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農林水産省

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食料・農業・農村政策審議会 第3回企画部会 議事録

平成11年11月11日

農林水産省

 

 

開会

 

部会長 それでは、時間でございますので、ただいまから食料・農業・農村政策審議会の第3回の企画部会を開催いたしたいと思います。

なお、本日は、委員、委員、専門委員が御欠席との御連絡を受けております。そのほか、委員や委員から若干遅れるという御連絡があったそうであります。委員がもうすぐお見えになると思いますが、定刻でございますので、始めさせていただきます。

第1回の企画部会では食料問題についていろいろ御議論いただきました。前回の第2回では農業についての御議論をいただいたわけでございますが、本日は予定どおり農村問題と農業団体問題につきまして御議論いただきたいと思います。

御議論いただく前に、事務局の方で農村と農業団体につきましての資料を提出していただいておりますので、まずその説明をお願いいたします。

 

資料説明

 

事務局 それでは、資料はお手元にナンバー1からナンバー6までお配りしてあると思いますが、まず農村の関係ということで、資料ナンバーの1番を御覧いただきたいと思います。

「農村施策の現状と課題」についてでございます。この資料につきましては、現行の農村に関する各省庁がやっている施策の現状と評価、またそれらを踏まえて今後やっていくべき課題につきまして、農村施策の全体が鳥瞰できるように網羅的に整理したものでございます。したがいまして、課題の欄に書かれております内容につきましては、比較的軽い課題から重い課題まで濃淡があるわけでございますが、とにかく農村施策の全体像を見るためのものとして整理したものでございます。一つ一つの説明は時間の関係もあり、省略させていただきたいと思いますが、全体の構成といたしましては、新基本法の34条から36条までの条文構成に基づきまして大きく三つに分かれております。

A.が「農村の総合的な振興」ということで、これが1ページから6ページの上のところまで書かれております。それから、B.が「中山間地域等の振興」ということで、この6ページと7ページでございます。C.が「都市と農村との交流等」ということで、8ページ、9ページという三つの構成となっております。

課題の欄のうち、太い枠で囲ってありますのが、農林水産省の関連の農村施策に関する課題がいくつかあるわけでございますが、そのうちの主要な課題、すなわち今後重点的に取り組んでいかなければならない、いわば農林省にとりまして重い課題ということでございます。そこで、特に枠で囲っている部分を中心にいたしまして、取りまとめた資料が資料ナンバーの3でございます。これに即して課題を御説明し、御議論を賜りたいと存じます。

なお、資料ナンバーの2につきましては、「農村をめぐる現状」ということでございますけれども、時間の関係もありますので、この現状につきましては説明を省略させていただきたいと思います。

早速ですが、資料ナンバーの3を御覧いただきたいと思います。

1ページを御覧いただきたいと思います。まず1番目が「計画的土地利用の推進」でございます。

農地法の転用許可制度、それから農振制度によりまして農地の確保を図ってきているところでございますが、一方で、住宅用地、施設用地などの非農業的土地需要に対応するため、毎年3万ヘクタール程度の農地の転用が行われているわけでございます。右の欄に書いてあるとおりでございます。

一方、我が国では農業上の土地利用と農業外の土地利用との混在が発生しやすいということで、これまで農振制度、都市計画制度との調整で、非農業的土地利用の計画的誘導に努めてきたところでございますが、一方でさまざまな問題を生じているということで、右側にありますが、景観にまとまりがなくなってきたとか、環境整備が不十分な住宅地の増加というような問題でございます。

2ページを御覧いただきたいと思います。計画的土地利用のための施策といたしましては、国土全体の合理的な利用を図る観点からの国土利用計画制度、農業的土地利用につきましては農業振興地域の指定ということで、具体的な規制がなされているところでございます。

また、地方自治体におきましては、良好なまちづくり・むらづくりを図るために、地域の特性に応じた取り組みが見られるところでございます。

先の通常国会で地方分権一括法の制定が行われまして、このようなまちづくり・むらづくりについては、基本的に地方自治体の自治事務とされているところでございます。

右側に市町村が制定した条例の事例ということで、静岡県のK市の事例、山形県のK町の事例が掲げられております。

3ページでございますが、こういった状況の中で計画的土地利用の推進を図るために、農業生産と生活の一体性や農村の活性化に必要な農業外の土地需要への対応にも留意して計画的な土地利用の推進を図っていくことが必要であるということでございます。

また、農振法の農用地区域の設定基準につきましては、このたび法定化することになりまして、今後その基準をさらに政省令で定めるということになりますが、その際には、第三者から見て、明確で透明性の高い客観的な基準とすることが求められているわけでございます。

また、農村におきましても、地域の特性に応じたまちづくり・むらづくりということで、地方公共団体による主体的な取り組みを促進していくことが重要ではないかということでございます。

4ページでございますが、2番目に、「耕作放棄地」の問題でございます。

耕作放棄地の発生原因につきましては、ここに書かれておりますとおり、人的要因、面的要因が複雑に絡み合って発生しているわけでございます。農林水産省におきましては、こういった耕作放棄地に対しまして、その下の(ア)から(エ)に掲げられているようないろいろな取り組みをこれまで行ってきているところでございます。

5ページでございますが、なお、農地が耕作の目的に供されていない場合には、農業振興地域の整備に関する法律に基づく特定利用権の設定、あるいは農業経営基盤強化促進法に基づく勧告制度というものがあるわけでございますが、これらにつきましては農業委員会による指導が行われているものの、実際これまでに決定等が行われていないという状況にあるわけでございます。その理由としては(ア)(イ)とありますが、担い手不足や農地の条件ということで、勧告等を行っても耕作できる見込みがないとか、あるいは個人の財産については強権発動になじまないと考えている自治体が多いという理由によるものでございます。今後本制度の活用の可能性についての検討が必要であるということでございます。

耕作放棄地につきましては、平成7年のセンサスで16万2000ヘクタールとなっておりまして、現在まで毎年2万ヘクタール以上が新たに発生しているという問題があるわけでございます。

6ページでございますが、こういうことのために、今後耕作放棄地の防止・解消に向けて、これまでの担い手確保対策や生産条件の整備のための各種事業について、相互の連携を強化しつつ実施することがまず大事でございますし、中山間地域等への直接支払いの導入、後ほど御説明しますが、これを図る、さらには(ア)から(カ)まで掲げておりますようないろいろな対応を図っていくことが必要であると考えられるということでございます。

次に、7ページ、大きな3番目でございます。「土地改良施設の維持管理への公的関与のあり方」についてでございます。

土地改良施設には、ダム、水路などの農業水利施設、農道などがあるわけでございますが、このうち農業水利施設につきましては、農家が主体的に管理を行っております。その管理に要する費用の全体は、(イ)にありますように、年間で2373億円ということでございますが、そのうちの3分の2は土地改良区の負担になっているわけでございます。管理主体といたしましても、国営事業で造成される基幹的な農業水利施設の3分の2は土地改良区が管理しているわけでございます。

8ページでございます。これまでこうした農業水利施設の管理にかかる費用は、受益者である農家が負担をしてきたわけでございますが、近年、御案内のとおりの農村地域の都市化・混住化の進展ということで、農家だけではなくて、非農家の方々もそういった施設の恩恵を受けるようになってきているわけでございます。

次に、9ページでございますが、したがいまして、こうした農村の都市化・混住化の進展、あるいは土地改良区の負担の増大、また一方で地域住民の意識の高まりといった中で、土地改良区と市町村や地域住民との関係、また公的管理の充実といったことを検討する必要があるということでございます。

次に、10ページ。4番目の「農業集落の整備・再編」でございます。

農業集落は、右上のところに「世界農林業センサス」による定義が掲げられておりますけれども、労働力等の農業生産の支援のみならず、冠婚葬祭等の生活の支援その他の役割をこれまで果たしてきております。また、多面的機能の発揮にも役立ってきたところでございます。これらの農業集落の役割は、近年、行政サービス等によってその一部が代替されてきているものもありますが、依然として地域社会の維持・形成上、重要な役割を有しているところでございます。

11ページでございますが、全国の農業集落の数でございます。農家戸数や農業就業人口と比べると、緩やかではありますが、同様な傾向で減少しているということでございます。その原因としては、主として、離村、離農等による農家戸数や人口の減少による集落としてのまとまりの喪失等が挙げられるわけでございます。

今後の見通しにつきましては、右下のところにグラフが描いてありますが、農業集落としての機能の発揮が困難になるような事態が見込まれるところでございます。

さらに、12ページに平成22年の見通しを掲げておりますが、その中で高齢化率が一番高く、一方、減少率も高いと見込まれる層につきましては、消滅に至る可能性が高いということで、そういった集落も6.1%になると見込まれているわけでございます。

13ページでございますが、しかしながら現時点で効果的な手法はなかなか見つからないということ、あるいは地域住民の意向もなかなかまとまらないということで、具体的に取り組む予定がある市町村は少ない状況が右上のアンケート調査でも見ていただけると思います。これまで生産基盤や生活基盤の整理を総合的に進めて、都市農村交流の推進等を行ってきているところでございます。また、集落診断マニュアルの作成でありますとか、農業集落の整理・再編に向けたモデル構想の策定といったことを進めてきております。今後、今まで農業集落が果たしてきたさまざまな機能につきまして、農業集落と行政のどちらが担うのかを明確にしながら、他方で地域住民の意向も十分踏まえて、連携や統合等も含めて集落の整備・再編を推進していくことが必要ではないかということでございます。

次に、14ページですが、5番目の中山間地域等の直接支払いの問題でございます。

この中山間地域等直接支払いの導入の理由といたしましては、そこのページに書いてありますが、中山間地域の重要性ということがまずあるわけでございます。それからさらに生産条件の不利な面による多面的機能の低下というものが背景にあるわけでございます。こういったことを背景にいたしまして直接支払いの実施が打ち出され、具体的に申し上げますと、第三者機関として検討会が設置されて、今年の1月から8月まで検討を行いました。その結果、方向づけが出されたわけでございます。その方向づけの中身が次の15ページの右側のところに掲げられております。いずれも対象をきちんとはっきりさせる形でやるという仕組みになっているわけでございます。

15ページには直接支払いの導入に当たっての基本的考え方が挙げられておりますが、四つあります。

一つは、我が国の農政史上初の試みであるということで、導入の必要性、制度の仕組みについて広く国民の理解を得るということ。それから、国際的に通用するものとして、WTO農業協定上の「緑」の政策として実施する必要があるということでございます。WTO農業協定上の条件不利地域対策としての直接支払いの規定につきましては下の参考で掲げておりますが、そういうものとして実施するというのが1点目です。

2点目として、明確、かつ客観的基準のもとに透明性を確保しながら実施する。

3点目に、国と地方公共団体が緊密な連携のもとに共同して実施する。

4点目は、制度導入後も中立的な第三者機関による実施状況の点検や政策効果の評価を行って、基準等について見直しを行っていくという4点が基本的な考え方でございます。

16ページにまいります。今後の中山間地域振興の推進方策でございますが、これにつきましては、ただいま申し上げました直接支払いの対策のみではすべての課題に対応することは困難なわけでございまして、また各種の諸事業、いろいろやっているわけでございますが、こうした諸事業が事業相互間の関連性を考慮することなく実施されるとなれば、一定の広がりを持った中山間地域の全体的な振興を図る上で効果的・効率的なものとはならないということでございまして、したがいまして、都道府県単位で広域的に中山間地域を振興するといったような観点から、地域特性を踏まえた地域間の連携、調整を行いながらやっていく。すなわち、(4)にありますように、都道府県が市町村と調整をいたしまして、地域別の総合振興計画を策定し、その計画に基づいて総合的・計画的に実施する仕組みを創設して、中山間地域の振興を効果的・効率的に推進していくことが重要ではないかということでございます。

次に、17ページから6番目の「農業生産基盤と生活環境の総合的整備の推進」でございます。

農業農村整備につきましては、これまで事業内容を時代の要請や地域のニーズに対応させながら大きく事業内容を変化・発展させてきているわけでございます。さらに、新たな基本法の理念を踏まえまして、多面的機能の発揮を基調として、環境との調和への配慮、地域資源の循環を明確に位置づけて、美しく豊かな田園空間の創造に向けた事業展開を図っていく必要があるということでございます。

18ページですが、なお、ナショナルミニマムの確保という観点から立ち遅れている汚水処理施設等の生活環境整備を農業生産基盤整備と併せて総合的に推進する必要があるということでございます。具体的には(イ)(ウ)に書いてあるようなことでございます。

19ページでございますが、また、美しく豊かな田園空間の創造という観点から、多面的機能の発揮を基調とした農業生産基盤整備を推進する必要があるということでございまして、多自然型土地改良施設というような形で、右側にイメージ図がありますが、こういった形でやっていく必要があるのではないかということでございます。

20ページになりますが、地域資源の循環利用の促進。

そして、21ページで美しく豊かな田園空間の整備ということで今後推進していく必要があるのではないかということでございます。21ページの右側のところに「国民に開かれた田園空間の創造の視点」ということで五つ掲げておりますが、右下のイメージ図にあるような水と土と緑の田園空間ということで今後整備をしていく必要があるのではないかということでございます。

