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農林水産省

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令和元年度第1回(令和元年9月6日)議事録

日時及び場所

令和元年9月6日(金曜日)15:30~18:00
農林水産省 第2特別会議室

出席者

委員:高野委員(部会長)、三輪委員
臨時委員:里井委員、松田委員
専門委員:有田委員、上江洲委員、太田委員、嵩原委員、樋口委員、西田委員
農林水産省:平形農産部長、森下地域作物課長、後藤砂糖類調整官、地域作物課課長補佐(宮部、荒井、金子、伊藤、舘澤、豊口)

議事

令和元砂糖年度に係る砂糖調整基準価格(案)及び令和元でん粉年度に係るでん粉調整基準価格(案)について

概要

冒頭、農産部長から挨拶が行われた後、部会長の選任が行われ、高野委員が部会長に選任された。
引き続き、高野部会長の議事進行の下、森下地域作物課長から砂糖及びでん粉政策をめぐる現状と課題及び令和元砂糖・でん粉年度の調整基準価格の事務局案について、それぞれ説明があった。
その後、委員による意見交換が行われた。その意見交換の概要は以下のとおり。

三輪委員:調整基準価格については、異論はない。
私の方から2点申し上げる。1点目は、先ほど森下課長から説明いただいたが、砂糖の消費拡大に向けて積極的な政策を講じていただくようお願いする。先ほど説明のあった「ありが糖運動」や地域ごとの取組等、まず一つベースとしての枠組みができたのが非常に重要だと思っている。後は、これらの取組や、新しいホームページをどれだけの方に見ていただいて、どれだけの方の消費を喚起できるか、そこが政策上の顕現として見ていくところになると思う。ベースとしてできたこのようなwebサイト、枠組み及び運動をしっかりてこ入れするためのより積極的な取組が必要。例えば、「ありが糖運動」の中で民間や団体と連携して国産砂糖を使った食品のグランプリを決めること、例えば、インバウンドの方に投票いただいて国産砂糖を使った和菓子等の人気投票をやってみること等、様々な形で活動自体が人の目を引きつけることができるのではと思っている。
2点目は、昨年度も申し上げたように国産砂糖を使った食品、特に和菓子等について、国産砂糖を使用していることが表示できる、もしくは認証するといった様々な制度を引き続きご検討いただければと思う。本日の午前中に部会長とともに企画部会と本審に出させていただいた。その中で少し申し上げたのだが、昨今、日本のぶどう農家について、日本ワインの制度ができたことで規模拡大を行う等営農意欲が高まっているという事例がある。また、ちょうど先日、農業委員会の方から伺ったが、米粉だけでなく米粉を使った製品も出てきており、こちらについても生産意欲を刺激しているとのこと。これらは非常に好ましい状況だと思う。同じように北海道、鹿児島及び沖縄で作る国産のおいしい砂糖が日本を代表するブランド、お菓子、料理に使われることによって、生産者の方により一層意欲を持って営農していただけるのではないかと思う。
同じくご説明いただいた中でも1点申し上げるが、スマート農業に関する取組をより加速していただきたいと思う。先ほどの説明にあったスマート農業加速化実証プロジェクトについて、私も農業委員として参画させていただいている。その中で、非常に意欲的な取組を甘味資源作物でも行っていただいているが、このモデルケースを今後如何に全農家の方に広げていくかがポイントになってくるかと思う。その中で、てん菜については、比較的、北海道の各自治体及び団体で情報の共有を進めていただいているが、サトウキビについては島嶼部が多いというのもあり、なかなか最新技術の情報や成功事例が伝わってないと聞いている。知人が農研機構でサトウキビの研究をやっているが、新しい栽培方法や新しい品種ができても、他の品目と比べて普及が遅いと聞いている。ぜひ、農林水産省や本部会で積極的な情報発信、もしくは農家の方々にエンカレッジするような動きをしていただければと思う。

 里井委員:調整基準価格については、異論はない。
最初に、砂糖の需要が減少していることをせめて食い止めることが急務と考える。そのために、まず1つ目は生産現場における問題解決及び取組を支援することが重要。次に2つ目として砂糖の消費拡大をさらに進めていくことが重要である。
「ありが糖運動アンバサダー」として、企業や団体、作り手の皆様に対して「ありが糖運動」への参画を誘致させていただくとともに、フードジャーナリストの活動の中でも力を入れて取り組んでいるところ。自身のSNS等においても、常に「ありが糖運動」についてPRさせていただいている。その中で、消費者の立場・フードジャーナリストの立場として感じている、砂糖の消費が減っている背景として考えられる消費者の行動について2点情報共有させていただく。
1点目は、現状、日本人の消費者のみならず砂糖を砂糖そのままのかたちで摂取している人やそれに携わっている人又は料理している人が減っていると感じる。例えば、圧倒的に自宅で和食を作らなくなったという家庭料理の状況の変化であったり、消費者の低甘味嗜好であったりといろいろな社会情景を踏まえて、砂糖を砂糖として摂取している人が少なくなってきていることを強く感じている。
2点目は、食のトレンドというキーワードの中で、スイーツ(甘いもの)は非常に人気であり、トレンドを先導していくような存在ではあるのだが、消費者においてスイーツを食べているという認識と、それに伴って国内で生産されている砂糖、甘味資源を摂取しているという認識が比例していない現状がある。このようなことをちゃんと認識していない消費者が多いということ。
この現状については、むしろ伸びしろがあると考えており、さらに砂糖、甘味資源の魅力を発信して伝えていけば、価値が増大すると思われる。具体的には、まずは生産者、その地域の魅力を前面にPRしていくこと。それと連動して、砂糖そのものの摂取が減少している現状を鑑み、砂糖をスイーツや食品として活用できる加工業者、企業の皆様と連携が重要であり、それを積極的に選択する消費者と三位一体となって上手く回っていく仕組みになると、需要量そのものの拡大につながるのではないかと考えている。
そんな中、さとうきびの新品種「はるのおうぎ」については、非常に明るい未来を感じた。消費者は新しいもの好きな傾向があるため、さとうきびに新しい品種ができたということで話題になり注目を集めるとともに、生産者も着目し、励みになるのではないかと考えられる。この場には専門委員の皆様もいらっしゃるため、生産者との密な連携を図っていくとともに、生産者と消費者のつながりが連動していくことで、砂糖の需要拡大につなげていけたらと思う。ぜひ、委員会の皆様のお力添えをいただきながら、私も尽力してまいるので今後も連携して取り組んでいけるようお願いしたい。

