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第7回農林水産省政策評価会 議事録 開催日時:平成16年10月5日(火曜日) 午後2時00分~4時54分
開催場所:農林水産省第2特別会議室
出席者 :(委員)今村委員(座長)、秋岡委員、大木委員、大山委員、田中委員、森本委員
(当省)大臣官房政策評価審議官、企画評価課長、総合食料局食料企画課長、消費・安全局消費者情報官補佐、生産局生産政策室長、経営局経営政策課長、農村振興局農村政策課長ほか
1.開会
(今村座長)
それでは、時間が参りましたので、ただいまから第7回農林水産省政策評価会を開催いたします。
本日は、足元のお悪い中をご出席いただきましてありがとうございます。なお、加藤委員は、今晩アメリカに出られるそうで、本来出席するつもりだったのですが、この雨ですから、ちょっと早目に行くということでご欠席との連絡をいただきました。
本日は、食料・農業・農村基本計画の見直しに関連しまして、食料自給率目標の状況の検証、耕地利用率目標の状況の検証、望ましい農業構造の確立の検証に関する総合評価結果案についてご意見をいただきたいと存じます。
これは当然のことなのですが、食料自給率の生産・供給の面、あるいは耕地利用率の問題、それから望ましい農業構造の確立というのは、ある意味では共通項でございますし、メダルの裏腹の問題でございますし、自給率は片方で需要や消費という問題がありますが、いずれにしましても、みんなつながっている問題でございますので、ぜひとも皆さんにご意見だけではなくて、いろいろな建設的なご提言までいただければと存じております。
なお、本日の会議は4時半ごろまでを一応予定しております。
2.議事
(今村座長)
それでは、議事に移りまして、まず企画評価課より取り進め方等について簡単にご説明いただいた後、それぞれ担当の政策評価担当課長より評価結果について順次説明いただきたいと思います。
それでは、内畠調査官、お願いいたします。
(内畠企画評価課調査官)
本日は、自給率目標の状況の検証、耕地利用率目標の状況の検証、望ましい農業構造の確立の検証に係る総合評価を行うことになっております。総合評価といいますのは、ご存じかと思いますけれども、その時々の課題に対応して、さまざまな角度から掘り下げて、政策のまとまりを対象として選択的かつ重点的に行う評価の方式であります。
その中で、従来の政策の見直しを行って、新たな政策展開を図ろうとするものも対象となるわけでありまして、まさに基本計画の見直しに関連して選定したものがこの3課題ということであります。企画部会の議論がこれから本格化していく中で、これら3課題の検証を行って見直しの議論に反映させるという観点で、この時期に報告することとしたということでございます。
なお、これら3課題については、相互に関連もありますので、まとめて説明した後で意見交換に入らせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
(今村座長)
それでは、委員の皆さん、今日配られた資料は事前にごらんになっていると思いますので、ごく簡単に担当課長より御報告いただきたいと思います。
初めに、総合食料局の林食料企画課長からお願いいたします。
(林食料企画課長)
食料企画課長の林でございます。よろしくお願いいたします。
お手元の資料、右肩に資料1とございます総合評価書、食料自給率目標の状況の検証につきましてご報告をさせていただきたいと存じます。
まず、政策の目的・目標でございますけれども、7ページをお開きいただきたいと思います。「食料・農業・農村基本法」の自給率目標の関係の抜粋を載せておりますが、この第二条に、国民に対する食料の安定的な供給につきましては、世界の食料需給なり貿易が不安定な要素を有しているということで、国内農業生産の増大を図ることを基本とするというふうに明記をしているわけでございます。こういった考え方に基づきまして、第十五条を見ていただくとわかるわけですが、基本計画に食料自給率の目標を定めるということになっております。また、その食料自給率の目標の定め方でございますが、同じ十五条の第3項に、食料自給率の目標は、その向上を図ることを旨とするということで、国内の農業生産及び食料消費に関する指針といたしまして、農業者その他の関係者-その他の関係者の中には当然消費者の方ですとか、あるいは農業者と消費者をつなぐ食品製造業者、外食業者、そういったもろもろの方がいるわけですが、そういった方が取り組むべき課題を明らかにして定めるということになってございます。
下に現行の食料自給率目標の定め方というのがありますが、平成12年3月に現行の食料自給率目標を定めているわけですが、基本的には、食料として国民に供給される熱量の5割以上を国内生産で賄うということを基本にしてございます。ただし、この現行の食料自給率目標は平成22年度までの10年間の計画でございますので、その当時の状況はカロリーベースの食料自給率が41%でしたので、一足飛びに5割以上ということは実現可能性の面で問題がある、あるいは関係者の取り組みとか、施策の推進への影響を考慮しますと、一番下のポツに書いてありますように、もろもろの課題が解決された場合に、実現可能な水準ということで、後ほどご報告いたしますけれども、45%という数字になってございます。
恐縮でございますが、また1ページにお戻りいただきたいと思います。6の「政策の目的・目標」ということで、今お話しいたしました食料自給率目標につきましては、国民参加型の農業生産及び食料消費の両面にわたる取り組みの指針ということで課題を設定いたしまして、その課題が解決された場合の実現可能な水準として22年度における食料自給率目標を設定しております。
具体的な課題につきましては7の「政策の具体的内容」に極めて概括的に書いてありますけれども、消費面におきましては脂質を多く含む品目の消費減、これは当時からPFC、いわゆるたん白質ですとか、脂質ですとか、炭水化物、そのバランスが崩れてきたという問題意識から、脂質を多く含む品目は消費減にしていきましょうと。他方で米を中心とする穀類の消費の維持増大を図っていきますといった食生活の見直しを掲げておったり、あるいは食品の廃棄や食べ残しの減少、こういった課題を食生活の見直し、食料消費面の課題として設定しているわけでございます。
生産面につきましては、麦、大豆、飼料作物の本格的な生産の定着、拡大ということを政策課題に掲げてございまして、個別の品目シートにつきまして例えば米ですとか、麦ですとか、大豆、それぞれごとに規模拡大ですとか、団地化による生産コストの低減、低未利用地の活用、品質の向上等、そういった課題を設定させていただいております。
その結果といたしまして、1枚めくっていただきまして、2ページの8に「目標達成時期及び達成目標」ということがございますけれども、一番上の表は、平成9年度カロリーベースの自給率が41%でした。それが22年度(すう勢)ということで、自然体では38%まで下がってしまうものを、消費、生産それぞれの課題を設定いたしまして、それらの課題が解決した場合には、22年度の目標ということで45%という目標を設定しているわけでございます。
9の「評価の観点」でございますが、個別の品目ごとにそれぞれの課題を設定しておりますので、それぞれの課題がどうなっているのかということを検証しまして、最終的に自給率がどうなったのかということをお示ししております。それぞれの個別の品目の課題につきましては、個別シートをお開きいただきたいのですが、右肩のところに米とか、麦とか、かんしょとか、ばれいしょとか、品目ごとにインデックスの耳をつけおりますが、米で若干ご説明をさせていただきます。
米の評価シートということで、品目名「米」ということで、望ましい食料消費なり、生産努力目標の目標値をここで定めております。例えば米ですと、一人一年当たりの純食料を、平成9年度の66.7キロを平成22年度には、何とか消費減に歯どめをかけるということで、66キロといった設定にしております。
それから、生産努力目標の実現に向けて取り組むべき課題としては、望ましい食料消費の実現にあわせて需要に即した計画的な生産、これはかねてから政策評価会でご議論いただいている点でございます。あるいは米、麦、大豆、飼料作物を組み合わせた収益性の高い安定した水田農業経営に取り組む。
こういった課題それぞれに対して、これまでの主な取り組みということで、望ましい食料消費については、例えば米飯学校給食への助成ですとか、あるいは「食生活指針」の普及ですとか、そういった施策を展開しているわけでございます。
1枚めくっていただきますと、生産努力目標ということで、これは先ほど申しましたように、それぞれの課題を基本計画の中で設定しておりますので、それぞれの課題に対しまして具体的な施策をどう打ってきたのかということを書いてございます。
最後に施策の検証ということで、2ページの下の方にそれぞれの課題について、どういったことをやってきているのかということを書いてございますが、詳細な説明は、後ほどまた適宜加えさせていただきたいと思います。
3ページにお戻りいただきたいと思います。では、具体的にこういったもろもろのことをして、一体どうなっているのかということを、10というところで「政策評価の把握の手法及びその結果」ということで書いてございます。結果的には、最初の白マルのところにありますように、平成9年度から15年度にかけまして、食料消費の方は減少しているのですけれども、これは高齢化とか、そういったことが影響しているかと思いますけれども、食料消費は減少しているものも、国内生産は増加ではなく減少したということでございます。実は、平成10年度から15年度まで6年連続してカロリー自給率は40%ということですので、22年度目標の45%には到達していないということがあらわれているわけでございます。
これを品目別に細かく見ますと、10の2つ目の白マルのところですが、ここでは、まず消費面についてどうなっているのかということをご紹介しております。特筆すべきものとしては、下の国内消費仕向け量の表の中を見ていただいてもわかるかと思いますけれども、全体的には何とか米の消費減に歯どめをかけたいということで、平成9年度の1,011万トンから平成22年度には1,008万トンということに設定してございますけれども、平成15年度は939万トン、要因としては、食生活の欧米化等になかなか歯どめがかけられなかったということで、消費減という格好になっております。
肉類につきましては、1枚めくっていただきますと、肉類の消費の見通しといいますか、望ましい食料消費の姿といたしましては、一番左端が9年度の水準ですが、547万トンを534万トンに、微減ということで設定しているわけですが、やはり食生活の欧米化等ということで、食生活の見直しにつきまして十分な施策効果が上がっていないということで、現状におきましては561万トンということで、消費が増えているということでございます。
油脂類につきましても、286万トンを281万トンに下げるという目標を設定しているわけでございますが、こういう細かなことにつきましては、品目別シートに記述させていただいておりますけれども、家庭内での油脂の消費は減ってきておるのですが、外食ですとか、中食ですとか、そういったいわゆる業務用と申しますか、そちらの方での油脂類の消費がなかなか減っていないということがございまして、望ましい食料消費で設定している方向とは逆に消費が伸びてしまっている、そういったことをここでは書かせていただいております。
続きまして、生産面はどうなっているのかということですけれども、米につきましては、基本的には消費が減少するということを見込んでおりましたので、若干減少するだろうということは目標でも見込んでおりますが、やはり私どもが想定した以上に消費が減少しておりますので、米の生産量もそれに応じて小さくなっているということでございます。また、それ以外にも、生産コストの高い層が生産の大宗を占めているということで、低コスト化が進んでいないということを書いてございます。
また、野菜につきましては、1,431万トンを1,498万トンに拡大をしていくんだということになっておりますが、15年度につきましては1,286万トンということで、9年度の基準よりも下がっております。これにつきましては、加工、業務用需要への対応の遅れということでございまして、これも品目別シートのところでは細かく書かせていただきましたけれども、例えば産地協議会を設けまして、食品製造業者ですとか、外食業者ですとか、産地の農協ですとか、経済連ですとか、そういった方々が連携をとりながら業務用需要に応えていこうということでやっておったわけですけれども、現状におきましては、野菜の場合、従来生鮮という格好での消費が主流でございましたので、どちらかというと、まだ卸売市場を通じて生鮮需要に応えていくという生産流通のあり方が大宗を占めておりまして、業務用に対して十分に応えていないということを評価としては記述をさせていただいております。
それから、小麦ですとか、大豆ですとか、砂糖といったものにつきましては、この表を見ていただきますとおわかりいただけるかと思いますけれども、小麦は22年度80万トンの目標ということでございましたけれども、15年度には既に86万トンの生産をしておりますので、そういう意味では目標を達成しております。大豆につきましては22年度に25万トンでございますが、15年度はたまたま若干不作ということで23万トンとなっておりますが、14年度は25万トンの水準を超えておりますので、そういった意味では、小麦ですとか、大豆ですとか、砂糖といったものにつきましては既に目標水準を超過する形での生産に達しております。
ただ、この場合も、小麦とか大豆に代表されますように、どちらかというと、転作対応ということで、従前米を作っていた場所に、米の消費の減少ということがある中で、米の生産から麦や大豆にシフトしていくという動きがある中で、生産量は確保しておるわけですけれども、どちらかというと従来から取り組みやすいもの、例えば麦の場合ですと、製めん適性ということで、日本用のうどんですとか、そうめんですとか、そういったものの原料になる麦が多いわけです。そういった製めん適性の高い新しい品種もできているわけですけれども、そういった新しい品種よりも従前から慣れている農林61号ですとか、そういったものへの対応をしているということで、品質向上の遅れがあるとか、需要と供給のミスマッチがあるとか、そういった問題を個別シートの方では書かせていただいてございます。
また、大豆につきましても生産量は非常に増えてきているわけですけれども、やはり転作対応ということがありましたので、まず量を確保するというような側面が若干強くて、品質の面では3等以下ということでやや低質の大豆が多いということで、課題がまだまだ山積をしているという状況になっているわけでございます。
最終的には、5ページの白マルにございますように、小麦ですとか、大豆ですとか、砂糖といったものの生産量の増加は自給率の向上要因となっておりますけれども、逆に、ほぼ国内で自給ができております米の消費が減ってきていることとか、あるいは畜産物ですとか、野菜ですとか、そういったものの生産量が減ってきているということで、お互いに相殺し合っているということが現状40%になっている要因ではないかというふうに評価をさせていただいているわけでございます。