農水省関連の農村施策に関する重点的な課題は以上でございます。

建設省 引き続きまして、建設省でございます。よろしくお願いします。

お手元の資料の4に従いまして、総合的、広域的な地域振興という観点からの農村施設の課題について御説明させていただきます。

まず1ページ目に背景といたしまして3点整理させていただいております。

まず1点目は、「ハンディキャップを持つ日本の国土」ということでございまして、日本の国土は、欧米に比べまして細長い地形で、山が多く、平野が少ない、あるいは雨が多い、災害が多いといったことで、地形条件、自然条件が欧米に比べて非常に厳しく、そういう意味でハンディキャップを背負った国土になっております。そのため、インフラ整備が国全体としてまだまだ遅れているという実態があります。中でも山間部等の過疎地域におきましては、地形条件が厳しいということもあって、比較的インフラ整備がさらに遅れているという現状がございます。

2点目が、「農家人口の減少、混住化が進む農村」ということであります。右側にも表がございますが、例えば中山間地域で見ましても、第1次産業の就業者数の割合が17%程度と低いとか、あるいはその下に農家人口の変化の表がございます。これまでも農家人口は減少しておりますし、さらにますます減っていくという予測もされております。その下が農家の所得の内訳でありますが、農家にありましても、農外所得の割合が6割を超えているといったのが現状でございます。

それから、3点目が、「少子・高齢化が進み、活力が低下する農村」ということであります。若者の農村離れ、人口減、少子・高齢化の進展といったことで、今後それぞれ一つの市町村ではなかなか行政上対応できない課題がたくさん出てきそうだという懸念がありまして、今後活力を維持・増進するためには周辺地域の連携といったものが一つの課題ではないかと考えております。

こういった背景を踏まえまして、2ページ目に農村の振興を推進していく上に当たっての課題を4点に整理させていただいております。

まず1点目が、「地域全体を活性化する総合施策」ということでありまして、先ほどのとおり第1次産業就業者数の割合が低いとか、農家人口が減少している、農外所得が増えているといったような状況を踏まえて、今後農村の活力を維持・増進するためには、農業の振興はもちろんでありますが、それだけではなくて、幅広い観点から、例えば多様な産業の振興ですとか、地域資源の活用の方策とか観光・レクリエーション、そういった幅広い観点から総合的に地域振興を進めていく必要があるのではないかと考えております。

2点目が、「広域的な連携・交流」ということでありまして、個々の市町村の活力が低下していく中で、地域に共通する課題を共に一緒になって解決していくとか、あるいは効果的な地域づくりを進めていくという観点から、周辺自治体との連携を推進するということが重要な課題ではないだろうか。さらには中心都市との連携を深めて、農村の皆さんが都市的なサービスを享受する、あるいは都市の皆さんが自然と触れ合うといった幅広い交流を進めていく。そのような広域的な視点からの農村振興という取り組みが必要ではないかというふうに考えております。

3点目が、「多様な主体の参加による地域主体の取り組みへの支援」ということであります。新たな全総の中でも参加と連携による地域づくりということが謳われております。地域振興の担い手はもちろん地域にお住まいの皆さんであるわけでありますから、地域の皆さんが誇りと意欲を持って自主的な取り組みを展開するということが基本だろうと思っております。そういう意味で、行政主導ではなくて、むしろ地域の皆さん、NPO、あるいは民間会社も含めて、いろんな主体の参加と連携のもとで地域の資源を活かした個性ある地域づくりを主体的に取り組んでいく。それを行政が横から支援をするという必要があるのではないかと考えております。

4点目が、「重点的、効率的な投資」ということで、これは言わずもがなではありますが、社会資本もまだまだ整備途上でありますので、地域の状況を勘案しながら、事業の効果を適正に評価しながら、関係省庁が連携をして、重点的・効率的に投資を行って、地域の取り組みを支援していくということが必要だと考えております。

このような四つの課題意識のもとで社会資本整備を進めているところでございますが、3ページ目は、農村の総合的な振興という観点からの建設省の取り組み施策を体系的にまとめさせていただいたものであります。具体的な施策は4ページ以降にございますが、時間の関係で説明を省略させていただきます。3ページで主な点だけ御紹介をさせていただきますが、大きく四つに分けさせていただいております。

まず「多様な産業の振興」ということで、基本的には日常生活の基盤となる市町村道から高規格幹線道路に至る道路のネットワークを計画的に整備を進めていくことによりまして、農業をはじめとするいろんな産業の振興の基盤の整備をして参りたいということが1点目であります。

2点目が、「生活環境の整備その他の福祉の向上」ということで、五つに分けてございますが、例えば防災対策ですとか、あるいは周辺の市町村連携を進めるための道路整備ですとか、Uターン、Jターン、Iターン、そういったものを進めるための地方定住促進のための住宅・宅地の供給、快適な暮らしを支える下水道等の質の高い生活環境づくり、地域の資源を生かした地域づくり、こういった施策を展開しているところでございます。

「都市と農村との交流の促進」という観点では、高規格幹線道路等の広域的なネットワークの整備ということが基本でありますが、さらには週末居住型等の田園居住の推進のための住宅施策、あるいは都市住民と農村の皆さんの交流推進のための、例えば道の駅ですとか、水辺プラザですとか、そういったものの整備。こういった施策を展開しているところでございます。

4点目に、「参加と連携による地域づくりの推進」とございます。少し性格が異なりますので、これだけ資料を御覧いただけたらと思います。14ページをお開きいただきたいと思います。

「参加と連携による地域づくりの推進」ということでありまして、従来の行政主導による地域づくりですと、本当の地域のニーズが反映されていないのではないか、あるいは計画づくりに一生懸命になる余り、フォローが十分できていないのではないか、そういったいろんな声がある中で、今回試みておりますのは、一番下に「地域づくりの方向性」ということで6点書いてございますが、こういった方向性、あるいは問題意識を持って、地域の皆さんと一緒に地域づくりをやっていきませんかということで、実はことしの8月に全国の皆さんに公募いたしました結果、31の地域の皆さんと一緒にモデル的に地域づくりを進めていこうといった取り組みをさせていただいております。

この取り組みのポイントは、一つの市町村のエリアを越えた広域的な連携をしましょうと。それから、役所任せにするのではなくて、地域の皆さんが参加をしてやりましょうと。それから、地域の独自のアイデアで、地域の資源を活かした地域づくりをしましょうと。こういったところがポイントであろうと考えております。

今後こういった実践の積み重ねを通じまして、これからの地域づくりのあり方について検討を進めて参りたいと思っております。

以上です。

事務局 引き続きまして、もう一つのテーマであります「農業団体の現状と課題」につきまして、資料ナンバー5番で説明させていただきたいと思います。1ページの総括表を御覧いただきながらお聞き取りいただきたいと思います。

まず、農業協同組合系統についてでございますが、評価の欄にありますように、金融ビッグバンの進展、あるいはペイオフの解禁、そして積極的な役割発揮が必要とされている状況、もう一つ言いますと、高齢者福祉等生活関連サービスへのニーズが高まっているというような状況を踏まえまして、課題の欄にありますように、組織の再編・整備に向けた系統組織の取り組みの推進が一つ。それから、ペイオフ解禁後の貯金保険制度を中心としたセーフティネットのあり方等についての検討。3点目に、農協による新規就農者等に対する研修、営農指導等の充実・強化。そして、4点目に高齢者福祉等農村の総合的な振興に資するよう、農協系統の十分な役割の発揮に向けた取り組み。こういった点が課題ではないかということでございます。

それから、農業委員会系統につきましては、実施状況の欄の真ん中にありますように、農業委員会の設置基準及び選挙委員の定数区分の見直しを平成10年5月に実施したわけでございますが、そういった中で評価の欄にありますように、農家戸数の減少等を踏まえた組織体制の適正化が求められております。また、農業生産法人制度の見直しへの対応が必要。そしてさらには、組織体制の整備・支援の充実が必要ということになっている状況の中で、課題といたしましては五つありますけれども、先ほど申し上げました平成10年5月の委員定数の見直しを踏まえ、農業委員会の設置、委員定数に関する市町村レベルでの見直し促進。そして、2番目に農業生産法人制度の見直しにあわせた農業委員会の機能の強化。さらには電子情報化。そして、4番目にありますのが、都道府県農業会議と関係機関・団体との連携強化に向けた取り組みの推進。そして、全国農業会議所の体制整備。こういったことが農業委員会系統の課題ではないかということでございます。

それから、農業共済団体につきましては、左から二つ目の欄に書いてありますが、ことしの6月に通常国会で農業災害補償法の改正が行われたところでございまして、この制度の活用が円滑に普及・定着するようにしていく必要があるということでございます。それから、価格政策の見直し。今いろいろな行政価格の見直しをやっているところでございますが、そういった見直しの進捗状況や、それを勘案した経営単位の経営安定措置の検討、こういったことを踏まえた対応が必要となっている中で、制度のさらなる改善に向けた中長期的な検討が課題ではないかということでございます。

それから、土地改良区につきましては、評価の欄にありますが、零細・小規模が多い土地改良区の事業運営基盤の強化が必要となっている。さらに、諸情勢の変化を踏まえた土地改良制度の総合的見直しに対応することが必要ということで、現在この総合的見直しが進められているところでございますが、課題といたしましては、道府県が策定いたします統合整備基本計画、この見直し後の計画に基づいて土地改良区の統合整備の推進を進めていくこと。そして、2点目としましては、土地改良制度の総合的見直しに対応した土地改良区の体制整備、こういったことが課題ではないかということでございます。

それから最後に、団体間の連携強化ということで、これは農業団体に関しての非常に重要な点でございますが、これにつきましては連携強化が求められているわけでございまして、課題といたしましては、地域において一本化した新たな経営対策推進体制、こういったものを構築していく必要があるのではないかということと、それから森林組合、漁業協同組合を含めた団体間の連携の強化に向けた具体策の検討が課題ではないかということでございます。

以上、この課題の欄に簡潔な形で整理したわけでございますが、その詳細につきましては、データや事例も含めましてこの資料の6ページから10ページまでに整理してあります。説明は省略させていただきたいと思います。

それから、もう一つの資料、資料ナンバー6でございますが、これは前回第2回の企画部会のときに委員の方々からいくつか御意見、あるいは資料の御要請があったわけでございますが、お求めがありました資料のうち、今回までに準備できたものをお配りしているわけでございます。

1点目が農林水産関連予算の変遷、2点目が新規参入者の参入動機、3点目が農村における女性の社会参画の推進というということでございます。4点目に、農用地区域内の農地の転用等の状況、これにつきましては、前回の資料が十分でなかった部分がありますので、これを追加でお配りさせていただいているところでございます。

説明は以上でございます。

部会長 御苦労さまでした。

 

質疑

 

部会長 農村問題、農業団体問題につきましてそれぞれ盛りだくさんの課題の提起があったわけでありますが、これから自由な討議をお願いしたいと思います。

つきましては、前回は委員さん方と農林省事務局との意見の交換に時間をとられ過ぎたきらいがございます。若干反省もいたしておりますので、今日はできるだけ委員さん方の御意見をたくさん承るというふうにしてみたいなと思っているわけでございます。

それにいたしましても課題の数が非常に多うございますので、恐縮でございますが、今まで農林省の提起の問題が六つ、建設省の提起が一つ、農業団体の問題が一つというふうに一応理解いたしますと、八つのテーマがございます。これをあと2時間ぐらいで一通りやりたいと思っておりますので、できましたら御協力をお願いしたいと思います。

とりあえず最初に計画的な土地利用の推進というテーマと耕作放棄地対策といいますか、その二つの問題に一応絞って自由に御発言をいただきたいと思います。できましたら30分ぐらいでその問題から次の問題に移りたいと思っております。

委員 その二つに絞る前に、一つだけ、私、全体を眺めて感じている意見を申し上げたいと思います。

予算も何兆円と使って、農業、農村問題というのは結構いろんな手を打ってこられているし、それなりにいろんな効果もあるんだろうと思いますが、ポイントは一つ、我々一般国民にとって農業とか農村の重要性とか魅力とかいうのがもっとわかりやすく伝わるようなPR活動とか広報活動というのが少し手薄なような気がいたします。ぜひ若い人に魅力あるような、今は転職の時代でありまして、リストラで人はたくさん余っているわけであります。そういう人たちが見て、ぜひ農業をやりたい、農村に行きたいと思うような、何かそういう上手な、中身ももちん要るんですが、PRとか広報活動がもっとあっていいのではないかというのが私の意見であります。それをちょっと申し上げたいと思います。

部会長 ありがとうございます。

それは、私のように地方で毎日農家とつき合っていますと、しみじみ感ずる問題でございます。

それでは、大変恐縮でございますが、1番目と2番目の問題に焦点を当てて御意見をいただければと思います。

どうぞ、お願いします。

専門委員 資料3の5ページのところに、農地が耕作に供されていない場合の勧告の措置などについて、必ずしもといいますか、実際には全く発動さされていないというようなことがあって、この活用の可能性について検討が必要であると。これは全くそのとおりで私は結構だと思いますけれども、なぜ活用されていないか。あるいは量的にはともかく、この制度の趣旨に反するようなことがないわけではないということについて、その理由をもう少し考えてみる必要があるのではないかと思います。