松田委員:調整基準価格については、異論はない。
13ページ「1.砂糖の位置付け」の摂取カロリーという表現について、栄養に携わっている者としては、カロリーとは単位なので、正しくは摂取エネルギーではないかと思う。
日本の農業は高齢化により担い手不足が進んでいる中で、農林水産省はスマート農業を推進しているが、スマート農業を扱っている農業者は、高齢者が多い状況が実態である。担い手となる農業高校や農業大学校の志望者が減少している状況なので、若手に砂糖製造業界の良さをアピールしてほしい。
農林水産省の技術会議事務局に行くと、「シャイン・マスカット」などの新品種を紹介するパネルが展示されているので、さとうきびの新品種である「はるのおうぎ」についても、パネルを作成して展示してほしい。ただ、農林水産省の廊下に留まらず、外に出て、幅広くアピールしてほしい。
砂糖の消費拡大については、いろいろな方法で発信していってほしい。以前に、栄養大学がデパートのレストランとコラボして、いちごを使ったメニュー開発や、あるメーカーのドレッシングを使ってPR活動をしたことがある。また、コンビニスイーツの売り上げは伸びているので、国内産の砂糖や砂糖の消費拡大のアピールに活用できると思う。
砂糖の消費拡大には、オリンピックはいい機会かもしれない。スポーツ飲料などの飲料水は、フルクトースやグルコースなので難しいかもしれないが、いい機会なので、砂糖の消費拡大の取組を検討してほしい。
また、最近、ばれいしょなどのいもの消費量が減少している。料理が面倒なことが原因かもしれないが、農林水産省において、今後は砂糖だけでなく、いもについても消費拡大に取り組んでほしいと思う。

