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農林水産省

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議事録(第24回)

1.日時及び場所

平成30年3月14日(水曜日)14:00~16:00
農林水産省 第2特別会議室

2.議事

(1) 農林水産分野における地球温暖化対策計画の点検結果(2016年度)について

(2) その他

3.概要

 

〇大臣官房参事官
定刻よりちょっと早いのですけれども、全員そろいましたので、地球環境小委員会の合同会議を、開催したいと思います。
本日、司会を務めます大臣官房参事官の大友と申します。環境政策を担当しています。よろしくお願いいたします。
それでは、座ってご説明させていただきます。
この合同会議につきましては、昨年2月に開催してからおよそ1年ぶりということになっております。その間、昨年7月に食料・農業・農村政策審議会の改選があり、座長でありました武内委員、三石委員、亀山専門委員、槇島専門委員、牛窪専門委員が退任されました。渡邉委員、上岡委員、青柳専門委員、小櫃専門委員が新たに任命されましたので、ご紹介いたします。
また、水産政策審議会につきましても、昨年7月に改選がございまして、馬場委員が退任さ れ、新たに山下委員が任命されております。
なお、食料・農業・農村政策審議会の根本専門委員、林政審議会の鎌田委員及び塚本委員、水産政策審議会の柳内委員におかれましては、所用により本日はご欠席との連絡を受けております。
また、食料・農業・農村政策審議会企画部会の取り決めによりまして、先般、部会長より同審議会の小委員会の座長に渡邉委員のご指名がございました。本日の合同会議の座長につきましても、お願いできればと存じております。
ご異議ございませんでしょうか。

  (「異議なし」の声あり)

〇大臣官房参事官
それでは渡邉委員に座長をお願いしたいと思います。
どうぞ、こちらの座長席までお願いします。
本日の議事録につきましては、会議終了後に整理し、委員の皆様にご確認いただきました後に公開させていただきますので、よろしくお願いします。
開催に当たり、別所技術総括審議官からご挨拶を申し上げます。

〇技術総括審議官兼技術会議事務局長
地球環境小委員会合同会議の開催に当たりまして、一言ご挨拶申し上げます。技術総括審議官の別所でございます。よろしくお願いいたします。
委員の皆様方には大変お忙しい中、ご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
また、日頃より農林水産関係施策の推進に当たりましては、ご理解、ご協力いただいておりますことを、併せて感謝申し上げたいと思います。
さて、気候変動、地球温暖化の関係でございますけれども、2015年12月、COP21におけます、パリ協定の採択、また、2016年5月には政府の地球温暖化対策計画が閣議決定されております。これら国内外の動向、また、委員の皆様方の意見等々を踏まえまして、昨年3月には、農林水産省といたしまして、省の地球温暖化対策計画を策定して、積極的に推進を図っているところでございます。
政府の地球温暖化対策計画につきましては、内閣総理大臣を本部長といたします地球温暖化対策推進本部が、関係審議会等による定期的な評価、検討を踏まえつつ、個別の対策、施策の進捗状況の点検を行うということとされているところでございます。
本日、政府の地球温暖化対策計画に掲げられました農林水産分野の対策、あるいは施策の進捗状況、そういったものの点検結果について、委員の皆様方からご意見を賜りたいというふうに考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
気候変動の問題は、温暖化を防止する緩和策、また、温暖化の影響に対応していく適応策を一体的に取り組んでいくことが重要でございます。後ほどご報告申し上げますが、政府におきましては、特に適応策について、対応を強化していくということで、政府の適応計画の策定義務等々を定めました気候変動適応法案を、今、国会に提出をさせていただき、審議を待っているという状況でございます。
特に農林水産業におきましては、気候変動の影響を受けやすい産業であると認識をしてございます。環境省を初めといたします関係省庁とよく連携をしながら、様々な対策を進めて参りたいと考えているところでございます。
例えば、品質低下が起きにくい品種、あるいは栽培技術の工夫などで、適応策の推進などを図っていくということを考えているところでございます。
先ほど申し上げましたとおり、緩和策と適応策を一体的に推進していくことが肝要でございますので、是非そういった視点も含めまして、本日、委員の皆様方から忌憚のないご意見をいただければ、大変幸いでございます。
改めてお願い申し上げまして、開会の挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願い申し上げます。

〇大臣官房参事官
それでは、本日の議事に入る前に配布資料の確認をいたします。配布資料一覧に記載されていますとおり、議事次第、配席図、委員名簿、資料1-1の農林水産分野における2016年度の地球温暖化対策・施策の点検結果(概要)、資料1-2の農林水産分野における2016年度の地球温暖化対策・施策の点検結果(詳細)、資料2の農林水産省における地球温暖化対策関係予算概算決定の概要、資料3の気候変動枠組条約第23回締約国会合の結果、資料4の2016年度の温室効果ガス排出量(速報値)、資料5の気候変動適応法案(仮称)の概要、参考資料といたしまして、農林水産省地球温暖化対策計画となっております。もし資料に不足等がございましたら、事務局にお申し付けください。
それでは、以降の議事進行につきましては、渡邉座長にお願いしたいと思います。
それでは、渡邉座長、よろしくお願いします。

