このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

畜産環境Q&A

畜産環境に関するよくある質問と回答をお示しします。
暫定版です。今後、適宜追加・修正していきます。(平成28年4月8日修正)

1.このQ&Aの使い方

このQ&Aは、家畜排せつ物法に関わる一般的な質問とそれに対する基本的な考え方を示したものですが、実際には、地域の特性や個々の案件内容に応じて、回答の内容が異なってくる場合もあり得ます。
このため、特に、家畜排せつ物法に基づく行政指導や行政処分に関することについては、本Q&Aによらず、最寄りの相談窓口(PDF : 122KB)にご相談いただき、確実な情報を入手いただきますようお願いいたします。

2.質問リスト

現在、次のような質問とそれに対する回答が掲載されています。
ご覧になりたい質問をクリックすると、回答のある場所へジャンプします。

(1)基本的事項に関する質問

(2)管理施設の構造に関する質問

(3)管理の方法に関する質問

(4)管理基準に関するその他の質問

(5)施設整備の支援策に関する質問


(1)基本的事項に関する質問


Q1-1  管理基準を定めるねらいはどこにあるのですか。

  1. 近年、畜産経営の大規模化の進行に伴い、家畜排せつ物の発生量が増大し、その利用が困難になりつつあり、野積み・素掘りをはじめとする家畜排せつ物の不適切な管理が増えています。このことが主な原因となって、家畜排せつ物の管理のあり方をめぐり、畜産業を営む者と地域住民との間で問題が生じる事例も見受けられるようになっています。

    また、野積み・素掘りは 、家畜排せつ物の河川への流出や地下水への浸透により、クリプトスポリジウム(原虫)や硝酸性窒素による水質汚染を招くおそれもあるため、早急にその解消を図る必要があります。

  2. 環境問題に対する国民の意識が高まる中で、地域において畜産を安定的に営んでいくためには、家畜排せつ物の管理の適正化を図ることが重要な課題となっています。こうしたことを踏まえ、家畜排せつ物の管理について、畜産業を営む者が遵守すべき管理基準が定められたものです。

Q1-2  管理基準は具体的にどのような内容になっているのですか。

  1. 管理基準は、野積み・素掘りをはじめとする家畜排せつ物の不適切な管理を改善するために、畜産業を営む者が遵守すべき必要最小限の基準を定めたものです。
    管理基準の具体的な内容は、大きく分けて施設面と管理面の基準からできています。


    【施設面の基準】

    家畜排せつ物を処理したり保管したりする施設(以下「管理施設」といいます。)の構造設備に関する基準です。

    [1]固形状の家畜排せつ物の管理施設については、床を不浸透性材料(コンクリート等汚水が浸透しないものをいいます。以下同じ。)で築造し、適当な覆い及び側壁を設けること。
    →ふんやふんと尿を敷料等で吸着させ固形状になったものを管理するための施設としては、たい肥舎や乾燥施設が一般的ですが、この基準は、このような施設から汚水が飛散したり、流出したりすることがないように、床をコンクリート張りとしたり、防水シートを敷いたりする必要があることを示したものです。なお、必ずしも屋根をつけることを義務付けるものではなく、例えば、防水シートを下に敷き、上から防水シートで覆うなどの簡易な方法でも結構です。

    [2]液状の家畜排せつ物の管理施設については、不浸透性材料で築造した貯留槽とすること。
    →尿やスラリーといった液状の家畜排せつ物を管理するための施設としては尿溜、スラリータンク等が一般的ですが、この基準は、このような施設について、[1]と同様の趣旨から、コンクリートや防水シート、鋼板等で作り、汚水が地下浸透しないようにする必要があることを示したものです。


    【管理面の基準】

    家畜排せつ物の管理の方法に関する基準です。

    [1]家畜排せつ物は管理施設において管理すること。
    →堆肥舎等が整備されても、これを利用しないで野積み等をしては意味がないために、堆肥舎等できちんと管理していただくことを定めたものです。

    [2]管理施設の定期的な点検を行うこと。

    [3]管理施設の床、覆い、側壁又は槽に破損があるときは、遅滞なく修繕を行うこと。

    [4]送風装置等を設置している場合は、当該装置の維持管理を適切に行うこと。
    →[2]~[4]は、管理施設について、ひび割れがないかどうか,覆いが破れていないかどうか等について点検していただき、ひび割れ等が確認された場合に速やかに修繕していただくこと、また、送風装置(ブロアー)、攪拌装置等の装置について、注油、掃除等の維持管理を適切に行っていただき、排せつ物の処理に支障がないようにすることを定めたものです。