樋口委員:農林水産省の皆様を始め、お集まりの砂糖業界関係の皆様におかれましては日頃から精糖工業会の活動に御理解と御協力をいただき御礼申し上げる。
砂糖調整基準価格については、前年度と同額であり、当会として異存は無い。この場を借りて、砂糖業界の今後の課題として、当会の立場から申し上げたい。
砂糖の消費は、2016砂糖年度から 190 万トンを割り込み、その後も全国各地の自然災害や消費者の低甘味志向等の要因から、本砂糖年度に入っても厳しい状況が続いており、農林水産省の直近の今砂糖年度の消費見通しの187万トンに到達することは難しい状況。当会の見込みでは、184~185万トンくらいに落ち込むのではないかと考えている。近年の減少傾向は、甘味離れもさることながら、全国各地の豪雨、台風等の自然災害によるインフラの悪化の影響により、消費者の皆様が外に出ることを控えること等の根本的な要因からもたらされているということだと思っている。 精製糖業界に身をおく私たちは、この事態に強い危機感を覚え、また、調整金負担の不公平さ、特に加糖調製品の価格優位性が糖価調整制度の安定的な運営に支障をきたすことを懸念している。
このため、昨年末に農林水産省大臣等宛に要請書を提出させていただいたが、未だ明確な回答を得られていない。そのため、改めてこの場で当会の考えを述べさせていただく。
第一に、調整金負担の不公平さの是正に向けた国庫負担の拡充についてである。国内産糖の生産を支援するため、生産者等に対して毎年度約 600 億円の交付金が交付されている。この交付金を賄うため、精製糖企業から調整金として毎年度約 500 億円が徴収され、財源としている。糖価調整制度は、国内産糖保護のために、 国、甘味資源作物生産農家、国内産糖製造事業者、精製糖企業の4者から構成されており、その4者それぞれが砂糖産業の屋台骨である糖価調整制度の健全な運営のために責任を果たしていくことが重要であると考えている。この考え方に基づき、当会においては、厳しい状況の中でも、過去から調整金の負担という責任を全うしてきたところ。
この糖価調整制度は言うまでもなく国策であり、それは、砂糖は毎日の食生活に不可欠な基礎食品であり、様々な食品の主要な原料となる必需品であること、北海道のてん菜、鹿児島県・沖縄県のさとうきびといった甘味資源作物は、国家防衛上やわが国の食料自給率の維持·向上という観点から国家の重要品目に位置する農作物となっていることから極めて重要であると考えられているためである。
以上のようなことを鑑みると、国策たる制度運営にかかる財源については、より公正・公平な負担割合とすることが必要であり、少なくとも精製糖企業に8割以上の負担を強いるようなことのないよう、国の負担を増やして、例えば国と民間が折半で負担すべきであると考えている。
第二に、輸入加糖調製品対策の拡充が必要である。先ほど述べたとおり、1965年の糖価安定法の施行以来、民間である精製糖企業が50年以上原料糖輸入の際に調整金を負担して、国内甘味資源作物生産への政策支援の原資を拠出してきたところ。この間、砂糖の競合品として「異性化糖」、「輸入加糖調製品」、「高甘味度甘味料」が台頭し、これらは糖価調整制度の外にあり調整金負担がないことによる価格優位性から、想定し得ないほどの市場浸食がもたらされ、総甘味料の消費はそう大きく落ち込んでいないが、砂糖だけが一人負けしている状況になっている。このうち輸入加糖調製品については、TPP11、日EU・EPAの発効に伴い、改正糖価調整法が施行され、加糖調製品から調整金を徴収する制度が開始されたところ。加糖調製品からの調整金収入を輸入糖調整金の軽減に充てることにより砂糖価格の引き下げを期待しているところであり、先ほど事務局からも説明があったとおり、その影響もあり、売り戻し価格は減少していると認識している。
しかし、本対策が関税に加えて調整金を賦課する方式でなく、関税の一部を調整金に置きかえる方式であるため、砂糖価格の引き下げという観点からみると、その効果は限定的といわざるを得ず、加糖調製品の価格優位性による不公平性は解消されていないと考えている。このため、本対策は本来の輸入加糖調製品対策の第一段階と位置付け、更なる対策を急務に講じることが必要である。
第三は、異性化糖の調整金の問題についてである。異性化糖は、1975 年以降、税制の違いから販売価格が砂糖に比べて安いことを武器に、砂糖市場を侵食し、現在約80万トンまで消費を伸ばし、砂糖価格の低下を招いている状態である。異性化糖は1983年に糖価調整制度に組み込まれ、調整金の徴収対象となったが、2000 砂糖年度以降、調整金算出の基準となる、異性化糖調整基準価格、平均供給価格、異性化糖標準価格の算出式を構成する数値、特に品質格差係数が非公表となっており、実態が制度に活かされているか、把握できない状況が続いている。当会としては、あらゆる飲料や食品に使用されている異性化糖の実態を踏まえると、砂糖と大きな品質格差があると認識していないところ。そのため、糖価調整制度の健全な運営のためには、同じ制度の枠組みにいる異性化糖業界と精製糖業界が調整金を公平に負担することが必要である。まずは、異性化糖の調整金算定の根拠となる数値を公表いただくとともに、調整金負担の公正・公平な制度の見直しについて強く要請する。
当会においても、砂糖需要の維持、拡大を下支えするべく「砂糖と健康研究支援プロジェクト」を立ち上げ、砂糖類に関する正しい情報を広く発信し、砂糖を使った食品や飲料の消費拡大を目指している。日本の砂糖の消費量は年間16.6kgしかなく、世界の中で最低のレベルであり、世界に目を向けると砂糖の過大摂取による肥満等を防ぐため「シュガータックス」を課していること等を踏まえると、日本は圧倒的に砂糖の摂取が少なすぎる状況だと考えている。当会としては、毎日体を動かしアクティブにいきいきと生活し、使ったエネルギーを砂糖の入ったお菓子や飲料で補給し、健康的な生活を実現していくことを提案することが、昨年4月に発足したシュガーチャージ推進協議会の根本的な考え方である。砂糖関係団体の皆様にも参画いただき、2年目の活動を開始したところだが、これらの活動が実を結ぶために、そして糖価調整制度の公正・公平な運営が不可欠と考えている。
制度運営について、ここまで砂糖の消費が落ち込んでいるにもかかわらず何一つ制度の見直しを行わなければ、砂糖と他の競合甘味料との価格差が改善されず、砂糖の消費量がさらに減少し、強いては精糖工業会の存続のみならず糖価調整制度の運営自体がたちいかなくなり、国内産糖を含む業界全体が崩壊してしまうのではないかと強い危機感を抱いている。
農林水産省には、地域経済、地域社会、国土保全にとって大変重要な砂糖産業が公正・公平な環境の中で事業活動を行うことができるよう、早急な対策の構築を切にお願いする。この点については、本日御出席の皆様の御理解と御協力を願いたい。

太田委員:調整基準価格について異論はない。
先ほど、樋口委員より、異性化糖業界に厳しい意見があったので、当業界の状況について、ご説明したい。異性化糖の用途は、約5~6割程度は、飲料用となっており、その傾向に大きな変化は無く、清涼感、後味がすっきりとしている、低温で甘味を感じるといった異性化糖の特性が、飲料向けであり、砂糖とは競合していないという認識である。砂糖の消費量が減少しているのは、里井委員からの意見もあったが、内食が減り、中食や外食の増加が影響していると思う。
今夏の冷夏の影響で、飲料の売り上げが落ち込んでおり、異性化糖の出荷量は、昨年の97%程度に留まっている。糖類全体の問題であるが、糖質制限ブームも砂糖類の消費減少に影響が大きい。肉をいくら食べてもいいが、糖質は制限しないといけないという間違った認識を変えていくべきではないか。
当業界の経営状況に話を移すと、砂糖業界に比べ、異性化糖業界は、近年、収益が減収している。異性化糖の主な原材料は米国のトウモロコシであるため、米中の関税問題や為替、米国の作付けなどの外的要因を受けることが多い。また、各企業の決算書を見ても、業界内の価格競争もあり、砂糖業界に比べて、良い決算をあげているわけでない。昨年は前年より非常に悪い決算であったが、今年も、冷夏の影響で業績は悪化する見込みである。
糖価調整制度については、いろいろと考える部分があるとは思うが、砂糖は米に次ぐ自給率を支える大変大事な品目であることは、全員が理解していると思う。そのため、甘味資源作物を守っていくため、加糖調製品や人工甘味料の動向により焦点を当て、今後の甘味資源作物のありかたを検討していく場ではないだろうか。