〇渡邉座長
皆さん、こんにちは。座長を務めさせていただくことになりました、京都大学の大学院地球環境学堂の渡邉でございます。今、地球環境学堂という名前の研究科におりますが、もともとは農業用水の管理、それと地域環境や地球環境とのかかわりについて長く仕事をさせてきていただいております。
先ほど事務局長からもお話がありましたように、地球環境にかかわる課題はまだまだずっと続く大事な課題です。皆さんのご意見を広く引き出させていただいて、ここでの検討が具体的に役立つようなものになるように努めていきたいと思いますので、どうぞご協力よろしくお願いいたします。
それでは、用意していただきました議事に従いまして、進行して参りたいと思います。
まず初めに議事の1です。農林水産分野における地球温暖化対策計画の点検結果(2016年度)につきまして、まず事務局からご説明いただきます。その後、委員の皆様からご意見、ご質問等を承りたいと思います。
では、事務局、ご説明をよろしくお願いいたします。

〇大臣官房政策課環境政策室長
私は農林水産省大臣官房環境政策室長をしています中川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、私の方から農林水産分野における2016年度の地球温暖化対策施策の点検結果についてご説明したいと思います。
資料は1-1と資料の1-2、これは資料の1-1が概要版で、資料1-2が詳細版になってございます。時間の関係上、この資料1-1の概要に基づいて、説明をさせていただきたいと思います。
その前に、全体像を改めましてお示しした上で細部をご説明した方が良いかと思いまして、この委員のお手元に農林水産省地球温暖化対策計画という冊子を配布させていただいておりますが、15ページをご覧いただければと思います。政府の地球温暖化対計画の目標と農林水産分野の位置付けについて書かれています。よろしいでしょうか。
まず政府全体の地球温暖化対策計画の目標がございまして、これは2013年度を基準として、2030年度に26%を削減する目標になってございます。このうち農林水産分野の対策において、全体は2.8%削減という位置付けになっておりまして、温室効果ガスを排出する分野については、農林水産分野で0.2%を貢献することとしています。
温室効果ガスを吸収する分野でございます。これにつきましては、森林吸収が2%、農地土壌吸収等で0.6%、合計で2.8%を農林水産分野の対策によって実施していくとしております。これが政府全体の計画でございます。
右の欄を見ていただければ、さらにそれを詳細に記述してございますけれども、排出を削減する分野につきましては、施設園芸や農業機械の排出源の削減対策、漁船の省エネルギー対策、農地土壌から出る温室効果ガスの削減対策となっています。吸収源対策につきましては、森林吸収源対策と、農地土壌における温室効果ガスの吸収源対策になってございます。これに基づいて、現在、進めている地球温暖化対策計画に基づく施策についての2016年度の点検結果概要をこれからご説明いたします。
行ったり来たりで恐縮でございますけれども、資料1-1を見ていただければと思います。
まず1枚目を開いていただいて、1ページ目です。これは先ほどご説明しました、温室効果ガスの排出削減でございます。まずは、省エネルギー性能の高い設備、機器等の導入促進、これは施設園芸分野について、このページに記述してございます。
具体的な内容につきましては、省エネ型の加温設備等の導入により、燃油使用量の削減を図り、加温設備における燃油燃焼に由来するCO2を削減するということでございます。2030年度の目標が124万トンCO2ということでございます。
真ん中の段に対策評価指標、省エネ量、排出削減量の実績と見込みがグラフで記述させていただいております。グラフに数字が入ってございますけれども、黒字が実績値で、赤字が見込み値、数字に囲みが入っているのが、2016年の値になってございます。
それで、まず一番左の省エネ機器の導入につきましては、見込みが2016年度で9万6,000台のところが、9万1,000台が実績です。省エネ設備の導入については、目標見込みが15万7,000箇所のところが、実績が16万2,000箇所となっており、この2つを勘案した省エネ量につきましては、見込みが11.7万キロリットルの見込みに対して、11.9万キロリットルの実績となってございます。
それを勘案した温室効果ガスの排出削減量が32万トンCO2の見込みに対して、実績も32万トンCO2という形になってございます。今、私がご説明したものをABCで評価するようになっていまして、対策評価の指標の省エネ機器の導入につきましては、ヒートポンプとか木質バイオマス利用加温設備とか、多段式サーモになってございます。先ほどご説明しましたように、見込み値を下回っているということで、Cとなってございます。もう一つの省エネ設備の導入の方につきましては、これは循環扇とカーテン装置などがございますけれども、これにつきましては見込みを上回っていました。それらを勘案した省エネ量は、見込みを上回っていました。排出削減量は見込みと実績が一緒でございましたので、見込みどおりのBとなってございます。
これらについて、総合的に評価しているのが、右に文章にしてございますけれども、2つの対策評価指標の見込みに対する実績の進捗状況は若干異なるものの、いずれも省エネのための設備として、両者の導入を一体的に支援していることから、対策評価指標全体で見ると、省エネ量、排出削減量と同様に、おおむね見込みどおりの進捗状況になっているということでございます。
今後も温室効果ガス排出削減に資する省エネ設備の導入及び技術確立を支援するとともに、施設園芸省エネルギー生産管理マニュアルなどに基づく省エネ型の生産管理の普及啓発を進めるという評価にしてございます。
2ページ目をご覧いただければと思います。これは、今度は農業機械でございまして、具体的内容は農業機械における燃油使用量の削減ということで、2030年の排出削減目標は0.13万トンCO2でございます。対策評価指標、これは省エネ農機の普及台数で見てございまして、見込みが24万5,000台に対して、実績が23万2,800台ということでございます。
