このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

食料・農業・農村政策審議会企画部会(令和元年6月11日)議事概要

PDF版(PDF : 264KB)

日時:令和元年6月11日(火曜日) 10時00分~12時29分
場所: 農林水産省共用第1会議室
出席委員:有田委員、大山委員、大橋部会長、栗本委員、近藤委員、染谷委員、中嶋委員、中家委員、三輪委員、柚木委員(伊藤委員、佐藤委員、髙島委員、十倉委員の4名は欠席)
ヒアリング協力者:常盤昌昭 JAみなみ信州柿部会部会長、新井利彦 JAみなみ信州営農部次長、原田幸浩 JAみなみ信州営農部柿課長、長尾忠敏 萩アグリ(株)取締役、堀田昌意 堀田ファーミング代表、山崎拓人 農事組合法人重兼農場代表理事組合長
概要:
【ヒアリング協力者からの発表概要】
(常盤氏)(柿、長野県)
  • JAみなみ信州の果樹販売額のうち、約4割の23億円が干し柿。市田柿の輸出にも取り組んでおり、平成30年度には約50tだったが、3年後には150tを目指している。
  • 平成13年の賞味期限表示義務化により、干し柿のパッケージができない農家が出てきた。また、加工ができない農家もいるため、JAによる加工・選別・パッケージを行っている。JA出資の農業生産法人があり、遊休園地の借入等による農地の維持を行っている。
  • 市田柿でGIを取ったものの、消費者のGIの認知度が低いため、TVメディア等を活用したPRによるGI産品のブランド力向上をして欲しい。今後は、百貨店等によるGI産品のイベント企画や、GI産品同士によるコラボレーションができれば良いと思っている。
  • 温暖化、気候変動への対応策についてはコストを要するため、経済的・技術的支援が必要。
  • 高齢化による担い手減少に歯止めをかけるため、農業次世代人材投資事業や地域おこし協力隊制度の充実を期待している。
(長尾氏)(米・大豆・トマト等、山口県)
  • 県全体で農業者の減少や高齢化が深刻。県の集落営農法人の課題としては、米価が下がった平成26年度以降に収益が減少したこと、また、オペレーターの72%が60歳以上と、高齢化が進展していることが挙げられる。
  • 中山間地域では集落のまとまりが重要であるため、集落営農法人は合理的。当社は3階建て方式として、各地域の集落営農法人間での機械の共同利用や資材の一括購入を実施している。
  • 今後の課題として、高齢化により作業できなくなる人が増えるため、新規就農者を雇用する必要。また、周年雇用のため、施設園芸に取り組む等により冬場作業の確保が必要。
  • 集積外地域には集落営農法人がないため、農地保全は行政が主体となって方向性を考えてほしい。
(堀田氏)(米・麦・大豆・しいたけ等、北海道)
  • 北海道厚真町で米・麦・大豆を約30ha生産しているが、昨年9月の北海道胆振東部地震で被災した。地域では、水田の地割れや土砂流入、畜舎や機械の損壊等、大きな被害を受けた。
  • 被災直後の9月15日までに麦を播種する必要があったが、道路の崩壊や農地への土砂流入により播種できなかった。JAが経営面や営農面など一元的に窓口となり相談にのってくれ、資材の返品や春小麦への転換についての判断を迅速に行ってくれた。
  • 震災の経験を子どもたちに直接伝え、災害に強い町づくりに繋げることが必要。震災の影響で新規就農希望者が激減してしまったため、人が自然に寄ってくる町づくり・地域づくりが必要。
  • 労働力不足に対応するため、スマート農業の普及を加速化させることが重要。
  • 新規就農者は2,000万円程度の初期投資をしなければならない。新規就農者の増加に向け、柔軟な融資制度が必要。
(山崎氏)(米・麦等、広島県)
  • 重兼農場では約40haで主に水稲を作付している。平成元年に地域ぐるみ型としてはおそらく全国で初めて集落法人を設立した。組合員数は30名であり、集落のほぼ全員が加入している。
