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農林水産省

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食料・農業・農村政策審議会 第2回企画部会 議事録

平成11年10月18日

農林水産省第2特別会議室

 

 

開会

 

部会長 時間になりましたので、これから会議を始めたいと存じます。

委員の皆様、本当に御苦労さまでございます。

ただいまから、食料・農業・農村政策審議会の第2回目の企画部会を開きます。

また、玉沢農林水産大臣が後刻お見えになりますので、その節には、その時点で大臣からのごあいさつを頂戴いたしたいと思っております。

前回の第1回の企画部会におきましては食料という問題につきましての御議論をしていただきましたので、きょうは農業について議論をしていただきたいと存じます。

 

資料説明

 

部会長 事務局から「農業をめぐる現状と課題」についての資料を提出していただいておりますし、また前回10月1日の企画部会で委員から御要求のありました資料につきましても提出していただいておりますので、まず、その説明をまとめてお願いいたしたいと思います。

事務局 今日配付いたしております資料は三つあります。資料1が「農業施策の現状と課題」、横長の表でございます。資料2が「農業をめぐる現状と課題」。3番目に、資料3といたしまして、委員要求資料のうち今回まで準備できたものをお配りしております。

それから、参考資料といたしまして、冊子になっております「農政改革大綱 農政改革プログラム」、もう一つは縦長の資料ですが、参考資料といたしまして、「農政改革関係の主要な検討会・研究会等の検討状況等」をお配りしております。

まず、資料1の「農業施策の現状と課題」について御説明をさせていただきたいと思います。この資料は農業施策全体の動向を網羅的に整理させていただいたものでございます。

農業施策につきましては幾つかあると思いますが、例えば農業経営基盤強化促進法に基づいて認定農業者への支援を行うという施策のように、数年前から既に実施してきている施策もありますが、このほか、薄紫色の冊子でございますが、昨年暮れにできました農政改革大綱に基づいて改革の方向が既にきちんと定められて実施されているもの、あるいは、この改革等によりまして方向が決まって制度改正などの作業をやっている最中のもの、さらに今後一層推進すべき施策、そして今後新たにやるべき施策と、いろいろあるわけでございますが、それをこの資料では全体的に項目ごとに網羅的に整理をさせていただいております。順番に上から御説明したいと存じます。

まず、1ページの主要農産物の施策ということでございます。これにつきましては、右から2番目の評価の欄にございますように、これまでいろいろな施策を講じてきているわけでございますが、「農業生産の可能な限りの増大に向け、一層のコスト削減、品質向上が必要」、あるいは、やってきている施策が「需給事情や消費者等のニーズが生産者に伝わりにくく、経営感覚の醸成を妨げている」、「内外価格差の是正につながらず、国産農産物の需要減少の一因」となっているのではないかというような評価になっております。

これについては、右側の課題の欄にありますように、今後の方向としまして、主要品目ごとの取組課題を明確して、その課題解決に向けた取り組みを強化する、市場評価を適切に反映した価格が形成される方向で見直しを行うということ、さらに、その見直しに伴う価格の大幅低落等が農業の担い手の経営に大きな影響を及ぼさないよう、あわせて経営安定措置が必要というようなことで、そういった方向に向けてやっていこうということで進めているところでございます。

品目ごとに申し上げますと、まず米につきましては、左側の現行の仕組みのところにありますように、食糧法に基づきまして施策を進めてきております。平成7年以来、食糧法に基づいて米流通の主体となる自主流通米について入札を通じた取引の指導価格の形成、それと需給品質評価を反映した価格形成、こういったものを図ってきているわけでございます。

さらに、その右の欄にありますように、平成9年11月には、新たな米政策大綱を打ち出しまして、値幅制限があったわけですが、それにかわる新たな需給実勢を反映する入札システムを10年産から導入しておりますし、その下の稲作経営安定対策というものも創設してやってきているということでございます。さらには、一番右の欄にありますように、農政改革大綱、去年12月の大綱に基づいて、自主流通米取引について市場実勢の一層の反映、稲作経営安定対策の定着、あるいは必要に応じて見直しを行うということにしているところでございます。

麦につきましては、現行の仕組みのところにありますように、いろいろと生産対策等々進めてきていると同時に、制度的には自由な民間流通を前提としつつ、生産者の申し込みに応じて政府が無制限に買い入れるという制度になっておりまして、これによって生産者の販路の確保と最低価格を保証しているということでやってきているわけでございます。

これにつきましては、評価の欄にありますように、品種選択、品質面において需要とのミスマッチが生じている、あるいは食品産業等のニーズが生産者に的確に伝わらないで、需要に即した生産を妨げるという状況にありますので、これにつきましては食品産業等のニーズに対応した生産を行うと同時に、地域の条件に適した合理的な作付け体系の導入・普及、そして制度的な面につきましては、自由な民間流通にゆだねて、生産者と実需者が品質評価を反映して入札により直接取り引きする仕組みの導入・定着を図っていこうということで進めております。同時に、生産者の経営安定等を図るための新たな措置の導入・定着も図っていこうと、こういうことで進めているところでございます。それから、水田の生産の定着・拡大に向けて安定した水田農業経営の確立ということも進めていこうということにしているところでございます。

大豆につきましても、現行の仕組みのところにありますように、制度といたしましては、大豆の再生産を確保するための交付金制度ということで不足払いの措置を講じているわけでございますが、必ずしも生産サイドと需要サイドの連携が十分ではない、あるいは実需者ニーズに応じた生産努力が促進されにくい状況にあるということを踏まえまして、生産面では担い手の育成と団地化による主産地を形成するということ、食品産業等のニーズに対応した生産、生産面で新品種技術の高位平準化による生産の安定化、それから、生産者・実需者の連携強化による安定的取引関係の構築というものを進めているところでございます。

それから、2ページにまいります。大豆の続きでございますが、一方で、生産者の手取りが平準化されるために生産者の努力の手取りへの反映が十分でないという面も現行制度にありますので、これにつきましては交付金制度の見直しを行うということと、これに伴う経営安定対策をあわせて導入するということを進めることとしているところでございます。それから、麦と同様、安定した水田農業経営の確立も図っていこうということにしております。

砂糖・甘味資源作物につきましては現在、糖価安定制度ということで、輸入糖から徴収する調整金と交付金を財源といたしまして、事業団による売買を通じて国内産糖の価格支持を行い、原料作物の最低生産者価格の保証をするということでやってきております。これに対しては、内外価格差の縮小に対する要請の強まりということも踏まえまして、課題の欄にありますように、生産コスト低減、安定生産に向けた基盤整備の推進とあわせまして、市場原理の円滑な活用を図り、砂糖の価格競争力の回復と需要拡大に向けた関係者の共同した取り組みの具体化、さらには最低生産者価格についてパリティー指数を基準とした算定方式を改定していくという方向で進めることとしているところでございます。

畜産物・飼料作物につきましては、制度的には、例えば加工原料乳について現在、再生産を可能とする乳価と乳業メーカーが支払い可能な基準取引価格、この差額について不足払いが行われております。これにつきましても、需給事情が必ずしも十分に反映していないという評価を踏まえまして、畜産振興事業団による売買操作等を廃止して、取引価格が市場実勢を反映した透明性の高い制度に移行するようにする。それから、生産者補給金制度については加工原料乳の生産者に対する新たな経営安定対策に移行するといったことを進めることとしております。

また、生産面につきましては、飼料作物の生産基盤の強化によって飼料自給率を向上させる。あるいは、各段階における衛生管理の徹底等によりまして、高品質、安全で、特色ある畜産物を生産するということを進めることとしております。

それから、(6)(7)(8)と野菜、果樹、花卉とありますけれども、これらの作物につきましても、それぞれ課題の欄に書いてありますように、安定生産体制の整備あるいはニーズに即した流通等々を進めることとしているところでございます。

3ページにまいります。3ページは担い手の確保でございます。この担い手の確保の一番左上に書いてあります件につきましては、農業経営基盤強化促進法が平成5年に施行されているわけでございますが、この法律に基づきまして農業者を認定して支援を図っていこうということで進めてきているところでございます。認定農業者数は、ことしの8月現在で約14万人になっているということでございます。

これにつきましては、引き続き経営感覚にすぐれた効率的・安定的担い手が農業生産の相当部分を担う農業構造の実現を求められておりますので、この認定農業者を始め意欲のある担い手の育成・確保をしっかり図っていくということで施策を進めていくこととしております。

それから、農業経営の発展というところに書いてありますように、担い手への農地の集積の推進あるいは経営改善の支援のための金融税制措置を実施しております。さらには、これまでも法人化の推進ということもやってきておりますが、これにつきましては、右の課題の欄にありますように、農業経営の法人化の一層の推進と法人経営の活性化ということで、制度改正を含めた見直しを行う方向で現在、詰めが行われているという状況でございます。

それから、幅広い担い手の確保につきましては、ここにいろいろと書いてありますけれども、新規就農者あるいは高齢者、女性、あるいは集落の営農形態の助長といったことを通じて施策を進めることとしておりますし、その中には農業に関する教育の実施ということで、小中学校の農業体験学習なども含めた農業教育の一層の推進も図ることとしております。

それから、一番下の農地の確保と有効利用の関係でございます。これにつきましては、農業振興地域の整備に関する法律が先の国会で改正されましたので、この改正も踏まえまして、右の欄にありますが、優良農地の確保のための基本指針を国がきちんと策定するということになっております。これを踏まえましてやっていこうということでございます。

それから、4ページでございます。農業生産基盤の整備でございます。これにつきましては、現行のところにありますように、いろいろな事業をこれまで進めてきておりまして重要な機能を発揮しているところでございますが、評価の欄にあるような事柄を踏まえまして、課題のところにありますように、環境との調和に配慮した事業展開、あるいは再評価の定期的な実施、費用効果分析の一層の活用、事後評価制度の導入ということで進めていくこととしておりますし、さらには土地改良制度をめぐる情勢がいろいろと変化してきておりますのを踏まえまして、土地改良制度の総合的見直しを行っていこうということにしているところでございます。

大臣がお見えになりましたので、ここで説明を中断させていただきたいと思います。

 

農林水産大臣あいさつ

 

部会長 資料説明の途中でございますが、先ほど申しましたように、玉沢農林水産大臣がお見えになりましたので、ここでごあいさつをちょうだいいたしたいと存じます。

農林水産大臣 農林水産大臣を仰せつかりました玉沢徳一郎でございます。一言ごあいさつを申し上げます。

21世紀を間近に控え、世界の食料需給は不安定な要素を有しており、我が国の食料自給率が低下している中で、国内の農業生産の増大を図ることを基本とすることが求められております。他方、我が国農業は、担い手の減少や高齢化、過疎化の進行などの諸課題を抱えており、大きな転機を迎えております。

このような認識のもとに先般成立いたしました新基本法は、21世紀の食料・農業・農村政策の指針となるものであります。その四つの基本理念であります、国民に対する食料の安定供給の確保、農業・農村の有する多面的機能の発揮、農業の持続的発展及び農村の振興に向けて、諸施策の具体化を力強く推進していく必要があります。

その際、私は、農業者、消費者など現場の生の声を最大限に尊重しながら、国民の皆様に信頼される政策の構築を図ってまいりたいと考えております。

また、来年から開始されますWTO次期交渉につきましては、新基本法で示されました理念も踏まえ、いずれの国にとりましても公平で公正な貿易ルールの確立に向け、我が国の主張が理解されますよう、力を尽くしてまいりたいと考えております。

この企画部会において御審議いただくことになっております基本計画は、食料自給率の目標を始め、新基本法に基づく施策の具体化計画という重要な位置づけを有するものでありますので、この部会の重要性は非常に大きいものと考えております。

大変難しく重要な課題でありますが、委員の皆様のそれぞれ御専門の立場からの十分かつ活発な御審議をいただき、国民の皆様から信頼される食料・農業・農村政策の基本方針の策定へ向けまして忌憚のない御意見を賜りますよう、心からお願い申し上げまして、私のあいさつといたします。

ありがとうございました。

部会長 どうもありがとうございました。

玉沢大臣におかれましては、公務の関係で御退席になられますが、御了承をいただきたいと存じます。

どうもありがとうございました。

農林水産大臣 よろしくお願いします。

 

資料説明(続)

 

部会長 引き続き説明をお願いします。

事務局 引き続き4ページの上から2段目から御説明申し上げます。

技術開発・普及につきましては、右の課題の欄にありますように、これまでいろいろな技術の開発・普及をやってきておりますが、特に現場レベルで達成されるべき技術水準を示す国全体の技術開発目標の明確化、そして生産現場に密着したきめ細かな普及活動の展開ということで進めていくこととしております。

それから、自然循環機能の発揮につきましては、平成6年度以降、環境保全型農業ということで推進してきておりますが、今回、先の通常国会で基本法の成立とあわせまして、農業の自然循環機能の発揮の観点からの、いわゆる環境三法、真ん中の欄の(ア)(イ)(ウ)の三つの法律ですが、これが成立しておりますので、これに基づいて施策を進めていくということで、この新しい制度の普及・定着を図っていくこととしております。