制度の問題なり、あるいは運用の問題ということにつきましてももちろんあるんですけれども、私自身、今の農地制度、あるいは計画的土地利用の制度というのができてから、古いもので言いますと、もう50年以上たっているわけですね。土地利用の計画の制度につきましてももう何十年も経っているということで、特に現場で運用される方にとってそのバックボーンになるような理念というのが必ずしもはっきりしていないような状態になってしまったのではないか。恐らく戦後であれば、食糧増産ですとか、あるいは農地改革の成果を守るという非常にはっきりした理念があったんだろうと思いますけれども、今はどうもそのあたりがやや曖昧になってきているような気がするわけであります。

食料の自給率の目標を設定していくというようなこともございます。したがいまして、食料の安全保障といいますか、そういった観点なり、あるいは日本も随分豊かになったわけでありますので、アメニティというようなことも考えた合理的で、美しい空間形成といったような、こういう理念があるんだと。したがって、個々のいろんな案件が出てきた場合にもきちんと適切に対処するんだと。そういうバックグラウンドをきちんと打ち出していく必要があるかと思います。これは法律に書くというよりも、むしろ運動といいますか、食料自給率の運動も結構でありますけれども、合理的な土地利用の運動というようなこともいろんな地域でやっておられますけれども、国全体としてもこれを応援するようなことがあっていいのではないかと、こう思います。

専門委員 今、先生がおっしゃったとおりだと思うんですが、私どもも現場で農業をやっておりまして、農地というのはベースでございます。一番苦労しているところでございまして、専業農家とか兼業農家の農地がまさに混在しております。したがって、点々とした農地の規模拡大をしている大規模農家も多いわけでございまして、この辺が、いま先生からも御指摘があったんですけれども、少し整理整頓する、先生は運動とおっしゃいましたが、法定化はできないのかもしれませんが、きちっとした位置づけをしていただいて、基本は団地利用しませんと、いかに優良農地にしても3ヘクタールずつ10キロも離れていますと、コンバインを乗せる、おろす、水回りをしても大変、荒れ草を刈っても大変というような、大変な苦労をしております。

したがって、実は基盤整備が立派にできているので、私どもも効率的な農業ができるだろうと思うんです。コストの要因にもなっておりますので、そこがこれから非常に重要ではないかと思っております。

特に地域の総合的土地利用計画を少し本気で考えないと、いろんな利害は絡むと思いますが、先ほどの耕作放棄地自身も我々がお手伝いしたくてもできないというような農地関係の問題がございますので、我々農業者で運動だけではできないような問題を抱えておりますので、御検討願いたいと思っております。

その際、特にこれは我々意欲ある農業者の立場で申し上げるならば、農業経営の確立を視点とした優良農地の維持・確保ということをある程度明確にしていただきたいなと思っているわけでございます。例えば、私、常々思っていることは、地域の土地利用計画を3地区――4地区と言ってもいいんですが、区分していくべきではないか。一つは、経営農地的に経営で維持していくような、私ども認定農業者を含めた者が維持していく。そして、自給農地というのは兼業を含めたような自給。それから、交流農地というような、農地の利用下限面積というものももう一遍見直していただいて、都市の皆さんも農地つき賃貸住宅みたいなものが制度としてつくられて、都市の人がそこに行って、10アールでも5アールでもそこで農業を体験できるというような法的制度もこれから見直していただくと、非常に農地利用がわかりやすくなってくる。

同時に、地域の土地利用においては、生活区域というようなもの指定していただいて、生活空間を集約していく。先程、集落が非常に衰退していくという数字が出ておりましたように、これは中長期的な計画を一方で入り口をつくっておいて集約しませんと、生活用水にしてもものすごくコストがかかるだろう。災害、地震とか台風によって、数キロ離れた集落の5戸のおじいちゃんとおばあちゃんのところに生活排水をして、若者に帰ってほしいんだけれども、そんなものが本当に維持できるだろうかという感覚も地元で持っておりますので、その辺の土地利用計画、農地利用計画というものを明らかにしていただきたいなと、ちょっと長くなりましたが、思っております。

部会長 ありがとうございました。

専門委員 全体を読ませていただき、また、話を伺って、大変にいろいろ問題が大きいなということをつくづく感じるわけですが、一体どうしてこういう問題になったかということを考えてみますと、結局、日本の国土の、特にこの半世紀の日本の国土の利用の仕方が悪くて、そのために一極集中、あるいは地方においても地方の中でまた一極集中が起こっている。そういうことがすべての原因に非常に関わっていると思うんです。この審議会の枠をはるかに超えてしまうわけなんですが、その問題を放置したまま、いろいろなこと、例えばお金を直接出すというところまで含めてやりましても、すべて弥縫策に終わるということはやむを得ない点はあるわけですけれど、だからそれで続けていくんだというのでは、日本国の問題を考えるという点に立つと余りにも情けない。短期的であり、また、考え方が狭いと思うんです。

私、経済審議会の委員もやらせていただきまして、この間、仙台に「経済社会のあるべき姿」のPRのために行ったんですが、そのとき地方の自治体の長の方々が口々におっしゃるのが、人口がいなくなっている、高齢化が進んでいる、働き手がいない、戻ってこないというようなこと。産業を誘致しようとしても、産業は一つも来てくれないというようなことで、皆、恐らく共通の悩みがあり、そういうことが農業の問題に直接、間接に非常に影響していると思うんですが、なぜそういうことになったかということをたどっていくと、結局、国土利用計画の失敗で、国土利用計画がどうしてうまくいかないかというと、人が職場を求めて移動するということを忘れていたのではないか。結局、戦前は工業で、工場を求めて人は移動したので、工業地域に全体がばらまかれていたものが、戦後になってオフィス、事務作業というものが極めて大きな意味を持ってきたのに、オフィスを野放しにしたために、便利なところに全部集中してしまった。それを放置しておけば、いつまでたっても地方には還流してこないということなんです。

これは今日のテーマではないので、このことをいろいろと言う時間はないのですけれども、ともあれ人が働き場所を求めて移動するという基本的な問題を何か解決する手を大きな形で打たないままいろいろな対策を打っても、これはお金を使うばっかりで、むなし過ぎるのではないかというふうな感じがします。

先ほどハンデを持つ日本の国土というような御説明もありましたが、私は必ずしもそう思わない。といいますのは、日本の空の上を飛んでいるジェット機から日本を見おろすと、ほとんどが山で、そしてほとんどの山のところに山林があるわけで、もしこれが平らな国だったら、今ごろは全部砂漠になっているのではないか。山があったおかげで緑が残り、緑が残ったおかげで川がすべて美しく残っているわけで、これをハンデと考えるのか、むしろ長所と考えるのか、物の考え方であって、これをハンデではない、むしろ長所と考えたときに日本国土をうまく、バランスよく使う知恵が日本になかったところに問題があるのではないかという感じがします。

したがって、この審議会をはるかに超えるということをお断りしたわけですが、日本の国土をどう使うかというグランドデザインのようなものを片やはっきり打ち出していかない限り、何度こういう審議会を繰り返しても真の問題解決はないのではないかというような、私はこの農村の問題、農業の問題は全く素人なんでよくわからない点が多いんですけれども、何かそういう感じがいたします。

結論的には日本の国土利用のグランドデザインをつくるということにエネルギーの半分ぐらいを割いて、残りでまた弥縫策もやらなければならないというように感じます。

以上です。

部会長 ありがとうございました。

どうぞ、さん。

委員 私は先進国の農業のあり方というものと関連していると思うんですけれども、数日前のニューヨークタイムズがまた取り上げていまして、要するにアメリカの農家数がどんどん減っているんですね。1930年以来減り続けているんですね、アメリカは。恐らくヨーロッパも先進国の農業の土地とか、あるいは農家数というのはずっと減り続けてきているわけで、だんだん効率化、大型化というものが進んでいるわけですけれども、日本においてもそういう動きの一つとして今のような問題が出てきているんだろうと思うんですね。だから耕作地を放棄していくというのは、プロフィッタブルではない、もっとほかの収益の高いところに農家が移っていくということで、アメリカも同じことですが、要するに兼業農家がどんどん増えている。要するに農家をやっていましても、今アメリカも年収が大体2万ドルから3万ドルなんですね。日本は、いま資料を拝見すると500万とか800万円とか出ていますけれども、そういうことになると、どうしても都市の近郊の工場のあるところに働きにいくとか、そういう新しい雇用を求めて農家の人口移動が起きているわけですね。日本においても農業というものがもっとプロフィッタブルなものになれば、恐らく耕作地も放棄されないだろうし、あるいは農業人口もそんなには減っていかないわけですね。

そういうことを大前提として考えて、いかにしてプロフィッタブルな農業にしていくかということがまず一番大事なことでありまして、だけどそれは市場経済に任せるということになると、なかなかそうはいかない。そうすると、日本の国土というものが水資源の問題とか、環境問題、国土の保全の問題からいってやはり荒れていくわけでありますから、そのためにはある程度国が資金を使って、そういうものを保全するということをしないと、なかなか耕作地の放棄とかそういうものを市場に任せるだけでは成り立たなくなりつつあるのではないか。そこに大きな先進国農業の問題があるのではないかという気がします。

したがって、私は、具体的に、例えばアメリカとかヨーロッパとか先進国の農業の所得がどう推移しているかとか、あるいは耕作地の放棄がどういうふうに進んでいるかとか、農家の数がどういうふうに推移しているかというものも、資本主義の産業の進展に応じてどういう変化をしてきたかというものも一度調べてみる必要があるのではないか。

農業をいかにプロフィッタブルにするかというところに焦点を置かないと、いくら政策で何とかこれをやろうと言っても、なかなか根本的な解決にはならないだろう。そういう意味から言うと、市場にだけ任すというわけにいかない部分もあるでしょうし、国土の保全ということから考えれば、やはり国としてある程度の予算を組んで、国土の保全、あるいは水資源、環境保全というものにどういう予算で、どういう手を打っていくかということを考えていく必要があるのではないかと、そういう気がいたします。

部会長 ありがとうございました。

さん。

専門委員 前回いただいた資料の中に昭和63年から、確か平成7年度までの農業人口数と農家戸数が書いてあったんですけれども、あれを見てみると、農家、農業者ともに減りつつありますけれども、平成7年度あたりになりますと、1人当たり、あるいは農家1戸当たりの収入というのは上がっているわけですね。

したがって、この審議会での論点は、例えば耕作放棄地、あるいは農業離れした人たちを無理やり引き戻すのか、それとも日本の農業を守るのかという、二つの視点があると思うんですが、私は高齢者あるいは担い手を農業に引き戻すということは、この数十年、ほとんど無理な状況だというふうに考えています。というのは、今、さんがおっしゃったように、やりがいに欠ける。苦労して、山間地を耕しても、自分の収入にはならないというふうに考えますと、農業というのは二つに区別していいかと思います。一つは自給する農業。自分たちを養う程度につくる農業と、もう一つは生産する農業。

我々が産業として今後期待するのは生産する農業であります。生産する農業というのは大規模でありますし、機械化であるだろうと思います。そうすると、山間地の農業にはほとんど期待するところはない。これは、高齢者になって、担い手がいなくなれば当然荒れ果てていくわけですから、この荒れを防ぐため、あるいは水をかん養するためには、国がそれを山林に戻すとか、そういう役目をする。後の生産する農業にはどんどん優秀な人を入れ、教育し、そして労働者でも外国人労働者を入れていくような措置。これには外国人労働者のことは一つも書いてありませんけれども、外国人労働者を入れて、農業生産を高めていく。そのためには政府、あるいはある程度の賃金の補てんがある期間必要かと思われます。それは無駄なところに金をつぎ込む今の農業よりも、より効果があるのではないかと思いますし、なおかつ我々がやらなければいけないのは、唯一自給を突破している、120%の米生産ですね。これを100%ぐらいまでに抑えて、備蓄を50万トンぐらいに抑えて、あとの耕作地を他のものに転用していくということを積極的にやる。というように、農業そのものを区別して、もっと生産性のある、やりがいのある農業をつくっていくべきだと思います。

我々産業は常に思うんですけれども、どうして日本の農産物はこんなに高いのか。農業者に聞いてみると、いや、高いわけはない、我々は目いっぱいやっている。高くなる仕組みが我々の業界はいまだかってひとつもわからないんですね。何であんなに高くなるのか。そういうようなことを根本的に考えない限り、日本の農業というのは今の崩壊を防ぐことはできないと思います。

部会長 ありがとうございました。

計画的な土地利用という問題について何かお考えがあったらもう少しお聞かせいただけるとありがたいんですが。

と申しますのは、私は田舎の知事として毎日のように開発と適正な土地利用との調整ということでしょっちゅう悩まされるわけであります。今の法制は、例えば一つゴルフ場という問題を考えてみますと、こんなところに田んぼをたくさんつぶして、きれいな丘陵地帯をつぶしてゴルフ場をつくっていいのかなと思うようなところにもゴルフ場がどんどんできてきます。もうこれだけゴルフ場ができてしまったのだから、つくったって赤字になるからやめなさいと幾ら言ってもおつくりになてしまうわけです。制度的には知事が許可するということになっているので、さも県知事がばかすかゴルフ場をつくったというふうに誤解されますが、あれは法律上、許可をしなければならないと書いてあるので、最後は許可しないと訴えられてしまうんです。訴えられると完全に負けるんです。法律上は、例えば公道に面しているとか、上水道とか下水道の排水がきちんとなっているとかという当たり前の条件が満たされれば許可をしなければならないと書いてあります。