評価の結果でございますが、2つ目の白マルのところにありますように、22年度45%という目標を達成するためには、国だけでは当然力が及ばないわけでございますので、消費者の方、生産者の方、事業者の方、関係者一体となった取り組みと意識改革が不可欠だと思っております。特に消費面につきましては、望ましい食生活の面においては脂質を低下させるという目標を設定しているわけでございますが、現行では逆に増加をしてきているということでございます。
食生活の問題につきましては、本来自由な選択の問題でございますので、誘導が難しいわけですけれども、従来から、どちらかというと米ですとか、畜産物ですとか、そういった単品ごとの消費拡大の施策が、食生活全体のあり方を踏まえた国民の行動変化には結びついていないというふうに評価をしているわけでございます。したがいまして、今後はこういった食生活の見直しにつきまして、家庭はもとより、あるいは行政機関はもとよりのことながら、食品製造業者、外食業者、そういった川下に位置する人たちの協力を得ながら、国民運動として施策を展開していく必要があると思っているわけでございます。
生産面につきましては、6ページをお開きいただきたいと思いますが、小麦、大豆、砂糖類を除いて総じて減少傾向にあるわけでございます。特に高齢化が進んでいるということもありますし、技術の開発・普及による単収とか品質の向上、生産性の向上、そういった問題がまだまだ十分解決されていないということがございます。特に水田農業を中心に担い手が十分に確保されていないとか、あるいは担い手への農地の利用集積が進んでいない、大規模農家のシェアが伸びていない、需要と生産のミスマッチ、こういった問題がいろいろあるわけでございますので、今後とも担い手の育成ですとか、あるいはそういった担い手に農地を集積する方策を加速化するとか、あるいは新技術の開発・普及、こういったことに取り組んでいく必要があろうかと思っております。
また、一番最後のところに書いてありますが、国産品の需要を拡大して、生産を持続的に拡大するためには、やはり国内生産が消費者や実需者のニーズに、品質確保の面でフィットしていないとなかなか難しい点があるわけでございますので、そういった意味での食品産業との連携を強化していく必要があるというふうに総合評価としては書かせていただいているわけでございます。
私からの説明は以上でございます。
(今村座長)
ありがとうございました。
それでは、続きまして、生産局の山本生産政策室長よりお願いいたします。
(山本生産政策室長)
私の方からは、資料2ということで、耕地利用率目標の状況の検証についてご説明申し上げたいと思います。
まず、そもそも耕地利用率とはどういうものかということについてご説明した方がよろしいかと思います。先ほど食料自給率の説明があったわけですが、食料自給率が望ましい食料消費の姿を実現して、国内農業生産が諸課題を解決して平成22年までに実現することが可能な水準として掲げました生産努力目標に即した生産がなされると、カロリーベースで食料自給率が45%に向上するという目標を現行の基本計画では作成しているわけでございます。
食料自給率は、食料消費の面と国内生産の面、2つの面からとらえられるわけですが、その生産面につきまして、6の[ 3 ]にありますけれども、国内産の農産物について、品目ごとに品質の向上ですとか、生産性の向上、そういった面で農業者、その他の関係者が取り組むべき課題を明確にして、それらの課題が解決した場合に、実現可能な国内生産の水準が生産努力目標として基本計画に位置づけられています。この生産努力目標に係る品目ごとの単収を前提として、作付面積ですとか、耕地利用率、農地面積、こういうものもあわせて基本計画に掲げているわけでございます。ある意味で、生産努力目標達成のためには、どのような生産状況とすべきか、ということを作付面積ですとか、農地面積、あるいは耕地利用率、こういったもので示そうという形になっているわけでございます。
耕地利用率につきましては、参考の1ページ、2ページにありますけれども、耕地面積分の延べ作付面積ということで、生産努力目標の達成に必要な作付面積、農地面積が確保されているかどうか、そういった指標として位置づけられているというふうに理解しております。
1ページ目に戻っていただきまして、政策の具体的内容ということですが、耕地利用率そのものは作付面積、農地面積という要素からなるわけでございますけれども、耕地利用率の向上を直接的に目標とするような施策というのはないわけでございまして、耕地利用率を構成します作付面積、農地面積、2つの要素を生産面と農地の利用、農地の確保それぞれの面でとらえまして、それぞれの施策を講ずるというふうになっております。
7の政策の具体的内容ということでは、生産面でいいますと、品質の向上ですとか、コストの低減、そういった課題を解決いたしまして、消費者とか実需者から選好されて、需要に応じた農産物の生産体制を整備するためには、生産あるいは流通面の効率化、そのための条件整備、生産サイドと消費サイドの連携強化という対策を講じているところでございます。
農地の利用の促進という面につきましては、農業生産の条件整備ですとか、その他の必要な施策を講じているところでございます。
次に、資料の2ページ、目標達成時期及び達成目標ということですが、基本計画におきましては、平成22年におきます延べ作付面積の目標は495万ha、耕地利用率の目標を105%、農地面積の目標を470万ha、そういうふうに設定させていただいているわけでございます。延べ作付面積につきましては、生産努力目標に位置付けられた主要品目の作付面積、生産努力目標には示されていませんが、ほかに雑穀等の食用作物ですとか、花き等の非食用作物の作付面積も含んだ数字になっているということでございます。
政策効果の把握の手法、その結果ということで2ページの10でございますが、今回作付面積、耕地利用率あるいは農地面積につきまして、変動なりその要因について分析をさせていただいておりますが、10の[ 1 ]から[ 9 ]までは各品目ごとの作付面積の変動理由について、[ 10 ]は農地面積、[ 11 ]がその結果として出てきます耕地利用率の状況でございますが、詳細につきましては、参考の2ページから作付面積の動向について分析をしております。参考の2ページ、3ページで総論的なことを検証しておりまして、参考の4ページに品目ごとの動向につきまして、水稲から始まりまして各主要品目の動向について分析をしております。
そういう各作付ごとの分析につきましてはごらんいただていると思いますので、詳細な説明は省略させていただきますが、全体的に見まして、耕地利用率トータルで見ますと、基準年の95%に対しまして、平成15年は94ポイントと、1ポイントの低下という状況になっております。これは農地面積が約20万ha減少している一方で、延べ作付面積は27万ha減少ということで、農地面積の減少以上に作付面積が減少していることから、耕地利用率が1ポイントの低下という状況になっているということでございます。
そういった状況でございますが、資料の3ページの13、政策評価の結果でございますが、生産努力目標の構成要素としての作付面積、耕地利用率、農地面積は、それぞれの生産状況、効率性、生産基盤確保の指標として重要ではないかと考えているのですが、国内需要に即しました食料の安定供給が実現されているかどうかは、必ずしもこれでは評価できないのではないかというふうに考えております。
先ほどの飼料自給率の説明とも関連してくるわけでございますが、小麦ですとか、大豆、そういったものにつきましては一応、生産努力目標に位置付けた主要品目の作付面積を上回った作付がされているわけでございますが、実際に実需者のニーズですとか、そういったものへの対応が不十分であったり、あるいは生産性の向上という面でも必ずしも十分対応がされていないという面もございますので、必ずしも作付面積を上回ったということをもって食料自給率とか生産面での評価ができるというものではないのではないか。ここに書いてありますように、品目ごとの作付面積につきましては、消費者や実需者のニーズにより一層応えていくための政策の推進というのが必要でありまして、単に作付面積の目標を達成するというだけではなく、生産コストの低下や品質の向上、そういうことによって国産の農産物が選好されて、消費者にも受け入れられて需要が拡大される、そういったことが大切ではないかと考えております。
また、農地面積の方につきましては、詳細な分析につきましては参考の7以降に耕地面積の動向ということで、平成9年と平成15年を比べますと約20万haの減少が生じている、その他分析をしているところでございます。全体的に見まして、農地面積の減少のペースは鈍化しつつあるのではないかというふうに考えておりますが、地域によりましては水田の減少に歯どめがかかっておりませんし、また、不作付地が増加する傾向、あるいは耕作放棄地が基本計画で見込んだものより増加している傾向にあるというような状況もございますので、そういった点についての対応も必要ではないか。
また、農地の確保という面につきましては、水田、畑の利用につきまして、需要に応じた生産が図られるような効率的な土地利用、そのための計画及びその実行というのが重要になっているのではないかというふうに考えております。
以上、耕地利用率につきましては、生産面、農地の利用あるいは確保という面での評価をさせていただいているところでございます。
以上でございます。
(今村座長)
ありがとうございました。
それでは、続きまして経営局の柄澤経営政策課長、お願いいたします。
(柄澤経営政策課長)
経営政策課長の柄澤でございます。私からは、望ましい農業構造の確立の検証について、資料3でご説明申し上げます。
この政策の目標、目的については6にございます。食料・農業・農村基本法におきましては、「効率的かつ安定的な農業経営が、農業生産の相当部分を担うような望ましい農業構造を確立する必要がある」ということが明確にうたわれているわけでございます。これがこの政策の目的であるということははっきりしていると思います。こういった望ましい農業構造が具体的にどういうものかということにつきましては、現行の基本計画の策定と同時に「農業構造の展望」、いわゆる「構造展望」というものが公表されております。ここにおきまして、具体的な農業構造の姿が明らかになっているというふうに理解しております。この農業構造の展望のポイントは8にありますが、具体的な中身が10ページ、11ページにございますので、これをごらんいただいた方がよろしいかと思います。
構造展望の抜粋でございますが、10ページの平成22年のところにございますように、家族農業経営が33万~37万経営体、法人・生産組織が3万~4万経営体という数が示されておりまして、これがいわゆる「効率的かつ安定的な農業経営」の経営体数、いわゆる40万経営体と言われているのがこの合計でございます。
そのページの下から3分の1ぐらいのところに(注)の*印がありますが、作業受託を含め農地利用の6割程度が、今申し上げました「効外的かつ安定的な農業経営」に集積するものと見込んでいるという農地利用の点がここにございます。
さらに11ページの表の経営形態別の展望をごらんいただきますと、平成22年におきまして、一番右側のところですが、「効率的かつ安定的な家族農業経営」の占めるシェアが経営体別に示されております。おおむね6割から9割のシェアを占めるということが平成22年の姿として示されているというのが、この構造展望のポイントでございます。
お戻りいただきまして、2ページをお開きいただきたいと思います。今回の総合評価の観点といたしましては、今申し上げました望ましい農業構造の姿につきまして、現時点においてその進捗状況がどうなっているのか、また、その実現のために行ってきております施策について、効果があるのかどうかということを検証する必要があると思います。
検証の内容が10にありまして、10はこの目標に対する現状と今までの施策について記述されている部分でございます。この現状はいろいろな点から考えられると思いますので、幾つかの点をチェックポイントのような形で記述してございます。
2ページの10の(1)の[ 1 ]ですが、「効率的かつ安定的な農業経営」というものは今一体どのぐらいあるのかということを考える必要がある。その場合に、「効率的かつ安定的」というのは非常に抽象的な表現ですから、具体的にはどういうことかといいますと、今の構造展望上も明らかにされておりますけれども、端的に言えば、主たる従事者が他産業従事者と同等の労働時間で遜色のない水準の生涯所得を確保し得る農業経営だというふうになっております。ただ、これを明確に定義づけた統計データは、ピタッとした形では存在いたしません。仮にこの要件について、所得面のみに着目して年間農業所得というものを、直近のデータで年間の所得がおおむね500万~600万というふうに仮定した場合のデータで申し上げれば、平成15年時点で、農業所得500万以上の農家が13万戸程度、600万以上の農業家が10万戸程度というふうに推計されます。これが1つのポイントでございます。
次に、[ 2 ]のところですが、主業農家、いわゆる65歳未満の、農業従事60日以上の人がいる農家で、農業所得が農外所得よりも多い農家というのが主業農家でございますが、この数はどうかということを見てみますと、平成15年で44万8,000戸という数字でございます。これは言ってみれば、将来「効率的かつ安定的な農業経営」に発展する可能性がある潜在的な集団というふうに言えるかと思います。
3つ目のポイントとして、認定農業者制度によりまして担い手を明らかにして、そこにいろいろな施策を集中化していくということでございますけれども、この認定農業者の認定数、延べ数で申し上げますと、平成15年度でおおむね21万3,000経営体という数字がございます。
4つ目のポイントとして、法人あるいは生産組織の数が先ほどの構造展望に出ておりましたので、現在の法人経営及び生産組織の実態を見てみますと、農業法人数については、平成12年のデータで約1万3,000経営体、うち農業生産法人、いわゆる農地等の権利を取得できる法人については、平成15年で約7,000経営体というのが現状の数値でございます。
生産組織の1つでございます集落営農の現状について見るとどうかということを見ますと、平成12年11月現在で、我が国全体で約1万の集落営農があるというふうになっております。
以上が法人等生産組織の4点目のチェックポイントでございます。
5点目のポイントとしまして、人の問題でございます。39歳以下の新規就農者の数について、構造展望では、平成22年で年間1万5,000人と見込んでおりますけれども、現状を見ますと、平成15年の数値で1万2,600人という数字がございます。
6点目としまして、農地の利用集積面積については、先般も個別の評価をいただいておりますけれども、平成15年の累積面積が約225万haということでございます。