有田委員:本日の砂糖及びでん粉の調整基準価格については、特に異存ない。
私は本日、ギプスをしているが、実は肩の腱を切り、入院して手術を受けた。10日間の入院中も色々と考えさせられることがあった。
私はこの部会に20年ほど参加しているが、私も経営者として常々感じるのは、会社の環境を良くするために、やはり30年くらいかかるということ。
これを日本の農業に置き換えると、日本列島は狭く、農業に適さない環境である。そのような中、農林水産省はいろいろ努力をされて、砂糖・でん粉産業に対して様々な施策を行っていただていると思うが、経営者の立場から見ると非常に条件が悪いので、単年度ではなく、5年計画、10年計画を立てた方が、後々点検がしやすくなるのではないかと常日頃感じている。この部会も、計画的に企画していく中で議論できれば、色々なアイディアが出てくるのではないかと思っている。
さて、精糖工業会の樋口会長、スターチ・糖化工業会の太田会長から、色々糖の問題について話があった。全糖化は会員企業が様々な製品を作っている。難消化でん粉、トレハロースなど、異性化糖をやっているのは当社ぐらいで、ごく僅かしか製造していなので、糖の問題について直接何か意見を申し上げることはしない。
私のような糖尿病患者は、身体が勝手にインスリンを出さないので、どういった食事方法が良いのか色々調べたところ、私にとって一番良いのは、消化の早い砂糖や異性化糖だと分かった。ご飯、そば、うどん、ラーメンといった食品は液化に時間がかかり、糖化にも時間がかかるため、インスリンが切れた頃にやっと糖化されるため具合が悪いことが分かった。
このことからも分かるが、食事の方法は、年齢や体調によって人それぞれだということ。こういった観点から見れば、砂糖も異性化糖も世間が言うほど悪いものじゃないと思うので、様々な形で消費されれば良いと思っている。
私はこれから農業をどうしたら良いのか常々考えている。会社の周りは荒れた水田が多く、農家に話を聞いても、儲からない、年をとっている、辛いという言葉が多く聞こえるが、良いアイディアも持っていないようで寂しく感じる。
繰り返しになるが、農業というのは、5年計画、10年計画の中で、在り方を考えるべきものだと私は考えている。

上江洲委員:本日の調整基準価格について異存はない。
沖縄のさとうきびについて、若干述べさせていただきたい。後ほど、嵩原委員からも詳しくお話があるかとは思う。沖縄県においては、さとうきびは台風や干ばつにも強く他に代替の効かない基幹作物となっており、全農家の7割で栽培され、耕地面積の約5割を占め、その経済波及効果については、生産額の約4倍とされている。私どもの製糖工場とともに離島の地域経済社会を支える重要な役割をさとうきびは果たしている。本年のさとうきびの生産量については、昨年の製糖期の天候不良による長雨で収穫が長引き、春植えや株出し管理が遅れた地域もあり、生育の停滞によって昨年の74万トンを若干下回る程度の生産量と予想している。しかしながら、昨年、一昨年と生育後期の9、10月に台風が襲来し、生育の停滞や顕著な糖度の低下があり、大きな影響を受けた。昨日も、先ほどお話しがあったように宮古島に台風が襲来し、大きな被害が出ているとのこと。停電して電話が使えないので、携帯で連絡を取ったところ、1割以上の被害があるとのこと。先ほどご指摘のあった増産基金を活用させていただくことになるかと思う。近年、数十年に一度と言われる豪雨が頻繁にある。また、台風の発生場所、発生時期、進路がこれまでと異なってくるなど、今まで異常気象と言われていたものが異常ではなくなってきている。これについては、他の作物も含めてこれまでの栽培方法、品種の選定など見直す必要があるのではないかと考える。
現在、沖縄のさとうきび農家の3分の1以上が70歳を超えており、ハーベスタ収穫率も80%に届いていない。少子高齢化時代を迎え、農家人口が減少していく中でさとうきび産業を維持・発展させるためには、機械化に向けて畑の畝幅の設定、機械収穫に適した品種の選定などから始め、植え付けから収穫まで農作業の機械化一貫体系を確立し、さらに自動操舵システムにより初心者でも熟練者と同じように機械操作ができるなど多くの成果が期待されるスマート農業の推進、離農する高齢者の農地や耕作放棄地を農地中間管理事業などで集積し、経営規模の拡大を図るなどして地域の担い手となる生産組織、農作業の受託組織の育成、さらにはそれらを法人化する必要があるのではないかと考える。
一方、政府の少子高齢化社会への対応として、政府が制定した働き方改革関連法は我が国の発展にとって重要なものであり、私どもも積極的に取り組んでいる。その中で、これまで鹿児島・沖縄の砂糖製造業に免除されていた時間外労働の上限規制が適用されることとなり、現在、1工場を除いて製糖期に2交代制24時間体制で操業している沖縄の製糖工場も3交代制勤務に移行しなければならない。現状のまま3交代制に移行すると、人員の増加によるコストの増加は避けられない。人員の増加を抑え、かつ令和5年度までに法律規制をクリアするためには、私どもは農林水産省や内閣府の支援事業を活用して、自動化や制御室の統合などの設備投資、工場運営に必要な資格の取得や技術研修により職員のスキルアップを図るなどして、労働効率の向上に努めている。また、産地パワーアップ事業については、我々製糖工場が使いやすいようにいろいろ工夫をしていただいているので、なんとか利用できないかと、現在、市町村と調整している。
最後に、沖縄のさとうきび産業は我が国の南西海域に東西1,000km、南北400kmに渡って点在する島々に分布しているが、多くの島で人口の減少が続いており、労働者の採用に大変苦慮している。これらの島々が有する国防安全保障機能などの公益性を維持するためにも、国境離島の産業に対する求人支援は必要なことだと考えているので、是非ご配慮いただきたい。

