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農林水産省

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平成26年度 第1回(平成26年9月9日)議事録

日時及び場所

平成26年9月9日(火曜日)10時00分~12時00分
農林水産省 第2特別会議室

出席者

委員:中嶋委員(部会長)、三石委員
臨時委員:大木委員、矢野委員
専門委員:有田委員、上江洲委員、小笠原委員、新福委員、仲田委員、久野委員、平田委員、本坊委員、松谷委員、村上委員
農林水産省:松島生産局長、柄澤農産部長、長井地域作物課長、藤田砂糖類調整官、地域作物課課長補佐(参鍋、藏谷、古田、御村、二井)

議事

平成26砂糖年度に係る砂糖調整基準価格(案)及び平成26でん粉年度に係るでん粉調整基準価格(案)について

概要

冒頭、生産局長から挨拶が行われた後、中嶋部会長の議事進行の下、長井地域作物課長から砂糖及びでん粉政策をめぐる現状と課題及び平成26砂糖・でん粉年度の調整基準価格の事務局案について、それぞれ説明があった。
その後、委員による意見交換が行われた。その意見交換の概要は以下のとおり。

 

三石委員:砂糖調整基準価格及びでん粉調整基準価格に関し、本年度についてはご提案のとおりで問題ない。
今後のこととして申し上げると、甘味資源については世界的に大きな動きがあると予想される中、どのような制度が運用されているのか、どのような技術開発が行われているのか、消費者がどのように感じているのか、この3つを併せて考えていく必要がある。
労働者不足、工場の効率化等いろいろな話が出たが、これらをいかに活用する技術があるのか、消費者の視点から見ても今後の食生活から考えて納得できるものであるのか、このようなことも併せて制度を検討していく必要がある。
したがって単年度の内容であれば、ご提案の内容でかまわないと思うが、企画部会、政策審議会において、今後、5年、10年、長期の視点で検討していること、さらに、各品目ともかなり生産農家の数、工場の数も絞られてきている中で、今後、どのようにしてこの貴重な資源を維持していくかという視点を持って、短期と長期の視点を併せて、継続的に議論していく必要があると考えている。

大木委員:砂糖及びでん粉調整基準価格について、異存はない。
毎年、気象が変化する中で収穫量が気になるところであるが、今年は、さとうきび、てん菜、でん粉原料のかんしょ、ばれいしょの生育がおおむね順調ということで、今後は台風もなく順調に生育してほしいと願っている。
7月の懇談会でも意見が出されたが、高齢化や後継者不足もある中で、5年後、10年後の展望が描けるよう、農地中間管理機構も活用しながら、生産や工場の操業機能を維持していってもらいたい。
カロリーベースの食料自給率については、国産熱量の寄与度では砂糖は第4位であるが、消費者の砂糖に対する誤解もあるため、砂糖の消費量が年々減少してきている。
砂糖の持つ9つの機能性に加えて、砂糖が災害備品であるということについても、農水省だけでなく関係者が一丸となってPRすることが大事ではないかと思っている。
その上で、供給の9割近くを占める業務用についても需要拡大を働きかけていくことが今後の消費の伸びにつながるのではないかと思う。

矢野委員:調整基準価格について、異論はない。
今回、現地調査に行ったが、かんしょが地域適性を持った作物であること、高齢化問題が思った以上に深刻であることを強く感じた。
高齢化問題については、単に生産面だけでなく、工場の立地やほ場の位置など収穫後の物流面も調整していくことが必要であると感じた。
今日の報告では、品種改良などによる生産振興の方針説明もあったが、これに加えて、地域全体として組織面での様々な調整が必要であると感じている。
焼酎用とでん粉原料用のパイの奪い合いの話を現地で何度か耳にしたが、後継者不足の問題も考えると、競合するのではなく、今後は、かんしょを安定供給していくべく、地域での組織的な調整を行い、産地とその関連産業が共に伸びていくようにする必要があると考える。

