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食料・農業・農村政策審議会企画部会(平成26年12月19日)議事概要

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1. 日 時:平成26年12月19日(金曜日)9時30分~12時05分

2. 場 所:農林水産省 7階講堂

3. 出席者:中嶋企画部会長、市川委員、香髙委員、近藤委員、萬歳委員、藤井(千)委員、藤井(雄)委員、松本委員、三石委員、山内委員、山口委員

 

1. 開会

 

2. 新たな食料・農業・農村基本計画について

【意見交換概要】

〈食料自給力について〉

(山内委員)

  • 「食料自給力」を基本計画に適切に盛り込んでいくことは、重要な課題だが、初めて基本計画に位置づける以上、食料・農業のあり方を示す指標として、国民にとって、わかりやすく納得できるものにする必要。
  • 国民が一般的に「食料自給力」という言葉からイメージするのは、「食料の国内生産力」であり、その生産力の基礎となる「(1)農業者(担い手)、(2)農地(農業資源)、(3)農業技術」ではないか。
  • 「食料自給力」を「食料の国内生産力」と定義し、次の3つ、「1.総合指標((1)生産額、(2)カロリーベース、(3)潜在的食料自給力)」、「2.基礎的食料自給力指標((1)農業者、(2)農地、(3)農業技術)」及び「3.主要品目ごとの生産量指標」を「食料自給力」として位置づけ、「1.総合指標」の中に「潜在的食料自給力」を位置づけてはどうか。
  • 「食料自給力」を「指標」とするからには「目標」を設け、目標を達成するために「課題」を設定するのが、「計画」というもの。
  • 食料消費は、基本的には人口構造の変化や国民の食生活の変化によって決まるものであることから、「目標」化すべきものではなく、「見通し」という性格のもの。食料自給率の分子である「食料の国内生産力」の向上が大切であり、その「指標」化、「目標」設定、目標達成に向けた農業政策の課題化が重要。
  • 食料自給力指標のパターンD(いも類を中心に熱量効率を最大化して作付けする場合(栄養バランスを考慮しない))が、仮に計算上国民に必要とされる最低限の摂取量を超えても国民は食料安全保障上、安心だとは受け止めない。現実と切り離した前提に仮定を重ねて計算するため、現実感が乏しいのではないか。現実の消費を踏まえた、食料の国内生産力と潜在的な食料供給力の両方を含む概念として食料自給力を設定してはどうか。

(山口委員)

  • 食料自給力が将来の食料供給不安を軽減するための試算であるならば、量的確保だけでなく適正範囲の価格で供給されることも重要。基本法第19条に、流通の制限、その他必要な施策を講ずるとあるが、食料自給力を提示する際、この具体策を検討し、緊急時に量的確保と同時に価格抑制策が可能であることの説明も必要。

(近藤委員)

  • 潜在的供給力を面で示しているが、地力の評価はなされていないのではないか。
  • 現実に飢えないように食が手に入るか否かが大事であり、潜在的供給力と現実の供給力のつながりを明確に示さなければ、国民に対して供給の安定感は示せないのではないか。

(萬歳委員)

  • 食料自給率目標と食料自給力、食料安定供給の確保と不測時の食料安全保障について、概念・関係が整理されたと認識しており、前回の議論より前進したと評価。
  • 食料自給力については、指標として提起すること自体に異論はないが、前回申し上げた通り、食料自給力は、その概念を含め、国民の理解や浸透が全く無い中で初めての提示となることから、十分な注意が必要。
  • あくまでも食料自給率の向上、品目別の生産数量目標こそが国の大目標であり、今回の見直しでは、農業者の所得増大の実現が最重要目標。このことを新たな基本計画の基本に明確に位置づけるべき。
  • 食料自給力は、一定の前提を置いた試算、指標であること、政策目標ではないことを基本計画で明確にした上で、指標の持つ意味や活用法、目指すべき方向を国民各層・マスコミに適切に発信する必要。
  • 不測時に備えた食料安全保障については、グローバル化、生産流通過程が複雑化する中で、フードチェーンの各段階における多様なリスクを見える化して、不測時に備えた食料安全保障体制を確立することは重要。今回、このように、一歩踏み込んだ形で食料安全保障方策を打ち出したことの意義は大きい。
  • 不測の事態への対応方策の具体化の際には、方策手順を地に足の着いたものとするため、現場の農業者や農業団体の意見を聞くべき。