それから、農業災害補償制度につきましては、災害時の農業者の損失補てんということで安定のための制度が設けられておりますが、これも先の通常国会で法律の改正が行われまして、ここにありますような改正が図られましたので、この新しい制度の普及・定着、それから、更なる改善に向けた検討を進めていくこととしております。

それから、資材の問題につきましては、肥料、農薬、農業機械につきましては平成8年度に農業生産資材費低減のための行動計画が製造、流通、利用の各段階で策定されております。これに基づいて行動が取られているわけでございますが、これにつきましても、更なる取り組みの実施ということで施策を進めていくこととしているところでございます。

ここで参考資料のコピーの2枚紙をごらんいただきたいと思います。農政改革関係の主要な検討会・研究会等の検討状況等ということでまとめたものでございます。ここに掲げられている検討会につきましては、右の欄に書いてありますように、「(済)」と書いているもの、あるいはまだ検討中のものとありますけれども、取りまとめが済んでいるものにつきましては、既にそれに基づいて施策が実施されているもの、例えば一番上の遺伝子組換え関係の問題につきましては、この報告を受けまして実施に向けた作業に着手がされているということでございますし、2枚目の上から2番目の中山間地域等直接支払制度検討会の報告に基づきまして、12年度の概算要求が行われているということでございます。それから取りまとめの結果に基づいて制度化の検討作業が進められているというものにつきましては、例えば1ページ目の下から2番目の農業生産法人制度検討会の検討結果を踏まえた作業が今、進められているところでございます。

さらに、制度改善等に向けまして、引き続き検討が行われているものとしては、2枚目の上から四つ目の農業者年金制度研究会、あるいは下から2番目のかんがい排水審議会の検討会、こういったものがさらに検討会での検討が進められているところでございます。そして、最後の食生活指針検討委員会につきましては、今回の新基本法を踏まえまして、この検討委員会で健全な食生活に関する指針及びその普及・定着のための方策の検討が去る9月29日からスタートしているということでございます。

次に、資料2をごらんいただきたいと思います。今御説明しました資料1と若干だぶる点があると思いますけれども、かいつまんで御説明を申し上げたいと思います。

1ページ目の国内の農業生産の動向につきましては、前回も御説明したとおり、選択的拡大が行われ、今日、多様な広がりを持った生産の動向が進んできているということでございます。

2ページにつきましては、地域別、作物別の農業の動向について、左側の農家数、右側の生産額ということで見たものでございます。農家数につきましては関東・東山、東北、九州が数としては多いわけですが、北海道は農家戸数は少ないものの、右側の生産額ではかなりの額を占めているということでございます。品目別に見ますと、稲作農家の数がかなり多いわけでございますが、額で見ますと、ウェートは低くなっているということが見てとれると思います。それから、東北、北陸地域におきましては、稲作農家の割合が圧倒的に高いというのがわかりますし、北海道、九州では他の地域に比べて畜産農家の割合が高くなっているという状況がおわかりになると思います。この棒グラフの具体的なデータにつきましては、参考としてこの資料の36ページ、37ページに、具体的なデータそのものを掲げさせていただいております。

3ページは米の生産調整の推移、小麦・大豆の生産量の推移を掲げております。

4ページは、農業の担い手の動向ということで、高度成長に伴って農業部門から他産業の部門へ労働力が移動してきたということでございますが、右下の表でごらんいただけますように、5年ごとの人口曲線をごらんいただいても、農業者の減少と高齢化の進展の中で、昭和1けた世代のリタイアの時期が近づいているということでございます。

5ページは、我が国の農業経営の農地面でのハンディキャップをデータでお示ししております。国土面積が小さいということに加えまして、平坦な土地が少ないために農用地面積の比率がヨーロッパに比べても極めて低いという両方で、我が国の農地面積が非常に小さいということがおわかりになると思います。価格につきましても、諸外国に比べてかなり高いというものでございます。

右下の表は、我が国の農家の販売金額規模別に見た農家数と耕地面積のシェアです。販売金額500万円未満の農家が9割で、残りの四角で囲んでいる部分の販売金額が500万円以上の農家は1割ですが、販売金額のシェアでいきますと4割を占めているという状況になっております。

6ページでございますが、規模拡大の状況でございます。規模拡大につきましては、右上の表にありますように、北海道では昭和35年対比で4.5倍、都府県では1.6倍ということでございますが、特に土地制約の少ない畜産等につきましては規模拡大がかなり大きく進んでいるわけでございます。一方、そういった中でも都府県で3ha以上、北海道で20ha以上の農家のシェアは着実にふえてきているというのが見てとれると思います。さらに、作業受託という形での実質的な規模拡大も進んでいるところでございます。

7ページでございますが、先ほども御説明しましたが、農業経営基盤強化促進法に基づいて認定農業者が8月現在で14万になっているということでございます。

それから、8ページは農業生産法人の動向でございます。平成10年で、数で言いますと、5,246法人でございます。作目別に見ますと、畜産が一番多くて1,700法人、32.5%という状況でございます。

それから、9ページでございますが、新規就農者の動向でございます。新規就農者は右上の表でごらんいただきまして、ボトムでありました平成2年に比べますと、平成9年の数字を見ますと、一番上の新規就農青年(39歳以下)では約2倍強、中高年のところで見ますと、ボトムに比べますと3倍程度までふえているということでございます。それから、真ん中の表の農家子弟以外の新規就農者、いわゆる新規参入者につきましても、けた数は小さいですけれども、着実にふえてきているということでございます。こういった新規就農者に対しましては、研修等を進めてきておりまして、その中には、他産業からの参入者に対しても、就農準備校という形での支援体制が行われているところでございます。

それから、10ページでございます。農村の女性は重要な役割を果たしているわけでございますけれども、右の上から2番目にありますように、食品加工を中心として全国で6,000を超える起業活動が行われているということでございます。

それから、高齢者、65歳以上ということに受け取っておりますが、高齢農業者につきましては地域の農業生産活動、社会活動の両面にわたってリーダーとしての取りまとめ、あるいは軽作業で重要な役割を果たしているとされております。

それから、11ページですが、農地の動向です。農地につきましては、ピークでありました昭和36年は609万haあったわけですが、平成10年には491万haということで、2割減少しております。また、真ん中の表にありますように、耕作放棄地も中山間地域を中心にかなり増えてきているという状況にあります。耕地利用率も右下の表にありますように、100%を切る形になっているという状況にございます。

12ページ以降、今度は課題についての整理をしております。先ほど資料1で農業施策の全体の課題について幅広くごらんいただいたところでございます。右側に取組課題と書いてありますが、ここでは生産を中心とした課題を掲げております。こういった課題を明確にした上で、農業生産の可能な限りの拡大を図っていこうということにしております。そのために、こういった課題の解決を図ることによって到達可能な国内生産の水準を生産努力目標という形で策定いたしまして、その達成を目指して生産を展開していく必要があるということでございます。

13ページは水田を中心とした土地利用型農業の取り組みでございます。ことしの7月に、右側に書いてあります大綱骨子がまとめられております。水田における米の生産、水田における麦・大豆等の生産、これをあわせて所得の向上と安定した水田農業経営の確立を目指していこうということで、具体的な詰めの最終段階にきているところでございます。

14ページにつきましては、経営基盤強化促進法、先ほど御説明しました認定農業者の件でございますが、市町村が基本構想を立てて、それに即して意欲ある担い手の育成・確保を図っていこうということで進めております。

それから、右下の表にありますように、市町村ごとの新たな農地の流動化目標を設定するなどによって、担い手への農地の利用集積を加速化していこうということでやっていく必要があるということでございます。

15ページは認定農業者に対する支援措置の例としまして、金融、税制を掲げております。それから、左の(オ)にありますけれども、今後の農業経営のあり方については、望ましい姿を明らかにしていくことが重要だということで、効率的かつ安定的な農業経営の部門ごとの将来展望、いわば経営展望を示すということと、これらの効率的かつ安定的な農業経営がどの程度の数になっていくのかという、いわゆる構造展望を試算して示していくということにしております。これらを今後の農業経営を考えていく上での参考として示していこうということを考えております。

それから、16ページでございます。農業経営の法人化の推進と法人経営の活性化でございます。農業生産法人制度につきましては、その見直しを行うことが必要ということで、先ほども御説明しました右側の検討会の報告が7月に出されました。これを踏まえて具体的な見直しの検討を行っているところでございます。それから、左下にありますが、社団法人の日本農業法人協会も、この6月に設立されて活動を展開しているということでございます。

17ページでございますが、新規就農の促進でございます。これにつきましては、先ほども現状のところで申し上げましたが、農家の子弟あるいは農業外からの参入者、こういったことで就農の促進のための施策を講じていく必要があるということで、いろいろな支援策をやっているところでございますが、これをさらにやっていく必要があるということでございます。それから、農業教育の推進も課題であるということでございます。

18ページ、農村女性の参画の促進につきましては、(イ)にありますように、地域の方針決定過程等への女性の参画を促進するための目標を設定してやっていく必要があるということでございます。それから、加工等の起業活動への支援、家族経営協定の締結の促進、負担の軽減のための環境整備が必要ということでございます。高齢者につきましては、高齢者が持っている技術や能力を生かす形で、その役割の明確化とそれを踏まえた農業関連活動の促進を図っていくことが必要だということでございます。

19ページは地域の営農を支える多様な担い手の確保ということでございます。集落の形での営農が大きな役割を果たす地域があるわけですが、条件が整った場合には、右側にあります特定農業法人という法人に法人化を図りまして、税制上等の優遇措置を使って推進していこうということでございます。現在、47の特定農業法人ができております。

それから、20ページです。右上の農地保有合理化法人。これは農地の権利移動を仲介する公的法人です。それから、農業・サービス事業体。この農業・サービス事業体は、農家から委託を受けて農作業を行う事業体で、例えば酪農ヘルパーとか牧草の収穫等の作業受託を行うもの等があるわけです。こういった活動も進めていく必要があるということでございます。

21ページ、優良農地の確保については現在、農地法による転用許可制度と農振法の農振地域制度という二つで担保がされているところでございますが、22ページにありますように、先ほど申し上げましたが、農用地等の確保等に関する基本方針を今回、農林大臣が新たに策定することとなったところでございまして、右の法律第3条の2の3項にありますように、本審議会の意見もお聞きした上で、今年度中にこの基本指針を定めることとしております。9月6日の審議会のときに、農林水産大臣から諮問させていただいたところでございます。

23ページですが、耕作放棄については右側の発生要因、労力・受け手の不足、あるいは土地条件が悪い、未整備といった発生要因を踏まえて、受け手の育成あるいは土地条件の整備を行っていく必要があるということでございます。

24ページですが、基盤整備の状況でございます。農業基盤整備につきましては、これまでも計画的に実施してきておりまして、今日、重要な役割を果たしてきているわけでございますが、情勢の変化の中で、土地改良制度の総合的な見直しも含め、今後の展開方向について検討していく必要があるということで、右側の下にありますように、検討会で検討が行われているということでございます。

25ページは、先ほど御説明をしたのとダブりますので省略をさせていただきます。

26ページ、技術開発及び普及ということでございます。この技術開発・普及の問題は農業のベースになる重要な問題でございまして、生産現場に直結する革新的な技術等の早急な開発が強く求められております。右の図にありますように、こういった連携を図って進めていくということが必要だということでございます。

27ページ、その技術の普及につきましては、対象の重点化あるいはきめ細かい普及活動、あるいは試験研究機関・大学との連携強化による迅速な技術移転という趣旨で見直しを行っていくことが必要であるという状況でございます。

28ページから30ページまでは価格政策の見直しと経営の安定・発展ということで、先ほど御説明しましたので省略させていただきたいと思います。

それから、31ページの(キ)にありますように、当面、以上申し上げましたとおりの品目別の施策を講じていくということで見直しを行っていくということでございますが、経営全体を単位とした経営安定対策についても今後、これからやる施策の実施状況を勘案しながら、また諸外国の措置等も参考にしながら検討を行っていく必要があるということでございます。

32ページは農業災害補償制度、33ページは農業資材の生産・流通の合理化でございます。

34ページは農業の自然循環機能の維持・増進ということで、これは新基本法でも一つの柱になっているものでございまして、先ほど申し上げましたように、三つの法律が今回、成立したところでもございますし、この定着を図っていくということでございます。

資料2の説明は以上でございます。

次に、資料3をごらんいただきたいと思います。前回幾つか委員からお話があったわけでございますが、今回、それらのうち準備ができたものについて、きょうお配りをしております。