先ほども森林の効用の話がございましたが、森林法でも山を守った方がいいのではないかなと思うところまでどんどん切られて、ゴルフ場化するわけでありますが、その場合の森林法の伐採の許可も所定の要件、この要件はごく当たり前の、常識的な要件なんですが、要件が調えば許可をしなければならないと書いてありますから、さも知事が許可してゴルフ場をつくったように見えますけれど、実際はそうではなくて、幾ら防いでもできてしまう。乱開発の防止という意味でも随分私なりに悪者になりながらも、結果的には、そうですね、今、栃木県では130ぐらいのゴルフ場になっていますけれども、30ぐらいは事前につぶしましたが、結果は130まで増えてしまったわけであります。

そのことはそれだけの話ではなくて、それが適用される農村とか緑とか開発とかというところに全部深く刺さり込んでいる話でありまして、昔、余り深い考えもなしにたまたま農業振興地域に手を挙げてしまったというところが結果的に守られているという妙な現象になっています。片や、余り考えることもなしに、農振地域にしたり、都市計画法に基づく何とかの地域にしたところは、そういう指定がなかったところ、あるいは指定をしてもらわなかったところに比べて、自分のところの土地利用が非常に窮屈なものですから、いろいろと問題を提起してきます。

ここまで言うと言い過ぎなんですけれど、国のお役人さんは非常に法律に忠実に頑張っても頑張り切れるんですが、県、市、町、村となればなるほど、議会との間では立場が、正直言いまして弱くなっている面があって、そういうときにいろいろとトラブルのもとが起こるわけでありまして、そういうことを背景に、地方分権の審議会で分権をお決めになるときの答申の中に、これから市町村、地方公共団体がしっかりと土地利用計画をつくって、それに基づいて良好な国土を維持するように努力しなければいけないということが書いてあるのですが、あれは余り評価してもらえないんですね。言葉も非常によくて、計画なきところ開発なしという、そういう格好で地方公共団体、もっと頑張れというくだりがあるんですが、できれば我々にしてみれば、そういう制度がもっときちんとあって、もちろん地方公共団体もしっかりしなければいかん面があるんですね。あまり政治的に左右されないで、客観的にも大体いいなと思われる土地利用計画をつくれるだけの力を持たなければいけないんでしょうが、そういうものがあって、それに基づいて土地利用の規制ができたら、その中にも都市問題とか農業問題がうまく組み入れられたらいいなと思うんですが、なかなか法制的にはそこまでいくのかいかないのか、これからの問題かもしれませんが、できればいっていただければいいなと思っているわけでございます。

したがいまして、できれば委員の皆さんから計画的土地利用の推進について、こうしろ、ああしろというようなことについてもう少し具体的な御提案みたいな御意見をいただければありがたいんでございますが、何かございましたら。

委員 では、一つ提案をしていいですか。

何のために計画的な土地利用をするかといえば、優良な農地がどんどん非農業に転換されていったり、そういう動きがあったり、農作地を放棄する人が出てくるというようなことから、国として優良な農地というものを農業用に確保しておく必要があるということなんだと思うんですが、その場合に、市場経済をベースにいたしますと、こちらへ転用した方がもうかる、あるいはこちらへいった方が有利だということになれば、個人の希望としては当然そういうところに売ったり、ゴルフ場にしても高く買ってくれるから売るわけでありまして、お米をつくっていた方がもうかるのであれば当然売らないわけです。

そういうことを考えると、国として本当に優良な農地を確保して、あるいは水資源の問題、環境問題から、国の保全の問題からいって、やらなければいけないとするなら、計画的な土地の利用をするという政策をもし打つとしたら、どれだけの予算でやるんだという、お金は一銭も使わないで、地方自治体に、おまえ、ちゃんとやってくれよと文書を幾ら書いても、実際の経済活動というのは、やはり収益が上がるかどうかということが非常に大きな原動力になっているわけですから、非常に抽象的な目的、国全体の目的を個人に押しつけるということはなかなか難しいと私は思うんです。

したがって、国のできないことを地方自治体に押しつけてもできないでしょうから、もしそういうことであれば、大したお金じゃないと私は思います。今、総合経済18兆円云々という話が出ていますが、それから比べれば大した金じゃないと思うんですが、そういった意味から言うと、計画的な土地利用を国として政策として打ち出すとするならば、どれぐらいの予算でそれを実行するかという、国の予算、お金を使わないでなかなかそういう政策の実行というのは難しいのではないかと思うんです。だから、お金はなしよと、ただし、皆さん、優良な農地は何とか確保しましょう。さあ、困ったな、できないなと。それでは恐らく絵に描いた餅になるのではないかと。

そういう意味で提案申し上げたいのは、もしそういう政策を打つのであれば、それなりの予算というものを持ってやる必要があるのではないかと思います。

会長 先ほどお聞きしていて、専門委員からは、理念と運動という方向を明確にしろと。さらに今度専門委員からはそれを具体的に受けた感じなんですが、経営農地、自給農地、交流農地というふうな、やや具体的な構想を出されましたけれども、こういうことを進める上で今の農地に関する制度だとか、土地改良に関する制度だとか、そういう問題をどうクリアするかという問題もあるでしょうし、あるいは坂本委員の言われるような、要するに農場をつくりたいわけですね。効率的な、計画単位で利用できるような。それは制度の問題なのか、それともそういうことをやるには合意形成というのがなかなか難しい実態があります。どういうふうに考えればいいのかということをいま少し議論を深めていただければと思うんです。

そういうことを考えるのに、1、2分いただきますが、つい先だって中国へ行きまして、村レベルまで調査しまして、ある村へ行きましたら、全体は2000ムーぐらいある村なんですが、そのうち1100ムーが自留地ですね。自給農地は欲しいけれども、あとは要りませんと。もうつくりたくありませんと。これはものすごい兼業地帯かというと、必ずしもそうでないんですけれども、1100ムー、つまり70~80ヘクタールぐらいが、驚いたことに、500ムーずつだから、30~40ヘクタールの農場が二つできているわけです。そこは全部残りの自給農地まで含めて、作業受託しているんですね。小麦はもちろん大型トラクターで、4メートル幅の大型コンバインでもって効率的にやっているわけなんです。そういう実態。詳しくは別として。つまり、自留地と本当の経営農地、大規模経営ができているんです。その一つの尺度――いろいろあるんですけれども、私はつくづく兼業の成熟度というのを痛感したんです。兼業の成熟度。日本はもっと兼業の成熟度はあるわけですけれども、要するにあそこは村民委員会が農地の所有権を持っていますから、集団的所有ですから、利用権だけ農家にやっていたのを、利用権はもう要りませんと。こういうあれがあったわけです。中国を別に見倣う必要はないと思いますけれども、日本で一体どういうふうにそれを進めればいいかというところがポイントかもしれません。

そういう意味でお2人に……。

専門委員 私自身、農地の制度なり、あるいは計画的な土地利用制度について現状では非常に不満であって、直すべきだということはいろいろなところで申し上げているわけなんですけれども、今日は具体的な話は控えまして、今一番やるべきことは、過去の失敗というとちょっと語弊があるかもしれませんけれども、経験に学ぶことだろうと思うんですね。

例えば農振地域の設定に無理があって、そこから少しずつゾーニングが崩れていったケースですとか、あるいはもちろん合法的ではあるんですけれども、非常に適切ではないような形に、どうしてこういう形になっていったのかというようなことを少し大々的にといいますか、きちんと調査をして、どこに問題があるかというようなことを洗い直すことが実は一番制度をきちんとしたものをつくる上では近道ではないかと、こう思うんですね。前向きに、抽象的な議論というのはいろいろありまして、いずれももっともなんですけれども、問題は具体的に生じている問題に対してなかなか対処できていないということだろうと思うんですね。今はむしろ過去をきちんと振り返って、なぜいろいろな問題が生じているかということについてじっくり見詰め直して、そこからスタートするという、こういうことではないかと思うんですね。

これは、基本計画、3月までにということですけれども、それよりも相当長いスパンで考えるべき問題だろうと思うんですね。

部会長 ありがとうございました。

専門委員 私の場合は今現場で感じますのは、やはり憲法の所有権の問題もございますし、今お話があるように、やはり利益という、所得、それを今憲法は保障しているわけですから大変難しいんですが、このあたりで将来の21世紀の我が国のあるべき姿を考える時期ですから、農地というものをどこまで国民合意の中で守っていくかという、合意が基本になっているわけでございますから、それを前提に考える中で絶対数が決まってくる中で、その中でも今皆さんからお話があったように、いろんな環境によって、大平原でないということからして、そこの中に一つのきちっとした線引きをある程度法定化できるものならして、当面それを一気に強制的に動くことはできないけれども、それによって今度施策誘導というのが出てくるのではないか。食料・農業・農村と今回法律が分かれたのもそういう視点があると私は思っておりまして、経営農地、自給農地、交流農地というような位置づけをしながら、その中で一つは環境的にこれは意義がある、多面的機能を維持しているというときには直接支払いというものを使い、また、経営ということにいく場合には、経営政策ということも新農業基本法でもできておりますから、その辺で少しずつ計画的誘導しかないと私は思うんですが、ある程度位置づけられますと、我々も現場でそれが少しずつ動いてくるだろうというのが期待なんです。

専門委員 農業は歴史上優勝劣敗という概念を入れることは非常に難しいというのは我々としてもよくわかりますけれど、しかし、農業全部を救っていくというのはどだい無理な話で、したがって、将来我々が期待する農業の人口、期待する農地の広さはどのくらいあればいいのかという、期待する農業者というのはもちろん我々消費者の期待にこたえてくれるいわば優秀な農業者ですね。優秀な農地というのは、我々消費者が期待するような良質の品物を安く供給してくれる農地がどの程度日本のために必要なのかというぐらいの一つのコンセンサスというのがあって、悪い言葉ですけれども、いいも悪いも全部救えというのは、我々民間では毎日毎日激しい競争をしている中で、なかなか国民に納得させることは難しいだろう。去る者を引きとめるというようなことは、市場経済主義、口幅ったい言い方ですけれど、難しいし、やってはいけないことだろうと思います。

部会長 まだ議論はあるんでしょうけれども、1、2番目の問題を含めまして、そろそろ3番目と4番目につきましても御議論を広げていただければと思います。土地改良施設の維持管理への公的関与のあり方というのと、農業集落問題につきまして御意見ございましたら。

専門委員 私ばかり発言してはいけないんですが、一つの提案をしてみたいんですが、私ども集落、特に西でございまして、このデータでも全国で平均農地、1集落の農地面積は36ヘクタールと出ているのですが、これは全国であろうと思っております。西になりますと、20を切るのではないか、1集落がですね。したがって、ここに目を通しますと、集落の再編成は現状の集落の再編成ではない方向で検討を始めていくということで、大変高くこのテーマを評価しております。

したがって、私どもも高齢化しておりまして、確かに生活環境ということでの集落の価値もありますが、基本は私ども生産機能というものを無視できない大きな機能なんですね。したがって、家族経営がうまくいったというのは、集落という一つの組織があった。だから家族経営がうまくいった。その集落が崩れるということが家族経営の担い手に大きく影響しているのが現場なんですね。今、地域社会は縮小し、地域経済は膨張しておりまして、東京へ日帰りができるんですね、中国山脈の上から。この時代に、これは古くからの伝統でありますし、文化が絡んでおりますけれども、例えばもう少し大きい集落的な再編を図って、例えば旧村、旧農協単位程度の集落システムというものをまず最初は経済から動かないと動けないということで、広域営農集落的なシステムをぜひ御検討いただきたい。これは大変なことがありましょうけれども、今あまり希望者がないよと言われましたが、50%以上は問題だというものを感じているデータをさっき感じましたので、広域営農集落、そこには法人もありますし、兼業農家もいらっしゃるし、ホビー農業者もいらっしゃるし、いろんな農業者を、そこにはまた商店もあるでしょうし、機械屋さんもいらっしゃる。それを総合的に、何といいますか、連携したような中で、先生もよくおっしゃるんですが、6次産業、総合生命産業化した一つの新しい農村産業としてとらえるなら、そこに新しいビジネスとかアイデアも出てまいりますし、そうしたシステム。そうしますと、私たち法人の仲間がいるんですけれども、30ヘクタールの集落の中へ我々仲間は70とか50で、それでも経営がなかなか大変というのがすっと入りますと、村の乗っ取りみたいな感じで受けとめられて、大変な違和感が出てまいります。

