卸売手数料問題について(未定稿)
平成12年4月18日
第9回食品流通審議会卸売市場部会配付資料
I 卸売手数料の経緯等
1.手数料率の改定の経緯
(1)中央卸売市場制度は、物価沈静を目的に大正12年に中央卸売市場法の制定により創設された。その際、従前、問屋が口銭として徴収していたものを手数料として位置付け、従来の率よりも低減するため、最高限度の基準を示した。
(具体的には、開設者が業務規程に最高限度率を定め、卸売人が開設者の承認を受けて率を定めた。「最高限度率制」。昭和9年の東京都の例では、青果・水産物とも業務規程上の限度率は10/100。)
(2)その後、戦中戦後の種々の経済統制により、卸売手数料は青果5%、水産物3%とされたこともあったが、経済統制の撤廃(昭和23年~25年)後、卸売手数料は、蔬菜10%、果実8%、水産物6%の率で開設者の承認を受けるものが一般となった。
(3)昭和33年に中央卸売市場法を改正。内容は卸売人の過当競争の激化に伴い、取引について業務規程上でその規制を図り得るようになり、手数料については「定率制」を定めうることとなった。
(具体的には、業務規程で定める率以内で開設者が規則等で定める率での取引となった。このとき蔬菜10%、果実8%、水産物6%。)
・中央卸売市場法第3条第2項の改正「開設者は中央卸売市場に於る業務の適正且健全なる運営を確保する為必要あるときは業務規程を以て卸売の業務を為す者の数の最高限度又は卸売の業務に係る取引方法に関する制限を定むることを得」
・東京都中央卸売市場業務規程 第25条(販売手数料の制限) 卸売人が委託者より収受する販売手数料は、売上金額に百分の十以内において知事が定める定率を乗じて得た金額とする。
・同条例施行細則第23条の2(販売手数料の率) 業務規程第25条の知事が定める定
率は次の表のとおりとする。
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| 取扱品目 |
定率 |
生鮮水産物及び加工水産物
そ菜(きのこを含む。)及びその加工品(つけ物を除く。)
果実及びその加工品
つけ物
鳥 卵 |
100分の6
100分の10
100分の8
100分の8
100分の1.5 |
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(4)昭和38年には生鮮食料品の物価対策の必要性から、生鮮食料品流通改善対策要綱(昭和38年7月閣議決定)が定められ、中央卸売市場に係る手数料率を引き下げた。
(具体的には、野菜10%→8.5%、果実8%→7.0%、水産物6%→5.5%に引き下げ、各種奨励金の支出抑制等もあわせて実施。)
(5)昭和46年に卸売市場法を制定。このとき、手数料率については、旧法時代のあり方を踏襲し、昭和38年の閣議決定を踏まえ、各開設者の業務規程において手数料率は引き続き「野菜8.5%、果実7.0%、水産物5.5%以内において規則で定める率」とされた。
2.現行の手数料率等
(1)手数料に関する卸売市場法の規定
卸売市場法(昭和46年法律第35号)
(委託手数料以外の報償の収受の禁止)
第41条 卸売業者は、中央卸売市場における卸売のための販売の委託の引受けについて、その委託者から業務規程で定める委託手数料以外の報償を受けてはならない。
中央卸売市場業務規程例(平成11年農林水産省食品流通局長通知)
(委託手数料の率)
第58条 卸売業者は、卸売のための販売の委託の引受けについてその委託者から収受する委託手数料は、卸売金額に取扱品目毎に次に掲げる率以内において規則で定める率を乗じて得た金額とする。
野菜及びその加工品(つけ物を除く。) 100分の8.5
(以下略)
(2)現行の手数料率
東京都中央卸売市場条例(委託手数料の率)
第82条 卸売業者が卸売のための販売の委託についてその委託者から収受する委託手数料は、卸売金額(卸売をした物品の卸売価格に数量を乗じて得た金額の合計額とする。)に取扱品目ごとに次表に掲げる定率以内において、規則で定める定率を乗じて得た金額とする。
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| 取扱品目 |
定率 |
生鮮水産物(海そうを含む。)及びその加工品
野菜(きのこを含む。)及びその加工品(つけ物を除く。)
果実及びその加工品
つけ物
鳥肉及び鳥卵並びにこれらの加工品
肉類(鳥肉を除く。)
肉類の加工品
規則で定めるその他の食料品
花き |
100分の5.5