(藤井(雄)委員)

  • 農業の現場として、食料自給力という指標をどのようにとらえればよいか、困惑している。あまりにも現場と乖離してきているのではないか。
  • 試算の前提(1)(生産転換期間は考慮しない)、(2)(必要な労働力は確保されている)、(3)(肥料、農薬、化石燃料等は十分な量が確保されている等)は、まさに現場でこれらをどうするか一番考えなければいけないところ。この前提条件を現実的にどうクリアするのか、またそのためにどのくらいコストがかかるのか、しっかり考える必要がある。例えば、飼料用米一つとっても、農業機械、流通、保管等の課題があり、なかなか進まないという現状がある。
  • 国内の食料安全保障という面で自給力を強化していくということは、現実としては、やはり国内外のマーケットで競争力を持ち得る農産物を生産するということではないか。そうでない限り、絵に描いた餅になるのではないか。
  • 食料自給力という指標自体が、本当に有効なのか非常に疑問。食料自給率に変わる新たな農業の指標になるのでは、という期待もあったが、農業者として推進していくものとは違う印象。

(川合食料安全保障課長)

  •  (山内委員の指摘について)(1)国民に対してわかりやすい指標とすべき、(2)カロリーベースと生産額ベースの自給率によりバランス良く評価すべき、(3)食料消費については目標化ではなく見通しを立てるべき、(4)食料自給率目標の設定にあたっては確保すべき農業者、農地、農業技術の姿を示しながら、主要品目毎の生産努力目標を設定すべき、といったご指摘については私どもも同じ認識であり、次期基本計画の中で、食料自給率目標、生産努力目標の設定、農業構造の展望、農地面積の見通し等の作業をすすめてまいりたい。
  •  食料自給力の概念の捉え方として、潜在的な生産力以外にも食料自給率の分子である国内供給熱量や国内生産額、さらに主要品目毎の生産努力目標といったものを包括的に食料自給力の概念の中に含めるという委員の御提案については、従来から基本計画の中で位置付けてきた食料自給率や生産努力目標といった概念と大きな整理替えをすることになるため、逆に誤解や混乱が懸念される。
  • 潜在的生産力の目標設定については、どのような方法をとっても一定の前提を置き、現実とは切り離された仮想状態を想定して試算をせざるを得ない性格のものであることから、食料自給率に加えて、食料自給力も目標設定することはなじまないのではないかと懸念される。
  • いずれにしても、今回御提出いただいた意見を受け止め、次期基本計画に向けた検討、議論を重ねていきたい。
  • (山口委員の指摘について)不測時における価格の暴騰については、24年9月にまとめた「緊急事態食料安全保障指針」の中でも想定しており、食料供給不安の初期の段階では、買い占め、売り惜しみを防止するためのメッセージの発信から、最も危機的な状況に至った際には、物価統制令の発動による価格の統制までの対応をまとめている。また、具体的な不測の事態を想定した対応手順の取りまとめの中でも整理をするべく作業を進めているところ。
  • (近藤委員の指摘について)地力の評価まで検討に含められれば、より現実に近い姿になると思うが、統計的に農地全体について地力を整理した指標はないため、そこまでの深度のものは、現実的に難しいということをご理解頂きたい。
  • (萬歳委員の指摘について)主要品目の生産努力目標については、品目毎の10年程度後の生産水準とともに、その数字を達成するために必要な、政策展開も含め、生産努力目標としてお示しする方向で現在作業しているところ。
  • 食料自給力の活用方法について。資料にもある通り、我が国の食料供給能力に対して国民が漫然とした不安を持っていることは明らかなので、食料自給力指標を示すことで、国民の共通理解の醸成や食料安全保障に関する今後の国民的議論の深化につなげていきたいと考えている。
  • 食料安全保障の方策の対応手順については、現在、有識者の御意見も聞きながら作業を進めているところであり、その中には農業団体の方も含まれている。引き続き、農業の現場の意見を踏まえたものに仕上がるよう、努力していきたい。
  • (藤井(雄)委員の指摘について)試算の前提のうち、労働力の議論については、農業構造の展望の中でお示しする。概ね10年後における担い手への農地集積率、農業就業者数、年齢構成の見通しを提示する予定。生産転換に要する期間や生産要素については、非常事態の対応について、具体的な不測の事態を想定した対応手順の中で整理することとしている。
  • 食料自給力は、世論調査で多くの国民の方が食料供給に不安を持っているということに起因して作業しており、農業の現場の方には掴み所のないようにみえてしまうかもしれない。現場へのメッセージとしては、主要品目毎の生産努力目標や基本計画全体の中で示される関連施策の中で、国際競争力のある商品の生産も含め、そもそも国内需要や輸出にどう対応していくのか、記述していく予定。また、生産努力目標、農地面積の見通し、農業構造の展望等が現場の方が実感を持てるダイレクトなメッセージになると考えている。