省エネ量につきましては、見込みが90キロリットルに対して、実績が40キロリットルとなっており、排出削減量につきましては、見込みが240トンCO2に対して、実績値が110トンということでございます。対策評価指標の省エネ農業機械は穀物遠赤外線乾燥機器、高速代かき機でございます。
対策評価指標、省エネ量、排出削減量、3つとも見込みを下回っているという状況でございます。
これにつきましては、対策評価指標は見込みをわずかに下回っていますが、省エネ量及び排出削減量については、一定の効果が出ているものの、省エネ機から省エネ機への単純更新が需要のほとんどだったため、見込みを下回ったということでございます。今後、農業機械の省エネ利用マニュアルの活用により、温室効果ガス排出削減に資する農業機械等の普及促進をこれまで以上に図るということでございます。
3ページ目に参りたいと思います。
漁業の分野で、具体的内容については、省エネルギー漁船への転換についてでございます。2030年度の排出削減目標は16.2万トンCO2ということでございます。
まず対策評価指標、これは省エネ漁船への転換でございますけれども、見込みが15.8%に対して、実績が17.4%、省エネの量としまして、見込みが1.1万キロリットルに対して、実績が1.2万キロリットルです。排出削減量としまして、見込みが2.9万トンCO2に対して、実績が3.1万トンでございます。
対策評価に関する評価としまして、対策評価指標、省エネ量、排出削減量、いずれも見込みを上回っており、Aということでございます。
対策評価指標につきましては、従来の漁船、漁業構造改革等による省エネ型漁船の導入促進のための取組とは別に、2015年度補正により実施された水産業競争強化漁船導入緊急支援事業により代船建造が促進された影響により、省エネ漁船への転換が増加し、省エネ量、排出削減量が増加したということでございます。
排出削減量は、2030年度目標に向かって、順調に推移しており、引き続き漁船における省エネルギー対策の実用化、普及啓発を進めていくということでございます。
続きまして、4ページ目をご覧いただければと思います。
農地土壌に関連する温室効果ガス排出削減対策ということで、具体的内容は水田においてメタンの排出係数が相対的に高い稲わらのすき込みから、排出係数の低いたい肥への施用への転換による土作りを推進するということで、水田から発生するメタンの抑制を図っていくというものでございます。
評価指標、排出削減量の実績と見込みを書いてございますけれども、この表の見方に留意点がございますので、ご説明したいと思います。右の方に記述してございますけれども、対策評価指標の有機物管理割合、具体的には稲わら、たい肥、無施用でございますけれども、これについての割合は2015年~2018年度で全調査対象を把握するために、2015年度及び2016年度の実績は、2014年度の実績を暫定的に使用と書いてございます。ちょっと分かりにくいかもしれませんけれども、要は2015年~2018年度の4年間分については、2019年度にまとめて実績を把握するということになってございます。
今、最新の数値が2014年度の実績値が最新の数値になってございまして、これを便宜上、2015年度及び2016年度の実績として、暫定的に使用させていただいているということで、今回は、この2014年度の実績でもって、評価をするという形にしてございます。
有機物管理割合、稲わら、たい肥、無施用の割合については、メタン排出削減量に影響を与える変数のうち、必ずしも主要なものとはいえないが、対策の進捗を把握するための参考指標として位置付けるということで、ご理解いただければと思います。
排出削減量の見込みが上位と下位となっていますけれども、これらは数理モデルに基づく推計であり、気温の変動等の外部要因等により、一定の不確実性があるため、上位と下位の見込みを設定させていただいているということでございます。
まずこの参考指標を見ていただきたいんですけれども、2013年度の見込みとして、稲わらが60、たい肥が26、無施用が14となっていますが、これを20年度には、稲わらを60から40にし、その代わり、たい肥を今度は逆に増やして、26から40にしていく目標、対策になってございます。
実績と見込みの比較でございますけれども、2016年度を見ていただければと思いますけれども、見込みが50対33対17です。稲わらが50、たい肥が33に対して、実績は、先ほどご説明したように、これは2014年度の実績値でございますけれども、稲わらが64、堆肥が27ということでございます。
これを参考とした排出削減量につきましては、上位と下位が2つあるんですが、下位で33万トンCO2に対して、上位が92万トンの見込みに対し、66万トンが実績値となってございます。参考値として、有機管理割合については見込みを下回っているのでC、一方で、排出削減量は見込みどおりで、Bとしてございます。先ほどご説明しましたように、右の方に書いておりますけれども、2014年度の実績を暫定に使用しておりますので、見込みを下回っています。なお、2019年度に15、16、17、18の4年間分は再計算をする予定でございます。
排出削減量は水稲の作付面積の減少等により、見込みどおりとなっており、農業者団体等が化学肥料・化学合成農薬を原則5割以上低減する取組と合わせて行う地球温暖化防止等に効果の高い営農活動に対して支援を実施していくということでございます。
次に5ページ目を開いていただければと思います。農地土壌に関連する温室効果ガスの排出削減対策、今度は一酸化二窒素で、窒素の分野でございます。具体的内容は施肥に伴い発生する一酸化二窒素について、施肥の低減、分肥、緩効性肥料の利用により排出量の抑制化を図っていくということでございます。
対策評価として、化学肥料の需要量を見ておりまして、これにつきましては、2014年度の見込みが40万7,000トンに対して、実績は39万5,000トンということでございます。ここも実は統計上の制約がございまして、肥料の仕向け量の実績が、間に合わないということで、ここでは2014年度の実績までを記載してございます。