  • 昨年、79歳の前代表から29歳の自分へ代表交代を行った。地域に50~60代の中間層がいないこと、後継者が一人前になるのを待っている時間はないこと、水管理や地域の特性について直接指導を受けながら事業継承を受けることも大切であること等が理由。
  • 当地域には個人農家が多く、ほ場の枚数も多い。機械が壊れたら農業をやめるという人が多く、5年後一気に耕作放棄地が増えるのではないかと考えている。集落や農地を維持するためには人が必要であり、現場作業と管理作業の両方を担える中心的存在となる人材育成が必要。現在30歳の自分でさえ、次の後継者のことを考えている。今雇用して育成しなければ遅い。
  • 農地を守るために「攻める法人」と「守る法人」を区別化する必要。大規模な受託作業や販売力の強化を行う「攻める法人」を育てることによって、小さな「守る法人」を守り、農地を維持していきたい。
【意見交換】
(有田委員)
  • 市田柿の認知度はここ数年で上がってきたが、価格が高く贈答用として購入されており、買う人が少ないために消費者認知度が低いと考えているのか、常盤氏にお聞きしたい。また、柿への温暖化対策については、まだ技術が確立していないのか。
  • ドローン導入に対して、なぜ集落から反対があったのか、山崎氏にお聞きしたい。
(大山委員)
  • 市田柿について、マーケティング戦略としてインターネットでの展開はされているのか、常盤氏にお聞きしたい。
  • 地域外相続人との農地問題について、相続人は土地持ち非農家が多いのか、それとも親が農家をしていた人が多いのか、長尾氏にお聞きしたい。
  • 15~65歳の労働人口はどの産業でも不足しており、他産業との人材競争になっていると思うが、長尾氏、堀田氏、山崎氏は、安定した雇用待遇で若い人を集めることができると考えているか。
(中家委員)
  • 前回までのヒアリングで伺ったような、若い農業者を中心とした素晴らしい個別の取り組みに加え、今回伺ったような産地・地域ぐるみの取り組みが上手く組み合わさることで、農業・農村の維持が図られる。これは、今後基本計画を検討する上で、一つの大きな視点である。
  • 今後の世代交代に向けた考えや政策に求めることを、常盤氏と長尾氏にお聞きしたい。
  • 山崎氏の発表に「攻める法人」と「守る法人」とあったが、具体的にお聞きしたい。
  • 10年、20年後の将来の自分の農業の姿をどのように考えているか、堀田氏にお聞きしたい。
(染谷委員)
  • 山崎氏はまだ30歳にもかかわらず、既に後継者について考えていることはすばらしい。産地として皆で力を合わせて頑張って欲しい。
(常盤氏)
  • 市田柿は収穫期と出荷日がイコールではない。
  • 高齢化は深刻であり、平均年齢は70歳を超えている。農業ができない人もでてきているが、補助金を活用し、干し柿の加工施設を整備した。
(長尾氏)
  • 従業員の雇用について、年収を考えることよりもまずは体制を作ることから始めなければならない。
  • 当地域には不整形で小さなほ場が多く、従来は農地の貸借が大変だったが、農地中間管理機構のおかげで、現在はかなりやりやすくなった。
  • 個人農家との付き合いについて、条件の良い農地は受け入れるが悪い農地は受け入れないといった良いとこ取りされることがあり、課題。
  • 集落営農として、指示さえ出せばあとはオペレーターがやってくれる、という形を目指している。
(堀田氏)
  • 従業員について、法人化に向けて募集はしているものの、応募して来ない。パートについては既に雇用しているが、空いた時間に自由に働いてくれれば良い、という条件で募集をかけたところ、すぐに8名集まった。時給は850円~900円と様々であり、やる気はあるが1日中は働けない子育て中のお母さんが来てくれている。そういった人は仕事を覚えるのも早かった。