7点目としまして、今度は品目別の、農家類型別のシェアを見た場合にどうかというと、5ページの上に、よく見るグラフですけれども、これを見れば明らかなように、野菜、畜産等では主業農家のシェアが高い、構造改革が進んでいるという状況に対しまして、水田農業については小規模あるいは兼業農家、準主業農家あるいは副業的農家のシェアが非常に高い状況になっている。水田農業について主業農家への生産の集中が遅れているという状況がわかると思います。
今申し上げたような現状でございますけれども、望ましい農業構造の実現のためにどういった施策を行ってきているかということが、おおむね3つの類型に分けて(2)のところに書いてございます。
1つは、認定農業者等意欲ある農業者の育成ということで、これは従来からもいろいろな施策を行っております。そこにありますように、経営相談、経営研修的な、ソフト的なもの、あるいは機械施設の整備のようなもの、資金・税制面での手当て等々、各種の施策を講じてきております。
2番目のカテゴリーとして、新規就農の促進ということで、就農相談を初めとする各種の就農サポートの施策を講じてきているところでございます。
3点目の農地利用の集積につきましては、これについても従来からいろいろな形の農地流動化施策、農地保有合理化事業も含む受委託の促進等をやっているところでございます。
以上のような現状を見た上で、どういった課題と今後の施策の方向があるのかということを13番のところに記述しているわけでございます。
まず、1番目の現状認識としまして、今何点かの数値を申し上げましたが、こういったものを見た場合に、特に土地利用型農業において農業経営の規模拡大が遅れている、あるいは必ずしも担い手の育成確保、あるいは新規就農者の受け入れも十分とは言いがたいような状況があるということが見て取れるのではないかと思います。
(2)として、具体的に申し上げますと、認定農者の認定数についても、望ましい構造の姿に照らし合わせれば低位にとどまっている。また、部門別に見ますと、水田農業を中心に担い手が十分に確保されているとは言えない。担い手への農地の利用集積についても、近年増加率が鈍化しているという状況がございます。
なぜこういった状況になっているのかというところが(3)でございます。この要因についてはいろいろな考え方があろうかと思いますが、ここではかなり思い切った形で3点要因を分析してございます。
1点目は、従来までは価格政策等を中心に幅広い農業者を一律に対象とした形で施策を講じてきたということがあるのではないか。
2点目としましては、望ましい農業構造を確立するためのいわゆる構造政策につきましては、主として今申し上げましたような農地制度の関係、端的に言えば農地の流動化が進むような規制緩和を中心とした施策で対応してきたということでございますので、規制緩和で対応してきたということは、積極的に担い手に農地を流動化させる、経営資源を移転させるためのインセンティブが必ずしも十分ではなかったのではないかということが言えるのではないかと思います。
3点目としましては、いろいろな施策を企画、立案、調整する段階におきまして、担い手に施策を集中化、重点化するということがなかなか困難であったということが率直に言えるのではないか。こういった状況が複合的に影響して、なかなか農業構造の改善が思うように進まなかったということが言えるのではないかという一つの要因分析でございます。
こういった分析を踏まえて、今後の施策をどういった形で展開していけばいいかというのが(4)でございます。ここでは、今の要因分析を踏まえまして、これまでの価格政策等のように、幅広い農業者を一律にカバーするのではなくて対象を明確化する、認定農業者を中心とした担い手に明確に絞った上で、各種施策を集中的、重点的に実施することが必要ではないかという方向を示しております。
ただ、その際、3点の留意事項があると書いてありまして、1つは、認定農業者という制度がありますので、この制度を使って担い手を明確化して、支援措置を集中化、重点化していくことは適当だという前提に立った上で、ただ、認定農業者制度についてはいろいろなご指摘がございます。そのページの下にありますように、目指すべき農業経営の指標が適正なのかどうか、認定プロセスが透明なのかどうか、認定のバラツキがないのか、フォローアップが十分かどうかというような点が従来から指摘されております。したがいまして、運用改善の徹底を図ることによって、こういった懸念がないような制度にしていく必要があるということが1つございます。
さらに、担い手といっても、水田集落のうち半分ぐらいには、主業農家が一人もいないというような実態がございますので、地域ごとにいろいろな工夫をしないと、誰も担い手がいないということになってしまいます。したがいまして、集落営農というようなものを一定の要件のもとに担い手として位置づけて、これを組織化、法人化していくことが必要だということもございますし、また、農業の世界の中だけでは担い手が見出せない場合もございますので、そういった場合には、現在サービス事業体という形で、担い手を補完する、サポートするという事業体について、必要な場合には担い手に発展していただく、農外からこういった事業体も担い手に発展していただくということも踏まえた施策を講じていくことが必要ではないかということが書かれているわけでございます。
2つ目として、新規就農の促進ということで、これは従来からもいろいろな形の施策を講じているわけですが、さらに法人による雇用というような新しいタイプの就農形態もございますので、こういった新しいパターンにも着目した施策を拡充していく必要があるということです。
3点目として、担い手への農地利用集積の推進ということですが、これも面的に、あるいは量的に拡大することのみならず、質的向上ということです。これについては、今まさに食料・農業・農村審議会の企画部会でも、農地制度の問題として、どのような方策が可能なのか、制度的な問題が議論されているというふうに承知をしているところでございます。
最後に、農業構造の展望、冒頭ご紹介しました現行の農業構造の展望につきましては、基本計画の見直しが今議論されておりますので、この展望自体についても基本計画の見直しにあわせて見直すということが適当ではないかということが最後に書かれております。
以上でございます。
(今村座長)
ありがとうございました。
以上で説明を終わりますけれども、委員の皆さんからただいまのご報告について、あるいは資料に基づきながら、質問あるいは積極的なご意見をいただきたいと思います。どなたからでもお願いいたします。ひとわたり皆さんのご意見あるいはご質問をいただいた上で、回答していただく必要がある事項については回答していただいて、後半部分ではフリートーキングという形でご自由な討議を進めていきたいと思っております。よろしくお願いします。
では、大山さん、どうぞ。
(大山委員)
加藤先生の席に座っていると今村先生の正面になりまして、ちょっと場所がよくなかったような気がするのですけれども、自給率、耕地利用率、望ましい農業構造ということでお話を聞かせていただいたのですが、幾つか意見といいますか、印象を述べたいと思います。私も余りよくまとまっていないかもしれませんので、その辺ご理解、ご容赦いただきたいと思います。
最初の自給率の話ですけれども、主張として、22年45%、それはいいのですけれども、何か説得力というか、国民の理解というか、やはりこうしなければいけないなというような、そういう理解を持つようなものにしていただきたいということが根本にあって、22年45%、「ああそうですか」ということで、そこから先へどうも行かないのです。どうしてかなということをちょっと思ったのですけれども、お米は一人当たり61キロで、脂質20何%というのはいいのですけれども、やはり需要構造、先ほど食料企画課長の方からも話がありましたけれども、これまで需要構造を見るところがちょっと欠けていた、需要構造が変化するのに対応が不十分だったというお話もあるのですけれども、まさにそこのような気がするのです。ですから、22年というのはいいのですけれども、恐らくかなり高齢化が進むということが予想されます。ですから、一人当たりの消費量としては2,600キロカロリーですか、あれもそんなにふえないというか、むしろ減る。ですから、そういう人口構成といいますか、年齢構成、人口構造といいますか、そういうのを何か出していただいて、望ましい食生活ということを言っておられるわけですから、それを表に出していただくというのが、私は、品目別のこうありたい、こう目標にするというよりも、そこが出発点になった方が説得力があるような気がするのです。
そこが出発点になると、それに対して生産面はどうしなければいけないか、特に自給率の原因というのは海外依存度が高いということが非常に大きくきいているわけです。品目によって非常に高い。ですから、そういうところで22年なら22年の望ましい食生活はこうですと、これを実現するためにはこういう食料の生産・供給体制がなければいけませんと。その供給体制をやるためには、海外依存度をこの形で続けていくと、自給率というのは非常に厳しいんだということをわかるような形の情報を提供していただく。そうすれば、やはりやらなければいけない、やることによって自給率のアップに貢献するんだということになると思うのです。
畜産物でも、肉類とかは消費量自体は仮に減ったとしても、飼料とか、そこで自給率にロスしているわけです。ですから、そういうのが国民にわかるような形のものを出していただくという方が、品目別の目標を立てられるよりは、こちらが理解する上で理解しやすいといいますか、国民の合意が得られやすいのではないかというのが印象です。その話というのは、後の耕地利用、望ましい農業構造、そこにも関係してくると思います。
2番目の耕地利用の話ですけれども、耕地利用のところは、22年、延べ作付面積と農地面積の話ですけれども、これも今94%で、22年105%という話があるのですが、細かく見ると麦とか大豆などは確かにふえていて、品質がよくないという問題点があるのはわかるのですけれども、耕地利用というよりも国土の利用というのがあるわけです。そことつないだ話をしていただきたいような気がするのです。農水省の管轄からいうと耕地かもしれないですけれども、日本の国土利用率というのがあって、それが都市化が進んだ地域とそうでない地域とでかなり差があって、耕地利用率というのはそれとリンクさせた形で議論をしていただいた方がわかりやすいような気がします。
ですから、105%というのがポンと出てくるよりも、内訳で見ますと、東の方と西の方でもかなり違うわけですし、あるいは耕地利用率でいえば北と南で差も出てくるでしょうし、ですから、国全体で議論する場合には、国土をどういう形で利用しているか、利用するのが望ましいかというような話とつないだ形で耕地利用率という議論をしていただくのがわかりやすいというか、いいのではないかと思います。
つまり全国一律ではなくて、都市化が進んだところとそうでないところとか、現に不作付地の地域別のデータなどを見ますと、不作付地の率なども地域によってかなり違っているデータが出ている、西の方ではかなり高くて、東の方は余り高くない。ですから、こういうのをちょっと分析の中に加えていただくのがいいのではないかと思います。
それから、最後の望ましい農業構造の確立の話ですけれども、「効率的・安定的な農業経営」ということで私もわかるのですが、これも土地利用率の話につながると思うのです。農業構造、経営というか、そういう面が安定的・効率的なというところで出てきていると思うのですけれども、地域特性というのをちょっと考えていただいた方がいいような気がするのです。これも大都市近郊とか、本当の専業農家が多いところではかなり違ってくるということがあるでしょうから、望ましい農業構造といった場合に、年収幾らというのはいいのですけれども、そういう地域特性を考えたような農業構造というのがあるのではないか、大都市近郊と市町村部とか、そういう話です。
これに関して、政策的なことからしますと主業農家がメインになっているわけです。ところが、主業農家というのは40万~50万ぐらいで、準主業、副業とか、そちらがもう圧倒的に多いわけです。あるいは専業と兼業で分けるとしたら、兼業の方が圧倒的、特に第二種ぐらいになると200万近くあるわけです。ですから、主業農家の経営改善を図るということはもちろんいいのですけれども、土地利用率とか農業の自給率とか、そういうことを考えた場合には、もっと国全体のレベルで考える必要があるわけです。土地を効率的に利用して国産の供給体制をできるだけ整備するということが大前提というか、目標になるわけですから、そうしますと、そういうところでは副業的農家なり、兼業農家なりはかなり貢献できると思うのです。ですから、専業農家を優先的に、優遇的にやるというのはいいと思うのですけれども、むしろそういう兼業農家といいますか、副業的、あるいは準主業でもいいんですけれども、そういうのを利用する戦略といいますか、そういうのがあってもいいのではないか。そういうことによって耕地の利用率、あるいは農業経営、あるいは国内供給体制もかなり上がってくる可能性があるのではないかと思うのです。
ですから、主業農家の担い手育成はいいんですけれども、どうやって副業あるいは兼業、特に第二種とか、そういうのを利用していくかというあたりも考えていただければ、耕地利用なり自給率アップということにもつながるわけですから、そういうことを考えていただくことも必要ではないかというのが私の意見です。
以上です。
(今村座長)
ありがとうございました。
では、森本さん、お願いいたします。
(森本委員)
説明を聞きながら、また自分なりに読みながら、また企画部会にも出席している立場として、本当にこの食料自給率の問題というのは考えれば考えるほど難しいなと思っているところでございます。食料自給率目標の状況の検証あたりを読んでみましても、一番の問題は食生活の変化だと思うのです。食べるものがバリエーションに富んで、米というものを食べなくてもいいようになってきた。それとよく言うように、欧米型、肉を中心としてやってきた。これは現実的に間違いないことだと思うわけです。ただ、この自給率を設定したときの、45%という数字が本当に整合性があったのかなというのも疑問を持つわけです。
というのは、そのときにはまだ米改革も考えられていなかったし、構造改革自体にも手がつけられていなかった。ということは、逆に言えば、これはすう勢でいっても今の状態でいけば自給率というものを制定しても、恐らく自給率が上がるということは考えにくかったのではないか。自給率を制定したときも。これを無理に45%というのは、確かに国民を見ても、生産者を見ても言葉の響きはすごくいい。しかし、言葉の響きはいいけれども、現実的にはもともと不可能な設定ではなかったのかなというふうに、これは企画部会に出ていても思うわけでございます。
この文章の中でも、食料消費に関する課題で、健康とか長寿社会とか、これは厚生労働省の文言みたいだなと思うわけです。農水省が本来取り組むべきことではあるのでしょうけれども、この文言だけを見ていると、何か厚生労働省の文章がこうなるのではないかというふうに思って読みました。何でこの文章にこだわるかといいますと、基本的に、米の消費がこれだけ離れてきて、これを急激に上げるということはなかなか難しい状況にあるのであれば、肉とか、現実を直視する必要がある。となってくると、肉を食べるのであれば、今BSEで外国から肉が入ってきていない。しかし、国産の牛肉を食べても自給率に多大な変化はない。それはなぜか。穀物の餌を外国から輸入しているということは当然なことですから、だったら、飼料を国内で生産することに逆に力を向けた方が、これは農水省の観点からいけば正しい選択肢の一つではないかという気がするのです。