久野委員:砂糖の新しい基準価格等については、行政当局が熱心に努力をして決めたものなので、賛成したいと思う。
私が砂糖業界に来て26年が経つが、制度の在り方については、白紙で考えなければならない時が来たと思っている。
TPPに参加している以上、砂糖は国際交渉の場でガードされているといった考えは捨てなければならない。
そういった前提の下、砂糖業界として、どのように制度設計をして、甘味資源を維持していくのか、もう一度白紙で考える時が来た。
キューバのさとうきびの生産は潜在的には1,000万トンくらい可能であると考えているが、実際は220万トンくらいしか生産できていなかった。
私は、キューバに行った時に、カストロに、キューバは社会主義国家で、非常に非効率なさとうきびの生産が行われており、本来生産されるものが、きちんと製造されていないと厳しく申し上げたことがある。
その後、250くらいあった砂糖工場が、私の提案で50くらいになったが、これでいよいよキューバはさとうきびをたくさん生産できることになった。
現在の砂糖の生産に、キューバの新たな生産が加われば、砂糖の国際的な相場、位置付けが変化することになるが、そういったことも含め、日本の砂糖の制度全体を白紙に戻して考えていかなければならない。
昭和40年にできたこの砂糖に関する制度を、国産糖の引取りを確保するという前提に立って組み替えていき、それが10年20年後、国際的な環境変化の中でも対応できるよう、グローバルに検討していかなければならない時がきた。
私は水産会社にいた時に日ソ漁業交渉等の様々な国際会議に出てきた。
当時は日本の海域においては1,100万トンくらいの漁獲量があり、それを日本は消費してきたが、いまや漁獲量は600万トンくらいにまで減ってきており、残りの500万トンは外国から輸入している。
このように、東南アジアを含め、需給関係に大きな変化がでてくる。
経済の支配の形態にも大きな変化がある。
先般、松島局長も交渉を担当された豪州とのEPA協定が締結されたが、豪州との協定を結んでも、仮に豪州の企業が華僑の資本に握られていたとすれば、高い砂糖を買わなければならなくなり、何のために協定を結んだか分からなくなる。
このように、国際的に大きな変化がある中で、日本の食料自給率を具体的にどういった形で確保していくか、そのための負担はどういう形で、誰が責任を持つのか、そういうことをきちんと整理して国民の皆さんにも理解していただかなければならない時が来ており、これは砂糖についても同様である。
国会議員の皆さんも鹿児島、沖縄、北海道の交付金単価を上げることについては関心を持っているが、制度そのものや、砂糖が全体の中でどのように位置付けられているかは、ほとんどの方は関心がない。
交付金単価を上げるとか、そういった政治的な考え方で臨むのではなく、沖縄や鹿児島のさとうきび、あるいは北海道のてん菜について、どうあるべきかということを、中長期的な観点から国会議員の皆さんにもしっかりと方向性を議論していただかなければ国際的な変化に対抗できない。
私としても最大限努力してきたつもりだが、残念ながら砂糖の需要は200万トンを切った。
このことは極めて重要で、これが180万トンになると、沖縄や鹿児島のさとうきびやてん菜を引き取ることができなくなってしまう。
200万トンの消費を守らない限り、これら甘味作物を守ることができなくなると私は考えている。
このまま放置すれば消費量は170万トンくらいまで落ちてしまう。
もちろん我々も最大限の努力をしているが、砂糖は加糖調製品や高甘味度人工甘味料と比べ、不平等な扱いを受けており、これらの調製品や甘味料がどんどん増えてくる。
そうすると、いかに砂糖が良いものであっても、使う人が少なくなってしまう。
そういった面でも、将来の状況を踏まえ、この制度を、見直す時が来た。
これまで何度も主張してきたが、いよいよ最終場面に来たと思っている。
是非とも行政官庁の方々も多面的、国際的な面から考えていただきたい。
本日お集まりいただいている皆様にも、パートナーとして、真剣に日本の農産物を守るという前提に立って考えていくということを御理解いただきたい。
200万トンを切るということは極めて重要なこと。
私は、砂糖を販売している問屋や特約店から、加糖調製品が増えて砂糖の需要が減ってきており何とかしていただきたい、ということを今日の会議で伝えてほしいと言われてきた。
長い間砂糖を真剣に販売してきた問屋や特約店は多数の雇用を抱えているので、今後の対応を前向きに考えていただきたい。