  • 10~20年先を見据えた際には、自然に人が寄ってくるような地域づくりが自然にできることが大事だと思っている。そのためには、小さな喜びや感動を与えることができる地域づくりが必要だと感じている。また、年を取ってもあきらめないことも重要。原木しいたけを栽培しているが、被災後は原木の調達が大変だった。そのような中、全国から、あるいは中国から様々な人が協力して調達してくれた。
(山崎氏)
  • ドローンについては、5年前の基本計画にも記載はなかったように新しい技術であり、地域にはそういった新しいものに対する抵抗感があった。当法人では、費用が一人当たり20万円程度と高かったものの、全員がドローンの免許を取得した。実際に若者が楽しく操作している姿を見せることで、地域の抵抗感がなくなっていったのだと思う。地域の中には農業に効率を求めない人もいるものの、ドローンの導入は少し強引に進めた。これからどんどん新技術が出てくるので、先を見据えれば必要なことであった。
  • 当法人は、自分を含め従業員4人で30haを作業している。正直に言って、自分一人いれば全面積を作業することは可能だが、人材育成のために雇用している。30年間ずっと黒字の経営をしており、余剰資金は内部留保してきたが、将来のことを考えると人を育てなければ未来がない。
  • 農地保全のためには、1人当たりの栽培可能面積が大きい水稲が効率的。また、会社員をリタイアして農業をのんびりやりたいというのも農業の1つの姿だと思うが、それだけでは地域を守ることはできないのではないかと考えている。
  • 従業員の雇用条件について、自分が元JA職員ということもあり、JAの給与を最低ラインに設定している。また、休暇はフレキシブルに取れるようにしている。給与はそこそこで良いが休みが多く欲しい等、人によって希望する労働条件はさまざまであり、多様な働き方を実現できるのが農業ではないかと考えている。
  • これから人を雇用して規模拡大していくような「攻めの法人」が、地域を守っている小さな「守る法人」を支えつつ分業化することにより、農地を守っていきたい。
(原田氏)
  • 消費者の認知度が低いと申したのは、市田柿ではなくGIについてであり、GIの認知度を上げてもらいたい。
(三輪委員)
  • JAみなみ信州の取組は、機械化やGI、商標登録等、経営力や労働力が足りない農業者をJAがサポートしており、現場に寄り添うJAの理想形のひとつであると理解。そのような中、組織内での合意形成における工夫等について常盤氏にお聞きしたい。
  • ドローンについて、地域ぐるみで効率的に取り組まれているが、他の中山間地域やJA等から関心が寄せられているのか、また、取組を広げるためのサポートについて、行政に望むことや今後の展望について山崎氏にお聞きしたい。
(柚木委員)
  • 農地中間管理機構を活用した基盤整備について、今後の展望を長尾氏にお聞きしたい。また、地域外に出ていった人は構成員のままなのか。
  • これから人口が減少していく中で、少数の法人で地域を支えていくことができると考えているのか、また、ファームサポート広島中央のような連合組織の役割について、山崎氏にお聞きしたい。
  • 樹園地において農地を集積することは大変だと思うが、柿ならではの苦労や課題はあるのか、常盤氏にお聞きしたい。
(中嶋委員)
  • 集落営農は優れたビジネスモデルであり、地域を維持していくうえで力強い経営形態だと理解している。しかし、後継者の問題や、最適な経営規模が集落の単位を超える場合もあり、持続的な発展が難しい状況もあると理解している。長尾氏と山崎氏の取組はこれらの課題に対するひとつの手段であると思うが、集落営農を統合していくような展望はあるのかどうかをお聞きしたい。集落営農の作業受託を行っていると思うが、今後より踏み込んだ形になっていくのかどうか。また、法人を運営するにあたって出資している集落営農は意思決定にどのように関与しているのか、ガバナンス構造はどのようになっているのか、併せてお聞きしたい。
(近藤委員)
  • JAみなみ信州の取扱高を見ると複合経営が多いように思うが、地域の経営形態はどのようになっているのか、また、主業農家の売上はおおよそどの程度なのか、常盤氏にお聞きしたい。