100分の8.5
100分の7
100分の8
100分の1.5
100分の3.5
100分の1.5
100分の5
100分の9.5 |
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東京都中央卸売市場条例施行規則(委託手数料の率)
第63条 条例第82条第1項の規定による規則で定める定率は、次のとおりとする。
(「次のとおり」は条例第82条第1項の次表と同じ。)
[1] 食肉の委託手数料については、昭和33年に大阪市に初めて食肉の中央卸売市場が設置されたが、その当時大阪市のと場で行われていた委託手数料率が3.5%となっていたため、そのまま最高限度手数料率として業務規程で定められた。その後、昭和33年の中央卸売市場法の改正後、33年11月から最高限度手数料率制から定率手数料制に改まり、3.5%として現在に至っている。
[2] 花きの委託手数料については、昭和48年に仙台市、横浜市に花きの中央卸売市場が創設された際、従前の花きの市場の水準(10%)を勘案し、9.5%とされた。以後開設される市場について同率の9.5%の運用がされているところである。
(3)出荷奨励金
卸売業者が出荷取引に当たって、出荷の奨励等(出荷の計画化、規格・包装の改善の奨励等)のため、出荷者又はその組織する団体に対し支出する交付金。開設者が奨励金等の交付に関する承認要領等で定めている。
青果物:卸売業者単位に年間総取扱高の10/1000を上限(ただし、野菜については、出荷団体には、前記の範囲内で当該出荷団体の年間総取扱金額の17/1000を上限に傾斜配分。)
水産物:過去3ヶ年平均の交付実績の範囲内で、開設者が定める限度内。
食 肉:卸売業者単位に年間総取扱高の11/1000を上限
花 き:卸売業者単位に年間総取扱高の1.5/1000を上限
※青果物、水産物については、農林事務次官通達によりその支出限度額等が定められている。
中央卸売市場における生鮮食料品の流通改善対策の実施について-抄-
(昭和38年7月24日 38農経A第5565号 農林事務次官通達(開設者あて))
第4 卸売人の手数料率の引下げ等
2 荷主交付金の規制の強化
(1) 荷主交付金の範囲(略)
(2) 統制の方針
荷主交付金は、過去3カ年(昭和34事業年度から昭和36事業年度まで)平均の交付実績額の範囲内で開設者が定める限度内において規制するものとする。
中央卸売市場青果部卸売人の出荷奨励金交付要領-抄-
(昭和43年9月24日 43農経C第982号 農林事務次官通達(開設者あて))
第3 規制の基準
1 出荷奨励金の支出限度額
出荷奨励金の支出総額の限度は、開設都市ごとの定率制をもつて定めることとし、その都市の中央卸売市場の青果部卸売人の当該年度の年間総取扱高に1,000分の10または各開設者の定める昭和42年度の最高支出限度の率に1,000分の2を加えた率のいずれか低い率を乗じて得た額とする。
2 出荷者に対する出荷奨励金の交付率
出荷者に対する出荷奨励金の交付率は、そ菜、果実別に物品の規格化、荷口の大型化等の程度に応じ次の基準により定めるものとする。
(1)最高交付率とその適用を受ける出荷者
ア 最高交付率は、そ菜1,000分の17、果実1,000分の10とする。
中央卸売市場業務規程例-抄-
(平成11年10月1日 11食流第3083号 農林水産省食品流通局長通知(開設者あて))
(出荷奨励金の交付)
第60条 卸売業者は、当該市場における取扱品目の安定供給の確保を図るため、市長の承認を受けて、出荷者に対して出荷奨励金を交付することができる。
(4)完納奨励金
卸売業者が売買取引に当たって、販売代金の早期納入の促進等のため、買い受け人又はその組織する団体に対し支出する交付金。開設者が奨励金等の交付に関する承認要領等で定めている。
青果物:卸売業者の年間総取扱高の10/1000の範囲内で開設者が定める限度内。
水産物:卸売業者の年間総取扱高の4/1000の範囲内で開設者が定める限度内。
食 肉:卸売業者の年間総取扱高の3/1000の範囲内で開設者が定める限度内。
花 き:卸売業者の年間総取扱高の2/1000の範囲内で開設者が定める限度内。
※青果物、水産物については、農林事務次官通達によりその支出限度額が定められている。
中央卸売市場における生鮮食料品の流通改善対策の実施について-抄-
(昭和38年7月24日 38農経A第5565号 農林事務次官通達(開設者あて))
第4
3 売買参加者交付金の規制の強化
(1) 売買参加者交付金の範囲(略)
