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農林水産省

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食料・農業・農村政策審議会(平成29年7月26日)議事概要

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1.日時:平成29年7月26日(水曜日)13時00分~14時50分

2.場所:農林水産省7階講堂

3.出席者:
[委員]
大山委員、加藤委員、上岡委員、栗本委員、佐藤委員、染谷委員、髙島委員、知久委員、中嶋委員、前田委員、松尾委員、三輪委員、柚木委員
[農水省]
山本農林水産大臣、奥原事務次官、松島農林水産審議官、水田官房長、天羽総括審議官、横山総括審議官(国際)、別所技術総括審議官兼技術会議事務局長、倉重報道官、村井文書課長、平形予算課長、信夫政策課長、長野広報評価課長、吉本地方課長、池田消費・安全局長、井上食料産業局長、枝元生産局長、大澤経営局長、荒川農村振興局長、柄澤政策統括官、大杉統計部長、佐藤農林水産政策研究所長ほか

4.概要:
【会長の互選等】

  • 中嶋委員が会長に選任され、渡邉委員が会長代理に指名された。
  • 「食料・農業・農村政策審議会における部会の設置について」の改正案について、原案どおり了承された

【意見交換】
(大山委員)

  • 攻めの農業の推進のためには、担い手の確保や持続可能性、国際情勢の変化に合わせた対応が必要。
  • 2次・3次産業の企業を取材するとよく言われるキーワードだが、「日本の〇〇がなきゃ困る」「日本の〇〇じゃなきゃ困る」と世界に思ってもらえるようにしていく必要。

(加藤委員)

  • 自分の会社では、「農業×ANY=HAPPY」をコンセプトにしている。農業は社会基盤産業であり、他産業と連携しやすく、みんながwin-winになる事業が生み出せる。流通改革、生産性改革、教育改革という3つの柱の事業に取り組んでいる。
  • 政府として、世界を見据えた農業のグランドデザインを構築し、持続可能な生産、命を支える産業としての役割を担えれば日本農業のプレゼンスが高まる。自分たちも、世界の手本となる流通や生産性を提示できればと考えている。
  • 日EU・EPAで輸出関税が下がる旨説明があったが、非関税障壁についてもまとめておくべき。
  • 最近、シリコンバレーでもアグリテックに力を注いでいる。各省庁またがる問題であるが、新たなビジネスの柱になり得る分野であり、日本が先陣を切れるかどうかは、ここ数年の動きが勝負になると思う。

(上岡委員)

  • 自分の研究分野は食料消費や食農教育。日本の農産物を世界に広めていくことは勿論大切だが、国内の農業・農村が維持されるためには、国内の消費者の理解が欠かせない。日本人自身が日本の農産物の良さを理解しないと世界に発信していけない。

(栗本委員)

  • 家系的には農業とは関係なく、8年前に新たに農地を取得して農業を始めた。自分は「小さくて強い農業」を目指している。これまでの経験で感じる違和感の一つに、根拠となるデータや数字が乏しいことが挙げられる。自分自身の農業経営を一つのモデルケースとし、労働時間なども、しっかり数字として示してまいりたい。

【山本農林水産大臣挨拶】

  • 今回の改選では19名中15名が新任。様々な立場や世代の方々に委員となって頂いた。
  • 今般、日EU・EPAが大枠合意され、新たな国際環境に入る。今後、国際競争力の強化や輸出産業への成長が急務。先月、北海道で酪農の生産現場を訪問。欧州でも高い評価を得ているチーズを生産し、高いレベルで品質管理されていることを実感した。また先週、中国へ訪問した際は、日本の食材に対する中国の消費者の関心が高く、輸出拡大の可能性を実感した。
  • 委員の皆様におかれては、強くて豊かな農林水産業と美しく活力ある農山漁村の実現に向け、忌憚のないご意見を賜り、農政改革に向けたお力添えをお願いしたい(挨拶後、退席)。