しかし、200なり、300なり、500ヘクタールぐらいの単位の集落にするときには、法人が堂々とその役割、お世話係でもいいし、世話役もできるでしょうし、そうしますと、地域農業というものが見てえくるし、締まってくるのではないかということから、ぜひその辺を御検討いただいて、さっき触れましたように、生活区域もどこかその中に長期的に集約をしようという約束を持って、そこに若者でも住めるような排水から高機能、マルチメディア等も含めたような新しい最高の集落をつくれば、いろんな町の人も来られるし、若者もそこで元気に――今の集落では若者の居場所がないんですね。多数決では完全に敗北者になっていって、若者に荷がかかってしまう。これについては都市の皆さんも、都市機能の中に村が教育した若者がじいちゃん、ばあちゃんを置いて出ているわけですから、都市の皆さんも負担いただかないと。企業の皆さんも御理解いただいて、村に残った若者は、じいちゃん、ばあちゃんの面倒を見ているわけでございまして、消防団とかすべて、水路の管理も。ところが、出っ放しでは大変地域は困っているというのが実情だということをつけ加えて、ぜひそうした整備の方向を御検討いただきたいなと思っているんです。

以上です。

部会長 何か御意見ありましたら。

専門委員 むしろ第1のテーマのところで申し上げるべきだったのかもしれませんけれども、土地改良施設の維持管理への公的関与のあり方ということで資料が用意されておりまして、これはこれとして理解できるんですけれども、耕作放棄をできるだけ防いで、優良な農地を残しておくということで言えば、維持管理だけではなくて、いわば投資といいますか、事業そのものの物の考え方ということも検討していく必要があるんだろうと思うんですね。土地改良制度については、今、別途検討されているということだと思いますので、細々としたことは申し上げませんけれども、先ほど来委員の方のいろんな発言にもございましたけれども、農地をある程度といいますか、必要な農地を保全するというような、こういう国全体としての政策的な判断と、現在の土地改良事業の推進の建前といいますか、この間にかなりずれがあるんだろうと思うんですね。土地改良、農業の基盤整備につきましても随分古くから費用対効果を評価して、効果が費用を上回るという、こういうことをクリアするようことになっているわけですね。ところが、実際にはかなり厳しい状況があるわけですね。ひょっとすると、地元の感覚でといいますか、費用対効果を調べると1を割るといいますか、そういうケースがかなりあるのではないかというのが私の感触なんです。

しかし、国全体として見れば、これだけの農地はやはり必要だという判断があるとすれば、国全体としての農地のあり方、その姿を描き出す。これはかなり高度な政策的な判断なりを加味して行うべきであって、費用対効果というのはその姿を達成するのにどうしたら一番効果的、あるいは効率的にできるかと、そういうプロセスといいますか、行く道をいかに合理的にするかという、そこに使うというような考え方を取り入れてはどうかと思うんですね。むしろどこに水田を配置して、ここはむしろ水田以外のものにした方がいいだろうとか、そういったようなことを考えていく場合の非常に重要な参考資料として費用対効果というのはあると思うんですけれども、個々の事業ごとに効果が費用を上回るという、その普通の企業の意思決定と同じような形の建前だけでは、どうも実態とのギャップ、今、国としての農業政策、農地政策に求められていることとの間にやや距離があり過ぎるのではないかと、こういう感じがいたします。

委員 私は少し次元が生活周りになってしまうと思うんですけれども、先ほど委員が国民にもっと農村とか農業そのものをアピールすべきだということは全くそのとおりだと思うんですね。

私は、これは国土庁主催による表彰事業なんですけれども、農村アメニティコンクールというのを今年14年目になるわけでけれども、そういう調査の対象になった候補地をずっと歩かせていただいていて、木村尚三郎先生も、芦原義信先生も御一緒なんですけれども、そういうところを実際歩いてみますと、農村側の方々の思いというものがちょっとここで温度差があるような気がするんですね。

なぜかと申しますと、実際そういう集落、すばらしいむらづくり、まちづくりをしている方々、このアメニティというのを大きくとらえますと、結局農村地域特有の緑豊かな自然や歴史とか風土を基盤に、ゆとりとか、潤いとか、安らぎとか、そういうものに満ちた居住的快適性を持ったところを表彰するということなんですけれども、本当に積極的にそういう快適性をつくり上げているという市町村がたくさんあるわけなんですね。伝統文化の保存ですとか、継承ですとか、都市や地域との交流、そういう観点から審査を始めさせていただいてきてずっと経つんですけれども、実感として、特に女性たちの思いが物的生活水準はある程度満たされたと。むしろこれからは、これ以上開発しないで、私たちの価値観、経済優先から生活重視優先へとシフトしていきたいんだと。決して成長志向ばかりではない。むしろもっと穏やかな安定志向へいきたいんだと。物の豊かさより、心の充実へシフトしていきたいという、そういう希望といいますか、現実というのが非常にあるわけなんですね。そういう中で暮らしの質への追求というのはもっともっと私は先進化していくことと思うんです。

ですから、そういう中で、先ほど大型化というお話もございましたけれども、経済的に考えれば大規模農業というのは必要だと思うんですけれども、私も昨日旭川の上の方の音威子府の方から1週間ずっと回っていたんですけれど、現実には家族経営でなければもうできないような現実というのがあるわけですね。そういう家族経営の中で心の充実みたいなものを、価値観を都会とは異なるということを認識して暮らしている。そういうアメニティ空間をつくっている市町村がかなりあるわけなんですね。特にここ10年、15年の間に、はっきり言って問題意識を持ってやってきた市町村と、あまり意識を持たないできたところの格差がものすごく大きいと思うんですね。ですから、頑張ってきたところ、これに余りあれこれ言わず、基盤整備もきちっとやっている、自分たちのアンデンティティも持っている、そういうところをもっともっと皆さんで応援をしてさしあげて、頑張っていただきたいところへの問題提起みたいなものを私はもっと都市側の人にもアピールしていただきたいなと現実に歩いていて思うんです。

ですから、先行き暗いわけでもないし、先ほど先生がおっしゃられたような問題点もたくさんあると思うんですけれども、私はそれほど農村が暗いわけでも、担い手がないわけでもない。あるところはある。それから、例えば棚田の場合でも荒廃しているけれども、じゃ、荒廃した棚田はもとの原生林に戻した方がいいじゃないかとか、この田んぼは畑にした方がいいじゃないかという具体的な提案、全体のデザインを起こしていただければ、市町村の取組みをもっと促進できるのではないかと思うんです。

こういうところの会議をいたしますと、何か暗い、日本の将来なくなってしまうような、そういうイメージなんですけれども、本当にこの国土庁が主催しているアメニティコンクールというのはそういう意味では、私は、ああ、日本は大丈夫だと思える。

例えば、皆さん御存じないと思いますけれども、熊本県の水俣に石飛村という小さな集落があるんですね。ここは入植して開かれた村なんですけれども、茶農家なんですが、ここの人たちというのは絶対日本的な組織への帰属意識というのがないんです。国にそんなに頼らない。行政にも頼らない。要するにどこの国にも、会社にも属していれば、黙々と働けば豊かさが得られるなんていう気持ちが毛頭ない人たちなんですね。そういう人たちというのは、結局、日本人道なんて、あんまりいい言葉ではないかもしれないんですけれども、全然他力本願していない。おもねっていない。甘えていない。よりかかっていない。そういう集落が現実にいくつもあるわけなんです。長崎県の大島町なんかは離島で苦しんで苦しんで、日本経済、政治に翻弄されてきただろうなという石炭の町から、造船不況によって人口が減って、なおかつまた、そういう大変なところを乗り越えてきて、独立性とか独自性とか、それは町を挙げて町民がみんなの力で立ち上がったというような、それから香取村のような、本当に一つの理想を掲げて、百年の大計で村をつくっている。ああいうところは本当にお金の欲しい経営よりも、生活を楽しめる経営というスローガンでずっとやってきているわけですね。

ですから、そういうところが日本全国3274の市町村にかなり多くあるということをまず都会側の方にもっとアピールして、農村の良さとか、もちろんマイナス面、改善しなければいけない面はたくさんあるけれども、そういうところに光をもっと当てていただきたいなと。そうすると、そういういい例を見て、自分たちも少しは近づきたいとか、学びたいとかという農民側の意識の向上というか、改革というか、そういうことが大事であって、あまり中央から――もちろんすばらしい資料でしたし、そのとおりだと思うんですけれども、もっと農村に暮らす方々、伝統や歴史や文化やさまざまなしがらみだとかそういうものを背負ってきている人たちがお互いに連携できるようなシステムというか、もうちょっと自由なものがあったら私はいいのではないかなと思います。

ですから、本当にいろんな問題を抱えていることは事実で、きのうちょっと女性たちと話して気になったのは、何か中央からは生産者はいつも消費者の顔色を見ながら物をつくらなければいけないんですかと、そういうようにとれるという発言があったんですね。これって全く違うと思うんですね。そうじゃなくて、誇りをもって物をつくって、あとはどういう流通にかけるかということであって、今、生産者にそういう思いを募らせてしまっている。市場優先みたいな方向にいっているというのは、ちょっと方向が違うのではないかな。ということは、そういうことがきちっと農民側に伝わっていないのではないか。だけど、彼女たちは本当に伝統や文化を大事にしながら、誇りを持って生きているということは事実ですので、その辺の上手な交流の仕方というのも、これからは本当に上意下達ではなくて、こちらの資料もございますけれども、その辺のところを御理解いただきながら評価していただきたいと、そのように思います。

部会長 ありがとうございました。

いかがでございますか。

専門委員 集落再編、あるいは集落の整備ということで、これは現場を一番御存知の地方自治体、公共団体が御判断するのが一番だろうと思いますけれども、これはこれで必要なケースもあると思いますし、先ほど委員のおっしゃったことも共感できるんですけれども、ただ、長期的に見ると、つまり世代を超えて維持が無理であると判断せざるを得ないような集落もまたあるだろうと思うんですね。

その場合に、二つ申し上げたいことがございまして、一つは、旧来型のコミュニティは消滅しても、全く新しい形で農地として使うという可能性がゼロではないということがあろうかと思います。水田であったところを完全に放牧地なりにして、あるいは農地を集約して、というケースがそんなに多数ではございませんけれども、ございます。したがいまして、農業として思い切った発想の転換によって、その地を農業としてよみがえらせるというようなことが不可能ではないという、こういう農業面での発想の転換が考えられるのではないかということが一つであります。もう一つは、コミュニティの問題として、その場合に再編・整備――繰り返しになりますけれども、これは当事者の意向ということも当然尊重しなければならないわけでございまして、私の経験から言いますと、特に集落再編というのはなかなか厳しい。御本人たちにとってもですね。しかし、今申し上げましたように、長期的には維持できないと判断せざるを得ないということがあるんだろうと思うんですね。それはその地域の人々を見捨てるとか、あるいは福祉について無頓着になるということとは全く違うだろうと思うんですね。つまり、世代を超えて、次の世代まで維持することが恐らく無理だろうという判断をせざるを得ない場合には、いわば政策資源の投入を投資あるいはストックの形成というようなところから、いわばサービスといいますか、フローの充実を図るという方にむしろ転換するということだろうと思うんですね。その地域に人がおられる限りは、できるだけのことをする。しかし、50年、100年続くようなことを考えることだけではないんだと。そこは断念するという、いわば政策資源の使い方の転換というような、そういう考え方があっていいんだろうと思うんですね。

全体として、再編・整備というトーンがやや強いかなという、こういう印象を持った次第でございます。

委員 ちょっとお聞きしたいんですけれども、土地改良施設の維持管理、公的関与のあり方ということなんですけれども、ここに書いてありますように、都市化、混住化ということがあって、純粋に農業のためだけにいろいろ公的関与をするということよりも、建設省がおっしゃったように、生活者のためにもかなり農業の施設というものが役立ってきているし、農業排水等についても生活排水が一緒に入ってきているとか、農水省だけではなくて、ほかの省庁にもまたがる形で公的管理というもの、あるいは公的関与というものが必要になってきているのではないかと思うんですが、この辺について特に農村の都市化、混住化が進んでいる折に、そういう公的関与の面で農水省だけがやるということではなくて、やはり省庁をまたがった形でこの問題を解決していく必要があるのではないか。農水省の予算だけではなくて、変な言い方をするようですけれど、ほかの省庁からも予算をとってきて、一緒におやりになった方が、やはり国全体として今や正しい姿になりつつある地域も増えてきている。もちろん農村だけの地域もあると思いますけれど、その辺についてはどういうふうにやっておられるのか、ちょっとお聞きしたいと思います。

部会長 今のは御質問ですけれど、何か……。

事務局 まず現況を申し上げますと、土地改良法という法律に基づいて、受益者がきちんとした形で土地改良施設をつくっておりますので、言ってみればそれは公的関与の前に、自分たちの施設だという前提がございますね。ところが、今おっしゃったように、実際には既に地域全体のものになっているわけです。排水から始まって、親水機能まで持たなければならないという状況も出ています。例えばため池だって市民の憩いの場にもなりますね。

そういう点からすると、我々は、別に農林省のということではなくて、いろんな意味で公的な関与なり支援が必要だと思っていまして、そういう点から勉強を今しています。ですから、そのときに国がというよりは、地元で住民に近い市町村がどういうふうにしてもらいたいか、自分たちがどういうふうに分担するかということが大きなポイントではないかと思っています。そういう方向にいってもらいたいなと我々は思っておりまして、特段農林水産省の専権の分野であるからほかには渡さないというふうな考えはないです。