(2) 規制の方針
売買参加者交付金は、青果10/1,000、水産4/1,000の範囲内で開設者が定める限度内において規制するものとする。
中央卸売市場業務規程例-抄-
(平成11年10月1日 11食流第3083号 農林水産省食品流通局長通知(開設者あて))
(完納奨励金の交付)
第63条 卸売業者は、卸売代金の期限内の完納を奨励するため、市長の承認を受けて、買受人に対して完納奨励金を交付することができる。
II 他の手数料等の動向
1.証券取引
株式の売買委託手数料については、証券取引法第131条に、証券会社は有価証券の売買につき委託手数料を徴すべき規定が置かれ、その手数料率は各取引所の受託契約準則により定められてきた。その後、証券取引審議会報告において「我が国の証券市場の健全な発展を図る見地から、基本的に手数料の固定制について見直しが必要である」との報告(平成4年1月)を受け、まず平成6年4月に大口取引(売買代金が10億円を超える取引)について自由化され、さらに規制緩和推進計画(平成9年3月閣議決定)及び証券取引審議会報告(平成9年6月)の「手数料の完全自由化を進めるべき」との指摘を踏まえ、段階的に自由化が進み、11年10月から完全自由化されている。
・6年4月~:売買代金が10億円を越える取引部分の手数料について自由化
・10年4月~:自由化部分を売買代金10億円超から5千万円超まで引下げ
・11年10月~:完全自由化
2.商品取引
商品取引の委託手数料については、商品取引所法第97条に、商品取引員は商品取引の受託につき委託手数料を徴すべき旨の規定が置かれ、委託手数料の額は各取引所の受託契約準則により定められてきた。その後、商品取引所審議会の「国際競争力のある取引コスト水準の実現を図るため、2000年以降可能な限り早期に完全自由化することが適切」との答申(平成10年1月)を受け、平成10年の商品取引所法の改正により、平成16年末までに段階的に自由化を進め、それ以降は完全自由化し、平成16年末には手数料徴収義務規定を削除(商品取引所法の一部を改正する法律(平成10年法律第42号)附則)することとしている。
・平成10年末~:インターネットによるホームトレード、商品投資顧問業者に係る取引を自由化
・平成14年末~:取引全体の約10%を占める取引を「大口」として自由化
(約300枚、約定代金3億円相当)
・平成15年末~: 〃 約50%を占める取引 〃
(約50枚、約定代金5千万円相当)
・平成16年末~:完全自由化
(注)大口取引水準について、上記の数値は参考指標であり、平成14年に再調査を行い具体的水準を決定する予定である。
3.預金金利
預金金利については、昭和22年に施行された臨時金利調整法に基づき、その最高限度が規制されていた(規制金利体系)。この最高限度が当初は預貯金の種類・期間別に細かく定められていた。その後、昭和55年以降、この最高限度は金利の弾力化を図るため簡素化され、代わって日本銀行政策委員会が法による告示の範囲内で「ガイドラインとしての預金細目金利」を決定し、これによる上限が実際の適用金利となる時期が長く続いた。
しかしながら、世界的な金利自由化の流れのなかで、我が国においても法に基づく金利規制の適用除外範囲の拡大といううかたちで預金金利の自由化が進められ、平成6年10月以降は当座預金の付利禁止を除き預金金利は完全に自由化された。
<定期預金:1,000万円以上>
・昭和60年3月:市場金利連動型預金(MMC)の導入
(最低預入金額5,000万円)
・ 〃 10月:預入金額10億円以上の定期預金金利自由化
その後、自由金利定期預金(大口定期)、MMCの最低預入金額の段階的引き下げにより金利自由化が進展
・平成元年10月:大口定期の最低預入金額1,000万円となる。
(最低預入金額が同額となったため、MMCは事実上廃止)
<定期預金:1,000万円未満>
・平成元年6月:スーパーMMC(小口MMC)の導入
(最低預入金額300万円→3年4月までに50万円まで引下げ)
・平成3年11月:自由金利定期預金(小口定期)の導入
(最低預入金額300万円)
・平成4年6月:小口MMCの最低預入金額撤廃
・平成5年6月:小口定期の最低預入金額撤廃(小口MMCの廃止)
→定期預金の自由化達成
<流動性預金>
・平成4年6月:貯蓄預金導入(最低預入残高(40万、20万円)の設定や自動振替を禁止する等決済性に制限を課す一方、その分普通預金より金利を高めに設定)
・平成5年10月:貯蓄預金の最低預入残高の引き下げ