排出削減量につきましては、見込みが1.5万トンCO2に対して実績値は5.3万トンということでございます。対策評価指標である化学肥料需要量の実績が見込み以上に減少した結果、排出削減量の実績は見込みを上回っております。一酸化二窒素の排出量は、作物毎の作付面積の増減等により一定の不確実性があるものの、着実な対策施策の実施による効果が的確に表れているものと評価されます。今後、土壌診断に基づく適正施肥による施肥量の低減等を推進し、施肥に伴い発生する一酸化二窒素の排出削減を図っていくということとしてございます。
6ページ目、森林吸収源対策でございます。これにつきましては、森林・林業基本計画等に基づき多様な政策手法を活用しながら、適切な間伐や造林などを通じた健全な森林の整備等の森林吸収源対策を推進するということでございます。
2030年度の吸収目標は2,780万トンCO2ということでございます。
対策の評価指標につきましては、これは森林の施業面積でございますけれども、見込みが81万ヘクタールに対して、実績が61万ヘクタール、吸収量につきましては、見込みが4,786万トンCO2に対して、実績が4,765万トンということになってございます。この吸収量の見込みについて、少し注釈がございます。吸収量の2016年度以降の見込み値は、2016~2019年にあっては、2015年度の実績と2020年の目標値を機械的につないでございます。2021年~2029年度の見込み値は、2020年度と2030年度の目標値を機械的につないでございます。もう一つは、2016年度の実績は暫定値でございまして、現在、精査中のため、2018年の4月に公表予定の確報値と異なる可能性があるということでございます。
対策施策に関する評価は、対策評価指標、吸収量ともに見込みを下回っているということでございます。
対策評価指標は、震災や豪雨等による災害の影響や森林整備に必要な予算が十分確保できなかったため、見込みを下回っています。森林吸収量は京都議定書第2約束期間のルールに基づきまして、森林の吸収量と伐採、木材製品の吸収量の合計を計上してございまして、まず森林の方は対策指標が見込みを下回ったことから、吸収量は見込みより減少基調にあって、一方で、伐採木材製品については、製材及び合板の国産材率の向上等の要因により、見込みを上回る吸収量が確保されたということでございます。
結果、森林吸収量全体としては、見込みを若干下回ったということでございます。森林吸収量の確保のため、森林吸収源対策の一層の推進に取り組むということでございます。
それから、7ページ目、今度は農地の土壌の吸収源対策でございます。たい肥や緑肥等の有機物の施用による土作りを推進することにより、農地及び草地土壌における炭素貯留を促進していくということでございます。2030年度の吸収量目標としましては、696万トンから890万トンCO2ということでございます。ここは対策指標と吸収量については、留意点が右の方に書いてあるんですけれども、これは二酸化炭素の固定そのものでございますから、対策評価指標と吸収量の数値は同一であります。数理モデルにより全国の鉱質土壌における土壌炭素量の1年当たりの変化量を推計し、京都議定書における算定ルールにより土壌炭素量を算出しております。なお、数理モデルにより算定のため、一定の不確実性があるため、上位と下位の見込みと目標値があるということでございます。
吸収量の2016年度の実績は暫定値であり、現在、精査中のため、2018年4月に公表予定の確報値と異なる可能性があるということでございます。
具体的に実績と見込みにつきましては、見込み値が上位が828万トン、下位が708万トンCO2に対して、実績値は638万トンということで、土壌炭素貯留量については、見込みを下回っていて、吸収量も見込みを下回っているということでございます。
それにつきましては、2016年度の年平均気温が1981年~2010年の30年平均と比べて、プラス0.88度高かったため、土壌中の微生物による有機物の分解が進み、二酸化炭素として排出されたことが主な要因となり、土壌炭素貯留量が減少したと考えられるということでございます。農業者団体等が化学肥料、化学合成農薬を原則5割以上低減する取組と合わせて行う地球温暖化防止等に効果の高い営農活動に対して支援を実施するということとしてございます。
続きまして、森林減少、劣化に由来する排出の削減等への対応ということでございます。これは国際分野でございますけれども、我が国の知見や技術を生かしつつ、官民連携により、途上国における森林減少・劣化に由来する排出の削減等(REDD+)を積極的に推進し、森林分野における排出の削減及び吸収の確保に貢献することとしています。
また、違法に伐採された木材は使用しないという基本的考え方に基づき、森林減少の抑止・地球規模での環境保全等に貢献するということでございます。
ここは数値化がないため、見込みと実績値の記述はしてございません。対策施策に関する評価については、REDD+の推進については、国際的な議論の動向や途上国の実施体制等に係る調査・研究や二国間オフセット・クレジット制度の下でのREDD+の実施ルールの検討等の技術開発、人材育成などを行ってきたということでございます。
今後、官民連携の下での我が国の民間企業等によるREDD+の推進をすべく、引き続き様々な対策を進めていくということでございます。
違法伐採に対しては、国際熱帯木材機関への拠出を通じ実施しているプロジェクトについて、実施中でございまして、評価はプロジェクトを完了した後に行う予定ということでございます。
最後の9ページです。これは産業全体でございますので、全体は経済産業省が取りまとめしてございますけれども、各業界が削減目標を設定する低炭素社会実行計画(農林水産省所管業界のみ)を記述してございます。
具体的内容につきましては、先ほどお話ししたとおりでございまして、20業種の団体に目標設定していただいて、取り組んでいただいております。緑色に塗りつぶしているのが、それぞれ、目標水準に対して実績値が上回っている業種となってございます。
少し長くなりましたけれども、以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

