このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

食料・農業・農村政策審議会果樹部会 第2回(平成26年7月28日) 議事録

  • 印刷

日時及び場所

平成26年7月28日(月曜日) 15時00分~17時42分
農林水産省本館4階 第2特別会議室

議事

(1) 果樹農業に関する現状と課題(生産関係)

(2) その他

概要

菱沼課長
定刻になりましたので、第2回目の食料・農業・農村政策審議会果樹部会を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、ご多忙中にもかかわらずご出席いただき、厚く御礼申し上げます。
議事に入るまでの間、私、事務局の菱沼が、司会進行させていただきます。
よろしくお願いいたします。
まず初めに、松島生産局長より委員の皆様へご挨拶を申し上げます。

松島生産局長
紹介のありました松島でございます。
先週の火曜日、22日付で生産局長を拝命いたしました。
前任の佐藤官房長同様、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
自己紹介させていただきますと、生産局長を拝命する前は、3年ほど国際部におりまして、直前は国際担当総括審議官として、貿易交渉、日豪EPA交渉といった貿易交渉、直近ではTPP交渉などの担当をさせていただいておりました。
そういった中で、諸外国からの市場開放圧力は高いわけでございますが、本日、ご審議いただきます果樹につきましては、ほかの品目に比べますと、国産のいろいろな強みを打ち出せる品目ではないかと、国際担当をしながら思っていたところでございます。
本日は生産の方から現場での事例紹介があると伺っておりますけれども、やはり消費者サイドの多様なニーズに応えて、外国産品ではなかなか対応できないような品質のものを安定的に供給していくということが、これから国際社会を迎える上で大変重要なことと思っております。
農政の中でも大きな課題がございまして、農家の所得の向上、6次産業化、輸出拡大といったさまざまな課題がありますが、やはり果樹というのは国産の強みを打ち出しながら、そういった課題に率先して対応できるような作物ではないかと思っております。
現在、親部会の食料・農業・農村政策審議会では、食料・農業・農村基本計画の検討が行われておりますけれども、それと並行してこちらの部会でご専門の方々から果樹農業振興基本方針の策定に向けて、御議論いただくと伺っております。
生産者の方々からのご意見をはじめ、流通・消費の側面からもさまざまな御意見を伺って、それを基本方針に反映していくことが大事だと思っていますので、引き続き忌憚のない御審議をいただき、よりよい基本方針が策定されますことを祈念いたしまして、簡単でございますが、私の挨拶とさせていただきたいと思います。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

菱沼課長
それでは、議事に入ります前に、配布資料の確認をさせていただきます。
議事次第が1枚、次に配布資料一覧がございます。
資料1は果樹部会の委員の一覧でございます。
資料2は、策定に向けて今後の審議のスケジュールでございます。
資料3は、第1回果樹部会での御意見の概要を取りまとめたものです。
さらに資料4といたしまして、第1回果樹部会でいただいた主な御意見に対する事務局からの説明資料として、本日は資料4-1と資料4-2を用意させていただきました。
さらに本日の議事におきましては、委員及び有識者からの話題提供いただくこととしておりますが、資料5は、説明者の方々の提出していただいた資料として資料5-1から資料5-4までございます。
足りない部分や落丁等がありましたら、事務局へご連絡いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、委員の出席状況及び部会の成立について、御説明申し上げます。
本日は、山口委員、三森委員がやむを得ない御都合ということで、御欠席と伺っております。
また、今のところ香髙委員、橋本委員がお見えになられておりませんが、本日は、委員及び臨時委員19名のうち、今現在15名の委員に御出席いただいております。
したがいまして、本部会が成立していることを御確認させていただきました。
よろしくお願いします。
なお、松島生産局長におきましては他の公務がございますので、これで退席とさせていただきたいと思っております。
よろしくお願いします。
また、西郷生産振興審議官におきましては、現在、不在でございますけれども、別の公務のため若干遅れて出席いたします。
大変申し訳ございませんが、よろしく御了承をお願いします。
それでは、本日の果樹部会の進め方について、私のほうから御説明させていただきたいと思います。
資料2のスケジュールを御覧ください。
第2回部会ということで、今回からいよいよ基本方針の見直しに向けた議論を開始いたします。
それで、本日は、果樹農業に関する現状と課題(生産関係)と示しておりますが、主に生産や加工流通の現場から見た現状と課題について、御議論いただきたいと思っております。
また、消費関係については、次回に御議論いただくということで、よろしくお願いします。
今回の議論に当たりまして、外部から有識者の方をお招きしておりますので
御紹介いたします。
株式会社早和果樹園代表取締役社長、秋竹新吾様でございます。

秋竹氏
秋竹です。
よろしくお願いいたします。

菱沼課長
どうぞよろしくお願いします。
秋竹様からは、農業生産法人におけるみかん生産、加工品、製造等について話題提供いただく予定でおります。
また、本日は同じく葛西委員、鈴木敏行委員、深澤委員から話題提供いただき、議論をさせていただきたいと思っております。
秋竹様、葛西様、鈴木様、深澤様、どうぞよろしくお願いいたします。
それで、今までは資料の確認、部会の成立、さらには今後の進め方についてご説明させていただきました。
これから議事に移らせていただきますので、部会長よろしくお願い申し上げます。

三石部会長
三石でございます。
よろしくお願いいたします。
それでは、これから私のほうで議事の進行を進めさせていただきます。
本日の議題は2つありまして、1番が果樹農業に関する現状と課題(生産関係)、2番その他、以上の2点になります。
それでは果樹農業振興基本方針の策定に向けて、果樹農業に関する現状と課題(生産関係)について、議論を進めていきたいと思います。
まずは事務局から資料が提出されていますので説明いただき、その後、4名の委員及び有識者の方からの話題提供をいただいて、最後に御質問、御意見の時間を設けたいと思います。
それでは、事務局より説明をお願いいたします。

菱沼課長
よろしくお願いいたします。
それでは事務局から、資料4-1と資料4-2を用意させていただきました。
まず資料4-1から説明させていただきますが、資料4-2につきましては、説明担当者が公務の都合がございまして、有識者の話題提供をいただいた後に御説明させていただきます。
それでは、資料4-1について、まずご説明させていただきたいと思っております。
まず資料4-1をめくっていただきますと、まずは消費動向、さらには消費対策をどう進めていくのか、前回の部会の中で御意見をいただきました。
私どもでまとめさせていただきましたのは、消費動向と今後の方向として1ページ目でございますけれども、左の年表で、消費対策についての変遷を載せております。
まず昭和40年代から始まりまして、平成12年度までは、ポスター、イベント、小・中学校への果汁の供給支援、さらには平成13年度からは、科学的知見に基づき、果実が非常に健康で大事なものであることを伝えるため、「くだもの200g運動」やアメリカ等で成功していた「5A DAY運動」をしっかり進めておりました。
平成21年度までは、果実単独で消費拡大対策をやっておりましたが、新たに日本の食生活ということで、食育という観点から幅広く、健康に留意した食生活を送る中で、さまざまな対策を講じてきました。
右のほうに棒グラフがございますけれども、これも先般、どうして食べないのかという議論がございまして、食べない理由をまとめさせていただきました。
御紹介いたしますと、「日持ちせず買い置きができない」「値段が高い」「皮をむく手間がかかる」といった利便性、「他に食べる食品がある」といった嗜好性が非常に高い果物であるということで、ライバルもいるということ、「近くに買いやすい店がない」、「太るといけない」といった理由も入っています。
さらに、果実をめぐる流通構造の変化ということで、右の下でございます。
やはり小口化・簡便化に対することが必要であるということ、さらに日常的に食べるためには、「値頃感」が必要であること、あまりにも高いと手が出せないということだと思います。
品質と価格のバランスも求められている。
また、安定した品質やそれを伝える販売方法が必要ということで、オレンジやグレープフルーツに比べて、かんきつは、味にばらつきがあることで、1回食べてまずかったので、他の果物を食べるという話もあり、がっかり感がある。
そういったことがないように、販売方法を工夫していくことが求められているということであります。
2ページでございますけれども、ではこのような状況の中で、消費対策をどのように進めていくか考える必要がありますけれども、やはり消費拡大におきましては、消費者への訴求と産地段階での取組と、両面合わせて進めていく必要があります。
我々どうしても今まではおいしいです、健康にいいです、だから食べましょうという取組をしていましたけれども、やはり消費者と産地の段階の取組として連携していかなければいけなけません。
消費者への訴求につきましては、食べていないのはどの世代なのかと申しますと、このグラフにもありますように、働き盛りの世代が非常に少ないということで全国段階で「デスクdeみかん」といったキャンペーンを講じたり、企業や学校での食育といったことも進めていく必要があります。
地域段階におきましても、福岡の柿の消費拡大協議会がございますけれども、地元の柿を使ったデザートメニューを開発するといったことが出てきているということで、しっかり販路を確保して、食べてもらおうという取組が必要になっています。
産地段階の取組といたしましては、やはりニーズに合った新品種に切り替えて商品開発をしてもらおうと、売れ筋商品として資料にも記載がありますがシャインマスカットというな種なしで、そのまま皮つきでも食べられるということで、まさに手軽に皮をむくのが手間であるということに対応している新品種も出ております。
さらに業務用需要に対応した加工流通整備が求められています。
加工品需要に対応した生産体制の確立として、今後消費拡大を行うに当たっては、産地と連携して、産地と消費者のニーズに合った消費拡大対策をしていかなければいけないと考えています。
3ページでありますが、果樹経営がやはり非常に厳しい状況にあります。
次世代の担い手を何とか育成しなければいけないということですが、なかなかそうはいかず難しいということ、果樹経営には未来があるのかといったお話も第一回の議論でございました。
左に棒グラフがございますが、りんごとみかんの経営面積当たりの所得を示したものでございます。
これを見ますと、収益性が最も高い経営規模というのは、やはり1haから2haといった規模、ですからかなり面積的に大きくなるということが分かります。
これ以上になると収益率が低下するということでありますが、3ha以上のところでも、やはり高収益グループという方々がいらっしゃいまして、平均を上回るグループと下回るグループを分析すると、上回るグループは約18万円程度の所得を上げているということが分かります。
したがいまして、果樹におきましても規模拡大、園地の集約化が求められてきています。
そういたしますと、右のほうにございますように、先般、法律が成立いたしました農地中間管理機構を通じて担い手への集積・集約化ということを進めていく。
農地中間管理機構では、特に稲、麦、大豆といった土地利用型作物を中心にしたものという考えがありますけれども、それだけではなくて、果樹園地についても集積していく。
さらに担い手をつくっていくといった方向が求められていると思っております。
あと、4ページでありますけれども、果樹経営の方向性として、これからはりんごジュースやみかんジュースといった加工部門に取り組んでいくべきではないかというお話もさせていただきました。
そういった中で、どういうふうに進めていくのかというお話がありましたけれども、実際に左のほうには、有限会社の事例でありますけれども、16haの経営規模で雇用をしながら法人経営を行っています。
こういった新しい担い手が地域を担って育ってきています。
こういった方々を我々は育成・確保していかなければいけないと思っています。
加工専用果実の生産について、みかんの事例として、右側に載せています。
加工用専用園地を作り、生産を進めているということで、単収も2倍、労働時間も5割減すると、農業経営費も2割減少するということで、ストレート果汁向けの放任園等の集積により規模拡大ができるといったデータ等を載せております。
このような事例やデータを現場でお見せしながら、果実の加工についても取り組むことができるのではないか、そうしていけば所得が上がっていくのではないのかというお話ができると思っております。
5ページ、最後でございますけれども、めくっていただきますと、果樹の経営支援対策事業ということで、平成18年度まで価格補てんを行う果樹の経営安定対策を行っておりましたけれども、改めて果樹の経営支援対策ということで、その後は、新品種への植え替え、未収益期間対策といった対策を講じてきています。
その対策はどのような効果があったのかといった御意見等も頂戴いたしました。
そういった中で、左の下のほうに棒グラフがございます。
全国の産地に協議会がございまして、取り組んだ方々の中でどういった効果がありましたかというアンケート調査を行ったところ、群を抜いて多いのは、優良品目・品種への転換をすることによって、消費者ニーズに合った生産体制ができたということ、これにより所得も上がったというお話もあります。
さらには基盤整備を併せて実施して、生産性の向上につながったという御意見が非常に多くありました。
実施面積ですが、真ん中に表がございます。
みかんをはじめとして、合計で4,700haということであります。
品種転換の効果として、長野県のデータを右のほうに載せておりますが、やはり優良品種の面積が増えるということで、シナノスイートで2倍となっております。
徐々にではありますが、優良品目・品種への転換が広がってきているということでございます。
改植事業等に対する果樹産地からの声ということで、一番下のほうです。
新わい化栽培に切り替えたので、息子が後を継いでくれることができたということや、27年度以降もこの事業を継続してほしいということ、さらには同一品種の改植、今は優良品目・品種への転換としていますが、もう一度同じ優良品目で改植ができないかといった御要請、またほかにも資材購入費といったことも支援できないかということも、御要請として上がっているところです。
事務局からは以上でございます。