本坊委員:ご提案のあった調整基準価格については、異存はない。
原料のとうもろこしについては、2013年アメリカ産の豊作に続き、2014年産についても作付時期の良好な天候から豊作と予想されている。
しかしながら、原料とうもろこしの輸入については、シカゴ相場、原油価格、海上運賃、さらに為替相場等の動向に左右され、これらは経営環境に大きく影響を与える。
製品の動向については、主力の異性化糖は、25年度は前年を上回る伸びだったが、本年度は消費税増税前の駆け込みからの反動や天候不順により、前年を下回る状況にある。
特に7月以降、土日の台風の襲来や暴風雨などにより、非常に消費が落ち込んでいる。
特に、飲料でいうと8月は対前年比で20%前後の減少という非常に厳しい状況にあり、9月もユーザーの在庫調整で影響が残ってくることを危惧している。
異性化糖は、飲料を中心に消費されるため、天候による変動が大きく、当業界をとりまく原料製品の状況についてご理解願いたい。
制度については、砂糖の消費者への安定供給と、国内農業を支える重要な位置付けであると認識している。
そのような中で、異性化糖と砂糖の関係については、異性化糖の需要量や用途は、飲料や食品を中心に既に確立され、素材として定着している。
異性化糖の需要が増えたのは、飲料メーカーにおいて、第3のビール、酎ハイ、スパークリング系の飲料の新しいジャンルが開発されたところが大きく、異性化糖と砂糖とのすみ分けは出来ていると判断している。

有田委員:本日の調整基準価格については、特に異存はない。
我々が製造する異性化糖は、全体の3~4%のシェアであるが、いろいろな製品をつくっていることが特徴である。
以前はタピオカでん粉の輸入は年間7万トンであったが、現在、いろいろとご協力をいただき年間8万トンと増やしている。
タピオカでん粉は品質がよく、価格も安いため、会員からは増量要請が続いている。
その数字はトータル2万トン程度であり、現在の260万トンのでん粉需給からみても、難しい水準ではないと考えており、是非とも品質の面からもお考えいただきたい。
本日の資料については、現状認識をするにはよくできた資料であるが、日本社会の高齢化の中では、農業だけではなく我々工業において難しい問題が起きている。
国土庁の推計によると、2050年の群馬県高崎市の人口は、37万人から33万人と4万人減るとされているが、特に、労働人口については、30万人から20万人に減ると見込まれている。
このような中では、アメリカ、イギリスと同じように、年齢制限で考えることができなくなるのではないかと考えている。
でん粉関係の会議でも、先をどう見るかという議論が少ないように感じている。
これまでは、財政負担を薄く広く消費者に負担していただき、実にうまく世界でも成長してきたけれども、今後、年金負担が増える中、生活物資を安くしていかなければ負担しきれなくなるのではないか。
グローバル化が進む中で、今までの制度もいいが、次の時代へ向けて様々な議論が必要ではないかと考える。
異性化糖についていえば、中国は国内需要250万トンに対し、500万トン規模の製造設備を有しており、完全な供給過多である。
今後中国を中心に世界にプレッシャーがかかっていくことも予想される。
このような中で、先の展望についての議論をお願いする。