〇渡邉座長
ありがとうございました。
それでは、これから委員の皆様からご意見、質疑を受けていきたいと思いますが、事務局から必要に応じてご回答いただきます。15時15分を目処に質疑応答を進めたいと思いますので、よろしくお願いします。
あらかじめご発言がある方は、勝手ですが、名札を立てておいていただくと、ご発言なさりたいという意図が分かりますので、ご協力いただければありがたいです。
では、どなたからでも、ご質問、ご意見がありましたら、お願いします。いかがでしょうか、どこからでも結構です。
では、横山委員。早速立てていただいてありがとうございます。よろしくお願いします。

〇横山委員
林政審の横山と申します。よろしくお願いします。
この6ページの森林吸収源対策のところで、意見と質問なんですけれども、3カ年間落ち続けている森林施業面積が目標どおりになっていないことが大変気になったところです。理由としては、整備に必要な予算が十分確保できなかったためということと、震災や豪雨という、この2つが書いているんですけれども、全国の森林を見て回る中で、伐期を迎えて、既に時間を経ている人工林の利用のペースが大変低いように感じております。質問としては、予算の確保というのが大きな壁だとすれば、その予算の確保の目処というのが、どういうふうに立てていかれるのかという質問と、それに関連して、単に予算がないという、これだけが問題の大元なのかどうかというところを質問したいと思います。全国で、シカのような草食獣が増加をしていることから、単純化が進む森が次々に生まれていて、もっと大胆な人工林の利用がないと、自動的に吸収力というのが落ちていくのではないかと思われる事態の中で、この3カ年の落ち続けているという、このグラフにちょっとショックを受けております。
以上です。

〇渡邉座長
ありがとうございました。また少しご意見いただいていきましょう。
では、橋本委員、お願いします

〇橋本委員
農地土壌吸収源対策についてなんですが、この7ページのところでは、土壌微生物による有機物の分解が進んで、二酸化炭素が増えたというような記述になっていると思います。また、先ほどのこの冊子の後ろの部分の15ページというところに、これをどうやっていくかというところで、微生物分解を受けにくい土壌有機炭素というような表現になっているんですけれども、前にも一度発言させてもらったんですが、農業というのはやはり土壌の微生物活動を活発にしていくということが一つ重要なポイントであると思っていまして、有機物というか、それを分解していっても、いきなり出てくるわけではなくて、腐食という形で一回蓄えられて、多分、未分解の有機質と腐食はともに炭素の隔離というか、吸収ができていると思っております。さらに、その腐食の場合は、使いたい時に肥料として使えるという利点がありますので、そこがしっかりできていないと、有機物ばかりたまっていっても、肥料の施用量の減少につながっていかないのではないか。トータルで考えれば、微生物活動がきちんとあった上で、腐食というものをきちんと位置付けて、トータルで土壌からの温暖化ガスの排出を削減していくという発想が必要なのではないか、単純化し過ぎているんじゃないかと感想を持ちました。
それと、生産者が化学肥料を5割以上低減する取組というのは、これはかなりオーガニックに転換するぐらいの変化の大きさであって、1割でも2割でも少なくしていくようなことが必要なのではないか、この2点を感想として持たせていただきました。

〇渡邉座長
ありがとうございました。
その分野にお詳しいこともある、八木委員、お願いします。

〇八木委員
今のにお答えする立場では……

〇渡邉座長
答えて頂きたいいうことではないので、こだわらずにご発言いただけたらと思います。

〇八木委員
質問をさせていただきたいんですが、点検ということでご報告いただきましたが、各分野につきまして、C評価、見込みを下回っている評価がいくつかあったと思います。これらについては、森林の方からもご質問がございましたが、例えば農地土壌の水田のメタンですとか、農地の土壌炭素吸収源対策、これは両方とも農地への有機物の投入、ただいま橋本委員からもご意見のありましたことに関する部分だと思います。この対策が現時点でまだ、計画ができて1年目ということで、データも集まっていないのかもしれませんけれども、これを現時点でどうお考えになって、今後、どう対策等の強化をお考えなのかを伺いたいと思います。
もう一つ質問は、この対策計画の中では、こういった各セクターでの排出削減対策と同時に、2項目目、3項目目として農林水産分野の地球温暖化に関する研究技術開発、それと国際協力が書かれていたかと思います。これに対しては、今日の議題に対象としてないのかどうか、ご説明いただければと思います。
以上です。