田村委員: 先ほどご提示のあった調整基準価格については異存ない。
お時間を頂戴したので、鹿児島の南西諸島のさとうきびの生産状況と砂糖産業の抱える課題について話したいと思う。台風の影響であるが、今年は今のところ一部の島での倒伏など、小規模な被害に留まっている。今年は梅雨明けが例年より遅く、日照時間が不足したことから、茎の長さとか、茎の数に関して、平年より少し見劣りするが、逆にその結果として、7・8月の干ばつ被害は免れたので、今後のキャッチアップが見込まれる。直近の2年間も9月までは豊作の見通しでありながら、その後の台風被害で一転して不作となり、特に前期は44万7千トンとここ10年間で2番目に低い水準まで落ちたので油断はできない。前期は台風の襲来まで55万トンくらい期待できていたので、生産者の落胆は大きなものであった。これでこの8年間で実に7年間が不作となっている。この8年間の生産者全体のさとうきび交付金の年収は79億円となっている。その前の4年間の年収108億円から27%減少している。特にここ2年間は低糖度被害が深刻で交付金の基準糖度に満たないさとうきびが全体の5~7割もあり生産者の生産意欲を削いでいる。こうしたことから、一時は1万ヘクタールを回復していた収穫面積は、ここ2年間で再び大台を割り込んでさらに今期も低下傾向が続く見込み。
こうした状況下で、農林水産省を始め関係機関からはひとかたならぬご支援をいただいている。セーフティネット基金は今年度も引き続き措置していただいているし、甘味資源作物・砂糖製造業緊急支援事業では、生産性向上に必要な機械導入や土作り促進、台風の大型化や機械収穫に対応できる新品種の転換などに必要な支援をいただいたことに感謝申し上げる。さとうきび生産者の方は、この8年間、関係機関の支援のもとに、メイチュウ等の病害虫駆除や干ばつ対策、補植など単収向上に努めてきたが、しかしながら、うち続く不作により、生産者はもとより製糖会社も大変厳しい財政状態となっている。せっかくの助成措置を有効に活かせない生産者や製糖会社が出てきている。かつて1万2,000ヘクタールほどあった、鹿児島県の南西諸島のさとうきびの収穫面積は、平成9年に8,700ヘクタールまで後退したが、収穫作業の機械化等により、平成21年には1万ヘクタール台にまで回復した。現在、製糖会社も協力して、取り組んでいる採苗・植付作業の機械化や機械化に適合した品種の改良などが促進され、さらには喜界島・徳之島・沖永良部島で進められているダムなどによる灌漑事業の将来効果などを勘案すれば、鹿児島県南西諸島のさとうきび生産者は、収穫面積を1万ヘクタール台にまで回復する潜在能力を有していると私どもは考えている。生産者の潜在能力を引き出すべく、過去8年間、特にこの2年間で大きく損なわれた生産者の生産意欲を蘇らせるカンフル剤が必要と思われる。生産者の所得確保に繋がる抜本的対策の強化を関係機関の皆様には是非ともお願いしたいと思っている。最後になるが、私ども製糖会社はピーク時には6つの島に16あった工場を恒常的な原料不足の中で7つまで削減してきた。今日では、この原料不足に加えて、製糖臨時職員などの工場の担い手不足、働き方改革への対応、製糖工場の老朽化といった課題を抱えている。しかしながら、先ほども話したとおり残った7つの工場の製糖運営を満たすだけの潜在能力をさとうきび生産者は有していると思うので、私ども製糖会社はここで踏みとどまって、地域を守り、また国をも守る南西諸島のさとうきび栽培が継続できるよう尽力して参る所存。引き続き皆様からのご支援をよろしくお願いしたいと思っている。