【意見交換(続き)】
(佐藤委員)

  • 自分も非農家出身で、農家の後継者に嫁いで2000年から就農。はじめ印象的だったのは、農協に出荷するだけで誰も販売を意識していなかったこと。東日本大震災を契機に、福島で農業を持続的に続けていくことの必要性を改めて実感し、JGAPの認証を取得し、自らGAP指導員としてGAPを推進している。リンゴと柿については、昨年Global GAPも取得。GAP取得によって、農業経営自体も改善が図られたと感じる。国の政策も大切だが、農業者自身がきちんと考えをもった農業経営者になることが大切。

(染谷委員)

  • 千葉県柏で米を中心に経営。以前、都市近郊農業を批判する評論家が、外国から農産物を輸入した方が物価も下がって望ましいと世論形成を図っていた。自分の農業を一般の消費者に理解してもらうため、情報発信や農業体験等に力を入れるようになった。
  • 元々日本は家族経営であり、リスクは家族で背負ってきたので、法人化をしてこなかったが、今後はリスクの発生を従業員と共に乗り越えるといった観点で、法人化も視野に入れている。

(髙島委員)

  • 農業の議論は、産業振興や社会・安全保障など、論点が混じり合ったまま議論がなされ、比較的感情的になりやすく、総花的な結論になりやすいので、論点を明確にし、未来の農業にとって何がベストかということを考えて議論してまいりたい。
  • 日EU・EPAについて3点コメントしたい。
      農産物ではGAP、水産物ではMSC/LSCなどの認証があるが、今後グローバルな競争が激化する中では、基準や認証に対するグローバル戦略が重要になる。
      グローバル貿易における農業分野の課題は、農業分野だけで解決する必要はなく、例えば、日EU・EPAであれば、経済連携の受益者たる経済同友会や経団連傘下の企業の社員食堂で国産チーズを積極的に使うことをコミットさせるなど、産業界の様々な人達に広げて解決していくといった観点も有効。
      国内対策については、生産者に対してだけでなく、売る人や買う人を巻き込んでいくようなものにしていった方がより効果的になる。また、効果が継続するような対策を行うべき。

(知久委員)

  • 自分はただ牛が好きで酪農家に嫁いだ。地元の酪農家も減少。結局酪農は、その地域で何百年も乳を絞りたいと経営者が思わない限り、続けていけない産業と感じる。小規模な酪農家がみんなで自給飼料を作るのが日本らしい酪農。自分はナチュラルチーズも製造しているが、プロセスチーズ原料のナチュラルチーズが欧州から入ってくることで、チーズだけでなく牛乳の流れがかわる。北海道産牛乳が本州に押し出されることになり、本州の小規模酪農家の影響が心配。

(前田委員)

  • 取扱品目は、養豚とキャベツ。「人と食と環境の未来のため」を社是として、オンリーワンの経営を目指し取り組んできた。飼料用米での耕畜連携や、畜産クラスターにも取り組む。収入保険で背中を押され、規模拡大にも踏み出そうとしている。
  • 周りに大型工業団地があり人手は不足している。従業員が定着するよう、人材育成に力を注いでいる。農政の変化を感じることもあり、今後の変化に期待している。
  • 現在、ベトナムから6人の研修生を受け入れている。彼らは非常に真面目だが、トラクターの免許が取りづらかったり、できる仕事に制限があったりする。治安や事故対応等の懸念もあるが、特区などを活用して規制緩和に踏み切れないかと思う。人の確保も外国との競争。

(松尾委員)

  • 北海道のスーパーで生鮮食品の仕入れや物流を担当。最近では、国交省のモーダルシフトの会議においてJR貨物を活用して野菜を運ぶといった検討や、経産省の製配販連携の検討会で返品削減の検討など、官庁関係の会議にも参加。
  • 会社の理念は、「winの6乗((1)顧客(2)社員(3)取引先(4)投資家(5)地域社会(6)企業)」。常に「どうやったら安く売らなくてもいいか」を考えている。例えば、傷物は総菜に回す、天候による影響はPOPで謳って値段は変えないなど、工夫して安く売らないようにすることは可能。