しかし、片一方で、脂質を減らして米を食べるようなことをしなければいけないというと、政策的には何となく違和感があります。片一方では肉は余り食べないようにしようと言いながら、現実的にいけば、そういう形でしか食料自給率に貢献できないところに、今の日本の形態が来ているのではないかという気がするのです。
麦、大豆にしてもそうなのですけれども、これは基本的には日本にあってないんです。私たちも毎年大豆をつくっていますけれども、今年は天気がよかったので、初期育成がすごくよくて、今年は大豆は結構とれそうだなと思っていたら、意外と花芽がなくて、大豆が実になっていない。そう思っていたら、今度は台風でバーッと倒伏して、そういう状況です。そうなってくると、日本の場合、梅雨があります、台風があります。かといって、東北あたりでこういうことをやっても、逆に雪があります。本当にどこで何かをつくろうとしてもなかなか難しい状況があるのです。
ですから、なぜ麦、大豆にこれだけこだわるかというのも、もともと麦、大豆は日本の中では生産量は微々たるものですから、農家が麦、大豆をどれだけつくってもほかの産地に影響を与えないのです。逆に農家が麦、大豆ではなくてほかのものをつくると、今まで生産努力をやってきた地域がつぶれてしまう可能性があるから、農水省は麦、大豆というものにこれだけ力を入れてきたんだと思っているのです。これは何年か前の農政大綱のときもそうです。高木さんが事務次官のときも、30年、麦、大豆をやってきてこれだけ定着しないのはなぜかということも言われていました。これはいろいろなことがあるのでしょうけれども、日本に向いていないんだなというのが、つくっている者としては一番言えます。
集落営農にしてもそうです。結局、集落がまとまって、団地化して、ブロックローテーションをしてやったら、では、これから先交付金がWTOの黄色の政策で認められなくなってくる。そうなったときに、では、自分たちで大豆をつくって、それを市場に出すことよって所得を得ようとしたときに、台風が来てだめだったとか、麦でいえば、梅雨に入って収穫ができなかったということになったときに、全然ご飯が食べられなくなってしまうわけです。共済というのがありますよ。ただ、共済をあてにするような、共済で飯が食えるような話ではないわけです。
逆に言えば、私たち農家からいえば、麦とか大豆とかに絞るのではなくて、逆に観点をかえて、肉とかというのであれば、逆に飼料作を推進する。飼料作は、日本は土地改良事業もいろいろ進んでいますけれども、基盤整備も進んでいますが、あくまで水田対策なんです。米の生産をふやすというのが目的で今まで基盤整備というのは行われているのです。だから、本当に農地の適性もないんです。
いろいろなことを考えていくと、うちの地区でも飼料用の稲と大豆を植えているのですけれども、今年は最終的には飼料用の稲しかものにならないだろうなという形です。ただ、それは今村先生が座長の米改革のときに、産地ビジョンで、自分たちで自分のところの適性なものを選んで、お金もそういうものに使いなさいということで言われていますから、それはこれから先変えられるだろうなと思っております。
ですから、簡単に言えば、これから先、企画部会での議論もそうなのですが、こういうふうな形の中で、耕地利用の目標とか、経営局の望ましい農業構造の確立というものができてきて、そこで初めて食料自給率が何年後に45を目標にするということであれば、私は、それは将来的にはやはりやらなければいけないし、また、それができないようなことでは何にもならないと思うわけです。ただ、これが今の時代にマッチしているかというと、何となくマッチしていないのではないか。逆に言えば、自給率というものをカロリーベースだけで判断するのではなくて、金額ベースとか能力、いろいろな作物をつくるだけの力があるというような形の中で示していくような、やはり幾つかの示し方を出していきながら理解を求めていくということをやっていかなければならないのではないかと思うわけです。いろいろ考えていくとすごく難しいと思うのです。
私が言いたいことは大体そういうことですけれども、ちょっと言葉の中で少し生産者として気になった文言がありまして、食料自給率目標の検証の米の部分ですが、望ましい食料消費と生産努力目標の2つがありまして、その中に米は加工・外食といろいろありまして、「生活水準の向上」と書いてあります。これは国が豊かになっていろいろな選択肢がふえたから、みんなの嗜好が広がって米以外のものを食べ始めたというのであればわかるのですが、生活水準が上がって米を食べなくなったというのは、「米って何なんだろうな」というふうに、私読みながら「何なんだ、米って」と。みんながお金持ちになったら米というのは食べない作物なのと。意味はわかるんですよ。でも、何となくこの文章では違和感がありました。
その横もそうですけれども、「生産調整により需要量に応じた」といろいろ書かれていますが、これは基本的には価格対策みたいなものですよね。その辺が生産努力目標、これが国民から見たときに、国民は当然安いものが手に入ればいいわけです。極論で言えば、みんなが生産調整をやらなくて自由に米をつくれば価格の安い米が出回るわけですから、極論で言えばですよ、そういうことですよね。ただ、将来の、10年後、20年後の日本の食料安保を考えればそういうことはできない。やはり474万haの優良農地を守っていかなければならないということも現実的にはあるわけですから、それは極論として、守っていくためにはこれは大事なことではあるわけです。
それと、米の2ページのところもそうですが、ちょっとひねくれているのかもしれないのですけれども、「需要に即した計画的な生産」とありまして、その中で「米の潜在生産量が需要を大幅に上回っている中で」と書いてあるのですけれども、米の生産量はもともとからあるのです。これは供給が上回っているのではなくて、需要がそれよりも下がってきたんだろうと思うのです。ですから、潜在生産量ではなくて、生産量はもともとからあるんです。ただ、消費が大幅に下回っているんだと思うのです。ちょっとしたことかもしれないですけれども、私たち農家から見れば、昔から米よりも農地がいっぱいあってという世界ではなくて、昔は米を食べる人の方が多かったということだと思うので、何となくそういうことを考えながら読んでいたら、ちょっと違和感がありました。
それと、その下に「12年度から実施している水田を中心とした」とあるのですけれども、これは先ほども言いましたように、水田を有効活用した麦、大豆、飼料作物とありますが、麦、大豆というのを将来的にわたってこうやっていくことが正しいのかどうか、私にはわかりません。ただ、それは現実的には一度見直す時期に来ている。そうしないと、集落営農も、担い手政策も、そこの地区で不適切なものをつくって生活ができないのであれば、私は全部壊れてしまうような気がするのです。だから、担い手が育つのも、集落営農がうまくいくのも、基本的にはそれだけの利益が上がる、利益を上げるための施策だと思うので、その利益につながらないのであれば、当然私たち生産者もなかなか取り組めない。
この前の企画部会でも耕作放棄地の話が出たのですけれども、耕作放棄地は私たち担い手がなかなか取り組めない場所が多いんです。だから、簡単に農水がそういうことを言いましても、なかなか難しいと思います。
これは全体的な自己評価ですから、それはこれに書いてあるとおりだと思うのです。自給率が上がらない理由は、米を食べなくなって、みんながほかのものを食べ出したのは当然なことだと思いますので、これから先の話まで踏み込んでしまいまして若干時間が長くなってしまいましたけれども、そういうこともこれから先考えていけばおのずとという気がいたします。
以上です。
(今村座長)
ありがとうございました。
それでは、大木さん。
(大木委員)
自給率が上がらなくなった理由というのは、今森本委員からいろいろとお話がありましたけれども、お米を食べたくても食べられない人というのがいます。特殊米を望んでいる人。お米の5ページのところに書いてある「春陽」とか「ミルキークイーン」、これをもう少しルート広げてあげられる施策というのはないかなと思うのです。これも消費者、一般の人ではなくて病気の人が望んでいるお米なんです。だけれども、ルートがなければ買えませんし、特殊米を望んでいる消費者がいて、どこが生産をしてくれているのか、それからルートを見つけなければいけない。生産をする人も、つくっても買ってくれる人がいなければ経済的にも困るわけです。まさにここのところは、これは厚労省の問題にもなると思いますが、お互いに連携をして、自給率を伸ばすためにお米を食べてほしいと思っても、食べられない人のためのお米、ロットは少ないかもしれませんけれども、ここのところに「多様なニーズに対応した生産・流通体制の確立」というのがありますから、まさにここのところにもしっかりと目を向けてやっていただける政策にしてほしいと思っています。「春陽」というのは腎臓病の人が本当に欲しているけれども、いろいろなお米が今までもあるけれども、おいしくなくて、そして値段も高い。そうではなくて、普通の人が食べられるようなお米が欲しいんですよということなので、ぜひそれをということが1つです。
それから、生産努力目標のところに、「『誰のため、何のための生産調整か』が伝わらず、需要に応じた生産が定着せず」となっておりますけれども、これは伝えていないというふうに私は思っているのです。伝える人が、例えばルートがあって、上からここはこうしなさい、ああいしないと言われて、そうなんだよというふうに伝えているのか、そうではなくて、伝える人がどうしてそうなったかということを理解して、プラスそこに熱意というものが必要であって、それで生産者は動いて一緒にやろうという気持ちになるんだろうと思うのですが、そういうものをどう伝えているのかという検証といいますか、調べる必要があって、そこからひもといていかなければ、ここにとても立派なことが書いてあって、私感心しているのですが、実際にどう動けるかということを見たときに、検証としてそこをやっていただきたいというふうに思います。それが1つです。
それから、生産局の2ページのところで、10の生産効果の把握の手法というのがあります。そこに「それぞれ基準年と平成15年時点を比較すると以下のように分析される」とありますけれども、この15年というのは後ろの方にはたしかあったと思いますが、ここの表を見ていうんでしょうか。そうすると、「(参考)平成10年」というのが載っていまして、ここに「15年」があったらわかりいいのではないか。「15年時点を比較すると」となっていまして、参考は10年が載っています。そうすると、わかりにくいというふうに私には思えます。
それから、目標が、22年が472万ha設定されていまして、目標は現在の農地面積よりも少ないのに、減少に歯どめがかかっていないという意味、この表現がわかりにくいのです。このペースで行くと、472万haを割り込むということなのかどうか。「減少に歯どめがかかっていないとともに」という意味がよくわからないわけです。目標に近づいてはいけないのという感じになってしまうように見えますので、ここのところが私には意味がわからないです。
3つ目は、望ましい構造の確立ということで、資料3の32ページに「目標値」とありますけれども、ここに「女性の社会参画の促進」というのがありまして、その中身ですけれども、「農業関係の審議会等における女性の登用割合:28%」となっています。この「審議会」とかという表現の仕方ですけれども、農業団体の役員とか、幹事の女性の割合というふうにした方がよりわかりやすいと思います。もしどうしても審議会と言うのであれば、そういう意味のことをサブ指標のところに掲げたらいかがと思います。女性がいろいろ参画するということであれば、そういう大きなものばかりではなくて、農業団体の役員とか幹事の女性の割合というのはこうなんですよというふうにして、そしてどんどん進出してくるようになったんですよということがわかるような、そういう指標の書き方の方が私はいいと思いました。
3ページに戻りまして、一番下の表(4)のところですけれども、農業生産法人の推移というのがありまして、そこのところに幾つも書いてあります。これから法人をつくろうとするときに、どういう形態を使うとメリットがあって、デメリットがあるのかということが、これではわからない。どういう形態を使ったらどうなんだろうというのがわかるといいなという感じがしました。
あとは、感想ですけれども、16ページのところに「農業者年金加入者数の推移」というのがありまして、これは全体から見たときに随分少ないのではないかという感想がありますので、これは余り活用してもらっていないのかなというふうに思いました。
そのくらいのところが感じたところです。以上です。
(今村座長)
ありがとうございました。
それでは、秋岡さん、よろしくお願いします。
(秋岡委員)
2つほど、よくわからないのですけれども、この資料の中にたくさん集積とか集中という言葉が出てきて、集積するというのがキーワードなるような気もするのですけれども、逆に、例えば特定の人とかに集積していくと、その人がそのまま手放さないで60年たったときどうなるのかなと。例えば担い手に集中するとかいって、例えば森本さんに集中して、60年たって、森本さんが100ぐらいになったときにもずっと放さないということになると、例えば今土地があっても耕さない人もいるからこの人に集中しようことで集中しても、今はよくても、60年後そのままいくとまた同じ問題が起こるので、もしかすると、今は集積することが第1段階だとしても、究極的に大事なことは、今どこで何をつくればいいかという人のところに必要な土地がうまく循環していくとか、循環とか割り当てのいいシステムをつくることが基本で、大事であって、今集中して、それが固定化すると、多分60年後のこの政策評価会で、60年前の人があんな政策をつくったから、こういう構造が固定したなんて言われかねないことも起こるのではないか。
前にご説明をお聞きしたときにも、例えば野菜をつくっていらっしゃっても、高齢化すると野菜をつくるのが大変になるからできなくなる。でも、そうしたら、本当はずっと野菜をつくってきた土地を、別の野菜をつくりたい人がかわってそこでつくれるようにすることがすごく大事なわけです。そういう意味の適材適地みたいなものを仕組みとしてうまくつくっていかない限りはだめなのではないかと思うわけです。
もう1つの問題として、土地は農家の人、個人のものだと思うのです、日本は私有性が認められているので。ただ、その土地でおいしい野菜をつくるとか、お米ができるというときに、その人個人の技術力もありますけれども、環境整備だとか、流通の問題だとか、国の施策だか、税金を投入したりとかしてできているという意味においては、土地は私物ですが、農地としての付加価値の部分というのは、ある意味で国民みんなのものだという気がするのです。
