったが、21世紀はいかに良い状態で保全しながら活用していくかが大事。守るために、土地改良区のこれまでの努力に加え、さらに多くの市民の参加、特に子どもの参加がますます必要とされてくる。日本の農業を取り巻く状況は自給率低下など決して明るいものだけではありませんが、ぜひこのサミットで聞かれたことを地元にお帰りになられて活かしていただきたい」と発言されました。
金沢市内を巡るコースと金沢市から白山市を一巡する2コースに分かれ、約250名が用水への知識を深めました。
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1コース:金沢市民が出迎える疏水散歩巡り 鞍月用水散策 |
2コース:金沢疏水群と手取川疏水群バスツアー 七ヶ用水大水門視察 |
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整備部設計課
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