    [5]家畜排せつ物の年間の発生量、処理の方法及び処理の方法別の数量について記録すること。
    →飼養規模の拡大等が行われた場合でも、施設の容量不足等で不適正な管理になることがないように、家畜排せつ物の発生量等について確認していただくことを定めたものです。

  2. なお、家畜排せつ物法に関する様々なご質問、ご相談等にお答えできるよう、国(畜産局、地方農政局)、各都道府県の畜産担当課や指導機関に「畜産環境相談コーナー」を設置しておりますのでご利用下さい。

Q1-3  管理基準はすべての畜産農家が遵守しなければならないのですか。

  1. 管理基準に関しては、飼養規模が小規模な畜産農家については、排せつ物の発生量が少ないこと、自己所有の農地・草地に還元することで、野積み・素掘り等が解消される可能性が高いことを踏まえ、適用されないこととされました。その具体的な頭羽数は、牛及び馬にあっては10頭未満、豚にあっては100頭未満、鶏にあっては2000羽未満となっています。

  2. なお、小規模な畜産農家であっても、家畜排せつ物を適正に管理し環境問題の発生を防止することの重要性は同じですので、野積みや素掘りは行わないよう適切に管理して下さい。

Q1-4  管理基準の適用に関して、飼養頭数はいつを基準にして決めるのですか。また、カウントの対象には成畜のほか子畜も含むのですか。

  1. 飼養頭数については、ある特定の時期を基準として決めるということではありません。例えば、牛の場合でいうと、10頭以上を超えている時点で不適切な管理が行われている場合には、管理基準に合うように改善していただく必要があります。

  2. また、子畜については排せつ物の量が少ないこと等から、頭数のカウントの対象から除外することとしています。具体的には、牛及び馬では6ヶ月齢未満、豚では3ヶ月齢未満、鶏では2日齢未満のものが除かれます。
    なお、肉用牛繁殖経営については、出荷されることが確実と見込まれる子牛については、10ヶ月齢未満のものを子畜として扱ってよいこととされています。また、乳用種育成経営については、大規模化が進展しており、家畜排せつ物の適正な管理を確保する必要があることから、飼養されている育成牛(6ヶ月未満のものを含みます)の実頭数に3分の1を乗じて得た数をもってその経営の飼養頭数として扱うこととされておりますので、この換算した頭数が10頭以上である経営については、管理基準が適用されることになります。

Q1-5  家畜排せつ物には、生のふん尿のほかに、堆肥なども含まれるのですか。

  1. 「家畜排せつ物」は、乾燥、堆肥化、水との混合などによって、含まれる成分やその濃度が変化することがあります。このため、どのような状態の物までを、「家畜排せつ物」として、管理基準の対象と考えるかが問題になります。

  2. まず、ふん尿が堆肥化や炭化・焼却などによって変化する場合については、変化の前後を容易に判別でき、かつ、生ふん尿に比べて環境負荷物質の濃度が大きく低減していると考えられる炭化物、焼却灰、汚水浄化処理後の水については、「家畜排せつ物」に該当しないとみるのが適当と考えられます。
    一方、これ以外のふん尿、乾燥ふん、ふん尿から生産された堆肥、液肥、スラリー、ふん処理の際の排汁、ふん尿の発酵生成物(消化液)などについては、環境負荷物質を高濃度で含んでいることから、「家畜排せつ物」として取り扱うことが適当と考えられます。

  3. また、ふん尿に他の堆肥や水などを混同する場合については、固形状のであれば、主要な原料として「家畜排せつ物」を含むのであれば、混合物自体を「家畜排せつ物」として取り扱うことが適当と考えられます。

  4. なお、実際には、判断が難しい場合もありますので、そのような場合には、都道府県の畜産環境相談コーナーにご相談下さい。


(2)管理施設の構造に関する質問


Q2-1  不浸透性材料とはどのようなものですか。

  1. 管理基準では、「不浸透性材料(コンクリート等汚水が浸透しないものをいう。)」と規定されていますので、コンクリートや鋼板、遮水シートなどのように、材質としてほぼ完全な不浸透性を有する材料であれば、一般に問題なく「不浸透性材料」に該当すると考えられます。

  2. なお、コンクリートの場合であっても、意図的に透水性を高めた透水性コンクリートのように、趣旨に反した材料は不浸透性材料とはみなされません。

  3. 鋼板、遮水シート等の場合は、材質としては不浸透性であっても、一般に継ぎ目や接着部などが存在することから、これらを含めた全体として、不浸透性が求められることにも注意が必要でしょう。