松谷委員:平成26年度の調整基準価格については、異存はない。
TPP交渉における情報提供を今後ともお願いする。
加工でん粉とでん粉の分解物を製造、販売している関係から、原料でん粉の供給では北海道のばれいしょでん粉、南九州のかんしょでん粉の生産者の方々にたいへんお世話になっている。
使用原料については、海外からの調達も多く、近年の円安による為替の影響を強く受けているのが現状である。
輸入タピオカでん粉は、最大の生産国であるタイでは、原料タピオカ(キャッサバ)の収穫面積は増加し、昨日現地から報告があったところでは、収穫量は3,100万トンとのことであった。
しかし、タイ国内の政情や中国のタピオカチップ等の買付けなど懸念材料はあるため、動向を注視している。
ヨーロッパのばれいしょでん粉は、天候に恵まれ、オランダ、ドイツ、デンマークでは、ばれいしょの生産量も前年産を上回ることが見込まれてると聞いている。
このような海外の生産の状況の中にあっても、弊社を含めた加工でん粉業界では品質の良い国内産ばれいしょでん粉を志向しているところであり、たくさんの課題はあるものの、北海道のばれいしょでん粉の安定的な供給に向けた、産地の皆様の取組に期待している。

平田委員:8月初めに中嶋部会長はじめ鹿児島まで足を運んでいただき感謝申し上げる。
残念ながら種子島に渡ることはできず、不謹慎な言い方をすると、島に渡った後で台風が来ればさとうきびが台風に強いところを直に見ていただけると思ったが、次回は台風が来ない時期に来ていただければと思う。
砂糖調整基準価格及びでん粉調整基準価格については、基本的に異議はない。
鹿児島の離島のさとうきびの状況や担い手問題などいろいろあるが、今日は少し違う視点からも現状の問題についてお話しさせていただきたい。
鹿児島の離島の状況については、内地でも異常気象や災害が続いているが、今年、鹿児島では薩摩や大隅で8月の日照時間が平年の6割、大隅に近い種子島では平年の7~8割となっており、7~9月は一番のさとうきびの成長期だが、その時期に日照が足りていない状況であるため種子島の生育は平年よりかなり遅れている。
種子島から約400キロ離れている奄美では、島によって濃淡があり、南の島はそれほどでもないが、北の島は春先から春にかけて平均気温が1℃弱低く推移し、茎数が例年の2割程度少なくなっている。
ただし、夏場の日照時間は平年並となったため多少挽回している。
全体的に見ると、例年9月、10月は台風の影響を受けることが多いが、そのような影響がない前提でみると、平年より多少プラスか、平年を前後する状況となると考えられる。
秋にかけて台風の襲来がないことを祈っている。
過去、担い手の問題ややりがいの問題などをお話させてもらったが、先ほど農水省から現場での取組状況について説明があったが、大型化・機械化に尽力いただき、それなりの成果が得られており、ありがたく思っている。
ただ、栽培、収穫、圧搾という一連の流れは有機的に関連したものとして考える必要があり、一部だけ大きく取組が進み、一連の流れが上手くいっていないということが起こりつつある。
一つは集中脱葉機であり、これについては平成17,18年頃に導入しているが、ハーベスタの普及率が6~7割であることを前提としていた。
現在では、鹿児島のハーベスタ導入率は9割となった一方、集中脱葉機はハーベスタ普及率6~7割の前提のままなので、収穫したさとうきびの葉をどこで取るのかという話になっており、栽培、収穫、圧搾の全体をシステムとして機能させるように進める必要があると考えている。