(栗本委員)
  • 新規就農者を雇用した実績について、常盤氏と長尾氏にお聞きしたい。
  • 被災後にリスク管理体制を見直したのか、堀田氏にお聞きしたい。また、被災直後はJAが一元的な相談窓口になったとのことだが、県、市、JAと相談窓口が複数ある中で、どうやって窓口を一元化することができたのか。
  • 山崎氏は79歳の前代表から29歳の時に代表を継承したとのことがだが、何かきっかけはあったのか。
(山崎氏)
  • 集落営農法人の今後について、効率の面で考えれば合併すべきだが、現場にいる個人の意見もあり現時点では難しい部分がある。合併の前段階として、ファームサポート広島中央という2階建て組織があるが、実は中心組織として、他の法人に手伝いに行っている。現場では、そういった助け合いが本当に必要であると感じている。中山間地には組合員ではない個人農家もまだまだたくさんおり、そういった人たちもまとめる存在として農事組合法人がある。非農家も含めた地区の意見をまとめるのは地区の人間でないと難しいが、将来的には地区の人間ではない当法人の職員ができるようになるのが望ましい。
  • 法人の決定権について、出資した5法人から取締役になってもらっているが、ファームサポート広島中央を設立する前から機械の共同利用のために9年間やっており、意思決定はスムーズにできている。
  • 世代交代について、地域に中間層がいなかったこと、また、自分以外に手を挙げる者もいなかった。当時は漠然と、10年後には自分が継承するんだろうな、とは思っていたが、仮に10年間、別の代表を置いて10年後に継承したとしても、それでは遅い。皆が元気なうちに継承すべきであると考え、数か月に渡って何度も話し合いを繰り返し、世代交代するに至った。79歳の前代表から、年齢も知識も経験も足りていない29歳の自分に継承して大丈夫か、と他の法人からも言われたが、そんなことを言っている段階ではない、ということを他の法人にも分かって欲しい。
(堀田氏)
  • リスク管理について、被災した際は雇用保険に入っていたこともあり、また、収穫した米についてはJAの施設で調製していたため、特に困ったことはなかった。ただし、農薬の保管場所として使用していた倉庫が壊れてしまったため、新たに施錠できる保管場所を手当てするのに苦労した。
  • 普段から何かあればJAに相談に乗ってもらっており、気軽に相談できる雰囲気となっている。
(長尾氏)
  • 当地域では、1法人1haに向かって農地集積の取組をしているところ。法人に入っていない農家の了解を得るのに苦労した。
  • 法人の構成員について、定款では県内に限っている。作業ができない人でも、地域内にいる人には残ってもらっており、月に1回でも良いので作業してもらっている。
  • 集落営農の今後について、合併は今後やらなければならないと考えている。その前段階として、それぞれの法人の貸借対照表や損益計算書の一覧表を作り、皆で共有した。それによって、どの法人がどのような経営内容であるのかを分かるようにし、統合できる部分は自然に統合されるように取り組んでいる。また、決算経理ができない法人が出てくる可能性もあると思っており、その対応を当社でやっていこうと思っている。そのような意思疎通が今後の法人の統合や作業受委託に繋がってくるのではないかと考えている。
(常盤氏)
  • 柿産業も高齢化の進展が激しい。強い農業づくり交付金を活用し、20億円程度の加工施設の整備を行った。
  • 樹園地では、農地の貸し手の方が多くなっており、余程優良な農地でなければ無料に近い状態で貸している状況。
  • 当地域では、りんごやなし、野菜を柱として、そこに柿も同等の柱として経営している。柿専業で営農している人はほとんどいないものと承知している。
(以上)

お問合せ先

大臣官房政策課

担当者:岡本、川上、潮田
代表:03-3502-8111(内線3086)
ダイヤルイン:03-3502-5515
FAX番号:03-3508-4080