委員 予算的にはやっぱり農水省関連の予算ということになるんですか。

構造改善局長 いや、むしろ市町村が関与するということになると、それは自治省を経由して出ている要するに地方財政措置なり、市町村自ら稼ぎ出した一般財源、そういう中から出ていくことになると思います。ただ、今、地方自治体は非常に苦しい状況にありますので、少しでも持ち出しは自分たちはせずに、できるだけ国から出してもらった方がいいなというお気持ちもあろうと思います。それを自分たちの地域の資産だというところまで御理解していただくというか、腹の中にすとんと落ちるまでちょっと時間がかかるかなと思っております。

部会長 いかがでございましょうか。

委員 この会議にずっと出ていての私の感じは、やはり今我々がここでやる目的の一つは、食料自給率熱量41%をどう考えるかという問題が大きなテーマだと思うんですね。それをやるためにはどうしても国際競争力といった視点がどうしても要って、そういう目で見て耐えられる農業というのを考えなければいかんという一つの面と、人間が生きていく生活の場としての農村というものを考えるのとは少しギャップがあるような気がするんですね。そこを混在して議論するとわけがわからなくなるのではないかと思います。したがって、そこのところを少し議論のときに分けて議論をしておかないと、一方では国際競争力があるような農村に全部やろうなんていうのは無理な話であり、不可能である。現実的でもない。それが混在した議論として出てくるときや場面があるのでわかりにくいんですね。

したがって、食料自給率をアップするという立場での農業政策をどうするかということなら、そこに徹して例えば議論するといったようなことをしませんと、どうもわかりにくいというのが私の印象です。

部会長 私もそう思いますけれども、ただ、分けて議論してもということになるので、委員のおっしゃることもよくわかりますが、難しいのではないかと思います。

例えば集落が崩壊していくという話、私のような立場で見ていますと、一番心配なのは消防なんですよ。集落が崩壊すると家族経営がもたなくなるという農業生産の問題ももちろんありますが、消防、その次は医療なんです。だんだん(集落の人が)いなくなるとお医者さんがいなくなっちゃうんですね。そういうところに市町村が自腹を切ってお医者さんを置くわけですけれど、この負担はものすごく大きいものがありまして、そういう意味では今のお話とも関連するんですけれども、農業生産の場としての集落問題というより、むしろ消防とか医療を含めたトータルの生活の場としての集落問題というとらえ方を私はしたいんです。

専門委員 ただその場合でも、例えば医療の問題は、オーストラリアにあるフライングドクターのようにヘリコプターで現場に行かれるような制度をつくったり、消防などだって、そういうような、もっと近代的な方法があったり、要するにさんがおっしゃるのは、中国から来たキャベツが日本のキャベツと比べてどっちがよくて、どっちが安いかというようなことを議論すべきなのか、それともさっきおっしゃったように、アメニティについてやるのか。そうすると、この二つの問題には全然整合性がないんですよね。それをちょっと区別していただかないと、我々特に門外漢は、流通の末端にいるものとしてはキャベツ1個の問題をもっと改善してもらいたいというふうな切なる願い。それでないと日本の農業は守れませんよと言いたいという部分があるんで、その辺はやっぱり議題の主要なテーマだと思うんです。

委員 全く同じことの問題意識で、説明していただいたんですが、要するにここで議論するときに、両方うまくいくような案を突然出すというのは無理だという感じがするんです。まずは国際競争力で自給率アップの41を50なら50、55なら55にするには、どういうことが要るかという議論をして、それが生活の場としての農村との関係ではどうなるんだという議論なら入りやすいんですけれどね。突然こっちやったり、こっちやったりすると、どうもわかりにくくて、実際には密接に関係するんでしょうけれども、議論としてはある程度ちょっと区分けしておいた方がいいような気がどうしてもしますね。

委員 私は多分今皆さんの御指摘の方向へ最後のまとめのところの議論でいくんだろうと思うんです。その前に、現在の日本の農業はどうなっているかということをいろいろ御説明いただいて、議論しておかないと、全く共通の情報を持たないで、一気に自給率がどうだ、こうしようと、これもまた乱暴な議論になってしまうわけです。だからこの議論が今行われているというふうに理解をすべきではないのか。最後はそういう方向へいくんでしょうということだろうと私は思います。

専門委員 お願いなんですけれども、私ども農業の現場が頑張れという御支援の声はよくわかりますが、私どもも30年仲間とともに努力してきているんですね。しかし、風土、気候、それから為替、人口密度等のそうしたことで、だからさっき総合生命産業という概念、第6次産業という概念をあえて申し上げたのはなぜかというと、我々も努力してきたつもりなんです。

ところが、土地についても定住という文化ですから、土地は農地以上に、日本人のような遊牧民族でないと――学者じゃないんですけれども、ものすごく執着があるということは皆さんも御存知と思うんですね。これは農村だって一緒です。その辺が基本にある中で、我々苦労してきて、何とかということで、単純に申し上げるなら、コストで世界的に勝つようなコストでやると、日本の2割残れないというような、残念なんですけれど、多分、今、企業がやれたらやれるのではないかとおっしゃっていますけれども、私もそう簡単にいかないと、みんな苦労してきております。

そうすると、先般の資料にありましたように、生産額が、農村、農業が持っているのは10兆円を切り始めているんですね。となると、72兆円という食品産業の中で10兆円ということになると、農村の分配はなくなるんです。水を守ろう、土地を守ろう、さっきの改革すべて農業団体、すべて我々の集落を守ろう、おじいちゃん、おばあちゃんを助けようという分配のお金がなくなっているんですね、自給率が下がるということは。

ですから、それをどうするかというのは、今もおっしゃるように、我々も一つはコストです。世界に勝つコストにすれば皆さん買ってくれるだろうと思います。そうすると、農村にお金が入ってくる。ところが、我々はなかなか今の状況を見た場合はほとんど危ないという判断もあるのなら、要するに20兆円ぐらいに、加工であるとか、交流であるとか、連携というような中で、したがって企業の皆さんには少し高くても、やはり日本の国を守るために、農地を守るために、そんな利益はないよとおっしゃるかもしれないけれど、分配構造だろうと思うんですが、我々は連携していただきたい。それが6という、1次、2次、3次産業とどう連携して6にするかということを考えないと、どうしても地域維持のお金がなくなっているんです、経済的に見ても。その辺をぜひ御理解いただきたいというのが現場の声です。

委員 逆に言えば、そういうふうにして国際競争力をつけていくためには今何が必要なんだという議論になれば、かなり入りやすいんですよ。その議論のためには、例えばこの間から出ている法人化をもっと大胆に国も応援して進めるとか、産業も入っていくとか、そのためにはどういうことが要るかという議論をするなら我々も非常に入りやすいんですが、そういう意味なんです。

専門委員 よくわかります。私たちもよくわかります。

部会長 ちょっとこれは課題別に議論すること自体に無理があったのかもしれませんが、せっかくですから、時間もございますので、5番目と6番目、あるいは建設省から出た問題提起の話、農業団体の問題を含めて、あと残された時間を、1番から4番までも含めて結構でございますので、幅広い御議論をいただければと思います。

中山間地域に対する直接支払いにつきましてはいろいろ御議論があるんだろうと思いますが、どなたからでも結構でございます。

委員 今度のWTOで、11月の終わりからですか、議論があります農業の多面的機能、農業基盤の崩壊を防ぐためには農業の多面的機能という、今日のテーマですね。要するに治山、治水、環境保全、土地の保全というようなものも農業の多面的機能の大きな部分を占めるわけですが、それを前面に打ち出しながらいく。多面的機能を、農業基盤の崩壊を防止するためには何かというと、やはり安定した生産、あるいは需給のバランスというようなものを確保していかないと、農業基盤の崩壊を防止することはできないだろうと。農業基盤をきちっと支えるためには農業はプロフィッタブルなものでなければいけないだろうと。そのためには国としては市場だけに任せておけない部分があるわけだから、当然のことながらそれなりの予算を使って維持をしていく必要があるだろうと。

お聞きしたいんですけれども、今回もWTOでその辺の農業の多面的機能、あるいは農業基盤の崩壊の防止というような視点からどういうような交渉をしようとされているのかということをちょっとお聞したいと思います。

部会長 今の御質問、よろしいですか。

事務局 まだ交渉が始まっているわけではございません。現在、いわゆる日本提案というのをまとめて、いろんな場で主張している。

その日本提案の基本は、輸入国と輸出国の権利関係といいますか、今、いかにも不公平でございます。例えば輸入国は、例えばミニマムアクセスについても、米の場合、確実な輸入を求められる。ところが、輸出国の方は、自分の国が仮に、かつて大豆の輸出規制がアメリカで行われましたが、今でもそういう手段が残っております。それから、輸出補助金についても全廃ではございません。そういったいろいろ細かいことを申し上げればきりがありませんが、輸出国と輸入国のバランスが崩れている。それを公正なものに、公平なものにすべきだというのが一つです。

それから、多面的機能、これは現在のWTO協定の中にも非貿易的関心事項ということで入っているのですが、それをきちんと明らかに多面的機能という形で国際ルールに位置づけるべきであると。それから、食料安全保障のこと。そういったことと、それから新しい問題が出てきております。例えば遺伝子組み換えの問題。こういった問題については、農業の貿易ルールだけではなくて、もっと幅広い論議が必要なんで、それは別途の場を設けるべきだと。

それから、林野、水産物については非農産物ということで、鉱工業製品に扱われるわけでございますが、それは問題が違うのではないかと。要するに資源の管理だとか、環境問題とか、そういう問題に非常に関わりの多い林業、森林、水産漁業、これについては別グループで議論をすべきだ。というような主張を現在しておりまして、EU他8カ国の共同提案ということで今主張をして、さらにその仲間づくりをしようということでやっている最中でございます。

恐らく11月の末から始まりますシアトルでのWTOの閣僚会合で議長宣言といいますか、そういう形で次のWTOの交渉の枠組みが決まる。その中に私どもは今申し上げた日本提案をきちんと位置づけるということで、今ジュネーブで大使級の会合が毎日といっていいほど開かれて、議長宣言案のいろいろな議論が行われているという段階でございます。その枠組みが決まった後、具体的ないろいろな交渉が行われるということでございますので、今、まだそういった意味では枠組みづくりの段階、しかも各国がそれぞれの立場を主張し合っているという段階でございまして、何か一定のまとまりができるという段階にはまだ至っておりません。

そういう中でWTOの事務局は、このままいくと取りまとめが不可能になるのではないかという懸念を持っておりまして、先般ムーアという事務局長から外務大臣、通産大臣、私どもの大臣に協力要請がありました。そういった状況でございます。

委員 私は大きな関心をこの審議会としても持つべきだと思いますが、特に農業の多面的機能という面は、土地改良の問題、あるいは土地計画の問題、要するに国としての農業の位置づけ、治山、治水というものにかかってきますので、もし農業の多面的機能というものを外してしまいますと、これは日本だけが要求するのではなくて、EUとか、今おっしゃいましたね。8カ国と何とか、共同をぜひやっていただいて、全く真っさらな市場経済にしてしまいますと、本当に各国の農業基盤が崩壊する可能性もありますので、そういう意味でぜひ農業の多面的機能というものを堅持していただいて、やっていただかないと、この審議会の議論が宙に飛んでしまう可能性もあるので、そういう意味でちょっとお聞きしたようなわけでございます。

専門委員 関連しますので、前回の審議会の最後でちょっと言葉足らずで、その辺を補足しながら、地域づくりの中での農業の多面的機能という立場からお話ししたいと思います。

今日は資料の説明としてはなかったのですが、資料の2の10ページに多面的機能の御説明があって、その右の下の図に、世論調査から、農業には国土保全に貢献する機能があるかどうかというようなアンケート結果が出ておりますけれども、この中で貢献しているというのが最近は60数%になっていますが、私の立場はこの中の一概に言えないという、むしろ少数派です。この種の問題はあまり感覚的にこういう世論調査で議論するよりは、ちゃんとしたデータに基づいて議論すべきだと思います。

そういうデータの一種として出されているんだと思うんですが、上の洪水防止機能とか地下水かん養機能、もろもろのものを金額で出されておりますが、例えば洪水防止機能というのを考えてみて、水田はこれだけ水を貯めるからダムの容量はこれだけ分で幾らというような、この評価は極めて乱暴過ぎるような気がします。水田はもともと低平地にあって、沼沢地であったようなところを排水改良して水田になっている。これから水田の生産性を上げるためになお土地改良をやるということは、散っている水を集めてきて、洪水を増やす方向にいくのは総体的には間違いないですね。都市などでも都市開発をして、流出が増えるというものに対しては、流域単位で考えるというような総合治水の考え方が出ていますけれども、農業の土地改良もそういう側面を持っているということはやはり認識しておく必要があろうかと思います。