もう一つは機械化を進める中で、工場の圧搾能力に見合ったハーベスタの稼働状況にしなければいけないということである。
ハーベスタが工場の圧搾能力を考えずにどんどん刈っていけば、結果どうなるのかは目に見えている。
作付けの把握、収穫から圧搾までの一連の流れの中で効率的にしていく必要があり、これはハードというよりソフト面になると思うが、全体を管理するような機能がどこかにないと、個別の場所では合理化、効率化されても全体としてみればそうでもないという結果になる。
製糖会社の責任で行う部分もあるが、農家やハーベスタの受託組合を管理するわけにもいかず、関係者一体でやっていかなければならないので、行政の高いところからの指導をお願いしたい。
上江洲委員:本日の調整基準価格については、異議はない。
沖縄県のさとうきびの生産状況をお話させていただきたい。
さとうきびは、沖縄の約8割、鹿児島の南西諸島の約6割の農家が生産しており、離島の地域社会にとって欠くことのできない基幹作物となっている。
平成23、24年産は、台風や病害虫の異常発生により、過去最低あるいは2番目に少ない生産となり、生産の回復を図るため関係者一体となって、国が予算措置したさとうきび増産緊急対策事業の支援を受けて、干ばつ対策、地力増進、早期株出管理、病害虫防除等に取り組んでいるところである。
25年産については、夏場の記録的干ばつや秋の台風被害にかかわらず、23年産に比べ2割近く増加したのは、生産回復への取組の成果と考えている。
また、さとうきびが災害に強い作物であることを証明する一端といえる。
ただ、増加したといっても、大減産直前の22年産と比べると、未だに2割近い減産であり、地域によっては平年作を3割以上下回っているところもあることから、担い手への農地集積、土地改良等、将来に向けた対策を含めた取組が必要である。
本年産の作柄については、一部地域で台風11号の被害を受けているものの、全体的に茎長は長く、茎数は多い島と少ない島でかなり差があるが、全体としては順調で生産の回復を期待している。
今後のさとうきび産業の発展には、生活を維持できる一定の所得を確保し、かつ10年、20年と安定的にさとうきびを栽培できる担い手の育成が急務と考えている。
さとうきび農家では高齢化が進展しており、離農する農家の受け皿として、担い手を中心とした生産組織あるいは農作業の受託組織を法人化する必要があると考えている。
耕作放棄地の解消や農地の集積を目指した農地中間管理機構は、土地利用型作物であるさとうきびの栽培の担い手育成、離農者の受け皿の組織化に大変適した政策であり、これらが上手く機能することを期待している。
我が国の砂糖産業は、糖価調整制度によって成り立っている。
本制度を維持するため、関係者が最善を尽くしているところであるが、その中で、我々は、農作業の機械化、規模拡大によって、さとうきびの生産性の向上、工場のコスト削減によって消費者負担の軽減に努めなければいけないと考えている。
本制度の維持には広く国民の理解を得ることが重要であり、制度の仕組み、砂糖産業の持つ産業活動を超えた公共性、多面的機能等について、透明性を持った情報開示を行い、国民の理解を得た上であれば、安心してさとうきびの生産に取り組むことができる。
将来に対する不安も解消されれば、自ずと生産性も上がってくるものと考えている。
現在、(独)農畜産業振興機構等が行っている広報活動は重要であり、今後も続けていただきたいと考えている。