そういう意味では、例えば耕作放棄地というのは、国民のいろいろなお金とか、人件費とか、ノウハウとかが、それも一種の肥料の一部だと思うのですけれども、それででき上がったすばらしい農地というのを使わなくなったときには、同じ面積か、同じ価格で別のところをあげるので、そこは国として、農地として生きるようにしてもらわないと困るというような、何か世論か仕組みをつくらないと本当はいけないのではないかということが1つです。
2つ目は、よくわからないのですが、資料3のところで、私の大嫌いな「他産業並みの労働時間と所得」という話があるのですけれども、ここで教えていただきたいのは、2枚目のところに、農業をやっていて、所得水準が他産業の平均値以上の人はこんなに少ないという資料があるのですけれども、他産業の人でも当然所得にバラツキというのはあるわけです。10億円とか100億円とか稼いでいる人もいれば、かすかすの生活をしている人もいるわけです。ここでおっしゃりたいのは、農家とか農業をやっている人は、全員他産業の平均所得とか何かより上に持っていきたいと理想を持っていらっしゃるのか、どうしたいのかというのがよくわからないのです。
例えばアメリカなどの場合は、国民の1割だとか、1割未満の人がアメリカの富の8割を稼いでいるという構造があって、でも、あの所得平均値とかが出てくるわけです。それを思うと、この農業の所得の議論というのは、究極的にどういう所得配分にしたいのかということが見えなくて、平均値でクリアすればいいのか、あるいはほとんどの農家が目標とする所得の周辺またはそれ以上のところにいるというところまで持っていきたいのか。でも、それですと、他産業の人はすごく不公平ではないかと思うのです。今のように担い手に施策を集中するということは当然所得の格差が起こるわけです。施策を集中した人は所得が多くなるので、そうすると、ここに書いてある所得の議論というのは、アメリカ型に近づいていくということなんですね、ということをお聞きしたいわけです。
すみません、まとまっていないのですが、以上2点です。
(今村座長)
ありがとうございました。
田中さん、お願いします。
(田中委員)
それぞれ大演説というか、非常にクリアカットに問題点を指摘されて、それぞれ私賛成です。幾つか感想と意見があります。ご担当にはしょっちゅう言っている、耳にたこができるほど言っている話ですが、まずお聞きしておって、私農家に生まれ、農水省にもお世話になり、何十前に聞いた話が一つも変わらないなあと、これは印象です。昔から耕地の利用を言い、自給率も言い、問題点も同じような問題があるわけです。ずっと考えて、農政として何をしてきたんだろうと、これは感想です。
具体的な指摘は、今森本さん、あるいは大山さん以下秋岡さんまでおっしゃって、それぞれ賛成ですけれども、私、今そういう感想とともに、やはり基本は、縦と横のことを十分分析してかからなければいけない。縦というのは歴史です。江戸時代から現在まで。森本さんの意見にかかわらず、あのころはみそだって日本でつくっていたわけですから、大豆ができなかったわけではないわけです。天候が変わったわけでもないんです。だから、昔の人たちはどういう知恵で大豆をつくり、麦をつくったりしていたのか、あわ、ひえをつくっていたのか。今あわ、ひえは結構おいしいといって食べます。戦時中は、おかゆを、こんなおいしくないと思って食べておったんですが、子供たちにおかゆを食べさせると、何でこれがまずいのと逆に言われて驚くわけです。それはともかくとして、そういう縦の話が、農水省として十分歴史があるわけですから、勉強してみる必要があると思います。
それから、特にイギリスですけれども、自給率の問題を克服してきた。一体何をどうやって、どういう政策をとって、国民自ら目覚めてそうなったのか、具体的な政策が何かあったのか、農水省からいっぱい人が行って、掃いて捨てるほど行っていると思うのですけれども、一体何をやっているのかなと思うのです。各先進国、イギリス初めアメリカでも、フランスでも、ドイツでもどこでもいいのですが、自給率を政府がどう意識し、どういうふうな政策を打ってきておるのか、それの効果というのは彼らも評価しているはずですから、どういうことなのかなと。横というのは外国のことです。それらをもう一回整理して教えていただきたいという気がしております。
ここから持論に入るのですが、まさに秋岡さんが私の言いたいことを言ってくれたのですが、どうもこの3つの問題を通じて何が問題か。秋岡女史は認定農家の問題から、森本さんが60年たったらどうなるかという話、まさにいつも言っているように、農家は1年たったら1歳年をとるんです。だから、農水省の一番の間違いと僕ははっきり言いたいのですけれども、株式会社の制度を早くから導入しておればうんと違っていたと思います。株式会社については、すぐに農地を売ってしまうとか、ごみを捨てしまうのではないかとか、自民党の先生と議論をするとそういうことをよくおっしゃいます。だったら、農業分野から撤退するときには、必ず農業者、あるいは農業をやっている株式会社に譲渡しなければならないと、こういう規制はやってできないことはないわけです。
ところが、そうすると、今度は個人の農家が所有権を侵されるということで、本当は所有権を侵されるとかどうとかではなくて、売りたくてしようがないから、そう言っているんです。自民党はそういう人の支持を得ないと自民党でなくなりますから、だから、そう言っている。島村大臣に言っておきたいんだけれども、本当に何が国家として、日本国として大事かというと、私はやはり株式会社を参入させて、必要な規制はかける。
なぜかというと、認定農家の問題に返りますけれども、ゴーイングコンサーンでないといけない、継続体でないといけない。これは耕地の利用にも何もみんなひっかかってくるんです。会社であれば夏も冬もない。常時人を雇っていますから、使わなければいけないわけです。農地を、昔の人は、西の方では、私は西の方しか知りませんが、麦をつくって、それを待って今度米をつくる。ですから、2回土地を使うんです。昔は今みたいに耕地整理なんてしてありませんから、1メートルも深い溝を掘って排出をして、そこまでやって農家の人は麦をつくっていた。麦踏みもした。ところが、今は片手間にやりますから、1回しか使わない。それは農家だからなんです。しかし、それが企業であれば、人を十分に使わなければいけませんし、自分の持つ資産、農地という資産を使わなければいけませんから、利用率も上がるはずです。放棄もしないはずなのです。一番の間違いというのは、企業にしない、積極的にそれをやらない。「認定農家には企業も入っていますよ」と言いますが、「入っていますよ」という言い方が間違っているんです。そうではなくて、私は積極的に企業を使わなければいけない。それをやってこなかったのが農水省の間違いではないかと、自分も参加しながら、つくづくそういう感じで、実際反省しているところです。
じっくりいろいろな人と話をすると、やはりそうだったんです。だから、構造改革も進む。たまたま今は公共事業のあおりで土建業者がいっぱい、何かないかと思っているわけです。こういう人たちは人も抱えている。そういう人たちを農業に積極的に参入させることによって、私は日本農業の再生も可能ではないかと思っています。認定農家についていえば、1年たてば1つ年をとる。秋岡女史ではありませんけれども、その人に集積しておいてどうなるんですかという問題があります。株式会社はそういう問題はないんです。継続体ですから。もちろん倒産することもあるかもわかりませんが、それはどんな会社だって、個人だって倒産することはあるわけですから、同じことです。
認定農家について、今の話の関連で言いますと、今度いろいろ支援策でも集中するということですが、本当に意味があるのかなと思うのは、今でもいろいろな施策は、熱心な、やる気があって、能力のある農家に集中しているはずなんです。今までの補助の仕方は広くいろいろやっていた。それが本当に検証されて、やはり認定農家に集中しなければいけないという話になっているのか、そういうデータが、今までのいろいろな支援策はばらまきでしたと、だから、熱心な、能力のある農家にやらなければだめだという話は、一見通りそうな気がするけれども、秋岡さんがおっしゃっていたのと違う意味で、本当にそうだったのかなと、今までのいろいろな支援策だって熱心で能力のある農家にやっていたんですから、同じことをやるにすぎない。それをいかにも新しい政策のようにおっしゃるのは、一体どうなのかなと。今まで本当に悪平等みたいに支援してきたのかというデータがあれば見せてほしいということです。
ほかにもいろいろありますけれども、話を聞きながら、私は、森本さんがいろいろ言っていたように、自給率の問題などでも、食生活ですけれども、食生活の誘導は非常に難しい。これは戦前の国民運動で「生めよ、ふやせよ」というのと同じように難しいです。「生めよ、ふやせよ」というのは何人以上、私も子供のときに経験があるのですが、10以上生まれた家は表彰されていました。表彰されたけれども、おばさん、子育てに疲れますよね。だから、つまらん県知事の表彰をもらって、何だろうと子供心に思った記憶があります。自給率を見ておってそういう考えを催したわけです。
もう1つ申し上げておかなければいけないのは集落営農の問題です。どこの世界でもそうですけれども、日本の、特に農業集落というのは、人が成功すると足を引っ張る。お互い反目することは多くても協力することは非常に少ない。ただ、田んぼで協力するのは、結いなどがあるのは、水回りが仕方がないからやっているので、積極的に仲良くやって、あたかも株式会社のように運営するなんてということはおよそ信じられない。そういう話はまやかしにすぎないと私は信じていますが、それがうまくいくと、なぜそうなるのか、本当にあれば伺いたいものです。
これだって一時はあり得るでしょうけれども、特に集落の場合は世代がいろいろ違うし、おやじのときには仲良くても、また違うかもわからない。あるいは片一方は後継者がおって、片一方はいないかもわからない。集落営農、集落営農とおっしゃるけれども、本当に実態をご存じの上でおっしゃっているのか。農水省ですから、十分ご存じの上でおっしゃっているとは思いますけれども、私もできるだけ農業の現地を見て歩くようにしておるのですが、私はこのお話を伺っておって、このペーパー自体は、皆さんご努力なさってお書きになって、これはこれでいいだろうけれども、根っこの物の見方とか考え方に、私は大いになる疑問と不満を持っているということだけ申し上げておきたいと思います。ちょっと言い過ぎた点はお許しください。
(今村座長)
ありがとうございました。
(森本委員)
学校給食のところですが、聞いておいてもらえばいいのですが、学校給食が2.7回から2.9回にふえた。でも、米の消費は、生徒が減ったから余りふえていないという話が書いてありますけれども、これは私の持論なのですけれども、私は、学校給食が完全米飯になることの意義は、消費がふえることではないと思っているのです。そうではなくて、これは農家からの気持ちですが、子供がパンでおなかがいっぱいになるという感覚を覚えてほしくない。パンを食べることは私たちも、極端なことを言いますと、稲刈りでも、田植えでも、3時のお茶というのはパンにコーヒーなんです、近ごろは。笑い話ではないんですけれども。その現実を見ているから、農家の人たちが減反がふえたと文句を言うけれども、自分たちも食べてないのに、しようがないだろうというところはあるのですけれども、ただ、学校給食に限って言いますと、私は消費がふえることに主眼を置くのではないんじゃないかというふうに思いまして、一言だけ申し上げたいと思います。
(今村座長)
ありがとうございました。ひとわたりご意見、あるいはご質問を含めていただきました。
この辺で5分ぐらい休みたいと思います。事務局の皆さんは、整理はしませんので、質問事項について簡潔にお答えいただいた上で、後半部分でもう少し深めた議論をしたいと思います。
それでは、休憩いたします。
(今村座長)
それでは、再開いたします。
もう質問事項はわかっていると思いますから、整理しませんけれども、まず、自給率の関連からお答えをお願いします。
(林食料企画課長)
それでは、自給率の関係ですけれども、各委員の方々からいろいろなご指摘をいただいたわけでございます。自給率の話につきましては、ご案内のとおり、平成27年度の自給率をどうするのかということを、今食料・農業・農村政策審議会の方でご議論いただいておりますので、将来に向けてこうすべきではないかという議論につきましては、また私どもも受けとめてまいりたいと思っております。
ただ、食生活との関係でいろいろご議論をいただきましたので、ちょっとそこら辺につきまして概括的に、補充的にご説明をさせていただきます。資料1の9ページを見ていただきますと、各先生方から食生活等の関係でいろいろご指摘を賜ったりとか、あるいは諸外国との関係もいろいろご指摘をいただいたわけでございますが、この9ページのところがまさに今日本の置かれている農業、あるいは私が担当しております食料政策の姿を描いているものでございます。
上が国民一人一日当たり供給熱量の構成の推移ということで見ておりますが、昭和35年度から平成15年度までの数値、基本的には右肩上がりで推移をしてまいりましたけれども、最近は一番上の線を見ていただきますとわかるように、やはり高齢化の影響がございますので、カロリーは下がっております。したがいまして、新しい計画の中でもこういった動向についてどう考えていくのかというのは当然議論をしていかなければならないわけでございます。
中身を見ていただきますと、極めて概括的に申し上げますと、米と畜産物と油脂類、この3つを合計したカロリーは、実はそんなに動いていない。そういった中でどういうことなのかといいますと、まさに私どもの食生活の体験でもそうでございますけれども、米が落ちて畜産物、油脂類が伸びているということでございます。
消費の変化としては一番下にございますように、米が昭和37年度当時に比べますと、現在は残念ながら半分しか食べていない。肉が5倍であるとか、油脂類の関係、植物油、動物油、こういった油脂類の関係は3倍に増えております。
真ん中の少し段階状になっているものについて若干ご説明をさせていただきたいのですが、実はこの黒く塗りつぶしたものが全体の中で何パーセントを占めているのかというまさに自給率でございまして、昭和40年度と平成15年度を比べております。昭和40年度、自給率73%に対して、平成15年度、自給率40%でございますが、まさに見ていただくとわかりますように、昭和40年度というのは、全体のカロリーの中の45%が米でございますし、当時は国内で完全に自給しておりました。畜産物ですとか、油脂類ですとか、いろいろなものがあるわけですが、平成15年度を見ていただきますと、米が20数%、全体の中のカロリーに占める比率が4分の1ぐらいに減っております。したがいまして、この黒い面積が随分小さくなってきております。
