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農林水産省

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「フードガイド検討会(仮称)報告書」概要

食生活指針を具体的な行動に結びつけるものとして、食事の望ましい組合せやおおよその量をわかりやすく示したものとして「食事バランスガイド」を策定するため、厚生労働省と農林水産省が共同して、「フードガイド(仮称)検討会」(座長:吉池信男 独立行政法人国立健康・栄養研究所研究企画・評価主幹)を平成16年12月24日に設置し、検討を進めてきたところであり、平成17年7月5日に報告書が取りまとめられた。

1.「食事バランスガイド」作成の目的

平成12年3月に文部省(当時)、厚生省(当時)、農林水産省により「食生活指針」が策定され、それを受けて食に携わる関係者の取り組み方針を定めた「食生活指針の推進について」が閣議決定されるなど、心身ともに健康で豊かな食生活の実現に向けた普及・啓発が進められてきた。

また、生活習慣病予防を中心とした健康づくりという観点からは、野菜の摂取不足、食塩・脂肪のとり過ぎ等の食生活上の問題、男性を中心とした肥満者の急速な増加などに対し、食生活指針を普及することにより、より多くの人々に栄養・食生活についての関心や必要な知識を身につけてもらい、食生活上の課題解決や肥満の改善に結びつけてもらうことが必要である。

このような中で、先に食育基本法(平成17年法律第63号)が成立したところであるが、食育基本法はこうした現状に警鐘を鳴らし、国に対しても「食」に関する施策の強化・充実を求めていると言える。

こうしたことから、食生活指針を具体的な行動に結び付けるものとして、「何を」「どれだけ」食べたらよいか、という「食事」の基本を身に付けるバイブルとして、望ましい食事のとり方やおおよその量をわかりやすくイラストで示したものを策定することとした。

2.「食事バランスガイド」のイラスト

食事バランスガイド

イラストについて解説

上部から、十分な摂取が望まれる主食、副菜、主菜の順に並べ、牛乳・乳製品と果物については、同程度と考え、並列に表している。

形状は、日本で古くから親しまれている「コマ」をイメージして描き、食事のバランスが悪くなると倒れてしまうということを表している。また、コマが回転することは、運動することを連想させるということで、回転(運動)することによって初めて安定するということも、併せて表すこととした。なお、水分をコマの軸とし、食事の中で欠かせない存在であることを強調している。

基本形のコマのイラストの中には、主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物の各料理区分における1日にとる量の目安の数値(つ(SV))と対応させて、ほぼ同じ数の料理・食品を示している。

日常的な表現(例:「ごはん(中盛り)だったら4杯程度」)を併記することにより、「つ(SV)」を用いて数える1日量をイメージし易くしている。しかし、これらの料理は必ずしも1日の食事のとり方の典型例を示したものではなく、どのような料理が各料理区分に含まれるかを表現することに主眼を置いたものである。自分が1日に実際にとっている料理の数を数える場合には、右側の『料理例』を参考に、1つ、2つと指折り数えて、いくつとっているかを確かめることにより、1日にとる目安の数値と比べることができるようになる。

3.「食事バランスガイド」の内容等について

「食事バランスガイド」の料理区分

「食事バランスガイド」の料理区分としては、主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物の5つとする。

それぞれの区分に含まれる料理等については、以下のとおりである。

[1] 主食には、炭水化物等の供給源であるごはん、パン、麺・パスタなどを主材料とする料理が含まれる。

[2] 副菜には、ビタミン、ミネラル、食物繊維等の供給源である野菜、いも、豆類(大豆を除く。)、きのこ、海藻などを主材料とする料理が含まれる。

[3] 主菜には、たんぱく質等の供給源である肉、魚、卵、大豆及び大豆製品などを主材料とする料理が含まれる。

[4] 牛乳・乳製品には、カルシウム等の供給源である牛乳、ヨーグルト、チーズなどが含まれる。

[5] 果物には、ビタミンC,カリウム等の供給源であるりんご、みかんなどの果実及びすいか、いちごなどの果実的な野菜が含まれる。

なお、油脂・調味料については、主食・主菜・副菜の区分における各料理の中で使用されているものであり、別に区分を設けての整理はしないこととした。

 

表現の方法

[1] 料理で表したことについて

今回、作成する「食事バランスガイド」については、一般の人々にとってのわかりやすさ、なじみやすさ、外食等での表示のしやすさ等を考慮し、区分ごとに何をどれだけ食べるかといったことを「料理」で表現することとした。

[2] 表現の期間を1日単位としたことについて

「食事バランスガイド」を活用して実際の食事を組み立てる際には、1食毎の判断・選択も必要であるが、多くの人にとっては1日を単位としてバランスを考えることが実際的であることから、1日にとるおおよその量を料理として表現することとした。
なお、エネルギーの摂取と消費のバランスや各種栄養素等の適正量を摂取するという観点からは、1日のみの食事で判断するのではなく、より長期的・習慣的な摂取を併せて考慮する必要がある。