小笠原委員:調整基準価格については、ご提案のとおりで異議はない。てん菜の状況については、てん菜の状況については、平成22年産から大減産が続き、耕作者数も10年間で1万戸から7,500戸程度に減少している。
ビートパルプとの関係では酪農戸数も減っている。
早急な手当、あるいは将来に対する展望の策定など、手を打っていかないと難しくなると考えている。
天候については、北海道では、例年であれば8月のお盆過ぎから涼しくなるが、平成22年を境に高温多湿が続き、25年産は、春先にオホーツクの天気が悪く、機械がほ場に入れず難渋した。
26年春は、オホーツクは良かったが、十勝で4月下旬の霜、大風の被害を受け農家が難渋した。
その後天候は回復して、状況としては良い方に向かっている。
ただし、昨年は、10月16日頃に十勝地方に約1か月早い大雪が降り、その結果ビートが大打撃を受けたこともあるので、収穫するまではわからない。
このような状況が22年から続いている。

砂糖の製造に関しては、やはり面積が減ったため操業度が落ち、それが原価に跳ね返って高くなっていることが問題となっている。
加えて、生産資材が5年くらい高止まりしている状況にある。
燃料価格についても同様に高止まりしている。
今年顕著な問題としては、トラックが不足していることがある。
平成23年3月の東日本大震災から問題になっており、今年はますます顕著になった。
さらにオリンピック景気のため、運転手が本州、東京の方に来ており、また、労働関係法令遵守の関係で運転手の時間外勤務が厳しくなっている。
一方で輸送費の値上げの要求もあり、トラックの確保がより難しくなってきている。
行政にお願いしたいのは、加糖調製品や高甘味度人工甘味料の問題がある。
これらは砂糖と一緒なので、早急に対処していただきたい。
またTPPの問題では、砂糖そのものの問題もあるが、ビート種子の問題がある。
アメリカではほとんど遺伝子組換え種子を使っており、将来的にどうなるのか懸念を持っている。
非常に難しい局面だが、新局長、新課長には、我々に対し適切な将来にわたる展望、指導力を発揮していただきたい。

新福委員:調整基準価格について、異存はない。
鹿児島の状況を申し上げると、さとうきびについては病害虫などにより、23年度以降3年連続で記録的な不作となった。
そういった中で、さとうきびの増産基金を各島で活用しながら増産に取り組むことができ、非常に感謝している。
平成26年産の栽培面積は、7月1日現在10,404haで前年から1,301ha増加しており回復の兆しが見えつつあるが、本格的な回復にはまだまだ時間が掛かると考えており、メイチュウ防除や土づくりなど、回復・増産に向けた取組について、引き続き支援をいただきたい。
でん粉原料用かんしょについては、焼酎ブームや高齢化の問題により栽培面積は低迷している。
また、最近は単収も下がっている傾向にあることから、バイオ苗を活用し単収アップ対策に取り組んでいるところである。
26年産は、天候不順により現段階では平年並みか少し下回るくらいであると見込んでいる。
甘味資源作物は、農家だけでなく、地域経済、地域社会を支えている重要な作物であるが、自然相手ということで、台風、干ばつに左右される中で取り組んでいることをご理解いただきたい。
本県のJAグループでは、市町村が作成する人・農地プランと連携したビジョンを持ちたいということで、農協ごとに産地づくりの視点、経営管理支援の視点を盛り込み地域営農ビジョンを策定しているところである。
本年度末には全15JAで135品目の策定する予定である。
その中に、さとうきびとかんしょをしっかり位置付け、また、中間管理機構や法人化支援と併せて取り組むことで、地域を守り、特色ある産地をつくり、農畜産物の振興を図ってまいりたい。
現行制度を堅持した上で、生産者が安心して生産できるようなご支援を賜りたい。

仲田委員:沖縄は、高齢化による農家減少に加え、規模が小さい零細農家である。
特に沖縄本島が、生産者、収穫面積、量が確実に減少していきている。
一方、宮古島や八重山は、資料にもあったとおり、夏植えから春植え・株出しに移行し、若干面積は増加してきている。
最近の3年間は、23年産については、イネヨトウが異常発生し、歴史的減産で54万tとなった。
24年産は台風15、16、17号と立て続けに被害を受け、68万tとなった。
25年産は、増産基金を活用したが、大干ばつとなり68万tとなった。
さとうきびに限らず、沖縄の農業は、台風、干ばつ、亜熱帯気候による病害虫といった自然災害との戦いである。
そうはいっても農家は少々の自然災害はあるものと想定し、少々の自然災害に耐え得る強いさとうきびを作るため、適期の肥培管理を徹底するなど努力しなければならない点もある、と考えている。
今後、特に懸念されるのは高齢化であり、沖縄も65歳以上が5割弱を占めている状況にある。
そして規模が小さい。
5年先、10年先を見ていった場合、危機的状況であると認識している。
現在の生産法人は、作業受託が中心で経営的に非常に厳しかった。
これまでは、生産法人が相対で土地を借りることは非常に難しかったが、今後は、公的な斡旋機関である農地中間管理機構を活用して、生産を主体とした法人を作っていくことが必要だと考えている。
最後になったが、調整基準価格については、異存ない。
この糖価調整制度は生産者から高い評価を受けている。
規制改革の名の下に様々な制度が廃止されてきているが、制度によって守られている人もいるということも考えていただいて、全く見直さないわけにはいかないと思うが、この制度を堅持してもらいたい。