(三輪委員)

  • シンクタンクという立場だが、現場から発信するということで「DO-Tank」と標榜している。これまで農業をビジネス化する事業を幾つか行い、また異業種の農業参入のお手伝いを50件程度実施。農業就業人口の減少により、一人当たりの農地や市場規模は拡大するので、ビジネスの視点で見ればチャンス。
  • 今後の農業は、(1)儲かる、(2)クリエイティブ、(3)イノベーティブという3つの視点が重要。また、農業を魅力ある産業にするためには、農業技術とブランド価値が大切。
       農業技術については、先端プロ(食料生産地域再生のための先端技術展開事業)の委員や、内閣府のSIP(戦略的創造イノベーションプログラム)のサブディレクターを務めているが、新しい農業技術が次々に出てきており、今後、現場への実装が重要。
       また、欧州のバイヤーに「和牛は確かに美味しいが、エサは外国産」と指摘を受けたことがあった。フランス語に「テロワール」という言葉があるが、日本の土地・伝統や農家の思いを詰め込んだブランド化が重要。飼料用米は、手取りの9割が補助金だと批判する報道もあるが、国産のエサで育った畜産物の波及効果は大きく、こうした観点も踏まえて、どこに税金を投入するかを包括的に考えることが大切。

(柚木委員)

  • 担い手について、認定農業者の年齢が、60歳以上が半分を超えたというのは衝撃的。特に後継者がいない経営体については、第三者を含めどう継承していくかが課題。
  • 相続未登記農地が全体の2割を占めていることは問題。担い手への農地8割集積を達成するためには、こうした農地も対象となってくるので、一歩踏み込んだ対策が必要。

(大澤経営局長)

  • (前田委員の発言を受けて)全国的に、外国人研修生はなくてはならない人材になっている。そもそも研修制度なので、本国の農業に役立ててもらうことが趣旨であるが、今国会において、国家戦略特区の中で、研修生ではなく日本の労働力として受け入れるという枠組みを作った。具体的にはこれからだが、予め栽培品目が決まって変更できないといった問題は解消し、加工・販売の業務も出来、地域内で複数の農業者を派遣する仕組みも可能になる。

(枝元生産局長)

  • (佐藤委員、髙島委員の発言を受けて)GAPについて、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会における食材調達基準に盛り込んだ。農業の生産現場の意識改革をする端緒とするとともに、販売先の流通や小売とも連携し、フードチェーン全体での規格認証について、戦略を立てて推進してまいりたい。

(井上食料産業局長)

  • 売り先から見ると、日本の生産者を初めてみることなどが多いので、海外マーケットなど顧客を確保するためには、品質の良さをどのように伝えていくかが課題。日本発の規格認証をグローバルスタンダードに持っていければ有利になるので、スピード感を持って進めていきたい。

(奥原事務次官)

  • 本日は、非常に前向きな御意見が多く、ありがたかった。農林水産省としても、農業を成長産業とし、世界で勝てる産業とするため、農地中間管理機構や農協・農委改革、生産資材・流通加工改革、酪農改革など、農政改革を進めてきたが、まだ効果が十分出るところまでいっていない。法律や制度を作って終わりではなく、やってみて問題があれば、現場の意見を聞きながら見直し、改善を行って成果が上がるところまで持って行く必要があると考えている。
  • これまでの本審議会の運営は、役所の説明が長く、委員の意見を伺う時間が少ないことが多かったが、今後は、中嶋会長とも御相談して委員の意見を伺う時間をできるだけ長くするようにしたいと考えている。

お問合せ先

大臣官房政策課

代表:03-3502-8111(内線3086)
ダイヤルイン:03-3502-8448
FAX番号:03-3508-4080

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