三石部会長
ありがとうございました。
それでは次に、秋竹新吾様から話題提供いただきたく思います。
秋竹様が代表取締役を務められている株式会社早和果樹園では、マルドリ方式によるみかんの生産、さらにジュース、ジャムやジュレなどの加工品の開発もされて、高い評価を得ていると聞いています。
また、ICT技術を栽培管理システムや園地管理、それから人材育成ツールとして活用されていると伺っています。
このような取組の現状や課題、今後の方向性等について、話題提供いただきたく思います。
それでは秋竹様、よろしくお願いいたします。

秋竹氏
皆さんこんにちは。
和歌山有田市からまいりました早和果樹園の秋竹です。
どうぞよろしくお願いいたします。
早和果樹園についてですが、今、有田みかんとして皆さん御存知かと思いますが、有田は非常に古いみかん産地で、今年で440年の歴史があると言われています。
昭和54年に7戸の農家が早和共撰組合という組合を設立しまして、ちょうどみかんで生産量が300万トン以上あった時代です。
常に市場はみかんであふれているというような状態でしたが、7戸の農家で設立しました。
冬のみかんは非常にお金に変わりにくいという状態でしたが、ハウスみかんに取り組み、一つ安定的な部門ができたということで、最初7戸の中で後継者が現在4人育っています。
今現在、一番上が41歳で、41、40、39、38という4人が育っておりまして、法人化してチャレンジしようという気持ちが起こったわけです。
今現在、この4人がそれぞれの部長として、みかんをつくる生産部長、それから加工する加工部長、それから販売を担当する営業部長、それから管理をやる総務部長、これらが今、実行部隊となって、早和果樹園を引っ張っております。
平成12年に有限会社から法人化したわけですが、今から振り返ってみると、一農家ではなかなかできないことが、法人化することでみんなでできるようになるということで、大きく考え方も変わったと思います。
現在の早和果樹園の概要ですが、取締役7名、今、説明しました後継者4名がそれぞれ取締役部長でおりまして、あと、私らの年代、早和共撰を創業した年代が3名、取締役としております。
従業員は年々増えて46名、正社員が35名で常勤のパートが11名です。
今のようにお中元・お歳暮の時期になりますと、臨時のパート・アルバイトが15人から20人ぐらい入っております。
資本金は8,502万円です。
今年の早和果樹園の売り上げは、まだきちっとした数字が出ていないのですが、6億3,000万円ぐらいになると思います。
この規模で資本金が8,502万円というのは非常に大きいと思います。
これはアグリビジネス投資育成株式会社、ここから出資をしていただいておりまして、そのアグリ社から出資していただいた資金を、加工を始める資金にしてきました。
その後、配当もできるということで、増資もしていただき、現在資本金が8,502万円となっております。
今の早和果樹園の業務は、みかんを栽培する、それから地域の農業者のみかんを集めて、選果し出荷を行っている。
それから、原料を有田みかんに特化して、みかんの加工品をつくっております。
それからいろいろ市場出荷を初めとして、直接販売もしております。
ダイレクトメールでの販売、それからインターネットでの販売、業者への卸売といったオールチャンネルの形で販売をしております。
みかんの生産ですが、みかんが大量にあった時代に7戸での共撰を始めたものですので、我々の存在価値はというと、今日は社長がお見えの東京築地の東京シティ青果さんには創業時代からずっとお世話になっておりまして、とにかくおいしくないと意味がないということを言われました。
その時代、産地の側は、量で市場シェアを高めるということだったのですが、我々はとにかく味で勝負しようと考えました。
それが今も続いてきております。
加工品にもそれが活かされていると思います。
シティ青果の担当の方に、とにかく味のばらつきがあってはいけない、それぞれその年、その年、おいしいみかんを生産していかないと、我々が望む消費者の皆さんはついてきてくれないということを言われまして、マルチ栽培に取り組みました。
有田というところは急傾斜地に石垣で築かれた段々畑で、みかんが栽培されていて、非常に畑が乾燥します。
それだけで味の濃いみかんができるのですが、なかなか秋に温暖化の影響もあり大雨が降ることもあります。
今もこの数日前からスプリンクラーでかん水が始まっているんですけれども、常に乾燥を気にしていたんですが、秋の大雨があるため、あまり有田の生産者はマルチ栽培はあまりやりませんが、我々はいつもおいしいみかんをつくっていこうということで、マルチ栽培を積極的にやることになりました。
その延長線上で、国の試験研究機関が開発してくれたマルドリ方式をやる方向になりまして、この方法は毎年おいしいみかんができる方法だということが分かり、東京シティ青果さんのお世話になって、新宿高野さんでもずっと販売してもらっております。
もう10年ぐらいになりますけれども、ずっと続けて販売してくれていまして、一番いいみかんは何のみかんって、高野さんのバイヤーさんに聞くと、やはりマルドリだという答えが返ってきていました。
高野社長も、有田のみかんは環境がいいからこんなにおいしいみかんができるんだよとおっしゃられていて、「できたんだよ」と言うのではなくて、「作る」と言うことが大切であり、やはりつくりこなしていかなければいけないともおっしゃられていました。
それが、生産者の心をお客様に伝える新宿高野の役割なんだということを言ってくれたのが印象的でした。
法人化するというのは、なかなか一農家ではできないことですけれども、加工をやろう、有田みかんに付加価値を、ということで100%のストレートジュースを搾ることになりました。
ジュース加工といっても、何も加工の技術があるわけではなくて、知識もありませんでしたので、加工研究者やジュース工場へ行って勉強しましたけれども、よく言われたのはジュース加工はやめておいたほうがいいということでした。
桁違いに安いオレンジジュースが入ってきているから、日本でジュースを搾っただけで損するよ、というようなことを言われて、がっくりきたことを覚えています。
そこでやめなかったので、今日の我々があるかなと、そのように思います。
そう言われたことで、とにかくおいしいみかんを搾ったらおいしいジュースが取れるんだということは、我々も分かっていました。
和歌山県に「味一みかん」というブランドみかんがあります。
それを原料にしようと考え、それが今から振り返ってみればいい方向だったのかなと思います。
そして、今、世界のオレンジジュースの90%以上はインライン方式で搾られています。
温州みかんの場合、皮がやわらかいから、やはりぐしゃっと搾ることによって皮の油がジュースに入ります。
苦み、えぐみというのはそこから出てくるということを知って、皮をむいて搾るチョッパー・パルパー方式でやろうということになりました。
プリンスホテルの料理長さんが来てくれて、おいしい原料と特殊な搾り方のジュースということで飲んでくださったときに、私、30年以上の食材に接しているが、これだけおいしいジュースを飲んだのは初めてだということを言ってくれました。
それと大手の百貨店のバイヤーさんがまだ値段をつける前でしたが、これは日本にないジュースだ、という言い方をしてくれました。
それでものすごくやる気が出てきて、販売に力を入れるようになりました。
私、今年で70歳になりますが、ずっとみかん栽培一筋で来ておりましたので、みかんを販売するとなると、東京シティ青果さんを通じて市場出荷していましたので、「売る」ということを全く知りませんでした。
それまでは朝起きると常に裏山へみかん栽培に行く生活でしたが、ジュース一つ搾ったおかげで、今度はネクタイ巻いて東京へ出てくるという生活になってきました。
市場のほうで何か販売してくれるかなという甘い気持ちでしたが、それはやはり全然ルートが違うよということで、その時点から販売活動・販路開拓をしていかなければいけないと思いました。
ちょうど県でも特産物を東京へ、大阪へ、都会へ出していこうという動きもあったときで、有楽町にアンテナショップが開店されたちょうど同じ年に、味一しぼりというジュースの販売を始めました。
ランキングが1位になったこともあったので、マスコミでも取り上げてくれることになって、徐々に販路が広がってきました。
それと、資本金ではアグリビジネス投資育成株式会社から、出資してもらっていますが、東京ビッグサイトでのアグリフードEXPOがその時分にちょうど始まり出しまして、そこで無理矢理でも出ようということで出展をさせてもらうことになりました。
もう東京、大阪で十五、六回開催されているのですが、全部皆勤賞で出展をさせてもらっております。
やはり自分のブースを出して、試飲試食してアピールできる、この方法が販売を知らない私らにとっては非常にいい方法で、帰ったら電話をくれて取引をやってもらえないかというなことを先方さんのほうから言ってくれる。
そんなことがずっと続いて、この商談会出展が販路開拓につながるということで、今も幕張メッセのFOODEXへも出展しておりまして、年に5回ぐらい商談会出展をしております。
この写真は幕張メッセでのFOODEXでのブースです。
これはビックサイトの写真です。
高木美保さんが来てくれました。
この右側の男前が私どもの営業部長です。
そういった形で有名百貨店、高級スーパーへと広がっていきますが、なかなか値段が高く、味一しぼりの720ミリリットルで当時1,260円、それから200ミリリットルで360円のジュースでした。
一般的にオレンジジュースと比べると5倍ぐらいする価格になっておりましたので、まず味を知ってもらわないと、高いだけとしか想像できないということになってしまいますので、できるだけ飲んで知ってもらおうと、最初から社員が総出で試飲販売に出ました。
スーパーでもやったのですが、なかなか一般的なスーパーでは、飲んでくれるけれども買ってくれないということもありました。
それで、おみやげとか贈答用には、そういう高いジュースも使ってくれるということを知りました。
今でもそうなんですが、和歌山の白浜温泉に大きなお土産物屋さんがありまして、終年、土日を主体に販売しております。
また去年は式年遷宮がありましたお伊勢さんのおかげ横丁で、毎週、土日月と、社員が出て試飲販売を続けています。
10年、11年続けてきて、やはりこれが一つは広げるきっかけだったかなと、そんな感じがします。
年間65万個の試飲カップを使っていますので、私のところの社員が直接お客様と向かい合う、65万人の人と向かい合える機会ができているかな、そんなふうに思います。
これは和歌山の近鉄での催事です。
これは伊勢おかげ横町での販売です。
ペニンシュラ東京の各部屋の冷蔵庫にも、私のところのジュースが入れられております。
いろいろな形でメディアに取り上げいただき、ワールドビジネスサテライトや、ひるおびで紹介されて、認知度が徐々に上がっていっていると思います。
それから海外でも香港やシンガポール、台湾へは割と大きなロットになってきましたがが、それからドイツ、ベルギー、オーストラリアへも少しずつ出るようになってきました。
おいしい有田みかんのおいしさを加工でも表現していこうと、そんなふうにこだわっており、安全を守るということでも、現場の「HACCPシステム導入営業」としても知事の認証を得ております。
これは味一スーパープレミアム、味一みかんよりさらにいいものだけでジュースをつくっております。
これは、みかんのジャムです。
それから果汁91%のゼリーです。
今、夏場非常によく動いてくれている商品です。
それから、この味一ジュレてまりインですが、ジュレの中に丸ごとみかんを入れております。
3Sサイズの小さなみかんです。
小さなみかんって、味が濃いので非常においしいと言ってくれています。
一昨日の日経新聞の何でもランキングという中で5位に入りました。
自分でもびっくりしたんですが、6位、7位あたりに千疋屋さんが入っているということで、非常に高い評価をいただきました。
これが丸ごとみかんを入れた、てまりみかんといいます。
こちらはポン酢で、みかんのポン酢もつくっています。
それから、みかんの収穫前に、私どもの直接買ってくれるお客様300人程度のアグリファンクラブというファンクラブを限定でやっておりまして、非常に喜んでくれております。
それから、ちょっと時間が押してきましたが、富士通さんとICT農業システムを構築しようということで、我々としたら勘と経験に頼ったどんぶり勘定の農業をしてきたんですが、ICTのデータで精密なみかん栽培をやって、おいしいみかんをつくろうということに取り組んできました。
なかなか富士通さんをもってしても、農業にITを入れる難しさというのは非常に感じているそうですけれども、私もこの機会に話をする中で、やはりできるだけICTが農業の栽培の中に取り入れていけるような形になれば、本当にまた大きく変わるだろうということをすごく感じております。
和歌山県の果樹試験場の栽培部の方も力を入れてくれまして、富士通さんと私らの間に入って、県の果樹試験場からもいろいろなアドバイスをいただきました。
これはフィールドサーバーです。
いろいろな形で私どもの生産部部員、非常に若い20歳代、30歳代が多いですが、経験のない者の人材育成をしていく中でも、非常にITが役に立つということを感じております。
こういう傾斜の段々畑でみかんをつくっております。
やはり人が成長しないと、なかなか会社も成長しないということもだんだん気づいてきました。
和歌山大学とも商品開発等も一緒にやってもらっております。
これが、農水省の食の広域連携アグリビジネスモデル支援事業で建ててもらった加工場の前での写真になります。
一応、経営理念として、社是が「にっぽんのおいしいみかんに会いましょう」、一、私たちは、豊かな自然と人々の丹精によって育まれた「日本の農業」を継承、発展させ「農」を核としたビジネスを展開します。
一、私たちはお客様の信頼を得ることを第一の目標とし、品質の向上に努め、安全、安心、健康・満足をご提供します。
一、私たちは一人ひとりが夢と目標を持ち、日々の仕事を通じて、会社と社員の未来のために、たゆまぬ努力と研鑽を続けます。
一、私たちは郷土和歌山に誇りを抱き、その豊かな未来のために、企業活動を通じて積極的に貢献します。
朝礼で毎日、全員で唱和しております。
14期と書いていますけれども、今年の7月から15期に入りました。
成長期に入れるかなというようなところにかかっております。
さらに成長させていきたいなというようなことを思って、日々やっております。
どうもご清聴ありがとうございました。