村上委員:砂糖及びでん粉調整基準価格について、異論はない。
毎年の異常気象が恒常化しており、春先の天候の悪さ、夏から秋にかけての高温により、てん菜もばれいしょも寒冷地作物として苦戦している状況が数年続いていた。
ただ今年については、春先に霜と風の被害があったが、その後は順調に推移しており、9月1日現在で道庁の発表だとばれいしょ、てん菜ともに平年より5日程度早い生育状況にある。
ばれいしょについては、作付面積は大きくは減っていないが、課題としてシストセンチュウの問題が一番大きく、多収の抵抗性品種を早急に普及することを目標にしているが、その中で種イモの安定確保が必要であると考えており、種イモ生産農家に対する支援が必要であると考えている。
てん菜については、数量払いの単価も手厚くなったので、今年の収穫が平年作以上であれば農家としても手取りの上昇を実感でき、作付面積の減少に歯止めがかかると思う。
本年は基本計画の策定年であるが、TPPとの関係もあり生産意欲をなくした若者の離農も出てきており、目指すべき将来像をしっかり示してほしい。
年間新規就農は600~700戸あるが、既存の農家の子弟が600戸前後、そのうち半分が大学等を出て就農する者、残りの300戸が外部で就職していて戻ってくる者、全くの新規での就農は50~100戸となっている。
外から新しい人を農業に入れることも大事であるが、中の方々の経営を繋いでいく対策も大事であると考えている。

松島局長:はじめに、お諮りした調整基準価格につき、ご賛同いただき感謝申し上げる。
また、委員の方々からはそれぞれの生産状況や、抱えている課題について、詳細にご説明いただいたので、今後、政策を決定していくうえで、参考にさせていただきたい。
個別のご質問については後ほど担当課長からお答えさせていただくが、委員の方から大所高所からの政策提言があったので、こちらについて私からお答えさせていただく。
委員の方々からは、砂糖及びでん粉をめぐる状況に大きな変化があり、中長期的観点から解決策を考える必要があるということをお話いただいたが、まさにそのとおりであると感じている。
加糖調製品についての言及もあったが、将来的にはTPP交渉をはじめとして、貿易自由化の流れというのは避け難い状況にある。
このような中で、我が国の基幹的な産業をどう守っていくのかということは大きな論点である。
国際的な需給や価格の問題もあり、砂糖の消費については中国・インドといった途上国を中心に急速に伸びている一方で、生産については制約条件がある。
トウモロコシの価格についても、足元では落ち着いているが、上昇基調にある。
原油も高止まりしているということで、資源については足元では価格の上昇下落があるが、中長期的には上昇基調にある。
そういった中で国内対策を考えていくことは不可欠と認識している。
さらに我が国の人口構造の変化については、ほぼ将来を見通せる状況であり、労働力の高齢化の問題や、高齢者が増えることによる消費量の減少、嗜好の変化などを見据える必要がある。
そういった変化の中で、我が国の砂糖産業が、生産者だけでなく製造業者も含め、持続的な産業として維持するためにどういう形で支援していくべきかを、もう一度考えるべきというご指摘はまさに正鵠を得たご指摘である。
今、中嶋部会長には食料・農業・農村審議会で基本計画の見直しをご担当いただいているが、私どもとしては、その中において制度がどうあるべきかといったことも大きな論点として認識している。
久野会長からは白紙で考えるべきというお話があったが、固定観念にとらわれずに、現在抱えている課題、将来見通せる課題について、最適な解決策はどういうものであるか、柔軟に考えていくということと認識しているが、まさにそういった観点から私どもも勉強していきたいと考えており、委員の皆様からのご叱咤、ご提言もいただければ大変ありがたい。