  4. 不浸透性材料については、作業条件、地域の気象条件等に照らして、常識的に必要な耐久性、強度等を有していることが不可欠と考えられますので、地域の気象条件や地質条件等を考慮し、不浸透性材料としての適性を判定することが重要と考えられます。

Q2-2  管理基準に適したものとするためには、屋根をかけなければなりませんか。

堆肥盤については、屋根かけをして堆肥舎とすることが望ましいと考えられますが、園芸用パイプハウスのようにパイプを利用してビニールで覆いをしたり、防水シートで覆いをするといった対応をとっていただければ、屋根がなくても管理基準上は問題ないと考えています。

Q2-3  適当な覆い及び側壁とはどのようなものですか。

  1. 管理基準では、固形状の家畜排せつ物の管理施設について、「適当な覆い及び側壁を設けること」と規定されていますので、「覆い」と「側壁」の両方を設置することが求められています。

  2. 「覆い」については、“管理施設内への雨水の浸入の防止を主な目的として、家畜排せつ物を覆う形で、管理施設の上部に設置されるもの”と考えることができます。

    一方、「側壁」については、“家畜排せつ物の流出・飛散の防止を主な目的として、家畜排せつ物の側方に設けられる側面の壁又は仕切り”と考えることができます。

  3. このように、「覆い」と「側壁」は、それぞれの目的に応じた材質や構造にすることが適当と考えられます。
    「覆い」と「側壁」に共通することとしては、風雨や積雪等に耐える強度や耐久性と、雨水の侵入を防いだり汚水の流出を防ぐための“水の通しにくさ”が要件となると考えられます。
    ただし、「床」の場合とは異なり、必ずしも「不浸透性材料」であることまでは求められていません。

  4. 一般的には、「覆い」については、屋根材のほか、フィルムやシートなどを用いることが想定され、「側壁」については、コンクリートブロック以外に「覆い」と同様のフィルムやシート等を用いることも可能と考えられます。

  5. ただし、地域の気象条件や地理的条件などによっては、適切な材質や構造が限定されることも想定されますので、そのような場合には、都道府県の畜産環境相談コーナーにご相談下さい。


(3)管理の方法に関する質問


Q3-1  生ふんや堆肥を草地や農地に放置している場合は、管理基準上問題がありますか。

生ふんや堆肥を散布する前に草地や農地に放置している場合は、管理基準上問題になりますので、できる限り速やかに散布するか、堆肥舎に搬入するか、あるいは防水シートで上下を覆う等の対応をとっていただく必要があります。

Q3-2  冬が長く雪の多い地域なため冬の期間中農地にふん尿を堆積し、春先に散布していますが、管理基準上問題がありますか。

秋に堆積したふん尿を散布することなく、そのまま春まで放置しているとすれば管理基準上は問題がありますので、例えば、防水シートで上下を覆うなど適切に管理していただく必要があります。

Q3-3  パドック(運動場)で排出されたふん尿は、管理基準上どのような扱いになりますか。

  1. パドックの場合、牧草等作付けのある放牧地とは異なり、一般的に植生に乏しく、排せつ物に含まれる栄養成分の牧草・作物等による吸収・分解が期待できません。このため、パドックにおいて、意図的か否かを問わず、固形状の家畜排せつ物が堆積された状態にあったり、液状の家畜排せつ物が凹地に溜まっているといった場合には、家畜排せつ物を利用しているのではなく、管理(処理又は保管)しているとみなされ、管理基準上問題となることが考えられます。

  2. 特に、パドックで発生する家畜排せつ物は泥濘化しやすいことに加え、泥濘化した家畜排せつ物は周囲へ流出するおそれが大きいことから、ローダー等で適宜集めて管理施設に搬入するか、農地等において利用して頂くことが必要と考えられます。

Q3-4  放牧地で排出されたふん尿は、管理基準上どのような扱いになりますか。

  1. 放牧地の場合、放牧された家畜から排せつされたものは、家畜排せつ物を利用のために草地へ散布した状態と同様であることから、家畜排せつ物の管理(処理又は保管)ではなく、利用の状態にあると考えることができます。

  2. ただし、異常に高い密度で放牧を行うなど意図的に固形状の家畜排せつ物を集積させたり、意図的に液状の家畜排せつ物を凹地に集めるなどといった場合には、放牧地において家畜排せつ物を利用しているのではなく、管理(処理又は保管)しているものとみなされ、管理基準上問題となることが考えられます。