(拍手)

三石部会長
秋竹様、どうもありがとうございました。
それでは続きまして、鈴木敏行委員のほうからお願いいたします。
青果卸売・流通業の立場からの話題提供という形で、どうぞお願いします。

鈴木(敏)委員
ご紹介いただきましたが、卸の東京シティ青果といいます。
私、現場から離れて10年ぐらいたちますけれども、実は温州20年、桃とふどう20年担当しておりました。
それで私が常々感じたことをちょっと流通の面からお話しできればと思っていますので、簡単なパワーポイントで打ったものですから、実は今日の資料に、大分書かれていたので、当然のことであるなと思いました。
まず消費動向ですけれども、私も販促としてリサーチもしまして、特にこの3年、震災が起きてからは安心、安全ということがものすごく消費者の関心がある。
特に小さいお子様を持ったお母様が、まず生産されたエリアについて、例えば東北のどこなのか、大丈夫なんですか、ということが近年の優先項目になっています。
その前まではあまり放射能についても問題なく、第一優先は農薬だったんですけれども、このところ果物についても、安心、安全ということで健康志向ということにつながるんだと思いますけれども、お子さんを持っているお母様たちは非常に気にしています。
実は、去年の12月、3年間やらなかった福島のあんぽ柿が、放射能検査ができるということで、3年ぶりに販売したわけですけれども、非常に関心度が高かった。
ただ、あんぽ柿の場合は、小さいお子様よりも高齢者が好きだったなと感じました。
今、現状出ている福島の桃ですが、震災後1年ぐらいはやはり中元のギフトでは非常に売れなかった。
多分、農家の方も直接DMやネットで販売されている方が多かったのですけれども、一気に売り上げが落ちたということで、そのときは大分農協の選果場に持ち込まれ、市場流通で販売したということを聞いています。
ですから安心、安全ということで、第一項目に挙げました。
また、果物については、お店が非常にいろいろな置き方をしておりまして、価格比較が非常に厳しい。
スーパーさんでの398なり298なり、値段でまず買うお客さんが大分増えてきているという感じがします。
このところ、少子高齢化ということで、果物を食される方がやはり50歳以上ということで、多品目・少量買、要するにチョイスができる果物をということで、りんご1個にみかん2個という買い方ができないんですか、という方が結構おられます。
私も店頭に立ったときに聞かれました。
ですから、少しでもいろいろなものをちょっとずつ食べたいということに少し変わってきているのかなと思います。
どこでも言われることですが、食べやすさ、簡便性というのですか、皮をむくのが面倒くさいものは、全く売れなくなってきているという現象です。
年明けの中晩柑といいますか、いよかんや、甘夏、八朔は、非常に時期にとってはおいしいものですけれども、まずむきにくいので拒否される。
むいてくれれば食べるという感じです。
ですから、包丁が要らない果物が、やはり優先順位になるのかなという感じがしています。
その下に食味重点と書いていますけれども、とにかくまずくてはだめだという感じです。
オレンジとグレープの比較が先ほど出ていましたけれども、実は日本の果物の方が外国に比べてもおいしいです。
ただ、その食べ頃をやはりきちんとタイムリーに伝えられていない現状がありまして、酸っぱかったり、ちょっと熟度が過ぎていたりということで、消費者に届くときに本当にタイムリーにおいしい時期に当たっているのかなと感じています。
20年ぐらい前は、対面販売、八百屋さん、果物屋さんが結構いましたので、これは食べ頃ですということを提案できたのですが、なかなか今、人もいないということで、一番おいしい食べ頃の時期に、なかなか販売ができていないこともあるのかなと思っています。
ただ、センサーなんかで今、糖度チェックはしていますし、非常に糖度は高いんですけれども、熟度がいくと実際おいしくないという現状が出ているのかなと思います。
果実から取るよりも、サプリメントを取ったほうがいいのではないかという話があり、ブルーベリーなどのいろいろな果実がサプリメントになって、販売されています。
ですから、健康にはサプリメントのほうがいいんじゃないかというイメージが若干消費者の中にあるのではないかなと思います。
最後には、先ほどご紹介のありました搾り切ったジュースということで、ジュースは20年くらい前から、かんきつ産地やりんご産地が年々おいしいジュースをつくり出しているということで、お茶も全く同じですけれども、ジュースで大体、代用できるのではないかと思っている方が大半でして、わざわざむかなくてもジュースで飲めばいいじゃないかというお答えが返ってくるという状況です。
次に、果物を食べることに対して何か問題があるのかと聞かれることでは、まず第一に若い女性の方から果物を食べると太るのではないかということを必ず言われます。
この実証もできていないので、我々は、果糖、ショ糖などについて説明をしますけれども、太るということが頭の中にあって食べなくなっている。
ここに、さっき食べにくい果物と言いましたけれども、食べにくいのも嫌だという話もあります。
近年、みかんもむくのが嫌だという方もいらっしゃるそうで、データを見ますと1週間に100グラムも食べていない方が最近増えている。
本当に危機的な状況にあると感じています。
あと、安心、安全といって、先ほど放射能の関係も言いましたけれども、無農薬や減農薬ってどうなのですかとよく問われます。
特に果樹、特にりんごは無農薬では非常に難しいと思います。
日本の気候がこれだけ湿度が高いので、きちんと説明をして、私は農薬という言葉より、人間は風邪を治す薬を飲むわけですから、果物、青果物のお薬と言うことで、きちんと消費者や子供たちに理解いただくようなことも、必要ではないかと感じています。
また、先ほども言いましたけれども、サプリメントより生果で食べた方がいいのかということも、来年から表示が可能になるということですから、もう少しお客様に訴えることが可能になると思いますけれども、そのデータもきっちり出していったほうがいいと考えております。
この果実の効用は医学的には検証済みですと、例えばβ-クリプトキサンチン、ポリフェノールといった成分にはデータはあるんですけれども、消費者に分かりやすいようには、プレゼンできていないのではないかと思っています。
リサーチした中で、ある団体で継続的に5年程度やってみて、このような結果が出ましたということが大きな形につながるのではないかと思っています。
国内果実は高いとよく言われます。
ただ、私は5年ぐらい前から銀座は海外の方、例えば中国の方が非常に多いんですけれども、私どものところへいらっしゃって、質問がありました。
一つは、家電はどこで買うといいのかと聞かれました。
2つ目は、薬屋さんはどこですかと聞かれました。
薬はどうして日本で買うのですかと伺うと、東南アジアの方だったんですけれども、体型が日本人に似ているので、薬の即効性が非常にいいと言っていました。
3つ目は近くで果物を買える場所はありますかと聞かれました。
ホテルの近所にありますかと聞かれましたが、どうするのかと言ったら、夏なら桃、冬ならりんごやみかん、これをホテルで食べるそうです。
値段以上においしいと言っていました。
5年ぐらい前ですから、ある程度所得のレベルが高い方がおそらく、日本に来ることができたと思うので、日本の果物のおいしさを知っていて、価格帯が全く中国とは違うので、せっかく日本に来たならおいしいものを食べていこうねということだと思います。
ですから、日本人よりも海外の方のほうが、費用対効果を感じているのではないかという感じがしています。
産地表示の話はよく出ますが、消費者の方は○○県については関心があるのですが、自分が気に入っているお店が売っているものなら、それを買うという形です。
その買ったお店でおいしければ、あまり産地表示は気にしていないのかなと感じています。
我々は流通関係ですから、生産地の方が思っている以上に末端の方は産地の名前はそれほどには気にしていないのかなと感じています。
お店で気に入れば名前も覚えて、あのみかんはないのですか、というぐらいの感じではないのかなと思っています。
続いて、ここが一番、私が感じているところですが、果実の健康食としての定義です。
いろいろな本を読みますと、果実は多くの水分を補給してくれるとあります。
これは当たり前の話ですけれども、日本は、蛇口をひねれば水が飲めますが、海外へ行くと水が飲めない。
特に水の代わりにスイカなどの果物を食べるということも感じます。
やはり体には水分が必要です。
それだったらおいしい果物を食べませんかということです。
さきほどお話しました糖を多く摂取すると太るではないかと、この辺をやはりきちんと説明しないと、なかなか売れないのではないかと思っています。
酵素を多く含んでいることや健康に必要な栄養や生活習慣病を予防する成分も含んでいる。
これは、今後いろいろな形で表示できることがあれば、体の健康は食からということで、売っていきたいと考えています。
弱アルカリ性も、これも全く同じようなことですが、ここに書いた文言については、本当のことなのですかということをよく問われます。
やはり日本人はある程度定義の中であれば、それに乗っかる面もありますけれども、理由づけというのが難しい。
だけれども、サプリメントは違う視点で評価するという感じです。
日本の消費者と海外の消費者が違うのは、海外の消費者は体が欲しているというのを感じていることだと思います。
空港などでよく海外の方が小さいりんごを新聞を読みながら、おいしそうに食べているのを見かけます。
おいしいのかなと思って、1ドル98セントか2ドル98セントだったと思いますが、買って食べたらあまりおいしくないりんごでしたが、先ほど申し上げましたが体が欲しているからこういったものも食べるのかなということを感じました。
消費は日本が落ちていますが、海外のほうはきちんとキープされているという感じを受けています。
一つは、教育なり家庭の中での習慣も必要であると思っています。
最後に、かなり偉そうな感じになっていますが果樹産地に期待することについてお話します。
やはり海外と比べますと、用途別の生産体系で言えば、海外の場合は加工用と生果用でやはりとり方も違う。
加工用は少し大ざっぱであります。
揺さぶって落として、加工用に回すので、1個1個日本のように手を加えて出荷している場合というのは、あまりありません。
大ざっぱな収穫のため、それなりに見かけは悪くてもおいしければ、体で必要なんだから食べたほうがいいという感覚があります。
先ほどの資料にも出ている用途別の生産は必要なのではないかと思っています。
果実は嗜好品というイメージがすごく強いです。
確かにギフトにしても嗜好品ということなので、やはり健康食品という切り口で訴えていかないと果物はなかなか売れないということに繋げていくと思います。
市町村参加型の生産体系モデルと書きましたが、先ほど地域のお客様や子供たちにアピールしていくというお話がありましたが、そういった取組は非常に大事だと思います。
やはり特産品というのは、北は北海道、南は沖縄まで様々なものがありますので、観光でいらっしゃった方にインパクトを与えるイベントが大切です。
後で書いてありますけれども、ある観光地に旅行者が行ったとしたら、その場所のおいしいものぐらいは、やはりバイキング等で食べる環境づくり、それが必要ではないでしょうか。
消費者にはいくら宣伝しても、地元で食べられないのでは全く意味がないと思います。
みかんでしたら、有名な産地があるわけですが、あそこのホテルに行くとおいしいみかんが置いてあるというようなイメージを消費者に持っていただく。
無料というわけにいかないものですから、それなりに補助というのが必要ではないかと思います。
消費者に味を覚えてもらうために、無料ではなくて200円払ったら、いくつも食べられるような果物バイキングみたいなものもやはり考える必要があるのではないかと感じています。
欧米では、カットフルーツが当たり前にあります。
日本も今、カットフルーツのお店が少し増えてきました。
ただ、やはりロスが出るため、どのぐらい収益が上がるか検討していると思いますけれども、海外の場合はやはり容器によって単価を変えて、自分の好きなものをチョイスできる仕組みになっている。
でも日本の果物と比べますと、決しておいしくはない。
メロンも固いし、甘くもないし、そこを比べたら日本の果物の方がよほどいいわけで、もっと食べてもらうような形につなげるためには、補助という言葉を使っていいのかわかりませんけれども、消費をアップさせるような仕掛けが必要なのではないかなというふうに感じています。
私は、築地の卸会社ですから、実際の消費者との接点はございません。
ただ、直々にいろいろな販促で食品を提供しながら、おしゃべりしている中で感じたわけですけれども、消費者は本当に果実を食べたいと思っています。
ただ、なかなかお金を出さない。
買い物の中で優先順位はお米といったものが優先で、肉、魚、当然野菜も。
その中でお財布の中身がちょっと残っているから、果物を買おうかという感じです。
特に我々は農耕民族のDNAですから、果物と野菜そして魚と、これらをやはり重要だと訴えていくことが必要ではないか。
果物って本当に体に必要ですよ、健康は食から、果物と野菜は最低限、人間には必要ですよということをアピールできるようなことができましたら、消費動向も変化していくると思います。
来年4月から新たな機能性表示制度ができるということで、ここは大事なポイントだと思います。
これは教育の場面にもつなげるように、今から子を育てる親になる方々に、様々な切り口で、食べさせる工夫をする必要があります。
前回も言いましたけれども、これはなかなか難しく、給食でなく、今、道徳の時間等があるかと思いますが、その中で旬の果物を食べさせることであったり、クラスで春の花を見て、秋に収穫させることであったり、そこで収穫したものを食べてみることであったり、そういった体験が大事だなと感じています。
日本人は緻密な性格を持った国民なので、そういうふうに持っていけば一つ一つ子供たちに教育し、つないでいけると思います。
ちゃんと消費して、10年後もこういうものを食べられるような流れにしていこうという教育も連動してやることが必要ではないかと思います。
最後に、近年気象が変動しているということで、あまり変な能書きは言いませんけれども、みかんも北限に来ている、りんごもだんだん長野県ではつくりづらくなっているという情報も聞きます。
このところ、亜熱帯果実もハウスでつくりますが、いろいろ目先を変えてやっても、なかなかお金がとれないと続かないということがあって、我々としてはどれをつくったらいいという提言はできません。
しかしながら、付加価値をつけるという言葉が、本当に相応しい言葉なのかどうかということを別にして、消費者にどういうふうに食べてもらうか意識したつくり方をすれば、もっと買いやすい形で提案できるのではないかと思います。
我々は果物を担当して販売していますが、産地に対し、付加価値をつけたいいものを出荷してください、そうすれば少しでも高く販売するというふうに言いましたけれども、今、いい品質のもの必要ですけれども、もっと食べやすい環境にするために、どういった形で生産をお願いするかということも検討しなければならないと感じています。
この狭い土地の中で、手を加えてやっていた農業だと思いますから、難しい面もあると思いますけれども、我々もこれから新しい世代に、この本当においしい果物を食べさせる環境づくりというのを、草の根でやっていく必要があると感じています。
消費からの話ということで流通から見た視点ですけれども、皆さんの生産地にずばりという回答は出ませんけれども、常々感じていることを、今日報告させていただきました。
ぜひ皆さんのお話をこの中で伺って、私も草の根でいろいろな動きをしていきたいと思っています。
今、野菜ですが、中央区の小学校で収穫体験ツアーという取組を行っています。
これはサツマイモですけれども、毎年毎年植えて、収穫させて、料理させるということをやっています。
果樹は難しいと思いますので、なかなかやりにくい面もあると思いますけれども、そういったことも必要ではないかというふうに感じています。
皆さんの質問とこのテーマに合っているかどうか、少しぶれたかもしれませんが、日ごろ感じていることを少しお伝えしました。
以上です。