1ページをごらんいただきたいと思います。1点目は世界の穀物の地域別の需給構造ということでございます。右上の表にありますが、北米、EU、ロシアなど地域別の生産量、輸入量、輸出量、国内消費仕向量を穀物についてお示ししております。アジア、アフリカについては人口増加と所得水準の上昇に伴う1人当たりの消費量の増加により、国内消費仕向量が生産量を大きく下回っているということでございます。北米、EU、オセアニアにつきましては、生産量が国内消費仕向量を大きく上回っていて、輸出がかなり行われているということです。その結果、右下の円グラフにありますように、輸入を行っているのはアジア、アフリカ、輸出は北米、オセアニアというところが中心になっているということでございます。

それから、2ページは97年の国連のデータです。世界の穀物貿易の流れを輸出額ベースで示したものでございます。北米、オセアニアからアジア、アフリカへの輸出がかなり行われているというのがごらんいただけると思います。これを、その次の85年のものと比べますと、北米、EC、オセアニアから旧ソ連、東欧諸国への輸出が激減しているのが見てとれると思います。

次に3ページは飼料用米についてでございます。飼料用米につきましては、ここ数年、また増加傾向にありますけれども、一つの事例として、右側の二つ目に地域の例を示しております。地域的な取組といたしまして、生産調整助成金、国から出る転作の助成と、農業団体あるいは市町村の助成をあわせて飼料用の米の生産を行っているという例でございます。

それから、この飼料用米につきましては、その次のコスト比較にありますように、輸入飼料原料に比べて生産コストが10数倍という差があるわけでございます。もちろん、飼料用米については湿田でも作付け栽培が可能とか、通常の稲作と栽培体系が共通しているというメリットはあるわけですが、コスト面での問題点があるということでございます。

それから、そういったコスト面の状況を踏まえて、右下にありますが、研究開発ということで、超多収水稲品種の育成あるいは子実と茎葉全体を利用するホールクロップサイレージの利用促進のための品種開発も行っているという状況をお示しております。

事務局 前回の部会におきまして、委員から「農林関係のODAは必ずしも機能的に動いていない。送り出す人にミッションを明確に示していないからではないか」という趣旨の御指摘がございました。これにつきまして、お答えいたしたいと思います。

4ページでございます。食料・農業分野の国際協力について整理してございます。右の図にございますように、食料・農業分野の国際協力の体系は、そこにありますように、二国間協力、多国間協力、その他の協力と分かれます。

二国間協力につきましては、JICA、国際協力事業団が中心に行っております専門家派遣、中を飛ばしまして、プロジェクト方式技術協力、こういうものによる技術協力。それから、外務省が中心に行っております無償資金協力。それから、国際協力銀行。以前の海外経済協力基金でございますけれども、この10月1日から国際協力銀行となっております。この国際協力銀行が行います円借款等の有償資金協力。これらから二国間協力はなっております。多国間協力は、そこにありますとおりでございます。

5ページにまいりまして、食料・農業分野の国際協力の実施状況でございます。右の表に実績を入れてございます。技術協力といたしましては、毎年専門家派遣を1,400ないし500人出しております。これは農林関係でございますけども、全体からしますと、26%程度に当たります。4分の1ぐらいが農林水産業関係の専門家派遣による協力ということになります。なお、この1,400、500名のうち、6割弱が農林水産省の推薦によるものでございます。また、それの半分弱が現実の農林水産省の職員によるものでございます。

それから、プロジェクト方式技術協力としまして、80から90ぐらいの件数がございます。これは全体からしますと、4割弱ということになります。資金協力が10%程度が行われているということでございます。

6ページにまいります。このODAにつきましては、とかく非効率ではないかという御指摘がございました。そういうこともございまして、政府全体の問題でございますが、右に平成11年、ことしの8月10日の閣議報告によります政府開発援助に関する中期政策ということを出しております。基本的に、省庁間の連絡の場を拡充させるとか、効果的あるいは効率的な連携調整のシステムの確立を図るということが触れられております。

それから、下の方で、これまでは国別援助方針を定めておりましたが、それをさらに具体化いたしまして、国別援助計画を関係省庁との連携のもとに順次策定していくということにされております。なお、農林水産省といたしましても、農林水産分野で独自の国別援助計画を策定する考えでございます。

これが全体の閣議で報告されたものでございますが、国際協力の問題につきましていろいろ御批判あるということで二つの動きがございます。一つは円借款。御案内のとおり、これまでは経企庁、外務省、大蔵省、通産省、4省庁で行っておりましたが、この4省庁体制から、早い段階から農林省あるいは建設省等の専門省庁を入れた形での円借款の供与を行うという形の方向に持っていくということで現在、検討が進められております。

二つ目は、協力の評価につきまして、これまでは事後評価だけでございましたけれども、それを事前の評価あるいは事業中の評価にする。また、評価内容につきましても、これまでは定性的な評価でございましたけれども、数値を入れました定量的な評価にする。公共事業の費用対効果分析の手法を採用いたしました定量的な評価にするという方向がなされております。

最後に7ページでございます。委員から御指摘ありましたのはこの点でございますが、先ほど申し上げましたように、一つはプロジェクト方式技術協力、一つは個別専門家の派遣というのがあるわけでございます。

このプロジェクト方式技術協力の方は、右の方に書いてございますように、プロジェクト開始前、実施中、それから、終了後とそれぞれ、そこにありますような関与を農林水産省が出しております。プロジェクト方式は大体10人程度行いますので、いわばチームプレーということで、委員からお話ありました点は比較的少ないのではないかと我々は思っているところでございます。

ところが、その下の個別専門家派遣は、基本的に個人プレーとなりまして、その個人の能力によりまして、非常に評価される場合もありますし、委員から御発言ございましたような批判を招くような場合が多いということでございます。

これまでも、そこにありますような集合研修とか説明会というのは、専門家を出す農林省の場合ですと、専門家を出すか、独自でこういう説明会を行うとか、業務報告書あるいは総合報告書という形でフォローアップもしていたわけですけれども、これが必ずしも十分ではなかったというふうに反省をいたしております。

そういうこともございまして、左にございますように、今後、個別専門家派遣につきましては省内に国内支援組織を設置いたしたいということで、農林水産省の場合ですと、専門家派遣をするか、従来その国に行った経験のある者からなります国内支援組織を設置する。そして、協力内容や役割の徹底をさせる。派遣中におきましても、常時状況の把握をし、これまでの報告会は外務省あるいはJICAに報告しておしまいということだったわけでございますけれども、それ以前に農林水産省の専門家による報告会を求めるという形で改善させていただきたいと思っています。

最後に、これまでの協力活動の成果につきましては、必ずしも活用されていなかったという反省もございますので、データベース化をするという形で、次に行く人はそれを見れば必要最小限の情報が得られるような形で、速やかに改善させていただきたいと思っております。

以上でございます。

部会長 御苦労さまでした。

 

質疑

 

部会長 ただいままでの説明に対します御質問でも、農業問題全体に対する御意見等々、ぜひ御自由に御発言をいただきたいと思います。

委員 今、お聞きしていますと、全般的にこれまでもかなりよくやってこられておりますし、これからの方向もいろいろやっておられますが、私が企業を経営している立場から今の案を見ておりますと、少し総花的でめり張りがないような感じを受けるんですね。

私は、日本の農業を飛躍的に発展させ、例えば自給率を上げるという視点から切り込んでいくとすると、もっと焦点を絞って力を入れる分野をした方がいいんじゃないかと思うんですね。私の簡単な意見を申し上げます。

一つは、農業の経営の法人化と書いてあって大分進めておられますが、これを抜本的にもっと広くやると、力強くやるという方策をもっと考えられないかとか、あるいは狭い国土の中で農作物をやるにはバイオテクノロジー的なものをもっと取り入れて飛躍的な技術発展を図るようにもっと力を入れていくとか、少し革新的なことを思い切ってやるという案をつくった方がいいのではないかな。もちろん、今おやりになっていることは全部それぞれいろんな背景がおやりになっている、それはそれとして、少しめり張りをつけられたらどうかなというのが私の意見であります。

以上です。

部会長 ありがとうございました。

お答えというんじゃないかもしれませんが、農林省の方で何か御発言あればどうぞ。

事務局 前段の法人化の推進ということについて若干のお話をしたいと思います。

法人化の推進、データについては御説明のあったとおりで、ここ数年、飛躍的に増大をしております。そういう中で、日本農業法人協会が設立され、これからますます法人化が進行するという向きにあることは間違いないわけでございます。

その中で中心になりますのは、今の説明でもそうでしたけれども、これまで施設型農業についてはかなりの規模拡大とかなり発展が見られます。したがって、園芸部門、中小家畜の分野では、日本の農業規模は諸外国に比べてもそう引けを取らない。ただ、耕地利用型農業の分野において、規模においても、生産コストにおいても差があるわけでございます。その点について重点的な対策の強化が必要であるというのが私どもの考えでございます。

農地を、あるいは農地の権利を取得できる法人というのは農地法上、農業生産法人ということに限定されております。農業生産法人になりませんと、農地の権利を持つことができません。ここの分野につきまして、昨年の9月に報告がございました基本問題調査会で、もう少し農業生産法人の活動を活性化すべきであるという御意見をちょうだいしたわけでございます。今日の資料で言いますと、資料2の16ページでありますけれども、右側に農業生産法人制度検討会の報告ということで、四つの大きな改正点があります。

一つは法人形態要件。今まで農業生産法人というのは、現行要件のところにございますように、農事組合法人――これは農協法です――、合名会社、合資会社、有限会社に限定をされておりましたけれども、農業生産法人の要件を満たす法人として新たに、株式の譲渡制限はございますけれども、株式会社を認めることにし、その信用力、販売力、雇用力、それから企画力を拡充しようとしております。

それから、二つ目の事業要件。これらにつきましても、従来、農業と農業関連産業に限定されておりましたものを、農業と農業関連部門が5割以上あればよいということで、経営を手広くやることができる。構成員要件についても、これを拡大する。それから、企画力をつける意味での役員要件についても大きく改正をするということで、次の通常国会に農地法の改正をやろうとしております。

ただ、農地というのは非常に微妙なものでございますので、一たんこれが転売とか転用とか偽装とか、そういうことで棄損されますと、二度と再び農地がきちんと守れないわけでございます。あくまでも農地をきちんと耕してもらえると、利用してもらえるという条件のもとで農業生産法人制度の活性化をしようという方向でおります。

今までも相当の伸びを示しましたが、これからも飛躍的に農業生産法人制度、法人化が進むのではないかと私どもは思っております。

部会長 委員の御意見に一々お答えするというのも何なんですけども、一応、農林省の考え方も聞いていただければと思って申し上げたわけでございます。

バイオについてももっと力を入れろということですが、何かおっしゃってください。

事務局 おっしゃるとおり、日本の農業経営の隘路といいますか、限界制約を一気にということを考えますと、バイオテクノロジー等の先端技術開発は重要だと思います。

現在、例えば稲の遺伝子解析等は世界第一級の研究投資、また研究人員で取り組んでおりまして、かなり成果を上げておりますが、これから、一つは生産性の飛躍的な向上ですね。もう一個はクリーンで安全な農業技術への改革。それから、品質ですね。例えば日本の麦等は日本の気候条件からいうと、やや作りにくい作物であります。

そういった限界を環境に対する適応性を遺伝子解析、遺伝子組換えで是正するといったような品質の改善を大幅に図るような技術。それから、そのすべてを通じまして、農産物の遺伝子組換えに伴う安全性の確認と、これを柱にしまして研究投資等を強化してやっております。

事実上の日本の植物関係のバイオテクノロジーは農水省が引っ張っているようなところがございまして、文部省とか科学技術庁全体としては手薄でございます。そこで、2001年から政府の研究機関全体が独立行政法人という新しい仕組みを取ること、これをチャンスと考えておりまして、農水が中心になってオープン、開放的な運営をすることによって、他省庁あるいは外国とも手を結んで共通的な問題も含めて力を入れてみたいと思います。ただいまの先生の意見等も踏まえまして、独立行政法人の設計、これからの研究投資に生かしていきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。

部会長 委員、さらにアドバイスございましたら……。

委員 今、御説明を聞いて大分おやりいただいていることがわかりました。

ただ、私自身もせっかくここへ参画しておりますので、例えば農業経営の法人化について、我々企業側でもう少し考えてみる余地がないかとか、いろんなことは考えてみたいと、今のお話を聞きながら思いました。

部会長 ありがとうございました。

何か御意見ございましたら、お願いします。

委員 この費用と効果というものを私はいつも考えているんですが、いろんな施策を御説明いただいて、本当に御立派だと思うんですが、一体おのおのの施策の中でどれぐらいのお金が投じられているのかということを御説明いただきたいなということが一つです。