こういう問題は局部でどれだけ水を貯めるかというより、地域とか流域の中でどういう役割を果たしているかという立場から見るべきで、そういうことから言うと、本当に農地はそういう機能を果たす非常に重要なところを持っているわけで、例えば昔はというか、いつまで続いたか、私、今ちゃんと記憶がありませんが、中小河川の改良事業というのは農水省がやっていたんですね。耕地課がやっていた時期がありました。今でもそういうのが残っているところがあるわけですが、そういうときには本川、川沿いの堤防をつくって、その両側にもっと離れたところに控え堤、二線堤をつくって、異常洪水には本川を越えたものが間の農地に氾濫して、洪水を低減して、集落なり都市を守るというふうな、地域ぐるみの治水体制ができていたわけです。これが建設省の河川サイドに移ってから、堤防の河川敷しか河川施設と認めませんから、今でも機能を果たしている控え堤などというのは、今は補修のしようもないんですね。

つまり、治水、洪水防御の本質から言えば、やはり地域ぐるみ、流域ぐるみで考えるべきところが今はそうなっていない。治水レベルは上がっていますけれども、計画以上、施設規模以上の氾濫というのは当然起こり得るわけで、そういうことを想定した場合には、農地がそういうことを負担し、なおかつそれは犠牲になるだけではだめですから、むしろ都市とか河川とかと連携して、集落の再編なども含めて、高台に集落をつくるとか、そういうふうな地域づくりというのがやはり水の方から重要で、そういうことを含めて考えていただければ、まさに多面的機能、本質的な、実質的な多面的機能の発揮にいくんで、今日は建設省の方は参加と連携による地域づくりというので、地域活性化とか環境の面からだけおっしゃいましたけれども、むしろ国土保全の立場から土地利用、計画的土地利用というのも関連すると思いますけれども、考えていただければと、そういう建設省と農水省、関連機関の連携というのが国土保全の立場からは重要なのではないかと考えます。

事務局 私の方も多少言っておかなければならないことがあるのですが、事例から申し上げますと、例えば数字で言うと、農業用の取水量というのは、水の総取水量のうち、3分の2を占めているわけです。これは先生御承知でしょうけれども。そのうち、約6割を河川に還元し、地下水に2割を浸透させていますからね。そういうことを含めてダムとか水源かん養機能というふうに我々は言っています。

もう一つ、今の流域単位とか地域単位で物事を取り組まなければいけないというのは大賛成ですし、今もそういう方向でやろうとしています。

ただ、(洪水防止)機能が、土地改良が進めば進むほど劣化をするのかということになると、例えば一番最近の例として栃木県で非常に大きな雨が降りましたね。あのとき、那須の上流に深山ダムという農業用のダムがあるのですが、そこがかなり水をホールドして、調節をし、下流部の洪水を防いだんですね。同時に、あそこから那須疏水という疏水があるんですが、それが那須野原の水の第一受け入れになって、それより下の洪水がなかったといふうな機能が現実にありますし、水田全体として、東京の近郊だと「見沼田んぼ」のように遊水機能を持たせた田んぼというのもあちこちあるわけです。

ですから、地域ぐるみ、流域ぐるみで物を考えるのは賛成ですが、土地改良が進む、あるいは水利施設が整備をされると、かえって洪水を起こしやすくなるというのはちょっとどうかなということだけ申し上げておきます。

専門委員 いや、私が申し上げているのは、例えば谷地(やち)のようなところへ排水路を入れてというのは下流へ負担を増やしていることは事実なんですね。だからケース・バイ・ケースで、一概に言えないと言ったと思うので……。

事務局 そういう意味だと受けとめております。

専門委員 次官にお聞きしたいんですけれども、WTOで大変厳しい攻防をされているんですけれど、日本の今の農業で外圧競争力があると思われる農産物ですね。例えばかつてオレンジの自由化とか、あるいは牛肉の自由化――牛肉は、私は自由化になる前まで500頭ぐらいの和牛を飼っていたことがあるんですけれど、そのときには農家ではパニックが走りまして、牛肉自由化になったらもう日本の畜産はだめだという。しかし、現実に自由化されて、今の関税率だと、当時の飼養頭数とあまり変わっていないですね、日本の牛肉生産高。この前リンゴが自由化されるといって大変騒いだんですけれど、結果的には輸入リンゴというのはそれほどの威力を発揮していない。そういうようなものを見て、日本の農業の農産物で、多少政府が保護をすれば、何とかやっていけそうだという農産物、顕著なもの、大豆や麦はだめだというのはよくわかりますけれども、他に何かあるんでしょうか。

事務局 これは国民の求めるものを提供し得るかどうかだと思うんですね。それは品質であり、価格だと思います。今、リンゴのお話がありましたけれども、日本は矮化栽培というふうなことで、リンゴは大きくなるわけですけれども、背丈ぐらいの高さで収穫できるように改良したわけですね。それから、もう一つは品種の改良も非常に進んでいます。そういうことで、国民が、消費者が日本のリンゴはいいと、多少高くても味がいいし、いいんだということで恐らくリンゴの輸入解禁をしてもあまり入ってこない。事実、日本人は割合珍しものがり屋ですから、解禁したときはちょっと入るんですが、結局今のような品質と価格との関係だと思いますけれども、国民が求めるものを提供すれば、これは一定の競争力を持っていると私は思います。

ただ、大豆とか麦はなぜあれかというと、大豆の場合、ほとんどは油脂原料なんですね。大豆という形で日本の大豆とアメリカの大豆を区別できないわけです。油脂になりますから。油になってしまいますから。

しかし、豆腐だとか納豆の世界ではこれはまだまだ私どもは国民の、消費者のニーズに合ったものを生産すれば、品質と価格で一定のところまではいけるのではないかと。

そういうふうに、これは一概に言えないと思うんす。ですから、牛肉も品種改良をし、日本独自の和牛というものを長い間育種をし、それによって競争力を保っている。豚についてもそうだと思います。卵なんかは完全に競争力を持っていますね。これは物価の優等生と言われるくらいに価格も戦後ほとんど変わらない。これは土地を余り利用しませんから、そういうものは日本の技術というのは非常に強いと思います。

基本的に土地を利用するものについては、先程もお話がありましたけれども、まず農地が都市の土地の価格に引きずられて高い。それから、労賃も高い。油も高い。石油もですね。電力も高い。そういうふうないろんな条件の中で農地の取りまとめがなかなか集団化とか団地化が難しいという。それから、現実に平場が少ないわけですから。そういう中では土地利用型はなかなか厳しいと思います。

専門委員 そういう悪環境の中で、食管法が改正になった後でも、新潟産のコシヒカリなどは価格が上がりましたね。保護を外してもそうやって自由競争にすると価格が上がるというような側面もあるわけですね。したがって、1品ごとに、これならWTOに少し譲歩しても大丈夫だとかいうのは具体的にはないんですか。

事務局 これは今申し上げたように、我が国としては、先程申し上げた基本的な枠組みの中で農産物については貿易ルールをつくるべきだという立場です。ですから、まずその枠組みの中で、枠組みをきちんとつくった上で、それを前提にしたいろいろな交渉といいますか、今、先生おっしゃられたように、これはどうだ、これはどうだという議論が出てくると思います。そのときは我々もきちんと今からいろいろなシミュレーションをしていますけれども、しかし、基本的にはその枠組みの中でしか我が国の農業は闘いきれないと思うんですよ。先程申し上げたように、幾ら努力しても、逆立ちしても、農地の高さは変わらないです、これは。アメリカの150分の1の面積ですし、その農地の価格は逆に言えば何十倍という高さなんですから。それから、石油も高い。農機具も高い。肥料も高い。電力も高い。

そういう状況の中で土地利用型農業は相当私は厳しいと思うし、それは先程分けて考えるべきだと、分けて議論すべきだとおっしゃるんですが、それを分けていっても結局は一緒のところにいくのではないかと思います。これはこれからの御議論の中でまた私どももできるだけお答えをしていきたいと思います。

専門委員 先ほどの話で多面的機能のお話がございまして、私も先生がおっしゃったように、国土保全という視点が私は非常に重要だと思っております。私は現場で牧草地をつくっているのですが、山なり施工という、山なりに草地をつくって、こうなっているわけですが、耕起とか管理を間違えますと、夕立ちだけでも大変な土量、ダンプで5台、6台というすごい泥を流してくるんです。日本は太平洋と日本海で滝みたいな川でございましてね。先ほどもお話が出たように、あっという間に水戸市に行ったということからも。あの棚田というのは、僕ら現場で見て、グローブになっている間は、すべてとは言いません。ですから、すべての棚田をという意味ではなしに、その辺はチェックしながらも、これは昔からの知恵だなというのを現場で感じておりまして、そこに生活者と生産者がいなければ、確かに自然の山になって、環境問題では価値が出る木になりますけれども、そこに生活者がおり、我々が農場におりますと、流れますと、どこかで止めるんですね。それで、それを復旧するんです。ですから、必要なところには生活と生産、委員もおっしゃいましたけれども、これは非常に重要な視点だということを国民の皆さんに、そうではないと、水がめがどんどん埋まっていくのではないか。ダムがどんどん土で埋まって、数十年先にはものすごくの社会資本投資を要求される。その辺でぜひ都市の皆さんも大変いろいろあるだろうと思いますが、御理解をいただきたいというのが1点です。

もう1点だけ、すみません、最後にお願いしたいのは、ちょっと先走っているかもしれませんが、都市と農村の交流という問題が少しありますので、それだけ私から触れさせていただきたいのですが、最近は違うんですが、今までの都市と農村というのは何か対立構造に私たち感じていました。私たちの近くに市があれば、さあ、盆には買い物に来い、買い物に来いと派手に打たれて、行ったけれど、じゃ、都市は何か費用を入れてくれたのかなという感を持たざるを得ない。これは我々の邪心かもしれませんけれどね。

そうした中で最近本当にわたしは大事なことだと思うのは、都市と農村の交流という言葉の奥にあるものがすごいなと感じておりまして、免疫力、それから教育力、それからすごい価値を感じておりまして、これからは都市と農村がどうお互いに活かし合うシステムを一緒につくっていくかというのが非常に大事であって、農村の方も今、朝市であるとか、道の駅――道の駅は私も言い出しっぺなんですが、おじいちゃん、おばあちゃんが一生懸命農作物をつくったものをそこで販売することが全国でどのぐらいの金額になっているか押さえていらっしゃるかどうか知りませんが、我が県だけでも20~30億と言われるぐらい、すごい流通ができているわけです。それは自給率を底支えしている新しい流通ができているということも含めて、一つはそうした場というのもこれから必要ではないかということと、もう一つは、どうしても国民にPRが下手だよとおっしゃいました。私もそのとおりだと思っておりまして、いかに農村で頑張っても、何かこの東京の若い、スターの方が行ってサイン会をやると8万人のもお嬢さんが集まるというが、うらやましくてしようがない。農村は何で下手なんだろうかと思いながら、いつも悩む。ああいう方々が、いい悪いは別としても、次の日本を背負うとするなら、彼女、彼らたちにどうして農村を理解させるかというのが必要だと思いますので、これは体感だろうと思うんですね。一番説得力は理屈じゃないなと。体感となるなら、僕は今、六大都市に農業公園をつくれと。まずその入り口で東京農場をつくったら、都心にですね。そこで牛を本当に飼って、臭いとか、汚いとかあっても、それをどう彼女たちに教えていくかというPRの場も、農業とは全然違うじゃないかという発言をしているかもしれないけれども、私はそういう発想の中で農への理解というものも進めないと、農村でいかに声高らかに言ってもどうもわかってもらえない、というような気がして、僕は東京の都心に東京農場をつくったらどうかというようなばかげたことを言って怒られてばかりいるんですけれども。そういう発想を農林省はすべきではないということなのかもしれませんが、私は大事なことではないかと思っておりますので、ちょっと余談の発言をしたかもしれませんが、お許しいただきたいと思います。

部会長 ありがとうございました。

委員 農村をめぐる現状を見まして、なるほど、それはそうだなということで納得はするんですけれども、これからやっていこうとしている施策のところとでは何となくぴったりフィットしないというのが私の実感なんです。

なぜかということなんですけれども、困窮している状況は述べられているわけですね。それに対してすべて国として何らかの援助をするのかということではないはずなわけですね。国が援助すべき課題は何で、地方自治体が援助すべき課題は何で、自立して解決していかなければならない課題は何でと、その3通りぐらいはあると思うんですが、そのあたりがほとんど見えないと私は思うんです。もう少しそのあたりが見えるような記述にした方がいいと思っています。

土地の利用に関しても、基本的な資源としての農地と水資源の確保という両面があるわけですが、そういうところから具体的な数値を出していく。基本的にこれだけはどうしても必要であるという数値。その上に少し余裕を、2段階ぐらいでしょうか。そういう数値を基準にして議論しないと、ちっとも現実的な議論になってこないので、説得性がないんです。そういう数値を、それは一つの目標、指標でしかないかもしれませんけれども、ある一定の目標になって、もう少し議論が煮詰まってくるといいますか、見えてくる議論になるのではないかのかなと思います。そういうことが必要だということです。