(40万円→30万円、20万円→10万円)
・平成6年10月:完全自由化
4.金融先物取引
金融先物取引に関しては、手数料の徴収義務に関する規定はない。
委託手数料は取引所の受託契約準則により上限額が設定され、その範囲以内で各会員が自由に定めている。
5.損害保険料率の設定
損害保険料率算出団体(算定会)は、損害保険会社を会員とする法人である。会員会社は、「損害保険料率算出団体に関する法律」により算定会算出の保険料率を使用する義務があり、算定会には事実上すべての元受損害保険会社が加入しているので、全社が一律に算定会料率を使用してきた。
これに対し、金融システム改革の一環として、損害保険会社の自由競争促進等を図るため、「算定会制度の見直しを行うべき」との報告が平成9年6月の保険審議会においてとりまとめられ、平成10年7月より算定会料率の使用義務を廃止し、損害保険料率設定の自由化が行われた。
6.港湾運送事業(港湾荷役、検量等)
港湾運送事業を行おうとする者は、港湾運送事業法に基づき、運輸大臣の免許を受け、また、その運賃及び料金について運輸大臣の認可を受けなければならないこととなっている。(免許の審査基準には港湾運送供給量が港湾運送需要量に対し著しく過剰にならないことが含まれている。(需給調整規制))
これに対し、港湾運送事業の効率化、サービスの向上を図るという観点から平成11年6月の運輸政策審議会答申において、港湾運送事業の規制緩和を行うべきとの指摘がなされた。これを受け、主要9港(京浜港(東京港、横浜港、川崎港)、千葉港、清水港、名古屋港、四日市港、大阪港、神戸港、関門港、博多港)において、事業免許制(需給調整規制)を廃止し許可制に、料金認可制を廃止し事前届出制とすること等を内容とする港湾事業法の一部改正法案が今国会に提出されている。法案成立後は、6カ月以内に施行されることとなっている。
III 中央卸売市場における卸売手数料・奨励金と卸売業者の財務(10年度)(略)
IV 卸売手数料問題の論点
1.自由化の必要性について
(1)市場外・市場間の競争が激化する中で、卸売業者が競争力を強化し、卸売市場の活性化を図るためには、卸売経営の収益の大部分を占める手数料について競争を導入することが不可欠。
(2)我が国経済社会の抜本的な構造改革を図るため、各般の経済的・社会的規制の撤廃・緩和が進展中であり、卸売市場においても、規制緩和を進めることが必要。
(3)また、卸売手数料と関連を有する出荷奨励金については、出荷の奨励(出荷の計画化、規格の改善等)という所期の目的がほぼ達成してきている中で、これを廃止し、出荷者が提供を受ける様々なサービスとその対価たる卸売手数料の組み合わせの中で、当事者の自由な判断に委ねることが適当。
(4)更に、卸売手数料と関連を有する完納奨励金については、これを廃止し、販売代金回収コストとの関連において、当事者の自由な判断に委ねることが適当。
2.考えられる自由化の方策
(1)手法
(ア) 各卸売業者による手数料率・額の自由な設定。(出荷奨励金は、廃止又は自由裁量。完納奨励金は、代金回収コストとの関連において廃止又は自由裁量。)
(イ) 業務規程等の定めによる最高限度の下での各卸売業者による自由な設定。(出荷奨励金は、廃止又は自由裁量。完納奨励金は、代金回収コストとの関連において廃止又は自由裁量。)
(ウ) 手数料率の引き下げ(定率は維持)。(出荷奨励金は、廃止又は自由裁量。完納奨励金は、代金回収コストとの関連において廃止又は自由裁量。)
(エ) その他
(2)経過期間
(ア) 即時自由化。
(イ) 段階的自由化。
ア 大口取引から自由化し、一定年後に完全自由化。
イ 一定年後に完全自由化。
3.卸売業者の経営問題
(1)卸売手数料の自由化を図る中で、卸売業者の経営対策として、
(ア) 合併・業務提携等による規模拡大
(イ) コスト削減
(ウ) 集荷・販売力の強化
等の自助努力が必要。
(2)これらの経営努力に対し、支援策が必要。
[1] 農林漁業金融公庫の食品流通改善資金
[2] その他(要望)
V 検討スケジュール
(1)事務局(食品流通局市場課)において、関係者の意見を聴取し、その結果をとりまとめるとともに、これを踏まえた論点整理と対応方向の作成(7月目途)。
(2)卸売市場部会において、(1)の対応方向について検討。
(3)最終的には、12月までに結論(この間、必要に応じ関係者からヒアリングを実施。)。
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