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食料・農業・農村政策審議会果樹部会 第3回(平成26年9月26日) 議事録

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日時及び場所

平成26年9月26日(金曜日) 13時26分~16時07分
農林水産省本館7階 第3特別会議室

議事

(1) 果樹農業に関する現状と課題(消費関係)

(2) その他

概要

菱沼課長
皆様、定刻前ではございますが、委員の先生の方々、お揃いになりましたので、ただいまから平成26年度第3回食料・農業・農村政策審議会果樹部会を開催させていただきたいと思います。
委員の皆様におかれましては、ご多忙にもかかわらずご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
議事に入るまでの間、私、園芸作物課長の菱沼が事務局として司会進行を担当させていただきます。
よろしくお願いいたします。
まず、はじめに、生産振興審議官の西郷より委員の皆様へご挨拶申し上げます。

西郷生産振興審議官
皆様、こんにちは。
お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
本来であれば、局長の松島がご挨拶すべきでございますけれども、今日は他の公務がございまして、私がかわりにご挨拶を申し上げいたします。
果樹部会でございますが、果樹農業振興基本方針を策定し直すということで、この6月よりご審議をいただいているところでございますが、前回、7月に第2回を開催させていただいたところ、基本方針をめぐる現状と課題と申しますか、今どんな位置に果樹農業があるかといったところについてご議論をいただきました。
本日は、基本方針をめぐる現状と課題の中で、前回は生産でしたが、今回は消費の関係につきまして若干ご議論をいただくということとしております。
果実の消費動向でございますけれども、一人当たりの年間消費量というのが近年ずっと横ばい傾向でございます。
本当はもっと食べなきゃいけないということでやっているのでございますけれども、残念ながらそういった状況にございます。
農水省といたしましても、関係の皆様と連携して、「毎日くだもの200グラム運動」といったものを推進していたり、あるいはカットフルーツのように、簡単に消費していただけるスタイルの提案、あるいは消費者ニーズを把握した新しい品種の導入など、消費拡大に向けた取組を行っているところでございます。
委員の皆さんにおかれましては消費拡大に向けまして、忌憚のないご意見をいただければと存じております。
本日はよろしくお願い申し上げます。

菱沼課長
それでは、議事に入ります前に、私のほうから配布資料の確認をさせていただきたいと思います。
まず、お配りいたしました資料は、まず議事次第がございますが、その後に配布資料一覧がございまして、それとあわせてご確認をお願いしたいと思いますが、まず資料1は委員の一覧、資料2は審議の進め方、資料3は第2回のご意見の概要です。
資料4につきましては、これは事務局でご説明させていただきます概算要求についての資料でございまして、さらに同じように資料5はカットフルーツの調査結果をまとめました資料がございます。
本日は、委員の皆様、さらには有識者の方々、4名からご意見を頂戴することになっておりまして、資料6がその方々の資料でございまして、資料6-1、6-2、6-3、これは分冊にもなっておりますが、資料6-4で、資料6がこういった資料でございます。
また、果実の消費関係に関するデータということでございまして、第1回の果樹部会のときにもお配りしました消費の動向等について、参考資料としてお配りしていますので、適宜御覧いただきたいと思います。
足りない資料、落丁等がございましたら、適宜、事務局のほうにお申しいただければありがたいと思います。
よろしいでしょうか。
それでは、本日の委員の出席状況及び部会の成立につきましてご説明申し上げますが、本日の委員の出席状況でございます。
本日は葛西委員、香髙委員、松田委員、山口委員がやむを得ない都合でご欠席ということであります。
そういった中で、委員及び臨時委員19名のうち、15名にご出席いただいておりますので、本部会は成立していることを確認いたします。
本日の果樹部会の進め方について、さらにご説明申し上げますが、まず資料2をごらんいただきたいと思います。
資料2につきましては、スケジュールを載せておりますけれども、これは前回第2回が7月28日で、果樹農業に関する現状と課題の生産関係についてご意見を頂戴いたしました。
本日は第3回というようなことで、今回は果樹の消費関係についてご意見を頂戴するというようなことでございまして、主に消費や小売の現場から見た現状と課題についてご議論いただきたいと考えております。
今回の議論に当たりましては、外部より有識者の方をお招きしておりますので、今ご紹介させていただきますが、こちらにいらっしゃいますNPO法人青果物健康推進協会事務局長の近藤卓志様でございます。

近藤氏
よろしくお願いします。

菱沼課長
近藤様からは、NPO法人の中で活動されております果実の消費拡大に向けた取組等について話題提供をいただくというようなことであります。
また、本日は同じく林委員、橋本委員、三森委員から話題提供いただき議論させていただきたいと考えております。
三森委員におかれましては、第2回はご予定が合わずご出席いただくことができませんでしたので、本日は前回の議題関係で話題提供もいただきます。
林委員、橋本委員、近藤様、三森委員、どうぞよろしくお願いいたします。
では、ここからは三石部会長に議事進行をお願いしたいと思います。
三石部会長、よろしくお願いいたします。

三石部会長
三石です。
よろしくお願いいたします。
それでは、これから私のほうで議事を進めさせていただきます。
先ほど審議官からもご挨拶ありましたが、本日の議題は2つありまして、1つは果樹農業に関する現状と課題、特に消費関係の話です。
それから、2点目、その他という形になります。
それでは、果樹農業に関する現状と課題、消費関係について、議論を進めていきたいと思います。
前回の果樹部会以降、果樹関係について行政側の動きがございました。
まず初めに、事務局から平成27年度の予算概算の要求における果樹対策の概要、それからカットフルーツの取扱いに関する意識・意向調査の結果、これについてご紹介いただきたいと思います。
その後で4名の委員及び有識者の方々から話題の提供をいただき、それからご質問、ご意見の時間を設けたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、事務局から説明をお願いいたします。

菱沼課長
事務局から資料4と資料5についてご説明いたしますが、まず私のほうから資料4の御説明でございます。
この資料につきましては、平成27年度予算の概算要求ということで、8月29日に公表いたしました27年度の予算の概算要求についてでございます。
中身につきましては、概算要求の中の果樹についての事業のPR版ということになっておりまして、果実等生産出荷安定対策事業、まさにこれが果樹の経営安定、経営支援対策ということで打ち出しているものでございますが、数字が書いておりますけれども、56億円と示しておりますのが、これ27年度の概算要求額でありまして、括弧書きは26年度の予算額ということで、およそ1億円弱拡充ということで要求させていただいております。
めくっていただきますと、いろいろと字がたくさんありますけれども、ポンチ絵で横になっているものがございますが、まず左のほうを御覧いただきたいと思います。
果樹農家の経営安定ということで、改植及び未収益期間対策ということを果樹経営の前向きな経営安定対策という位置づけで進めてきております。
26年度については終期等を迎えまして、27年度、これからどうしていくんだという生産現場の方々の非常に強い要望がございまして、しっかり、27年度におきましても改植と未収益期間対策、そこに白い四角で囲んでおりますけれども、数字が載っておりますけれども、改植については相当な、それに対応するような金額、さらに未収益部分といったようなことで、10a当たり20万円支援していくという現行対策でございます。
これをしっかり今後、27年度も継続していこうと考えております。
そういった中で、右のほうでございますけれども、右の四角の中に強化と書いております。
運用の見直し事項とありますが、これは現場の方々からさまざまな要請がございます中で、非常に多く要請をいただいた項目でございまして、それについて27年度予算要求、チャレンジしていこうじゃないかといったものであります。
具体的に申し上げれば、ぶどう、なし、もも、かき、くりといったものにつきましては、実費の2分の1補助ということで、みかんやりんごと同じように定額補助にしてほしいといったお話がございましたので、それについてチャレンジしている。
さらには、改植でございますが、優良品目への改植というふうになりますので、同一品種はなかなか難しいとさせていただきましたけれども、いろいろと限定をかけながら、同一品種の優良系統への改植もできるように支援していこうということを要求しております。
さらに、新植という、改植の部分ではなくて新植も一部できるようにというようなことで要求させていただいています。
さらには、下の四角のところでありますけれども、改植・未収益期間対策をしっかりやってもらう一方で、苗木が育成されていなくて、きちんと配布できていない、そういう体制ができていないというお話をいただきましたので、苗木をしっかり配布できるような、体制整備をしていこうということであります。
下の需給対策の推進といいますのは、まさに表年、裏年がございますので、その需給対策をしっかりやっていくということ。
さらに加工対策のほうでありますけれども、これも最近の加工、しっかりやるべきだというお話がありまして、低コスト栽培実証、高品質の果汁生産、そのためにはどうしていくのかといった支援、さらには加工用の果実の安定供給を図るための支援といったこともあわせて要求させていただいているところでございます。
今、まさに財務省との協議をしている中で、これから12月末の内示に向けて、しっかり予算を取っていこうというふうに考えております。
続いて、資料5について事務局から説明させていただきます。

宮本補佐
園芸作物課で果樹を担当しております宮本でございます。
私からはカットフルーツの調査結果についてご案内をしたいと思います。
お手元にお配りしている資料5でお話をしたいと思います。
農林水産省では、統計部で統計調査のほかに、いろいろなアンケート調査を行っております。
今回7月に、カットフルーツ関係の調査結果が取りまとめられましたので、今回の消費関係のご議論の参考にもなるということでご案内をしたいということでございます。
この調査については、農林水産省で食品関係のモニターを持っております。
こちらのほうで具体的には食品スーパー、いわゆる町の果物屋さん、生協の小売、コンビニ、そういう食品関係の方々で、小売業者さんがいらっしゃって、そのうち147名の方からアンケートの調査結果をいただいたので、それをまとめたものでございます。
ページをめくっていただいて、3ページの(4)をごらんいただきたいのですが、カットフルーツについては8割の小売業者さんの方が2、3年前に比べてカットフルーツが増えたという感触を持っている、定量的な数字ではないですが、そういう感触を持っているというご回答をいただいております。
次の4ページ、(5)のところでその理由を聞いたところ、一番上ですけれども、9割以上がカットフルーツに対する消費者、実際買われる方の需要が増えたということでお話が出ています。
さらにその下(6)になりますけれども、じゃあどうやってカットフルーツをお店に出しているかと聞いたところ、6割、半分以上で、生鮮でお店に仕入れて、店内、バックヤードでカットなりパックをしているということです。
本日、橋本委員からも後ほど具体的なお話を頂戴できるのではないかと思っております。
それから、ずっとめくっていただいて、7ページです。
(10)のところを御覧いただけますでしょうか。
カットフルーツの果実の産地についてお尋ねしています。
4割が年間を通じて常に国産原料が多いと書いております。
逆にいえば、それ以外のところは国産じゃない、外国産のものがそれなりにあるということで、現状で申し上げると、実際、パイナップルや国産ではないものがメインであるものがあります。
そういったのが正直なところの現状かと思います。
それから、ちょっとまた飛びます。
9ページ(14)を御覧ください。
カットフルーツをこれから増やすためにはどういうことが必要ですかと聞いたところ、アイテム数を増やす、種類を増やすということです。
バックヤードで簡単に加工できるような加工機械、あるいは売れる期間を広くする、特に国産については期間も限定される場面がありますので、もっと販売できる期間を延ばしたいというような御意見がありました。
続いて、その下(15)になります。
今後どのような国産、あるいは海外産をどれぐらい増やしていきたいですかという話については、3割の方が国産のものを増やしたいという形になっております。
下の円グラフを御覧いただくと分かるとおり、国産だけでもいいですという方も2割程度いらっしゃいます。
一方で、残り5割ぐらいの方については国産と外国産を引き続き組み合わせながらということです。
それから、最後にもう一つご案内しましょう。
10ページ(16)です。
国産果実の使用割合を増やすためにはどうしたらいいですか、というお話でございます。
ここにありますように、一番御意見が多いのは出荷期間中に安定した価格で取引できるようにしてほしいとこと、出荷期間中に安定した取扱量が確保できるようにしたい。
あとは下にもありますけれども、カットに適した品質や規格、サイズのものが供給されるようにしてほしい、あとは外国産との値段の差がもっと縮まるといいといった結果が出ております。
私からは以上、簡単にご案内させていただきました。

三石部会長
ありがとうございました。
それでは、ご質問等あるかと思いますが、まずは先ほど申し上げましたとおり、委員の方、有識者の方からの話題提供に移りたいと思います。
林委員から、最初に「果物摂取の現状と食習慣の改善に向けた課題の整理」ということについて話題提供いただきたいと思いますので、林委員、よろしくお願いいたします。