もう一つは、農業の法人経営というのは本当に効率的かどうかということにつきまして、私、個人的には疑問に思っています。それは何かと言いますと、中国の経営とか、昔のソ連のソホーズとかコルホーズという経営、あるいはアメリカの法人の経営というものは、果たして農業というものに非常にフィットしているかどうかというのは、少なくともソ連は失敗でございました。あるいは、中国もサラリーマン化した農業というのは、必ずしも農業の場合は適当じゃないというふうに私は思っております。特にアメリカの農業におきましても、あす雨が降って収穫に間に合わないというときは、夜中でもこうこうと電気をつけて砂塵を上げて猛烈な勢いで収穫、コンバインを動かしたりしているわけですね。

ソ連の場合、なぜ失敗したかと言いますと、あす雨が降ろうとどうしようと、9時5時男がやるわけですから、仕事しないで帰ってしまう。法人化というのはそういう部分が必ず残るわけであります。果たして、おてんとうさまを相手にする農業で、法人化したらどういう部分が効率的かという問題があると思うんです。

あらゆる種類の農業で法人化をすることが効率的かどうかということについて、どうお考えになっているのかというのをお聞きしたい。

もう一つ、穀物の世界的な需給というときに、最近、ソ連の穀物輸入がどんどん減っているわけですが、これはなぜかと言いますと、そのかわりに肉をどんどん輸入しているんですね。昔は、アメリカから相当飼料穀物を入れておりましたが、そのかわりに最近は鶏、ブロイラーを猛烈な勢いで輸入している。要するに、飼料穀物を輸入するかわりに肉を輸入しているということで、飼料穀物だけではなくて、必ずその裏にある肉の流通あるいは国際的な動きを見ておかないと間違うんではないか。

日本の場合も飼料穀物の輸入を減らした場合は、必ず肉の輸入が、その裏返しとしてふえてくる可能性があるわけであります。その辺の国際的な需給というものは、飼料穀物と肉と両面にわたって見ておかないと、世界の需給関係を見誤るのではないか。

以上、3点でございます。

部会長 今の御指摘、3点それぞれ農林省からお答え、あるいは現状についての説明をお願いします。

事務局 まず私の方から、予算がどんな状況かという御指摘がありましたので、農林予算全体を逐一説明できませんが、マクロの数字で申し上げます。

国全体の予算は、御案内のとおり、81兆何千億という数字ですが、農林水産予算の総額としては3兆5,000億円でございます。そのうち農業関係の予算総額としては2兆5,000億円。そのうち農業関係の公共事業の予算額は1兆1,000億円になっております。細かいデータにつきましては、余り冗長にわたらない範囲内で次回以降、お示ししたいと考えています。

事務局 二つのポイントから御説明したいと思います。

初めに、今私たちがしなければならないことは、総生産を増大させて足らざるものをつくりながら自給率を向上させるというテーマ、農業をやっておられる方がそこから所得を得てきちんとした生活ができるというテーマ、それから、人々が住んでいる農村地域社会が維持をされるという、この三つのテーマを実現させなければならないわけでございます。

そうなりますと、いわゆる法人だけで日本全国の農地を全部カバーできるということにはなりません。それから、地域地域で農業者だけではなくて地域に住んでいらっしゃる方々、農業者の方々でも兼業されていらっしゃる方々がいらっしゃいますので、その地域の特色に応じて地域の営農というのを考えていかなきゃいけないと思っております。

現実問題としても、農業生産法人というのは5,000足らずでございますので、300万農家ということに比べますと、それで日本全土を覆うわけにもいきません。それから、今私たちは経営基盤強化法に基づいて認定農業者制度をやっておりますけれども、14万の経営体です。これは各市町村長の構想でも30万から35万の経営体までしかアッパーでいきません。

そういう状況を考えますと、冒頭申し上げた経営体の所得の確保をして、極めて効率のいい農業をやるという方々は比較的シェアが小さい。その中で周りの地域社会全体がそれぞれ役割分担、大小相補という言葉がありますけれども、大きいものと小さいものとが相補って地域社会をつくっていく、そういう生産組織も必要でございます。この資料の中にも書いてありますけれども、これは各地域で行われております集落農場とか地域営農集団とか、そういうことでカバーをする分野であろうと思っております。

2点目に申し上げたいのは、法人は非効率なのかという問いかけでございます。日本の農業生産法人の大宗は家族農業そのものでございます。したがって、時間が来たからやめるということではなくて、家族農業ができるだけ効率的に農業生産とコストを下げて農業生産を増大させるような方式として農業生産法人という組織を選びましたので、5時になったからやめるということでは家族営農自身が成り立っていきませんので、当然のことながら、その日の収穫は雨が降りそうであれば急ぐとか手伝いを呼ぶとか、そういうことでやっていくものだろうと思います。かなり大規模化した経営も、家族農業経営のよさを生かしながらやると、地域に根差した組織としての農業生産法人というところが、あくまでも私たちの目指すところでございます。

事務局 エサか、それとも肉かという話ですけれども、結論的に申し上げれば、おっしゃるとおりというところであります。

ただ、これまでもずうっと御説明しておりますように、我が国の畜産の分野は旧基本法の時代に極めて見事に構造改革を実現してきた分野だと思います。酪農を含めまして、まずそういうことが言えるだろうということであります。

その背景には、まさに高度成長、それから国民所得の向上の中で畜産物の需要が急激に拡大してきたということでございます。例えば牛肉については昭和35年が14万7,000トンだったものが、141万5,000トンということで9.6倍、豚肉については13.7倍、ブロイラーについては17.8倍と、こういう形で需要が急速に拡大してきたということでございます。

ところが、こうした中で、国内生産も急激に拡大してきたわけですけれども、やはり輸入もふえてきております。重量ベースの自給率で言いますと、牛肉が昭和35年に96%だったものが、最近は4割を切るという状況になっています。豚肉は96%だったものが約6割、ブロイラーは100%であったものが大体3分の2という状況になっております。

いずれにいたしましても、安いえさを輸入してきて国内の畜産は、中小家畜を中心にして極めて構造改革を進めて生産性を向上させてきた。さはさりながら、やはり輸入需要も多くて、輸入もたくさんあって、自給率は徐々に下がってきているという状況になっているのが実態でございます。

ただ、ある意味で自由化されている状況の中で輸入がふえて自給率が下がってきているわけですけれども、それはユーザーが何を求めているか、少しでも安いもの、または安定的に供給されているもの、それから質も比較的まとまってロットがまとまっているもの、そういうものを求めるものにつきましては輸入品を求める。しかしながら、安全でいいもの、または個性的なものを求めるものにつきましては国産品を求める。こういうことで、輸入を求めるものと国産品を求めるものの間に、ある意味のすみ分けが見えてきている状況もございます。

したがいまして、ユーザーなり消費者が求めているものにいかに的確にこたえていくか、しかも、できるだけ効率の高い、生産性の高い、安定的な価格で供給していくかということが今後の畜産政策において求められているものだと思っております。

もう一つ、畜産の特色は構造改革がうまく進んだということと、畜産地帯と言われるように、特定の地域に畜産が極めて発展してきている。例えば酪農で言いますと、上位10県の乳用牛の飼養頭数が72.5%、肉用子牛の生産は上位10県で78%ということで、畜産地帯が比較的特定の地域にあるという事情もございますから、国内の畜産に頑張っていただかないと、地域経済の活性化においても問題が生じかねない。こういう事情にありますので、そういったことを考えながら畜産政策を進めていきたいと思っております。

結論的に申し上げますと、肉を輸入するか、エサを輸入するかというトレードオフの関係にあることは事実でございます。

部会長 ほかに御意見ございましたら……。

委員 農業の現場にいる者として、率直にお話をさせていただきます。

この農業をめぐる現状と課題、一見すると、確かに整理されておるんですね。ところが、私自身、農業の現場にいる者からすれば、まずだれが担い手になるのかということであります。今、水田でも委託に出そうとしても受けてくれる方がいないのが現状であります。ここで整理されておるとおり、農業人口の半数以上が65歳なんですね。そうしますと、間もなくその方々がリタイアするのは火を見るより明らかだという実態なんですね。

そういう状況の中にあって、認定農家が14万経営体あるという整理をされておりますけれども、このときに米をベースにしている方々がどれぐらいいるのか。私の知る限りでは極端に少ないかと思っております。その中で麦や豆を生産する、自給率を高めるということになりますと、どうしても米とリンクしていかなければならないということになりますから、だれが担い手になるのか。

今、お話の中で、いわゆる集落農業というお話もありました。実は私自身も20数年前から、そういった姿を構築してやってきておりますけれども、その当時、20数年前に構成したメンバーがそのままやっているというのが現状であります。したがって、それだけでも対応できないときに、果たしてだれが担い手になるのか、これが最大の課題だと私は思っております。そのところを今後どう整理するのか、お聞かせをいただきたいと思います。

さらに、麦・豆をつくるというときに、水田を巧みに活用するということであるならば、水田は水を使うわけでありますけれども、麦・豆は水は比較的多く要らないということからすれば、水田の汎用化をぜひともやり遂げなければ、とてもじゃないが、年に必ず100mmや150mmの雨が一気に降るわけですから、今のままでは壊滅的にだめになってしまうという状況であります。汎用化したのは10%未満の水田かと思うときに、これを今後どうするのかだと思っております。

それにも増して、いわゆる品種改良ですね、これをどうするかなんですね。この点でまだまだ出てきてないですね。バイオとかいろいろありますけども、現実的な麦あるいは豆等々の成分の含有も大きな課題になります。それから、日本は四季折々という言葉がありますけれども、ややもすると梅雨期に麦の収穫が重なるということからして、これをずらす手立てを講じていかないと、根本的な生産は可能にならないと思っておるところであります。

さらに、そういう状況の中で、これもいろいろ御検討いただいておりますけれども、生産者はいかに生産性を高める努力をするかは当然にしても、再生産ができるような体制を構築いただかなければ、これは絵にかいたもちに終わってしまう。

要約すると、だれがこの担い手になるんだと。もちろん法人も必要かと思いますし、集落農業も必要かと思いますけれども、それだけでは、とてもじゃないが、水田という水を巧みに使うというときに、これは大きな課題になるかと思います。現場からの現状を率直に報告させていただき、願わくばお答えをいただきたいと思います。

部会長 ありがとうございました。

幾つか現場を踏まえての御意見がございましたが、どうぞ。

事務局 私の関連するところは三つぐらいだと思うんですが、委員のおっしゃったとおりであります。

まず、担い手の問題で認定農業者を例に取られましたけれども、現況14万経営体ですね。その中で稲作の単一経営は14万のうち14%、1万7,000経営体ぐらいです。準単一複合経営ということで、稲作プラスほかの作目をやっていらっしゃる方が20%、2万5,000経営体。ですから、両方合わせますと、34%ぐらい、数で言いますと、4万2,000経営体ぐらいが稲作を中心とする認定農業者になっております。

もちろん、認定農業者というのは地域における他産業従事者に比べて遜色のない生涯所得と労働時間ということですから、稲作プラスアルファという方がやりやすいことは事実でございます。

今、市町村長さんたちが立てている構想では、最終的な目標数字が30万ぐらいの経営体をつくりたいということでありまして、もう既に立派な経営体として成立していらっしゃる方も合わせますと、35万ぐらいがこのベースになるのかなというふうに思っております。

それから、集落営農の問題は、先ほどもお話し申し上げましたけれども、これという形に地域の農業経営を画一的に固めてしまう必要はないんだろうと思います。日本はかなり大規模な東北、北海道から、兼業が進んだ北陸とか滋賀県とか、西の方の畜産経営というふうに、それぞれ違うわけですので、その地域に応じて、みんなで一緒にやる集落経営もあれば、ある特定の農業法人がその集落全体を引き受けるよという形もあれば、個別の農業者がそれぞれ立派な経営をする東北とか、それぞれの地域にあわせた選択をすべきだろうと思います。

三つ目の水田の汎用化の問題です。これは非常に重要な問題でありまして、280万haの水田について、僕らは平成18年度を目標に75%の圃場整備率にしたいと思っております。現況56%です。そのときに一番やらなければならないことは水の管理です。つまり水位をコントロールできるような水田にしませんと意味がないわけです。

といいますのは、1年に2作取れる、あるいは2年で3作取れるという米と麦あるいは大豆と麦、さらには米・麦・大豆の循環をするときには、裏作をしっかり麦でカバーしてもらいませんと自給率も上がりませんし、所得も上がらないわけです。そこを埋めるためには水のコントロールができなければ意味がないということで、現況は汎用化がまだ不十分なわけですけれども、これからの圃場整備はそこを中心にやりたいと思っています。それから、既に圃場整備が終わったところでも、排水路その他の補完的な事業を入れて水位のコントロールができるような事業も、12年度の予算も要求しておりますし、水田の汎用化、乾田化、水位のコントロールは一番力を入れてやりたいと思っております。

事務局 品種改良について、ごく簡潔に説明させてください。

おっしゃるとおり、麦につきましては、かなり収量もございますけれども、できたものの品質が麦を買う立場の実需者の求める品質とギャップがあります。これは先ほど説明があったとおりです。そのギャップについて大幅に縮小するということを最大の目的にしまして、平成11年、ことしから3年間の緊急プロジェクトを組みまして、九州と関東では収穫期を1週間早める。九州でも5月31日までに収穫ができるような麦ができるということ。

