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食料・農業・農村政策審議会果樹部会 第4回(平成26年12月11日) 議事概要

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(1) 果樹農業振興基本方針に係る論点整理

(2) その他

事務局から、資料に沿って、これまでの意見等の整理と論点について、説明を行った。

三石誠司部会長から、資料に沿って、果実のバリューチェーン構築に必要な取組について、説明を行った後、質疑応答を行った。
主な意見は以下のとおり。

総論

  • 地域間の連携、都市と地域の連携、生産者と消費者の連携、野菜と果実の連携、他産業との連携等、従来はないような発想の「連携」を徹底的に考えることで、果樹農業が抱える課題解決の糸口になるのではないか。
  • 基本方針は今後5年間の国の施策の方向性を打ち出すものであり、生産者や流通業者、小売業者、消費者が何をするのか、具体性を持たせる必要。

 

消費関係

  • 総合的な果実の消費対策を具体化して、はっきりとしたイメージを作る必要。
    また、果実を嗜好品から必需品へと脱却することをゴールとして、野菜との連携等、異なる分野との連携を考えていく必要。
  • 小・中学校からの食育を通じて、味覚をしっかり育てることで、大人になってからも果実を食べてもらうといった、時間軸を意識した食育が重要。
  • 新たな基本方針では、果物をもう一度身近なものにするための戦略を考える必要。
    果物の価値に応じた価格で販売するためにも、果物の種類を超えて、ダイレクトに消費者の声を生産現場に届けるような仕組みが必要。
  • 青魚のDHAでは、消費者は魚を食べるようになるのではなく、サプリメントを摂るようになってしまったと聞く。
    β-クリプトキサンチンでは、消費者への情報発信だけでなく、生果の生産の影響を含めて、どのように機能性表示を活用していくか考えていく必要。
  • 生産者・消費者にとってメリットのある外食における原料原産地表示を検討する必要。
  • 生産者・流通業者・小売業者にとってメリットのある新たな機能性表示制度は重要であり、一貫性をもって、生産者にも平等に情報提供する必要。

 

生産関係

農業経営モデルの策定

  • 農家の段階別の具体的でイメージの湧く農業経営モデルを考える必要。
  • 果樹の特性に応じたキャリアプランを示すことは重要であり、また、生産と一体化した用途別の農業経営モデルを提示することが必要。
  • 後継者がいない農家は、収入が低く、担い手がいない。
    逆に、後継者がいる農家は、収入が高く、担い手がいる。
    生産・流通の取組によって、収入は大きく変わるので、経営力を向上させることが大事。

 

次世代への承継の対策の推進

  • 条件の不利な中山間地域で栽培される果樹は、結果的に経営資源や技術が途絶えがちなため、どのようにして担い手に引き継いでいくか考える必要。
  • 農業者の高齢化や輸入果実の増加、温暖化の影響が増大する中、大規模な園地の基盤整備により、コストを減少して経営を成り立たせることで、単なる後継者ではなく、産業としての担い手の確保を行うことが重要。

 

人的確保への対策の推進

  • 防除作業を共同で行ったり、外部委託する等、作業の分業化が今後、重要になってくるのではないか。
  • 果樹においても、畜産のように分業化を進めることで、省力化・大規模化が可能になるのではないか。

 

園地集積・規模拡大対策の推進

  • 販路や鳥獣害の問題がある中で、永年性作物である果樹の特性を踏まえ、規模拡大のイメージをより詰めて考える必要。
  • 高品質・良品・多収を目指そうとした場合、2~2.5haまではよい果実を生産できるが、それ以上に規模拡大すると加工向けの割合が多くなるため、6次産業化が向くようになるのではないか。
  • 果樹では規模拡大・農地集積が進みにくく、各県の農地中間管理機構でも果樹園地はほとんど出ていないのが現状。
    農地中間管理機構本体の問題というよりも、現場レベルでの調整をどのように行うかが重要。
  • 農地中間管理機構の活用については、中山間地域での栽培が多い果樹の特性を踏まえ、園内道やモノレール等の整備とセットで考えることが必要。
  • 単なる園地の受け渡しではなく、基盤整備等により条件を良くした園地を担い手に渡すような農地中間管理機構の活用を考える必要。

 

果樹共済等のセーフティネット対策の推進

  • セーフティネット対策については、農家の経営安定に向けて、より具体的なものを出していく必要。

 

新品種の導入、新技術の開発・普及

  • 消費者ニーズに応えるためにも、同一品種の改植、需給対策の改善を新たな基本方針においても打ち出すことが必要。
  • 条件の悪い中山間地から潜在力のある平坦地への園地の移動を進めており、生産力を向上させるためには、担い手確保や新植への支援が必要。
  • 水源確保等の基盤整備を進めることで、マルチドリップ方式やジョイント仕立て等の技術導入が急速に拡大すると期待。

 

流通・消費事情にあった需給調整対策の円滑な推進

  • 需給対策に関連して、極早生みかんの改植が進まない現状に対応するには、優良系統の導入や廃園、産地間連携の推進等も含めて、切り込んで考えていく必要。

 

流通関係

  • 産地も果実がどこでどう売られているかしっかり見てほしい。
    生産者から消費者に価値を伝える強固なバリューチェーンを築く必要がある。
    生産者と消費者のコミュニケーションを築くためにも、利害関係の絡まない国の役割に期待。
  • 国内流通においても、直接販売で全て対応できるかというとそうではなく、市場を経由していくものについても、消費者を意識した生産を行うためには、小売業者とどのように連携するかが課題。

 

加工・輸出関係

  • 加工関係の姿をもっと明確にすべき。
    野菜は加工業務用をしっかり位置づけできるようになった。
    果実も同様のチャレンジが必要。
  • ストレートジュースをつくる工場は規模がまちまちで各地にあり、ロスが出ている。
    これをまとめてジュースにすることで、ロス率を低減することが可能ではないか。
  • 6次産業化と輸出で農業の問題は解決できると安易に考える傾向があるが、これらは万能薬ではなく、品目別や地域の特徴を踏まえて取り組む必要。
  • 輸出の増大に向けて、今までと違う発想が必要と考えており、青果物の輸出団体の設立には注目したい。
  • 輸出相手国側の検疫強化等の情報について、国がリードして情報収集・共有や対応を行って欲しい。
  • 産地は輸出する場合も市場出荷と同じ感覚で出荷しているが、輸出に際しては、輸出企業や商社とどのように連携するかが課題。

 

その他

  • 部会長から部会の追加開催についての提案(第5回を1月末~2月初めに開催)があり、委員了承。

 

以上

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