(香髙委員)

  •  食料自給力を示す意義として、食料安全保障に関する議論を深化させていくとの考えが示されているが、どのように議論を深化させたいのか、方向感がみえない。
  •  農地、技術、労働力という要素が示されているが、これらの要素をどう伸ばすのか、また伸ばすことで、不測の事態に対してどのような備えとなるのか、国民の不安の解消にどのように役立つのか、食料自給力の見通しや影響度合いも示す必要。自給力を示しただけでは不安を解消する要素にはならない印象。
  • 「現実とは切り離された試算」ということを強調しすぎると、不安に応えるという意味が薄れてしまうことを懸念。発表する際にどう説明するかは、今後、この指標が生き残れるかどうかの重要な鍵になる。
  • 食料安全保障の具体策の議論の前提として、なぜ今この議論を整理するのかという背景や、リスクの度合いについての国の評価を明確にすべき。その際、為替や関税等、様々な要因が日本の農業や消費者にどう影響するか、具体的な品目や事例を交えながらわかりやすく説明する必要。
  • 野菜や果樹といった園芸作物は、リスク管理の対象品目となっていないが、多くの農家が儲かりにくい米から経営の軸足をこれらの品目に移しており、農業生産額に占める割合も相当高くなっている。不測の事態に、収入の大部分がリスク要因として考えられていないとなると、大きな混乱が生じると考えられるため、園芸作物についても、目配りをしているということを明記すべき。農水省から関係者にメッセージを送る意味でも配慮が重要。

(三石委員)

  • 食料自給率、自給力という考え方を出したこと自体は評価できるが、メッセージをどう伝えるかが大事。まだプロダクトアウトの発想になっている印象があり、誰に対して何を説明するかをよく考えるべき。農家、食品産業、関連産業、消費者のほか、教育現場等、各々の立場で聞いたときに理解できなければ、現実感が乏しくなる。良いものを作っても、わかりやすい説明事例をしっかり書かなければ伝わらない。
  •  提案だが、年1回出す指標であれば、試算の前提を「生産転換に要する期間は考慮しない」「労働力は確保されている」とはせずに、例えば、過去1年間の状況が今後1年間継続するといった前提にするなど、年ごとの指標で考えると現実感が出るのではないか。
  • 自給力指標の議論と切っても切れない問題が食品ロスや廃棄。自給力を高める議論をしている一方で、どんどん食品を廃棄しているのであれば、説得力が全く無い。うまく合わせて説明して頂きたい。また、自給率の議論とともにこの問題を考えることで、教育現場においても効果的なメッセージとなる。
  • 国内外におけるリスクは、並列に記述してしまうとリスクの高低がわからないので、影響度を考慮して優先順位を付ける、順位付けが出来なければ、マトリクスや主成分分析の手法のようなものを活用する等、わかりやすく示すべき。

(市川委員)

  • 今回の資料や説明は前回よりも分かりやすくなり、食料自給力の指標を具体的な目標とはしないとの考え方について共感。
  • 食料自給力について、メッセージの出し方、誰にどう伝えるかが大切。
  • 食料自給力は不測時における食料安全保障とは切り分けて基本計画に書くとの説明があったが、一般の国民は、食料自給力と食料安全保障とは一対のように受け止めざるを得ない。食料自給力という指標を語るとき、食料安全保障の実現は、農業だけでなくもっと大きな観点からの取組が必要であることをきちんと書くべき。
  • 国民の不安に応えるために食料自給力を示すとの説明もあったが、日本の食料安全保障をどのようにしていけばよいのかという観点からの一つの指標になる。指標を出すときに、リスク管理をする上で、農業だけでなく、輸入や備蓄の問題があるといった情報がバランス良く伝わるよう配慮して欲しい。

(松本委員)