林委員
よろしくお願いいたします。
では、お手元の資料を確認しながらお話をさせていただきたいと思います。
まず初めに、これまでも事務局から果物の消費についてはご説明が何度かありましたけれども、果実類の1日1人当たりの摂取量は国民健康・栄養調査の毎年、経年的に調査されており、ここ近年はほぼ横ばいという形で推移しています。
平均的には大体100グラム前後ということが報告されております。
そのような現状を受けて、2000年にスタートした国民の健康づくり運動である健康日本21では、一日の食事において果物の摂取を高めるということで、1日の食事において果物類を摂取している者の割合の増加を目標とし、成人60%以上を目指して取組が行われておりましたが、果物を摂取していない方の割合が開始時29.8%であったのが最終的には逆に悪化し、39.8%に増えたということで、果物の平均的な摂取量も125グラムから、およそ106グラムと減少したという背景がございます。
果物というのは引き続き健康づくりにおいて重要であるということから、次のページになりますけれども、現在施行されております健康日本21(第2次)においても、引き続き果物摂取量、これは200グラムというのが1日の食べる目安とされていますが、食べている人が少ない、摂取量が少ない人を減らそうということで、100グラム未満の者の割合を目標30%にしようという目標が掲げられております。
具体的な健康的な効果については、カリウムといったミネラルが果物、野菜等に多く含まれているということで、摂取することによって高血圧の予防、降圧作用が期待されているという背景がございます。
先ほど申し上げたとおり、100グラム未満の方を減らしたいという目標がありますが、では現状どのぐらいいるのかをお示ししたのが次のグラフになります。
これは平成22年の国民健康・栄養調査の結果で年齢別です。
男女合わせた数値にはなりますが、右側に平均的な値、そして摂取量の分布を棒グラフで示しております。
200グラムという目安以上に食べている方の割合が一番右側の、ややオレンジがかった色で示しているものですが、若い世代ではおよそ5%、6%、一番食べている世代の60代でも27%ということで、食べていない人の割合のほうが若い世代では半数以上ということが実態としてあります。
ただ、ご注意いただきたいのは、こちら1日間の調査ですので、たまたまその日は果物を食べていないという方も含まれています。
ただ、0グラムの摂取者がこれだけいるという実態があります。
100グラム未満の者は20~30代、40代の方でおよそ8割という状況ですので、平均的には61%ということで、健康日本21の第二次にも数値がありますけれども、特に若い世代ではやや問題は深刻であるということで、この世代に働きかけを積極的に行っていく必要があるのではないかということが分かります。
続いての図ですが、これは摂取量を一律に伸ばすための働きかけをしていくだけではなくて、やはり都道府県格差というものがあるという実態をご理解いただくためにお示ししました。
こちらの図で、色が濃いところが摂取量の多いグループ、薄いピンク色のかかっているところが全体的に見るとやや摂取量が少ない都道府県ということになります。
特に摂取量が少ないところでは重点的に何か取組が必要、あるいは、逆になぜ少ないのかという、都道府県格差の要因について実態を把握することが大切であると思います。
また、その都道府県格差だけではなくて、世帯の収入の格差といった経済的な問題も現在では様々な議論があります。
国民健康・栄養調査の結果を見ると、世帯所得が200万円未満の人では、600万円以上の人に比べて果物類の摂取量が男性も女性もいずれも有意に少ないという現状があります。
ですから、一律にキャンペーン的に食べましょうというだけではなくて、やはりそういった経済的に何か不利な方々に対しては、支援のあり方も考えていかなければいけないということがあるかと思います。
続いての図は、同じく国民健康・栄養調査の結果で、生鮮食品ですけれども、入手を控えたことや、入手できなかったことがありましたかということで、調査を行ったデータになります。
入手ができなかったことはないと答えた人たちが一番多いですが、そういう入手ができなかったことがあった人の中では、その理由として、やはり価格の問題ということが大きく負担になっていることが分かります。
ここまでが全国調査になりますが、引き続き、お持ちしたのが無作為抽出した調査ではありますけれども、首都圏や近畿圏及び地方圏などから2,000名を抽出したインターネット調査についてご報告します。
インターネット調査ですので、その対象が、いわゆる国民健康・栄養調査のような方法と異なりますので、一概に全国の状況を表しているとは言い難いですけれども、ご参考になればと思ってお持ちしました。
まず果物、ここでは生鮮果物と加工品を合わせたものになっていますが、ほとんど毎日食べているという者は全体で31.1%、男性・女性を比較すると女性のほうでやや高いということが分かります。
年齢別に見ても先ほどの国民健康・栄養調査のように、年齢の高い層ほど食べている人たちは多いということが分かります。
この調査ではさまざまな果物摂取に関する背景を調べております。
続いての資料では、月に一日以上果物を食べている人について、果物摂取がどの程度か調べたものになりますが、ご注意いただきたいのは、あくまでもアンケートの形で調査されたものです。
先ほどの国民健康・栄養調査は秤量法を使っていますので、実際に食べたものを記録してもらって、そしてそれを評価しているものです。
そういった点で、データの取り扱いには意味が異なることをご留意ください。
果物を食べている人たちで、一日当たりどのくらい食べているか、200グラム以上が青色になりますが、世代別に見ると60代が一番多く26%、20代になると少なくて10%弱となります。
50グラム未満、あるいは100グラム未満で分けて分布を見ていきますと、全体では100グラム未満の人がおよそ4割で、やはりインターネット調査からも摂取量が少ない、特に若年層で摂取量が少なそうだということが伺えるかと思います。
では、なぜ果物を食べないのか、毎日食べないのか、そのような理由を確認すると、その食べない理由というのはもともとの食べ方によっても異なる理由があると示したのが、グラフの一番下の図になります。
これは、ほぼ毎日食べている人を除いて分析した結果ですけれども、食べない理由として、毎日ではないけれども200グラム以上食べている人は、最も多い回答が理由の4番「ほかに食べる食品があるから毎日は食べない」。
けれども食べるときは200グラム以上食べる。
でも、もともと100グラム未満の者では、理由の2番「ほかの食品に比べて値段が高いから食べられない」。
果物を毎日は食べない理由というのは、普段積極的に食べている人とそうでない人では、異なっていることが分かるかと思います。
ですので、一律の取組というのはなかなか難しいと考えます。
全体的に働きかけるためにはやはりどこをターゲットとしていくかということを意識して検討していかなければいけないと思います。
続いて、もう1枚、同じ調査データからの図になりますけれども、果物を意識して摂取している者と、そうでないという者がどの程度いるかを調べた分布です。
見ていただくと、やはり一番下、もともと200グラム以上摂れていると回答した人たちでは、「意識していて、摂れている」と回答している者の割合が約56%ですので、100g未満しか食べていない人たちは12.5%ですので、やはり多く食べている人たちは普段から意識していることが分かります。
いわゆる、意識しているから逆に摂れているということです。
やはり果物というのは意識しないとなかなか摂りにくいというところが伺えるかと思います。
ただ、その意識ですけれども、2011年の社会必需品調査をもとに考えたいと思います。
こちらは厚生労働科学研究費の報告書を引用していますが、一般市民、20歳以上の男女3,000人を対象にした調査です。
回答状況はこちらの人数で示しているとおり、全体のうちの1,400名程度ということで、それほど回答率は高くはないですけれども、その方々にどのようなものが必需品かということで、あらかじめ設定したアンケートの中で尋ねています。
ここでは、その中の一部をデータとしてお持ちしました。
赤で示しているのが果物です。
ちなみに、全部で67項目について3つの選択肢の中から最も考えに近いものを一つだけ選んでくださいという尋ね方でアンケートをとっています。
その結果、1日1回以上果物は必要であるという回答者が3割です。
一方で同じ食料でも野菜は75%、同様に、肉・魚・豆腐などのたんぱく質を毎日と回答した者も76%、そして一日2回以上の食事が必要と回答した者は約9割ということで、同じ食料の中で果物、項目はこれら4つに限られますが、この中では果物は必要であると回答する人たちが最も少ないことが分かります。
一方で、必要でないと回答をする人たちは6%と、ほかの食料に比べるとやや高いということが分かります。

これは大人のデータですけれども、次の図が子供です。
子供にとっては1日1回以上の果物は必要であると回答した人は50.5%でしたので、大人に比べて必要性は高いという認識でした。
ただ、やはりここでも野菜、あるいは乳製品などに比べると果物の位置づけ、必需品という位置づけはやや低いことが分かりますので、やはり食習慣として継続的に果物を食べるという食行動を促すには、この必要性、必需品というような認識、食事の中での一部という位置づけをもっともっと確立していく必要があるのではないかと考えます。
では、子供でどのように果物の摂取を伸ばしたらいいのかということの考え方のヒントになるのが次のスライドですけれども、こちらは埼玉県にある学校13校の6年生を対象に行われた調査のデータです。
なかなかこういったデータは少ないですけれども、家庭で果物が用意されているかということを調べて、果物の摂取量との関係を見たものです。
横軸が家庭内に果物があるかないか、「いつもある」、「ときどきある」、「あまりない」、「全然ない」という4つの選択肢で尋ねています。
それぞれの家庭内の状況において、状況ごとに果物摂取量の分布、これは1,000キロカロリー当たりのグラムですので、数値は少ないということをご理解ください。
大体、子供であれば6年生ですので1,800~2,000キロカロリー、概ね倍ぐらいのエネルギーをとっていますが、たくさん食べる子ほど果物等もたくさん食べているかもしれませんので、そういった食べている全体量の影響を受けないようにして結果を示したのがこちらのグラフです。
見ていただいて分かるように、特に女の子、家庭内に「いつもある」子のほうが「全然ない」、「あまりない」、「ときどきある」、と回答した者よりも果物摂取量が多いという報告がされています。
さらに男子では、入手可能性が高いものほど果物を摂取することは重要であるという回答が多く、また果物を食べることができるというセルフエフィカシーも、この入手可能性との関連が報告されました。
子供たちの果物を食べるという行動を促すには、やはり家庭での環境づくり、あるいは保護者の方の意識ということが大切になってくるのかなと思います。
ではその果物、どれくらい食べたらいいのか、何度もこれは御覧いただいたことがあると思いますけれども、食事バランスガイドで現在は2つ、およそ200グラム程度を目指しましょうというのが国で定めている目標になります。
先ほどからお話ししているように、なかなかそれが達成できていない状況だということは分かるかと思います。
この食事バランスガイドは健康な方を対象とした食事の指針ですけれども、一方で、特別な食事療法などが必要な方々にはどのような指針があるかということを示したものが次のスライドになります。
まず、健康な方、一番上ですけれども、食事摂取基準の2015年版では生活習慣病のリスクの高い方もあわせてと内容が少し変わりましたけれども、その中で目標値、食物繊維やカリウム等についての基準がここにあるとおりです。
そのほか糖尿病とか脂質異常症、あるいは高血圧、高尿酸血症など、幾つかの学会ガイドラインをもとに、それぞれ食事療法の中での果物についてお示ししました。
例えば、糖尿病について、上から3つ目ですが、果物は一日1単位までとあります。
ただし、注意書きを見ていただくと非常に大切なことが書かれていますが、我が国では果物は皮をむいて食べることが多く、食物繊維の摂取が少なくなること、そして果物の品種の改良により糖分の多いものが多いことを考慮して、総摂取量は十分に注意を払うように心がけるというような記述がありますので、果物は確かに大切なものではありますが、食べている内容を十分に注意するようにというような記述があることに注意していただきたいと思います。
その他のガイドラインについては、果物の摂取を増やす、あるいは積極的に摂取するといった記述がありますが、高尿酸血症については果糖、ショ糖等の過剰摂取を避けたほうがよいというような記述がありました。
食べる人がどういう状況かによって果物の捉え方は異なっていくと思います。
ただ、一律に食べないほうがよいということではないことはご理解いただけると思います。
その具体的な摂取の目安の一例ですけれども、脂質異常症と糖尿病の食事療法について、果物ではどのぐらい指示されているのかということをお示ししたのが次の例になります。
例えば、脂質異常症の場合、LDLコレステロールが高い場合には大体100~200グラムぐらい、中性脂肪、トリグリセライドが高い場合は100グラムぐらいということで、その方の健康状態によっても目安が変わってきます。
先ほど糖尿病については1単位とお話ししましたが、1単位は80キロカロリーですので、80キロカロリーの中で食べられるものはこれだけ種類によっても異なるということを例示したのが下の表となります。
続いて、じゃあ糖尿病になる前の方は、果物を摂ったほうがよいのか、果物は2型糖尿病の予防、発症とどのような関係を持っているのかを示したのが次の研究データになります。
これは過去に行われた複数の研究、全てコホート研究と呼ばれているものですけれども、そういった長期的な追跡調査によって2型糖尿病の発症とどのような関係があるかを示したものです。
いろいろな関係がないとするデータや、関係があるとするデータ、複数が混ざっておりますけれども、一番下の総合評価においては、やや2型糖尿病の発症を抑制するかもしれないという考察が得られております。
その同じデータの中で、およそ200グラム程度の摂取量のあたりで一番発症のリスクが下がっておりますので、現在推奨されている200グラムというのは科学的にも裏づけられているかと思います。
ただ、我々が食べている果物ですけれども、海外、私もアメリカで生活しておりましたが、海外と日本では、やや食事の中での果物の捉え方が異なるという一例を次のスライドでお示ししています。
アメリカでは、この左のように一つの食事の中で果物をどのぐらい食べたらよいかという目安を示しています。
ピンクのところが果物ですけれども、野菜とほぼ同列に扱って、一食の中で野菜と果物を半分ずつぐらいにするようにということで推奨されています。

一方、日本の場合は食生活指針の中で主食、主菜、副菜に加えて果物という、食事の中での位置づけが示された事例になりますが、まだ主食、主菜、副菜とは同列ではないというところで、やや果物の位置づけ、食事としてというよりは嗜好品というところがまだ強く印象に残るような位置づけになっているかと思います。
そういった食習慣がある我が国において、人々に対してどのように働きかけていくか、我々は行動科学とか栄養教育の中でいろいろ取組を行っておりますけれども、最近では行動経済学、私自身がその専門ではありませんが、行動経済学からも食行動を見るというような新たな動きもあります。
これは出典をそのまま読ませていただきますけれども、行動を説明するときには大きく2つありまして、システムIとシステムIIに分かれる。
システムIというのはほとんど意識せずに行われる行動で、システムIIというのは意識された行動。
果物を食べるというのはほぼ日本人の場合は意識された行動、意識している人の摂取量が多かったという結果を先ほどご紹介しましたけれども、果物を食べる行為は意識された行動であるということが分かっております。
でも、それを無意識に食べるような環境づくりや働きかけをすることで、システムIを使って果物を食べるということができるようになると考えられています。
例えば、下のもう1枚のスライドを見ていただくと、アメリカではりんごを丸かじりするような食習慣が確立されています。
一方で、日本はりんごを切って皮をむいて食べるという食べ方を好まれる方が多いです。
皮にも栄養があり、食物繊維等も多く含まれていますので、そういった、皮ごとぜひ食べてほしいと私自身は考えますが、そういった皮ごと食べることを繰り返し行って、その結果おいしいとか、食べ慣れてくると、それもシステムI、いわゆる無意識に皮ごと食べるというような食行動も確立するのではないかなと思います。
これは個人の食行動に対する事例ですが、食環境整備においても、このような新たな行動経済学等を使ったアプローチの仕方もあるのではないかと感じています。
ただ難しいのは、いろいろな人間の考え方がその行動を変えることを邪魔していますが、例えば、これまで過去にうまくいった行動を繰り返したりとか、楽な選択をしたりとか、問題を先送りにするという、いろいろな障害があります。
そのため、人間はなかなか行動、習慣を変えないという前提で、このような要因を踏まえたアプローチのあり方ということを考えていかなければいけないと思います。
また、先ほど述べたように、社会的な格差の問題もあります。
そして、個人の意識だけではなかなか変えるのは難しい、あるいは継続は難しいということで、現在、食環境整備の重要性が謳われていますけれども、それにも幾つかの段階がありまして、単に情報を提供するだけではなくて、さらに一歩進んだアプローチの仕方として、選択を可能とする環境を整える、あるいはデフォルト、いわゆる果物がオプションではなくて、最初からついているような定食を提供する、学校給食では必ず果物を提供するという制度をつくる、そういったデフォルトを変えることによって選択を誘導するような整備が重要であると思います。
さらに一歩進んで、インセンティブにより選択を誘導する。
例えば、家庭ですぐにできるのは望ましい行動、果物を食べたら褒めるとかありますけれども、環境レベルでいうと、例えば、ヘルシーレストランを表彰する、あるいは学校などでは安く果物を購入できるというインセンティブを用意する、そういったことでデフォルトも変えていけるのではないかと思います。
また、逆インセンティブにより選択を誘導する。
例えば、極端ですけれども果物を販売しない業者の法人税を上げるといったこと。
これはもともとたばこについて検討された環境整備のアプローチですので、そのまま食べ物に当てはめることは難しい部分はありますけれども、幾つか段階がありますので、なるべく効果の高いアプローチを採用していくという選択もあるかと思います。
最後に、食環境整備の重要性を示すのが次のスライドになります。
これはニュージーランドで行われた6か月間の取組で、スーパーで購入できるヘルシーな食べ物の金額を12.5%安くするというディスカウントのグループと、栄養情報についてショッピングリスト、買い物リストとあわせて提供するという教育をしたグループの比較です。
一番下の実線は、何もしない人たちですけれども、その一つ上が教育をした人たちです。
6カ月間の教育期間の中で摂取量というのは高まらなくて逆に下がってしまう。
一方で、ディスカウントを受けたグループでは摂取量が増えています。
取組が終わってしまうとそれがもとに戻っていくのですが、教育だけではなかなか人の行動は変わりにくいということを示しており、食環境整備のあり方の重要性を示すデータになりますので、やはり教育とあわせて食環境整備をしていくということが重要になってくるかと思います。
以上のまとめを最後に書かせていただきましたけれども、このような場で最後のスライドの食環境整備、あるいは制度づくりということをどのようにしていくかということをご議論いただけたらと思います。

三石部会長
林委員、ありがとうございました。
それでは続きまして、橋本委員から「果樹販売の現状について」に関しての話題提供をお願いいたします。

橋本委員
東急ストアの橋本でございます。
私からは果樹販売の現状についてという形で、私どもスーパーが店頭での果樹の販売状況、それと果物を食べていただくための取組、販売する上での課題をスライドに沿ってお話ししたいと思います。
果物は果樹と言いましても、やはり商品によって売り方はかなり変わってきます。
そもそも、スーパーの中で果物の位置づけですけれども、ほとんどのスーパーが入り口から入って一番最初の場所に果物を並べます。
日本人はすごく季節の移り変わりを大事にしますので、そういう季節の移り変わりを伝えること、演出するということもあり、伝えるというために、ほとんどスーパーで入り口に野菜ではなく、果物からスタートするというのが一般的なスーパーのゾーニング、レイアウトになっています。
こちらにあるように、季節を追って春から説明したいと思いますが、まずサクランボです。
サクランボのピーク期の販売ですけれども、輸入と併売をしています。
サクランボは特に季節感、販売時期が非常に限られていますので、季節感が出る商品という形の中で、短期間の中でこういう面を広げて販売します。
実は、サクランボの販売、輸入のサクランボも含めてお話ししますと、サクランボは5月の大体10日ぐらい、ゴールデンウイーク明けぐらいから輸入のサクランボが入ってきまして、それが大きく広がります。
それまではイチゴが中心の売り場になっていますが、5月に入るとサクランボ、アメリカンチェリーが売り場に広がります。
それから国産サクランボの時期になるにつれて輸入を縮めて、こちらのように国産サクランボを広げていくという売り方になっていくわけです。
売り場の中で、このようなPOPと言われる部分についても、特にこの季節感を強調した販促をしていきます。
次に来るのが季節的には桃になります。
桃の売り方はサクランボと全く違います。
やはり桃は香りが非常に特徴的ですので、先ほどのサクランボは全てパックしてありましたけれども、こちらは全てパックせずに販売します。
これが基本の売り方になっています。
桃は、桃同士が当たって傷つかないように、フルーツキャップを使用して販売しています。
販売単位は1個、2個、4個と、大きいものですので、需要に合わせた品揃えをしています。
また、贈り物にも使われ、需要も多いですので、ちょっとしたこだわりの商品、生産者を限定したもの、糖度センサーをとっていますよという表現もしながら、品揃えを増やしていく形です。
果物の中では桃はかなり販売するのに手間がかかる商品でして、産地によってフルーツキャップが入っているものもありますけれども、入っていない場合は、1個1個、全部店頭で並べるときにつけていきます。
そうしないと当たってしまって販売できない商品が増えて、結局利益も取れません。
またお客様も、最近はさすがに押される方は少なくなりましたけれども、まだ押さえる方もいらっしゃる。
デリケートな果物ですので優しく取り扱いくださいという表現もします。
季節が移り変わって今の季節、なしになります。
なしは、桃と比べて、それほど当たりには弱くないということで、売り方が全然違います。
箱からそのまま出すような売り方になります。
そして、ちょっといいもの、わけありの商品については、キャップをはかせて販売をします。
やはり季節の移り変わりという形で、お盆過ぎて9月に入ると、桃を一気に広げて、季節の演出をしていきます。
なしの場合は、やはり大玉の1個売りが中心ですけれども、小玉の袋売りもして、サイズ別に販売していきます。
続いてぶどうです。
ほとんど、なしと同じですけれども、ぶどうの場合も基本的には裸で販売していく商品です。
紙のトレーに1房1房並べていく形です。
ぶどうは産地から入る場合、市場流通品については、基本的には一部産地で全てパックされている商品もありますけれども、基本的には裸の房ごと納品され、市場流通していますので、それを1房1房、紙トレーやカップに入れて販売をしていきます。
ぶどうは、今いろんな品種がありますし、新しい品種も出てきていますので、品種の特徴を打ち出し、カラーコントロールもしながら販売します。
最近、特にお客様に聞かれるのは、種ありか種なしか、ここが今非常に関心のあるところで、次に皮ごと食べられるか食べられないかというところになりますが、種のある、なしというのはお客様のぶどうを選ぶ選択基準の中では非常に高い項目になっています。
続いてりんごです。
りんごについてもなし同様に、そのまま並べるような商品が多いですが、季節の移り変わりによって品種が出てきますので、メーンで売る商品のほかに、いろんな品種を品揃えをして、いろんなお客様に選んでいただける販売形態をとるというようにしております。
かきも同様です。
やはりいろんな品種が出てきますので、いろんな品種を並べて販売をしていきます。
ここわかりづらいですけれども、切った時に並べてあります。
やはり、消費者の関心は、かきも種があるなし、切ったときにどうなのかというものです。
ここもお客様の関心がありますので、半分に切った見本を置いて販売をします。
それとサイズもL、2Lサイズの1個売りのほかに、小玉サイズの袋売りという形で販売していきます。
それから、みかんになります。
みかんの販売は、みかんはいろんな売り方があり、ザルで売ったり箱で売ったりします。
大体、基本的には、ネットか袋に入れて売る形です。
S、M、Lとサイズ別に分けて販売をしていくという形です。
箱売りの場合も、年末はさすがに10キロというのもありますけれども、通常は5キロ、3キロ、大体1週間ぐらいで食べ切れる量での販売が中心になってきます。
みかんは各産地、各銘柄のブランドが認知されている果物です。
そういったブランドの銘柄をそれぞれ打ち出して販売していく。
品種よりもみかんについてはブランドのほうが重視されます。
あまり、品種はお客様には認知されていないということだと思います。
そのほかの柑橘です。
やはり、このデコポン中心に販売される商品が多い晩柑といわれる商品ですが、これも新しい品種が出てきています。
平台といわれる入り口の正面のところがデコポン。
売れ筋が中心ですけれども、壁面の冷蔵ケースといわれるところでは他の柑橘類をきちんと品揃えをして、ギフト需要もありますし、新しい商品、少し良いものというような形で、特別な日に食べる商品としても販売します。
また、価格が揃うと、価格を揃えての食べ比べという形で、1個だけではなくて複数の種類を2個、3個買っていただいて食べてもらうという工夫もしています。
こちら、当社のPB商品を紹介させていただいていますけれども、やはりPB商品というところで、当社のPBは品質重視という形で取り組んでいます。
だから価格訴求型のPBではなくて、価値訴求型のPBという形です。
こういう商品を通して、お客様の満足度アップという形で当社を選んでいただくための商品というのがPBになります。
このPB商品は、同じPBは同じパッケージ形態をとっていきますが、一番分かりやすいのがキウイのパッケージに、QRコードが付いています。
このQRコードは何かというと、このように携帯電話やスマートフォンでここを読み取ると、サイトに入っていきまして、私どもはこの生産者の情報を手紙という形でお客様に伝えるという取組をしております。
PB名称として「手紙のついた野菜と果物」としていますが、生産者の取組を私たちが紹介するという形ではなくて、生産者の皆様の言葉、手紙という形式で、それぞれの生産者の方のこだわり、産地のロケーション、もしくは食べ方の提案を伝えていくといった取組をしています。
このPB商品ですけれども、やはりプレミアムな商品という形の中で、そんなに飛ぶように売れていく商品ではないわけです。
ある程度販売量も限られます。
実際に産地からは、この左の箱の形で入ってきて、これをPB商品という商品化をするわけです。
具体的には紙のトレーに緑色のフルーツキャップをして、それとPBというマークをするために帯のようにビニールをかけています。
実際は、お店に納品するときは、お店で一日に売り切れる量ということで大体6個を最小納品単位にしています。
実際、段ボールで入ってきても店頭に並ぶときにはコンテナに変わっている。
ここが今、まだまだコストダウンを図れるところであり、産地と取組んでいかなければいけない。
中には産地としっかり取組ができているところは、産地の段階でこういうコンテナに商品化をして入れていただいて、店頭で販売するというものもあります。
それと、こちら小分け販売の例です。
先ほど果物を食べない理由の中に幾つかありましたが、やはり果物はワンパック買っても食べ切れない。
それと高くて買いづらいという、この2つの食べない理由、これを解消するための取組として、こういったビワを3個、イチジクを2個、プラムを3個いうような形で小分けの販売をします。
これによって手にとりやすい価格、価格も通常の商品よりは半分になっていれば半分の価格になりますし、実際に食べ切れる量という形で食べていただくという形で提供するといった取組です。
ただ、こちらの商品が主流になるかというと、まだまだ主流ではないですけれども、やはり果物を食べない理由をなくして、まずは食べてもらうというハードルを下げるためには、こういう取組が必要であり、こういう取組も店頭で取組んでいるところです。
それと、先ほど情報提供にもありましたカットフルーツのお話です。
今、こちらカットフルーツの売り場の一例ですけれども、一番下のところには比較的量の多い商品、家族で食べるような商品というところです。
2段目にはちょっと量を減らして、1、2人ぐらいで食べる量にしています。
一番上はお弁当を買っていただいたときにプラスワンで食べられるような小さいカップの商品、こういったように量に変化をつけてカットフルーツを販売していきます。
それと、やはり品揃えです、これを増やしていく努力も非常に必要です。
こちらの店はどちらかというとメーンのお客様の層が1、2人という層が多いという中で、大容量のものよりは比較的量の少ないものを販売する。
こちらは、全て店内で加工しています。
やはり店内で加工すると切り立てですので、お刺身ではありませんけれども、やはり鮮度感はあります。
また、その地域、地域のお客様に合った果物、もしくは旬の果物を使って加工できるということで、私たちも他社と競争する中で、店舗の特徴コーナーとしての取組という形で強化をしています。
こちら、果樹ではないですが、同じ果物ということでメロンやスイカ、スイカはもう99%がカット販売ですから、1個で食べること、買われることの少ない商品になっています。
メロンについても、やはり価格帯が非常に高い時期は、このように2分の1サイズ、6分の1ぐらいにカットして食べやすい量と価格で販売していくという形で、だんだん、このような1個売りからカット売りにシフトしています。
スイカほどドラスティックに変わるとは思いませんけれども、そういう傾向は明らかに出ているというところです。
それと、先ほどのお話にもありました商品開発という形の中で、やはりこういう複数の果物を使ったカットフルーツの提案、もしくは単品ですけれども量を減らした提案、一番右側のかきというような提案もしております。
かきはただ切っているだけ、皮をむいて切っているだけですけれども、やはりこういうものも結構、需要としてはあります。
昼食のときにプラス1品として買われる場合もありますし、実際、年配の方お二人ですと、このワンパックでももう十分。
朝食にちょっと食べたいだけというようなニーズもあります。
もしくは、目が悪くなってくると包丁を使うのも怖いからということで、むいてあるものに対するニーズというのも増えてきます。
いろんな切り口を変えて果物を食べてもらう提案をしていく。
私どももここだけをメーンにしていくのではなくて、まずここにあるこういう提案をして、例えばかきでも、まず一回食べてもらって、おいしければまた次に買っていただけますし、もしくは、人にあげるためにかきを買っていただくというような形もありますので、やはり果物を食べるハードルをどれだけ下げるか、まず食べていただくかというところに注力しているというところが、このカットフルーツの特徴の一つでもあると思います。
それと、消費者への情報提供という形で、前回の会議でもありましたけれども、なかなか価値を伝えられない。
スーパーマーケットはセルフ販売ですので、対面販売と違いまして、やはり伝える情報には限りがあるという中で、このようにいろんなPOP、最近はこういう手書きのもの、みずから店舗の担当者が言葉、文字で工夫して作成する、伝わりやすいメッセージという形のものが増えています。
ただ、こういうのも、ただやろうといって出来るものではなく、この後、近藤さんのほうからもお話あるかと思いますけれども、従業員教育に非常に力を入れています。
特に店舗担当者、社員に限らず、アルバイトまで商品知識研修を毎月実施して、そのときに販売する旬の果物の産地の紹介や、栽培方法、それから品種の特徴、食べ頃、食べ方といった情報提供、教育をしていくというのが非常に大事になっています。
また、従業員のモチベーションを上げるためにも販売コンクール、今月ですとぶどうの販売コンクールを実施しまして、いろんなぶどうの売り方、各店でいろいろ工夫して売ってみましょうといったコンクールを実施したり、先ほどあった手書きのPOPのコンテストでその努力を評価することによって従業員のモチベーションをアップして、価値を伝える努力をしているというところです。
最後に今後の課題ですけれども、今一番悩んでいるのはりんごの規格です。
一応、果実全国標準規格というのがあって、流通する際はりんごの規格が決まっているわけです。
46玉、40玉、36玉、それと32玉。
ただ、これ消費者の方にはサイズはイメージできません。
ですので、店頭で販売するときは、ああ、大きいりんごでこの価格だったらいいわねという話になりますが、サイズの表示が、例えば広告とかメディアでするときに、非常に出しづらい。
40玉サイズを中心で今まで販売していて、中玉サイズという表現をして、32玉サイズぐらいまでいくと大玉というような表現をするのが一般的な今の売り方になっていますけれども、今年は非常にりんご、できがよく、36玉中心で販売していく計画をしていますけれども、そのときに、例年よりサイズがちょっと大きいですが、その価値をなかなか広告等では表現しづらい。
いわゆる同じ中玉というくくりになってしまいます。
大中小という形でやっていくと。
こういうところも、やはり全国での統一規格があると、広告やメディアの部分で表現しやすくなって、販売もしやすくなるかなと思います。
それともう一つは、販売の実態に合った流通形態、規格・量の変更が必要だなというところです。
まず一つは段ボールです。
野菜と比べまして、果物の段ボールは非常にきれいに作られています。
何色も使って、非常にきれいに作れられています。
もともとギフトとしての需要がある商品については、そういう箱も必要ですけれども、先ほどからこちらでお話ししているように、箱のまま果物を並べることは、ほぼありません。
よっぽどの価格訴求をするりんごとかなし以外は、桃も全てが先程のように変わるわけですし、ぶどうもそうです。
箱のまま並べるというのはほぼありません。
その中で、それほど華美な段ボールというのは必要ありませんので、そういうところからコンテナでしたり、最終的な販売形態に合った段ボールを使用する。
量というところですけれども、最後のところ、店舗の規模、大中小ありますけれども、小さいお店で、例えば今の季節にシャインマスカットを販売したい。
でも自分の店では大体一日に売れるのが3房から4房ぐらいですというお店は、私どもは実際には市場の中で、仲卸さんで小分けをして納品してもらっているという状況です。
やはり十何房入っていると、その店舗では一日で販売し切れない。
そうすると、それは販売しないか、あとはある程度悪くなる前に値下げして売り切るかという形になってしまいますので、1ケースの量についても、やはり見直しすることが必要と考えます。
もう一つは、先ほど小分けのお話をしましたけれども、実際に食べてもらう、食べるシーンを想定したときに、やはり贈り物として送るパッケージという形が強い。
ビワを本当に好きな人だったら6、7個食べるかもしれないですけれども、今年の季節のものだねという形の中で、ちょっと食べたいというニーズに関しては、やはり量が非常に多くなる。
実際に店頭で小分けし、一手間かけて販売していくという形の中で、手間をかけた販売をしているわけですけれども、その手間を嫌がるわけではないですが、こういう手間をこれからどんどんかけられなくなっていきます。
やはり働く人の確保も大変ですし、手間をかけるということはそれだけコストが発生しますので、こういうところも産地から市場、そして私どもと連携をとりながら、よりローコストで、消費者の方に果物を提供して、食べていただくためのハードルをどれだけ下げるかという努力、ここは引き続き取り組んでいかなければいけないことだと考えておりますし、そういう取組を一体となって進めていただけるお願いをしたいと思います。
それに対する支援もお願いしたいと考えております。
私からは以上になります。

三石部会長
橋本委員、ありがとうございました。
私も聞いているうちにフルーツミックスを食べたくなりまして、ほとんど私は毎日のようにフルーツは食べている人間です。
私としても、いろいろと気づいたことがありましたので、皆様も今後の議論に活かしていただければと思います。
それでは、続きまして近藤様から話題提供をいただきたいと思います。
近藤様が事務局長を務められているNPO法人の青果物健康推進協会では、購買促進のために先ほど話があった環境整備に着目して、「デスクdeみかん」を初めとした消費拡大対策に取り組んでいると伺っています。
皆様のお手元にもパンフレットがありますので見ていただきたいと思います。
本日は、近藤様から「国産果実の流通事業と新たなマーケティング戦略」について話題提供をいただきたいと思います。
それでは、よろしくお願いいたします。

近藤氏
よろしくお願いします。
私たち青果物健康推進協会は、ことしで13年目になります。
業界が大同団結をしてつくった団体でございまして、生産者団体、それから種苗メーカーもいますし、それから全国の卸売市場、それからスーパー、量販店、外食食品メーカーなど、約二百数団体が加盟をしている団体です。
会長が岸朝子という「おいしゅうございます!」のおばあちゃまが会長でして、今91歳になられますけれども、お元気で、「元気の秘訣は」と聞くと、「果物、野菜しっかり食べているわ」とおっしゃっていますので、こういう生活を目指しましょうということでシンボル的に会長を務めていただいています。
それから、モデルの長谷川理恵さんには今理事を務めていただいています。
著名な方がいらっしゃると、何かイベントをするときにお金をかけずにメディアが集まるということがございます。
会員メンバーには、委員の皆様方も多数、会員でいらっしゃっていて、日園連の鈴木専務、全中の大西常務、その他、東急ストアさん、田中委員などなど多くの会員に支えられながらひとえに活動している団体でございます。
果物、販売環境については釈迦に説法ですので割愛をしますが、非常に減り続けてきています。
特にみかんがピークの4分の1ぐらいまでに減ってしまっているというのは、非常に大きな問題と考えており、積極的に取組をしているところでございます。
一般の消費者が果物を買う場所、圧倒的にスーパー、量販店が多い。
もちろん、ほかもありますが、スーパー、量販店ももう少し、橋本委員のところと3年かけていろんなモデル開発をさせていただいています。
もっと努力をすれば消費につながるという手応えも今感じております。
特に、みかんは減ったけれどもりんごが余り減っていない。
これも何かポイントがあるのかなと考えております。
悔しいのは、日本人が食べている果物は減少していますが、2つだけ伸びているものがある。
それがバナナとキウイ。
当然、伸びている理由があります。
私、本業がジャーナリストですので、いろいろ取材をさせてもらって、伸びている理由を幾つかつかんで、それを活用して国産の消費拡大につなげていこうという活動も数年前から続けております。
消費拡大するには、やっぱり販売促進しないと消費伸びない。
あと、購入をしなければ消費になりません。
販売を刺激するということがとても大事になると思います。
会員の皆様の中で、主にJAグループの生鮮団体の皆さんに以前アンケートをとりました。
どんな販促をしていますかと伺ったら、ほぼ100%、マネキンによる試食宣伝とおっしゃっていました。
その他、少ないですけれどもクローズドキャンペーン、あとはみかんの機能性を発信しようという意見はございました。
特に一番多いのは、このマネキンによる試食宣伝でしたが、決してマネキンによる試食宣伝を否定はしませんが、ほとんど、この費用は産地持ちだというのはどうかと考えていまして、しかも一日一人一店舗にいると、大体2万円程度のコストがかかります。
売っているものが200~300円程度のものですから、例えば200円のものを売って産地側に入るのは大体17~20%ぐらいです。
となると、200円のものを1個売ると40円。
2万円稼ぐには500個売らないといけない。
相当至難の業です。
ただ、いろいろ調べると産地側では県の補助金が使われており、損得が見えてこない部分があります。
確かにマネキンがいると、その日は売り上げが上がるという話はたくさんありますので、これもうまく使うほうがいいと思っています。
ただ、難点はその日しかない。
その日は上がるけれども、翌日いなくなると下がるという、そういう欠点もあります。
そこで、産地の方に聞いて、どういうケースがいいかと聞くと、マネキンさんがいてもいなくても売り上げが上がる店がいいということをおっしゃいまして、そこで橋本委員の東急ストアさんに3年前にご相談して、一緒にモデル開発をしていただいています。
このままの販売促進でいいですかというのが、私の言いたいところです。
これから幾つか取組について、お話をさせていただきます。
これは農水省の事業で主にやっているものですけれども、消費拡大、販売促進をするには、一つは大規模需要先をコントロールしていくというのがとても重要と思っています。
その一つが学校給食を考えています。
通常、学校給食というと教育委員会にいくという話になるんですが、ここを通すと話が進みません。
何度も私たちチャレンジしましたけれども、ああいう組織は物事が進まない組織だなと考えています。
そこで私たちは、直接、学校で給食メニューをつくる学校栄養士に声をかけました。
今、東京地区と大阪地区と福岡地区で、この学校栄養士コミュニティというのをつくって、毎月のように勉強会、研修会を行っております。
東京地区だけは去年からやっていますので、今70校を超えました。
毎月、研修会をしています。
大阪地区は10月からスタートし、約18校、九州地区は先週スタートしました。
1回目から37校が参加をして、これから徐々に増えていくと思います。
栄養士の皆さんとコミュニケーションを図りながら、信頼関係を築きながら、我々の提案したものを給食で出してもらって、そこで、出すだけでは意味がない。
出したものをイベントなどをして、子供たちに印象づけます。
うちへ帰って親に話をしてもらう。
普段うちの子は野菜を食べないけれども、「今日こんなの食べたのよ、おいしかったよ、フルーツもおいしかったよ」と家で言えば、うちの子が食べるなら買おうというふうになればいいという仮説ですけれども、そういう形でいろんなイベントをやっています。
昨年度は東京地区で青森県と連携をして、青森県の郷土料理、せんべい汁を給食でやってもらいました。
昨年度は40校参加していましたから、うちの10校がそのイベントをしてくださいました。
これはイベントの写真ですけれども、青森県の人に来てもらったり、青森県のゆるキャラを借りたりしながら行いました。
チラシをつくって、各児童たちに家に持って帰ってもらう。
あとで聞いた話によると、そのイベントの結果、かなり保護者の皆さんに印象が伝わっていったと聞いております。
いろんな学校でいろんな取組をしてもらって、学校を通じて、児童を通じて保護者に、例えばみかんやりんごなどの、子供たちが喜んだイメージを家に伝えていくと、各家庭で、東急ストアさんで売っているのかなと言ってくれると思っています。
これが学校栄養士コミュニティという事業です。
続きまして、消費拡大≒販売促進だと先ほど申しましたけれども、やはり販売促進モデル開発も必要だと思っていまして、先ほど東急ストアさんと御協力いただきながらやっているのが、パート・従業員の皆さんの資質向上という事業を行っております。
現在、東急ストアさん初め、イトーヨーカ堂さん全店とマルエツさん、あとは百貨店で池袋東武と新宿京王です。
これは鈴木社長のところからの商品でございます。
シティ青果からいっているものでございますけれども、これまでパート・従業員の皆さんは、どちらかというと販売には余り携わってこられなかった印象があります。
どちらかというと商品を並べるのが仕事だということでしたが、私たちの研究によると、社員よりもパートさんのほうが、販売意欲が高い。
橋本さん、そうですよね。
かなり高いですよね。

橋本委員
ちょっと語弊があるかもしれないですけれども、モチベーションは高いです。

近藤氏
高いですよね。
しかも研修をやっていて、かなり優秀な方もいる。
もちろん、そうでない方もいらっしゃいます。
でも、この研修のポイントは知識研修ではございません。
もちろん知識もやります。
知識と接客技術、それと店づくり、あとはコミュニケーション、この4つのカテゴリーごとにスキルアップをしていくというカリキュラムを組んでいます。
毎回、各産地をテーマに、商品をテーマに研修をして、その後各店舗で、先ほど橋本委員のほうからございましたけれども、レシピ作り、あとはPOPコンテストや販促コンテストを実施します。
実施した2カ月先ぐらいにその報告書を提出していただきます。
そのことを名づけてチャレンジシートと言っています。
各パートさんたちが自ら考えてチャレンジをしたものの報告を書いていただきます。
我々のここにいるのが講師で、レジフルティーチャーといいますけれども、彼らがそのチャレンジシートを審査します。
いい取組をしたところを2カ月先ぐらいに、その研修で発表をし表彰します。
その産地から果物とかもらって、その場でプレゼントして、なおかつ、なぜよかったのかということを細かく分析をして解説します。
すると、もらえなかった店舗さんたちが一生懸命それを控えている姿が見られますので、繰り返すことによって各店舗の販売促進スキル、パートさんたちの資質が向上していくということが見られてきています。
大規模需要先のもう一つが社員食堂でして、今、私たちは外食の店舗認定と社員食堂の店舗認定を行っています。
今、大体全部で80カ所の社食を認定しており、社員食堂と連携しながら、こちらが提案するメニュー、特に今年度は全国の郷土料理を、ただ出すだけでは意味がないので、郷土料理を有名料理人にアレンジをしてもらう、アレンジメニューというのを今年は行っています。
昨年度は有名料理人のメニューを出しました。
各社員食堂さんは福利厚生で健康支援室といった部署と連動しています。
ヘルスケアの一環としてやっていますから、大体ヘルシーメニューがあります。
ところが、ヘルシーメニューほど売れない。
ヘルシーメニューと書くだけで、味が薄い、まずいという印象がどうもあるみたいで、私たちが提案したのはヘルシーメニューという名前を使わないでくださいということ。
かわりに有名シェフの野﨑洋光さんという「分けとく山」という和食の店があります。
野﨑さんがアレンジしたメニューを出して、昨年度80カ所ぐらいの食堂で実施したところ、全食堂で完売いたしました。
ヘルシーメニューではあり得ないことが起きています。
これが今年のポスターで、連携産地が福岡と青森と鹿児島の、それぞれのメニューを野﨑さんのアレンジメニューという形で、なおかつ、全国の食堂で扱えるような青果物を入れています。
この中の福岡については、みかんを必ず加えるようにしています。
大体1カ所の食堂で200から300食ぐらい出すようにしています。
それが何十カ所とありますから、この福岡の時期には福岡のみかんが結構な数が出ていくと思っています。
青森の時期にはりんごです。
りんごをメニューに加えていますので、りんごの消費がつながっていくという取組もしています。
ここからメーンになりますが、みかんの消費が著しく減っているという話を数年前に聞きまして、何とかしなければと思いました。
いろいろな大学の先生に伺ったら、みかんの消費を研究している方がいらっしゃらなかった。
なので、自分たちでなぜ、みかんの消費が減ったのかということをみんなで議論しました。
いろいろ資料を集めてみたら、みかんの減る角度と、こたつの減る角度が近かった。
大体、昭和生まれの方はみかんを食べるシチュエーションといえば、こたつと皆さんおっしゃいます。
その食べるシチュエーションが減っているのではないかという仮説を立てました。
であれば、この仮説に基づいてみかんの消費を伸ばすにはどうしたらいいか。
それは、こたつにかわるみかんを食べる新しいシチュエーションを想像しようということで、始めたのがこの「デスクdeみかん」です。
おかげさまで、いろんなメディアには取り上げていただきまして、昨年度、テレビがモーニングバード、新聞が日経MJ、朝日新聞、東京新聞、西日本新聞、あと農業新聞など。
あと、ラジオが6番組ぐらいで取り上げていただきました。
ところが、その取り上げたのが全部1月以降だったんです。
みかんがなくなってしまっていて、そのメディア戦略が消費につながらなかったということがありましたので、今年はこれから早目に仕掛けようかなと思っています。
もともと、この「デスクdeみかん」を始めたきっかけですけれども、企業でのメタボ対策、平成20年から始まってメタボ対策で、どこの企業もメタボ撲滅というふうにやるんですが、メタボの大きな要因になっているのが、最近よく各企業であります、お菓子を置いておくという、そういう会社さんがあって、オフィス何とかという、お菓子を100円で簡単に買える。
どうも、それがメタボの誘引になっているのではないかというお話がよくございました。
そこで、私たちがお菓子よりもカロリーが低いみかんどうですか、とご提案をしたところ、その企業はここに書いてあるNTTデータですけれども、本社でぜひやりたいというので、食堂の前でみかんを販売しました。
販売方法も、ただ単に販売するだけではおもしろくないので、500円で、入り口でビニール袋を買います。
あとは詰め放題ということで参加型にしたところ、一日2時間、3日間で、初年度で10キロ箱のみかんが100箱販売をされました。
1トンです。
このNTTデータさんの福利厚生の人が、買った人たちの追跡調査をしてくれました。
そうしたら、大体、女性が買いに来ます。
こういう会社ですから、こういうのをやっているよという情報がネットやイントラですぐ流れて、どんどん人が集まってきました。
日本の会社は会議のブレイクのコーヒーは大体女性がします。
その日は、この3日間に限ってはコーヒーよりもみかんを出す部署が大変多かったそうです。
そうしたところ、ブレイク後の会議がコーヒーのときよりもスムーズにいったという例がたくさん出ていまして、翌年もやってくれと福利厚生から話があって、翌年は2.5トンも売れました。
その後、いろんな企業にご提案をして、福利厚生が担当変わってNTTさんが去年やりませんでしたが、ほかのキャノンさんや沖電気さん、NECと実施しましたところ、去年は1.57トンが販売されました。
今年も、農水省の事業ですから、年々数字を上げていかないといけないですよね、課長。
ですので、今年は実施する会社をまた増やします。
既に幾つか実施する会社は決まっていますが、それだけではメディアが発信をしないといけないので、今年はみかん検定試験を行います。
11月に、一つはJAビル4階のミノーレで、私たち毎月そこでセミナーをしていますので、11月のセミナーでは、みかんをテーマにみかん検定をします。
そのほか、NECさんとキャノンファインティックさんで、このみかん検定を実施してくださいますので、そこにうまくメディアを仕掛けて、最終的なこの「デスクdeみかん」の目的は、会社で売ることではございません。
会社で売るのは単なるきっかけです。
最終的には各家庭で、昔のようにスーパーで買って家で食べていくところがマーケットが大きく広がりますから、そこにつなげていくために、メディアを通じてみかんを発信してもらうということを、今年は仕掛ける。
今、計画になっていまして、検定試験問題は今作成中です。
日園連さんのほうで検定に受かった人にはバッチをくださるということですので、みかん検定3級を今年は実施して、受かった方には日園連さんからいただいたバッチを授与しようかなと考えております。
また、来年は今度2級試験をしようかな、で次は1級というモチベーションにかかわるような形でこの「デスクdeみかん」を進めていきたい。
先ほど言った福利厚生の追跡調査で、こういったご意見が出ましたので、会社で食べることは結構マッチングしているのかな。
もちろん、企業によっては飲食禁止の事務所もございます。
そういうのはできませんけれども、飲食できる事務所であれば、みかんを食べてもらうようなことができるのかなと思います。
今年の「デスクdeみかん」の販売では、袋詰め以外に、こういった紙で包装したもの1個売りもしようと思っています。
これは企業側からのご要望で、詰め放題だけではなくて、ちょっといいみかんを袋詰めして、1個50円で売ってくれないかというご意見もありましたので、今年はそれにも挑戦しようかな。
この紙については日園連さんがお持ちの紙なので、これはまたいただいて販売していきたいなと思っています。
この紙については、事務所内で食べるとき用の紙で、食べた皮をそのままごみ箱に捨てるよりは、包んで捨てたほうが衛生的というのと、できれば手をふきたいんですが、ちょっと手をふくには余り適さない紙だったので、捨てるときに適した紙もうまく使って、最終的にはみかん検定をしながら、メディアも仕掛けながら、国民の皆さんにもう一度みかんのおいしさを思い出してもらって、各家庭でみかんを食べる食習慣、食環境というのがうまくつくり上げられたらいいと思っています。
以上でございます。
これがお配りしたこの資料の中にデスクdeみかんのことについて詳しく書いてございますので、お目通しください。
ありがとうございました。

三石部会長
ありがとうございました。
非常にユニークなポイントがたくさんあったかと思います。
それでは、続きまして、三森委員から「(有)ぶどうばたけ  伝統の伝承」について、話題提供をお願いいたします。

三森委員
皆様、こんにちは。
私は山梨の甲州市勝沼町からまいりました。
前回、私、たまたま安齋委員の住んでいらっしゃるところに出張で行っておりまして、欠席いたしまして申し訳ございません。
今まで販売の方々から、すてきな映像を見せていただきましたが、今回は私の有限会社ぶどうばたけの取組について、簡単に御説明させていただきますので、よろしくお願いいたします。
まず、私たちの会社の理念が伝統の伝承ということでございますので、こちらのほうを掲げさせていただきました。
簡単に申し上げます。
有限会社ぶどうばたけは、有限ということで最後の会社法にのっとって、平成18年の4月、5月からは株式会社ということだったので、ぎりぎりで有限会社というものを立ち上げました。
一番下に見ていただくものは、新商品開発のところで六次化の認定を第1期でいただいたり、果樹基金のものをいただいたり、ここは話さなかったですけれども、2月には農商工連携も頂戴して、新しい果樹の開発を進めております。
つい最近は共生対流の事業をいただいて、都市農村交流等々も進めております。
最近、私、甲州市で初めて甲州市の指導農業士の会長を女性で受けさせていただいて、ここにいらっしゃる西郷審議官はぶどうサミットのときにお見えになっていただいてありがとうございます。
そのときはご挨拶できませんでしたが、そんなこともしております。
簡単に申し上げます。
山梨県の概要でございます。
山梨県は東京都のすぐ隣でございます。
どうも山梨というと、福島県をイメージされる方々も結構多くありますが、山梨県は東京の近県でございます。
周りは首都圏各地、埼玉、神奈川等々が隣接県になっております。
77%は森林、大消費地に近い立地、立地条件がとてもいいと思います。
電車でも車でも1時間半圏内で山梨のほうにお見えになっていただける。
私たちは83万と言いますが、どんどんこの人口は減少しております。
武田信玄がおりまして、「人は石垣、人は城、情けは味方、仇は敵」という、私たち山梨県人はやはり武田信玄のもとの、県民性でございます。
しかし、甲州商人と呼ばれるような方々もいらっしゃいますので、何とも言えないところでございますが、皆さん、甲州商人ってご存じの方は笑っていらっしゃいましたが。
あともう一つ、県の施策の中で、私、県の審議委員もさせていただいたところ、東急ストアさんではお書きになっていただいていましたが、山梨県産の桃と書いてありました。
基本的に私たち山梨県の農業者たちは、決して山梨県産とうたいません。
私たちは菱山産、または勝沼産、桃でしたら春日井、一宮、そして加納岩という、もとの農協の産地、これは山梨県は先進地であるがため、まだまだ、今でもその旧農協時代の古い産地で、まだ産地間競争を県内で行っております。
なので、新しくできた岡山では岡山産という名前で多くの量を持ってまいりますので、山梨県の旧産地の方々はちょっと量的に押されたり、品質的にも押されることが多々ございます。
私は常に審議会のほうでも伝えておりますが、なかなかその施策自体が、どうしても生食の消費を盛んにしているところでございます。
扇状地でありますので、山梨県は果樹王国と言われますが、今ではそういうふうに認識されていらっしゃるところも少ないかもしれません。
水はけ、日当たり、風通し、ここは私たちのぶどうの産地でございますので、こういったところ、土地は下が岩盤でとてもやせている、特に私たち勝沼である4地区の中、一番北側に向いている菱山地区というところでございます。
見ていただいたように、果樹の生産量は、ぶどう、桃、スモモ、あと、富士山側ではクレソンが生産量第1位でございます。
簡単に山梨県の、だんだん一番下に向かっている、秋めいてきております。
山梨の私たち果樹、特にぶどうは品質もたくさんございますが、果樹は紅葉もします。
落葉果樹でございますので、ぶどうは特に紅葉する色が品種によって変わってくるので、目でも、食べても、見てもおいしい、すぐれています。
私の自社敷地内でぶどう酒、皆さんワインとおっしゃる、こんなところが昭和初期から、昭和7年から地域での醸造が始まります。
私たちのところは唯一、農家のために農家が絞るぶどう酒の蔵でございます。
簡単にいうとNPOの前身と考えてください。
地域の農家50軒の原料のみをバスケット方式ということで、世界で一番小さいバスケット方式。
昭和のころから今現在も同じような作り方をしております。
私のほうが早く結婚を機に就農いたしました。
私も夫もたまたま大学は東京と千葉に出ております。
二人とも、私は保育士を実務4年、夫のほうはちょうどバブルの時期でございましたので、工業団地に勤めたりしておりました。
私たち菱山地区というのは古くから農林水産大臣賞等々をとる、今現在もそうですけれども、とても篤農家が多く住むところで、勝沼町内でこの地域だけは直売店というものは、私たちが始める前まではございませんでした。
こちらには、その当時のものから三森家で所有しているもの、栽培の品種等々が書かれております。
本当はこれに新しいものを加えていきたいのですが、ちょっと古いものでございます。
今現在、直売店、私たちはこういった直売店を設けさせていただいて、特に8月上旬から11月半ばまで、毎日営業しております。
現在は会社になりまして、土日祝日は年間営業を行っております。
栽培は書いてあるとおり、耕作面積が3.5倍に膨らみました。
今は、やはり最初は貸し手がいらっしゃらなかったのですが、雇用や地域の信頼ができてから、どんどん貸し手が出ております。
私の実家が山梨市でございますので、今、甲州市と山梨市、私の実家もつくらせていただいているので2市でございます。
大体、6ヘクタールになっております。
お客様のニーズから直売店を始めておりますので、現在、48種類以上の品種の栽培を行っております。
加温のハウス栽培、今年の2月に倒壊しました。
雨よけ栽培、露地栽培で、労働力の分散と収入の期間の延期を図っております。
私たちのところでは、かなり斜面がきついので、1ヘクタール以上機械が入らない急斜面の畑を栽培しております。
現在は山梨県自体、耕作放棄地が福島をちょっと除くと長崎に続く2位でございます。
昔はぶどうがお金になりましたので、山を削って畑にしておりました。
そういった立地条件の悪いところからどんどん耕作放棄が始まっております。
これが販売でございます。
私ども農協出荷、今までは100%でございました。
加温のハウスは現在でも95%ぐらい、今年はもちろん加温のハウスはございません。
露地栽培では100%からだんだん露地栽培を農協出荷する、今ではもうちょっと少ないのかもしれません。
直売が約半分以上、外販、特に、このJRのもので販売する量がとても多くなってまいりました。
その次に秋葉原のもの、今年出させていただきました。
今年から名古屋の百貨店にも呼ばれて、1週間、スタッフ、または代表の夫が行っております。
あとは東京のマルシェ等々からも呼ばれることが多く、これはマネキンではなく私たち、夫や販売をしたいというスタッフがおりますので、この2人がメーンでこういったマルシェをやっています。
ほかに農業の仲間の方たちもお手伝いに来ていただきます。
ほか、オイシックス、静岡、群馬、東京などのスーパー、百貨店、卸、道の駅などで、こういった方々ともつながっております。
ぶどう、真ん中のラベルがあるんですが、本当はラベルがない手絞りのワイン、これ、実は本当はラベルはうちのほうでは張ってございません。
もちろん上にキャップはございます。
あとは私どもの中では一次産品と言われるジュースとかジャムを、最初のころは販売しておりました。
こちらが上野駅の山梨展での販売でございます。
3日間で実は私どものお店、ぶどう畑では、約2トン以上のぶどうを販売させていただいて、小さな個別単位では、秋田のどちらかの場所に続く2位という販売力でございました。
来年はぜひ1位の売り上げをとろうというふうにスタッフ一同頑張っております。
ここには夫と、うちのスタッフ、そのほかに販売応援の東京の専門の方々もつながっている方々にお願いして出しております。
販売は日比谷公園、あとは、くろがねやの販売等々もさせていただいたりしております。
今度は加工でございます。
一次産品、ジャム、ジュースは全て外注しております。
レーズンに関してなんですが、なかなかレーズンを外注でつくってくださるところがいないので、私たちも自社で一番小さい機械を買わせていただいて、自社畑100%のぶどう、あと、トマトもこれは加工用のトマトでございます。
イタリアのシシリアンルージュを使っております。
あとはりんごなど、全て自社で栽培しているもの。
あと、外からいただくのはイチジクなどを加工させていただいております。
二次加工ですが、このレーズンを主体としましたレーズンパン、米粉のシフォンケーキ、この米粉は山梨県産のものでございます。
フィナンシェ、グラノーラなどを今は自社で販売しております。
デラウェアのスパークリングワイン、これは農水省の新商品開発事業を利用しております。
本年で3年が過ぎましたので、徐々に本格的な販売をしております。
果樹基金を使わせていただいて、加工のぶどうとピューレを使った加工品の開発、今度は農商工連携を使って、今後の加工品のトライをする予定でございます。
こちらのほうが新商品開発、見ていただいたとおり、実家の畑ですが、私の両親が実はぶどう、他界して要介護5ということで、全くできなくなってしまった加温のハウスのものでございます。
こういったところになる前に私たちは今いろんなところから借りてやっております。
今、この畑も私たちの手によって平らになっているけれども、下のほうがデラウェアのスパークリングワインで、現状、私たちの勝沼、特に菱山地区はデラウェアの産地でございました。
先ほど申し上げたように、高齢化が進み、立地条件の悪いデラウェアの畑が急に1ヘクタールも増えてしまって、もちろん、簡単に考えていただくと畑が増えたら収入が大きくなるというのは大間違いで、かえって手がかかることしかございません。
ましてや労働力、高齢者がつくっていたものでございますので、管理がきちんとできていなかったり、棚がとても悪かったり、先ほどいう、切ってしまえばマイナスですけれども、こういったものを何か新しくできないかということで、種の入ったデラウェアから新しくスパークリングワインを私がこういったものでしたらぜひ、絶対、日本の特に女性の方、あとは健康志向でございます。
ワインは体の中に入るとアルカリ性でございますので、私はワインアドバイザーもやっています。
もちろん、醸造の技術は私にはございませんが、そういった観点から、こういった健康ブームで売れる、販売できると思いまして、この新商品を開発しております。
年々、もちろん少ないけれども、約倍、倍、倍と、量は今増やしているところでございます。
六次化の認定をいただいて、レーズンが主体ですけれども、ここから新商品開発、レーズンパン、オーブンも買わせていただいて、ここでそんなに、今たくさんは焼くことがシーズンではないですが、このレーズンパンは限定商品で、つくるそばから売れてしまう。
大して作ることもできませんが、米粉ではなく小麦粉も「ゆめかおり」という山梨県産の小麦を使わせていただいたり、下のほうにあるのは果樹基金でつくらせていただいたピューレを使った米粉のシフォンケーキでございます。
上のほうがレーズンのアソートでございます。
雇用ですが、現在社員は3名、研修生は1名、パートは3名、バイトは1名、これは年間雇用です。
時期になるとお願いをする方たちもいるけれども、基本的にはお願いする方よりも、この方たちで基本的には私たちの畑を回していくので、結構日々つらい思いをしながら、こんなメンバーでやっております。
今年、大体、私たちの果樹に関しては、社員は基本的には独立希望の方たちが多いです。
今まで1名が独立をしました。
今年の秋にもう1名が独立する予定でございます。
現在は地元の農家の子弟で、子弟は男女2名が雇用の後、親元に就農しております。
これは菱山地区、本当に地元の地域の方たちを雇用させていただきました。
現在、農家の子弟はおりません。
県内の2名のほかは全て、パートの方は奥様なので、これは別として、基本的には県外の方々がぶどうの栽培をしたいということで、私たちの会社で雇用させていただいております。
ちょっと少ないですが、こんなところです。
真ん中のところが都市農村交流。
下のほうが、いろいろな展示会に出させていただいております。
スーパーマーケットトレードショー、これは地方銀行、山梨県の中央銀行が京王百貨店でやりました。
こんなところからも販売の層が広がっております。
私は、前回、食料・農業・農村政策審議会の審議委員もさせていただいて、この六次化というものにもチャレンジさせていただきましたが、私たちが真剣に思うのは、都市とのつながりを今後は六次産業というものだけではなくて、やはり農村はマンパワーが少なくなっておりますので、農村に来ていただく仕組みをつくるということを私は課題に思っております。
今では、2番目に書いてある援農隊、これはもう10年近くなりますが、金銭の授受は一切ありませんが、この方々、主力は4名おりましたが、ワインのお手伝いから始まって、1年間、本当にこの援農隊長は週末はほぼ山梨にいていただいて、農業だけではなくて、機械、あとは屋根をつくったり、電気のことをしてくださったり、本当に私たちでは今なくてはならない方々なんですけれども、あと、私たちのホームページを見てくださって、日々、援農隊の希望をしてくださる方々も出てまいりました。
これは、時期、季節、あとは土日とかだけでなく、1年中私たちは忙しい。
ぜひ皆様のお力を借りたいということで、気軽に来ていただき、全く、先ほど申し上げたように、金銭の授受がないので、何をしなければならない、こちらも何を教えなければならない、ということではなくて、スタッフと一緒に今日やっていただく作業を、一緒に取り組んでいただく、本当にありのままを体験していただくということですけれども、結構、今では年配の方々が今10人ぐらい、もうちょっとお若い方々では、お若い方々と申しましても50代以下と考えてください。
40、50代の方々が週末に来て、60代以上の方々は平日に来てくださったり、そんな方々が私たちのぶどう畑を支えてくださっております。
農業、農村を知りたい、しかし、農村に受け皿がないということを言われておりますので、私たちは小さくても、そういった受け皿になるということを思って、スタッフと一緒に日々作業、農作業というか、をして楽しんでいただいております。
書いてあるとおり、農閑期にワインやお食事を一緒に楽しんでいただいて、自分がいていただく居場所をつくるということが私は全てではないかというふうに、最近は思っております。
援農隊の活躍ですが、ぶどうはとても手間がかかります。
私たちは農業ではなく園芸と思っておりますので、この小さいぶどうをどういうふうに形づくればいいのかというものは、日々大変ですけれども、袋かけなど、こういったところをこの援農隊の方々が主力になって行ってくださっております。
真ん中の上のほうは、勝沼の中学校がもう50年近く農業体験をさせています。
今ではだんだんデラウェアとかも少なくなって、これを受け入れる園は少なくなってしまったので、私たちのところでは、息子ももちろんお世話になった、夫もお世話になっているということなので、多くの方々に研修に来ていただいております。
これからが課題点です。
雇用者の住宅援助、農村の信頼とか信用を伝えること、住民とのパイプ役というのは、私たちは山梨県も総務省がつくっている地域おこし協力隊をするんですけれども、なかなかこの方たちが農村に居つくということは、受け入れ皿がないと難しく、新しく入ってきた方々は受け入れていただいて当たり前という方々も中にはいたり、ましてや私たちみたいな、勝沼ではまだまだブランド力があると、そういった新しい方々の力ではなく、自分たちが何とかやっていくとなると、新しい方々を受け入れるということが難しいということも、実際にはございます。
実際の現場ということでは、私たちがパイプ役となって、新しい方々と今の住民たちとのいい関係を保つということも、私たちに課せられるところだと思っております。
都市からのマンパワーと農業の仕組み、こちらのほうでは1年中受け入れることによって、この都市からのマンパワーを、本当に大切な農作業の時期にきちっと戦力として働いていただけるような仕組みができたらいいなというふうには思っております。
なので、私たちのところは、本当に来ていただけるときに来ていただくという、一見安易な感じですが、そんな形でやっております。
果樹で独立する仕組み、これはとても大変だと思いますが、こういうことも必要ではないかと思っております。
もちろん機械化のリースなど、初期投資の準備なども大切だと思います。
実は先ほど申し上げたように、山梨県は耕作放棄地、長崎に続く第2位ということで、耕作放棄地の解消でNPO化しております。
今の皆川次官が関東農政局長だったときに私はヤギを飼って、ヤギの乳を出してチーズをつくりたいという話をしたところ、たまたまこういった事業があるということで、果樹としては第1号で、ホルスタインの牛を2頭入れて、観光もございますので、牛を飼って草を食べてもらって、これをNPO化して4年目ぐらいになっております。
パフォーマンスということもありますが、やはり、自分たちができる小さなことから始めるということで、一時期はお金を募ってやったこともあるんですが、今ではぶどうばたけだけが牛を飼って、こういった事業に取り組んでおります。
田舎の魅力の発信ですが、先ほど申し上げたように、手絞りのワイン蔵とぶどうという、勝沼ではこの2つが伝統でございますので、こういったところを包み隠さず観光客の方々、ましてや、やってみたい方々に向けて魅力を発信しているところでございます。
施設ですが、2棟ございまして、手前のほうが六次化のときに、これは初めて公庫から無利子資金でつくった施設でございます。
下が見ていただいたとおり、菓子製造をとりまして、今ではパンをつくっております。
隣の小さいところは、最近共生対流事業を使わせていただいて、明日もJRの方々がお見えになりますが、農産物を加工する体験施設、ワークショップをするような施設。
上の小さなところが、食堂営業をとっておりますので、こういったところで農産物を加工して召し上がっていただけるような施設をつくらせていただきました。
やはり都会の方々は、ただ農業を体験するといっても、畑ではちょっと汚いであったり、今は特に蚊の問題もございますので、やはり中で食べさせていただけるのかといった要望みたいなところもございますので、なるべく、こういう施設を完備するということも必要ではないかと思っております。
新しい取組とご縁なんですけれども、私、昨年ドリームプランプロジェクトということで、農業の夢を語るということをさせていただいて、そこのファイナルに残らせていただいて、ビッグサイトで自分の夢を語らせていただきました。
ここからつながった仲間の方々が、今、私たちのところで一緒に販売をお手伝いしてもらったり、下の方ではJRの「のもの」をつくられた女性の方々も来ていただいた九州の大会でございます。
下は私が今所属しております日本農業法人協会の女性の会でございます。
今、私は3代目の会長としてこちらのほうで活躍をさせていただいております。
日々の戦略なんですけれども、私たちのところはソーシャルネットワークを使わせていただいて、私、今疲れていたりもするんですけれども、ブログとフェイスブック、フェイスブックは実は自分の三森かおりとぶどうばたけ、そのほかにあと2つ、実は書いて、実際4つのフェイスブックと1つのブログを書いて、日々私たちが畑でどんなことをしているのかということを、お客様や知り合いの方たちにお届けしている。
やはり、多くの方々が、今、私どもの直売店に来ていらっしゃるお客様のほとんどが毎日ブログを見ているよという方々がいらっしゃるので、ぜひ、そのブログは続けて一生懸命書いてね、とおっしゃられるので、こういったことが私たちの信頼と思っておりますので、私はここは戦略としてきちっと考えて、なるべく言葉も選んで書いております。
これが雪害の様子でございます。
実際にNHKにも私の夫が何度も何度もテレビに出させていただいたのですが、こんなところを私たちの、特に菱山地区の方々は、もう次の日から結いということで、うちのスタッフ、全てみんなで、一人の力ではなく大勢の若者たちがこういった、お互いにお互いの壊れた畑を手伝って、いち早くやっておりました。
こちらのほうは、私たちとつながっている方々が東京のほうからバスで来ていただいて、ここを私たちの畑ではなく、よその、70代のおじいちゃまがもう何もできなくて呆然としているところを、私たちのところに来ていただいた方々にお願いして、多くの力で、一日で約1.5アールですか、の雪害の畑をきれいにしていただきました。
女性農業経営者としての活躍ですが、そのときに経営局長からもお声をいただいて、山梨、雪害のときに来ていただいたとき、安倍首相のところで私もお話しさせていただいて、ここにいらっしゃる宮本さんも、その会には出てきていただいて、本当にありがとうございます。
下のところでございますが、民主党のときにAPECに出させていただきました。
私はこれから女性の力がとても農業界では必要ということで、今の経営局長にお話をして、女性には支援ではなくチャンスをください。
女性は物すごく能力が高いですが、男性に比べてなかなか会議に出席する機会もないので、そういった会議に女性をどんどん出していただきたいということをお伝えしておりました。
以上でございます。
つたない私のお話でありがとうございます。

三石部会長
三森委員、ありがとうございました。
4名の方々からのお話、非常に中身が濃いものでしたので、みなさんいろいろあるかと思いますが、全体の意見交換に入る前に、私も頭の整理をしておきたいと思います。
最初の林委員から、いろいろなポイントがありましたけれども、簡単に、本当に一言でまとめてしまうと、果樹の消費というのは基本的に消費者が意識しているか、していないかが非常に大きい。
したがって、苦痛を伴ってあえて食べるという意識から、できれば自然な意識、つまりシステム1、こういった方向にいかに転換させられるか。
そのためには食環境の整備が必要という学術的な提案です。
これに対して、橋本委員のほう、それから近藤さんからは、私流に考えるならばミクロとマクロのアプローチがある。
ミクロのアプローチとしては、東急ストアさんの現場でもって、さくらんぼからもも、なし、ぶどう、それからかき、りんご、みかんと季節の移り変わりと、それから品目の特徴ごとにパッケージ、並べ方、食べ方、買いやすさ、こういったものをどんどん変えて、消費者にアピールしていく、これが食べやすさ、買いやすさにつながる。
近藤さんからは、逆に、全体としてもう少しマクロの目で見て、食環境で何が変わったのかということをお話いただいた。
昨日、企画部会で私、似たようなことを発言しましたが、社会が変わってきているのに対して、人や組織や我々が変わってきていない。
仕組みが変わっていないということです。
ですから、それは近藤さん流に言うならば、こたつがあったものがなくなってしまった。
だからオフィスで食べてみたらいいのではないかというように、本来はできるものが、仕組みが変わって、我々の生活が変わってきたのに、我々の行動が変わっていない。
この部分をしっかりと捉えていただいたと感じております。
最後に、前回、生産で今回消費という形だったんですが、三森委員が今回改めて生産の現場を、生の女性の農業経営者としてしっかりと現場の困難、実際に何をやっているか、どういうことをやって、何が課題かというのをお話ししていただいたことで、我々の頭の中で、特に生産と消費が一つにつながったのではないかと感じています。
最後に、私は非常に、支援ではなくチャンスをくださいという話が印象に残りました。
一方で、私個人の感覚としては果樹というのは、地域の宝だと思います。
その地域の宝を、実は我々の行動が宝として見てもらえないようにしているところがあるのではないか。
ですから、食環境を変えるというのは、宝を宝として見てもらうような仕組みをつくっていけば、まだまだ可能性はあるのではないかと感じています。
残り時間大体30分ぐらいだと思いますので、論点がいろいろあるかと思いますが、ただいまの4名の委員の方、それから有識者の方からの話題提供につきまして、ご質問、ご意見ありましたら、あるいは最初にあった事務局からの説明についても何か質問、あるいはここでぜひ意見として言っておきたいということがございましたら、お願いいたしたいと思います。
どうぞ、安齋委員。

安齋委員
先ほど三森さんからもお話しありましたが、福島市で果物をつくっております、安齋さと子と申します。
消費が減っているという意見がたくさん出ておりますけれども、うちの場合は、今まで贈答で販売していましたけれども、最近、自分が食べるからというお客さんがすごく増えていまして、自分で食べるので枝での傷はどうでもいいということもあるのでしょう、そういう傷ものばっかり出ないので順番待ちをしていただいているという状態で、結構、自分で食べてくださる方が大変増えておりますので、皆さんが食べるのが減る、減るというのと、ちょっと、今のうちの感覚では増えているという感じを今持っております。
以上です。

三石部会長
ありがとうございます。
ほかにいかがですか。
どうぞ。

三森委員
すみません、1点補足させていただいていいですか。

三石部会長
三森委員、どうぞ。

三森委員
私、実はこの後にもう一つ新しく出したPDFがあるのですけれども、そこでは今日、まさしくカットフルーツということで、4年ぐらい前からオイシックスに提案して、私のところを見ていただいたら48種類、ぶどうがございます。
ぶどうは赤、黒、白というふうにあるので、旬のぶどうを全部カッティングして、これを一つのパッケージにして、毎週毎週送るということを提案させていただいて、今ではうちだけではなくて、ほかの農業者の方々がやっていますが、うちでも本当はそのところが、ここに載っていればよかったんですが、ぶどうでも粒売りをしております。

三石部会長
ありがとうございました。
いかがでしょうか。
徳田委員、お願いします。

徳田委員
ほかの方、まだいろいろ出ないようで、少し意見の糸口という形で2点ほど申し上げたいと思います。
一つは、林委員から言われた消費とのかかわりについてですけれども、これはやはり、消費というのは消費だけ取り出して議論するのではなくて、生産とのかかわり、特にこの部会においては、生産とのかかわりというところも合わせて議論することが必要だろうと思います。
果樹の場合は、一つは確かに健康という中での食の改善という側面と同時に、これは従来からの嗜好品という側面もあるし、それ自体は否定できないだろうと思います。
これは生産とのかかわりで言えば、従来はどちらかというと嗜好品に対応するという、端的に言えば、いかに品質を高めて高く売るかという側面が非常に強かった面が従来はあったかと思いますが、やはりこれはたくさん食べてもらおうといったら、少し矛盾する側面はどうしても出てくると思います。
どういうものを供給するかということがあるかと思います。
端的な例が、先ほど林委員の中でりんごの丸かじりというお話がありました。
これは今の生産とは明らかに矛盾すると思います。
大玉化していかにいいものをつくるか。
やはり今の大玉はちょっと、丸かじりにはどうしても合わない、大き過ぎるということもあるわけでして、そういう意味でいうと、当然、それは供給側も合わせた議論がないと矛盾した話になるのかなと思います。
その辺はやはり、今後の議論の中では両面考えていく必要があるかと思います。
あと、今日は消費ということですけれども、それに対して消費だけじゃなくて流通とか、あるいはマーケティングというような面もあったかと思います。
これも事例としてもいろんなことがあると思いますが、端的に、要するに非常に多様化してきており、従来、卸売市場流通という中で全て議論がされてきたかと思いますが、現在、その卸売流通自体の中にも多様化しているし、今の三森さんのような直売、いろんな形が生まれていく中で、やはり、それに対応した行政としての流通に対する政策というものがどうあるべきかというところも、これから重要な論点になると思います。
いわゆる従来の、ややもすると卸売市場主体の政策だったかと思いますけれども、その辺、政策としてどういうところに、当然、個々の流通って、やっぱりビジネスの世界なので、それぞれ品目、その他いろいろなので、それ自体は多分、それぞれの流通業者であり、場合によっては生産者が行うべきところですけれども、その中でそれを支える行政としてどういうところが必要かというところも、あわせて、やや広い視点で議論することが必要じゃないかと思います。
以上です。

三石部会長
ありがとうございました。
ほかにご意見はございますか。
田中委員、お願いします。

田中委員
今日、さまざまな視点からの流通、消費の話でしたが、一番最初の会議で言いましたとおり、果樹と果物という、その割合が不明確で、果物というところだけでやったのでは、どれだけ消費が果樹の部分であるのかというのがわからないところが、自分にはあります。
いろんな店舗を見ても、併用してどこも置いてありますし、カットの部分については大半が、メロンやスイカ。
スイカのボリュームは先ほど橋本さんのほうから本当にボリュームが大きいし、利益にもなっていると思われます。
あと、その中で消費を伸ばすという、食べやすい云々もあると思いますが、自分の生産者の立場から言いますと、やはり果物はうまくて当たり前だ、そこの理念を持っています。
いろんな産地、いろんな法人さんの例がありますけれども、今回は全果連のかんきつ部会会長という中で出てきましたので、自分のことを言うのは少しもどかしいと思って言っておりませんが、全量、農協出荷で系統販売です。
ここ10年間で売り上げ自体は1.6倍になりました。
生産者は120人ほど減りました。
生産量は横ばいです。
自分が言いたいのは、生産は前回のことなんですけれども、これをどうやっていくかというのは、やっぱり消費をどうやっていくかということにつなげていかないと思います。
多分、みかん産地では、ほかの品目はわかりませんけれども、右肩上がりでやっているのはうちだけじゃないかなと思います。
あとは、個々の法人さんはさて置いて、そういうふうに思っています。
だから、可能性はかなりあると思うんですが、消費を考えたときに、いろんなやり方等々あると思いますが、今、自分たちがやっているのは、どれだけの特徴を出すかということで、自分は生産者でありながらJAをうまく利用していると自負していますし、商談の中にも入ってやっています。
毎年、昨日も北海道から見えられていたのですが、生産者の声を反映させるということが一番の近道じゃないか。
ですから、今、私たちの組織は300人でやっていますけれども、300人の売り上げもやっぱり1.6倍になったということで、みんなが目の色を変えて取り組むようになっています。
ただ、自然災害というのは恐ろしいもので、今年の天気のこういった移り変わりが、品質にはかなり影響は及ぼしています。
ただ、それにも負けないぐらいの生産をやらないといけないと思っています。
あと、いろんな量販店等々とも、商談しています。
その中で一番危惧されるのが、店舗の担当者、あるいはいろんな方の指導をされているということで、東急からも話ありましたが、本当に大手中心に担当者が2年、3年でころころ変わって、産地からはいろんな特徴を説明するんですけれども、また2年後、3年後には同じことを繰り返さなければいけない。
ただ、伸びているところというのは、5年、10年と担当者が変わらない。
そういったところは売り上げが伸びている。
ですから、そういった流通関係者の人材育成が必要と最近はずっと認識しているところです。
それと、あとは加工の話が、来年の概算要求の中にも入っていましたけれども、加工もいいものじゃないと高くて売れないし、先だってもコープさんのジュースが出たときに言いましたとおり、あの部分と特別の部分というのは、加工でも生計、立てられるんですね。
実際、うちも農協の中でありますが、加工の部分にも力を入れていまして、キロ50円の支払いを農家にやれる部分の原料もあります。
やっぱり、店の売り場が広がらないお店はありますし、各年結果が多い、特にかきなども多いので、その年によって店の棚の占有率が全然違っています。
そこの中での利益率だろうと思いますけれども、ただ、逆に言えば、農家、流通等々の支援の中に、バイヤーさんたちが安心して仕入れられる、そのロス率をどういった形で補うかという部分にもメスを入れていく必要がある。
それは生産者側もちゃんと、毎年変わらない品質で、変わらない量が必要だとは思いますけれども、ロス率というのを考えていらっしゃるんじゃないかという面がかなり見え隠れするので、その辺のところも必要と思いますし、もう一つは、今、全国に直売所がありますが、いいと思います。
加工が減ったというのも直売所ができてから加工が減ったというところも多いにあると思います。
ただ、私たちの系統の中でやっている生産者にとって、一つの直売所が、逆にいえば規模拡大の阻害要因になっているというところも本当はあります。
そういったところの整理も必要かな、悪いと言っているわけではないですが、どうやったらいいかというのは、まだ自分の中で整理がついていませんけれども、そこら辺も考えの中に入れていくべきだろうし、先ほどありましたとおり、果樹というものは地域の活性化につながるといった伝統があります。
それを生かすためには、個々じゃなく団体が、というか、私どもからしましたら部会が一つになって、同じ目標を持ってやるというのが大前提になっていますので、そういうところも必要じゃないかと、私自身は思っています。

三石部会長
ありがとうございました。
ほかにご意見はございますか。
大西委員、お願いします。

大西委員
林委員のお話、大変興味深くお聞きしました。
若干我々もいろんな運動に取り組んできましたが、もう一つ、次の突破が必要かなと思っており、イメージが大変参考になりました。
要は、さきほどお話がありましたけれども、嗜好品や贈答品から必需品に切り換えていくことで、何かできるのではないかと思いました。
先ほど、近藤さんのお話にもありました職場や学校給食、それからもしかすると健康保険組合、これは厚生労働省かもしれませんが、もともと今の運動もそこから成り立っていますが、何か今一度、そこのあたりの切り口で、ぜひ次の方向を出せればいいなというふうに感じました。
もう一つは、加工というところをどう捉えるのかということで、実はこれは品目によって随分違うので、果樹の場合はなかなか一律に言えないですが、ここでする議論の難しさをすごく感じました。
例えば千疋屋さんは、今や果実店ではなくてフルーツスイーツ店ですよね。
例えば私どもJAグループでいえば、余った果物とかを粉末にしてスイーツにして売っているとか。
まだマーケットとしての実態がよくつかめないところがあります。
品目ごとの六次化というものがありますが、一方で、そういう市場の六次化というところはいま一つ、マクロとミクロがあるので、何か方向としてはなかなか出せない。
難しいですが、次の目標として六次化を定めるときに、そこまで細分化していかないと、なかなか方針として、唱えるだけで本当に身になっていかないと感じたところであります。
あとは、先般もお話ししましたけれども、表示の問題。
加工になると表示の問題が出てくる。
さっきもフルーツミックスの話があって、そのときに恐らく大半の原料は輸入で、わずかに国産といったときに、原産地や機能性について、ちょっと難しいところがあるんですけれども、ここもどう整理していくのかというのは課題として思ったところです。
若干感想で申し訳ありませんが、以上であります。

三石部会長
ありがとうございました。
他に御意見ございますか。
深澤委員、お願いします。

深澤委員
消費の話がテーマなので、一言申し上げたいと思いますが、りんごの場合、消費の主体が年寄りです。
家計調査を見ますと、世帯主が70歳以上の世帯の場合は、年間6.7キロ、これに対して、世帯主が29歳以下の場合は0.6キロ、10倍ぐらいの開きがあります。
何年か追跡調査をしたことがありますが、若いときに食べなかった人が、年齢を重ねると食べ出すかというと、そうではなくて、小さいときの食習慣をそのまま引き継いで、どんどん食べなくなってしまう。
ですから、何とかして若い人に食べてもらう努力が必要と思いますが、近藤さんからもありましたが、一家団らんがなくなって、親がりんごの皮をむいて子供に食べさせることがなくなってきているものですから、なかなか、りんごの場合は、特にカットするとすぐ褐変してしまうという問題もあるので、そういうことからすると、何とか若い人に食べさせる切り口というのを考えなきゃいけないと思って、一つのヒントとしては、カットフルーツかなと思っています。
最近、技術開発で、従来、ビタミンC処理をして褐変防止をしていましたが、今はガスを封入して、保存期間が2週間程度持つようなものが出てきましたので、一つは老人施設向けの給食用、それから若者向けのコンビニ用として、りんご供給を考えております。
参考になればなと思って、一言申し上げました。

三石部会長
ありがとうございます。
ほか、いかがでしょうか。
福士委員、お願いします。

福士委員
なぜ食べないかということですが、一番に値段が高い。
私は生産者ですから、売られているのが高くて、本当は安いんですよ。
それに消費税、これ全部、生産者に跳ね返ってきます。
それと、橋本委員が言いました経費、流通させるときの無駄な資材といいますか、これまだまだ飾ったような段ボールです。
あれは全く中身どうなのかね、みんな同じだと思います。
それと、もう一つ矛盾するのは、食べ切れないということ。
生産の段階ではやっぱり大きいもの、狙うものというのは、やはり玉サイズ36、32です。
それを平均で狙っていけば28、26とか出てきます。
そのほうが、お金も取れますし、手間もかからない。
やはり、一番我々気を使って作業をしている中で、人手がない。
どこでも同じだと思います。
毎年、青森県も300町歩の面積が減っています。
その中で44万から45万、維持するということになりますと、やっぱり小玉では維持できない。
そして単価も取れない。
経営に直接つながりますから、そういったことで現在進んでおるわけなんですけれども、非常に矛盾するものが多くて、やはりこのカットフルーツ。
仕分けして、それで店頭に並べなきゃいけない。
果樹をつくっている者としてはちょっと残念な食べ方と感じます。
そして、これから食生活ということになりますと、うちの孫あたりを見ていても、食生活の中で少しでもいいですから、小さいころからこういう果物を摂取する習慣が大切。
やはり習慣だと思います。
今は若いお母さん方、20~30歳代の方々が一番少ないということですけれども、この方々がお母さんになって自分で摂取しないものだから、やっぱり子供に食べさせない、それはまずはっきりしている。
ですから、そこの部分をよほど検討していく。
そして給食の問題。
あのお話を聞いて、私は安心しました。
こういうふうに取り組んでいる方々がいると私は初めて聞きました。
給食にもチャレンジしながら、我々もやっているし、各県でも、これほど取り組んでくださっている各学校の栄養士さんがいると聞いて、進めていかなければならない問題と考えております。
もう一つは、違った形の消費ですが、我々、多く生産すれば国内で余ってしまうわけです。
そうすればどこに消費させるかといえば、外国。
ただ、大体果物のないところに輸出ということになるんでしょう。
そうすれば、必ず引っかかってくるのはトレーサビリティ、基準値の問題です。
これを整備しているところは台湾ぐらいでしょう。
あとのものは全然、半分以上の基準しかない。
我々は、輸出できるようなトレーサビリティを実施しております。
ですから、全く国内で、非常に厳しい中でも認められて、こうしてクリアしているのに、そういう方面には輸出できないという部分があります。
深澤委員は輸出協会におられますので、もっとお詳しいと思いますが、そういったところも検討して手をつけていかなければならないと感じております。

三石部会長
ありがとうございました。
残り5分ほどですがいかがでしょうか。
鈴木委員、お願いします。

鈴木(敏)委員
果物がお店で高いという話でしたけれども、我々の所得レベルで、他国で果物は高いのかと非常に最近感じています。
例えばアメリカ、ヨーロッパにしても、所得レベルが同じクラスで、日本の果物って高いのかなと思います。
ですが、イメージですので、データをとったほうがいいと思っています。
東南アジアと比べれば当然、所得レベルが違いますから、比較にならないですが、アメリカ、欧米はオーガニックということで結構高く売っていますし、レギュラーのものについてもお店に入ってみますと、日本の果物は安いと自分では感じています。
それだけ味もばらつきはないし、本当に当たりはずれもない。
おいしいし、海外へ行って果物を私はいつも食べますが、比較すると、本当に彼らはよくこんなのを食べるなというぐらい、りんごも例えば、とれたてのりんごはおいしいよ、と言われても日本のものと比べれば、数段違います。
費用対効果は全然ないというふうに返ってくるわけです。
その辺はやはり売れない原因、さっき言われた子供の消費が減っている、認知されていないということだと思うので、この辺は部会で話すことではないかもしれませんが、その切り口は考えるべきだと思います。
あとはデータとして、我々の所得レベルで、本当に日本の果物は高いのかと見ていったほうがいいと思います。

以上です。

三石部会長
ありがとうございました。
松本委員、お願いします。

松本委員
先生方のお話を聞きましたら、20代のお母さん方の消費性向、あるいは将来的な果物に対する消費がどのようになっていくかというようなことを考えますと、ちょっと突飛なんですが、例えば、幼少のときにかなり消費性向というのは、かなり固まってくると常に言われていますが、学校給食は日本の独特な制度ですが、重要な仕組みだと思います。
そういう中にこの果樹の世界をどういうふうに織り込めるか。
違っているかもしれませんけれども、果樹は産地がいろいろ偏在しているといいますか、産地ができているといいますか、そうすると全国47都道府県ありますけれども、一般的に野菜は地産地消で、大体どこでも地元のものということで、学校給食の中で、価格帯でそれほどクリアできればやれるといいですが、果物はどうもわかりませんけれども、そのあたりの世界がどうなっているのか。
青森のりんごは、全県に、学校給食のテーブルに乗るのか、素直に乗っていくのか。
西のかんきつは、青森の時期に乗っていくのかというところについては、余りイメージが湧かない。
世代を次につなげていくという観点から、果物のクォーター制といいますか、特別な学校給食の世界での枠を、国民の皆さんが認めるかどうかわかりませんけれども、そういう世界を一遍問うてみたらどうかと感じました。
これはまさに国家、制度、そういう世界になるんじゃないかと思います。

三石部会長
ありがとうございます。
横田委員、お願いします。

横田委員
1分で終わりにします。
先日、秩父市の農業委員会の中で、子供たちに夏休みの宿題として、農業に関する絵と作文を提出していただきました。
今、皆様、先生方のお話をお聞きして、ああ、やっぱり原点は子供のときの教育の中で食育、現場を子供たちに、特産になるりんごなりぶどうなりが、どのような形で食卓に乗って、自分の口に入っていくのかということを、やはり見て感じてもらいたいと思います。
この感性が後々、大人になったときの食につながるのではないかと。
正直言って、生産者はぶどうもそうですが、剪定から、とにかく農薬、袋かけ、種なしをつくるにも1房ずつ手塩にかけるわけです。
冗談じゃないよと思うのが、高いよと言われると、じゃあやってごらんなさいよって、そのぐらい言いたくなります。
やはり手間暇かけて、手塩にかけて、儲からなきゃいけないのは生産者だ。
儲かるという原点でいくと、次の世代につながっていく。
農業者はだんだんと遊休化していく、ましてや、山梨は遊休化になってそのままの圃場で枯れていくぶどう畑がございます。
そこに虫など、そういったものも木が枯れていく過程の中で、隣接している農業者の方々は大変迷惑をこうむっているようなところもあるわけです。
ですから、もとへ戻しますと、子供の食育にもう少し力を入れて、お母様方もご一緒にできればありがたいなと思います。
りんごが赤くなると医者が青くなるというぐらい、りんごも非常に栄養価のあるもの。
果物は医学的に言うと、とり過ぎると糖度が高いので、というような話も出ておりますが、バランスのいい食事をとるためにはどうしたらいいかという教育を考えていかなければならない、そういうふうに思いました。

三石部会長
ありがとうございます。
それでは、そろそろ終了時間になってきましたので、今日ご発言していなかった鈴木忠委員、お願いします。

鈴木(忠)委員
今日の議題であります消費の拡大ですが、確かに果物そのものの消費量をいかに拡大するか、これは非常に大きなテーマです。
これも非常に重要だと思っていますが、要するに農家の手取り、収入ということを考えると、なかなか簡単にはつながっていかないと思っております。
さっき徳田先生もおっしゃっていましたが、農家から消費者に行くまでの流通、この辺をもう少し議論を深めていかないと難しいという気がしております。
先般の総合果樹園さんもそうですし、三森さんのところでも、結局は、売り方の問題が一番重要だと思います。
自分で売ればある程度高いが、農協出荷をすれば安いという意見が大分出ておりますし、現実農協というのは、農協に出荷するのではなく、農協は市場出荷を委託されて出荷しているだけです。
委託販売が現実でして、出荷先というのは卸売市場。
結局、卸売市場でも委託販売ですから、そこから先、卸売市場で販売したものを量販店等で販売するという形態ですけれども、その流通過程をもう少し、徳田先生もおっしゃっていましたが、その辺をもう少し議論を深めていかないと、なかなか最終的に農家の収入が上がる。
要するに、農家の経営が成り立つというのは難しいのではないかと感じた状況でございます。

三石部会長
ありがとうございました。
薮野委員はよろしいですか。
少し時間超過たいしまして、申し訳ありませんが、藪野委員、お願いします。

薮野委員
和歌山県の薮野です。
先ほど近藤事務局長の話にもありましたが、果実を求める動機として、機能性というものがあります。
みかんのβ-クリプトキサンチン、お茶のカテキンは一般的に知られていて、消費者に非常に認知されている効能です。
みかんに限らず、かきでもももでも体にいいということで、訴える効能があると思います。
ただ、機能性の表示になると、どこまでのデータや根拠を示さなければ、それに耐えられるのかという問題があります。
和歌山にはみかんだけではく、かき、ももの産地もありまして、そういうもも、かき、他産地にもまたがるような品目については、国で何らかの効能を示していただければという思いがあります。
以上です。

三石部会長
ありがとうございました。
それでは、若干時間超過しておりますが。

徳田委員
部会長、一つだけお願いがあります。
5年前の会、そのまた5年前の会の議事録を見ますと、論点を区切って討議がなされているんですが、今回3回目ですけれども、どうも意見を述べるだけで何かまとまりがいま一つ見えない。
これを今から5年間の政策に反映するのであれば、もう少し区切って議論を深めてもらいたいと思います。
お願いします。

三石部会長
わかりました。
今までいただいた意見を含めて、恐らく次の部会の持ち方、その中で事務局とも相談しながら考えていきたいと思います。
本日大変ご熱心にご議論いただきまして、ありがとうございました。
進行を事務局に返したいと思います。

菱沼課長
本日は長時間にわたりご議論いただきまして、ありがとうございました。
事務局から3点ご連絡申し上げます。
まず1点目ですが、本日の部会の概要につきましては、部会長にご確認いただいた上で、農水省のホームページに掲載する予定です。
2点目でありますが、詳細な議事録につきましては、これまでの部会同様、後日、委員の皆様方にご確認していただいた上でホームページに掲載したいと考えております。
3点目ですが、既にプレスリリースしていますとおり、10月10日でございますけれども、本日、話題提供いただいた三森委員のご地元である山梨県において、第1回の現地調査を行うということにしております。
詳細につきましては、改めて事務局からご連絡をさせていただきたいと思っておりますが、以上でございますが、何かご質問等ございますか。
なければ、本日大変長時間でございましたけれども、ありがとうございました。
次回も引き続きよろしくお願いいたしたいと思っております。
大変ありがとうございました。