逆に、畜産物が、昭和40年当時は、大体全体のカロリーの中の5%しかありませんでしたけれども、現在では20%近いという数字がございます。これも各先生方からご指摘をいただきましたように、輸入飼料による生産部分につきましてはカロリーベースの自給率では計算しませんので、そういったこともありまして、例えば卵などは、ほぼ100%自給しているのですが、餌の自給が10%しかないと、「100%×10%」で卵の自給率は10%という格好になっておりますので、輸入飼料による生産部分についてどう考えていくのか、森本委員からもご指摘をいただきましたけれども、非常に大きな課題ではないかと思っております。
それから、油脂類も同様に、昭和40年と平成15年を見ていただきますと、随分小さくなってきているのですが、実は、油脂ということになりますと大豆とかなたねということになりますけれども、こういったものを仮に国内で生産をするということになりますと相当の面積が必要になるということになって、大豆を国内で全部栽培をしまして、油用原料を供給しようとしますと200万haぐらい必要だということに計算上なっております。国内の農地が470万haしかありませんので、実現可能性という意味ではほとんど難しい、そういう世界になってきております。
こういったように、食生活がかなり変化してきているということ、そういった中で、各委員からもご指摘いただきましたように、消費が変化しておりますので、当然それにあわせて生産構造を変えていくということはとても重要なことだと思っておりますし、政策課題としてもいろいろ掲げておるわけでございますが、なかなかそこが一挙一動にはいかないということがございます。
それから、食生活の観点で、私どもが問題ではないかと思っておりますのは、先ほどもご紹介しましたけれども、PFCのバランスが崩れてきてしまいまして、現実には成人病が増えてきているとか、あるいは太っている人が増えてきているとか、逆に若い女性を中心にして、若干健康上問題になるほどやせてきている人とか、そういった問題もありますので、やはり食生活というのは今のままではよくない。先ほど何か厚生労働省のような感じがする文言があるというご指摘もいただきましたけれども、基本計画自体は、ご案内のように、政府で閣議決定をしておりますので、やはり食生活は今のままでは望ましくないんだということは厚生労働省とも協議をしている問題意識でもございますし、あるいはなかなか食料の現場、あるいは農業生産の現場ということをお子さん方がわかっていない。
森本委員からも学校給食の重要性についてご指摘をいただいたのですけれども、よくある話としては、「落としぶた」というのがどういう「ぶた」なのかわからないお子さんがいらっしゃるとか、「びっくり水」を買いたいが売っていないとか、まさに私どもからすれば当たり前のことが、どうもお子さんたちの実感としてはつながってきていない。そういう意味では、今の食生活のあり方などは、学校現場の先生方、あるいは厚生労働省さんの関係の方々と連携をとりながらやっていくということが極めて重要であると思っております。
そういう意味では、大山委員がおっしゃられたように、望ましい食料消費がどうあるべきなのかというところからアプローチをしていく。そういう中で、それに応じて生産をどう考えていくのかということで、自給率の問題については、引き続き情報提供というものを国民各層の方々にしていくことの中で、自給率向上に向けて消費者を巻き込んだ形での取り組みを展開していくことが重要だと思っております。
それから、具体的には、森本委員の方から米の部分の記述の仕方に違和感があるというお話がございましたけれども、思いというか、言っていることにつきましては、森本委員から先ほどご紹介がありましたので、私どもが考えていることと同じだと思っておりますが、確かに表現のしぶりで、森本委員おっしゃるように、誤解を招きかねないところもございますので、そういったところにつきましては直していきたいと思っております。
それから、大木委員のお話の中にも、「『誰のため、何のための生調整産か』伝わらず」という文言が非常に違和感があるというご発言がございました。実は、米の話につきましては、戦後の配給制度からずっと言ってきまして、どちらかというと、昔は、農家は国にしかお米を売れないとか、そういう世界の中で40年代の半ばから生産調整、転作をやってきているわけですけれども、そういった戦後しばらく統制経済的な形で出発をしてきておりましたので、転作の方も国からの配分みたいな格好で、あるいは県とか市町村とか、行政機関がかかわるという格好になっておりまして、なかなか農家の方が自分の問題として受けとめ切れない。行政の都合でたくさんつくれと言ってみたり、あるいは行政の都合で少なくつくれと言ってみたりと、そういうことに関して非常に違和感があったという話があるわけです。
実は、食管法も廃止されておりますし、市場原理をもとにした法律の体系になっておりますので、転作とか生産調整というのは普通の作物と同じですから、ニーズに応じて生産をどうするのかということは、農業者とか、農業者団体の方が主体的に考えるべきだということで、米政策改革の議論を一昨年ぐらいから始めまして、今年の4月から新しい米政策大綱が出発しておるのですが、15年度の検証でございましたので、こういった書き方をしておりますが、ご指摘もありましたので、書き方について工夫をしていきたいと思っております。
それから、田中委員の方からイギリスの話がございました。また機会をいただきましてご説明したいと思っておりますけれども、基本的には今申しましたように、食生活が日本の場合には劇的に変わってきているということがあります。他方、イギリスは余り食生活が変わってきていないということがあるのが1点と、それから、イギリスがEEC、ECに加入したことがありまして、CAP制度というのがありまして、かなり価格支持制度みたいなものがありまして、EC、EUの域外に輸出することができることになったということで、生産構造も変わったということもありますけれども、これにつきましては別途また時間をいただきましてご説明をしたいと思います。
私の方からは以上でございます。
(今村座長)
それでは、次に、生産局の山本室長、お願いします。
(山本生産政策室長)
大木委員の方から、耕地の減少のところにつきまして、2ページ目の農地面積のところの記述についてのご指摘があったわけでございます。まず、「平成9年、(参考)平成10年、平成22年」というふうに2ページの上の方にあります。これは基本計画がこういう形になっておりまして、平成12年に現在の基本計画ができて、基準年として平成9年、その時点で最新データとして平成10年のデータが入っているわけでありまして、それをベースに平成22年の目標を立てているのですが、ご指摘がありましたように、記述の仕方、実は食料自給率の方は9年、10年、15年、22年となっておりまして、そこは整合性をとらせていただきたいと思います。
それと、「歯どめ」云々という記述のところについてでございます。参考の7をごらんいただきたいのですが、最初の説明で簡略化してしまったのですが、まず、現行の基本計画について、耕地あるいは農地面積の見込みを見ますと、[ 1 ]ですが、平成9年の農地面積498万haに対して、平成22年の農地面積につきましては、そのすう勢を踏まえて、あるいは耕作放棄の抑制等の効果を織り込んで470万haと、差し引き25万haの減にとどめるようなことを目標にしておったわけです。これはすう勢に任せておきますと、耕作放棄が進んだり、かい廃が進んだりするというところを種々の施策で減少を緩和といいますか、食いとめて、25万haの減少に食いとめるような形にしておったわけでございます。
ただ、現状を見ますと、[ 2 ]の農地面積の動向をごらんいただきますと、1)ですが、農地は平成9年時点で495万haに対しまして平成15年では474万ha、約20万haの減ということで、平成22年までに25万haの減少ということに対して、もう既に数年で20万haの減少というふうになっておりますので、そういう意味で農地の減少について歯どめがかかっていないということがあるのではないかということで、3ページ目の評価のところですが、「減少に歯どめがかかっていない」というところは、そういった意味合いで書いてあるわけでございます。
また、大山委員の方から耕地のところについて、国土の利用なり地域性というお話があったと思いますが、これは農地の確保の方の話になるわけですが、当然そういった面も含めまして、現行の基本計画でも検討されていると思いますし、当然、国土利用全体の中で農地というものを十分認識した上で検討されていると思いますので、今後の基本計画の見直しでもそういったもので見直しされることになろうかと思います。
当方の関係では以上でございます。
(今村座長)
それでは、柄澤経営政策課長、お願いします。
(柄澤経営政策課長)
たくさんご意見をいただきまして、関連するところもありますので、類似の質問をまとめてお答え申し上げます。
まず、大山委員あるいは秋岡委員から、他産業並みの所得、あるいはそれを実現する経営が農業生産の大宗を占めるということについてのご質問がございました。これについては、資料3の10ページをごらんいただきたいと思います。現行の農業構造の展望がありますが、これをごらんいただいておわかりのように、平成22年に一定の数の「効率的かつ安定的な農業経営」をつくっていく必要があるということがうたわれておりますが、その「効率的かつ安定的な」という言葉が非常に抽象的なものですから、これは一体どういうものなのかということが、この構造展望の中に明確に書いてございます。下から3分の1のところに「効率的かつ安定的な農業経営」と書いてありますが、他産業並みの労働時間で、他産業並みの生涯所得を得ることできるような水準の経営ということが明確になっておるわけでございます。
他産業並みという所得をベースに考えるのがいいのか悪いのかというご議論は当然あろうかと思いますが、ちょっと考えていただければわかるのですけれども、我々サラリーマンがいます、また工場の労働者がいます、自営業者もいます、いろいろな職業がある中で、そういったいろいろな産業を横断的にはかる物差しというのは、恐らく労働時間と所得との関係以外ないのではないかと思います。これは何も日本の農業者全員をこういう所得にしようということを言っているわけでは全くございません。平成22年の上の絵でごらんいただけますように、こういうような「効率的かつ安定的な農業経営」が我が国の農業生産の相当部分を占めるような、そういうマクロ的な構造をつくっていこうと言っているだけでありまして、この絵にも描いてありますように、その他の農家、販売農家や自給農家を全然否定しているわけではございません。そのような農家はもちろん今後とも存在することを前提にした上で、こういうような構造をつくっていきませんと、言ってみれば、我が国の農業構造全体が総崩れになってしまう。そうなってしまえば、大山委員のお話にもありましたように、自給率や耕地利用率の点から考えても非常に問題が生じてくる、そういう現行の構造に立った総合評価を申し上げているつもりでございます。
11ページのところをごらんいただきましても、先ほども触れましたが、効率的かつ安定的な家族農業経営のシェアというのが右にありまして、これが100%になるということはもとより想定していないわけでございます。こういうものが6割とか9割、ということは逆にいえば、それ以外のところは、そうでない農家、いろいろなタイプの農家がいらっしゃるというのは当然だと思います。そういったマクロ的な構造をつくろうということを政策の目安にしているということでございますので、準主業農家、副業農家を否定したり、あるいはそういった農家に対する施策を講じないということでは全くございません。また、地域ごとの違いがあるのは当然だと思います。都市近郊といろいろな地域で営農パターン、経営パターンが異なるというのは当然のことでございます。ここで申し上げているのは、マクロ的な構造の話を申し上げているということをまず申し上げたいと思います。
それから、秋岡委員から集中とか集積に非常に違和感があるというお話がございました。これについても、私どもがここで言っている効率的・安定的な経営が一定のシェアを持つというときに、国が、一方的、強制的にあなたにしますよとか、あなただけよというようなことで、そういった意味での集中と言っているわけでは全くございません。まさに秋岡委員がおっしゃっているとおり、その経営にふさわしい農家に農地を初めとします経営資源がきちんと供給されるような枠組み、インフラをつくっていくということが必要だということだと思います。ですから、ある人に特定して、その人が年をとったらどうなるという個別のことを言っているわけではなくて、マクロ的に、効率的かつ安定的な経営を行う方に資源が流動的に移転できるような枠組みをつくっていく必要がある。現にそういう枠組みが、水田農業を中心とした土地利用型農業では遅れているという認識のもとに、そういう施策を講じていく必要があるという意味でございます。
それから、関連しまして田中委員から株式会社の問題、あるいは集落営農の問題についてご意見がございました。株式会社の問題については、田中委員のようなご意見があることは十分承知しております。株式会社論については、田中委員のようなご意見もあれば、いろいろな懸念をおっしゃる意見もございます。そういった点で、まさに一定の条件、規制をかけた前提で導入を促進すべきという意見があることは承知しておりまして、まさにそういったやり方が農地制度の中で可能かどうかについて、先般も企画部会で議論いただいておりますし、今後とも農地制度全体の問題として議論がされていくと思います。
関連して、集中化、重点化といっても、そんなこと今までも同じではないかというお話もございました。これは一般論として申し上げれば、価格政策を中心としてやっている施策体系のもとではモノに着目するわけですから、モノに着目する以上、そのモノを生産される方は等しく扱うということは一般的に言えると思います。一方で、経営に着目するという場合には、どういう経営なのか、あるいは経営規模なのかということに着目して施策を講ずるわけですから、そこはモノに着目するのか、経営に着目するのかということで全然意味が違ってくるというふうに思います。
もっと言えば、米改革をきっかけにしまして、かなり具体的な要件、何ヘクタール以上というような施策体系を導入してきておりますので、そういったことをやることによって構造改革にドライブがかかっていく、そういう一定規模以上にならないと一定の施策を受けられないということになれば、当然皆がそのハードルを越えるような経営に移行していくようになることが期待されますので、そういう形で施策体系のあり方が変わってきているというふうに私どもは認識しておりますし、今後ともそういう方向の施策展開が一定程度必要ではないかということだと思います。
それから、集落営農についてのご指摘もございました。これについては私どももいろいろな形で調査をしております。私ども実際に地域に行ってみましても、地域によって本当にタイプが違います。販売まで一体的にやられているところ、また、ご指摘いただいたように水管理だけやっているところ、農業機械の共同利用までやっているところ、一元経理までやっているところ、いろいろございます。ですから、私ども日本全体で等しい形で集落営農が発展していくということは難しいと思っております。そういうことではなくて、現に担い手がいない、個別の経営者がいないところについて、田中委員おっしゃるように、規制緩和を進めていけば自動的に誰かが入ってくるはずだということもあるかもしれませんけれども、現にそういうふうにはなっていない地域もたくさんございますので、そういうところにつきましては農業を地域全体でやめてしまうというのもあるかもしれませんけれども、やはり一つの手段として集落営農を組織化する、法人化するということは考えざるを得ないと考えております。