〇渡邉座長
もう一方、小倉委員に伺います。よろしくお願いします。

〇小倉委員
全国消団連の小倉と申します。
先ほどCで見込みを下回っているというところで2点と、もう一つ、質問したいと思います。
一番最初のところの農業分野での省エネ機器の導入が、見込みを下回っているというところで、漁業分野では順調に進んできていると思うんですけれども、入れ替えの時期で、農機具の入れ替えが、なぜ進んでいないのか、省エネ機器の普及等のバリエーションが少ないのか、情報が行きわたっていないのか、それとも、こういった価格がとても高いので進まなかったとか、要因等がありましたら、教えていただきたいと思います。
森林吸収対策のところでは、先ほど予算が足りないので、十分でなかったのでというご意見もあったんですけれども、やはり震災や豪雨等による災害の影響と書いてありますが、毎年のように起こる災害等のところで、具体的にこうしていきたいと、考えられているようなことがあったら、教えていただきたいと思います。
あともう一点が、森林減少、劣化に由来するというところで、これはプロジェクトの途中なので、具体的な対策の記述を行っていないということですけれども、違法伐採された木材の問題というのが、日本は規制や監視が緩過ぎるのではないか、国際的にも非難をされているというようなことも伺いました。新しい法律、クリーンウッド法も施行されましたが、それを受けての施策の状況とか、運用面の改善について何かありましたら、教えていただきたいと思います。
以上です。

〇渡邉座長
委員の方のご意見を伺うのはここまでにして、ここまでのところで事務局の方からご回答いただけますでしょうか。よろしいですか。
では、よろしくお願いします。

〇林野庁森林整備部森林利用課長
林野庁森林利用課長でございます。
まず横山委員と小倉委員から、森林吸収源対策についてのご質問があったと思います。
横山委員の方は、一つは予算確保の今後の見通しということと、木材の利用に関して、シカの害とかで単純化して、吸収力が落ちていくというような森林についての、大きくはこの3つだというふうに理解しております。
1つ、予算の確保ですけれども、吸収源の吸収量としてカウントされる森林のカウントに至る森林整備というのが、間伐でありますとか、植林でありますとか、そういったような森林整備の大部分が、いわゆる造林の補助金を活用して行われているという実態がある中で、そういった補助金が、予算が十分確保できないと、ある年度の中では、見込んだだけの森林整備が進まないというようなことが起きるという実態にございます。
理想から言えば、補助金がなくても自立的に経済ベースで森林整備が回っていくというふうなことにするのが理想ではございますけれども、材価がなかなか上がらないとか、場所によってはそういうのが成り立ち得る場所もありますけれども、なかなか条件が不利だったりということで、それが進まないような場所もあるというようなことで、今後の見通しということなんですが、予算自体はなかなか見通しというのは難しいですけれども、そういった自立的に回り得るような森林はきちんと意欲と能力のある林業経営者が回していただくというようなことで、新たな森林管理システムといったようなものを、今、国会に法案も提出をさせていただいて、構築をしていこうと。片や、そういう経済ベースになかなか乗りにくいようなところは、国民の皆様からも広くご負担をいただいて、森林環境税という形で、追加的に財源を確保させていただいて、そういうようなところは全国の市町村が主体になって、森林所有者さんに代わって管理をしていくといったようなことで、そこで整備を少なからず、追加的にといいますか、今までなかなか手が届かなかったところも手が届くように、何とかしていこうということで、今、考えているところでございます。
木材の利用についても、まだ実態感としてすごく進んだという感じはお持ちでないのかもしれませんけれども、この2016年の吸収量の数値も、説明の中にあったとおり、森林の吸収量自体は見込みよりも下回っているんですけれども、HWPという国産材を使って、世の中に木材製品としてストックされた部分というのは、見込みを上回っているというところからしても、地味かもしれませんけれども、着実に木材利用は前に進んでいるというふうに評価してもいいのかなと思っているところもございます。その辺をより、先ほども言いました林業そのものを成長産業化といいますか、太い輪を回していきながら、より適切に循環的に伐採をして、跡地もきちんと植えてという循環をより太くしていくという中で、木材もより使って、世の中のHWPのストックの部分を増やしていく。あるいは化石燃料とか、そういったものの使用を代替する部分も増やしていくというようなことを目指していきたいと思っています。
あとシカ害等の吸収力へのインパクトについては、申しわけございません。あまり詳細な分析をしたものを持ち合わせておりませんけれども、現状で、日本国中の森林から、隅から隅まで、シカで本当にボロボロになっているという状況ではなくて、一部そういうものが目立ってきているというところがあると思うので、これがより広がっていくと、確かに目に見えるインパクトが出てくる可能性もあるかなとは思っておりますので、その辺、シカ害対策はなかなか難しい部分もありますけれども、関係省庁、環境省などとも連携をして、そこは引き続き取り組んでいきたいと思っております。
経済ベースに乗らないようなところの、そういったシカ害対策みたいなものは、先ほど言いました森林環境税みたいなものも、適切な趣旨に合うものであれば、手当をしていく、財源としては使える部分もあるのかなというふうに思います。
小倉委員から、災害への対応ということでお話があったんですけれども、これはやはり森林の力を越えたような大雨などで、崩れてしまったりというようなのは、森林の整備だけで防ぐというのは、なかなか難しい部分もございますけれども、そういった森林が持つ力をできるだけ災害に強い形で発揮していくとか、あるいは、例えば林道だったり、そういったようなものも、できるだけ災害に強い形でうまく作っていくといったようなことは、ある程度技術的にもできる部分もあると思いますので、そういったものは引き続き努めていきたいと思っております。
あと違法伐採対策でございますけれども、こちらは申しわけございません、私も直接担当ではなくて、詳しいところはあれなんですが、委員、おっしゃったとおり、クリーンウッド法が施行されまして、今、クリーンウッド法に基づく事業者の認定というのですか、認証をする機関も指定をされまして、運用が実際に始まっているところだというふうに承知しておりますので、これからそれをきちんと運用していく中で、日本でもきちんと違法伐採対策は進んでいるというふうに言われるように、国際的にも評価されるように取り組んでいきたいと思っております。
以上です。