それと抜けているのは、ソフトに対する施策がないということです。人材の育成ですね。それはいろいろな生産者の中での人材の育成ということもあるでしょうし、もう一つは、いろんなお話を伺っていて、コーディネートする人、いわゆるコンサルタントをする人というのがまるで機能していないなというか、そういう人がいないのかしらという感じがするんですね。情報の提供を仲介したり、情報をもっと得ることによって、それで考えるということもできますし、それで刺激になる、参考になるということもあるわけですし、もう一つは、企業にはコンサルタントがあるんだけれど、農業にはコンサルタントはないのかなという感じが非常にいたします。

優秀なリーダーのいるところというのは本当に元気なんですね。それは一概には言えないんですけれども、そういうリーダーをつくっているのは地方自治体が例のお金を一律に1億……。

委員 ふるさと創生ですね。

委員 そうそう、出しましたね。それを貯めておいて、海外研修に出している。そういう経験からそういう人材が育っているとか、そういうケースもあるわけで、かなりの人材の育成に関してどういう施策をとるかというのは一つ大きくあるのではないかと思います。

確かに話を聞いて、なるほどすごいですねと感嘆してしまう生産者もたくさんいらっしゃるんですよね。ですけれど、逆にちょっと甘え過ぎているのではないかという生産者の方もいらっしゃるわけです。まだお互いに隣の芝生は青く見えている部分が都市生活者と農村の生産者との間ではあると思っていまして、当然ですが、そことの交流というのは今後も非常に重要なことではないかなと思います。

本当に卑近なんですけれど、今日は消費者大会をやっておりまして、生産者との交流ということで、生産者の方が100人見えて、それでグループに分かれて交流をして、途中で出てきたんですけれど、これが第1回なんですね。スタートの前にちょっといろいろとトラブったという、余り面倒がよくないわけですよ、都会の消費者は。それぞれ自立していますから、一々手とり足とりしないんですね。そのあたりで少しトラブルがあったということを聞いてきましたけれども、そういうことを積み上げながらお互いが理解をしていくということが非常に重要なので、こういう事業に対してどちらかというと運動的に進められていますので、一定の施策が必要かなと思いました。

部会長 ありがとうございました。

委員 農村へのプロデューサー的な方はかなりいらっしゃいますね。地域に入られて、とてもいいアドバイザー的な役割を果たしてくださる方が。ただ、都市側がいないということの方が問題かもしれませんね。

部会長 個別には結構数はあると思います。

先程、都市と農村との交流という話がございましたが、坂本さんが対立関係、生産者対消費者、農村対都市ですかね。私も川の両岸で両方がどなり合っている間には何も生まれてこないということから、栃木県は農村なんですけれども、栃木県のいくつかの都市から小学校の5年生をお母さんと一緒に農家に泊めて、春に何かつくって、秋に行って泊まって収穫するということを今でも細々と続けていますけれども、栃木県みたいな農村でも、後の感想文みたいなのをとりますと、トウモロコシの種をまいたらトウモロコシができたと、大豆の種をまいたら大豆ができたということが感想文に書いてあるんですね。その子供たちは何を思っていたかというと、あれは機械でつくるとばかり思っていたと。船に積まれてきて、こうやってこうやりますと、機械でつくるとばかり思っていた。それから、感想文は、農家は汚くて、暗くて、広いとか、そういう率直な感想もあるんですが、お母さん側からの感想は優等生みたいなあれが多いんですけれども、田舎に親戚ができたとか、それ以来ずっと交流を続けているわけですね、その農家と。あるいは農家は我々サラリーマンの納めた税金ばっかり使っていてけしからんと思っていたら、意外とまじめだったとか、多少そういうのもありました。

その前後にちょっとショッキングだったんですけれど、東京の中野区のある中学生の女の子が、ある日突然卵を食べなくなってしまったというんですね。調査をしてみたら、卵は機械でつくると思っていたと。鶏のおしりからぽとんと落ちたテレビを見たら途端に卵忌避症になってしまったと。これほど生産者と都会、消費者が離れてしまいますと、大げさに言うと、大変心配な問題なんで、何とかそこを結びつけるということを、各地方公共団体がそれなりに細々とやってはいます。それがお金もございませんから、広がりにはなかなかならないんですけれども、結構やっております。最近道の駅がその役目をある程度果たし出すようになってきたと思っています。しかし、まだまだでございます。

ちょっと余計なことを申し上げました。

専門委員 ちょっと質問があるんですけれど、農村の問題や農業の問題を見ていますと、ほとんどが都市問題の裏返しなんですね。過疎と過密と言うけれども、結局農村の人が都会に出て、片方で過密をつくって、農村を過疎にしている。別に外国の人が来たわけでも、外国に行ったわけでもないわけですね。都市の方はどうかというと、狭い家で、長距離通勤で、そして兼業ではなくて、専業で会社人間になって、一生一つの会社で、まるでがんじがらめになって生きて、それが都市のサラリーマンの問題として非常に問題になっているというのが今の状態なんですが、この農村の問題のように、都市に住んでいる人間の問題を考える審議会というようなものはあるんでしょうか。もしそういうものがあるのならば、それとこの農村の問題とは裏腹の問題で、むしろ合体すべきではないかと思っています。都市の問題を解決すれば、自動的に農村の問題は解決する部分が随分あって、これを別々に論議することの方に問題があるのではないかという気がして仕方がないんですが。

部会長 何かそんなのあるんですか。余り聞いたことないですね。

会長 この審議会の委員の皆様も都市に住んでおられる方がかなりおられて、御発言は都市の皆さんの代表的意見とも考えながらお聞きしているんですけれど……。

委員 農業の後継者というのはどういうあれですか。この間アメリカの新聞によると、アイオワなんか6割ぐらいが大卒だというんですね。農業の後継者が。ということは、相当農科大学というのがアメリカなんかでは、歴史的に大学のスタートがそういうところから出てきていますからそうかもしれませんけれど、日本の農業大学を出た方は農家の後継者とか農業に入らないで、ほとんど農水省に入られるとか……。(笑声)

部会長 私どもの県の例を申し上げますと、7、8年前までは70~80名しか新規就農者はいなかったんですけれど、今は倍以上、160~170名に増えてきて、うれしいなと思っています。その160~170名の新規農業就業者の7割は大卒ですね。短大を含めまして。県のやっている農業短期大学も含めまして、大卒の方が多いですね。高校卒だけではとても今の園芸、米作でもそうですけれども、かなりの知識がないといい成績を上げられないのではないでしょうか。

委員 今、世の中は人間の生き方の基本のところで農村というのを見直すというか、生き方としての見直しというのは風潮の一部にあるように思うんですね。したがいまして、今回の議論の中で、さっき申し上げたように、人間が生きる場としての農村という部分と、もう一つ、食料自給率を上げるというものと根は一緒だと。まさに一緒になんですが、どうも議論の場としてはちょっと角度が違うような部分があるような気はやっぱりしていますけれどね。

専門委員 これは皆さんおわかりの上でのことだと思っているんですけれど、この審議会が最終的に意見を申し上げるのが食料の自給率の向上という、新しい農基法の基本理念をどういうふうに目標なり計画として策定するかということにある。そういうことになってくると、先ほど江頭先生や井上先生からも国際競争力をどうつけるかという、そういう問題を強調されているんですが、当然今度の新しい基本法というのは、先ほど来議論されている農業の多面的な機能であるとか、持続的な農業の発展でありますとか、農村の振興といいますか、そういった問題を一緒にしたという点で非常に大きな特徴があって、私も食料自給率を向上させるための問題だけを議論するのかなと最初思いながら参加して、いろいろ事務局の方から資料をもらって説明を受けているうちに、いや、それだけではなくて、そういう多面的な農業とか持続的な農業の発展とか、農村地域をどういうふうに振興していくかということも含めて全体の目標なり計画をつくっていくんだというふうに説明を受けて、今そういう理解にいるんです。

そういうふうにして見ますと、農村の問題、今日出されている問題というのは、確かに農村というか、そういうところに住む地域としての生きがいの問題とか、農村社会のあり方という問題ではあるのかもしれませんけれども、確か前回の農業の議論のときに委員から出ていたと思いますが、担い手の問題と全く密接不可分の問題であって、これから自給率を高めていこうかという農業を、ある意味ではもちろん生産性を高めて、コストを下げて、先ほど次官からも御説明がありましたように、コストだけじゃないと。ある調査によると、本当に安心で、安全で、新鮮で、多少高くても、しかし絶対高では困るという、そういうニーズがあるわけですから、それにこたえる農産物をどういうふうにつくって、それで日本の自給を高めていくという、それをやる人というのは実際に誰なんだろうかと。どういう人たちにどういうふうにやっていってもらうのかということと、あわせて、生産技術にかかわってくると思うんですけれども、水利であるとか、基盤整備とか、そういった問題ですね。それから、品種であるとか、そういった栽培技術も含めた生産体系といった問題を農村の地域、集落の中で支えている部分が今まであった。それが壊れてきている中で、どういうふうにこれから持続的な農業とか多面的な機能の発揮とかというのをやっていくのかという点が問われているので、そういう意味での問題提起であるというふうに私も理解しているわけで、そういう意味では国際競争力をつけるということも視野に置きながらも、もっと多面的にやるというふうに理解をしていまして、そういう点では農村に住んでいる人のことを議論しているというよりも、私は農業を担っていく担い手とその集団とか集落というものをどういうふうにあるべきなのか、あるいは政策的にも支えていくべきなのかというふうに考えていくテーマではないかと思っております。

部会長 ありがとうございました。

委員 先ほど自給率の問題が挙がったんですけれども、決して生産者だけの問題ではなくて、今一番、特に都会に暮らす人たちが考えなければいけないことは、日本人の食生活を本当に見直さないと、自給率を上げるというのはとても大変なことだと思うんですね。特にごみの問題。外食産業など企業努力はもちろんしていただいていることはよくわかっているんですけれども、ああいうロスの部分ですとか、家庭でのごみの問題とか、そういうことを国民全体みんなが自給率を上げるためにはただ生産者だけじゃないんだということの認識をどうやってアピールしていったらいいかということがあまりまだ議論されていない。国民にアピールされていないんですね。

ですから、ぜひその辺のところは消費者団体の方、我々みんな一人一人が、台所を預かる人間がみんなで自給率を上げる、即それが生産を上げていくということではないんだということがまだ認識されていないんですよね。皆さんプロの方にとってはそんなことわかりきったこととおっしゃるんですが、実は一人一人の生活者から見ると、そういう食生活を見直さない限りは自給率を上げていくのは大変なんだというような、もう少しPRをぜひぜひやっていただいて、生産性につなげていく。国際社会の競争みたいなところのレベルといえば、もしかしたら低いかもしれないんですけれども、国民の意識というのはそのくらいまだ認識されていないということをぜひ御理解いただきたいなと思います。

同時に、今回期待をしたいのは、資料3の農業生産基盤の生活環境というところでも国民の8割が景観や環境に配慮した整備を要望していると。8割近い人がそういうことを要望していながら、自給率41%で低いんだという、そこのギャップを何か上手な形でアピールしていただけたらありがたいと思いますね。

専門委員 私は委員と大変似た意見なんですけれども、エモーショナルな農業・農村という論議と、自給率という論議をやっていくと、何か振りそでに自動車レースのレーシングスーツを着せて農業やれというような、全くかけ離れたあれで、振りそでを守るなら振りそでのことを話をする。レーシングでスピードを上げて何かを効率的にやるんだったらそちらの方をやらないと、非常に我々として議論にのりにくい点があるんですけれど、本当に根っこはつながっているんでしょうか。振りそでとレーシングスーツの。私は企業経営者としてはあんまりつながっていないような気がするんです。

委員 私は農業に割と携わってきているんですけれども、商社の仕事をやりながら、アメリカにも長くいまして農業の仕事をしていました。やはり不即不離だと思いますね。

それで、農水省の方でずっとやってきておられる考え方で、先ほど次官がちょっと説明されましたけれども、そういう考え方で自給率の問題を考えていかざるを得ないのではないかと思うんですね。自給率と農業の基盤の整備というものは、これは完全につながっているだろうと。これを完全に分けて考えることは難しいし、例えば先ほどお話があったように、消費者が本当に求めるものは、日本で必ず生産されていくだろう。それは何かというと、リンゴもあり、大豆もあり、トウモロコシだって食用のトウモロコシがあり、お米は治山、治水でやらざるを得ない。一方、自給率は絶対に100%あればいいという、そういうものでは今の日本の国土からいったらあり得ないわけですから。

そういう意味で、この問題は情報を我々が共有しながら、最後のところはそっちの方向へ部会長が持っていかれると思いますけれど、ということではないだろうかと。だから決して今やっていることは矛盾したことをしているのではないと私は思います。

 

その他

 

部会長 御議論は尽きないところだと思いますが、そろそろ予定の時間となりましたので、本日はこれをもちまして議事を終了させていただきたいと思います。

今日の御議論の中でもし農林省の方で資料を出すものがありましたら次回お願いいたします。

次回の第4回目の会議のスケジュールでございますが、11月30日、火曜日、午前10時から12時半まで、場所は4階にございます第2特別会議室ということでございます。

今回で食料・農業・農村については一通り御協議をいただいたわけでございますので、次回はいよいよ特に重要なテーマでございます食料自給率の問題を議題に御議論いただきたいと考えております。

 

閉会

 

部会長 それでは、本日はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。