それから、秋岡委員から、農地は確かに個人のものかもしれないけれども、一定の公的な意味があるので、そういった観点で耕作放棄地対策を考えろというご指摘がございました。まさにおっしゃるとおりだと思います。農地というのは、特殊な規制がかかっているわけでありまして、それも公的な意味があるからこそだと思います。そういった意味で、農地を農地として使わない場合、何らかの対策が必要だということ、これも企画部会でご議論いただいておりますが、この点については、個人の権利という根本的な問題がありますので、それとの関係、憲法にも触れる話かもしれません。そういったことがまさに議論になるということだと思います。
それから、森本委員からは、麦、大豆は日本に向いていない、あるいは飼料作物の振興が必要だというお話がございましたが、そういうことはあろうかと思います。こういった点については、今後なるべく経営に着目した施策に移行する過程で、どういうものをどういうふうにつくるかということは、なるべく個々の経営の判断にゆだねていくということが政策の方向ではないかと思います。
それから、大木委員から最後に3点ほどご質問がございました。女性の進出の評価基準については、今確かに審議会の中に占める委員の割合ということでやっておりますが、ご指摘のように、団体の役員等の中でのシェアということは考えとしてあろうかと思います。個別の評価の議論の中でどういった基準がふさわしいか、参考にさせていただきたいと思います。
また、法人のタイプ、株式会社、有限会社等のタイプがあるけれども、どれがいいのかよくわからないというご指摘がございました。これは商法等による会社の類型でございますので、一概にこれがいい、これが悪いという問題ではないので、農業にどれがふさわしいかということは一概には言えないと思います。
それから、農業者年金の加入者数が少ないというのはご指摘のとおりでございまして、私どもも可能な限り加入を促進したいと思っております。新制度にかわってまだ数年ですけれども、今後ともこれは重要な政策課題として加入者をふやしていくような対策を種々講じているところでございます。
以上でございます。
(今村座長)
ありがとうございました。
今の事務局からの回答にまだ質問、疑問があるかもしれませんが、時間の制約があるものですから、申しわけございません。それから、私も発言の機会がいつもないので、若干発言させていただいて、最後に皆さんのご意見を聞きながら締めをしたいと思います。お許しください。
お手元に「第7回政策評価会への若干のコメント」ということで、中身は釈迦に説法みたいな話を書いてあるのですけれども、いろいろ考えていること、それから、これからどうすべきかということはこのペーパーには書いてないので、今日ここでお話ししたいと思います。
いずれにしても、先ほど田中委員から言われた、歴史を少し考えてみろということは確かに大事なことです。戦後日本農業は、農地改革から数えれば還暦を迎えた、数え年でいえば還暦です。通過儀礼ごとの画期は非常にいろいろな問題があるわけです。そのことは別紙参考資料に書いてありますけれども、もちろんこんな千字そこそこでは書き切れないことがいっぱいあることはわかっておりますけれども、いずれ戦後の画期をはっきりさせた上で、将来に向けてどういう新しい提言をするかということは割と大事なことかもしれません。もちろん今日の報告のような事務局の整理を前提としながら、その上でもう少しいろいろと考えてみる必要があるだろうと思っております。いずれにしても、還暦を迎えて足腰は弱体化してきたのですが、しかし、それなりに智力はあると思っております。情熱もありそうだと思っております。
その上で、日本の農業・農村の基底を考えておく必要があるのではないかというふうに私なりに考えております。農村を構成してきた個と集団について考察が必要ではないか。その構図は、細かく言いませんが、個と集団、大きく2つに分けられます。個という場合は「イエ」と「ヒト」です。集団という場合は「地縁集団」と「機能集団」というふうに大別しながら、この関連を一体どういうふうに考えていくかということが、かねてより私には関心があったことでございます。
さて、「イエ」というのは農家のことです。もちろん単純に農村のことだけに限定します。日本の農家は、家督、家産、田畑山林家屋敷という家産、それから、農業という家業を長男が一括して継承あるいは相続し、次三男は排出してきたのが、日本の慣行として連綿として続いてきました。戦前は、明治民法の規範があり、それから、戦後の新民法になってもそういうことで来ましたし、特に高度経済成長、1950年代後半から80年ごろまでは、猛烈な勢いで次三男が都市、企業へ排出されていきました。集団就職に象徴されるように。
80年代半ばぐらいでそういうのは終わったのですけれども、都市の方で、もはや排出された次三男層は再生産されるようになってきた。この戦後の数十年というのはほかの国では見られなかったような動きだったろうと思います。その結果として、日本の農村は長男社会、あるいは長男集団、膨れ上がった都市や企業は次三男集団という刻印を押すことができると思います。ここのところになかなか難しいところがあるわけでございます。
農地改革の折にも、家、所帯を単位としたものに農地を配分することということになっておりまして、そういうことがいろいろ重なってこうなってきました。
ところが、個という場合、他方で「ヒト」があります。いろいろな個人、その組み合わせということです。青年、中堅、女性、あるいは高齢技能者。なお、ついでながら、私「高齢者」とは言いません、「高齢技能者」、優れた技能を持っております。それから新規参入者、Uターン等々、いっぱいあります。あとでこの問題についてはまた触れます。
集団は、大別すると「地縁集団」と「機能集団」、もちろんこのほかに数え方がありますが、一応こう分けて、「地縁集団」は「イエ」連合としての集落、あるいはムラ(集落連合)というのがあります。これは基礎集落から小字、大字、あるいは今で言えば学校区、行政村というふうないろいろなレベルがあり、広がりを持っておりますけれども、これを地縁集団としております。
それから「機能集団」は2タイプあるように思います。地縁集団に基盤を置く組織と、地縁集団に必ずしも基盤を置かない、あるいは全く無縁の組織というのがあると思います。
以上ことを前提にしながら、これからどういうふうに、特に構造問題、それからまた当然土地利用のあり方などの問題にもかかわってきますし、あるいは自給率にかかわる生産供給側の問題にもかかわってくる問題です。
そこで「イエ」というものについて、農家の変貌を踏まえていかに再構成するかということをまず考えてみたいと思います。この問題については、今日いただいた提出資料3などにも、センサスデータに基づいて巨細に分析されております。もちろん不十分なところもありますけれども、基本的には分析されております。
それから、「家業」の担い手の高齢化、担い手の欠落、「家業」の自給生産化(商品生産の停止)というような実態についての統計分析も、これもセンサスデータなどでかなり明解になっております。
また、「家産」の継承者が不在、あるいは他出してしまって、耕作放棄地の不在地主化、これは特に西日本、近畿、中四国、九州で顕著でございます。その辺のこともある程度実態が明らかになっております。ただし、不在地主になっているかどうかというあたりはわかりませんけれども、私が西日本各地を歩いてみますと、この問題はかなり難しい問題であります。これから調べていかなければならないだろうと思います。
しかし、「家業」を市場に適切に対応して改革し、規模拡大している農家の姿が必ずしも明確ではないということです。量的には明らになっても、質的にはよくわからない。認定農業者制度の再検討とその中身、さらなる充実、拡大というところにとどまっているのではないか。この中身の質的分析をどういうふうに展望に生かすかということが、これは難しい問題ですけれども、量だけではなかなかわからない、問題がいっぱいありそうだということでございます。
(5)土地利用型、特に水田農業の規模拡大は1960年代末から多様に展開する中で、農地法改正、70年改正あるいはその後の75年の利用増進事業、80年の利用増進法になっていくわけですが、それ以前から、私若いときに相当よく実態を調べたのですけれども、農地法上のヤミ小作、請負耕作でどんどん伸びてきておりました。それがもちろん世代交代しながら今日にずっと続いている部分がかなりあるのですけれども、その当時の実態、70年代から80年代の実態を総括してみますと、借地の規模拡大とともに耕地分散が激化して、一定規模、当時は、地域によって違うのですが、5haあるいは6haぐらいまでいくとコスト・カーブが下がっていたのが反転上昇するという事態、これはかつて統計分析などでも論証してまいりましたが、水利あるいは資源管理の困難性も増大する。
こういう矛盾を解決するために、私は論文では、「個別的・自主的・自己選別」の論理から「集団的・自主的・自己選別」への転換を、そのころ出しておきましたけれども、これは後で申し上げますが、その当時実態調査をして、詳細にした分析した農家の皆さん方は、規模拡大農家は、今日ではかなりの部分、私が直接当たったかなりの方々が法人化、個別経営の法人化もあるし組織的な法人化、いろいろタイプがありますけれども、かなり質的転換をはかり、それでさらに伸びていっています。「集団的・自主的・自己選別」の路線をとっている人たちが伸びてきているのも事実でございます。もちろんこれは量的に把握することはかなりむつかしいのですけれども、質的にはそういう問題を持っております。
ただし、(6)ですが、女性は一体どうなのかということが問題です。法人化すると女性が役員になったりして、当然報酬、月給、それも地位によっていろいろ違いがありますけれども、もらうようになりました。かつては「イエ」に従属して只働きしていたわけです。しかし最近は「イエ」に従属しない特有の価値観-女性はよそ者ですから-行動規範を持つ人が非常に多くなってきている。女性起業を今やられている方々は、父ちゃんがよいよいになったり、いろいろな家庭の事情で女性が急激に力を伸ばしている。持っている潜在力はあるわけです。この辺の問題をどうするか。
次に、4.地縁集団の特質について考えてみたいと思います。その基本は集落=「イエ」連合、地権者集団と言ってもよいと思います。そして長男集団の特質を持ちます。ついでながら私、長男、長男と悪口を言っているみたいに聞こえるかもしれないのですが、長男は決して悪いわけではないんです。ただ、一番困るのは、新しいことへの改革の第一歩を踏み出そうとしないのです。「イエ」意識を背景に非常に逡巡するのです。保守的かというと、保守的でもなく、守旧的、古くを守るということです。特に農村の長男が集団となるとここのところが非常に難しいところです。しかし、長男集団も高齢化時代を迎え、いろいろガタが来ていることは事実であります。それは統計分析的には今日のいろいろな資料でよくわかるところです。
「ムラ」は集落連合です。ただし、近年の混住化の進展や構成員農家の変質の中で、かつての生産、生活一体の姿から、生活視点重視への運営へ地縁集団の運営は大きく変化してきております。このあたりの実態をどういうふうに生産面に転化させるかという問題が重要になってくるかと思います。このあたりの問題が、全国でもう主業農家は一戸もないという集落が5割を占めているという実態、データ的にはそうなのですが、その中身はどうなっているのかということがなかなかよくわからないというところがあります。しかし、いずれにしても、生活面からの運営へということの変化は見て取れると思います。この生活視点重視の運営の中で、男ではなくて女性がリーダーシップをとるというふうな変化も見られます。
5.機能集団の考察とその評価。機能集団を重視すべきではないかと書いてあります。機能集団は、大別して、地縁集団に基盤を置く組織(A)と、地縁集団に必ずしも基盤を置かない組織(B)とがあると考えております。(A)に当たるものの典型例は土地改良区、あるいは水利組合、農協なども、地縁集団に基盤を置く。農協については、そもそもの産業組合の発生から見ると「ムラ」を基盤に発生してきている。そういう意味では、地域をまとめて産業組合になる、それから政策的にもそういうことで設立されてきた組織が多いと思います。
そのほかに政策的、制度的に設立された組織が非常に多い。それは特に米あるいは水田ということを基盤にいろいろな形の地縁を基盤に機能集団が組織されてきた。農用地利用改善団体、これは75年の農振法改正による農用地利用増進事業から始まるものですが、今の基盤強化促進法にも影が薄くなったものの受け継がれておりますけれども、農用地利用改善団体とか、特定農業生産法人など、政策的、制度的に歴史上割と新しいものもこの中には入ってくると思います。
農用地利用改善団体と特定農業生産法人などは、(A)と(B)をまたぐといいますか、そういう性格を持っているように思っております。なぜそういう制度がつくられたのかというのは、私も勉強不足かもわかりませんけれども、必ずしも明解にわからないところもあるのですけれども、こういうことはこれからの農業構造改革の展望を考えるときに非常に大事かと思います。
それから、(A)のタイプに入るのは、自主的につくられたものとしてはJAの青年部、女性部などもあるし、集団転作組織、あるいは麦作組合など、いろいろなものがあります。
それから、(B)に当たるものは多様にあります。歴史的に古いものは、野菜や果実などの出荷組合、JAの生産部会、これらは必ずしも地縁にまとまっていない。(A)に含まれていたものやそこから派生したもので、広い意味での地域に根差しているものの必ずしも地縁集団に密着していない多様な農業生産法人、あるいは女性起業や多様な直売所、さらにはNPO法人、最近ふえてきております。特区における農業参入法人など多様に存在し、増加傾向にあります。田中委員の言われた株式会社の参入問題の関連で言えば、農業参入法人、あるいは参入希望法人などはここに位置づけられるのではないかと思います。
6.個か集団かというふうに対立的にとらえるのではなく、個と集団の新たな時代の新たな結合による活力と展開の方向を見出せないだろうかというふうに考えております。当面する課題を骨太に述べますと、個と集団の関係を、「個か集団か」ではなくて、個と集団をいかに有機的に結合させ農地の有効利用を促し、資源と環境の保全に努め、地域農業の生産力を高め、変貌激しい市場経済に適応させ-ここのところが大事なのです-「変貌激しい市場経済に適応させる」ということがなかなか難しいのですが、地域の活力を生み出し、その上で食料の自給率を結果として高めるところにあるというふうに考えております。