三石部会長
鈴木委員、どうもありがとうございました。
それでは続きまして葛西委員、りんご果汁の製造の現状と今後の方向性等についての話題提供をお願いいたします。

葛西委員
ただいま紹介いただきました青森アップルジュウスの葛西と申します。
座って説明させていただきます。
青森県の加工場の現状と課題、今後の方向性ということで、簡単に書かせていただきましたけれども、弊社の取組ではなく、今現在、青森県の過去5年間の現状、そして課題というものを今回、皆様にご説明したいと思います。
まずはここに書かれているとおり「数量・価格共に不安定さ続くりんご加工原料」ということで、私ども青森県には、一般社団法人加工協会というのがありまして、12社が加盟しておりますが、中身としてはさまざまな違いがあります。
一つは、メーカー用、業務用の果汁7割、自社用3割という会社、また私どもみたいに業務用、ほぼ業務用100%、そして自社用100%、そしてまたカット品用をつくっている工場、またシードル関係の酒類をつくっている工場もあります。
これら合わせて12社の中でも違うという状況、ただし原料だけは皆さん同じものを使っている状況で、買い入れをしているということで、条件としては皆さん一緒ですが、そこで今、県の加工場として困っているのは原料の確保、それに伴って価格のばらつきが多いということであります。
まずは別紙のほうに簡単ですけれども、21年から25年までの収穫の予想と加工向け、それと実績というものを載せてありますけれども、ごらんのとおり21年は5万トン台から、23年は大幅に減少して5万トンもいかない。
逆に24年産に入って8万トン、そしてまた25年産に至っては、また5万トンという減少気味。
この2万トン、3万トンのばらつきというのは、私ども加工場にしては大変な数字でありまして、冒頭話ししたとおり、まず7割ぐらいが、業務用として搾汁しています。
7割の業務用というのは、大手のメーカーさんに提供しているということから、まずその7割は濃縮果汁でメーカーに提供している。
当然ストレート果汁もメーカーには業務用として提供しているんですが、比率からいって、3割5分が自社製品、6割5分が業務用といった中で、なかなか加工原料の安定も図れないという中で、資料にあるとおり、私ども一番危惧されるのは、ユーザー離れというところでございます。
ユーザー離れがなぜ危惧されるかというと、青森県の生産量が多いということから、ストレート果汁に向かない、いわゆる未熟果も相当あります。
そういった中で全部がストレート果汁に適している原料ではないので、そういった中でストレート果汁のユーザー離れが一番危惧されるというのは、ユーザーが離れていくことによって、そのストレート果汁をつくれないということになると、その未熟果の処理の問題が出てきます。
それが一番大きい問題かというふうに、我々加工場はそういうふうに考えております。
別紙2のとおり、価格に対しても、25年産は、6月末ですがキロ34円、缶詰用というのが80円とありますが、非常に高い。
逆に21年産が15円ということで、この21年産、全体の集荷量が5万トンと少ない割にはどうしてこんなに安いのか。
これは20年産が近年にない青森県の生産量が50万トンを超え、加工に10万トン近く回ってきたということがあります。
この年は初めて需給調整が発動された年でありまして、この在庫があることによって、21年産は青森県の加工場全体が控えにしたということで、加工用の量として数字に表れている量は少ないですが、価格は高騰しませんでした。
そのような中で今後の価格、数量ともに不安定さが続く青森県のりんご加工業界としては、加工原料は未熟果も多く、ストレート果汁に向けられず、濃縮用として規格調整し、自社用ではなく、業務用原料果汁として飲料メーカーに販売していることから、ユーザー離れが我々加工業界にとっては非常に危惧するところでもありますし、その売り上げたるものも非常に厳しいものがあるということで、まず必要な加工原料の確保、このためにはどうするのかということで、まず我々業界の中で一番の最大の目的というのは、加工原料の確保であり、そのために県も当然取り組んでくれております。
また、今日お見えになっている福士委員等の生産者団体との話し合もいろいろやっております。
加工原料の安定化が最大の目的でありますけれども、生産量が45万トンで平年作でありまして、それを下回る40万トンともなると、全社で7万トン必要としておりますが、やはり3割減の5万トンぐらいで維持していくというような業界にしていかなくてはいけないのかなと思っております。
ただし、そのかわり、その3割減の分を果汁ではなくて、ここに書かれているとおりカット品とかピューレ等、こういったものの販路の拡大、そしてまた販売先の公共施設とか、外食産業とか、そういうところに販路を広げていくということも考えていかなくてはならないというふうに考えております。
そして私どもの会社も、先ほどもお話しあったとおり、FOODEX JAPANで台湾のほうからお見えになって、まずりんごの芯だけを抜いて、あと、皮ごと搾汁した商品を提供しましたが、それで試飲提供したら各社から人気がありまして、商品の説明としては、りんごというのは、中に行くほどおいしくなく、これは1個1個芯を抜いたものだとアピールしました。
そういったことを説明しながら、芯抜きりんごジュースということで大変好評を得られまして、それを試飲してくださった台湾から来たお客さんが、ぜひこのジュースだったら取引したいという話がありました。
非常に手間暇がかかりましたから、価格的にはちょっと高かったですが、やはり価格じゃないですね。
やはりおいしいものをつくれば、結構いい値段でも売れるということから、ストレート果汁の販売のほうも、県内各社、伸ばしていくという考えはあります。
しかしながら、なかなかさっき申し上げたとおり、ストレート果汁に適した原料だけが多く入ってくるわけでもないということが、一番の問題点でありまして、必ず青森県の生産量から行くと、加工は1割出ると思います。
1割というのは45万トンだから、4万5,000トンは出るわけです。
これを加工にしないと、廃棄処分にするというわけにもいかないので、そういうためには業務用としてユーザーさんとの信頼関係を今まで以上につくっておかなくてはいけないということが一番の、最大の問題でありまして、今後は各社、りんご以外にその3割減の売り上げとしては、青森県は皆さんご存じのとおり農業県でありますので、トマト、メロン、そういった野菜の汁とか、そういった加工も皆さん手がけるようにしております。
ただ、りんごだけではなかなか厳しい状況にあるというのは、今、お話ししたとおりでございまして、ぜひ45万トン前後を確保できるように県・国挙げてこれを、生産量を確保していただければなということで、拙い説明でありますけれども、簡単ではございますけれども、これで終わらせていただきます。
ご清聴どうもありがとうございました。

三石部会長
葛西委員、ありがとうございました。
続いて、深澤委員のほうから、青森県におけるりんご輸出の現状と今後の可能性、方向性について話題提供をお願いいたします。