[3] 対象について

基本形としては、「成人」を対象とする。基本形において想定しているエネルギー量は、おおよそ2200±200kcalである。
さらに、「食事バランスガイド」をより効果的に活用するために、生活習慣病予防の観点から、特に、30~60歳代の男性の肥満者、単身者、子育てを担う世代に焦点を絞ってその活用方法を示した。

各料理区分の量的な基準及び数量の考え方について

【主食(ごはん、パン、麺)】

主として炭水化物の供給源としての位置づけを考慮し、ごはん、パン、麺等の主材料に由来する炭水化物がおおよそ40gであることを、本区分の量的な基準(=「1つ(SV)」)に設定した。

市販のおにぎり1個分がこの「1つ分」に当たる。1日にとる量としては、5~7つ(SV)としたが、これは、ごはん(中盛り)(=約1.5つ分)であれば4杯程度に相当する。

【副菜(野菜、きのこ、いも、海藻料理)】

主として各種ビタミン、ミネラル及び食物繊維の供給源となる野菜等に関して、主材料の重量がおおよそ70gであることを、本区分における「1つ(SV)」に設定した。

野菜サラダや野菜のお浸しなどの小鉢がこの「1つ分」に当たる。1日にとる量としては、5~6つ(SV)とした。

【主菜(肉・魚・卵・大豆料理)】

主としてたんぱく質の供給源としての位置づけを考慮し、肉、魚、卵、大豆等の主材料に由来するたんぱく質がおおよそ6gであることを、本区分の「1つ(SV)」に設定した。

鶏卵1個を用いた料理がこの「1つ分」に当たる。1日にとる量としては、3~5つ(SV)とした。なお、主菜として脂質を多く含む料理を選択する場合は、脂質やエネルギーの過剰摂取を避ける意味から、上記の目安よりも少なめに選択する必要がある。

【牛乳・乳製品】

主としてカルシウムの供給源としての位置づけを考慮し、主材料に由来するカルシウムがおおよそ100mgであることを、本区分の「1つ(SV)」に設定した。

牛乳コップ半分がこの「1つ分」に当たる。1日にとる量としては、2つ(SV)とした。

【果物】

主としてビタミンCやカリウムの供給源としての果物の位置づけを考慮し、主材料の重量がおおよそ100gであることを、本区分における「1つ(SV)」に設定した。

みかん1個がこの「1つ分」に当たる。1日にとる量としては2つ(SV)とした。

4.今後の普及活用に向けて

テレビ放送、雑誌広告などマスメディアを通じて全国に情報発信を行う他、インターネット上のホームページ、政府広報、シンポジウム等の各種イベントを活用していく必要がある。これと同時に、パンフレット、ポスター、食事の自己チェックシート、携帯ストラップ、塗り絵など、子どもや一般の方々に親しみやすいグッズを作成し、人の多く集まる場所で配布することも重要である。

食品産業の分野や地域における食生活改善等の場での具体的な取組である。その際に大切なことは、単発のイベントで終わらない、長期に継続可能な現実的な取組を考えていくことである。個人へのアプローチにおいては、その個人の実際の食生活と「食事バランスガイド」で示している内容(望ましい食事のとり方)との間のギャップが大きな場合には、欲張らずに少しずつそれを埋めていく視点も必要である。

また、食品産業等へのアプローチとしては、食品の製造業者や加工業者、小売店の作業及び費用負担等の負荷が少なく、かつビジネス上のインセンティブにもつながることが望まれる。

 

(1) 都道府県、市町村等における活用法

広く地域住民に対する「食事バランスガイド」に関する情報の提供、健康教室などにおける「食事バランスガイド」の活用、地域ボランティアのための講習会の開催、飲食店や給食施設での「食事バランスガイド」の活用等の取組を支援していくことが必要である。さらに、30~60歳代の男性の肥満者、単身者、子育てを担う世代に焦点を絞った取組として、職域や学校などと連携した取組が期待される。

 

(2)スーパーマーケット、コンビニエンスストア、外食等における活用法

多くの人々が食品を選択・購入する場であるスーパーマーケット、コンビニエンスストア、外食といった店舗は、幅広い年齢の人々が日常的に利用していることから、「食事バランスガイド」の活用について、様々な情報提供や普及活動が行われることが期待される。