  • 食料自給力を経年的に示すことにチャレンジするとのことで有難い。
  • 食料自給力の関連指標について、人・土地・技術を合わせて示すとのことだが、個別パターンで表作・裏作、二毛作などを想定した作付けになっているが、トータルの結果として、耕地利用率はいくらになるのか等、表の縦の項目に含めていただきたい。

(藤井(千)委員)

  • 食料供給力の定義がまだ分かりにくく、国民の不安解消にもつながらないのではないか。食料供給力が仮定の上に成り立つ指標であることはある程度当然。一方で、ある程度の実現性を持たせなければ、バーチャルのことをいくら並べ立てても国民の不安解消につながらない。
  • 現在の食料自給率はこれまでの政策の結果として39%であり、10年後の目標は短期的な政策の目標。これに対して、食料供給力は中長期的な政策展開をする上でのバックボーンにする必要。これからの食料需給は世界規模であり、中長期的な視野で考える必要。例えば、日本は少子高齢化で食料需要は減少しているが、地球的規模で見れば人口増加は続き、食料消費は増加する。そのような観点から、食料自給力の指標の必要性に説得力を持たせるべき。それは実現性に裏打ちされたものにし、その上で国民の理解が得られるものにする必要。
  • 食料自給力指標の試算について、いも類を中心としたC、Dパターンは実現性に疑問があり、仮定ということは分かるが必要ないのではないか。あまりたくさん指標を作ってもインパクトに欠け、多くの国民に理解してもらえなければ意味がないとの懸念がある。

(川合食料安全保障課長)

  •   (香髙委員、藤井(千)の指摘について)食料自給力によって、どのように食料安全保障に関する議論を深化させていくのかとの御指摘があった。世論調査によると多くの国民が食料供給能力の低下に不安を持っているが、それに対して我々はどのようなメッセージを提供していくかとの問題意識があり、今回、国民の共通理解の醸成という目的を資料の中で提示した。これまではカロリーベース39%、生産額ベース65%の自給率しか発信してこなかった。このため、国民の食料供給能力の低下に対する不安は定量的でないまん然としたものとなっていると考えられるが、今回、今の農地、農業インフラ、技術を前提としてどこまで供給可能かについて4つのパターンをお示しすることにより、1人1日当たり必要エネルギーや、今の自給率39%の分母である2,424kcalと比較することが可能となる。これを基に、国民の共通理解の形成や食料安全保障についての国民的議論の深化につなげていきたい。
  • いも類を作付けするパターンはあまりにも現実から遠すぎるとの御指摘があったが、今回の4つのパターンは、ある程度現実的なものから離れたものを段階的に示していき、今の食生活に応じた実力である939kcalと比較することで、今の我が国の食料供給力の状況をしっかりと国民に認識していただくための材料としていきたい。さらに、食料自給力指数を過去にさかのぼって示し、自給力が低下傾向にあることも国民に理解いただくとともに、現状についてもこのような形で、まず、議論のスタートラインをそろえた上で、この先の食料安全保障に関する国民的議論を深化させていただき、農林水産省なり農業関係者だけが頑張るのではなく、国民全体が農業をどう支えていくかという議論につなげていきたい。
  • (香高委員の指摘について)食料安全保障の議論の必要性について、具体性のある説明が足りないとの御指摘があったが、食料の安定供給上のリスクに関して、10月の企画部会でお示ししたとおり、リスクへの対応として、発生頻度の蓋然性、影響の現状評価・動向評価・5~10年後の評価などを提示する方向で考えている。現在、ご指摘にもあった港湾等での輸送障害、為替変動等も考慮したリスクの洗い出しを行っているところ。
  • リスク評価の対象品目に野菜などを加えるべきとの御意見について、野菜は同じ年に作り直しができ、現在提示している6品目とは事情が違う。同じレベルで評価するのはなかなか難しいかもしれないが、どういった形で御意見を反映できるか検討したい。
  • (三石委員の指摘について)いろいろな立場の方にどのようなメッセージをどのような形で発したらよいか十分に検討したい。
  • 試算の前提を年毎に見直しするという点については、過去に遡ってお示しする中で、前提が毎年変わっていくことにつながる可能性があるので、上手くいくかどうかよく考えさせていただきたい。
  • 食品ロス・廃棄の関係は、これまでの企画部会でも取り上げており、最終的な基本計画の中では言及させていただくことになるのではないかと考えている。
  • 国内外のリスクについての重要度に応じたマトリックスの作成については、リスクの発生の蓋然性、影響度というファクターがリスクの重要性を示すファクターになると考えられるが、上手くマトリックスにできるか否かも含め検討したい。
  • (市川委員の指摘について)食料自給力と食料安全保障は一体であり、まとめ方を工夫すべきとの御指摘について、基本計画の成案をまとめていく中で検討したい。
  • (松本委員の指摘について)試算の結果として耕地利用率が出てくるものと考えており、数字を入れられる段階になったらお示ししたい。
  • (藤井(千)委員の指摘について)いも類が現実から遠いことは認識しているが、現実から遠ざかると供給可能量は増えるということを階段方式でお示しすることも意義があるものと考えている。
  • 食料自給力を中長期的な政策のバックボーンと位置付けてはどうかとの御指摘について、食料自給力の指標化は今回が初めてであり、新しい第一歩と認識。まずは、共通理解の醸成、国民的議論の深化からと考えており、バックボーンというところまで位置付けるのはなかなか難しいのではないかと思うが、検討したい。