それから、最終的には消費者のニーズなんでしょうけど、全般的に実需者は、かためのバネのあるようなうどんをつくるということで、オーストラリアから混合した麦、ASWという標準品を輸入しています。ASWの品質は評価点で言いますと、80点なんですね。今の国産麦は大体70ちょっとなんですよ。それを80点に近づけるということを3年間でやりたいと思っております。

そういうこととあわせまして、雨が降ると穂が発芽してでんぷんの構成が著しく悪化するような麦の特性ですね、穂発芽という問題とか、水田でつくる大豆の湿害の問題ですね、ああいったものについては、先ほど話したように、こういう品種改良だけでは打開できませんので、遺伝子組換え等で大豆あるいは麦の本来の性格を遺伝子的に変えていくというようなことをあわせまして、両方の道で水田作における麦と大豆が円滑にいくように戦略を考えているところであります。

部会長 ありがとうございました。

専門委員 最初に全体の感想でございます。委員が最初におっしゃった印象と私も同じような印象を持ちまして、これはかなり総花的な感じがしたわけでございます。ただ、資料1がありまして、これである程度構造がわかるかなという気もしないではないんですけれども、少しストラクチャーがはっきりしないということが1点。

それから、特に資料1、これはこれでいいんですけれども、政策ごとにかなりボリュームが違うものがあるはずなんですね。中には、事実上やっていないというものもあるわけなんです。そういう意味で、大局観を得るためには、こういう資料だとなかなか難しいということがございます。それから、何が新しいのかというあたりも、よく読めばわかるのかもしれませんけれども、もう少しつかみやすいプレゼンテーションをお願いできればと思います。

少し具体的なお話を申し上げたいんですけれども、一つは資料2の13ページの転作の問題であります。これは、もう既に30年間、苦闘を続けている分野だと思いますので、いろんなことをやられているとは思うんですけれども、私はまだ弱いという印象を持っております。どういう意味かと申しますと、5年、10年先の落ちつきどころを見た土地利用のビジョンをはっきりする必要があるのではないかと思います。

申し上げたいことはいろいろございますけれども、1ないし2点のみ申し上げます。

今、転作は96万ha、ノーマルな状態より少し多いと思いますけれども、この中には実質的に収益性の高い作目が定着していたり、水利施設も事実上廃棄されているようなものもあって、短期的に稲づくりには戻りようのないものがあるかと思います。こういう水田あるいは転作田が一つございます。

もう一つは、今、転作が行われていても、例えば凶作がきた次の年には、また生産を回復するというような形で、毎年の需要量よりはもう少し余裕を持った稲作可能な水田が必要であって、絶えず復帰する、場合によっては飼料米なりをつくることがふさわしいタイプの転作田と、もう一つ、その中間にあるような、今は減反政策の対象になっているけれども、できれば稲以外の作物を定着させたい。恐らく、この三つぐらいのカテゴリーに分かれるんだろうと思います。

そのあたりのビジョンをはっきり示すことと、もう一つは、これまでの転作政策の一つのデメリットといいますか、私は必ずしもよくないと思っておりますのは、2年ないし3年という短期の政策を更新、ころがすような格好できているということがあろうかと思います。私は、今申し上げました、既に稲作から相当離れた土地利用が定着しているようなものについては、このあたりで完全に減反、生産調整の世界からは外してしまうということがあっていいだろうと思います。3番目の転作を定着させていいところも、ある一括の支払いということが必要であればやっていいと思いますけれども、むしろ永久転換型のものに移していく必要があると思います。

これはいろんな意味がございまして、先ほどおっしゃいました整備、基盤整備の方針を長期的にどう立てるかという問題、あるいは減反、生産調整の問題は特に現場の行政あるいは農協の方も含めて、非常に大きな人的なコストがかかっているわけでございまして、こういったものを軽減するためにも5年、10年かけてマイナスのないような状態をつくり出すプログラムをそろそろきちんと考える必要があるのではないかと思います。ちょっと長くなりますけれども、それが1点でございます。

2番目は、資料2の21ページ、農地の確保及び有効利用ということでございます。ここの説明は、私は納得がいかないところでございます。これは現状認識の問題でございますけれども、農地法と農振法によって優良農地の確保の制度がきちんとある、担保されているという御認識と、この最後にデータもございますけれども、農業振興地域制度により優良農地の確保が図られていると言えるということでありまして、横に数字があるわけでございます。全体で40万haぐらい減少していて、そのうちの農用地区域が20万haございます。

これは比較の基準をどう取るかによって確保されていると判断するかどうかということがございますけれども、例えば農用地区域を見ますと、細かな話になって恐縮でありますが、63年ということであれば、毎年1万やそこらの拡張があったはずだと思います。最近、これは非常に少ないと思いますけれども。そうしますと、ネットで言いますと、本来、農用地区域として指定されていたところで、いわば転用された部分は、この20万haよりは相当大きいだろうと私は推測するわけでございます。

あれやこれや見てまいりますと、実は全体の農地の中でのかい廃率と農用地区域、農振区域内のかい廃率というのはそんなに違わない。このデータ自身であっても、20万haのかい廃ということ、転用ということについては、とても優良農地の確保が図られているという状況にはないと考えております。さらにデータを加えるならば、もっと厳しい認識が出てくるのではないかと思っております。

私自身、農地制度なり、ゾーニングの制度について、この際しっかり考えるべきだと思っておりますけれども、その出発点として、現状の農地の確保についての認識がいささか甘いのではないかという感想を、このページについては持った次第でございます。

それから、もう一点のみ。28ページあたりから、価格政策の見直しの説明がございます。この説明自体について特に異論があるというわけではございませんけれども、価格政策の見直しによって質的な多様な農産物にきちんとした評価が与えられるといった、そういう質的な変化というものが起こってくるという非常に望ましいことだと思います。もう一つは、お米に典型的でございますけれども、全体としての価格のレベルが変化しているということがあるわけでございます。

後者について、先ほど委員から政策の費用対効果ということをおっしゃいましたけれども、政策の性格を示すという意味でも、例えばお米であれば、この政策の転換によって、消費者が特に問題でございますけれども、米価がどの程度下がって、そのことによって消費者全体としてどれくらい家計が潤うことになったのか。一方では、これで生産者はかなり苦しい状況もあるわけでございますけれども、それがどの程度になっているのか。そこに対して、政策として経営安定対策を立てて、これは生産者の拠出もあるわけでございますけれども、しかし、財政からも支援をしていくということがあるわけでございます。

こういった政策への資源の投入も含めて、政策の効果はある種の大きなバランスシートとして描き出して、中身をわかりやすくするというのは、こういう発想があっていいだろうと思います。これは、お米あるいは価格政策の見直しのみならず、特に経済的な側面の強い政策については、ほとんどについてそういうことが言えるのではないかと思います。

少し早口になって恐縮でございますけれども、以上で終わります。

部会長 最後の費用対効果の話はなかなか難しい話だと思います。もし努力をしてできるものなら、この次、何かペーパーを出していただければと思います。

それから、その前の21ページのペーパーについての御疑問について、今答えられることがあれば、どうぞ。

事務局 最初の転作の関係につきまして御説明いたしたいと思います。

これから新しい方向づけをしながら、これからの新しい姿を示していかなければいけないわけですが、13ページにございますように、二つの柱、一つは米の計画的な生産の推進ということ、もう一つは水田農業経営の確立、特に自給率の低い麦・大豆等の振興、定着と、こういう二つの柱で、これからの対策を組もうとしているわけでございます。

順不同になりますが、この対策については、御指摘のように、ある程度中長期をにらんでしっかり腰を据えてやっていただけるような枠組みをしっかり打ち出していくことが重要であろうということで、従来、ともすれば二、三年で枠組みが変ってきたというところは、その反省も踏まえまして、ある程度、5年なり先をにらんだ形でしっかり取り組んでいただける枠組みにしていこうということを基本に据えて現在、検討しておる段階にございます。

そういう中で幾つかの問題の指摘がございましたが、転作面積の関係について申し上げます。御指摘のように、一定の定着が見込まれる部分、確かに永年作物への転換ですとか、収益性の高い野菜等への転作部分は、かなりの定着性が高いという見込みが立つわけでございますが、そういうところも踏まえながら、これからの麦・大豆というものを一方でしっかり定着させていくためのいろんな施策の集中の仕方をどうしていくかと、そういうあたりが一つの検討のポイントになっておることは事実でございます。御指摘のような方向も踏まえて、これは検討を急ぎたいと思っております。

もう一つは、大きな姿での土地利用型のビジョンというお話でございます。転作ということについては地域全体の取り組みということが非常に重要でございまして、地域地域の計画の積み上げということがスタートとしては重要な点になってくると思いますが、その総体としての土地利用あるいは生産全体のトータルの生産というものはどうなってくるか、こういう問題は非常に重要な点でございまして、これは作物全体の生産目標との整合性の問題が一つあろうかと思います。

そういうところになってまいりますと、これは次の生産対策の枠組みというものを、あるいは転作の枠組みというものを12年に向けて、今すぐこの秋には打ち出さなければいけないという時間的な制約がある中でスタートすることになりますが、いずれ大きな国全体としての作物全体の生産目標との調整あるいは、そのすり合わせといいますか、そういうところがいずれ必要になってくるんだと思うんですが、タイミングがちょっとずれておるという点が一つあろうかと思います。

その辺は、実はこの生産調整、新しい今回の土地利用型農業の確立というものについて、ある程度、従来の蓄積等も踏まえながら円滑な移行というところも一つ重要な視点としてあるものですから、その辺で枠組みを打ち出してまいりますが、いずれそういう点での全体としての国の土地利用型ビジョンとしての調整と申しますか、そういうものは少し時間をかけて図られる必要があろうかなという気がしておるところでございます。

それから、行政面あるいは団体の方のいろんなコストという御指摘もございました。これも新しい対策の中では、できるだけコストがかからない姿と申しますか、事務的な面での簡略化なり、そういうことについてもできるだけ折り込んで考えていきたいと考えておりますが、いずれにいたしましても、これまでのかなり長い蓄積のある事柄ではございますが、ここで考え方、思想を13ページにあるような形に、例えばネガからポジへの転換とか、もろもろの思想の転換も含めて新しい対策として中長期をにらんで打ち出すというところが重要でございますので、その際に現場のことも考えて、できるだけ円滑に次期対策に移行できるように、その辺も考慮しながら検討してまいりたいと思っております。

部会長 残されたきょうの予定の時間が50分しかないものですから、御質問で答えた方がいい問題もあるんだろうと思いますが、時間が残れば答えていただきます。

できるだけ全員に御発言いただいた方がいいと思いますので、御質問に対するお答えは次回までということで、今日は御発言の方を優先していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

委員、どうぞ。

委員 先ほど担い手のお話が出たんですけれども、私もそのことについて……。

この30年間、日本中をずうっと歩いてまいりまして、そこで見たこと、聞いたこと、感じたことが今の私の視点になっているんですけれども、今回の新農基法は、頭に食料・農業・農村というキーワードが置かれたということは大変大きな意義があり、変化だと思います。

国民全体の文化という言い方が陳腐かもしれませんけれども、そういう農業という考え方が反映されているということは、消費者とか生産者ということを除いて、国民一人一人にもう少しアピールしていけたらいいと思いますし、木村尚三郎先生も農の時代がやって来るとおっしゃっております。そのとおりだと思います。

特に26条ですね、女性の参画ということ。私の周りでも農業を本当に共に考え、一人一人が地道ながら着実に実践している女性は、農業だけではなくて、農山漁村の女性たち、本当に知恵のある仕事を私は見続けてきたわけですね。そういう意味では、女性の社会参画、女性の役割を正当な評価と期待が折り込まれたことは、私は非常にうれしいことです。

そういう中で、男女が社会の対等な構成員として、あらゆる活動に参画する機会を確保することが重要であるという条文が明記するもの、これからの農村の担い手、活性化するだろうことは私も本当に念願してやまないんですけれども、実際に女性がどのような活動をしているか、またその活動に何がネックになっているか、例えば一つの例だけを申し上げます。

農林水産省でもグリーンツーリズムという造語をつくって中山間地、農家民泊ということを打ち出していらっしゃいます。私も毎年、農村の女性30人をお連れしてヨーロッパの研修旅行を、これで6回目しているわけですね。各国それぞれの事情が違うわけですけれども、今現実に、そういう女性たちの環境整備、農家民泊をしようと思ったら、正直に申し上げて、法整備をしていただかない限りは不可能なんですね。消防法とか、旅館業法とか、法の目をかいくぐってやっているというのが現実なんですね。