深澤委員
青森県りんご輸出協会の深澤です。
座って説明させていただきます。
私のほうからは、青森県のりんご輸出のこれまでの経緯、それから輸出戦略、課題について、話題提供させていただきたいと思います。
お手元に資料をお配りしていますけれども、ちょうど2年ほど前に農業関係の雑誌から原稿依頼がありまして、それをもとにして、最近の統計データとか情勢を一部修正しておりますので、参考にしていただきたいと思います。
まず輸出の経緯ということで書いていますけれども、もともと青森りんごというのは明治維新に、武士のリストラ対策の形で、新たな産業として入ってきました。
そういう意味で日本国内に和りんごはあったようですが、西洋りんごは全く初めて入ってきたということで、非常にマーケティングに苦労したそうです。
輸出というのは、マーケット活動の一環として、非常に生産の早い段階から取り組まれたということです。
ちょうどりんごの生産が今年で137年目を迎えますけれども、輸出も、明治32年にロシア向けに行われているという記録がありましたので、輸出自体も113年という歴史を数えております。
定かではないですが過去の統計を調べていきますと、昭和15年に2万2,000トン輸出したという数字がございまして、その後ずっとこの数字は破られなくて、2007年になってようやく2万5,000トンという数字が出て、この記録を更新しました。
この間、いろいろな国に対する輸出に取組んで、例えば香港向け、これは1952年に8,300トンという数字が出ています。
当時は、県も香港に事務所を置くなど、輸出を支援したという経緯もございます。
その後、フィリピンに1万トン出荷したという記録もありますが、クリスマス需要が最大需要期であり、生産体制がなかなかそういうふうな形に青森県は対応できなかったものですから、縮小してしまった。
その後、中近東向けにもスターキングを中心に3,000トンぐらいの実績があったのですが、青森県自体でスターキングの生産というのがなくなってしまって、ふじに切り替わったというようなことで、供給ができなくなってきた。
それから平成に入ってから、アメリカ、ニュージーランド、オーストラリアから、日本にりんごを輸出したいという要請があって、条件つきの輸入を認めるわけですが、同時に日本からこれらの国への輸出も認められ、一定の検疫措置を守らせるために、あえて青森県からもアメリカやニュージーランドに輸出したという経緯でございます。
資料2ページに最近の主な輸出先別の輸出量というのがありますが、最大の輸出先は台湾になります。
台湾の欄を見ていただくと、平成元年400トン、これは輸入枠が400トンしかありませんでした。
その後、10年産1,700トンというふうになっていますけれども、輸入枠が2,000トンに拡大されて、このくらい出ていた。
それから13年産から一気に増えますが、この年産というのは青森県独特の計算方法で、9月から翌年8月までという計算をしておりますが、平成14年1月に台湾がWTOに加盟し、この時点で輸入枠が撤廃されたことで、一気に輸出量が増え、最大19年産で2万3,878トンという数字になっております。
その後、いろいろ紆余曲折があって後でまた説明いたしますけれども、これをピークにまた減少基調に入って、やっと25年産で一部盛り返してきているという状況です。
それ以外の香港以降はちょっと桁が違いますが、最近、香港市場向けが少し伸びてきている。
過去に8,000トンまではいきましたが、そこまでは到達しないまでも、このくらいの数字に盛り返してきているということです。
次に、輸出戦略について、簡単に触れておきたいと思いますが、平成16年に新しい知事を迎えまして、攻めの農林水産業というのが一つの柱になっておりました。
その中で、輸出振興について、関係団体挙げて取り組もうという機運が盛り上がりまして、それをスタートに輸出戦略を組み立て直した。
現状どんな取組をしているかというのを表2に挙げておりますけれども、5段階に分かれまして、第1段階では相手国の輸入制度を研究する。
第2段階では、新規市場開拓ということでマーケット調査を行う。
これはここの表の中に今、取り組んでいる国を挙げておりますので、参考にごらんいただきたいと思います。
第3段階では、輸出ルートの開拓・確立ということで、いろいろな国を対象に、過去にも取組んだ国を対象にしておりますけれども、見本市、物産展など、あるいはサンプル展示、商談会などを行っている。
第4段階では規模拡大ということで一定程度の販路ができている国に対して、一層拡大するために、バイヤーとのパイプ強化のようなことに取組んでおります。
第5段階としては、台湾市場を想定しておりますけれども、輸出自立支援ということで、それぞれ農協や商系業者は輸出のパートナーを持っておりますので、そういった形で独自の取組をしてもらっております。
課題等についてですけれども、まず1番目に挙げたいのは、検疫制度の強化です。
実は、台湾がWTOに加盟して、自由貿易になったというふうにお話ししたんですけれども、そのすぐ直後に、台湾にいない害虫の幼虫が発見されたということで輸入禁止になりました。
これを解除するまでに約1年ぐらいかかっていますが、日本側が一定の検疫措置を講じるということを条件に解禁されております。
その条件が、4ページの上のところにありますけれども、まず選果施設あるいは生産園地を登録する。
それから防除歴、防除記録を保管する。
出荷容器に施設コードを明記し、台湾側の検疫官を毎年日本に、日本の経費で呼んで、施設と園地の査察をする。
その上で、輸入検査でそのモモシンクイガが発見されたときは、1回目は輸出した県、2回目は国全体、日本が全部ストップしてしまうという検疫措置をとることになっております。
これまで青森県以外ですけれども、1回検疫でとまったことがございます。
それから2点目、残留農薬検査の強化を挙げておりますけれども、やはり台湾で2007年に残留農薬のポジティブリスト制をいきなり導入することになりました。
当時は、青森県の防除歴に載っている農薬のうち、3分の2は設定がありませんでした。
ですから、その剤が検出された、どんなに少ない量であっても検出された時点で、輸入が止まるという状況になっています。
実際に青森県から輸出されたりんごが何コンテナか輸出できなかったというようなこともございました。
これは、7年ぐらいかかっているんですけれども、現在は設定されていない農薬が、4ページの上から10行目のところに「2薬剤」というふうにありますけれども、正しくは「3薬剤」でございますが、3薬剤、まだ設定されておりません。
ですから、これについては、検出されると輸出が止まります。
それ以外についても、一応設定してもらいましたが、日本の残留農薬基準のほうが緩い。
台湾はCODEX基準という世界共通基準をとっておりますので、それより日本側のほうが緩い基準でやっていますので、日本の残留農薬基準はクリアしていても、台湾で引っかかる可能性はあります。
それからつい最近になって判明しましたが、香港も同様にポジティブリスト制を8月1日から施行するという予告をしてきております。
香港の基準からいくと、青森県で使っている農薬は58剤ありますが、このうち設定されていないのが28剤もございます。
香港が来年以降、スムーズに輸出されるのかどうかというのがまたちょっと微妙になってきている状況です。
こういった国対国との輸出規制については、やはり地方段階での対応はなかなか難しい。
国を挙げての対応が必要になってくると思っております。
それから時間が過ぎましたので簡単に申し上げますけれども、あと、風評被害の関係については、青森県の輸出が終わった後の被害だったものですから、大きな被害はございませんでした。
ただ、台湾側でも非常に安心・安全を気にする消費者が存在すると言われておりまして、青森県でも毎月検査を行って、その結果は県のホームページに、台湾語も含めて掲載して、あるいは大きなユーザーさんにはメールで送付するというふうな形で、データを送っております。
それからもう一つ、5ページになりますが、グラフに為替の変化率というのを挙げておりましたけれども、平成15年以降、日本の円高が相当進みまして、特に22年、23年あたりは、ベースにしました17年に比べて、30%も円高になっております。
これが輸出の決済を円建てでやっておりますので、台湾側の輸入業者にとってはコストアップとなりました。
これに対して競争相手のアメリカや韓国が、上のほうのグラフになりますが、逆にドル安、ウォン安という状況で、日本のりんご輸出が苦戦をしました。
その後、24年の暮れあたりから急速にアベノミクスの成果でしょうか、円安傾向に転じておりますので、それはそれでまた販売環境がよくなってきているということではあるんですけれども、やはりこういった為替レートの変更ということについても、やはり地方団体ではなかなか対応できない問題だなというふうに思っています。
最後に、6ページのところに、アジア各国の輸入先別りんご輸入数量というふうに挙げておりますけれども、暦年で整理しておりますが、青森りんごが輸出されているところの、特にどんな国から、どんなりんごが、どれだけ入っているかというふうに整理しております。
台湾は日本産りんごが約11%のシェアがあって、年間14万トンぐらいの輸入量があります。
それに匹敵する香港、タイ、あるいはインドネシアはりんごを輸入していますが、タイ、シンガポール、インドネシアはほとんど中国産が大きなシェアを持っていて、日本から行くりんごというのは、1桁にも満たないという状況になっております。
そういう意味で大変厳しい競争の中で輸出が行われている現状があるということを、一つご理解いただきたいというふうに思っています。
そういう中で、日本でのりんごの消費量というのは、年々減少しておりますので、やはり輸出に対する期待感というのは、まだまだ高いのかというふうに思っております。
以上、報告を終わりたいと思います。

三石部会長
深澤委員、どうもありがとうございました。
続いて、1件、事務局のほうから新規就農関係について、説明をいただきます。

北川経営専門官
経営局、就農・女性課の北川でございます。
それではお手元の資料4-2のほうでご説明させていただきます。
失礼ですが、座らせて説明させていただきます。
最初、ページをおめくりいただきますと、新規就農・経営継承対策の全体像ということで、現在実施しております施策の体系、左側にあります所得の確保でありますとか、技術・経営力の習得でありますとか、こういうのは手段でございますけれども、上側にある就農準備あるいは就農開始、経営確立という上にある行、これが就農を検討してから経営を確立するまでの発展段階ということで、その発展段階に応じて、所得の確保あるいは技術・経営力の習得、機械・施設の導入、農地の確保といったような施策を配置しておるというのがこの図であります。
平成24年から実施しておりますのが、青年就農給付金というものでございまして、まず準備段階、就農の意欲を喚起しようということで、農業大学校などで学ぶ方々を、あるいは先進農家さんで学ばれる研修の方を支援するということで、45歳未満で就農しようということを考えながら勉強されるという方に対して、研修期間中について、年間150万円を最長2年間給付するというものでございます。
研修が終わって、就農するというときに、若い人の4割ぐらいは法人に就職するということもありまして、法人に就職するときには、法人側に対して農の雇用事業、法人の経営者に対して新しい方を雇っていただくということで研修経費を年間最大120万円、2年間給付するというのが基本形であります。
それから独立自営就農、自分でやろうという人、あるいはご両親の経営を継承しようという場合には、青年就農給付金(経営開始型)というもので、就農直後の特に最初の5年間程度は特に経営が不安定だということで、最長5年間を年間150万円、所得の確保を図るということで、給付をするというものであります。
主にこの3つを組合わせながら、技術・経営力の習得に対しては、農業経営者育成の教育のレベルアップの助成、あるいはトッププロを目指す経営者育成のための助成、こういうものを組み合わせて、一番右側にある農の雇用事業の次世代型経営者の育成ということで、従業員の方を次世代経営者に育成していくための支援、下のほうにあります機械・施設の導入というところにある対応したものとしては、最大3,700万円まで、認定新規就農者の方に貸し付けするという無利子資金や経営体育成支援事業という機械などのハード事業があります。
こういったものをそれぞれ措置して、就農準備から経営の確立までをカバーしているということであります。
現在、青年就労給付金は、左側のほうに小さい字で書いてありますけれども、26年度予算とそれから25年の補正予算、合計で224億円を措置しております。
毎年、経営開始型の方については、予算枠として5,000人の枠を設けて全国で実施していただいており、例えば青森県ですと、平成24年で237人の人がこの経営開始型を受給していただいて、経営をしていただいているというようなこともあります。
全体で言うと、平成24年は準備型で1,707人、経営開始型で5,108人、合計で全国で6,815人の方がこの青年就農給付金を利用して、就農準備に励み、あるいは経営の初期の確立を行っているという段階であります。
平成24年から事業を実施しておりますけれども、やはり全国の方々からのご意見を、いろいろな場を通じましてお伺いいたしまして、特に親元就農の場において、非常に使い勝手が悪いのではないかというご意見をいただいておりましたので、25年の補正予算、執行面でいうと26年からということになりますけれども、本年度から、親元就農に係るところの一部、要件緩和を行いました。
準備型でいうと、準備型のところの一番下に書いてあるんですけれども、従来の準備型は、研修終了後1年以内に就農するということが要件になっていまして、それができない場合は返還となっていましたけれども、農家の方だと、まずお父さんのもとで一定期間就農した後、その経営を継承したいというお話もございましたので、研修終了後すぐに独立しなくても、お父さんのところに帰って5年間修行をするという場合も対象にするというふうにいたしました。
それから、農地の所有権を移転することが非常に難しいということを伺っておりまして、従来の要件であれば半分以上を親族の方から借りていると対象外になっていましたのを、全部貸借した場合でも対象にするという要件の変更をいたしました。
ただ、この場合5年間の給付期間中に所有権移転しない場合は、全額返還という非常に厳しい措置がついているので、なかなかこれだけでは解決できないだろうと思うんですけれども、こういったことで親元就農での要件緩和をしましたということと、それから農の雇用事業については、真ん中のところにありますけれども、法人側に対する支援ですが、ただ自分のところで2年間研修をするというだけではなくて、その後、さらに研修を積んで、その法人を卒業して、新しく自分が独立して法人をつくる。
そういう法人の独立支援というタイプを新たに設けまして、その場合には従来の2年間に加えて、さらに2年間、最長4年間、ただし支援額としては、最初の2年間は120万円ですけれども、追加の2年間は最大60万円ずつということですけれども、こういうタイプを新たに設けました。
これが昨年から今年にかけて、要件の変更を行った部分ということになります。
それから昨年、法律改正を行い、従来は新規就農者の就農計画の認定をするのは都道府県でありましたが、これを市町村が行う青年等就農計画制度を創設いたしました。
従来は認定就農者と呼んでいましたが、新たな青年等就農計画制度のもとで認定された者は認定新規就農者と呼ぶように変わりました。
この認定新規就農者は市町村に認定していただきますが、5年間の就農計画の間、計画的に担い手になるように支援していただき、さらに、市町村の方には経営改善計画、認定農業者も認定するわけなので、そのまま認定農業者になれるような形で導いていただくというような、一体的な運営ができるように、支援の施策を組みかえたところです。
それと同時に従来から3,700万円までの無利子融資を措置していたわけですけれども、これについても引き続きこの青年等就農計画制度の中で措置して、同時に青年就農給付金、今、ご紹介いたしました青年就農給付金も、この青年等就農計画の認定をされれば、あと若干添付書類を足していただければ、このまま給付金も出ますというような形に、一体的に運用するというふうに運用改善をさせていただいたというところでございます。
2枚目の資料、準備型と3枚目の資料の経営開始型の要件につきましては、今、お話をさせていただきました内容について、多少、詳し目に書いておるというものでございますので、ご確認をいただければというふうに思います。
私からの説明は以上です。

三石部会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局からの説明、それから今までの4名の委員及び有識者からの話題提供につきまして、ご質問やご意見等、お願いしたいと思います。
大西委員。