こういうことをやるためには、範囲は基礎集落ぐらいでいいのか、あるいは今日の機械化を初めとする技術水準を考えると、小字では小さい、大字ぐらいがいいのか、あるいはもはや面識集団としての学校区を単位に考えなければならないか、機能集団を展開する範囲をどう考えるべきか、この辺の広がりをどう考えるかということは、この構造政策についての望ましい農業構造の文章を読んでみても、どういうふうに地域とその主体、新しい望ましい農業生産主体を組み合わせるかということは、どうも私が読んでみてもピンと来ないというか、そこら辺が明確に出てきていないように思いました。
(2)ですが、そのためには、「イエ」だけにこだわらず、つまり政策的、制度的には「認定農家」に社会性をより拡充する方向、個別経営の法人化の方向などの推進が必要ではないか。これは直接支払いを前提にするときには、公開性、透明性、公平性、公正性、が当然要求されることになります。つまり対外的に、国民に対して、あるいは納税者に対して、この公開性を初めとする問題は必然的で重要な課題になるだろうと考えております。そういう意味で、ただ、おれは農業をやっているんだ、だからもらう権利がある、大規模経営をやっているんだからということだけでは済まないのではないかというのが私の考えです。
(3)さらに、農地所有者集団に機能集団の役割も果たしているような農用地利用改善団体の機能を再評価し、法制度的にもその強化に努め、多様な能力を持つ「ヒト」、つまり人材の再編成、人の再構成、新たな組織化による農業法人の設立促進に向けた政策路線が求められているのではないだろうかと思っております。
そういう意味で、もちろん認定農家、「イエ」というのを否定はしません。これはかなりの力量を持っていることはわかっておりますが、しかし、それができない地域、あるいはそれだけではうまくいかない地域がいっぱいあることもわかっております。そうすると、「ヒト」を単位として、農業法人というのは「イエ」を単位とする場合もありますけれども、「ヒト」を単位として再組織、再編成しているという事例が割と多いので、そういう「ヒト」の持つ多様な能力を活かしていかなければならない。
特に地域水田農業ビジョンの策定とその実践の実態を、私幾つかの地域を歩いて調べているのですけれども、一番気になるのは、稲と大豆と麦の話ばかり出てきまして、そうではない、もう少しふところを広くして、法人をつくって、高齢技能者である年寄りだとか女性、この方々の技能や智恵、エネルギーを活かす、つまり米よりもうかるものがいっぱい転がっているじゃないかということをつくづく言っているわけです。そのためにも、市場適応力を高めてやっていかなければだめなのではないかと強調しているのですが、そこまで目がまだ行っていないところが多い。行っているところももちろんありますけれども、法人化して、できれば私の提唱する六次産業化まで持っていくというふうな、ふところの深い法人をつくっていくしかないのではないかというふうに思っております。
(4)集落営農の促進がJAグループから強調されているが、当面の対処方策であっても3年先、5年先の展望は描き得ないと考えております。高齢化の進展、構成員間の多様な利害調整の困難性、市場経済への適応の困難性、この市場経済への適応の困難性などは、いろいろ実態を見ておりますと多いということです。多くの矛盾を内包しているように思われます。
(5)恐らく集落営農は早晩、先進地域では特定農業法人などへと転化、発展していくということになるのではないかと思っております。
最後の、共益、私益、公益の話は、私が若かりしころ、30代の末ごろ、東畑四郎さんを中心に若手の研究者が集まり議論を随分やりました。75年の農用地利用増進事業の策定に至るまで随分やりました。あのときに議論したことは今考えてみる必要があると思うのですが、その一端は参考資料を読んでみてください。新農構のときの東畑メモが入っていますけれども、あのときは主体をどう考えるかということまでは、必ずしも詰められていないけれども、私なりの考え方は先ほどの法人化などを含めて申し上げました通りで、当時はなかなかそこまでは、当時の制度的、政策的状況のもとでは議論はいきませんでした。
しかし、こういうことを推進するためには、これが政策論になるかどうかは別として、一番大事なのはリーダーです、あるいはコーディネータです。結局、この人たちがうまくやっていく。それも客観情勢等を見ながら新しい路線をつくりかえていく。では、どういう人がやっているかということは一番気になるのですけれども、長男でも、若い時から兼業してほかの役所に勤めたり、農協に勤めたり、あるいは普通の企業に勤めたりして、その人たちが市場経済の荒波に洗われてきて、社会全体がどういう変貌をしているか、我々はどう改革しなければならないか、新しい方向に行かなければならないかということを体得する。理論的に必ずしもはっきりしているわけではないのですが、体得している人たちが非常に役に立っているように思います。だから、いろいろなところの定年帰農者で、優れた人たちに再活躍してもらう方が早いかなというのが実感的な改革論でもあります。
もう1つは、農政は、経営政策課長も言われましたが、価格政策、大小にかかわりなく価格政策、米価政策、麦価政策でやってきたわけですけれども、やはり品目横断的な直接支払いをやるんだったら、こういう方向でやるというシグナルをできるだけ早く明確に掲げる必要がありそうだということを思っています。それが一つの発火剤になって新しい方向へ進むのではないかと思っております。
それから、耕地利用率の問題について言えば、西日本、特に中国、島根、鳥取、それから山口、九州、私の生まれたところの大分では、耕作放棄地に牛を放牧しろ、里山を含めてやれとかねてより指導してきました。牛の「舌刈り」、人間が手で刈る「下刈り」ではなくて、牛の舌で刈る。500キロの牛は、毎日青草を体重の1割、50キロ食べますから、またたく間にきれいになっていくわけです。機械が入らないところでもやってくれる。しかし、放牧になれた牛がいなければなかなか草を食べてくれません。リーダー牛を畜産試験場にどんどん供給しろと。「レンタカー」ではなくて「レンタカウ(Rent A Cow)」と言っているのですが、それを徹底しろと。「舌刈り」と「レンタカウ」を一生懸命説いているのですが、随分広がってきました。
耕作放棄地がふえてきたということに対する解決策であり、自給率向上の有力な手段ですし、それから先ほど森本さんも言われたホールクロップサイレージなどの飼料稲の問題も含めてもっと考える必要があるのではないか。それは麦、大豆でできるところもあるかもしれませんけれども、水田でホールクロップサイレージ用の稲をつくるとか、水田そのものに放牧をするとかというふうな、新しい斬新な考え方が必要ではないかと思っております。
いずれにしましても、私は、画一化は反対です。私の信念として、「多様性の中に強靱な活力が育まれる」というふうに考えております。画一化は弱体性しかもたらさないと思っております。しかし、こういうことを言うと、政策としてはそう簡単に多様性ばかり言えないぞということで反論されるかと思いますけれども、しかし、各地で新しいことをやるのは多様な方向があってもいい。法人も同じものではありません、つくっている中身も違います。そういうことを含めて、今まで農家というのは本当に画一化してとらえていたと思います。画一化の中からは新しいエネルギーは出てこない。
ちょっと釈迦に説法みたいなことを言いましたけれども、この先は改めて別の機会に少し展開してみたいと考えております。貴重な時間をとってしまいましてどうもすみません。後でレジュメを眺めて、今度別の機会に個人的に大いに議論をふっかけてもらえればと思います。また、農水省の皆さんも、今日は時間がありませんが、何か言いたいことがあれば、言いたい放題で終わるのもまずいですから、幾らでも受けて立ちますから、どうぞ議論を吹きかけていただきたいと思います。
田中先生、いかがでしょうか。
(田中委員)
歴史から現状までよくわかります。特に集落営農と、私は先ほどああいうことを言いましたが、先生が言われるように、こういうふうになればいいなと思うのです。それから課長が説明されたように、そういうことも出てくればいいと思うのです。ただ、なかなかそうは行かないというのが多いんです。
(今村座長)
私もそう思います。
(田中委員)
集落営農だけではしようがないので、一歩進んで、それを法人化するということが必要ですし、秋岡さん言われたように、本当に多様な方が、今多様こそ力だとおっしゃいましたけれども、本当にそうだと思います。
問題は、要するに、農地が農地としてますます活用されて、農業が発展すればいいわけですから、誰でなければいけないということはない。集中と集積を言われましたけれども、余り集中すると危ないような気もしますけれども、いろいろやってみられることは結構だと思います。
(今村座長)
特に野菜など、個別品目でいえば、実需者あるいは加工食品産業、これに対応できていないのです。生鮮食品は個別農家でも、何か集めてくれば、農協レベルでできないわけではないけれども、原料供給的なところをどうしたらいいかということを、生産の広がりと集積をどう持つかということなどを少し考えております。
(田中委員)
お話を伺いながら、この間都市農業を見学しましたが、ああいう人たちがまだ個人の段階にとどまっているでしょう、仲間ですよ。仲間でお互いに励まし合いながらそれぞれ専門のことをやっているのですが、それぞれのことで法人化するとか何かしないと、30代、40代の若いときはいいけれども、森本先生などはどういうふうに考えておられるのか。
基本的に農業というのは、それ自体が容易ではないんです。生産の技術、その生産も多方面あるでしょう、それからマーケティング、経営自体も物すごく能力を必要とします。その上パソコンもITもということで、本当に総合科学みたいなところがあるんです、農業というのは。だから、とても一人の農家がどうのこうのということはなかなかできないだろうと思うのです。だから、いろいろな形で法人化を試みながら、耕地を有効に使い、環境も保全し、欲張ったことを言いますけれども、そうならないかなと思っております。
(今村座長)
今まで数例ありますけれども、法人の傘を広げまして、例えばじいちゃん、ばあちゃんがやる野菜生産部、智力と体力、技術力の米生産部、畜産部とか、それぞれが全部独立採算で、一種の事業所にしまして、それで法人が全体を統合するということをやれば、東京都の皆さんもそれをやったらいいと思うのです。それぞれ独立にやって、連結決算をやればいいわけですから。
(田中委員)
持ち株会社みたいなもので、それをまた個別の会社、専門的な法人で。
(今村座長)
そうしますと、市場対応も、内部の調整も割とうまくいくかもしれない。今は自作農主義の延長線上の法人的な性格が強い、法制度的には。
(田中委員)
法人にとどめておけば、1つずつの経営自体なかなか多様ですから、それをもう少し上げる方法を考えなければいけないのではないかと、今皆さんのお話を伺いながら、あの都市農家のことを思い出し、やはり見学というのは必要ですね。
(森本委員)
農業生産に関する課題のところに一言入れられるんだったら入れてほしいと思ったのは、生産性の向上、品質の向上等とありますが、今の集落営農とも関連するのですが、今産地ビジョンで集落営農、経営体をつくりなさいというふうになっています。その集落営農というのも、今年阿蘇が長雨で稲刈りができないような状況で、結局集落営農でする場合に、一番最初に刈った人の米は1等米で売れた、最後の人の米は全然売り物にならなかったというような状況があるわけです。そうなってくると、集落営農という任意団体ですと、「もう来年はやめた」になってしまうわけです。そのためには、目的意識を持った法人化とかというのはすごく大事です。
そうなってくると、自分の土地を自分の土地というふうに思わないで、全体的な中でのプール計算あたりをできるような集落営農にまで持っていかないとできない。そこで一番問題になってくるのは、最初に言いましたように、大豆でも麦でも何でもいいのですけれども、安定供給というのを当然入れるべきではないか。これから市場原理になっていくときに一番大事なのは、今まで何年か大豆をつくってきた。しかし、もう来年からはやめましたとか、そういうことが農家サイドには多かったような気がするのです。だからこそ、逆に言えば、品質も当然いいもの、ただ、その中で一番は実需者と生産者が信頼関係の中で安定的にその品物を供給するという体制をしっかりつくっていくということが大前提にならないと、いろいろな形の中で産地化をしようが、団地化をしようが、ブロックローテーションをしようが、最終的には、そこの企業的な発想できちんとした契約で成り立つような、そういった法人化に結びつけるような形にならないと意味がないような気がするので、そういう文言も、そちらの方で考えていただければと思いますが、「等」の中に別枠で入れていただいた方がわかりやすいのかなと思いました。
(今村座長)
それでは、その辺、ご配慮ください。
(林食料企画課長)
確かに今森本委員からお話がありましたように、いかに国内農業が消費者の方とか実需者に受け入れてもらえるのか。特に最近の動きとしては、農産物が生鮮食料品としてとられるよりも、食品製造業ですとか、あるいは加工業ですとか、外食事業者ですとか、そういった過程を経て消費されるということがありますから、そういう中では、当然のことながら、森本委員おっしゃったような安定供給ということは一番重要なことだと思っております。私どもここでは、確かに品質とか価格とか、そういったことは記述しておりますけれども、一番大事な安定供給というのが明確ではありませんので、そこは直したいと思っております。
(秋岡委員)
今村先生から今伺ったお話の3ページ目のところの直接支払いを前提とする公開性、透明性とありますが、その中の公平性というのは、農家の人の間における公平性と他産業間との公平性、公平感みたいなことも当然入ってきますよね。その辺がすごく難しいなと思うのが、先ほどの農業所得の話でも、所得層が低ければ低いほどエンゲル係数というか、食費の支出が多いですよね。でも、農家の場合には、所得層が低くても自分でつくっている分があるとかということで、単純に比べられない問題とか、あと、高コスト構造で苦しんでいるのは農業だけではなくて、町工場でも、技術力が上がってきた中国の工場でつくってくるものと自分たちがつくっているものとの競争を強いられていて、もう閉じてしまったり、倒産しているところも物すごくあるわけです。そういう人たちも納得してもらえるような考え方の基準づくりとか、統計として比べるときに、同じ基盤で統計をとって、だからこうですよということで比べられるものが、農業は特殊だということでなかなかなかったので、その辺もすごく難しいのかなというのが感想です。
(今村座長)
農業の中だけでの公平性だけではなくて、ほかの産業分野との間での公平性も十分考えろという意味ですね。
(秋岡委員)
はい。
(今村座長)
そのほかございますか。
3.閉会
(今村座長)
特にございませんでしたら、時間も5時前になってしまいました。勝手なことばかり申し上げまして、おわびいたします。今日話したことは、実は田中先生は行かれないのですが、広島へ行って、現地で皆さんとまたいろいろ調査しながら議論を深めたらいかがかなと思っております。
それでは、今日はありがとうございました。