(中嶋部会長)

  • 食料自給率・食料自給力、食料安全保障について、大変貴重で重要な御意見・御指摘をいただいた。事務局でよく検討・整理していただき、次回の企画部会で提案していただきたい。
  • 敢えて食料自給力を新たに提案するなら、今までの食料自給率に関連する政策に付け加えることによって食料の安定供給を進める上で重要な議論ができ、何か政策的な後押しができるというような効果があるものと考えている。逆にこれを入れたために混乱するということがあってはならない。そういった観点から十分に検討していただきたい。食料自給率や食料安全保障との関係をしっかりと整理する必要。資料1_2に模式的にお示しいただいたが、まだやや混乱していることが御意見の背景にあるのではないか。全体の概念設定の仕方、測定の枠組のあり方、端的に言えば、測り方、使い方、伝え方といった点について、もう少し御議論いただく必要。

 

〈東日本大震災からの復旧・復興、農山漁村ビジョン、基本計画の構成等について〉

(藤井(雄)委員)

  •  基本計画の構成等の展望について、国際競争力をしっかりつけていくことを踏まえた上で考えることが重要。農村の振興についても、農業が地域における経済活動が成り立たない限り、地域が力を持つことは難しい。それを政策だけで支えていくことの難しさも感じている。農業が産業として発展していく力を持つということに力点を置くことが大事。基本計画という成り立ち自体が網羅的なもので、全ての分野に触れなければならず、力点が見えづらいが、これからの農業を担う者として、農業自体が国際競争力を持って戦っていけるというところを強く推進して欲しい。

(市川委員)

  •  東日本大震災からの復旧・復興について、丁寧に資料をまとめていただいた。基本計画の構成の中に入れ込むことは重要。
  • 基本計画の構成等について、基本的に前回に則した形で進められていくということで適当と考える。
  • 農山漁村ビジョンについて、ポジティブなことを検討して報告書にまとめるのは良いことであり、内容について誰も否定しないと思うが、実現可能性やコストも考慮して取りまとめていく必要。

(香髙委員)

  • 東日本大震災からの復旧・復興について、現在の取組や状況はこのとおりだと思うが、基本計画には、大災害で得た課題を総括する形で提示してはどうか。
  • 放射線の影響についての消費者の感覚として、福島県産の食品の購入に対するためらいが時間の経過とともに低下するならともかく、第4回の調査で不安が高まっている状況についてどう捉えるか分析する必要。こういった不安や実際の放射性物質の低減は息の長い取組になると思うが、イレギュラーな数値が出た際には丁寧に疑問点を解消し、次の政策につなげて欲しい。
  • 基本計画の構成等について、計画を新たに出すに当たっては、強いメッセージを打ち出す必要。中身をいくら精緻に書き込んでも全体として何を目指すのか伝わりにくいので、その点を工夫して欲しい。
  • 農業・農村の所得倍増を目指した施策展開との記述があるが、企画部会の中でも所得倍増をどう位置付けるかに関しては多くの疑問が出された。この点と基本方針、政府方針との関係をどうするかについてもう一度よく議論すべき。

(近藤委員)