高野部会長:続いて、中村委員につきましては、本日欠席しておられるが、御意見を事前にいただいているので、事務局で代読をお願いしたい。

森下課長:(代読)
本日の甘味資源部会については当初、出席の予定でありましたが、急遽欠席することになり、お詫び申し上げます。
日頃より、農林水産省を始め関係者の皆様には、てん菜及びてん菜糖に対し、ご理解とご支援を賜り、厚く感謝申し上げます。
まず、調整基準価格につきましては、本日ご出席の委員の皆様に一任いたします。
てん菜は、北海道の畑作農業の輪作体系上、欠くことのできない基幹作物として位置付けられています。併せて、製糖工場の存在は、地域経済の維持、発展に欠くことのできないものとなっております。
さて、平成30砂糖年度の産糖量は、前年比6%減少の615千トンで、大きな事故やトラブルも無く、無事終えることができました。
本年のてん菜の春作業は好天が続き順調に推移しましたが、雨が少なく、5月20日、21日には発達した低気圧の影響でオホーツクや道東を中心に強風に見舞われました。瞬間最大風速はオホーツクで25~28m、十勝では13~16mになりました。被害面積は全道で3,500haを超える大規模なものとなりました。
本年の作付面積は日本ビート糖業協会のとりまとめでは、風害の影響もあり前年より約900ha弱減少し56,400haを割り込む状況になっており、いまだ面積減少に歯止めが掛からない厳しい状況が続いております。
生育の状況は、これまでのところ、強風による被害があったものの、概ね順調に推移しております。今後、生産者のご努力のもと、台風や長雨等も無く、出来秋を迎えられることを願っております。
糖業をとりまく状況は、燃料はじめ、製糖副資材の価格が大幅に上昇している一方、JR貨物や海上運賃の値上げ、労働力不足などによる製品輸送単価の上昇が懸念されており、原料てん菜の計画的・安定的な集荷に不可欠なトラックの台数確保が年々難しさを増しています。労働力不足は深刻で、先々には、工場の操業にも影響が出かねない状況であります。
砂糖の消費拡大は、糖価調整制度の維持存続のためには重要な課題であります。農林水産省は昨年10月に「ありが糖運動」を立ち上げ、砂糖関係団体はもとより砂糖を扱う食品関係団体等にも広く働きかけて運動を展開して頂いております。また、日本ビート糖業協会は精糖工業会が中心となって展開しているシュガーチャージ推進協議会に参加し、消費拡大に努めています。
日本ビート糖業協会は、砂糖の正しい知識の普及と国産糖ビート糖の理解を高めるため、新たな取組として、今年の3月に千歳空港で「北海道ビート糖フェア」を開催しました。また、年明けからは十勝の小学校を中心に、砂糖を題材とした食育の出前授業を開催する予定で準備を進めています。
日本ビート糖業協会は、今後とも、関係者と協力し、てん菜糖の安定生産に努めるとともに糖価調整制度の健全な維持を図るため、一丸となって負担と貢献の認識のもと努力してまいる所存ですので、今後ともご支援をお願いします。
(代読終わり)

 

嵩原委員:まず、今回ご提示のありました調整基準価格については、提案のとおりということで了解をしたいと思っている。
沖縄の生産の状況について、先程、上江洲委員からも話があったが、少し広げて県全体の状況について、私の方から情報提供する。まず、沖縄のさとうきびは、今年の見込みとしては、昨年74万トンだった生産量より4万トン減って、70万トン前後という見通しを当初7月の段階で立てた。これがさらに、宮古島で今回の台風の影響があって1割減ると、更に3万トン減少ということになるので、この時点で66~67万トン台に落ち込む見通しとなっている。また、9月というのは大きな台風が襲来する月でもあり、昨年もこのタイミングでダメージを被った。大きな台風が1つでも、また直撃すると、沖縄のさとうきびとしては、致命的なダメージを受けるのではないだろうかと非常に心配しているところ。比較的、夏場までは順調に推移するが、台風シーズンでガクッと落ちることがよくあり、今年もそうならないか心配している状況。今回、沖縄のさとうきびの生産状況について、3つに分けて説明する。
まず、沖縄本島のさとうきびは、減少に歯止めが利かない状況が依然として続いている。減少の理由は、生産者の高齢化以外にも、後を継ぐ若手の生産者が、生産性の高い施設園芸や畜産など他の品目の生産を始めてしまうという理由もある。沖縄本島は、以前は複数の製糖工場があったが、合併を繰り返し今では1つとなり、さらにはその存続も憂慮されるくらいの落ち込みがある。どこかで歯止めをかけないと、もうなくなってしまうのではないか、というところまで落ち込んできている。
次にさとうきびの生産地である、宮古、八重山、先島の地域での問題は、高齢化の問題がいよいよ最終局面にきている。さとうきびは重労働で、以前は人手で賄っていたが、ハーベスタが普及したおかげで、収穫作業の負担が軽減され、ある程度高齢になってもさとうきび生産を維持できていた。しかし、ここにきて、農家が自ら植付する、或いは夏場の暑い時期での管理作業をするといった労働にも従事できなくなってきている。主産地宮古島では、耕作放棄地、次の植付をやらないほ場が発生しだしている。こういう事はかつてなかった。この問題は、受け皿になる生産法人、生産組織や作業受託組織のような、法人組織の育成がとても大事だが、そこが今までできていない。さとうきびは、法人として採算をとりながら生産していくしかなく、さとうきび単作で維持していくのは非常に難しいが、それをつくらないと基盤を守れないというところまで現状が厳しくなってきている実態がある。なので、今回の台風で一番懸念されるのは、作物の被害よりも、高齢農家に精神的なダメージを与えることによって、次の植付から引退するというところに繋がらないかという点。
もう一つ、離島の離島ということで、南大東、北大東という小さな島々については、そこにもちゃんとさとうきびの生産があって、それこそ国境離島を支える役目を果たしている。そこでは、高齢化以前に島を離れてしまう農家が後を絶たない。ご子息の教育のために沖縄本島であったり、別の島に出ていくという流れが続いていて、その農家が残したほ場をJAがすべての作業を代行する形で引き受け、さとうきびの生産基盤を守っている実態がある。そこでは、労働力を確保できないという問題もあり、外国人材を手配してなんとか繋いでいる現状がある。島々の抱える課題は異なっているが、同じように基盤を失おうとしている厳しさは共通の課題である。そういう実態の中で、生産が営まれており、これを支えている糖価調整制度に対しては日頃から大変感謝している。この制度は微妙なバランスの下で運営されていると思うが、今後とも安定的な運営をお願いしたい。
もう一つ付け加えたいのが、糖価調整制度の枠外なので、この場で言うのはどうかと思うが、含みつ糖、黒糖については別の問題があって、生産が好調なため、国内市場のキャパを上回って売り方に苦戦をしており、在庫問題を現在の沖縄の黒砂糖工場は抱えている。黒糖問題を考える際に、この糖価調整制度のありがたさをとても実感できる。これに含みつ糖を載せてもらう話は到底無理だと色々言われているので、そこまでお願いはできないが、同じ甘味資源として、異性化糖或いは加糖調製品等の競合の問題が発生していると思うが、黒糖の世界は、完全に輸入黒糖、安価な輸入黒糖、あるいは再製糖と言って粗糖に糖蜜を混ぜてもう一回黒糖に戻したものとの価格競争で完全に太刀打ちできなく市場を奪われている。この価格競争に喘いでいる黒糖からすると、その競争まで至っていない分みつ糖の世界というのは非常に安定しているとみることができ、糖価調整制度のおかげだとよくよく感じる。いろいろとあると思うが、黒糖の世界にもこのような問題があるということはご理解、ご認識いただければと思う。一方、売り方のところで、「ありが糖運動」を頑張っているので、沖縄の黒糖としてもこれに乗っかる形で自らの販売努力或いは、環境の改善につなげていきたい。消費者にアプローチするため、黒糖のスイーツの原料としての特性を活かし、コンビニでの販売等も含め、幅広い展開ができたらいいと考えている。生産の現場が厳しい中ではあるが、スマート農業の実用を含めて生産基盤、農地バンク制度もとても大事な役目を果たしており、そういうところで生産基盤を守りながら、消費・販売の世界とのバランスを保っていければありがたいと思っている。私どもも頑張っていくので、是非検討・ご協力をお願い申し上げて私からの発言を終わらせていただく。