そういう意味で、もう少し細やかな法整備をまずしていただきたい。ですから、グリーンツーリズムに関してのみ言えば、もう少し彼女たちの起業精神を……。実務的に動けるような法整備をしていただくことによって、彼女たちの未来地図が照らされるだろうと私は思います。

何点かあるんですけれども、私はきょう、この26条、こういうことを入れていただいたということを感謝申し上げると同時に、さらに、18ページに書かれているだけではとてもとても足りないですので、具体的にどのように、例えばの話、グリーンツーリズムでも結構ですが、法整備をなさっていただけるのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。

部会長 ありがとうございました。

専門委員、お願いします。

専門委員 たまたま委員のお話に非常に関係があるので申し上げたいと思います。

安全性ということを中心にして、農業に限らず、ありとあらゆる生産に対する消費者の関心が今ほど高まった時代はないように思うんですね。例えば、これは異常なくらいになっておりまして、この間の臨界事故の場合でも、あの近くにあった納豆屋さんのつくった納豆で、事故の発生前の納豆を全部売り場から引っ込めるとか、そういうちょっと異常なところまでいくほど消費者からの要求も強いし、我々、その対応にも非常に困るわけなんですが、消費者の生産の安全ということに対する関心が高いのに対して、どうも農業が十分にこたえていないような気がするんです。

畜産も水産も余り多い方ではないのですが、それでも若干はあります。畜産の場合ですと、ハム総メーカーや乳業メーカーと私ども小売業、スーパーマーケットなどがタイアップして、例えば「ママとルンルン夏休みツアー」なんていうのを私ども企画しておりまして、メーカーと私どもが半々旅費を負担して、工場見学に行って、帰りはどこか公園で遊んで帰ってくる、お母さんと子供を無料招待というようなことをやっているわけです。一般の消費財メーカーの場合には、私どもだけでも40社ぐらいと20年以上にわたって続けています。

畜産、水産に若干ある程度ですが、農業となると非常に少ないですね。八ヶ岳の高原野菜の産地を見に行ったことがあるかもしれませんが、それが精いっぱい。この辺は、例えば農業のときに、小売業が、どんな農家を対象にして、いつどのようにしてやったらいいかもよくわからないというところがあるわけです。

先ほど法人化の話で、法人のイメージが委員のおっしゃることとお答えとが少しずれていたような感じがありまして、法人化というと、かなり大きな企業化、先ほどサラリーマン化してちゃできないというお話もあるわけですが、そういうことを考えるわけですが、少し大きな受け手があれば、今のようなことも考えられるかもしれないけれども、その辺のところがない。農協さんの方も少し頭を切りかえてもらわなければ、なかなかそういうところにいかないということがあって、消費者が農業というものを知るチャンスが非常に少ないわけです。

それから、もう一つの例を挙げておきますと、私、遺伝子組換え表示の委員会も1年半にわたって、その議論に参加させていただいたんですが、これがよくわけのわからないと言うと大変失礼なんですが、難しい委員会でして、安全だということを厚生省が言っているものを表示するかどうか、表示したら、それは買わないよという前提に立っている漫然とした不安にこたえるという委員会なんで、よくわからないんですが、私どもの会社のモニターの女性たち何組かに遺伝子組換えのことを聞いてみましたところが、結論的には、「何のことかわからないんだ。新聞読んでもわからない。わからないから、気持ち悪いから買わないんだ」ということを言っているわけですね。

もし国が、あるいは農水省と厚生省が、これを安全だと思うなら徹底的にPRすべきであって、そのことをはっきりさせないまま表示をどうするかということを論議しても仕方がないというふうに私は考えたものですから、この委員会は非常に難しかったんです。

特に消費者団体の方も含む社会のオピニオンリーダーに対して、非常に具体的に情報を開示して、この中身を徹底してPRしてもらいたい。もしリスクがあるなら、このくらいリスクがあるんだよということも含めて話し合いをしていかないと、21世紀、最も重要な技術だろうと思われるバイオテクノロジーに対して、いたずらに日本国民がこれを排除していくということは本当に国益としていいのかどうかという問題もあるわけです。

以上、いろいろあるわけですが、先ほどのグリーンツーリズムとも若干関係はあると思うんですが、農業に関するPRとか教育とかいうことが、これだけの項目の中に独立項目として入ってこないほど、国民とか消費者というものに対して向かっていないんではないか。要するに、生産、つくっていく方だけ考えていればいいよということだという感じがするんです。

先ほど担い手がなかなかいないんだということですが、担い手を得ようと思ったって、PRをしなければならないわけです。例えばテレビドラマで、あるいは映画で農業のすばらしさをバックにしたドラマが展開されるということが意識的にも行われなければならないと思うんです。自動車教習所だって、食品スーパーだって映画になる時代に、農業は全然映画になっていないというのも……。なっているかもしれませんが、余りそういう話題作も聞いたことがないということで、PR精神とか教育精神とかいうものが欠けているのではないか。もっと重点を置くべきではないかと思います。

以上です。

部会長 ありがとうございました。

委員 もう話が出ていることですが、違う見方で、例えば担い手もそうですが、ほかもみんな過去のデータばっかりで課題が書いてあるんです。多分、担い手はこれから何年間でこうなっていって、その分を法人で抱えてとか、そういうプランをお持ちなんだろうと思います。まだ、その段階じゃないのか、あるいは、もう少し何回か重ねた後、そういう話が出て提案につながるのか、この辺を伺いたいと思います。少なくとも、そういうシナリオが見えないと、私のような素人には、いいのか悪いのか判断がつかないので、こういう感じがいたします。

それから、重点的にやるというのは私も全くそのとおりで、抜本的にやることと、ちまちましたのを積み重ねないと解決できないという問題と、当然あるはずで、その辺は書き分けていただければいいと思います。抜本的なことをやれば全部解決するほど簡単な話じゃないでしょうから、こういうことは抜本的なやり方で解決し、こういうのは非常に難しいけども、こういう努力を積み重ねざるを得ないという話があるのかなという気がいたします。

それから、全総のときも議論したんですけれども、言葉が適切じゃないかもわかりませんが、非常な過疎のところ、棚田のところ、こういうところの高齢の方々の生活を何とかしなければいけないという、やや福祉的な話、もちろん環境上の話もあるんですが、そういう話と、そういう方が30年、40年たっていなくなったときにどうするかという話は多分違う施策なんだろうという気がします。この辺もよく見えない、理解ができないという気がいたしました。

それから、土地改良が一番典型的だと思うんですが、私も含めて都会の市民の単純な想像は、あっちこっちで休耕田があり、人がいないと言っているのに、何で水をもっと足すのかとか、何でまだ道路をつくるのかという疑問なんですね。それにスパッと答えないと、なかなか理解を得るというのも難しくて、それを環境とかグリーンツーリズムという、これはこれで大変重要で魅力的ではあるんですが、それで農水省の政策が全部信任を得るということはあり得ないので、厳しくても、ここはこういうところで、変なところで、この変なところはこう直すし、変じゃないところはこういうふうにやっていくというところをクリアに出さないといけないんじゃないかという気がします。

私自身、社会基盤整備は全く同じような問題があって誤解を受けている部分と、明らかに変なことが混在しているのをどうやって直すかというところに一番努力をしているところでございます。そこをクリアにしないのはやや問題かなという気がします。

最後、今日もそうですが、素人で余りわからないながらに乱暴なことを申し上げて、国際協力で御迷惑をおかけして申しわけなかったかと思います。

ただ、全体の3分の1とか4分の1とか、こういう数がありきでは多分ないはずで、ぜひきちっと評価をされて、数の維持ではなくて、本当に重要なことをやっていくということをお考えいただくのがいいかと思います。そういう意味で、国別のああいうプランをおつくりになるのは大変いいことかと思います。

もう一つ、私自身も発展途上国に行って思ったことは、ほとんどの前任者が「君、安心していいよ。余り働かなくてもいいよ。安心しなさい」と言って送り出しているんです。これはお聞きになれば、すぐわかります。それを見て、前任者がやったことは後任者はすぐわかります。もっと楽にして、この程度のことしかやらなくていいのかといったら、頑張るわけがないんですね。そういう意味で、経験者に教育させるというのもいいんですが、抜本的にビヘイビアを変えるようなことをお考えになる方がいいと思います。

私が見ているのはほんの数カ国です。しかしながら、事実です。間違いなく信じがたい日本人がいます。そういうことの情報がきちっと入っていないとすると、これは非常に問題で、別に農水省だけではなくて、ほかもみんなそうです。

私自身、大学にいて、そういう人たちを何とか元気をつけて、一生懸命働くためにできないかというようなことを毎月集めてはやっています。なかなか大変なことではあるんですが、意思はみんな持っているんです。ただ、どうやっていいかがわからない。それから、確かに支援体制もない。

こういうことですから、管理するという格好じゃうまくいかないと思います。これも言葉が過ぎるかもわかりませんが、今のJICAのバックアップシステムはほとんど管理しようとしているんです。悪い人がいたので、そういうことが二度と起こらないようにとやっていくわけです。これはものすごくディスカレッジします。何かやろうとすると、常にその管理に引っかかっちゃうんですね。したがって、結果が問題ですから、やる気を出してやれるようにするのにはどうしたらいいかということをお考えいただきたい。

やることは簡単でして、明らかにしっかり働いてきた人はたくさんいますから、そういう人たちを集めて、何が問題で、どうやったらいいかということを議論すれば簡単に答えは出るだろうと、私はそんな気がします。

ちょっと長くなって恐縮です。

部会長 ありがとうございました。専門委員。

専門委員 生産の方からお話をしていきたいと思います。

一つは、さっきお話が出ていましたように、農地の確保という問題で、平場で土地改良やったところがかなり転用されていますし、我々、高速道路通ったり何かしますと、随分もったいないなというところがつぶれているので、それなりにきちっと法令は守ってやっているわけですけれども、一方で、条件不利地域といいますか、山の方はどんどん放棄地が出ている。何となく釈然としないというところがあるので、今度の場合には、その辺をきちっとしていこうということですので、大変結構なことだなというふうに……。まず場を確保するというのが第1だと思います。

もう一つ、自給率のアップにつながるということになると、どうしても麦・大豆・飼料作物というところにいくんだろうと思いますが、それで幾つか申し上げたいんです。

一つは、この中にもありますけれども、需要と供給のミスマッチという、これは制度の問題としてあったわけでございまして、だんだん是正されてきていますので、これからは余り問題がなくなるんだろうと思うんですが、例えば大豆を契約栽培でパッとつくろうとしても、なかかなできないと思うんですね。あるいは農家の方も、行政、県の方も、自分のところでつくった大豆が幾らで売れているかというのを御存じのない方が大半なんですね。何となく交付金とまぜこぜになって一緒に通帳に入ってくるというのはわかりますけれども、一体幾らで売れているのかと県別に見てもかなり格差があるんですね。それで、いいものをつくればというような形になかなかなっていかない。この辺は今度の制度改正でかなり是正されてくるんだろうと思いますので、大いに期待をしたいと思います。

2番目として、生産量が今までふえたり減ったりという生産量の増減ということがこの資料の中にも出てきますけれども、それはなぜかという要因をきちっと見ていただきたい。大きいところは価格とか転作奨励金の裏づけがどうなっているかとか、技術の問題とか、いろいろあると思うんですね。需要の問題は天井がうんと高いですから、これは余りないのかなと思いますが、やっぱりもうかるかどうかというのが一つの物差しかなと思いますが、増減というものを、自然現象でありませんので、十分要因を分析されるというのが、この次からふやしていくというときに役に立つんではないかなというふうに思います。

3番目に、麦と大豆というのは米に比べると、いわゆる農家の間の収量格差あるいは地域における収量格差って、物すごく大きいんですね。コシヒカリというのは非常につくりにくい品種だということだったんですけど、最近は、農家に聞いてみますと、あのぐらい楽な品種はないという答えが返ってくるぐらい、大変マニュアルがきちっとできています。それも県別とかそういう大きな範囲ではなくて、物すごくきめ細かいマニュアルを指導者がつくっておられる。それで農家の方も習熟をしているという問題があります。

そういうものに比べて、麦・大豆というのはまだまだ格差が非常に大きい問題がございます。これは技術の問題だけじゃなくて、農家側の意欲の問題もあるんですけれども、その辺を縮めていくことが大事かなと思うわけですけれども、これは普及の問題とかいろんな問題があると思います。

それから、さっきお話がありましたが、技術がどんどん高度化するに従ってと言いますか、基礎的なものになればなるほど、現場との間は非常に兵站線が伸びてきます。ですから、その間をどうやって縮めていくのか、また研究できちっとまとまったものをどうやって早く現場におろすのか、そういうことが非常に大事になってくると思うんです。パソコンなんかは自分が覚えたころには、全く新しい機種が出るというので、あんなに早くなくても私はいいと思っているんですけれども、そういう感じがいたします。できるだけ縮めていく努力をする必要があるのではないかと思います。