  • 東日本大震災からの復旧・復興について、資料を見る限りでは、相当復興が進んでこれで良しという雰囲気がある。現場で話を聞くと、特に風評被害、除染についての長期的な不安は全く消えていない。現場の声を吸い上げ、更なる復興に向けての取組をする必要。
  • 今回の原発事故のようなことが起こらないように今後どのようにするのか。福島原発を作った際には農林水産省も農地転用など随分協力してきたが、その結果がこれではどうしようもないし、今度こんなことが起きたら日本全体がなかなか復興できないと思う。よく踏み込んだ検討をお願いしたい。
  • 基本計画の構成等について、「2.農業の持続的な発展に関する施策」の「(7)総合的な環境政策の推進」と「3.農村の振興に関する施策」の「(1)多様な分野における地域資源の積極的活用による雇用と所得の創出」はどのように違うのか。我が国農業の環境に対する役割は非常に重要であり、むしろ農業が環境を作っていく。例えば、CO2問題、経済だけではなく農村風景の維持、循環型農業が中山間地等において機能的に発揮されるような施策の推進がまず柱にあるべき。
  • 「2.農業の持続的な発展に関する施策」の「(1)担い手の育成・確保」の中で、法人化を進めていき、国も10年で5万法人を目指すとしている。これは年間3,400法人、一県当たり75法人を育成することになるが、非常に実現困難な数字ではないか。困難でないとすれば、そこに至る家族経営、法人経営、新規参入も含めた方向性を基本計画に明確に位置付ける必要。また、法人化すると家族経営のときには発生しなかった労務、税、法務、経営の管理の問題が出てくる。法人経営者となれるような人材確保・育成と支援、その後、中心的な担い手となるようどのような政策が具体的に必要になるかをもう少し踏み込んで基本計画の中に位置付ける必要。

(萬歳委員)

  • 東日本大震災からの復旧・復興について、原発事故の損害賠償請求においては、事故後、JAグループが早急に都道府県で協議会を立ち上げ、H23年4月より農家の損害賠償請求の支援を継続的に行ってきた。
  • 賠償請求の考え方の整理から請求様式の作成や取りまとめ、支払いの調整など、被災農家個人では対応困難な面を全中・県中が中心となって幅広く支援し、対応してきた。このような復興の背景にある団体や関係者の努力も、しっかりと記録に留めておくべき。
  • 農林水産関係では、全中・県中で取り扱ったものが、都道府県合計で4,892億円の請求、4,484億円の賠償額となっており、8割近い数字が協同組合によるもの。
  • 原子力災害の直近の課題として、堆肥を使った自給飼料や農作物の生産など、耕畜連携、循環型農業が崩れている。基準値を超えた汚染堆肥が畜産農家に滞留しており、依然として問題となっている。震災前の状況に一刻も早く戻すべく、汚染堆肥の処理について工程を示し、着実に実践する必要。
  • 農畜産物を輸出する際に、放射性物質の検査費用を自己負担せざるを得ない状況となっている。国策として農林水産物・食品の輸出拡大を図る中で、生産者や輸出業者の負担を減らす措置が必要であり、検討をお願いしたい。

(藤井(千)委員)

  • 基本計画の構成等について、「2.農業の持続的な発展に関する施策」の「(1)担い手の育成・確保」の中に「女性の活躍推進」とあるが、女性農業者の位置付けがこれでよいのか疑問。過去3回の基本計画において、女性の活躍推進といった項目でどのように書かれているか変遷を見てきたが、3回とも分量や内容はほとんど変わらない。チャレンジする女性農業者の支援のための施策がたくさんあっても、女性が中心の団体への支援がまだまだ少ないのは、やはり性別役割分担意識が強い中で、多くの女性農業者が声を上げられない現実があるのではないか。どこにハードルがあるのか、どうして手を挙げられないのかを分析・排除していかない限り、自立して地域のリーダーとなって活躍する女性農業者を増やすのは難しいのではないか。活躍する女性農業者が増えているのは確かだが、スーパーウーマンしか女性農業者として自立できないのであれば、広がりは得られない。
  • 女性農業者の位置付けについて、2.(1)の3番目の○ではなく、きちんとコマ立てすることを提案したい。その中で、女性農業者が手を挙げるためにどうしたらよいかなどを含める必要。自立した地域のリーダーとしての女性農業者を生み出すという国としての力強いメッセージを入れて欲しい。

(松本委員)