(4)管理基準に関するその他の質問


Q4-1  家畜排せつ物の発生量等の記録はどのようにとればいいのですか。

  1. 家畜排せつ物の発生量等は飼料の給与量等により異なるため、正確に把握することは難しい面があると考えられます。

  2. このため、簡便な方法で記録していただけるように様式が定められています。(様式を定めた文書と畜種別の様式(PDF:23KB)

    具体的な方法は次のとおりです。
    発生量については、様式に1頭羽当たりの標準的な年間発生量が示されていますので、これに頭羽数を掛け合わせて求めて下さい。また、処理の方法については、自己の経営内で利用、堆肥センター等経営外で利用、浄化処理施設で処理等が示されていますので、発生量を10割とした場合の処理方法別の大まかな割合を、処理の方法別の数量として記入して下さい。

Q4-2  勧告や命令といった措置は、法律の施行と同時に行われるのですか。

  1. 家畜排せつ物法は平成11年11月1日から施行され、管理基準についても、同日から施行されましたが、施設設備には一定の期間が必要となること等を考慮して、管理基準のうち、構造設備に関する基準については5年間の猶予期間を設けたところです。

  2. なお、猶予期間経過後も、いきなり罰則ではなく、まず指導・助言を行い、更に必要があれば勧告、命令という十分な手順をとることとしています。


(5)施設整備の支援策に関する質問


Q5-1  家畜排せつ物処理施設の整備に活用できる国の支援策にはどのようなものがありますか。

  1. 家畜排せつ物処理施設の整備を推進するため、国としても、予算面、融資面(制度資金面)、税制面(税制上の特例制度)における様々な支援策を設けています。

 

平成28年度畜産環境対策予算ツリー図

Q5-2  株式会社日本政策金融公庫資金の融資の対象となる処理高度化施設にはどのような施設があるのですか。

  1. 尿貯留槽の管理施設、堆肥舎、乾燥発酵施設等の堆肥化施設、また、固液分離器、脱臭装置、マニュアスプレッダー等の機具類に至るまで、家畜排せつ物の管理、堆肥化、施用及び販売に必要となる全ての施設、機具が対象となります。

  2. また、これらの施設と一体的に整備する畜舎等の生産施設も融資の対象となります。

Q5-3  金融上の支援措置を受けるための具体的な手続きについて教えて下さい。

  1. 株式会社日本政策金融公庫の融資を受けるためには、処理高度化施設整備計画を作成していただき、都道府県知事の認定を受ける必要があります。
    そのための手続は次のとおりです。

    (1)処理高度化施設計画認定申請書(以下「計画認定申請書」)を作成します。計画認定申請書には、1.処理高度化施設の整備の目標、2.処理高度化施設の整備の内容及び実施時期、3.処理高度化施設の整備の実施に伴い必要となる資金の額及びその調達方法等については記載していただきます。

    (2)計画認定申請書を都道府県に提出するとともに、写しを融資機関窓口に提出して下さい。都道府県の認定手続と並行して借入れに必要な審査を行います。

    (3)都道府県は、この計画が都道府県計画に照らし適切なものであり、かつ、その達成される見込みが確実である場合に、適当である旨の認定をして、申請者ご本人に連絡します。

  2. 都道府県知事の認定を受けた後は、資金の借入申込書を融資機関窓口に提出します。融資機関において貸付決定が行われた後、担保認定等の必要な手続を経て、資金が融通されます。
    なお、株式会社日本政策金融公庫の融資が円滑に行われるようにするため、お近くのJA、農業改良普及センター、日本政策金融公庫等が必要に応じて計画認定申請書の作成等のご支援を行うこととなっていますので、予めご相談下さい。

Q5-4 税制の優遇措置を受けるための具体的な手続きについて教えて下さい。

  1. 税制上の優遇措置としては、汚水処理施設を導入した際の「固定資産税(地方税)の課税標準の軽減」が用意されています。

  2. この優遇措置を受けるための具体的な手続きは、以下のようなものです。

    【固定資産税(地方税)】

    取得した償却資産について、毎年1月2日から31日までの間に、納税地の市町村に申告します。申告の内容は、償却資産の所在、種類、取得時期、取得価額などです。
    詳しくは、地方税に関する窓口・相談機関(下記)にお問い合わせ下さい。

    【税制に関する窓口・相談機関】

    都道府県や市町村では、それぞれ税務部(課)を設け、地方税の相談に応じています。