西田委員:まず、調整基準価格については、異論はない。
最初に、今年産のさとうきび、でん粉原料用かんしょにつきまして、生産者交付金の引き上げを初め、諸対策を処置いただいたことに関して、農水省の皆様方にこの場をお借りして御礼申し上げたい。農家も非常に喜んでおりました。本当にありがとうございます。
さて、本県のさとうきび及びでん粉原料用かんしょの生産状況であるが、昨年の状況から申し上げると、両方とも生産量は前年産を大きく下回っており、生産者にとって非常に厳しい年となった。さとうきびの方は、沖縄もそうだったが、9月下旬に台風が襲来し、この影響で生産量は、前年産を約7万5千トンを下回る45万3千トンとなった。過去、統計をみると、相次ぐ大型台風がきて、生産量が過去最低だったのが平成24年の43万2千トンというのがあったが、これに次ぐ低さとなった。今年は、これまでの生育状況をみると、6月下旬から7月上旬まで雨天・曇天が多かったため、日照不足による生育の遅れがあったが、梅雨明け以降順調に推移しているとのこと。今のままいくと、収量見込みとしては、面積は前年より150haほど少なくなって、9,286haとなる。過去の単収実績を乗じて試算すると、順調にいけば前年よりは2万7千トン多い48万トンとなる見込み。さとうきびについては、他委員から「はるのおうぎ」の話があったが、資料の中にもあるが、茎の数が多いことや、糖度が農林8号と一緒、多収性、機械収穫に優れているというところを農家にもきちんとPRしないと普及に繋がっていかない。久しぶりに明るいニュースと思っているので、一生懸命やっていきたいと思う。
次に、でん粉原料用かんしょについては、昨年の会議もこの9月にあったが、これまで順調に進んでいますと、平年以上の収量が期待できるのではないかと発言したところだが、その後台風が来て、台風が過ぎ去った後も畑の水がなかなかはけない、留まっているということがあり、そこから病気が広まり、結果的には前年産を7千トン下回る9万3千トンという実績であった。今年については、植付け後の活着も良好で、梅雨明け以降も天候に恵まれて、概ね平年並みの単収見込みを推移しているところ。ただ、昨年発生した病害、今年発生していないかというと、やはり発生はしているが、栽培環境指導や苗の段階での消毒、病害苗の除去、ほ場において症状が生じているつるがあれば早期に抜きとるなど、地道にやり、今のところ深刻な被害の拡大には至っていないところ。今年の見込みは、作付面積はほぼ前年並み。単収を平年並みの2.6トンで試算すると、収量については、前年より8千トン多い10万1千トンとなる。最後になるが、さとうきび及びでん粉原料用かんしょは、本県の基幹作物であることに違いはないので、これからもいろいろな関係機関の方々と連携を図りながらそういった振興にJA、生産者団体として取り組んで参りたいと思うので、国においても、ご指導、ご支援をこれまで通りいただきたいのでよろしくお願いする。