大西委員
大変貴重なご意見ありがとうございました。
大変参考になりました。
まず本日、生産の部分ですので、最初に4-1の資料でご説明いただいた事務局の資料の部分で質問・意見をさせていただきたいと思います。
まず資料3ページでございます。
この単位面積当たりの農業所得というのは大変おもしろい資料だなと見させていただきました。
りんごで言えば1haか2ha、みかんで言えば0.5ha未満から2ha、3haというところの所得が上がっています。
もう一つは、やはり大規模なところの所得が上がっていますが、どうして高収益グループと分かれてしまうのかというところが、実は大変に大きなポイントではないのかなというふうに思っております。
もう一つはご提案がありましたが、農地の集積は大変大きなポイントで、農地中間管理機構の事例も挙げられておりますけれども、果樹の場合はやはり傾斜地であったりするため、農地集積が農地中間管理機構でうまく回っていくのかというところが難しいところだと思います。
農地中間管理機構を使わなくても実際何かやっている事例があれば、今後のポイントのところにもかかわってくると思いますので、ぜひまた事例等を挙げていただければと思います。
それからもう一つは園地整備の問題です。
スプリンクラーやマルチドリップなどは水系の確保が重要ですが、現状からどんなふうに進めていくのかということが、大きなポイントであると思います。
早和果樹園さんの中で大変上手にやられていましたが、3点目は、労働力の問題です。
加工をやられているので、常時雇用と臨時雇用をうまく確保していますが、どこの産地でも、どのように労働力を確保していくのかというのは大きな課題です。
どんな仕組みでそこを乗り越えていくのかというのは、次々回以降の課題かと思いますけれども、もし具体的な事例があれば、ぜひご紹介いただければと思います。
それから最後の5ページでございますけれども、ご指摘のとおりで、改植・未収益期間対策というものは農家に多大な貢献をしていると思います。
改植の実施面積や品種転換を見ましても、大変に市場評価の高い品目に円滑に移行している。
そういう点では、果樹産地から声があるというのはおっしゃるとおりでございまして、ぜひともこの同一品種の改植でございますとか、さらに落葉果樹についての定額化、新植に対する支援というものを、ご検討いただければと思うところであります。
それから、これ以外のところで生産に関して感ずるところでは、果樹では少ないけれども、燃油コストの上昇、物流コスト上昇というものがあります。
燃油コスト、物流コストは高止まりしているので、これに対してどんなふうに対応していったらいいかということが一つポイントだと思います。
また、先般、第1回目で共済の話がございましたが、収入保険等セーフティーネット対策というものを、次期果樹方針でどのように考えていくか、大きなポイントであると思います。
それから、鈴木委員からご提示ありましたけれども、これは次の消費のほうだと思うのですが、どのように果物の価値を消費者に伝えていくかがポイントになると思います。
栄養士さんの話の中でも、よくサプリメントと食べ物の違いをお話しされているのですけれども、なかなかその部分が国民に広く伝わっていない。
これは果物だけの問題ではないかもしれませんが、大変いいご指摘だったので、消費のところでも、ぜひこれは深めていく必要があると思った次第でございます。
若干、多くなりましたけれども、以上でございます。

三石部会長
ありがとうございます。
それでは、田中委員お願いします。

田中委員
生産の立場からお話しますと、事前にいただいた資料をぱっと見た感じで、加工が先行し、かなりウエートを持っていると感じましたが、基本的にみかんでいいますと、今、この会議というのは5カ年に1回見直す会議でありますが、みかんの場合やはり経済樹齢に達するまでに10年かかります。
本当にその木が能力を発揮するのは15年から25年で、25年を過ぎると植え替えないといけない。
時代の流れによってその前に植え替えがあって、極早生等は、時期的にほかの果物のいい品質のものが出ますので、もう必要ないかなというふうなことも言われているのが現状です。
今、加工、本当にジュース等々、消費が伸びているわけでしょうが、今後、今議論されているTPPの問題で、加工原料がどういった形になるかというシミュレーション自体も、農水の方はわかっていらっしゃるのではないかと思っています。
そういうところも加えた中での加工原料の確保というのも必要でしょうが、やはり基本となる栽培面積が減っており、それに伴い加工原料も比例して減っていると思っています。
価格形成の中で、加工に仕向ける部分というのは全体量が少ないと言いながらも需給調整機能というところから加工原料仕向けというのを誘導するという方法も一つあるのではないかというふうに思っています。
ただ、この資料の4ページにあった部分のみかんの生果と加工専用の園地の収支の表ですが、自分も30年間みかんづくりをやっていますが、この表を見て、どこでどう採算ベースになるのかなというのがわかりませんので、次回でもいいですので、もう少し詳しいところを示していただければなと思います。
ただ、生産する側にとりましては、消費者ニーズという言い方をされますが、やはりいいものを届けようというのは、生産者が持っている基本姿勢でありますので、そこにチャレンジする意欲がなくなってしまうのではないかと、これをやるのはやはり企業的なものだなというふうに今、感じているところです。
あと、やはり消費者ニーズというのは消費に関わる人たちがニーズをつくり出しているのではないかなというふうに思えます。
アメリカのお店つくり等々も、ここ10年で本当に変わってきていると聞いていますので、やはりお店に行ったとき、ぱっと目にとまるというのが、最初の購買意欲だと思います。
そこに棚づくり等々が本当にしぼんでいるところであれば、通り過ごしてしまいます。
それともう一つは、前回の1回目の委員会で、山口委員さんが言われたとおり、バリューチェーンの構築がなされていないのはないかと思います。
それに関連して、やはりサプライヤーが育っていない。
今、大型量販店等々が台頭していますが、そういった方々が、本当にその品物の善し悪しを言えるのかなと思います。
昔の果物屋さんというのは、このみかんは、このりんごは、このぶどうは、というふうにいろいろな説明を消費者の方にして売っていらっしゃった。
そういう対面販売があった。
そこがここ数年、本当に欠けてきているのではないかと思っています。
ですから、そういった部分に対する国の予算を使うというのは、やはり必要ではないかと思いますし、先ほど言いましたお店づくりに対しましても、医療費等々の増大がアメリカのお店づくりを変えていったというふうにも、一部で聞いています。
これだけ日本も医療費がかなり増大しているように思いますので、その辺のところもやはり農水省だけではなく、消費者庁の特保もありますので、そういったところへも、目を向けていただければなと思っています。
バリューチェーンというのは、自分たちもそう、あまりぴんと来ませんでしたが、あの後いろいろ調べて、あ、そうだなというところがありました。
先ほど大西常務からもお話がありましたけれども、生鮮の生産をやっている方々には農協系等もありますし、個人やグループでやられている方などいろいろな形態でやられています。
ただ、この総体の数量を維持していくためには、どこがどれだけの力を発揮していかなければいけないかということを考える必要があります。
自分たちの産地にとっては、そういった名だたる人たちと研修させていただいて、そのノウハウを大きな組織にどうやって組み入れたらいいか、これまで模索してやってきました。
その点に関しては、自分は農協に所属していましたけれども、農協の部分の体制づくりもまだまだなっていないのではないかということが実感としてあります。
そういったところで、生産する私たち側としては、値頃感というのを出さなくてはいけないというのは十分わかっています。
そのためにはどういった形で、今の生産に対するコストを下げていけばいいのかというところがあります。
TPPが始まって、みかん農家もあまり影響がないと言われていますけれども、一番になるのは、基盤整備をしっかりとしなくてはいけない。
基盤整備をしっかりして、コストを下げないといけないと感じています。
前回も言いましたけれども、大胆な基盤整備、本当に山をぶった切って、みかんで言えば静岡の清水が大規模な基盤整備をやっていますが、そういった基盤整備もやる必要があると考えています。
ああいった形をやらないとコストは下げ切れないなというふうに自分自身は思っています。
それともう一つは、先ほど安心・安全のお話がありましたが、農薬の件です。
同一農薬がみかんに対して、果物に対して、あるいは野菜に対して、適用される基準が納得いかないところがあります。
私の部会の中で話が出たことがあるのですが、生鮮の野菜には連日使っていいのですが、我々みかんにとっては、60日前、90日前で切られています。
こういうところもそろそろ食生活というのが変わってきているので、見直す時期ではないかなと。
あるいは除草剤にしても一緒です。
同じ成分の除草剤に農耕地用、非農耕地用がある。
それは中身がいろいろあるということはわかっています。
そろそろそれも規制を改革していかないと、自分たちも高いものばかり使っていたのでは、それだけのコストを下げるということはできません。
それと、先ほど新規就農のお話がありましたけれども、一つだけお聞きしたいのですが、就農準備金と農の雇用の就農開始、これは連動してずっとできるのかいうことを教えていただきたいと思います。
以上です。

三石部会長
ありがとうございました。
ご意見はございますでしょうか。
どうぞ、福士委員。

福士委員
早和果樹園のお話ですが、私聞き惚れていました。
一番これから果樹産業が担っていかなければならないという点で感銘を受けました。
私は農地集約がこれからの将来にかけて一番気になっておりまして、果樹にとっては事務局の方で示しているように難しい部分があると思います。
現場でもそのお話が出るのですが農地集約、農地集積といった形では、落葉果樹の場合は成り立っていかない。
非常に難しい問題があります。
農地そのものが集約しても、それを貸し出す人、借りる人、この人たちがちゃんとしないとだめなわけで、ただ人を頼んでやっていても、これはできないものです。
ですから、私、早和果樹園さんのことを尊敬するのはそこですけれども、見事に産地の皆さんが違った形で集約していると感じました。
ですから、我々も老齢化を迎える、廃園が出る、さまざまな形が出つつありますが、これからやはり産地の活性化、落葉果樹の発展、これを考えたときに産地が元気でなければいけない。
若返りした園地が出なければいけない。
これに尽きると思います。
そのためにはさまざまな要件、担い手の問題もあります。
やはりそれを担っていく方々が育っていかなければ、それも維持していけないわけであり、新規就農だけでなく、何か手を差し伸べる、この農地集約の問題で、何か違った形での出し方があるのではないかと、そういう気がしております。
もう一つはこの気候の問題です。
北のほうでも暑くて、春先から大雪だと思ったところが、解けてしまえば今度干ばつになる。
そして、今年もそういう現象が見られましたが、開花時期の乾燥、これによって実はなったものの、やはり品質のばらつきが非常に出た。
ですから、これからも考えていただきたいのは、ドリップ方式等々で、何か水分の欲しいときに水分を与える方法が大事だと思います。
それによって、収穫にも影響が出てきます。
先ほど葛西委員がおっしゃられていたように、加工の安定供給だけでなく、安定した収量が取れなくなってきています。
これ、やはり人が、生産者が無理してことしは多くならせようとか、そういうものではなくて、気象の変動、それから6月から7月にかけての干ばつ、高温、これで花芽形成ができなくなってきているような状況、ということになれば、青森県の場合も加工にも非常に影響するわけです。
一番、危惧しているのは、やはり廃園が出て、それによって面積がどんどん減っています。
三、四年前は平均200haぐらいが、今、300、400haが普通です。
それでもやはり生産者が安定した収量、今のところ頑張っていますが、45万トンまで行かなくてでも、それに近い安定した量がなければ、やはり成り立っていかない。
そして、この新規就農者の問題ですけれども、やはりこの研修に参加して認定を受けて、就農となりますけれども、やはり経営的に成り立っていける、そういう支援がどうしても必要と思います。
ただし、お金を上げるだけではだめだと思います。
それなりにやはり私は、厳しいことも言って、しっかりやってもらいたいと思います。
これは約束事ですから、ちゃんとしっかりやっていかないといけないと思います。
それから、改植事業ですけれども、かんきつの話を聞きますと、非常に苗木が安く改植もしやすい状況だと感じています。
今、りんごの苗木は1本2,000円、そして系統のいいものだと平均2,500円ほど、新品種であれば3,500円で、これが10aで100本になります。
それと同等に鋼管の支柱がなければいけません。
これは相変わらず値上がりしたままで高止まり状態で、非常にやりにくく、難しい。
最近、台風、青森県、強いのがないですからいいですけれども、ちょっと強いのがあれば、鋼管の支柱も飛ばされてしまいます。
そういう状況の中で、未収益期間の支援がありますので、そういったものの活用も必要かと思います。
皆さんが努力して、現在、頑張っているわけですけれども、やはり審議会は将来を見据えた会合ですから、そういった後継者の皆さんを元気づけていく策を講じていただければ、それで十分だと思います。
以上です。

三石部会長
ありがとうございました。
本日、一応5時半ぐらいを予定しておりますので、とりあえずご意見を一通りお聞きしておきたいと思います。
事務局のほうで次回にご質問の返答できる部分もあるかと思いますので、ご意見、いかがでしょうか。
どうぞ。
薮野委員、どうぞ、お願いします。

薮野委員
和歌山県の有田振興局の薮野でございます。
基本方針の具体的な中身に取り組んでいくということで、先ほどから農地集積のご意見が多く出されているわけですが、私どもの有田みかんの産地においても、大体150aから200aの経営規模というのが多く、家族経営でやっていける面積というのも、2haまでというのが実態でございます。
果樹経営において農地集積ができない理由として、先ほどからご意見が出されているわけですが、農業用ロボットのような抜本的な機械化ができないというのと、選果機の精度が高くなるにつれて、作業が増えるということで、規模拡大による省力化ができないというのがあります。
また、先ほど秋竹社長のお話にもありましたように、石垣の段々畑というのは非常に品質のいいものができる園地でして、どうしてもそういう条件のいい傾斜畑を持ちたいという生産者が多い状況です。
また、園地が分散していることによって、台風や気象条件による被害分散にもなっているということで、集積がなかなか進まないというのは、そういう果樹独特の事情があるからではないかと思っております。
国の施策の目玉として、農地中間管理機構というのが打ち出されたわけですけれども、和歌山県においても機構事業としてスタートしました。
各地域において、果樹はやはり中間保有というのがなかなか難しいということで、農地の出し手と受け手を滞留期間のないようにマッチングしていく方法をとっておりまして、関係機関、農業委員会やJA、市町村と連携してやっているわけなんですけれども、なかなか思い描くようなマッチングというのが、果樹では難しいということで、話し合いの中ではよく出ております。
やはり果樹特有のそういう課題を克服できないと集積は進まないのかなと思っております。
先ほど大西委員のお話に、人の確保というのをどのようにしているのかとありました。
和歌山県の場合、一つ紹介させていただきますと、果樹の場合、摘果や収穫、荷造り、その季節に集中する作業が多いということで、常時雇用はなかなか難しいけれども、一時的に人手を確保したいという経営体の施策として、季節雇用の求人情報を掲載するサイトを県で立ち上げております。
グリーンサポートシステムという名前ですが、インターネットで気軽に見ることができるので、全国のサポーターや農業を一時的にやってみたいという方が閲覧して、その情報を見て、生産者のほうへ問い合わせするという形で取り組んでいます。
私の業務の中では、人手の確保というのは生産者の方から多くの問い合わせがあり、農の雇用事業についてもご相談は多い状況です。