4番目ですが、酪農なんかで極端な例なんですけれども、大変いい経営をしておられても、ある日突然、農家の方と言いますか、酪農家の御主人が亡くなったり、あるいはやめたいということになって、ある点でパッと切ると、物すごい借金が残るんですね。破産してしまうという格好になります。

ただ、それを継承していけば優良経営がどんどん残っていくというのも非常に多いので、北海道あたりでは、そういう場合には公社で買って新しい人に売り渡すということもやっていますが、酪農とかそういうことだけじゃなくて、これから稲作でも相当大型の機械を買ったりして投資をしていくという経営がふえてきますので、安心してそういう投資をするためには、何かあったとき、あるいは自分が経営をやめるときに、子供さんが継げば一番いいんですけれども、そうじゃない場合に継承していくような仕組みをつくっていかないと、思い切った投資ができないんではないかなという感じがしております。

5番目に、いつも経営モデルというのはこういうところは出てくるんですけれども、まだ余り出てこないんですが、もしおつくりになるんでしたら、今のいろんな経営の実態をよく調査されて、実態にあったものをつくっていただきたいなと思います。シミュレーションが猛烈に精密にできるんですけれども、そのとおりにやっている経営というのは余りないんですね。トラクター1台でこれだけできますといっても、実際の農家が2台ぐらい持ってやっているとか、いろいろありますので、実態にあったモデルをつくって参考にしていただくというのは非常にいいんではないかというふうに思います。

以上が生産面でございますが、今、担い手の話が一番大事だというのが出てきますけども、担い手の問題というのは結局、農業の動向と言いますか、農業の姿が鏡になっているんだろうと思いますので、そこをどうやって立派にやるかということだと思います。

また、今の職業選択、若い方が大きな企業に勤めても3分の1ぐらいやめてしまうというような状況があるので、全体として流動化しているし、職業に対する考え方も、いい学校に行って、大きな会社に行けば、生涯楽に暮らせるという感覚でもなくなってきていますので、こういうときにいろんな支援体制を取っていくということで、ある意味では非常に新しい形の担い手が生まれてくるのではないかなというふうに期待をしております。

お答えは結構でございます。さっき座長がおっしゃいましたけども、みんな国会答弁になれているような方ですので、何を言ってもお答えが出てくることはわかっています。これはディベートではなくて、いろんな方の意見を集約して将来に備えるということだと思いますので、聞く方を主体にしていただければありがたいと思います。

以上でございます。

部会長 委員、お願いします。

委員 私も、この農業をめぐる現状と課題を全部拝見いたしました印象としては、「はい、そうですか」ということでして、非常に身近な問題として、ピッとして、なるほどそうなんだという感想が持てなかったのが正直なところでございます。

農業問題で言えば、問題は個別的なことが非常に多いというように私自身は思っております。したがって、よかれあしかれ、どんな制度でも、つくった以上、画一的にウワッとやってしまうという、その矛盾を少なからず現場から聞くことがあります。例えば転作用地でイチゴ栽培をしたんだけれども、そこで加工したり、施設内で販売をしたり――いわゆる産直です――、そういう形で扱ったがために転作奨励金がおりないとか。

それから、これは畜産なんですけれども、畜産と農業を両方やって循環をしてやっていこうということで調整していらっしゃる。自然保護、自然を大事にした農業という形でもやっていたい。だけれども、家族経営でやりたいというわけですね。その農地内に加工工場、ゲストレストランを建てようと思ったならば、これは畜産地域なんでしょうか、いわゆる優良農地の転用は許可されなくて、それが実現するまでに県庁だとかいろんなところを駆け回って5年かかったという話を聞いています。

それから、新規就農者。これは当然農地がないので借りて米をつくっていたわけですけれども、転作ということになると、まず地主さんはそういう農地から転作に回していくわけですね。したがって、お米がつくれなくなっちゃって、田圃がなくなってしまった。

あるいは、ちょっと時間はかかるんですけれども、グループで2時間ぐらいのところに田圃を貸してもらって、一生懸命生産をしていた。やっぱりそこも稲作の調整対象になりまして、もう貸せないということになって、せっかく今までやってきた努力は水の泡という、非常にがっかりした。がっかりどころか、非常に落胆をしているという。

個別的に言いますと、こんなケースがしばしばあります。もちろん、個別ケースをそれなりに認定していくということはちょっと不正な部分が発生しやすいところでもありますので、非常に用心しなければならないことではありますけれども、そこをうまく公正な形で認定できるような仕組みをつくって、小さな芽でも今や大事に育てていかなければならないというのが農業の実態ですから、そのあたりはフレキシブルな政策の運用をやっていくということが非常に大事ではないかと思います。

もう一つ、人材育成の件です。先ほど担い手はいませんよとおっしゃられて、私たちはどうすればいいのと言いたかったんですが、じゃ、どうすればいいのかということをもっと真剣に私たちのところで議論しなければいけないんであって、担い手がないから、行政はどうしてくれるんだということではだめだと思っています。

それで、担い手は少ないですけれども、決してなくはないです。非常に元気に農業をやっていらっしゃる方はたくさんいます。その方たちに伺うと、よそ者と女性と若者が元気なところは地域も非常に元気で、元気な農業がやれている。先ほど言いましたけども、よそ者に対する手当が必要であるということと、女性をもっと登用するべきだと思うんです。

女性のグループの方たちだけで、しかもずうっと農家で育ったんではなくて、普通の家庭から農家の夫と結婚して、野菜づくりのグループをやっていて非常に成功している女性グループだとか、加工食品に挑戦して起業家として成功している女性のグループだとか、とっても元気な女性の方たちに会うことが多いんですけれども、そういう方たちが政策提案の場できちんと起用されているかと言いますと、そういう場には必ず夫が出て行くというんですね。

それで、ある女性のグループの方たちは、これでは余り不公正だと思うし、実際に私たちも一緒に働いて、平等に働いてやっているわけだから、半分は行く権利があるんだ、行って意見を言っていく権利があるんだといって、夫と交代でそういういろんなことを話し合う場に出ていくということを取り決めて非常に元気にやっています。

そういうふうに頑張らなければ、そういうことができないということでなく、実際に担っている女性を政策決定の場あるいはいろいろな農業組織の場で活用していくということは担い手の育成と、やはり楽しい農業をやっていれば、後継者は自然にできるんですね。嫌だ嫌だ、苦しい苦しいと言っていると、やっぱり育っていかないということだと思いますので、そのあたりが大事なことではないかなと思います。

部会長 ありがとうございました。

専門委員 3点ぐらいお話したいんですが、まず先ほどから担い手問題で私どもの農業法人の仲間で今、法人協会も先ほど御紹介いただきましたようにやっているわけですが、それに私、どうしても私たちの思いを述べさせていただかなきゃならない。

二人の委員から推進論と不安論をいただきまして、両方当たっています。私、30年間、法人経営にこだわってやってまいりまして。したがって、なぜ私どもの仲間が30年、家という単位の時代にこだわって、その時代にもかかわらず、こだわって法人を推進してきたかということをお話し申します。

1点は、今の日本社会は家という経営単位から、もはや家という単位から個人という時代を迎えているということを私たちは大きく受けとめておかないと、担い手問題は大変な問題になってくるんだ。家は崩壊したとは言いませんけども、家ではないんですね。したがって、それが1点。

それから、先ほどからも出ておりますが、農地と経営を一体的継承していくということが非常に重要なんですね。相続で農地だけばらばらにして子供たちが取るでは、農業経営なんか成り立たないわけです。したがって、そのためにも法人化というのは我々守るべきだと思ってきたということです。

3点目は、したがって、個人の単位ということになれば、若者のニーズは、先ほど委員もおっしゃいましたけれども、いつ給料くれるのか、明確なルールがないとね。夜中まで働くというのが農業なんです。私も生命産業は家族経営が理想だというのは嫌というほどわかっているわけです、我々は。しかしながら、これだけの担い手になったということは、それがいい。それと、女性の地位向上は、我々になりますと、部長であるとか、役員にちゃんと登記されるわけですね。そういう点。それから、家族経営がうまくいくには、それを束ねる集落という機能が非常に重要なんですね。だから家族経営はうまくいくんです。

ところが、その集落生産機能が衰退しているから大変なんですね。この辺で法人化というのも考えざるを得なかったということであります。それと同時に、経済が発展いたしまして、もう家族で……。アメリカなんかは今、お話が出ましたが、大変な大平原にいろんな人種の働く人がいるというところではないんですね、日本は。非常に安全で、安定した社会だということからも、私たちは今、仲間たちは法人というものに、一翼を担わなければならないなと思っているということです。

先ほど人民公社やコルホーズだめだったじゃないかと。これは公共経営でありまして、今の鉄鋼も自動車産業も家電もスーパーもみんな法人なんですね。だから、委員がおっしゃるのはちょっと違うんじゃないか。これは公共経営。だから、第3セクターは私は疑問視しているんですよね。これは公共ということであります。

余りこれに長く触れますと……。ただ、当事者ですから、お許しください。

ということで私がきょうのテーマで3点ほどお話し申し上げたいのは、農業経営のこれから、農業政策を考えていくときに、行政政策推進についてちょっとお願いがあるんです。

先ほどからもお話したように、個人を単位とした時代が来た以上はどうしても、これは私の愚痴かもしれませんが、専業経営の立場から見ると、今までの政策視点は家、集落、団体がしているんだから、重要だと思いますが、これプラス人という、個人をプラスした政策推進の視点を置かないと、なかなか難しい時代が来ているということが1点。

それから、古くから戦後、私たちは農業をやってきて、自立経営の育成、中核農家、認定農業者、今現在法人まできているわけですけれども、こういう場でお話すると元気が出るんですが、地域に帰りますと、兼業農家の育成になって、兼業農家は蔵が建ち、家が直るけれども、専業農家は田圃を売りそうなとか、先ほど御心配いただいたような借金まみれであるというのが事実、ここをどうするか。ここは大きな課題なんですね。

それに伴いまして、我々、愚痴じゃないんですが、法人はうまくいっていないよと、事実でありまして、私どもも戦後、1haからの拡大であって、ほとんど負債で拡大したんですね。それに対して、今までの農業概念ではスケールメリットがなかったんですね、資本主義社会においても。ここは借金したけど、スケールメリットがない、規模拡大したけど、これはなかなかしんどいといって、したがって、自己資本がためられない、だからいつもこういう文書で、情けないと思うのは、常に大規模農家は危ないから何とかしとかなきゃいけないよという言葉が出てくることに私は少しさみしさを感じているわけでございます。

先ほど15ページにもありましたように、スーパーLだとか手厚い制度はあるんですけれども、債務保証能力からチェックされますと、どうしてもすばらしい制度が有効に使えない状態でありまして、その債務保証ということが今みんな悩んでいるところでございます。

それから、3点目。今一番私たちが気にしておるのは消費者。先ほどから御意見出ましたけども、消費者ニーズが非常に多様化している、そのとおりであります。しかしながら、今の日本の流通の考え方は、日本のお米という概念、一元集荷、多元販売ということであります。これは必ずしも悪いと言っているわけじゃないんですけれども、多様化した消費者に対して日本のお米では自給率は上がらない。やはり多様化した集荷と多様化した販売システム、流通をこれからうまく組み上げるかが非常に重要ではないかと思います。

それと、もう一点は農地の利用。これは委員もおっしゃいましたけれども、私も現地で農業をやりまして、兼業農家の方もホビー農業の方も、我々法人の方も、農地がばらばらに入り組んでおるんですね。ですから、幾ら優良農地でも、その使い方、その利用の仕方を間違えるとリスクの農地になっちゃう。こういうことを現場で感じておりまして、利用区分の法制化、団地化が、これからの大きな課題ではないかと私は思っております。

以上が私の意見ですが、先ほどの皆さんから激励のお言葉をいただいて、みんなに伝えたいと思いますが、法人化をしまして一番苦労しているのは、経営管理費が表に出たんですね。家族経営の場合は、食事のとき会議ができるんですよ、最高会議が。寝室でトップ会議ができるんですね。こんなすばらしい経営はないんですね。私たち朝礼をやるたびに、2.2人役がコストがかかってくる。この辺をやめていくと、若者は嫌っちゃう。この辺をよく理解して御指導いただきたいと思います。

以上です。ちょっと長くなって失礼しました。

部会長 ありがとうございました。

専門委員 時間がないようですので、簡単に申し上げます。

資料1に現状と課題をまとめていただいていますし、その他全体の資料もまとめていただいているんですが、先ほどの委員の意見とも関連するんですが、全体見まして、政策、価格政策、制度、こういうものが一つ大きく転換点を迎えて、国の方からも出されてきているわけですね。書かれておりますように、新たな米政策大綱でありますとか、麦の民間流通でありますとか、大豆も交付金制度にかわって経営安定対策でありますとか、こういう制度的なものは非常に出されてきている。