高野部会長:それでは、これにて全委員からの意見を頂戴したため、事務局から簡単に回答を説明いただきたい。

森下課長:本日は皆様から様々な御立場から大変貴重で、そして多岐に渡る御意見を賜り御礼申し上げる。まず砂糖の消費拡大について、大変多くの意見があった。「ありが糖運動」をはじめ様々な枠組みができつつあるが、そこをベースにてこ入れを重ねていくべきといった御意見をいただいた。認証制度、グランプリ及び人気投票等の様々な工夫をやっていくべきということについて、まさにそのとおり。今の枠組みをベースとしてさらに今後何ができるか検討を重ねて参りたい。また家庭の砂糖消費量が減少する中で生産者、地域及び企業で様々な工夫のあるアピールが必要だという御意見をいただいた。この点についても、消費拡大を考える上でより検討をしていく必要があると思う。加えて、イベント等を活用して注目を集めるのは良いが、持続的なPRが必要ではないかと御意見もいただいた。これについても、注意して進めて参りたい。健康等については、委員がサイエンスを通じた知見を深めておられるということで、これについては我々も広く認識していかなければならないと思っている。また砂糖についての間違った常識、あるいは理解不足などが広まる中で、毅然とした対応及びマスコミへの発信方法も含めてよく考える必要があると思う。一方で、砂糖だけでなく芋についても、芋がすばらしい品目であり調理方法や食べ方をさらに伝えていく余地があるのではないか、消費拡大を図っていくことが必要ではないかというご指摘をいただいた。砂糖だけでなく芋についても消費のあり方を検討して参りたい。
糖価調整制度全般については、貴重な御意見をいただいたと認識している。糖価調整制度において、基本的に事業者にもご負担いただきながら国費と併せて交付金を交付させていただいている。事業者負担と国費負担については、糖価調整法に基づいて運営しているところ。制度を安定的で持続可能性の高い制度にしていくためには、どう財源を確保するかが非常に重要な課題であるため、関係業界の皆様とよく議論を重ねて参りたい。次に加糖調製品の制度について、さらに拡充するべきではないかといった御意見をいただいた。ご案内のとおりTPP協定発効に伴い、加糖調製品に係る制度を開始したところである。ご案内のとおり加糖調製品からの調整金を原資に砂糖の調整金単価を下げることで砂糖の競争力を高めることは一定程度実現できたと考えている。引き続き、この加糖調製品に関する新制度を確実に実行して参りたい。また砂糖と異性化糖との関係についてご指摘をいただいた。糖価調整制度における調整金は、その算定根拠や算定方法について法令に基づき運営をしなければならない。できる限り算定根拠や算定方法を明示するとともに、どういうものでどういった趣旨のもと実施しているかについても業界の皆様に丁寧に説明していかなければならないと思っている。併せて砂糖と異性化糖に関する調整金のあり方についても御意見いただいた。これについては法に基づいて調整金をご負担いただいているが、製造実態や事業者の皆様の経営の実態を業界全体の実情や実勢をしっかり踏まえた上で法に基づき定めていくものなので、その姿勢を堅持しながら進めて参りたい。制度に関しては、計画性がもっと必要だといった御意見もあった。毎年の運営に追われるだけではなく、年度をまたがる中長期的な視点に立って運営をする必要があると思っているので、引き続きご協力いただきたい。
生産現場及び製造現場における問題については、スマート農業に関していくつか御意見をいただいたと認識している。スマート農業について、実証事業を国の予算事業として開始させていただいたところ。このモデル事業を地域全体に広げていくべきという御意見について、横展開、広域展開及び応用を進めて参りたい。スマート農業については、単なる労働力の軽減や高齢者対応だけでなく、若い農業者に入ってきてもらう視点も重要であり併せて農業技術を将来に継承していくことも大変重要であるので確実に進めて参りたい。働き方改革についても、御意見をいただいた。このことについて、5年間の猶予期間のうちに対応しなければならないため、予算事業を用意したが、使い勝手の良いものとなるように検討を重ねて参りたい。潜在的な生産能力があるなかで将来にわたって意欲が持てる農業にしてほしいといった御意見もいただいた。これも大変重要なことだと思っている。生産者、製造の皆様も意欲が減退することがないよう施策を講じて参りたい。高齢化、担い手、病害、いろいろなことについて生産基盤が大変深刻な状況を迎えている中でこれらについても、施策及び予算事業で最大限配慮して参りたい。
また、やや細かな点になるが、「はるのおうぎに」ついて、叱咤激励いただいた。消費者及び生産者へのアピールは大変重要なことだと思う。6階でのパネル掲示も含めて将来のある新しい品種についてよくPRして参りたい。また含みつ糖についても御意見いただいた。含みつ糖については、ご案内のとおり地域特産物の振興ということで内閣府沖縄振興局の所管ではあるが、今含みつ糖が抱えている課題、在庫問題については認識しているところ。内閣府とともに何ができるか真摯に検討して参りたい。

高野部会長:ありがとうございました。ただいま事務局からご回答をいただきましたが、このことについて何かご意見、ご発言があればお願いしたい。

(※特段の意見無し)

それでは、ご意見がないようなら、議論を締めさせていただいきたいと思う。本日は委員の皆様、貴重なご意見をいただきありがとうございました。本部会としまして、砂糖及びでん粉の調整基準価格については、異議なしということでよろしいか。

(※特段の意見無し)

ありがとうございました。今後、事務局におきましては、必要な手続を進めていただきたい。

森下課長: それでは、本日の甘味資源部会を閉会させていただきたい。

ー以上ー

 

お問合せ先

農産局地域作物課

担当者:宮部、上
代表:03-3502-8111(内線4843)
ダイヤルイン:03-3502-5963

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