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食料・農業・農村政策審議会果樹部会 第6回(平成27年3月18日) 議事概要

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(1) 果樹農業振興基本方針について

(2) その他

事務局から、資料に沿って説明を行った後、質疑応答を行った。主な意見は以下のとおり。

総論

  • 果樹は日本の農業のコアになり得る潜在力、機能性、可能性を持っている。20年、30年先を考えた時に、果樹は消費とうまく結びつけば、日本を代表する農業部門になる。今後、様々な関係者が連携して新たな基本方針を実行していくことで、果樹農業を発展させていってほしい。
  • 現行基本方針に書かれている施策は効果が上がっていると感じており、今後とも国の基本方針と産地の考えが乖離しないようにすることが重要。
  • 「連携」の視点に引きずられ、生産者への訴求が薄れている印象がある。生産者がより意欲的に取り組めるように、産地での周知を徹底していくことが重要。
  • 果樹は、議論が分野内で終始しがちになるため、どのように果実を販売するのか知見がある方が議論に入ることで、次回、よりよい基本方針ができると思う。
  • 果樹の分野は、スピード感が若干欠けていると感じる。日本の農業は米中心であるかが、今後所得を向上していくためには、野菜・果樹の栽培が重要であり、自信を持って世の中にアピールしてほしい。機能性成分については、果樹の分野は実力があるにも関わらず、大企業が行う速やかな集中投資に比べると、果樹の分野は追いつけないのではないかと心配している。  

 

果樹農業の振興に関する基本的な事項

1. 果樹農業をめぐる状況と基本的考え方

  • 基本方針の冒頭部分に「うんしゅうみかんの生産量が大きく減少する一方で、その他の品目は生産量が増加したものが多く」とあるが、自分としては昭和50年代以降ほとんどの品目で生産量が減少しているという印象を持っており、違和感を感じる。
  • 産地側からの新需要創出の推進という表現があるが、新需要の創出に際しては、産地から各段階の関係者が連携して、価値を運び生み出すバリューチェーンを構築し、それぞれの役割を発揮する必要。
  • 果汁についても、これからは1品目ではなく、それぞれの機能性を活かした複数品目のコラボレーションを進めることで、大企業のサプリメントにも負けないような商品にできるのではないか。

 

2. 消費面での対策の推進

  • 果実などの青果物を食べることを基本として、足りない場合にサプリメントで摂取するという考えが重要。また、科学的な見地に基づいて、消費を増やしていくことも重要。
  • 小学生までに果実を食べる習慣を身につけることが重要であり、果実を提供する側も、これを応援する取組を行う必要。
  • 消費の拡大に向けて、医師や有識者の方からのメッセージを出すことで、果実の必要性を訴えるような取組が必要。
  • ケーキや菓子との競合関係にある現状ではあるが、そのような見方はマイナスの概念である。消費者の購買力はあるが、今の消費者にとって、今の果実の売り方は適切でなく、ここに消費拡大の突破口があると思う。多くの関係者を巻き込んで考えていく必要。

 

3. 生産面での対策の推進

  • うんしゅうみかんやりんごは生産量が多く、関係者はそれらへの関心が高いが、消費者から見ると、他の果実の方が人気がある場合もあり、需要とのギャップがあると感じている。他方、政策的に果樹とは切り離されているいちご等のその他の果物の方が、いろいろな取組を行っている状況であり、果樹ももっと自信を持ってやってほしい。
  • 果樹経営キャリアプランは、若い方の希望となることから、良いものを今後策定されるよう期待する。
  • 現行の基本方針よりも、技術・開発を多く盛り込んでいることを評価したい。スマート農業、機械化なども取り入れながら進めていくことが必要。
  • 産地では耕作放棄化も進展しているが、不在地主が増えて、病害虫の発生源になるなどして隣の園地に影響を与え、問題となってきている。
  • 園地の規模拡大や生産基盤整備、再編整備は新たな基本方針にも盛り込んであるが、今後はこの方針の下、推進の引き金となるような施策を進めてほしい。
  • 永年性作物である果樹は、急激な経営の方向転換が難しいため、産地において、若い就農者をいかにして果樹農家として定着させていくかが重要。農作業の機械化が可能な大規模園地整備を国で進めていかなければ、若い担い手も定着しない。
  • 中山間地域では、高齢化等により一度離農して園地の手入れが行われなくなってしまうと、近隣の園地に病害虫が発生するなどの問題が発生する。50年、100年先の果実生産を見据えて、今後、誰が産地内の園地を見ていくのかといった、農業の根本に当たる部分の対応が明瞭になっていないのではないか。
  • 産地を元気にするためには、新植を行って新品種を導入し、生産量を増加させることが重要。また、主力となる品種も大切にしながら、加工も併せて考えることが重要。

 

4. 輸出面での対策の推進

  • 輸出促進の際は、国によって残留農薬基準やガイドラインが異なるため、そういった情報の確認も重要。
  • 26年産のりんご輸出は円安の影響もあり、これまで好調で来ており、過去最高となる2万6千トンの達成を見込んでいる。台湾のトキ、香港の王林など、海外での青森産りんごとしてのブランド力が浸透しつつある。他の産地が後に続くよう、産地としても輸出拡大を更に進めていきたい。

 

第4 近代的な果樹園経営の基本的指標

  • 果樹園経営の指標について、先進的な技術を入れたものとなっているが、平均的な労働時間や単収といった参考となる数値もあると、果樹農家が利用しやすくなるのではないか。

 

第5 果実の流通及び加工の合理化に関する基本的な事項

  • うんしゅうみかんの価格が崩れると、その他の果実の価格にも影響を与えるため、流通・小売段階の経営構造を切り込んで考える必要。本年産みかんの価格は10月に大きく下落したにも関わらず、市場価格はほとんど下がっていなかった。また、産地自らが策定する流通販売戦略については、結局、小売・流通業者に委ねることとなり、産地だけでは策定は難しい。
  • 市場流通について、かなり踏み込んだ形で記載いただいていることは評価したい。今後、市場流通をどのようにしていくか考えていくことが必要。
  • 農家が独自に販路を確保していくことは重要。卸売市場では、消費者の需要に応えられるように集荷や分荷の調整機能があり、いかにしてその機能を発揮していくか考えることが必要。
  • 果汁飲料は嗜好品であり、大企業の飲料でも3年保たない現状であり、ストレートジュースがいくらおいしいとしても、今後、どこまで販売が伸びるかは疑問もある。
  • 質疑応答終了後、部会長から委員に対し、今後の基本方針の取扱いを部会長に一任してよいか諮ったところ、委員から御了承いただいた。

 

以上

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