サービング数の異なるサイズの料理を選択できるようにする、「食事バランスガイド」と併せて総エネルギー量、脂質及び食塩相当量等に関する栄養成分表示をする等、これまでの取組とを併せた展開を行っていくことが望まれる。このような取組が、食べ過ぎ、食べ残し、ひいてはゴミの増加など環境問題を意識しつつ、栄養バランスのとれた適量(腹八分目)の食生活を促すことにもつながっていくことが期待される。

さらに、食品製造業が食品の包装に「食事バランスガイド」のイラストなどを記載することにより、その商品が「食事バランスガイド」の料理区分のどの部分に該当し、1日量のおおよそどの程度になるのかの情報を示すことは、顧客の商品選択の一助となる。

 

(3)管理栄養士等専門家による活用法

~栄養指導・栄養教育の場面における活用の方向性

管理栄養士等の専門家は、このような「食事バランスガイド」開発のねらいや特徴を十分に理解した上で、栄養指導・栄養教育の対象である個人や集団の健康状態・栄養状態、食知識や食意識、学習への準備状態、食行動・ライフスタイル等を適切に把握・評価し、対象の特性に対応した活用・展開を図らねばならない。

日本栄養士会等の協力を得て、これらの「食事バランスガイド」のねらいや特徴を管理栄養士等に対して十分周知し、専門家を介したよりきめ細かな情報提供と普及啓発を図る必要がある。

このような取組を行っていくためには、管理栄養士・栄養士、調理師等の養成施設において、「食事バランスガイド」を使った栄養教育や食事計画・給食経営管理等の具体的な教育内容が盛り込まれていることが、前提となる。

 

(4)地域における食生活改善ボランティア活動の取組等による活用法

地域においては、食生活改善のための草の根的な活動を長年実施してきている食生活改善推進員の他、食文化の継承を目的として活動している者、食育としての農業体験を推進する農業関係者等、様々な食育の取組が展開されている。

こうした者が「食事バランスガイド」の内容を理解し活用しやすいように、行政レベルでの講習会の開催、関係者の学習の場への情報提供等を積極的に推進する必要がある。

消費者団体においては、「食事バランスガイド」のイラスト及びその活用方法について一般消費者に周知していくため、関連する団体主催の講座、勉強会、団体構成員への伝達、パンフレットの配布等様々な機会を通じ普及に努め、一人でも多くの消費者が関心を持ち、活用できるようにしていく必要がある。

なお、今後、食育基本法に基づく食育推進基本計画が策定されることとなっており、この中で各分野における「食事バランスガイド」の普及活用についての位置付けがなされ、より一層の総合的かつ計画的な推進がなされることとになるであろう。

 

別添
フードガイド(仮称)検討会委員名簿
伊藤 俊一 社団法人日本フードサービス協会会員企業・株式会社ジョナサン広報担当
伊藤 廣幸 社団法人日本フランチャイズチェーン協会CVS担当部長・株式会社ローソンFCサポートステーションシニアリーダー
尾坂 昇治 株式会社シナジー代表取締役
武見 ゆかり 女子栄養大学栄養学部教授
田中 清三 全国飲食業生活衛生同業組合連合会会長
津志田藤二郎 独立行政法人食品総合研究所食品機能部長
中村 丁次 社団法人日本栄養士会会長
永田 浩三 日本放送協会番組制作局情報番組センター部長
(~平成17年5月31日)
遠藤 景子 日本放送協会番組制作局情報番組センター部長
(平成17年6月1日~)
服部 幸應 学校法人服部学園理事長
早渕 仁美 福岡女子大学人間環境学部教授
針谷 順子 高知大学教育学部教授
松谷 満子 財団法人日本食生活協会会長
宮川 誠一 日本スーパーマーケット協会販売促進委員会委員・株式会社ライフコーポレーション首都圏販売促進部首都圏販売演出課長
横田 倫子 消費科学連合会企画委員
吉池 信男 独立行政法人国立健康・栄養研究所研究企画・評価主幹(座長)
検討経緯
第1回 平成16年12月24日
フードガイド(仮称)のねらいについて
第2回 平成17年3月7日
フードガイド(仮称)で示すべき内容について
フードガイド(仮称)の名称について
第3回 平成17年3月31日
具体的な図案について
フードガイド(仮称)の活用について、ターゲットを絞った記述

「フードガイド(仮称)の名称及び構成内容等の考え方」についてのパブリックコメントの実施(平成17年4月13~22日)

第4回 平成17年4月26日
フードガイド(仮称)の普及活用方法について
第5回 平成17年5月31日
フードガイド(仮称)のイラストについて
報告書骨子(案)について
第6回 平成17年6月21日
名称及びイラストの決定、報告書案について
第7回 平成17年7月5日
報告書案について

お問合せ先

消費・安全局消費者行政・食育課

代表:03-3502-8111(内線4576)
ダイヤルイン:03-6744-1971
FAX番号:03-6744-1974