〇渡邉座長
では続けて、それ以外について。

〇生産局農業環境対策課長
続きまして、生産局農業環境対策課長、及川より橋本委員の2点につきまして、まずご説明申し上げます。
橋本委員からご指摘がありましたとおり、まず農地の生産力、いわゆる地力という概念につきましては、化学性、物理性の他に生物性という概念がございます。あくまでも生物性あっての地力発揮だという認識でございます。
ただ、ここでいう土壌炭素貯留につきましては、先生もご理解いただいておりますように、有機物を入れると、先にすぐ分解しやすいものが分解して、だんだんと分解しにくいものだけが残る。それが15ページでいう微生物分解を受けにくい土壌有機炭素、俗に腐植の一部の要素になりますけれども、そういったものは残る。そのストックを増やしていくということが、今回の農地土壌吸収源対策という位置付けになるところでございます。あくまでも分解を抑えるという意味ではなく、いろいろな有機物を多く入れて、地力を高めていく土づくりをしていくことで、こういった土壌有機炭素の方を増やしていくという考え方に基づいてやっているところでございます。今回、C評価となった背景としまして、あまりにも高温過ぎてしまいますと、分解が進むということで、我々のシナリオの中よりもさらに高温だったことから、排出が増えて、結局、ストックの部分が減ってしまい、こういうふうな評価になったということでございます。引き続き、我々としましては、土づくりといったものを推進し、家畜排せつ物由来の糞尿からのたい肥、緑肥といったものも含めまして、有機物施用につきまして、例えば環境直接支払交付金などの施策等を活用しながら進めていきたいと思っているところでございます。
また、同じく橋本委員からありました、化学肥料の低減についてですが、従来から、我々は有機農業だけではなく、環境保全型農業ということで、化学肥料、化学農薬の低減といったことを推進しているところでございます。
最近、かなりの農業者が大規模化とか、労働生産性を上げる観点から、また米につきましては、食味の関係から、肥料の施用量が全体的に減ってきているというような状況になっています。また、資材の方も緩効性肥料ということで、より長く効く、他に流出しにくい形で肥効を高めたものも投入が増えているところでございます。そういった意味では全般的に、昔と比べると、化学肥料に関しては、施用量が減っている。ただ、一方でやっぱり土作りというところがおろそかになっているのかなといったところが反省点でございますので、そういったものも気を付けながら、土作りを推進していきたいと思っているところでございます。
次、小倉委員のご質問でございます。後ほど農業機械については、また別途、担当者の方から説明します。
施設園芸に関します省エネルギー性能の高い設備・機器の導入促進でございますが、ヒートポンプ等につきまして、昔、燃油が非常に高かったころ、非常に導入が進みまして、入れるべきところというのは、入れてしまったという状況がある中で、進んでいないとは言いますが、我々の感覚だと、燃油が今はちょっと高くなっているのですが、ちょっと前までは、安かった中では進んできているのかなと思っています。
今後、そういう燃油の価格だけでそういう導入をする、しないというのではなく、ヒートポンプを使って、より効果的な栽培技術ができるような参考資料といったものも、昨年作っているところでございます。こういったヒートポンプの導入を進めながら、全体的に省エネ型の施設園芸となるように進めていきたいと思っているところでございます。
なお、対策指標の省エネ設備の導入としての循環扇、カーテンの方は計画を上回って、全体的には省エネ量、排出削減量というのは見込みを上回ったり、見込みどおりという状況でございますので、また引き続き頑張っていきたいと思っているところでございます。