  • 震災からの復旧・復興について、今後のことを考えると、現在行われている農地の反転耕など(放射性物質の)吸収抑制対策にとどまらず、除染をどう進めるかということを忘れてはいけない。そのことが、福島における担い手の育成や新規就農につながる。
  • 農山漁村ビジョンについて、地域の方々に話を聞くと、地域のにぎわいを取り戻すためには、若い人に地域に定着してもらうことが重要とのこと。若者が職業として農業を選択し、生計をたて、定住するよう、中山間地のようなハンデのある地域においても展望を開けるような経営の姿や、それを実現するための支援体制の確立が重要。集落間のネットワークは、小学校区単位での連携がふさわしいと現場からよく聞く。是非そういうことに取り組んで欲しい。
  • 基本計画の構成について、担い手の育成・確保について、経営の多角化や所得の倍増など高い目標への果敢なチャレンジも必要だが、現状では担い手の圧倒的多数は家族経営。したがって、認定農業者制度をベースとした地道な経営改善支援も忘れてはならない。経営能力の向上、家族経営協定の締結、配偶者の地位向上など、取り組むべき課題はまだまだ多い。こうしたハードルを乗り越えて法人化というステップに進むという観点で、施策を構築し、対応することが大事。将来の理想を求めることは大切だが、前段のステップを忘れず、階段を積み上げる枠組みが大事。

(三石委員)

  • 震災からの復旧・復興について、東日本大震災後初めての計画であり、農林水産業の被害状況をきちんと総括する必要。震災で永久に農業を諦めた、あるいは諦めざるを得なくなった人がどれぐらいいるのか。例えば福島県の帰還困難区域には農業者が何人ぐらいいたのか、毎年どのぐらいの農業産出額があったのかなども含めて総括した方がよい。少しずつ復旧しているという状況は、あくまでも震災後の努力によるもの。震災によって完全に失われたものもあるはず。合計2万人を超える犠牲者・行方不明者のうち農家は何人ぐらいいたのか等もしっかり押さえ、次に進んでいくべき。
  • 基本計画の構成について、細かい項目は別として、大きな項目としてはこれで充分かと思う。今回の基本計画のメッセージについて意見が出たが、日本の農業の宝や、将来に向かって我々が引き継いでいくものとは何かという視点で考え、共有できれば、それがメッセージとして強く出るのではないか。

(山内委員)

  • 基本計画の構成について、震災に関する項目を別途入れたのはよいこと。基本的な方針のところかと思うが、地方創生の総合戦略など省庁をまたがる取組も明記した方がよい。
  •  来年から、生活困窮者自立支援制度が厚生労働省の下で実施される。一見あまり問題ないように思われる農村地域でも、社会的孤立という状況は生じており、地方の小さな農村などにも、いわゆる引きこもりとなっている方が住人の1割近くもいると言われている。このような方々を支え、社会に出てきてもらい、力として活用するということも、今回の基本計画の課題とも関連するため、中身に入れて頂きたい。
  • 震災からの復旧・復興について、宮城県において、震災後に生協、農協、社会福祉法人、大学による「食のみやぎ復興ネットワーク」が立ち上がっている。6次産業化の一つの事例にもなっており、このような、新しいつながりによって今後の農業を支えていく取組に是非目配りをしてほしい。
  • 農山漁村ビジョンについて、農山漁村の資源に光を当てており、大変面白い。ただ、全国的に理解されにくいものや、農村地域に実際に移住する人は現実には多くない等の課題もあるため、それを明確にし、どう克服するかということも今後の方向のところで触れてほしい。

(山口委員)

  • 震災からの復旧・復興について、資料の「残された課題」を見ると、様々なところとの調整や連携という言葉が多く出てくる。これだけ時が経ってもなお残されているということは、それなりの難問であり、省庁間、国と自治体、官民などの連携が必要な課題ほど残っているようである。復興庁も同じようなレビューをしているかと思うが、残された課題を国全体として大きく俯瞰し、現時点でどの課題が難しくて、時間がかかり、深いのか、ランク付けし、優先順位をつけ、どこに力を入れて取り組むのかということを整理すべき。そのうち、農水省が取り組む部分、連携が必要な部分を整理し、取組を継続することが大事であるため、腰を入れ直して取り組んでいく必要があるのではないか。
  • 基本計画の構成について、グローバル化に関連する事項が、知的財産、世界の食市場、国際交渉など、色々なところに出てくる。全部集約して、大項目として位置付けてもいいのではないか。その中には、守備中心のテーマ、攻めるべきテーマがあり、両方を大きく項目立てする方が今の社会情勢に合っている。例えば、食文化にはしっかり守るという面もあれば、和食が世界遺産に登録されたという意味では攻めのテーマに位置付けることも可能。また、観光という点では、外国人旅行客の需要に対応することも攻めのテーマ。そういう意味で、グローバル化への対応という項目を大きくしてもいいのではないか。
  • 生産・流通現場の技術革新の中でも、特に情報化システムの総合的な構築が農業や6次産業化にとって大きな意味を持つ。今それぞれの分野で取り組んでいる情報化システムを統合することで、農業に新しい価値を生み、難しい問題の解決につながるのではないか。例えば、連動する気候の変動と種まきや収穫時期、価格の変動と在庫や出荷時期、労働市場の変動と要員調達などを組み込んだシステムを総合的につくりあげ、農業の生産性や付加価値向上につなげていくような仕組みを技術革新の一つとして追いかけてもいい。