長井課長:需要拡大については、実は私は10年前に砂糖・でん粉の担当をしたことがあり、その頃から需要拡大をどう行っていくか悩んでいたところであるが、今後いろいろとお知恵をいただきながら取り組んでまいりたい。
担い手の問題については、非常に多くの委員からお話をいただいたが、本日ご説明した内容は、中間的な内容であり、今後、企画部会で議論されることになるが、今回頂いたご意見を踏まえながら、企画部会の資料の提出等を通じて、しっかりした経営展望がつくられるよう対応してまいりたい。
加糖調製品の問題については、先ほど局長から申し上げたように、制度のあり方を考える中で、それも含めて勉強してまいりたい。

生産面については、機械化については有機的な連携をすべきといったお話や、種イモの確保についてお話をいただいたが、そちらについてもよく現場の状況等を伺い、留意しながら考えてまいりたい。
遺伝子組換えについてもお話をいただいたが、本日ご欠席の市川委員からは、お配りしている資料7のとおりご意見をいただいており、小笠原委員からは反対のご意見をいただいたと認識している。
いずれにせよ、遺伝子組換え作物については、カルタヘナ法に基づき、科学的な評価を行いながらということであり、更に申し上げれば、国民の理解がなければなかなか進められることではないので、そういった話の中で考えていくべきことと考えている。
ほかにも様々な御意見をいただいたので、それらも含めて、我々もいろいろと勉強し、検討してまいりたい。

久野委員:一つ皆様にご理解いただきたいのは、昭和40年に制度設計された時の前提条件は、砂糖の需要が約255万トンであったということ。
その255万トンのうちの80万トン前後が国産糖で、残りが輸入糖という前提で保護財源を確保できた。
255万トンくらいの需要があれば十分精糖メーカーとしても、調整金を消費者から徴収して保護財源を確保できる。
しかし現実は、200万トンであり、この状況では、調整金の負担が大き過ぎるため、需要はどんどん減っていく。
制度は国産糖を維持するためのものであると、この際きちんと整理するべきだというのが私の考えである。
今年は砂糖の消費量が相当減り、来年はもっと減ってしまうと考えている。
高甘味度人工甘味料や加糖調製品がどんどん増えてくれば、保護財源がなくなってしまい、調整金勘定が大赤字になってしまう。
制度を維持する上でこれは危機的状況である。
これは何度も申し上げてきたことだが、今回は本当に危機的状況であると認識している。
我々は調整金を砂糖の価格に入れて、砂糖の保護財源の多くを負担しているが、それが徴収できなくなる。
徴収できなくなれば、誰がその負担をするのか。
我々企業が負担をすれば株主からは、株主の利益の消失として訴えられてしまう。
だから、制度を維持していくために国は何をしていくべきで、全体をどうすべきか、この際冷静にきちんと仕組みを形成していただきたいというのが私の考えである。
無理を申し上げているわけではない。
増税で価格が上がる中、砂糖価格に調整金を転嫁することは大変で、問屋や特約店も苦労している。
そこで調整金の説明をしても誰も買ってくれない。
政治家でも調整金を知っているのは、残念ながら2、3人しかいない。
こういった状況で、もう少し冷静な検討をしていかなければ、我々も担っていけなくなる。
需要が増えているのならば別だが、需要は減っており、調整金のウェートが増えていき、需要がどんどん減っている。
これが危機的状況だということだけはご認識いただかなければならない。

中嶋部会長:大変重要な構造的な問題のご指摘を頂いた。
これは大きな問題として、宿題として受け止め、これが今の基本計画の見直しに直接反映できるタイミングかどうかは分からないが、事務局の方でも検討していただきたい。
調整基準価格については、事務局から説明のあった案で本部会としては、異議なしということでよろしいか。

(異議なしの声)

中嶋部会長:事務局において、適切に手続を進めていただきたい。以上、甘味資源部会を閉会する。

 

- 以上 -

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