三石部会長
ありがとうございました。
ほかにご意見はございますでしょうか。
徳田委員、お願いします。

徳田委員
私からも3点申し上げたいと思います。
1つは、これまで言われた委員の方に補足するような中身になるかもしれませんけれども、1点目は皆さん言われている農地集積に関わる点で、その中で2つあるんですけれども、事務局からは農地中間管理機構の活用ということですが、これを考える上でもなかなか農地中間管理機構だけに、というのは難しいと思っております。
農地中間管理機構の法律の中に、各県の中間管理機構に評価委員制度を作りなさいということになっておりまして、私も三重県の中間管理機構の評価委員をやっているんですけれども、その中で1回目の会合がありました。
三重県でも中間管理機構を使って、果樹園についても、これを利用していきたいというような意向は持っています。
農地中間管理機構は各県に基本的に全部ございますけれども、結局は県1本の話なので、実際の実効性ということになってくると、市町村レベルや農協レベルでどこまでできるかというところが最も重要で、その点でいうと、水田地帯の場合、比較的市町村等での農地利用調整は進んでいますけれども、なかなか果樹の場合進んでいないので、やはり、足もとのところをどうしていくのかということが一つあると思います。
あともう一つは、これもほかの委員の方からも言われていますけれども、やはり規模を大きくしていく上では、園地整備等で、より効率的な生産体系をいかにつくっていくかということがポイントになります。
単なる農地集積ではなくて、それとあわせた改植等も含めての園地整備、改植、樹体更新というところが課題になるかと思います。
そうなってくると、これもいわゆる農地集積の事業だけではなくて、皆さんが言われているような改植事業等をいかにうまく組み合わせていくのかというところ、この辺が農地中間管理機構の会議でも発言しましたが、なかなかまだ現地では、どういうふうに組み合わせられるのかというのがまだはっきりしていないので、どういう形でうまく組み合わせられるかという形を作っていただくと、より効果が発揮できるのではないかなというふうに思います。
2点目は、加工の点ですけれども、一口に加工と言いますけれども、2つの種類があると思っております。
1つは早和果樹園さんがやられているような生食とあわせての加工で、特に最近、やはり生食用も品質が上がってきていると思います。
マルチや選果センサーが入ってくる中で、従来のような低糖度で落ちるものよりもむしろ外観で落ちるものが多いというふうに聞きます。
これはみかんや桃も同じようなことがある。
そうするとそれを、早和果樹園さんのようにうまく使って、本当の高品質の加工品という形で、それなりの価格で売っていくという道があると思います。
それとこの資料にも出ているような加工専用という形でやっていくのは分けて考えないといけないのではないかと思います。
田中委員言われていましたけれども、りんごでは加工専用というのが実際にあって、それもそれなりに経営的にも成り立っているようですけれども、かんきつでは難しいのではないかというふうに思っているので、実際どうなのかなと、正直興味があるところです。
あと3点目は輸出・輸入の両面ですけれども、果実の基本的には国際的なマーケットがどうなっているのかというところを踏まえた中で、議論をしていく必要があるのではないかと思っています。
現在、農産物全体の国際的な価格水準は上がる傾向にあります。
これは果実も多分に漏れず上がっているのではないかと思います。
FAOなどの統計を見てみますと、統計上は上がってきております。
その中で日本国内の価格というのは横ばい状態で、その意味では従来とは大分、市場環境が変わってきているのではないかという感じがしております。
これはもし、今、きょう時間がなければ後ででも、関係している方からも実は教えていただきたいのですが、日本に入ってくる果実も、従来に比べると価格的に国内との差が、当然まだ輸入のほうが安いのは安いにしても、縮まってきている面があるのではないかと思っています。
輸入競争自体が、ほかのアジア等の経済発展している国との間の競争というのが実は今、起きてきていて、物によっては、そう単純には日本が昔のようには輸入できなくなってきているとか、よく聞くのは、昔は、日本はやたら規格その他がうるさかったけれども、いい価格で買ってくれたから、売っていた。
今は注文だけは昔のとおりだけれども、価格だけはほかと大して変わらないではないかというようなことを雑談の中では聞こえてきています。
その意味では、それは逆に言えば価格差が縮まっているという意味で、輸出の条件にもなってくるということだと思います。
その部分はやはり整理した上で、考えていかなければいけないのではないかと思います。

三石部会長
ありがとうございます。
ほかにご意見はございますでしょうか。
鈴木委員、お願いします。

鈴木(忠)委員
今、徳田先生がおっしゃったこととほとんど同じようなことですけれども、事務局で用意されていた資料4-1の3ページ、4ページ、この辺で2つほど私のほうから発言をいたしたいと思います。
まず1点目は3ページの所得のグラフですけれども、りんごでいうと3ha以上、みかんでいうと5ha以上で、高収益グループがあるという中で、低所得の部分と高収益の部分と、どこが違うのかということをもう少し細かく分析する必要があると思っています。
例えばここでは、園地の集約化や計画的な改植等の推進により、大規模経営においても高い収益性を確保できる可能性を示すと書いてはあるんですけれども、ではここでもって、高収益グループのところの単収がどうなっているのか、あるいは販売価格がどうなっているのか、その辺ももう少しわかれば細かく分析する必要があると思います。
この園地の集約化というところで、3ページの右下のイメージ図ですが、水田や畑といったところではこういうイメージが非常に描きやすいと思うのですが、急傾斜地が多い果樹園で本当にここまでできるのか、というのが非常に難しいところがございます。
農地中間管理機構にしても、あくまで借り受けて、借り受けたところを管理機構が管理するというようなイメージで書いてございますけれども、借り受けた園地でもってこういう集約が本当にできるのかというのが難しいところがあると思っております。
それともう一つは、4ページの加工のところでございまして、確かに需要面での分析で加工品の消費が伸びているというのは分かりますが、こういった加工に主力を置く方向で、本当に果樹農家の経営安定につながっていくのかというのが非常に私自身としても疑問に思っております。
4ページのところでの分析ですが、本当にこういうことが成り立つのか、本当に言えるのかというところを、もう少し細かく分析する必要があると思っていますし、例えば4ページのみかんの加工専用単収の比較ということで、無摘果により収量が2倍になるというような書き方をしておりますけれども、これが毎年安定的に収量2倍でいけるのかと思います。
ご存じのようにみかんというのは隔年結果しますので、無摘果でこのまま2倍の収量を取ったら、翌年は収穫できなくなるということもあると思いますので、その辺も含めて加工の専用園を含めて、加工だけで本当に果樹農家の経営安定につながっていくのかというのは、もう少し細かく分析するというのを考える必要があると思っております。
以上です。

三石部会長
ありがとうございました。
そのほかまだご発言されていない委員の方、いらっしゃいますか。
松本委員、お願いします。

松本委員
前回も触れましたが、1点だけお話します。
3ページのりんごとみかんの収益性について載っておりまして、事務局からのお話にあったような特徴が出ています。
それで、地域の様子を見ると、果樹経営というのは、これまでの歴史を振り返ると、結果として立地に大変ハンデがある条件で頑張ってこられて経営を維持しています。
結果として、そういう地域性がある作目というのが多いようです。
日本のこれからのこの農業全体としての方向を考えたときに大きな問題になっていて、これが人口減少や地域社会の維持、そういう中で大変焦点が当たっています。
このたび安倍政権でも地域創造がこれからの政権の柱だと宣言されたわけでありますから、そういう面で、偶然でありますけれども、そういう地域社会の維持という観点からの果樹経営のあり方にも通ずるものがあると思います。
中間管理機構は、いろいろと議論が出ていますけれども、おっしゃるとおり、貸し借りを基本ということで、そういう形がこの果樹経営にマッチするかどうかというのは、検証しなければいけないと思いますが、マッチすれば大変いいものだと思います。
だけれども、それはそれとして、果樹経営の特性を、今、日本の農業全体の中で議論になっている地域と、この生産部門、あるいは地域社会に人が住み続ける、そういう観点での生活基盤、そういう部門としての位置づけはどうだろうかということを考えますと、かなり果樹については、知恵の出しようで期待できるところがあるのではないかと思います。
今後の審議で、むしろ前向きにとって、例えば先ほど和歌山のご報告がありましたけれども、中心的な家族経営は1.5から2haぐらいでやっておられるところが多いとのことです。
条件もありますけれども、しからばそういう形でもいいから、若い人が年間の所得を何百万維持できるんですよと、こういうものをこの審議の中で提起していけば、これからの一つの大きな方向性としては出せるのではないかと思います。
当然、経営の拡大や規模の拡大は忘れてもいいわけでなく、追求すべきでありますけれども、プラスとして、そうした新しいところをこの果樹経営について見出すということも必要ではないかという感じがしました。
以上でございます。

三石部会長
ありがとうございます。
いかがでしょうか。
生産面のほうでいうと、安齋委員、香髙委員、横田委員はいかがでしょうか。
あと林委員、橋本委員は、今日はよろしいでしょうか。
それとも、もしあれば、多少短めにコメントをいただければと思います。
では安齋委員お願いします。

安齋委員
生産者のほうから申し上げますと、生産したものが、どういう販売の仕方をいくつか本日伺ったお話の中で感想を含めて、質問をさせていただきたいと思います。
早和果樹園さんのお話を聞き、非常にご苦労され、高級ホテルまで商品を入れるまでに知名度を高められたというのは非常にすばらしくて、今後、多くの方々が6次産業化を進める上で一つのモデルケースになるのではないかと思います。
その中で一つ教えていただきたいのが、今、新規就農の方で、いかに農業界に若者を呼び込むかというのが一つの大きな課題になっていますが、新入社員で大卒と短大卒の方5名採用されたということで、これだけの企業規模、正社員35人の中で5人採用するというのは、非常に勇気も要りますし、かつ、すばらしいことだと思うんですが、一体これはどういうルートを使って、どういう形で採用されたのかということ、どういうことを期待しているのかというのを、教えていただければと思います。
それから、農業を経営していく上でみんなが幸せになるには、やはり経営が安定して、どれだけ儲かっていくかという絵が、外に向けても見えることも重要ではないかと思います。
上場企業ではないので、そこは明らかにする必要はないのかとは思うんですが、私が常々気になっているのは、売り上げは伸びている。
すごく販路は広がっているという話はよく伺いますが、では、どれだけ儲かったのかと、どれだけ雇用者の給料がふえているのか、所得が増えているのかというあたりが、なかなか農業の世界では、見えにくいので、お差し支えない範囲で、それをお聞かせいただければなと思います。
もう一つ、卸売りのところの鈴木さんが実体験をベースに非常に興味深い的を射たお話をしてくださいました。
その中で果実の健康食としての定義というのをお示しいただきました。
不勉強で恐縮ですが、この定義というのは、これは国がどこかのタイミングで決めたものなのか、あるいは業者の中の方々で言われているものなのか、教えていただきたいと思います。
定義を変えるのが難しいのであれば困りますが、非常に時代遅れな感じを受けます。
例えば水分を補給してくれるというのは当然のことだと思います。
水分は今やペットボトルでいろいろな形で飲んでいるので、果物にこの部分を求め強調していくという流れは、ちょっときついと感じます。
あるいは太るのではないかという懸念を多くが持つ中でそうい方々に対し糖を多く与えてくれるといくら叫んでみても、やっぱり食べませんという話になりますし、酵素を多く含んでいることや、弱アルカリ性に体を保てることと言われていても、一体どういうことなのかと、逆に言うと少し専門的過ぎるということで、何となく腹落ちしません。
生活習慣病を撲滅するという話もあります。
ここまで本当に言い切っていいのか。
いろいろな果物があるのに、、消費者としては、じゃ、(この説明で)果物を食べようかな、という気にはなかなかなりにくいなと思います。
どれもこれも多分、ある時代は非常に重要なポイントだったと思いますが、今の時代背景からすると若干(表現ぶりが)惜しいなというような、残念な感じがします。
この辺の訴えかけの仕方というのは見直すべきで、もうちょっとやわらかい表現で見直すべきだと思います。
(昨今の)頭で考える消費者に向けて、生産側のほうでももう少し工夫をしていただければなと思います。
今日の話題ではないと思うんですが、事務局からいただいた説明資料の中で、「デスクdeみかん」というキャンペーンをやられているとのがありました。
これはどの程度の姿勢でやっているのでしょうか。
確かにデスクでみんなにはみかんを食べたいというニーズはあります。
弊社では、例えばオリンピックや選挙というときには、ほとんど人が誰も外にはでられません。
外に出る人たちは出る一方で、中にいる人たちは中にいる一方で、本当に缶詰になって仕事をすることがあって、そのときの差し入れとして、一番人気というのが実は箱入りのみかんです。
どんなお菓子を置いても、大して減らないですが、みかんだけはものすごい勢いでみんな取っていって自分の席に確保して食べています。
まさにここで消費が少ないと指摘する20代からこの59歳までの間の人というのは、希望としては食べたいんだけれども、このアンケートでもありましたけれども、近くに買いやすい店がなかったり、値段が高かったり、日持ちできないので買い置きできないと思っているので、食べないだけであって、非常に潜在需要は高いと思います。
例えば「デスクdeみかん」というようなキャンペーンを、もう少し本格的に力を入れて、多くのデスクに座っている人々に、こうしたキャンペーンが耳に入るよう、本気でやっていただければ、潜在需要の掘り起こしというのは十分できるのではないかなというような感想を持ちました。
以上です。
するかによって、その農家の収入が大きく変わってきます。
私のところから新規就農した人が、今年も一緒に販売を行いましたけれども、JAに出荷した場合だと手数料もかなりかかりますし、資材費がすごく高騰しています。
さくらんぼの場合、高いほうの箱を使わないと、農協では扱ってくれないという話もありました。
個人で売る場合には、高価なものではない今まで使っていた箱で出荷しまして、やはり自分で販売すると、手数料は全然取られませんので、その人個人の収入になります。
JA改革と今、安倍総理も言っておられますけれども、やはり各農協に出荷しても各個人の農家の出荷額が例年同じでも、手元に入るお金がどんどん毎年減ってきますので、所得向上につながるような販売の仕方について、農家だけでなく、販売してくださる方々と一緒に農家の収入が高くなるような方法を、皆さんで考えてやっていきたいと思っております。