(天羽政策課長)

  • 基本計画の構成案について様々な意見、示唆をいただいた。事務局で受け止め方について検討させていただく。

(三浦農村振興局長)

  •  中間取りまとめ(資料3)に対していただいた意見、コメントは、活力ある農山漁村づくり検討会で紹介し、今後の検討の参考にしていただけるようにしたい。
  • (山内委員からの指摘について)まち・ひと・しごと創生総合戦略について「策定されたという報道があった」というお話があったが、正確には、年内に策定すべく作業が行われている状況であるので、付け加えさせていただく。

(櫻庭食料産業局長)

  • (香髙委員、近藤委員の放射性物質による風評被害に関する指摘について)消費者庁が毎年2回行っている調査において、この8月の調査結果では、不安が高まっていたことは事実。生産・流通段階では、商品がだぶついた時には福島産品は他地域のものよりも値が下がり、加工原料品では更に価格が低くなると聞く。卸・小売関係者からも、競合した場合は二番手三番手になり、学校給食に納入する際も非常に厳しいと聞いている。私どもとしては、科学的なデータを示しながら風評被害対策を引き続き復興庁など関係省庁と連携して行っていきたい。特に、消費者に対して消費者庁等がリスクコミュニケーションを行うこととなっているので、データなどをいろいろな形で示しながら、福島県のものについて一緒になって、粘り強く継続的に取組を行っていく。
  • (萬歳委員の指摘について)輸出農産物の検査費用は基本的には通常の業務に対する追加費用であるため、東京電力の賠償対象。認められない場合については、個別具体的に相談してもらいたい。
  • 日本からの輸出に関していえば、輸入停止しているところを開ける。開ける際に検査証明を求められる場合は、対象となる自治体数を少なくする、あるいは産地証明で済むようにする、最終的には事故前の水準での対応を求めることとしている。徐々にではあるが、こうした取組の成果も増えており、引き続き対応していく。

(西郷生産振興審議官)

  • (近藤委員、松本委員の指摘について)除染については、中間処理や最終処分がなかなか決まらず進んでいない場合もある。環境省の所管であるが、農水省も環境行政、あるいは地方自治体に対して一層の協力実施を要請して、今後やっていきたいと考えている。また、除染後の営農再開に向けても一生懸命やっていく。
  • (萬歳委員の指摘について)堆肥として使えない400ベクレル以上のものが15万トンほど発生しており、そのうち4万トン近くは処理を終えている。その他については、もちろん、8000ベクレル以上のものは国が処理しなければならないが、400から8000ベクレルのまだ処理が終わっていないものについては、一時保管などをしているところ。これも適切に処理が進むように、現地自治体への風評被害が生じないようきちんとやっていきたい。

(豊田経営局審議官)

  • (近藤委員、松本委員の指摘について)担い手に関する指摘をいただいたので、今後、指摘を踏まえさせていただく。
  • (藤井(千)委員の指摘について)女性については、農林水産業・地域の活力創造プランにも記載があり、これまでと同じ様な扱いで良いとは思っていないので、適切に対応していく。

(中嶋部会長)

  • 基本計画の構成に関する委員からの各意見、コメントを踏まえて事務局は検討してもらいたい。
  • 本日欠席している委員からも意見を聴くようにしてもらいたい。

 

3. 閉会

以上 

お問い合わせ先

大臣官房政策課
代表:03-3502-8111(内線3086)
ダイヤルイン:03-3502-5515
FAX:03-3508-4080

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