これは実需者とのミスマッチを解消するとかそういう意味で必要なことだろうと思います。ただ、生産者としては苦渋の選択をしている部分もありますし、改めて刺激を受けてやる気になっている人も出てくると、いろいろあると思います。

問題は、資料2の3ページにもありますけれども、コシヒカリなんかがずうっと進められた結果として、裏作の麦・大豆が減っていったという形で耕地利用率が減少したわけで、そういった問題に対して、これは麦・大豆の品種の問題あるいは栽培技術の問題、そういったものの研究もおのずと減っていったと言いますか、力が官民とも抜けていったと言わざるを得ないと思うんですね。こういうものは、あるとき一気に変えるとか、なかなか難しい問題で、蓄積がなければできないという問題だと思います。

私も、この企画部会の任務と言いますか、目的が、いずれ作目ごとの生産努力目標を策定するということに意見を申し上げなければいけない。こういうふうになりますと、政策的なことはある程度出されていますけど、技術的な問題ですね。

先ほどいろいろ御答弁もありまして、そういう方向が示されているわけですが、問題は、例えば5年先とか10年先を見込んで生産目標をつくっていくとする場合に、例えば麦で言いますと、ここに言う地域の条件に適した合理的な作付け体系なり品種の選択といった問題とか、大豆でもここに書いてあるような耐冷云々の栽培技術の高位平準化による生産の安定化といったような課題とか、えさ用の米の生産対策といった問題、ある程度先の時間を目標設定した現場に直結する革新的な技術の早急な開発というところですね、こういう言葉が使われていますが、そういうことにつながるものが示されていかないと、現実的に実現可能なものに裏づけされないなと思って、実は私どもも非常に悩んでいるところであります。その辺を次回に少しお話をいただければありがたいなと思っています。

以上でございます。

部会長 ありがとうございました。

専門委員 時間がございませんので、2点ぐらい、これはお願いといいますか、この現状と課題に基づきまして意見として言わせていただきたいと思っております。

1点は農地の問題であります。特に農地確保の問題で、資料の11ページに推移等がありますが、いずれにしても、490万ha、この40年間に227万減って、拡張が107万したということで、現状こういうふうになっております。

これまでの経過だとか見ますと、これ以上拡張していくというのはなかなか難しい状況にあるだろうと思っております。そういうことになりますと、法律でも言っていますように、農地の確保、最低限これ以上は減らさないであろうという視点を持たなければいかんのかという感じを持ちます。

その守り方なんですが、遊休農地もあるということもありますし、利用率が低下しているという問題もあります。これをどう解消していくということもあると思いますけれども、先ほど専門委員もちょっとお話しになっておりましたが、守る方法としては転用の規制と、もう一つは農振法による線引きによる確保があるわけです。

特に農振法線引きですね。建設省もいろいろ線引きについて検討いただいているようでありますけれども、この線引きをすることによっての逆効果もあるのではなかろうかと考えております。地価問題は解決できておりませんので、線引きをすることによって地価が安い、そこが大量に転用されていくという実態もあるんだろうと思います。したがって、さっき専門委員のおっしゃったのもそういうことも含めているのかなという感じを持っております。そこのところをきちっと担保するようなものがないのか。

確かに私権制限にわたる難しい問題と思いますが、基本問題調査会の答申でも、農地は単なる私的な資産でない、社会全体で利用する公共性の高い財であるという認識を徹底させて農地の有効利用のために適切な規制を行うべきであるという指摘もされておりますので、そういうのを踏まえて、今度の農振法によります市町村計画の新計画策定等について、そういう点での御指導をできないものかということで、一定の私権制限的な考え方が出せないものかどうか。非常に難しいと思います。

特に公共転用についての注意をしていただきたいなというふうに、農地の確保についてはそういうお願いをしたい。間違いがあれば御指摘をいただきたいと思っておりますが、そんな感じがしております。

それから、担い手問題でありまして、農地を確保するにも担い手がいなければ確保できないわけであります。当面の問題もそうでありますし、長期的にもそうであります。先ほど実態的には委員が言ったように、農村実態はそういうことだろうと思いますが、我々あっちこっち周りますと、そうは言いながら、集落の農地をどう確保するかということで、定年者だけが集まって守っている、農業経営をしていくというところもあっちこっちに見られております。そのほかいろんな形でその地域を守ろうとしている努力が見られるわけであります。ここのところをどう育てて、将来、その中からどういう経営者を出していくのかということを考えていかないと、全部がだめになってしまうのかなという気がします。

そういう意味では、確かに難しい問題ありますけれども、担い手は全くいないということではなくて、いわゆる若い担い手はいないけども、お年寄りの担い手はいると、それがなくならないうちに若い担い手をどういうふうに入れていくかという問題があろうかと思います。

委員のところのメンバーの方から聞いておりましても、例えばかなり自分たちの農業法人で投資をして、5年、6年でやめていって自立する。そういう方がそういうところに行って一つの経営者になっていく、リーダーになっていくということはあり得ると思います。

そういう援助もしてくれという問題もありますので、そういう意味で、必ずしも悲観的に見ることはないんでありまして、そういう経営者を育て、入れていけば、そういうものは守れるんじゃないかと考えておりますし、今度の基本法そのものが国内生産を基本にということでありますし、自給率も上げていこうということの中には、農地の確保の仕方と後継者の確保の仕方、それにはいろいろ支援方策はあろうかと思いますけども、今の時代にあった支援、委員もさっき言っておりましたが、そういう支援方策を強力に取っていけば、そんなに悲観したものではないんじゃないかなという気がしております。

以上であります。

部会長 ありがとうございました。

委員 途中から参加いたしましたので、4点ほど、おそるおそる申し上げます。

私は第1回の全体会議のときに農業とか農村を総体化する視点が重要なんではないかというようなことを申し上げたんですが、そのことにまつわってお話をしたいんです。例えば農業の自然循環機能という中で、環境保全型農業で、農薬とか化学肥料の軽減ということを言っておられます。これはこれで大変結構なことであるんですが、海外との比較でそのことを言われているかということを申し上げたいわけです。

海外と言っても、こういうところでリファーする海外というのは大体欧米の先進国のことで、彼らが減少をさせて持続可能な農業を目指しているから我が国もということになるわけですが、一方で、私どもは途上国というものが社会の中に存在しているということも注目すべきだと思うんですね。

そういったときに、例えばアジアとか中南米は猛烈に農業に関して化学肥料、農薬の使用量が上昇して、その結果として何とか生産性を保っているという状況があるわけです。アフリカなんかは、農薬、化学肥料すらも買えないというところで生産性が滞っているという実態があるわけです。

農業技術援助みたいなことを考えるときに、我が国のそうした政策と、海外に出ていったときの政策の間が果たして一本化できるのかどうか。できないとすれば、これは二つの基準をもって、我々は安全な食料だけども、途上国はそうでなくていいという話にもつながりかねない問題がそこにあるのではないかと思いますので、ぜひそういうグローバルな視点を持っていただきたいということです。

2番目に、新規農業参入者についてのいろんなデータが出ていますけれども、確かに数字の問題とか経済的な問題が重要であるということは私も認識しているわけですが、最近の新規参入者はそういうこととちょっと違う観点、つまり生き方の問題として農業を選ぶという選び方がされていて、その辺は数字には出てきていないんですね。もしかしたら、そういうことについてのアンケートや何かを実施されているのかもしれませんけれども、どういう職業を営んでいて、どういうふうな動機でもって農業に参入したのかということを分析していくことが、21世紀農業の担い手を考えていく上で非常に重要なんじゃないかなと思いますので、もし資料があればお出しいただきたいと思います。

それから、3番目ですけれども、農業の経営基盤の強化という観点で、これは法人化というものを非常に大きく見据えて日本の農業の体質が強化されるという論点は、私はもろ手を挙げて賛成するわけですけれども、他方で、もう少し緩い形での農業への参加というのは、先ほど来ホビーとか兼業ということで表現されておられましたけれども、そういうことも一方で積極的に認めてもいいのではないかというふうに思うんです。

私は一度、作家の方と東北新幹線に乗っていて、栃木の連休中に田植えをしている現場なんか見たときに思いついたんですけども、この人たちはそれなりの所得を確保して、自分たちの食べる米を栽培して、それを仲間に分かち合ったりして、これはこれで非常に豊かな生活なんじゃないかというふうなことを思いまして、そのときに、自作農じゃなくて、自分で食べる農業という「自食農」というのを二人で編み出したりなんかしたんです。

例えば高齢化時代に定年を迎えた後の一つの健康を維持する方策として農業というものがあるという形で農業に参入するということだって、これは非常に大事な福祉社会における農業のあり方じゃないかなと思います。そういう点で、強い農業とそうでない楽しい農業というのを少しめり張りをつけて政策として展開して、後者について余りネガティブに見ない方がいいのではないか。

ドイツあたりは小農主義といって、それを政策的に積極的に取り上げているわけですが、私はそこまでのことは申し上げませんけれども、余りにも強く体質強化というだけで、日本の国土が全域として農的環境によって育まれていくかというのにやや疑問であるということで、その辺もお考えいただけないかなというふうに思います。

それから、これはきょうの話題とは違うんですけれども、農業が持っている多面的機能の維持ということで、もし農業が文化を維持するということを言いますと、画一的な転作の施策なんていうのが問題じゃないかなと思った機会がありますので、申し上げます。

京都に修学院離宮という庭園があります。上の茶屋と下の茶屋というのがあって、そこをつなぐ庭園であるわけですけれども、ここの庭園の目玉は、両方の間に水田があるということなんですね。その水田は、昔は宮内庁の土地だったんですが、農地解放で周辺の農家にゆだねられ、しかし、それではまずいというので今度は宮内庁が買い取って、周辺の農家の方に耕してもらっているということなんですが、あろうことかと言うと農水省の前で失礼なんですけれども、転作やって、ビニールハウスとか、そういうふうになっちゃっているんですね。

宮内庁だから国のルールを破るわけにはいかないからやっているという話だったんですけれども、仮に多面的機能が景観だとか文化だというなら、その辺のことに対しても細かい配慮をすべきじゃないか。この宮内庁の話は特例ですけれども、中山間地域の棚田なんというのはもっと普遍的な問題で、中山間地域の棚田で一部が畑になったり、ビニールハウスになったりしているために、変になっているというのはいっぱいあるわけですね。

そういうのも多面的機能と一たん言った以上は、多面的機能を維持するための施策はどういうことなのか、そのときの一律のいろんな施策の展開が果たしていいのかどうかというようなことについては多少考えてもいいんじゃないかなという感想を持ちました。

最後の方は個人的な発言で申しわけございませんけど、以上でございます。

部会長 ありがとうございました。

まだ御発言なさりたい向きもあるかと思っておりますが、できましたら、この次、お願いしたいんでございますが、よろしゅうございますか。

専門委員 今のお話に多少関連します。

部会長 じゃ、ごく簡単にお願いいたします。

専門委員 私、水の立場から申し上げたいんですが、委員はグローバルな視点とおっしゃいましたが、水を考える場合に地域とか流域という視点が重要だと思うんです。

先ほど生産性を高めるために農地の汎用化、これはある意味では洪水調整機能をなくし、地下水涵養機能をなくす可能性があるだろう。事実、中小河川流域で土地改良やったために非常に洪水の流量がふえたというところもございます。

私が申し上げたいのは、むしろ遊水機能を持つような水田をつくるとか、地下水涵養機能を促進するような水田をつくるということなら話はわかるんですが、水田そのものがアプリオリにそういう機能を持っているということじゃないということは御認識いただいて、生産性を上げるというのは非常に大切ですけれども、それとは多少利害が対立するような国土保全上の機能をどう持たせるかという視点も流域的視点の中では必要ではないかと思っております。

部会長 部会長が下手なものですから、大変御迷惑かけまして申しわけなく思っております。

きょうは多くの委員の方に大変活発な御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。私のように田舎の県の知事をやっておりまして、毎日こういう現場を目にしておりますと、しみじみする御意見ばかりでございまして、個人的にも大変勉強になったと思います。

農林省の職員におかれましても、きょうの御意見をよく吟味されまして、来るべき基本方針をつくるときに十分に御活用いただければと思うわけです。

それはそれといたしまして、きょうの討議の過程で出ました御質問に答えるべきこと等は、次回の会議の冒頭に、資料の説明なり、御回答なりをいただきたいと思います。

次回、第3回目の会議のスケジュールでございますが、11月11日木曜日の午後2時から4時30分まで、時間は今日と同じです、午後2時から4時30分まで。場所は農林水産省の3階にございます第1特別会議室。ここは4階でございますので、3階だそうでございます。

次回は食料・農業・農村政策の中で残っております農村の問題と農業団体の問題を主たるテーマとして御論議をいただくこととしたいと考えておりますが、先ほど申しましたように、今日の会議で申し足らなかった等ございましたら、また御発言をいただければありがたいと思います。

本日は、これにて閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

 

閉会