三石部会長
どうもありがとうございました。
香髙委員、お願いします。

香髙委員
いくつか本日伺ったお話の中で感想を含めて、質問をさせていただきたいと思います。
早和果樹園さんのお話を聞き、非常にご苦労され、高級ホテルまで商品を入れるまでに知名度を高められたというのは非常にすばらしくて、今後、多くの方々が6次産業化を進める上で一つのモデルケースになるのではないかと思います。
その中で一つ教えていただきたいのが、今、新規就農の方で、いかに農業界に若者を呼び込むかというのが一つの大きな課題になっていますが、新入社員で大卒と短大卒の方5名採用されたということで、これだけの企業規模、正社員35人の中で5人採用するというのは、非常に勇気も要りますし、かつ、すばらしいことだと思うんですが、一体これはどういうルートを使って、どういう形で採用されたのかということ、どういうことを期待しているのかというのを、教えていただければと思います。
それから、農業を経営していく上でみんなが幸せになるには、やはり経営が安定して、どれだけ儲かっていくかという絵が、外に向けても見えることも重要ではないかと思います。
上場企業ではないので、そこは明らかにする必要はないのかとは思うんですが、私が常々気になっているのは、売り上げは伸びている。
すごく販路は広がっているという話はよく伺いますが、では、どれだけ儲かったのかと、どれだけ雇用者の給料がふえているのか、所得が増えているのかというあたりが、なかなか農業の世界では、見えにくいので、お差し支えない範囲で、それをお聞かせいただければなと思います。
もう一つ、卸売りのところの鈴木さんが実体験をベースに非常に興味深い的を射たお話をしてくださいました。
その中で果実の健康食としての定義というのをお示しいただきました。
不勉強で恐縮ですが、この定義というのは、これは国がどこかのタイミングで決めたものなのか、あるいは業者の中の方々で言われているものなのか、教えていただきたいと思います。
定義を変えるのが難しいのであれば困りますが、非常に時代遅れな感じを受けます。
例えば水分を補給してくれるというのは当然のことだと思います。
水分は今やペットボトルでいろいろな形で飲んでいるので、果物にこの部分を求め強調していくという流れは、ちょっときついと感じます。
あるいは太るのではないかという懸念を多くが持つ中でそうい方々に対し糖を多く与えてくれるといくら叫んでみても、やっぱり食べませんという話になりますし、酵素を多く含んでいることや、弱アルカリ性に体を保てることと言われていても、一体どういうことなのかと、逆に言うと少し専門的過ぎるということで、何となく腹落ちしません。
生活習慣病を撲滅するという話もあります。
ここまで本当に言い切っていいのか。
いろいろな果物があるのに、消費者としては、じゃあこの説明で果物を食べようかな、という気にはなかなかなりにくいなと思います。
どれもこれも多分、ある時代は非常に重要なポイントだったと思いますが、今の時代背景からすると若干(表現ぶりが)惜しいなというような、残念な感じがします。
この辺の訴えかけの仕方というのは見直すべきで、もうちょっとやわらかい表現で見直すべきだと思います。
(昨今の)頭で考える消費者に向けて、生産側のほうでももう少し工夫をしていただければなと思います。
今日の話題ではないと思うんですが、事務局からいただいた説明資料の中で、「デスクdeみかん」というキャンペーンをやられているとのがありました。
これはどの程度の姿勢でやっているのでしょうか。
確かにデスクでみんなにはみかんを食べたいというニーズはあります。
弊社では、例えばオリンピックや選挙というときには、ほとんど人が誰も外にはでられません。
外に出る人たちは出る一方で、中にいる人たちは中にいる一方で、本当に缶詰になって仕事をすることがあって、そのときの差し入れとして、一番人気というのが実は箱入りのみかんです。
どんなお菓子を置いても、大して減らないですが、みかんだけはものすごい勢いでみんな取っていって自分の席に確保して食べています。
まさにここで消費が少ないと指摘する20代からこの59歳までの間の人というのは、希望としては食べたいんだけれども、このアンケートでもありましたけれども、近くに買いやすい店がなかったり、値段が高かったり、日持ちできないので買い置きできないと思っているので、食べないだけであって、非常に潜在需要は高いと思います。
例えば「デスクdeみかん」というようなキャンペーンを、もう少し本格的に力を入れて、多くのデスクに座っている人々に、こうしたキャンペーンが耳に入るよう、本気でやっていただければ、潜在需要の掘り起こしというのは十分できるのではないかなというような感想を持ちました。
以上です。
以上です。

三石部会長
ありがとうございました。
それでは、時間も定刻を過ぎておりますので、秋竹社長のほうから先ほどの質問、もしコメントがございましたら、いただきたいと思います。

秋竹氏
大学生を5人も雇って経営的には大丈夫かというご質問だと思います。
6次産業をやっていると、生産部門や加工部門、発送、ネット販売もやっていますので、幅広い仕事の分野があって、それぞれの分野で人が足りないという状況です。
田舎ですので、地元出身の人が大学へ行って戻ってくるという地元就職志向の人が多くて、去年の9月ごろ、地元の県がやってくれる一般の会社説明会へ初めて出ました。
それまでは、農関係の就職説明会へ出ていたんですけれども、なかなかうまくいきませんでした。
そのときに、農業法人早和果樹園と書いていますので農業の会社だとすぐ分かるので、人が来てくれるかなと少し心配しながら私と部長の2人で行きましたが、38名も来てくれました。
すごい人気のブースになって、早和さん、整理券配りましょうか?とまで言ってくれました。
そのうち12名が会社訪問してくれました。
私としたら、県農業法人協会の会長をしたこともありましたが、農業生産法人はやはり人が集まりにくい、外国人も雇って何とかというようなこともありました。
昭和30年代のみかん栽培を始める時分ですが、非常にみかんはよかったので、私らの世代というのはたくさん有田にはいます。
でもその次の世代が、もうみかんつくりは終わりという人がすごく多くて、何かさみしい感じがしていました。
しかし、早和果樹園へ就職をしようというような人がいてくれるということで、すごく嬉しくて、それで5人、大学生3人と短大生2人が就職することになりました。
今年も千葉大の学生が行っている子が農業法人へ就職したいということで今、1人内定しています。
この間も一次面接をやったんですけれども、農業関係で4人来てくれるようになってきました。
生産ばかりやっているわけではないですが、今年採用した5人も希望はやはり生産でした。
それと、収益性ですが、今まで売上が上がるけれども、なかなか利益が出ない。
一応赤字にはならなかったですが、利益はある程度出てきました。
今年はぐっと上がりまして、4倍ぐらいになりました。
約1割余りの収益が出そうな形です。
これは、高価格帯の販売で高級品店向きという形でずっと来ていましたが、有田みかん全体を搾ったという形の「飲むみかん」というのを、一昨年から発売しました。
これはJA有田も含めて、各地域の共選からも、個選の生産者からも原料を集めています。
これまでは光センサーで、味一しぼりや味まろしぼりはいいものだけ搾っていましたが、有田みかんのジュースという新たなコンセプトで値段もぐっと下げました。
そこに値頃感が出て、3倍、4倍と量が出るようになって、やはり利益がぐっと出てきました。

三石部会長
ありがとうございました。
議論が生産、消費とずっとつながって、ここからここまでが生産で、ここからここまでが販売、消費というように、分かれにくくなっていくと思います。
両方密接に絡んでいる分野に入ってくると思いますが、定刻を過ぎていますので、ここで発言しておきたいという方、手短にお願いいたします。
田中委員、お願いします。

田中委員
先ほどありました3ページの果樹経営の方向性の部分ですが、みかんで言えば2.0haから3.0haで収益性があると、りんごであれば1.0haから2.0ha。
ただこれを私の産地だけではないですが、全国を見渡したときに、今の生産量をどれだけ維持するかというのが喫緊の課題ですので、今、うちの産地は300人で1万トン、将来的には100人に減るだろうと思います。
これを100人で1万トンを維持するためには、どのようにすればいいのかというのが一番の課題だと思います。
この規模拡大と、それに品質が伴うということが、一番これからは考えないといけないときが来ていると思います。
園地の集約ですが、自分たちが市等に提案しているのは、果樹ではなかなか難しいので、代替の新規開園事業をやってほしい。
代替地をつくることによって、既存の園地集積もできる。
この辺のところが、これからの生産量維持のポイントとなってくると思っています。
以上です。

三石部会長
ありがとうございました。
鈴木委員、お願いします。

鈴木(敏)委員
私が資料に掲載したのは、いろいろな本や雑誌から引っ張ってきた過去の例です。
それでいくつか質問をいただきましたが、資料にも書いたことがやはりひとり歩きしているわけです。
その説明がないのに、結構いろいろな雑誌に書かれていて、消費者から問われたということの一つの例です。
デスクdeみかんというのは、やはりこたつがなくなって、みかんがテーブルからなくなった。
それでみかんを各オフィスで置いたらいいではないかという考えです。
企業によっては朝ご飯を、果物やジュースを無料で提供している企業も出ているそうですから、デスクdeみかんというのはすごくいい取組だと思います。
簡単ですが以上です。

三石部会長
ありがとうございました。

北川経営専門官
田中委員からご質問があった準備型と農の雇用の御質問ですが、研修と研修であるため、基本的に連動することは考えておりません。
例えば準備型であれば、その法人と過去に雇用契約の締結がないことが要件になっているので、そこで引っかかります。

田中委員
準備型をやって、農の雇用はやれないということですか。

北川経営専門官
準備型をやった後、農の雇用の場合も基本は同じで、同じ研修と研修を重ねるということは考えていないです。

田中委員
ずっと思っているんですが、大変分かりにくいですね。

三石部会長
それでは、かなりいろいろな質問、ご提言が出ていますので本日、ご発言されていない委員の方、もしありましたらメモでも文書でも構いませんので、事務局のほうに出していただければと思います。
それからまた、今までの議論を通じて、こういうことを言っておきたかったというのがございましたら、ぜひ事務局のほうに出していただければ、事務局で調整していただけると思いますので、次回にフィードバックができるかと思います。
かなりいろいろな議論をして、これからというところですが、皆様のご予定もあるかと思いますので、本日は会議を終わりにしたいと思います。
よろしいでしょうか。
事務局では、受けたご質問、ご提案を真摯に受け止めて、次に備えていただきたいと思います。
私のほうで、事務局にマイクを戻したいと思います。

菱沼課長
長時間どうもありがとうございました。
事務方から3点ほどご連絡させていただきます。
まず1点でございますけれども、本日の部会の概要につきましては、部会長にご確認いただいた上で、今週中にも農水省のホームページに掲載する予定にしております。
2点目ですが、詳細な議事録、これにつきましては、第1回の果樹部会と同様、後日委員の皆様にご確認いただいた上で、農水省のホームページに掲載したいと考えております。
3点目でございますが、次回の開催でございますけれども、資料2にもありますように、9月下旬の開催として、詳細につきましては、改めて事務局からご連絡をさせていただきたいと思います。
以上ですが、何かご質問等はございますでしょうか。
それでは、大変長時間でございましたが、本日は誠にありがとうございました。
次回も引き続きよろしくお願いいたします。
これにて閉会させていただきます。
ありがとうございました。

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader