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食料・農業・農村政策審議会果樹部会 第4回(平成26年12月11日) 議事録

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日時及び場所

平成26年12月11日(木曜日) 15時30分~17時27分
農林水産省本館4階 第2特別会議室

議事

(1) 果樹農業振興基本方針に係る論点整理

(2) その他

概要

菱沼課長
それでは、皆様お揃いになりましたので、ただいまから食料・農業・農村政策審議会の第4回果樹部会を開催させていただきたいと思います。
委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中ご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
本日、議事に入るまで、私、園芸作物課長の菱沼が、司会を担当させていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
それでは、まず初めに、生産振興審議官の西郷から委員の皆様へ御挨拶申し上げます。

西郷生産振興審議官
どうも皆様、今日はお忙しいところをお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。
部会の開催に当たりまして、一言ご挨拶を申し上げたいと思います。
この果樹部会でございますけれども、今年の6月から、新たな果樹農業振興基本方針の策定に向けて、これまで3回、部会を開かせていただきました。
それから、2回にわたって現地調査を行っていただいております。
これまで8名の委員あるいは有識者の方々からこの果樹の生産、流通、加工、また小売、消費、いろんな場面におきましての現状のご報告あるいは分析、議論をいただきました。
また、現地調査、10月に山梨県、11月に和歌山県と行っていただきまして、現地を見ていただき、それから現地の農家の生の声を聞いていただいたところでございます。
今日からは、果樹農業振興基本方針を策定するということでの、今までの議論の中からそれに関係したところの論点整理をお願いしようということで予定してございます。
これまでいろいろとお感じになったこともあろうと思いますので、事務局から御説明さしあげますが、忌憚のないご意見をいただければと思います。
それでは、本日はよろしくお願い申し上げます。

菱沼課長
それでは、議事に入ります前に、私のほうから配布資料の確認ということで、お手元のほうに資料をお配りしておりますけれども、確認をお願いしたいと思います。
まず、1枚目、議事次第がございまして、それをめくりますと、資料配布の一覧ということで、資料が1、2、3、4となっております。
資料1が委員の名簿、資料2でございますが、これが審議の進め方ということでスケジュールになります。
資料2を確認していただきたいと思いますが、また本日の議論の最後に、今後の進め方についてもいろいろとご提案なりご議論していただくことになると思いますが、本日は第4回ということで、先ほどお話がありましたとおり、3回議論をさせていただいて、1回目、2回目ということで、山梨県、和歌山県のほうに現地調査を行いました。
今日は第4回ということで、今までの議論の中でいろいろな議論が出てきています。
そういった論点を整理していこうじゃないかということが本日の位置づけでございます。
次に、資料3ということで、A3の横、非常に大きな紙で10数枚の資料になっておりますが、これは事項を消費関係、生産関係、輸出関係等に分けました。
その中でそれぞれこれまでの意見等を真ん中の欄に記載して、それを、集約はなかなか難しいですが、こういうことをすべきではないかといったことを右の欄の論点整理ということでさせていただきました。
これは後で事務方からご説明申し上げます。
さらに、資料4ということで、これは三石部会長からのご提出の資料ということで、「果実のバリューチェーン構築に必要な取組」をお配りさせていただいております。
さらに、参考資料としまして、果樹に関するデータということで、めぐる事情等についてもお配りしております。
何か足りない資料、落丁等もありましたら、また後で議事の中で事務局にお申しつけいただければ幸いと思っております。
よろしくお願いします。
続きまして、委員の出席状況と部会の成立につきましてご報告申し上げますが、本日は、林委員、葛西委員、鈴木敏行委員がやむを得ないご都合ということでご欠席というふうになっております。
その中で、委員の19名の方の中で16名がご出席ということでございますので、本部会は成立していることをご確認申し上げます。
では、これから三石部会長から議事進行をお願いしたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

三石部会長
三石です。
では、ここから議事を進行させていただきます。
本日の議題は2つありまして、第1が果樹農業振興基本方針の論点整理、第2がその他、この2つになります。
審議の進め方ですが、最初に資料3が用意されておりますので、まずは資料の内容を事務局から説明いただきます。
その後、私から1枚の紙ですが、資料4を紹介して、その後、各委員からのご質問、ご意見を頂戴したいと思います。
それでは、事務局から説明をお願いします。

宮本補佐
園芸作物課の宮本と申します。
資料3を御覧ください。
これまでの意見等の整理ということでご用意しております。
先ほども課長からお話ありましたが、今までの3回の部会、それから2回の現地調査、そのほか私どもがいろいろ伺ったりした意見なども追加して、こちらの資料に網羅的に整理しております。
その上で、消費、生産、加工、流通、輸出とジャンルごとに内容を整理いたしまして、さらに細分化した上で右側のほうに、今後検討すべき施策の方向ということで、論点整理の形でまとめております。
私から主に、上に注意書きがありますが、新たな基本方針において新たな視点で推進すべき事項を中心に簡単にご紹介をしていきたいと思います。
論点整理のところを御覧ください。
まず、消費関係でございますが、今までの宣伝活動を中心とした取組から、真ん中あたりですが、生産・流通を一体とした総合的な消費対策を進める必要があるだろうと整理しております。
それから、(2)でございますが、これまでの「くだもの200グラム運動」だけの取組から脱却して、新しい運動の方向を整理する必要があるだろうとしております。
それから、次のページです。
(3)です。
食育のところでございますが、1つは、星印でございます。
果実というと太りやすいというイメージがありますが、そうではないということも含めて、科学的なエビデンスを整理した上で、これを例えば教育現場、さまざまな場面でしっかりと話をしていくことが必要だろうということ、それから、給食についても、サプライチェーンの形ですね、地場の産品を出すような取組をしていくこと、それから、若年層、高齢の方、その他働き盛りの方も含めて、世代に合った取組を含めて、PRや話をしていくことが大事だと考えております。
次のページ、加工品への対応です。
自動販売機のような新しい取組もあるということで、カットフルーツのような新しい商品も出ております。
こういったものも消費の上で重要になっておりますので、これらへの対応をあげております。
それから、(5)表示関係です。
機能性成分の話がβ-クリプトキサンチンはじめ、新しい仕組みができてきておりますので、これらへの対応、それから、その下、ほかの機能性成分も含めて、エビデンスの蓄積などを進めて、さらなるシステムを進めていこうと考えております。
次のページ、4ページを御覧ください。
生産関係を整理しております。
1つは、(1)でございますけれども、経営の関係ということで、経営モデルの策定でございます。
農業経営モデルにつきましては、食料・農業・農村基本計画でも果樹も含めてお示しすることになっておりますが、それだけではなくて、基本方針の中でさらにもっと多くのバリエーションを設けて、お示ししていくということを考えております。
その上で、県のほうで今後策定することになっております果樹農業振興計画の中でも、地域に合ったモデルをお示ししていただいた上で、地域、さらに産地においても、産地計画をつくり、その中で振興品種、導入技術などを策定していただき、これらの計画等に対して、国は改植、技術の導入、担い手確保、こういった施策を支援していこうというふうに考えております。
その次、2のキャリア展望、これも委員の方々からいろいろお話を頂戴しました。
特に新規就農者、後継者を含めて、キャリアプランをしっかりお示しして、就農から担い手にどうやってステップアップしていくのか、こういったものをお示ししていく必要があるだろうと考えております。
5ページでございます。
3次世代、後継者対策でございます。
新規就農施策につきましては、既に各種予算措置などもございますが、それに加えて、ここにもありますように、新規就農者がジャストタイムで営農できるような園地対策、その準備を仕立てた上で、中間管理機構なども活用できる施策が必要だと考えております。
4人的確保でございます。
担い手が今後、規模拡大を進めるに当たって、やはり収穫ですとか摘果のような作業については、農家だけではできない場合がかなり多くなってまいりますので、そういった場合に対応できるように人材確保、都市住民なども含めた、そういう協力体制をつくっていくということが必要と考えております。
6ページをお願いいたします。
5の農地集積・規模拡大でございます。
規模拡大を進めるような農家の方々に対しては、今までお話したような施策を活用しながら、規模を拡大する農家がストレスなく取組める体制をつくっていく形が必要と考えております。
7ページの6になります。
耕作放棄地対策でございます。
1つは、今後、耕作放棄地も出てこざるを得ないような場合に対応して、規模を拡大する農家、縮小する農家のリストアップや流動化のあっせん、あるいは荒廃しそうな園地のパトロールなどで流動化を勧奨していく話、それから、生食用では、手間がかかっても、加工専用の園地であれば、省力しながら生産が続けられるような場合もありますので、こういったものに対する取組を施策として進めていきたいと考えております。
それから、果樹共済などのセーフティーネット対策につきましては、果樹共済の加入促進を引き続き進めるという話、それから、経営に影響を受けている場合、自然災害をはじめとして、そういった場合に、セーフティーネット資金がありますので、こちらであれば長期の融資が低利で可能となっておりますので、これへの施策を周知徹底していこうと考えております。
(2)新技術の導入・普及の話でございます。
優良品目・品種への転換につきましては、改植・未収益対策について、落葉果樹の定額化支援、同一品種の優良系統の改植、新植支援などの強化が必要と考えております。
8ページをお願いいたします。
新技術の開発・普及への支援として、後継者に対して技術習得できる仕組みづくりが必要という御意見をいただきました。
果樹研究所での技術研修制度、果樹は特に手作業、専門性が高いということで、研修の仕組みがあります。
こういったものをしっかり活用をしていくこと、それから後継者同士がネットワークづくりをできるような仕組み、それから新技術の開発されたものを現場に入れていく普及等の活用などを考えております。
3のブランド化でございます。
こちらにつきましては、産地ごとにブランド戦略などを進めておりますけれども、9ページにもありますように、地域団体商標に加えて、今後始まります地理的表示制度なども活用しながら、ブランド力の強化を図る必要があると考えております。
(3)の需給調整対策でございます。
第3回部会でもお話が少し出ましたが、本年産のミカンにつきましては、特に極早生について生産と需給がなかなか合っていないという状況がございまして、価格が平年より9割程度の価格で推移しています。
この対応といたしましては、プロダクトアウトからマーケットイン型に産地の転換をして、需要者が必要とする品質・量の果実を計画的に出す体制をつくるということが必要と考えております。
特に、過剰生産となっている極早生ミカンにつきましては、一定水準の品質が確保できないものは園地の転換を進めるということ、具体的には改植などをするということ、あるいは、こういった取組を進めつつ、価格が急に下がったときに生食用の果実を加工に回す緊特事業については、全国一律だけではなくて、地域ブロックでの発動やそれ以外の短期間の発動なども検討していく必要があると考えております。
(4)6次産業化につきましては、9ページでございます。
新しくできましたファンドなども活用しながら、6次化支援をしてまいります。
10ページ、鳥獣害、それから地球温暖化につきましては、それぞれ鳥獣害につきましては、特措法に基づく被害防止計画を立てることになりますので、これに対応した対策、地球温暖化につきましては、果皮の日焼けなどの被害がみかんやりんご、着色障害なども出ておりますので、これに向けては作柄安定技術の普及を進めていくということにしております。
そのほか、流通対策でございます。
現在の市場流通が4割と下がっている中、ほかの直売やネットなどを含めた新しい販売戦略を考えていく必要があるだろうということでございます。
次、11ページでございます。
バリューチェーンの構築です。
こちらにつきましては、最近の消費・流通構造の変化に対応して、サプライヤーが届ける体制ということで、加工については、例えば中間事業者が契約取引する仕組みなどもできておりますが、これに加えて、輸出向けについても、それぞれの求められるニーズに対応した供給体制をつくっていく必要があると考えております。
次、12ページになります。
加工関係です。
(1)につきましては、ストレート果汁などの新しいニーズのある加工品のサプライチェーン、原材料のサプライチェーンをつくるということ、そのための産地の着果技術の導入・開発、省力化技術を取り入れることですとか、加工との契約取引などを進めるということが必要と考えております。
(2)新たな加工分野ということで、6次産業化、それからストレート果汁のための施設整備、あるいは機能性成分の表示なども進めていくということが必要だと考えております。
最後、13ページでございますが、輸出関係です。
1つは、オールジャパンの輸出拡大を進めていくということでございますけれども、今後の新しい対応といたしまして、その確立に向け、インドネシアなどについて、果実の輸出を一元的に行う輸出商社などの青果物の輸出団体設立に向けた検討を進めていくことが必要だと考えております。
最後になりますが、そのための環境整備でございます。
1つは輸入果実についての、例えば船便であれば、シンガポール、バナナの輸送拠点、ハブ港になっているようなところ、こういったところを品目横断的にさらに使っていくような仕組み、空輸で行く中東や欧州などについては、羽田、那覇などをハブ空港とした輸出の仕組みをつくる、あるいは空港近辺に流通体制をつくるような仕組みが必要ではないかということで整理しております。
以上です。

三石部会長
ありがとうございました。
それでは、私から、資料4を紹介したいと思います。
これまで皆さんからいただいた意見は分野が広く、内容も多岐にわたっています。
バリューチェーンについて、皆さんはほとんど当たり前のもととしてご存じのことだと思いますが、チェックリストの形で簡単に1枚にまとめさせていただきました。
果樹に限らず、また、業界にかかわらず、物をつくるという基本の部分から、つくったものを加工して、流通、小売、サービスと動かすには一連の流れがあり、その中に今までいただいた意見の中からキーワードを散りばめてみました。
それは一つ一つがおのおの大事な活動であって、これを、主活動と呼んだ場合、それとは別に、上に書いてある共通する支援活動というものがあります。
いろいろ議論をいただいた、例えば人材の話も、生産部門における人材確保も必要、それから加工部門、流通部門においても必要であります。
各部門でやはり人材が必要になってくる。
それから、技術開発といっても、各段階において必要な技術は異なります。
あるいは調達活動、こういったものが支援活動に位置づけられていると考えられます。
これは私が考えたわけではなくて、戦略論の基本として、バリューチェーンという言葉を最初につくったアメリカの学者がいますが、その方がつくった基本的な図です。
これをどのように使っていただくかというと、このとおりにやれということではなく、今まで皆さんたちからいろいろ出していただいた意見の中で、この中に当てはまってない部分、あるいは言い忘れた部分、こういったものに対するチェックリストとして使っていただければと思います。
恐らく、例えば生産活動に関わっている方は、生産、流通、特に生産が中心となり、流通に携わっている方は流通を中心に、ご自分の経験でいろいろな話をしていただくこと、それ自体はもちろん大事なことなので、我々も非常に尊重しています。
ところが、一方で、普段あまり関わっていない部分というのはなかなか目が及びにくいため、健康診断のチェックリストのような形で参考にしながら、今日の論点整理の議論の参考にしていただければと思います。
今後の議論は、資料3に「これまでの意見等の整理について」がありますので、その部分に沿って、左側の事項、つまり、消費関係から今まで説明していただいた内容に沿って、消費、生産、流通、加工、輸出の順番に、ご質問、ご意見、それから、どうしてもこういうことを言い忘れていたなとか、これは言った、あるいは、まとめてもらったけれども、今までの私の言った意図とは少し違うので、こういう形に直してもらいたい、そういうものがございましたら、順番に意見を伺う形で進めていきたいと思います。
よろしいでしょうか。
それでは、まず資料3を基本として、生産関係、失礼しました、消費関係です。
こちらから始めたいと思います。
いかがでしょうか。
特に、これまで3回の部会、それから2回の現地調査を実施していますが、これまでの部会では、できるだけ多くの方にという形で、皆さんにほぼ平等にお話をしていただくような形をとってきましたけれども、どうしてもここは言っておきたいという方は、数回でも構いませんし、順番もあまり気にせず、この内容では少し困るという話、あるいはこれは付け加えたいというものがあれば、ぜひ言っていただければと思います。
では、大西委員、お願いします。

大西委員
消費関係の(1)の消費構造の星印の一番下にある生産・流通対策と一体となった「総合的な果実の消費対策」、これはまさにそのとおりだと思います。
ただ、総合的な消費といった場合に、一体どういう意味なのか。
例えば、カットフルーツの例がありますし、後の方でいわゆる加工品の新たな生産と流通のお話が出ておりました。
そういう点では、後で経営モデルのところとも関連すると思いますけれども、このあたりの姿をより明確にしていくことが必要かと思います。
実は、私も加工・業務用野菜をやっていまして、加工の野菜については、やはりその需要に合わせた生産・流通ができ上がって、初めて需要に応えてきたという歴史もあります。
そういう点では具体的にチャレンジしていくということが必要なのではないかと思います。
以上です。

三石部会長
ありがとうございます。
言葉としてはそのとおりですが、もう少し具体的にイメージが出たほうが良いということですね。
他にいかがでしょうか。
香髙委員、お願いします。

香髙委員
それでは、言葉ということであれば、最初に赤い線で書いてある「流通構造の変化に即応した流通経路に果物を乗せることにより消費拡大対策の実行性を高める」野部分。
これ、正直なところ、何を言っているのかがよく分からないので、もう少しこの流通構造の変化が何なのか、どう即応した経路に乗せることが消費拡大につながるのかというところをブレイクダウンして、書かれたほうがいいのではないかと思います。

三石部会長
ありがとうございます。
他にございますか。
事務局の方から、香髙委員のご指摘について、いかがですか。

宮本補佐
そこは、もう一回表現を練らせていただこうと思います。

三石部会長
なかなか日本語としてストレートに落ちにくい言葉であれば、やはり同じことを言っていても意味が伝わらないということもありますので、そこは言葉をもう少し考えるということですね。
ほかにいかがでしょうか。
はい、事務局からお願いします。

秋葉総括
すみません。
園芸作物課の秋葉と申します。
よろしくお願いします。
今、香髙委員からお話のあった件ですが、これはここの文章はざっくりと文章を書かせていただいていて、これからそれぞれ、どういう支援ができるかということも含めて、具体化しなければいけないと考えております。
先ほど大西委員から野菜のお話がございました。
野菜についても、もう加工・業務用が半分以上の割合で野菜の消費の中で占めているということになりますが、これが通常の市場を通じて、カット野菜あるいは惣菜をつくる、それから商品として消費者へ渡っていくといったルートに沿って、大西委員がおっしゃられたとおり、生産体制から全て変えて対応してきたということがまさに今、大きく動いているところでございます。
翻って見てみますと、これまでの審議会の委員の議論でも、果物がそれに対応しているかということを考えれば、なかなかうまくいっていない。
特に、果物の場合ですと、コンビニのカットフルーツはチルドのデザート等と競合するところも出てきますけれども、そこにどうやって商品開発して乗せていくかということが、あまりこれまで細かく支援策としても議論されてきてないというところがあるので、そういったところに光を当てて、しっかりと対応していきたいということで書いてございます。
したがって、こういったところを細分化して、分かりやすいようにまた書いていこうと思いますので、よろしくお願いいたします。

三石部会長
山口委員、お願いします。

山口委員
今のお話、とてもいいお話だったと思います。
つまり、今日の整理も含めまして、論点の中に書かれていることというのは、いわば課題であり、この課題というのは、実際に行われている方、課題として承知されていることで、難しいのはその課題に対して具体的な答えがどう出せるか、それの知恵出しがこれからの一番大事なところだと思います。
それがなかなかできないから、論点が論点のままで残るわけです。
そういう意味で、消費だけではなくて、全ての項目について、いわばアプローチの仕方について、お話をしたいと思います。
私の会社は食品産業として考えられていますけれども、最近では、タイヤ業界と連携があります。
あるいは、繊維業界とも連携があります。
それは私どもが持っている発酵技術の出口として、そういうところがあり得るということです。
それから、もう一つ全く別の話ですが、9月にツーリズムEXPOジャパンというイベントが行われました。
これは、従来、日本人の国内観光、海外観光、外国人が日本へ来る訪日観光、この3つが別々に行われていましたが、これを全部統一して打ち出し、統一した展示会を開催する。
お客さんを全部そこに呼ぶ。
15万8,000人が来ましたけれども、そういう試みが行われています。
この2つの事例で申し上げたいことは、そういった解決の糸口、課題の答えを見つけていくためのヒントを得るのに、これまで考えなかったような連携、あるいは実は今まで狭い範囲で考え、隣とは競合するために連携なんて考えもしなかったことが、むしろ、グローバルなマーケットになって、競争が激しくなるというときには、まさにそういう従来考えてなかったような連携を考えるというところから、ヒントが出てくる可能性があるのではないかという意味で申し上げました。
そういう意味での連携では、例えば地域の連携があると思いますが、この農水省の現地調査の中でも、この間、川場村を見せていただきましたけれども、あれは農業と観光を両方同時に行った成功例というお話で、見方によっては、ローカルである川場村とそれから東京の世田谷区の連携という側面もあるわけです。
そういう地域同士の連携を徹底的に考えるということをしたらば、随分、果実についてもヒントがあるのではないかと思います。
例えば、相互観光は今までもあったと思います。
あるいは、遠足の場所を相互に選ぶということもあるかもしれない。
あるいは、農作業のボランティアをそこからやりとりするというのもあるかもしれない。
この一つ一つというのは、それぞれ部分的に行われていると思いますが、これを全て多層的に、地域同士でもって積み上げをしていく。
そうすると、そこから非常に分厚い新しい組み立て、答えのヒントが出てくるのではないかと思います。
これがここで申し上げる地域の連携の意味であります。
あるいは、隣同士であまり考えなかった果実と野菜の連携というのは、もっとあるのではないでしょうか。
この論点整理の課題の中にも、果実はカロリーの問題があるという話がありましたが、そういう健康アプローチということで考えたときに、果実だけではやはり難しいけれども、隣の野菜と一緒に考えたら、いろんなヒントがあるのではないかと思います。
あるいは、産地の連携というのも、季節で違う種類の果実があるわけで、それを全部1つのプロジェクトの中で何事かをしようと思うと、海外に対しての打ち出しが、地域、季節を少しずつずらしながら、いろんな提案をしていく。
それは自分の地域にとってはある部分が享受できるわけですけれども、全体としてはものすごく単独でやっていたよりは大きな享受が得られるということもあると思います。
この前、フードサービスと果実の連携という話をしましたが、この部分を徹底的に考えれば、そういうヒントが多くあるように思います。
このように、従来あまり考えていなかったような隣あるいはかなり遠い連携を思い切り考えたらば、そこからいろんなヒントが出るのではないか。
そういうアプローチがこの中にあり得るのではないかというのが私のポイントであります。
以上です。

三石部会長
ありがとうございました。
非常に示唆に富んだアドバイスをいただいたと思っております。
個別の内容とはまた別に、キーワードとしての連携、地域の連携、産地の連携、品目の連携、その他あらゆる形での連携が今後の果樹に新しいビジネスのチャンス、それから拡大の機会を出してくるのではないかという、基本方針の全体を包括するような意味での、非常に良いサジェスチョンをいただいたと思います。
時間も限られているので、適宜細かく中身で話をしていきますが、中身に捉われないで全体を見た形での大きな視点での意見をいただけると、恐らく骨格をつくるときに大変役に立つと思いますので、ぜひそのような形での意見をいただければと思います。
いかがでしょうか、田中委員お願います。

田中委員
今お話しになられたことと重複しますが、産地と消費地の連携といいますか、いろんな品目においてできると思います。
自分たちのところは今、13年間、川内市で食育をやっていますが、やはりそのはね返りは、ようやく10年を過ぎたぐらいから出てきて、ラジオ放送と両方になって行っていますが、その当時からずっと幼稚園を対象にやっています、小学校じゃなく。
なぜかというと味覚をつくっていかないといけません。
味覚がおかしくなっているというのが一番、今思われるところです。
今、その一番最初の人たちが大学生ぐらいになっていて、いまだにその当時を思い出して買ってくれる。
その親御さんたちもそれと同じ。
そういった地道な努力、継続をしていかないと、やはりこの食育というのは表に出てこないということがあります。
それと、もう一つ、この消費の中の機能性表示ですけれども、先般、みかんのシンポジウムがあったときに少し議論をさせていただきましたが、過去に自分たちの仲間にも漁師さんがいるのですが、青魚のDHAについて、サプリメントが出てきて、そっちの方向に走ってしまって消費が落ちしたという時期がありました。
ここの部分については本当に十分に注意して、強力に推し進めるということだけがいいのかという感じが生産者側からはあります。
サプリメントに走ってもらうと、やっぱり生果の消費は落ち、そこに向いていかないというのがある。
自分も何とも言えないところですが、十分に検討していただけたらと思っています。

三石部会長
ありがとうございます。
先ほどのお話とつながる非常に示唆に富んだお話だと思います。
1つは、時間という概念です。
幼い時から味覚を育てて、最終的にしっかりとした味覚を持っている消費者を育てていくことがやはりマーケットの拡大にもつながる。
一方で、サプリメントという機能性食品との関係、これもまた一方的に進めるだけでなく、全体を見ながら、という非常に重要なご意見だと思います。
ほかにいかがでしょうか。
どうぞ、徳田委員お願いします。

徳田委員
やや全体的な話になりますが、1点目として、基本的には果樹農業振興基本方針ですので、行政、政策として何をやるかというところが中心になると思います。
そういう点で見たときに、この論点整理のところを全体的にみると、行政としてやるべき部分と、とりあえず事業者やる部分があり、それに対して行政がどういう支援をするかというのは、なかなか見えにくい。
特に流通でも、多様な流通になってくると、従来の市場流通であれば、市場を整備しましょうというような話で比較的分かりやすくなりますが、それが今のように多様な流通となったときに、どういう形でやっていくのか、実は正直言って見えにくいという気がします。
これからこのあたりは絞っていくと思いますけれども、もうちょっと具体性を持たせた方がいいのではないかと思います。
今の田中委員の発言とも関わりますが、機能性あるいは成分に関わる部分というのはいろんなところに実は出てきていて、特に医療関係者との連携、そういうのが(2)の消費対策の推進や次の3の食育あるいは5の表示のところにも出てきていまして、少し整理する必要があるかと思います。
今、田中委員が言われたように、機能性表示については、表示の仕方なり使い方によっては諸刃の刃になる可能性もある部分なので、一体的な形で検討されることが必要と思いました。

三石部会長
ありがとうございます。
幾つか出てきた意見をどういうふうに取りまとめるかというので、そのポイントの部分、扱い方も含めて、網羅的にまとめていただきましたが、それを今後どういうふうに一番優先度をつけて見ていくかという点で、これも貴重なご意見だと思います。
他にいかがでしょうか。
大西委員、お願いします。

大西委員
(2)のところで果実を嗜好品から脱却するというところはまさにそのとおりでありまして、私もそういうふうに発言をさせていただいた記憶もありますが、問題はいかに必要食材にしていくかというところであります。
ここを起点に考えると、先ほどの機能性表示などの具体化。
それから、例えばスムージーのように野菜との連携。
どちらにしても、ここで新たな切り口というふうに言っていますので、そのあたりをゴールに考えていくのが1つ有効なのではないかと思いました。
それから、3ページの加工品の原産地表示、機能性表示と並んであります。
これもぜひ、やはり皆様のご意見にもあったとおり、具体化していくということが必要だろうと思います。
もう一つは、地理的表示制度も出ておりますが、実際にはあんぽ柿やうめも、明らかに今の時点では対象になるかと思いますが、表示の問題と関連させると、すごく消費者の皆さんにも、生産者の皆さんにも分かりやすいのではないかと思いました。
また、加工用原産地は、やはり外食のところ、いろいろ課題もあるかと思いますが、消費者にとっても生産者にとってもわかりやすいですので、次回、具体的に検討課題に入れていただければと思います。
以上です。

三石部会長
ありがとうございます。
消費全体の中でいくつか、個別項目はこちらに書かれていても、それをどうまとまめるか、より分かりやすいまとめ方が次の段階では求められるかと思います。
例えば、徳田委員からお話のあった行政と民間の役割分担や、それから大西委員の表示の話、外食等の話、いくつかキーワードをいただきましたので、それに沿って全体をもう一回グルーピングしてみる必要があります。
そちらの方が分かりやすいかもしれないですね。
ありがとうございます。
それでは、ここで生産関係へ移っていきたいと思います。
また生産の話を全体で話をしながら、今までの意見を踏まえ、特に生産はコアの部分になりますので、他の分野とも関係しながら御意見をいただければと思います。
では、福士委員、お願いします。

福士委員
生産ということですが、たくさんあります。
やはり生産というのは、産地が若返って活発にならないと、地域として成り立たないわけです。
ここを大きく邪魔しているのは、やはり後継者問題、これが一番だと思います。
今、大変厳しい状況でありますが、何とかできる者については、若い者にその分担をやらせる。
そして、御高齢の方々には、それを援助、協力してもらっている。
そういうことで維持している現状と思います。
しかしながら、やはり会社勤めをしながら、実家で農業をやっているということで、年をとってからでも農業に参入してくる、こういう方もございます。
さまざまな国の事業を使いながら、そしてまた新規就農者もどんどん増えているような状況で、大変考え方として先に進んでいっていると思いますが、現在のところはやはり厳しい状況で推移しています。
これを、産地を元気にするためには、山手がありますね、作業の効率の悪い場所。
ああいうところをどんどん少なくして、平場におりてきて、作業しやすい、生産力のある、こういうところに事業を進めております。
ただ、私もりんごづくりですが、考え方として、生産力を落とさない、それを維持していくためには、ある程度の新植が大事だと思います。
今我々が取り組んでいるのは、現在ある園地をしっかり補植して、きちんとした形での園地で生産しなさいという、やりましょうということで今進めています。
しかしながら、これから減反廃止となれば、個人で新植ということも考えられます。
そういったときに、そういうところに新植させるということは、非常に生産能力があるわけですから、今までの園地を改植してでも、場所が悪ければやはり成育が悪い状態となります。
とりあえず、今の意見としては、そういったところへの手を差し伸べてほしいということです。

三石部会長
ありがとうございます。
後継者の問題は、本当にどの分野でもそうですが、特に農業、果樹の場合は極めて重要な問題だと認識しています。
直接農地を守って経営を担っていく後継者の育成の部分と、それから、そういうコアの後継者はいても、作業を手伝ってくれる人、こういう実際の農場を経営している人ではなく、周りで作業を手伝ってくれる人をどう確保するかという、いろいろな問題があると思います。
そういったところを含めて、一言で後継者というよりも、産地をいかに盛り立てていくかという点で非常に大事なご指摘だと思います。

福士委員
分担制ということも非常に大事なところになってくると思います。

三石部会長
分担制、あともう一つの視点として、今まであるところではなく、新しいところ、これをどういう形で活用するのか。
潜在能力のあるところをどう使うかという、こういった点も中長期的にはかなり大事になってくるかというところです。
いかがでしょう。
田中委員、お願いします。

田中委員
生産に関して言えば、大・中規模の基盤整備を早急に行っていく必要があると思っています。
消費者はやはり安いものを求めるので、コストを下げなくてはいけないとなれば、ここをやらなくてはどうにもならないというのが現状だと思います。
産業として、みかん産業を今から維持していくというためには、人は減っていく。
団塊の世代の人たちがもう離脱される。
その後は急激な生産者の減少が、もうすぐそこに迫っています。
この中に規模拡大志向とありますが、規模拡大をしなくては、どうしようもないです。
産業として生き残ることはまず無理だと自分は思っております。
そういうふうに仕向けるという形をとっていかないといけない。
やはり外からもどんどん入ってくるでしょうし、輸出云々という話が上がっていますが、そこには恐らく追いついていく状況にはなってこないと思います。
ですから、そういった抜本的な基盤整備をやっていかないとならない。
それぞれの現地調査があった中で、やっぱりああいった急傾斜地では、若い人は残っていかないと、自分はそう思っています。
今の地球温暖化の中で、こういった気象の変動が激しい状況にあります。
今年の夏場の異常低温、日照不足で、ミカンも本当に成育が悪かった。
お話がありました緊特事業もせざるを得ない状況ですけれども、それでは経営は成り立たない。
やはり、そこを維持していくためには、総じて大きな基盤整備をやって、後継者ではなく、その産業を引き継ぐ人を育てることが今からは必要ではないかと思っています。

三石部会長
ありがとうございました。
和歌山、現地視察をしたときに皆さんが感じられたかと思いますし、私も非常に強く感じました。
それから、企画部会で私も発言しましたが、自分の子供に本当にこれを継がせたいと思うか。
そう思ったときに、これを継いだら経営成り立たないとなったら、いかに優秀な人でも来ない。
そのためにはどうしたらいいかというときに、少なくとも産業として成り立つ基盤をしっかり整備する。
これはまた個人ではできないことではあります。
したがって、行政の支援が必要だということになります。
こういった点に関しては、田中委員が一歩進めて、志向ではなく、こういう形にするのだという強い方針が必要ではないではないかという御指摘ですね。
いかがでしょうか。
どうぞ、大西委員。

大西委員
今回は大変そういう点では、これから経営モデルを検討されるわけであります。
もちろん、果実の場合にはさまざまな品目がありますので、それに応じたというのが1つ、当然あろうかと思います。
今回は2のキャリア別ということで、まさに時間軸を考えた経営モデルというのも、そういう点では、具体化すれば、今までに全くない取り組みだろうと思っています。
一方で、冒頭のお話とも少し関連しますが、用途別での生産について、生産から流通・販売まで一貫した体系、バリューチェーンというものもぜひ打ち出していくべきではないかというのが1つです。
それから、もう一つはさきほど生産基盤のお話がありました。
まさにそうだと思います。
農地中間管理機構が出てくるわけですが、やはり平場を中心とした使い方と若干傾斜地も含めた果樹園地の使い方はもっと違うかなと。
それから、生産基盤の確立についても、単に水田とは違って、沿道の問題ですとか、少しお話も出ていましたけれども、お水の問題ですとかモノレールの問題ですとか、そういうさまざまな課題をセットにしておかないと、実際の目的が達成できないというようなことがありますので、これはやはり果樹らしい基盤のあり方、整備の強化ということが必要であります。
それから、もう一点はやはり労働力の問題であります。
これも先ほど少しお話がありましたけれども、畜産では既に分業化というところで、例えば繁殖のところを分けるとか、それから採草、飼料についてはTMRセンター、そういう分業化が進んでおります。
防除組合もありますけれども、それらも含めてやはり分業化というところで規模拡大、もしくは省力的に生産できる、もしくは高品質に生産できるというところを、ぜひ果樹においてもチャレンジしていただければなと思うところであります。
それから、セーフティーネット対策。
やはり経営安定対策の一つとしても大変重要です。
品目によっても随分違いがありますので、大変難しい課題ではありますけれども、やはり安定した生産、それから経営を考えていくと、極めて重要なポイントかなというふうに思いますので、これもより具体的な検討が必要と思います。
それから、もう一点ですが、改植支援が大変に有効だというのは、現地でもいろいろお話を伺いました。
同一品種の改植についても、産地の育成、それから消費者のニーズに応えていくということで、拡大して考えていただければなというふうに思います。
それから、需給調整は、どうしても天候を相手にしておりますので、ここのところの改善、仕組みの見直しも含めて今回打ち出しいていただければなと思うところであります。
少々多くなりましたけれども、以上であります。

三石部会長
ありがとうございました。
松本委員、お願いします。

松本委員
一、二点、ご意見申し上げたいと思います。
果樹は、1回目でしたかね、国内を見ると、他の作物に比べて、結果として条件不利のところに展開するウエートが高いという指標が出ているとありました。
そのあたりのことをどういうふうに受け止めるか。
地域とこの農業生産の状況は、大変重いのではないかというのが前提にあります。
中間管理機構について、農地なり果樹園がありますけれども、いろいろお聞きしますと、これはかねてからですが、規模拡大や果樹園の集積がなかなか難しい。
永年作物ということで、なかなかそう言葉で言うほど簡単なものではないというのが、これまでの検証です。
権利関係ですね。
平場の水田、畑とは違って、大変難しいと。
やはり上物の樹木をどうするか、それが絡んでくる。
その上で対応しなくてはならないということであります。
条件のいいところ、平場はやはり産業としての果樹展開を追求する。
そのための基盤整備があろうかと思うんです。
しかし、それが恵まれている地域ばかりではないので、今こういうところは撤退をするという状況に陥っている。
これは都市部のなし園でも見られると思いますが、やはり高齢化して、せっかくの経営資源が、それから生産技術とか、そういうものがそこで途絶えてしまう。
経営がそこで途絶えてしまう。
残念なことですが、そこへどういうふうに次の経営者をはめ込むか。
後継者ではなく、途絶えることをワンセットで、新しいマンパワーをどう入れ込むかという仕組みが、最近、点々と地域では考えられるところもあるようでありますが、なかなか難しい状況にある。
だけれども、これは本格的にやはりこれを果敢に挑戦してみる価値があるのではないかと思います。
とりわけ、条件不利の地域に展開しているところで、これまでの現実をうまく逆手にとって、どうしようもなくなる地域にそういう資源があるなら、この際、小規模でも若手の人材を何とか迎え入れる。
そのためには、経営モデルがありますけれども、具体的にイメージの湧く経営モデルを、本当に形だけじゃなくて、こういうことをやれば、やはり高望みはできないけれども生活していけるという、そういう姿を提示するということが必要ではないかという感じがいたします。
とりわけ鳥獣害というのは、果樹は致命的だと思います。
企画部会でも申し上げましたけれども、農林水産省が発表なさっている被害規模と実態とは、桁が1つ違うのではないかと発言しましたら、現場から、議事録を見て、大変そうだそうだというお声を聞きました。
現場はそうだと思いますよ。
ですから、そういう面でそういう政策的な知恵を出して、この果樹というものを、生産現場から見た位置づけをもう少しグレードアップするといいますか、そういう施策として、行政としてぜひ頑張ってもらいたいという要望です。
以上です。

三石部会長
ありがとうございます。
非常に心強いご支援だと思います。
いろいろなところでやはりやらなければいけないことというのが、もう分かってきているということですね。
具体的にどうやるかというときに、企画部会の議論でも多数あったのは、経営モデルをきちんと作ってくださいということです。
その中で、次は段階別にどうなったら良いのかを作っていかないと、成功した完璧な経営モデルだけを出されても、若い人は分からない。
幾つか段階がありますから、それをしっかり見る。
先ほど、大西委員が言われた用途別のモデルがあっても良いのではないかということです。
松本委員のお話とも関連します。
こういうものに関してはどういうものがあるのかという形で、しっかりとこれからやる人、それから今やっている人が分かる形のものが多少でも出せれば、非常に良いのではないかと思います。
イメージが湧く経営モデルですね。
ただ、一方で、先ほどのお話にも少し戻りますが、理想的なものだけをやっている間に、環境変化が早過ぎて、とてもついていけないということがありますので、そこはもう抜本的に生産基盤整備をやるべきで、すぐに整備を行う。
こういうことが不可欠であり、これらをあわせて考えていく。
さらに、例えば、畜産のように、先ほど大西委員が言われましたけれども、かなり事情が変わってきている分野もあります。
その中で労働力をどういう形で使っていくのか、いろいろ参考になる部分もあると思います。
この山口委員が最初に言われた連携という点、実際の連携をすることも一つだし、連携をしなくても、他産業の知恵をできる限り取り入れていく。
それしかないのかなと私には感じられましたけれども、いかがでしょうか。
まだ発言されてない方、それからもっと言いたいという方を含めまして、いかがですか。
鈴木委員、お願いします。

鈴木(忠)委員
この生産は、最終的には、やはり担い手をどう確保するのかという問題と、土地の問題と思います。
耕作放棄地も含めて、これから園地をどういう形に持っていくのかというのが一番の課題だろうと思いますが、さきほど田中委員からも基盤整備のお話がありましたが、今やっている農地中間管理機構、ただ単に土地をこちらからあちらに持っていくというだけではなく、そこから、もう一つ拡大して、一度集めた園地を基盤整備して、栽培条件をよくした園地を新たな担い手に貸し出す、分け与える形での組織が何かできれば、果樹の場合にはそれが必要と思っています。
そこまで踏み込んで書けるかどうかは別にして、ぜひその点も検討していただければと思います。

三石部会長
そうですね。
ありがとうございます。
右から左にただ移しているだけでは効果も小さいので、せっかくまとめるのであれば、さらに潜在力を高め、次世代につなげるものにしていくということですね。
そういう形の検討をぜひお願いしたいですね。
それを方針として出せれば、全体が動きます。
ありがとうございます。
松田委員、お願いします。

松田委員
技術導入という点から見ても、再三出ている基盤整備というのは大変重要と思っています。
というのは、温州みかんでいえば、マルドリ方式といって、水分制御しながら高品質化を狙う技術ができて10年以上になりますが、これがなかなか進まない。
研究者が現場へ入って聞いてみれば、1つは、当然、投入資材費の話があります。
もう一つ大きいのは、水源が確保できないという点です。
研究面でいえば、雨水を貯めて水源にすることなどできる範囲ではやっていますが、水源が確保できれば一気に解決する話です。
水源確保を単独の生産団体で行うことは難しいところがあるかと思います。
また、果樹のジョイント栽培のように省力・軽労化ができて、なおかつ早期成園化ができる技術もあります。
さらに、農林水産省の実証事業でやっているりんごやかんきつは、主幹形で密植にして、作業動線を1本にして早期成園化も図るといった技術です。
技術としては確立されていますが、それが現場におりてくる一つのきっかけというのは、やはり基盤整備だと思いますので、そういうところも検討していただければと思います。
以上です。

三石部会長
ありがとうございました。
既にそれなりのものがあっても、それが現場で活用されてない。
活用されてない理由の一つとして、非常に貴重なご意見をありがとうございます。
あとはいかがでしょうか。
どうぞ、徳田委員。

徳田委員
松田委員の意見とも関わりますが、やはり私も基盤整備、重要だと思いますが、それはやはり規模拡大の部分と絡めて考えていく必要があります。
今、先ほどあったのは、結局省力化しても、面積が増えなければ農家としての所得は変わらないわけですから、ある程度それをうまく園地の流動化、集積というところに結びつけるという意味で、やはりこれは両方、書き方として今回分けていますけれども、これをどうするかはお任せしますけれども、その辺は1つ考える必要があるというのが1点です。
あと、2点目として、農地中間管理機構の話、鈴木委員からもありましたし、幾つか書かれていますが、実際に特に果樹園でどう進めるかというところについては、必ずしもそう簡単ではないと思っています。
私は三重県の農地中間管理機構の評価委員をやっておりまして、農地中間管理機構の拡大希望者については全て公表されています。
ホームページで各県のものも見られますが、三重県の場合、いくつか果樹園の拡大希望者が上がっています。
ちなみに、ほかの県も実はのぞいみましたが、静岡、和歌山、愛媛を見ましたが、実はほとんど出ていません。
全体の拡大希望は相当、数字が出てきているますが。
これはやはり農地中間管理機構本体のものだけでは無理で、地元でどういう仕組みができているかという問題が1つあるかと思います。
水田の場合は企業的なところが単独で出しているところも結構あります。
果樹の場合はなかなかそうならないとすると、ある程度地元の中でどう調整するかという地元の組織の問題、これは農協等あるいはほかでもいろんな形があると思います。
その辺をあわせて考えていかないと、なかなか中間管理機構だけ書いていても、正直言って難しいという気がいたします。
あと、もう一点は、特に新規就農者は、実はいろいろなタイプがあるのだろうと思います。
全く新規に入ってくるというだけではなくて、前回の現地で見た早和果樹園のような法人への就職というタイプ、あるいは、一部では第三者継承というタイプも幾つかございます。
そういうタイプごとの対応をやはり考えていくということも、もう一つの視点として必要ではないのかと思います。

三石部会長
ありがとうございました。
いずれも今後の大きな骨格の中にかなり考えていくべき内容だと思います。
福士委員、お願いします。

福士委員
今、徳田委員がおっしゃったとおりであります。
規模拡大の問題と農地中間管理機構の問題、これは別に考えないといけないと思います。
といいますのは、我々は今まで、高品質、良品多種という考え方で、果実を生産してまいりました。
果たして規模拡大すれば、そういった目的は可能なのか。
そして、私はこの規模拡大は良いことだと思います。
でも、これはむしろ6次産業化のほうに向いているのかなとも思います。
田舎くさいことを言いますと、私、りんごですけれども、大体いい生活している人、自家労力4人で2町5反ぐらいまでですよ。
これはすばらしいものを生産している。
ここまでですね。
それでも、100人から150人ぐらい臨時雇用を入れる必要がある。
大体それで仕上がる。
それ以上になっていくと、今度は加工品に仕向けるもの、それでも引き取り手があればいいけれども、その辺はなかなか難しくなってくるということであります。
そして、この集積の問題ですけれども、産地でさまざま議論しながら、担い手になりそうな人、こういった方々を誘って進めて、後の面倒はさまざまな方々が教えながら、違う人にやらせる、跡を継がせる、そういう方法もとりながら、それでもだめであれば農地中間機構にという形が一番多いのではないかと、そう思います。
青森県でも今一生懸命取り組んでいますが、随分、希望者も出てきています。
我々もこれをまた勉強しながら、そういったことも進めていく。
そして、必ずやらなければいけないのが防除です。
今、うちの県の防除連絡協議会、ここの加入する共防さん、どんどん減ってきています。
危機感もありますが、やはり専門の会社に委託する方法も、試験的に取り組んでいます。
随分コストも下がっているようで、これからはどんどんそういうのが進むところは進んでいくのだろうと思います。
あとは、まだ間に合っている共防さん、ここは非常に厳しいけれども、若いオペレーターがいれば、一つ、りんご生産をさせながら、その時期になれば、そういう若い人に専門にオペとして、日当も幾分高くして、今のところやっている状況で、恐らくそういったこともこれからは苦しくなるのかなというところ。
ここは1つ課題として、残っています。
そして、防除というのは非常に一律に吹いて歩けばいいものではなく、園地によってみんな違いますから、その日の防除する技術的なもの、こういったことも確立していかなければいけないと思います。

三石部会長
ありがとうございます。
最後の防除の話、今までの話の中では余り出てきてないお話でしたが、大事なポイントだと思います。
それから、規模拡大、農地中間管理機構、後継者というのは、地域と品目によっても違いがあると思われます。
そして、どの段階まで行けば、規模拡大しても十分に経営が成り立つというのも、地域や品目によって違います。
ですから、そこを一律にといっても、なかなかうまくいかない部分がある。
そこを踏まえた上で、バリューチェーン全体をどう拡大するか。
こういったことについて、書きぶりは難しいですが、それでもやっていかなければいけない部分が出てくると思います。

三森委員
私からお願いというか、いろんなところでいろいろな問題が出てきていますが、今現状、いろんなところでお話をさせていただくと、6次化と輸出が全て日本の農産物が抱える問題を解決する手段の一つではないかということを安易にうたう方々、今回もそうだと思いますが、しっかりその辺は、流通の方もいらっしゃるので、お尋ねしていただいて、全くそうではなく、商社が儲かる仕組みしかないということも一つですし、6次化はできる方、できない方もいらっしゃいます。
そして、機能性に関しても、私たちは1次産業ですが、2次産業には機能性のことに関してはもう説明があったというお話を聞いております。
現状、そういったところに出ていかれる方がいらっしゃって、お話ししてくださいましたが、実際、情報に一貫性を持って対応していただいて、1次産業、2次産業、3次産業の方までも、同じ段階で同じような目線で行かないと、どこの部分でどうなのか、私たちは使われるだけということもありますので、ここは農水省の方もきちっとしていただいて、情報は一貫性を持っていただかないと、とてもだめだと思います。
もう一つ、果樹については、農地中間管理機構であれ何であれ、私は特にぶとうですので、とても立体プラスアルファに棚もございますので、そういったものの利点ももちろんあるかと思いますが、どう考えてもよくない部分が多いかもしれません。
果物に関してはそれぞれがそれぞれの特徴もございます。
かんきつとぶどう、そしてなしもありますので、一概にカットができるもの、できないもの、そして腐敗してしまうものということもありますので、向くもの、向かないものというものもきちっと分けていく必要もあるのではないか。
野菜もそうだと思いますが、それによって薬剤が多くかかる場合もありますので、気をつけていく必要があると思っております。
今までいろんな方々がいろんな視点でお話ししたので、私はこの視点でお話をさせていただきました。

三石部会長
ありがとうございました。
生産と加工流通は、切り離して論ずるべき話でありません。
当然つながっているもので、便宜上生産について、話をしてきましたが、三森委員から非常に良いお話をいただきましたので、まさに最初に言われた6次産業化と輸出は万能薬ではないということ、一斉にそこに向かっているが、それで本当に良いのかという部分と、それで本当に解決できるのか、その前にやることもあるのではないか、いろいろな含みがあると思います。
機能性の話に関連した情報の一貫性、場合によっては情報の非対称性というのでしょうか、知っている部分と知らない部分、同じ情報がしっかりと流れているかどうか、そういったものまで含めて、基本方針の中でぜひ、こちらの部会では話をしているけれどこちらでは言ってない、そういうことにならないように、うまく統一していかなければならないと思います。
あと、最後の品目別の特徴をあくまでも踏まえてというところですね。
品目別の特徴、もっと厳しく言えば、品目別・産地別の特徴という形になります。
特に地域の特徴を現しているのが果樹ですから、その特徴を踏まえてという形ではないかと思います。
それでは、流通、加工、それから先ほど輸出の話も出ましたので、少し追加コメントあるいはこれは言っておきたいというところがありましたら、ぜひお願いしたいと思います。
横田委員、お願いします。

横田委員
横田です。
次の段階ということで三石部会長がおっしゃいましたが、農地中間機構で規模拡大ということで、漠然と聞いていますが、現場の農業者はその規模拡大で、果樹は年単位で育てていかなければならないものであり、野菜とは違います。
その中で、技術的なことも含めて、じゃあ産地に、さくらんぼでもりんごでもぶどうでも、とにかくいきなり農地中間管理機構で、果物をつくりたいということで始めても、決して、収入は年単位で先のことになります。
その中で、担い手が育っていくのかどうか。
また、国内の果物がどういう経路でどのように─販路ですね。
やはり儲からなければ、農業者は手を出しません。
この販路の問題が非常に重要かと思います。
現場の声としては、獣にやられてしまう。
我が家はりんごを一晩で、獣に持っていかれたのではありません。
黒い頭の方が根こそぎ持っていきましたから、そういうこともあり得るということで、やはり生産意欲も、労働意欲も、お金にならなければ農業者はやらないよということで、そこら辺のところをもっと詰めて、議論しなきゃいけないと思います。
中途半端ですが、私も農業者の一人として、どうしていいかわからないというのが現実問題です。
以上です。

三石部会長
ありがとうございました。
ロマンチシズムではないということですね。
やはりリアリズムでいかなければいけない。
実際に農業は、それを行って生活を成立させられなければいけない。
そのために何ができるかというところですね。
いかがでしょうか。
安齋委員、お願いします。

安齋委員
私も生産者の一人としまして現地調査、2カ所行ってまいりましたが、後継者のいないところは、本当に収集が少なくて担い手がいないということでした。
一生懸命頑張って元気のあるところ、そういうところは若い人も一生懸命働いていましたし、収入があるということです。
農家の人たちが収入のないものはやらないというのが、子供たちにもさせたくないという、みかん農家でもそうでした。
生産だけではなく流通もありますし、流通の仕方によって収入も変わってくるというところもあります。
経営力の向上といいますか、担い手の方たちがつくればいい、つくってここに持っていけばいい、選果場に持っていけばいい、そういうところだけではなく、そこの生産者の方たちが収入を得られるかということで、先日、いい夫婦の日ということで農業新聞を拝見しましたら、離婚したいと思った人で、農家の女性が100%。
普通は10%にも満たないと書いてありまして、そういう農業をみんながやりたいと思うかどうかというところで、り農業がみんなやってみたいというような、そういう農業になるような、先進的な方を勉強するのもいいし、こんなことがありますよということで農水省から、こんなところでこんなして元気にやってますよという、そういうこととか、暗いことばっかりではなくて、明るい農業ですね、そういうほうに進んでいっていただきたいなというのが私、そのいい夫婦の日の新聞記事を読んで、すごく感じました。

三石部会長
ありがとうございます。
笑い事ではないですね、本当の話です。
しっかりと経営が成り立って、家族を養って、初めて農業の持ついろいろな意味がきちんと理解できる。
例えば、いかに良いものを作っても、それを消費者に最終的に高く売ったとしても、その利益がサプライチェーン全体にうまく還元できるような仕組みを作っていかなければいけない。
流通、それから最終的な小売でも連携をきちんとしていく。
ある一部だけが利益の大半を取ってしまうと、これはなかなか厳しい。
ここをいかにうまく利益を配分していくか、そういったこともまた考えていかなければいけない。
いかがでしょうか。
では、深澤委員、お願いします。

深澤委員
輸出について申し上げたいと思います。
前回の委員会のときに、輸出、現状の100億から250億に拡大していくに当たっては、これまでの発想と違う新しい取組が必要というご提案を申し上げまして、それが今回、課題、論点整理の中に出てきていますが、一つは、輸出団体を設立して、新規市場開拓、輸入果物の配送拠点を逆に使うということでしょうか。
あるいは、りんごの場合は無理かもしれませんが、空輸が出てきました。
この実現についてはどんな組織づくりをされていくのか、注目をしていきたいと思っています。
これまで青森りんごの輸出は、相手国の輸入商社、バイヤーを発掘して、それを国内の貿易業者とつなげて、青森の産地としては国内の港渡しで輸出の荷物を引き渡すということで、直接、相手国まで行って、相手国の流通まで入っていくということはなかなかできませんでした。
ですから、今回こういう新しい取組を提案されておりますので、ぜひどんな組織づくりで対応されていくのか、もう少し具体的なものを提示していただければなというふうに思っております。
もう一つ話が変わりますが、25年産のりんごの輸出は1万9,889トン、約2万トンに復活いたしました。
特に台湾向けが1万6,560トン、それから香港が倍以上の2,599トンと、非常に伸びております。
この動きが26年産にもつながっていまして、今の分かっている統計では、11月末現在で7,500トン、前年比181%ということで、大変好調な数字が出ております。
青森県のりんご業界では、これまでの輸出記録を更新できるのではないかと。
こんな年でないとなかなか3万トンなんかいかないということで、非常に大きな期待感を持っております。
これだけ伸びている要因というのは、多分一番大きいのは円安と思います。
従来、台湾ドルと日本円の関係も、米ドルと日本円の関係と非常に似ていますが、円建て決済でやっていますので、円安になると利益が台湾側に全部移転されます。
そういうことがあって、非常に引き合いが強く、もう一つは、アメリカが港湾ストをやっている関係で、なかなかアメリカ産のりんごの荷動きが悪い、そういった生産以外のコントロールできない原因が大きいと感じております。
そういう中で、新しい動きとして、台湾で輸入手続を強化しようという動きがあります。
日本産の農産物、全て原産地証明や放射能検査証明書を新たにつけなさいという予告をされました。
香港も非常に好調に輸出していますが、これは前回も申し上げましたけれども、ポジティブリスト制度を8月1日からスタートさせております。
まだ適用にはなっていませんが、業界では農薬で摘発されたという噂が飛び回ったり、情報収集力に限界がある関係もあって、非常に不安感を持っております。
せっかく好調な状況の中で、こんな新たな輸入障壁のような手続が次々と出てくる。
最初は業界のうわさみたいな形で情報が入ってきますが、よくよく見ると相手国のホームページにきちんと掲載されていますが、なかなか産地だけで見ていくということができないので、こういった情報収集とそれに対する対応、こういうものもきちんと国がリードしながらやっていかないと、輸出が円滑に進まないということになりかねないと思っています。
そういうことで、輸出促進のための取組をもうちょっと的確にやっていただければなというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

三石部会長
ありがとうございました。
非常に具体的な事例だったので、これは今後に活かせるのではないかと思います。
産地が各々を見ているだけではなく、輸出先の相手国がどのように制度が変わるといった情報は、ただ農林水産省で出すだけではなく、できれば産地に必ずフィードバックする体制を作っていただきたいということです。
それに関連して、輸出をするための組織、どんな組織を作るのかという、具体的なイメージがほしいということですね。
いずれも外国為替相場とった、我々のコントロールできない部分があるからこそ、できる限りコントロールできる部分は可能な限りやっていただきたいということで、リクエストという形で受け止めました。

岡田流通加工対策室長
ちょっと追加でよろしいですか。

三石部会長
どうぞ。

岡田流通加工対策室長
すみません。
流通加工対策室長の岡田と申します。
輸出を担当しております。
今、具体的に輸出団体、今回書かせていただいているそこの姿を見せるべきだというお話がございました。
ここで、ここは部会ですので、踏み込んだ形のお話はしませんが、サイド情報として、現在、日本としては、やはりジャパン・ブランドを確立しなくてはいけないということになっております。
海外に行って、当然、深澤委員の青森県産のりんご、例えば台湾だと青森県産で実は十分通じて、青森県産リンゴはというと、おいしいということで認知されています。
一方、ここに書かせていただいたインドネシア、タイ、ベトナム。
ベトナムはまだちょっと輸出、難しいですが、そういう国に行くと、やはりなかなか青森県産というわけにはいかず、やはり日本産ということで一つのブランドがある種、確立しているという状況の中で、バイヤーさんなりそういうところへ聞くと、どうして日本の場合はバラバラで産地ごとに、例えば当地の百貨店やスーパーに売りに来るのかというお話が、現実にこれは青果物だけじゃなくて、お米やお肉にもあるという中で、今、全体の方針として、やはりこういう輸出についてはある種、全部の貿易業務をやるというわけではないですが、一つのジャパン・ブランドとしての固まりが必要だろうという議論になっております。
輸出戦略委員会という、輸出全体を取り扱う委員会のほうではそういう議論になっておりまして、現在、お米の団体、つい先日は畜産物の団体が設立されるという動きになっております。
やはり青果物で、品目が多くて一元化というのはなかなか難しいという側面はありますが、一つの海外の棚にずっと日本の青果物が並ぶと。
当方ではこれを多品目周年供給戦略と呼んでいますが、単に一時期においしいものが並ぶのではなく、ずっと一つの棚に日本のおいしい青果物が並ぶという状態を目指して、こういう団体を作る必要があるということで、今回提案させていただいたという形でございます。

三石部会長
ありがとうございました。
これまで、加工、流通、輸出について、意見を承ってきました。
もし可能であれば、もう一度、最初に山口委員が言われた「連携」を念頭に置いて、どの分野からでも構いませんので、これは言っておきたいことがあればお願いします。
田中委員、お願いします。

田中委員
加工のことで1つ。
今年のみかんの加工の部分については、工場が稼働し切れないぐらいに集まっていて、ここの12ページに現状が書かれているのと少し当てはまらない部分があります。
それと、ストレート果汁の消費が増えてきたという点。
それぞれそれ専用の園地をつくったらどうかということもありますが、まだこれに対しては、経営につながるのかどうかというのが、前回も言ったとおり、不透明なところが多過ぎるという部分もありますし、いろいろな産地でストレート果汁が作られていますが、その規模がまちまちで、どうもロスがかなり出ている。
ストレート果汁の消費期限は大体1年間ですから、そこでのロスが多い分、どれだけ消費が伸びているのかというのは、全く自分としては、ここの部分に関してはちょっと首をかしげるところがあります。
先だって行きました和歌山県でも、かなり個人、グループで種類が多くあります。
この間行った選果場の近くの直売所も、こんなにあるのかというぐらい銘柄があります。
愛媛県にもありますし、自分の長崎県にもあります。
そういったところをある程度まとめていかないと、本当の消費にはつながらないかなと。
ロスばっかり増えてですね。
その辺ところの整理はした後でのこの加工原料の調達といいますか、そこら辺はやるべきじゃないかというふうに思います。

三石部会長
ありがとうございました。
農産物の生産、加工、流通のロスと消費のロスと食品ロス、食品廃棄、今日も今までの段階では、途中での生産、加工、今は加工の話をされましたが、これも大事なポイントですので、どういう形で考えるかという点は押さえておきたいと思います。
鈴木委員、お願いします。

鈴木(忠)委員
連携も含めてですが、2つほどお話ししようと思います。
1つは先ほどから出ている輸出の問題です。
結局は、輸出というのはどこがするのかというのが一番の問題と思います。
というのは、最終的には、現状の輸出の状態を見ると、輸出をする企業、商社も含めてですが、これはここがほとんどバラバラというのが実態でして、産地から見れば結局、市場出荷と同じです。
そこから先、輸出されるというだけのことであるという品目が結構あります。
りんご・みかんは、直接そういった農協も含めた団体が扱っている部分が結構ありますが、そういった意味で、商社とどこまで連携できるかというのが最終的な課題だろうと思いますし、ジャパン・ブランドも、産地だけにそう言っていても、結局はそういった輸出を扱っている業者がどこまでそういう理解のもとにやってもらえるかという、そこの連携をどうとっていくかというのが課題になるんじゃないかと思います。
国内流通に関しても全く同じであって、よくこの議論の中で、JAに出荷すると、農協に出荷すると安いというような議論が出ていますが、あくまでJAというのは、自分がそれで商売しているわけじゃなくて、委託で卸売市場に出荷している。
この卸売市場での扱いが、多分、国産の生食用果実であれば6割、7割ぐらいがまだ卸売市場経由だと思います。
直接販売あるいは直売、そういったことが全ての果実でできるかというと、多分、不可能だと思いますし、この公設市場、要するに地方公共団体が開設している地方卸売市場、ここを経由して仲卸業者を経由しながら、最終的には小売店、量販店等で販売されるというのが実態ですが、卸売市場だけじゃなくて、最終的な量販店、小売店とはどう連携ができるか。
要するに、消費拡大も含めて、食育や機能性の問題もそうですが、そういったものを含めて、どこまでそういった業者と連携できるかというのが、何となくは非常に大きな課題と思っていますし、私も農協の立場なので、そこを一生懸命考えてはいますが、なかなか難しいとうのが実態です。

三石部会長
ありがとうございました。
今までのタイプの連携ではなく、全く違った、最初に山口委員が言われたアプローチが必要になってくるかもしれません。
我々の知恵が試されるということです。
いかがでしょう。
橋本委員、今日はよろしいですか。
今の流通の話とも関係してくると思います。

橋本委員
今お話があったように、流通、小売の立場としては、やはり生産から、ここのバリューチェーン構築というお話もありましたけれども、生産からの段階で全てを通じて、価値を最終的に消費者の人に伝えていかなければいけないとは考えています。
そういうところで常々、お話しすることはありますが、産地の方にも自分のつくった商品がどこでどういうふうに売られているのか、常に見てほしいというお話をしています。
やはりそういうところから関心を持っていただいて、それぞれの中間の流通の段階の方とも協力して、より強固なバリューチェーンをつくることが何よりも大事というところは常々考えているところです。
その中で、いろいろここに出てくるいろんな価値の問題、機能性表示の問題についても、なかなかそれぞれの1カ所のサービス、小売、そういうところだけでは成り立たないものでもあると思いますので、そこの取りまとめ、基本的に利害関係の絡まない国の農林水産省で、その全体のコントロール、コミュニケーションをつないでいただければと思います。
どこか1カ所がちょっと引っ張ってしまうと、どうしても特定のところに利益が偏るということもあるかもしれませんので、そういうところが国の役割として期待するところでもありますし、そういう形で旗を振っていただければ、それぞれのチェーンのつながるところがうまくいくのではないかと考えます。

三石部会長
ありがとうございました。
香髙委員、お願いします。

香髙委員
連携ということでお話しさせていただくと、先ほど山口委員からもお話がありましたように、産地間の連携、それから野菜との連携も、私も常々、非常に新しく重要な視点だと思っています。
特にこの果樹に関しては、先ほど輸出でも農水省の方がおっしゃっていましたけれども、なぜ産地間競争だけでとどまっているのかというのが、非常に疑問が強いところです。
消費者の側から見ると、例えば同じみかんにしても、どこのみかんというよりは、みかんはみかんです。
あと、もっと広く言うと、果物は果物です。
たまたま、それが季節ごとにいろんなものがいろんな産地から置かれているという状況の中で、やはりこの果樹の世界は、視野が非常に狭いまま、あるいは産地ごとの性質が異なるがゆえに、何か縦割りの度合いを強くして、発展してきてしまった業界ではないかと常々思っていました。
こういう今までの枠を超えた連携というのは、非常に重要な視点だと思っています。
今回、次の方針を決めるに当たって、何を求めているのかということを考えたときに、やはり果物をもう一度私たちの食生活の中の身近なものとするための戦略を今考えているのかなとい感じています。
そのためには、ここにも一番最初に消費関係というところを例示されていますけれども、もう少し、ここの議論の場にもそうですが、何かダイレクトに消費者の声を受け止める仕組みづくりを、果物の種類を超えてつくり上げる必要性があると思いました。
そこはまず仕組みをつくることによって、本当に現在の消費者が何を求めているのかということが、もう少し見えてくるというふうに思いました。
1つ、これ卑近な例で恐縮ですが、実は私、昨日、八百屋さんに買い物に行きましたが、みかんだけで5つの産地のものが売っていました。
3つの産地が一山580円、2つの産地が袋に入って550円でした。
この間、和歌山県に視察に行かせていただきましたけれども、和歌山県の産地では、とにかく糖度12度以上のみかんを出そうということで、それを銘柄にも味一という名前を決めて、一生懸命販売されていたり、あるいは大きさ、糖度別に分けて、いろんなグレードに分けて出荷されているようですけれども、実際に東京のとある八百屋さんの店頭で書かれていたのは、産地、名前のみでした。
大きさもなければ糖度もない。
いかに、いわゆる生産者の方々のご努力が最終的に、今の状態では─ごめんなさい、東急さんは多分やられていると思いますが、消費者のところにまでは届いていないというのが現状です。
やはり、情報の伝達が途切れているというところを、どこか一気通貫で風通しをよくするような取組をしない限りは、一生懸命、産地の方あるいは流通の方が頑張られていても、永遠にその価値を認めていただくということには至らないと思いましたので、それさえ分かれば、なぜ580円なのか、なぜ550円なのかということも、消費者は納得して買うと思いますが、そこが全く伝わっていません。
少なくともこの八百屋さんは会話ができる八百屋さんなので、「このみかん、どう違うの」って聞いてみました。
そうしたら、あと試食も3種類についてはできましたが、教えてくれたのは、「味が濃いのはこっち」というふうにある銘柄を教えてくれただけでした。
全くもって本当に残念な結果だったので、この辺の仕組みづくりというのが次の5年間なり10年間に向けて、きめの細かい対応が必要ではないかと思いました。
もう1点。
野菜との連携ですが、食べ方の提案も1つ必要ではないかと思います。
この間、アメリカに行く機会があって、ロサンゼルスの空港で時間を何時間も潰さなければならなかったのですが、そこにレモネードのお店がありました。
それはロサンゼルスの空港で一番大きなお店でしたが、席がとれないぐらい混雑していたのですが、何が置かれていたかというと、サラダバーでした。
サラダバーと言っても、日本にあるサラダバーではなくて、全部でサラダが10種類ぐらい、例えばマヨネーズなど、そういったものであえたようなサラダが、おかずのようなサラダから本当の果物まで、様々な種類のサラダが10種類ではなく、20種類ぐらい置かれていて、それを好きなようにグラムごとに、何皿分くださいという感じで消費者は買っていきます。
その多くのものに果物が加えられていました。
普通に果物と野菜が合わさったような新しい形のサラダ、別のものは果物とお肉がセットになっているようなものもありましたが、そういった新しい食べ方を、普通にそういう場さえ提供されれば、消費者は食べます。
それは日本人であっても普通に食べていたので、やはり果物は果物で縦割りにした売り方をしていては、消費は全然拡大しない。
もう少し新しい食べ方、ほかのものとの連携した食べ方を提案するとともに、身近に食べられるような、以前、山口委員がおっしゃっていましたけれども、果物バー、ジューススタンドではないですが、もう少しすぐに買えるという環境づくりを業界を挙げて工夫されれば、消費者はもっと食べるようになるのではないかと思いました。
そういう最終商品に近い部分の研究をもう少し力を入れていただけたら、いい結果が出るのではないかと思いました。

三石部会長
ありがとうございます。
非常に興味深い視点でご意見を言っていただきました。
私も気になったのは、生産者がいかに努力していても、その努力がストレートに消費者に伝わっていない点です。
ここは何でなんだという視点をやはりもう一度我々も考えてみる必要はあると思います。
やはりよいものであれば、それなりのお金を出して買ってくれる人もたくさんいますので、その部分をこれから我々がしっかり考えていかなければいけないと思います。
さらに、果物をもう一度我々の身近なものにするというのは、良いスローガンというか、良い響きがあると思いました。
さらに、食べ方の提案と言われましたけれども、これは、まさにほかのものとの連携です。
様々な知恵の出し方があると思います。
今日は、今までの2、3回に比べて様々なおもしろいご提案、それからコメントが出てきました。
ありがとうございます。
なおかつ、書きぶりがこれから難しいと思いますので、これを全部踏まえ、どうするかというところになります。
そこで、少しこの資料2をご覧ください。
これまで出た幾つものキーワード、それから今一番、生産者、それから流通業者、加工業者あるいは消費者が気になっているものを含めて、どういうふうにグルーピングしながら話をまとめていくかという形になると、もう一度部会を開催しないと厳しいと感じております。
実は、事務局と話をしていたときに、今日、論点を出すと様々なご意見が出てくるだろうと考えておりました。
それに基づいて一度、ドラフトを書き上げてみて、それをもう一度見ていただきたいと思います。
あるいは、1月末から2月初めの間にもう一度、文章でも構いませんし、それから直接事務方への連絡でも構いませんし、本日言えなかったこと、あるいは今日の議論を聞いて、こういうこともしっかり出しておくべきだというものをお伝えいただいて、その上で、この基本方針の骨子をもう一度お話したいと思っております。
選挙があり、企画部会で基本計画がありと、時間に追われることは間違いありませんが、拙速にするべきことではないと思います。
したがいまして、今日の議論・御意見も受け止めた上で、再度、修正のものを出し、最終的には3月、場合によると少し時間がかかってしまうかもしれません。
ただ、ここの部分はしっかりと押さえて進めていきたいと思います。
そのため、部会長からの提案として、部会の追加開催という形で、皆様にはお時間、お手間もかけてしまいますが、ご了解いただければと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、追加のご意見はございますか。
藪野委員、お願いします。

藪野委員
藪野です。
先月は和歌山にご調査いただきまして、ありがとうございました。
意見交換会では議論も多々ありましたが、多くのご助言をいただきまして、私としてはよかったと思っております。
タイミングよく述べさせていただけたらよかったのですが、この中で9ページの需給調整対策の円滑な推進という、こういうカテゴリーをぜひ盛り込んでいただくということは非常にありがたいと思います。
今日の資料には入っていませんが、論点整理の中に極早生みかんの調整ということで、その中に廃園等の支援というようなキーワードも入っておりまして、ここまで国の方針として切り込んでいただけるのかということでびっくりしたわけです。
今年はこういう早生の状況で大変だったわけですが、中でも品種によっては非常に成果があった品種もございました。
私どもの産地でも極早生を調整していこうということで取り組んでいますが、なかなか現場では進まない。
改植したばかりという場合があったり、なかなか品種を変えてしまうということが進まない現状です。
それを切り込んでいかなければならないと思いますが、また優良系統もこれから出てくるかもわかりませんし、ここの書きぶりを、国がコントロールしていただける内容ということであるならば、ちょっとそういう品種優良系統も模索の一つとして入れていただけたら、うれしいと思っております。
今後、こういう部分は産地間協力ということが大事と思っております。
以上です。

三石部会長
ありがとうございました。
大事なポイントだと思いますので、ぜひ事務局でもご検討をお願いします。
それでは、今日は本当に様々なご意見を出していただきました。
逆にここまで出てくると、今度は事務局を含めた我々のほうで、いかにドラフトを書くかということになります。
年末年始にみかんを初めとした果物をよく食べながら考えていきたいと思います。
長時間、ご熱心にご議論をいただきまして、ありがとうございました。
それでは、進行を事務局にお返ししたいと思います。

菱沼課長
本日は本当に長い間ご議論いただきまして、ありがとうございました。
多岐にわたってご示唆、ご指摘いただきました。
これは私の個人的な感想ですが、しっかりとしたスローガンを設けた上で進めていかなきゃいけないと。
そういったところで、キーワードとして連携というのが随分出てまいりまして、それは生産地、消費地間の連携、さらには産地間での連携といったようなこと、あと各分野ですか、消費、生産、流通、加工の分野ごとの連携といったものが非常に大きくなってきていると思いました。
いろいろとこの基本方針でございますが、果樹施策の5年間の方向性を取りまとめるということでございます。
そうなりますと、やはりこれから今後5年間の予算要求をしていかなきゃいけない。
そういった具体的な予算をどういうふうにつくっていくのかということを念頭に置きながら、我々はいろいろとつくってまいりたいと思っています。
今からはご連絡のお話でございますけれども、本日の部会の概要につきましては、部会長にご確認いただきまして、農水省のホームページに掲載するという予定にしております。
さらに詳細な議事録につきましては、前回同様、皆様にご確認いただいた上でホームページに掲載というようなことにさせていただきたいと思っております。
先ほどの資料2のところでスケジュールということでございましたが、1月末か2月初めに第5回というようなことで開催ということでご了承をいただきましたので、これについては後日、日程等を調整させていただきながらご案内申し上げますので、よろしくお願いいたします。
以上ですが、何かご質問等はございますか。
よろしいですか。
それでは、本日、長期にわたりまして、ありがとうございました。
これで第4回の部会を締めさせていただきたいと思います。
閉会させていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。