〇生産局技術普及課生産資材対策室長
農業機械の担当をしてございます、生産資材対策室の今野でございます。
小倉委員からご質問いただきました、農業機械分野につきましては、導入台数も省エネ量も排出削減量も全てCということでございます。導入台数につきましては、下回っておりますけれども、最近、担い手の集約ですとか、そういうものが進んでいる中にありましては、下回っていますが、順調に導入されていると思うんですけれども、最大のCの理由は、今回、対象にしています省エネ機器、例えば遠赤外線乾燥機ということで、遠赤外線も利用して、穀物乾燥機器を対象にしているんですけれども、発売から15年以上たちまして、いよいよ更新時期に入ってきてございます。私ども、遠赤外線乾燥機から遠赤外線乾燥機に更新する場合は、CO2の排出という観点からは変わらないということで算定をいたしておりますので、そういう意味では今後も、更新需要の方が多くなってくるのかということを考えてございまして、ここはちょっと検討が必要かなと思っています。一方で、最近は省エネ性能を有しますトラクターですとか、コンバインですとか、そういったものも市販化が徐々にされてきておりますので、今後はそういった機械の導入といったものを使用するとか、実際の省エネ効果もよく精査して、検討していかなければいけないかと今、考えているところでございます。

〇大臣官房政策課環境政策室長
環境政策室の中川です。
八木委員の方からご指摘のあった、Cが結構多いけれども、どういうふうに全体的に考えるかということでございますけれども、まずこの評価の仕組みで、A、B、Cの3つしかなくて、見込みより少しでも下がるとCが付くという構造のため、全体的に見ると、Cがあるということなんですけれども、排出削減量は順調に削減をしているということでございます。
ただ、そうはいっても、特にCが付いているもの、もしくは大きく見込み量を下回っているものについては、各部局の方からもご説明がありましたけれども、関係部局とも連携をとって、改善していくということで、今後、進めていきたいと思います。
それと、もう一つご指摘のありました、技術開発などについて、点検はどうなのかということでございます。冒頭に技術総括審議官の別所の方からご説明がありましたように、この今回の手続につきましては内閣総理大臣を本部とする地球温暖化対策推進本部に関係審議会の定期的な評価、検討を踏まえつつ、点検を行うという、その手続上、冒頭に私が説明した項目について、この場で審議をいただくということになっています。だから、その意味で、非常に研究開発は重要でございますけれども、数値的な目標などを設定してございませんので、手続上は正式な議題にはなってございません。ただ、一方で、研究開発とか国際協力、非常に重要な案件でございますので、この場でいろいろご意見がございましたら、是非お話しいただければ幸いでございます。
私の方からは以上でございます。

〇渡邉座長
ありがとうございました。事務局からご回答いただきました。委員の皆様、よろしいでしょうか。
そうしたら順番で、まず井村委員、増本委員に伺って、土屋委員、しばらくお待ちください。すみません。
では、井村委員からお願いします。

〇井村委員
石川県金沢市と能登の方で、米、麦、大豆、穀物と、あと施設園芸で野菜を作っております。有機栽培と特別栽培でやっております。
私が関連するところが、1番(施設園芸)と2番(農業機械)と4番(水田メタン)と5番(一酸化二窒素)、7番(農地土壌吸収源)なので、それについて、少しコメントさせてください。全体的な話として、まず今、水田農業の方が、九州の方は生産調整が深掘りになっていたりとか、西日本がもう5万トン分ぐらい、主食が減っているぐらい、水田の数がどんどん減っていっているという中で、この全体的な話として、水田がそれだけ減っていくという形を、一つシミュレーションの中に入れていった方がいい。要するに10年後にどれぐらい水田農業が減っていくんだ、前向きな話をすれば、水田フル活用で、麦とか大豆に転換することによって、どういうことになるのか。あと最近、金沢でも行政から指導を受けているのは、施設園芸の方に行きなさいというような話もあります。
その中で、1番について、施設園芸を増やしていくということならば、分母が増えていくという話なので、これはそういう意味でも反映させていかなければいけないのかなと思います。
2番について、農業機械ということで、0.13万トンとインパクトは少ないんですけれども、3番の漁業と相対すると、漁業の場合はもう船が省エネに向かうという大変分かりやすい話なんですけれども、この農業機械のことになると、例えば乾燥機ではどれぐらいCO2を出すのか、ここに高速代かき機というのがありますけれども、これによってスピードが上がって、動いている時間が短くなるということだと思うんですけれども、例えば大規模農家になると、プラウ耕をして、簡易的に代かきをするとか、耕し方を1回減らすだけで、もっとインパクトは減るわけですよね。ですから、Cという評価も、先ほど今野さんの方から補足もありましたけれども、見方自体をがらっと変えていかないと、ちょっと離れているのかなと思います。先ほどおっしゃったように、トラックとかコンバインが省エネになる、あるいは電気になるとか、そういった方が農業者としては分かりやすいのかなと思いました。4番について、これも八木先生にも教えてもらわなければいけないんですけれども、まず、わらをすき込まない方がいいという前提があるんですけれども、今、大規模農家で、コンバインでわらをすき込まないということはほぼあり得ない。それを持ち出して、家畜に使うとか、そういうのはものすごく少ない例で、ほぼ、すき込まざるを得ないという前提の中で、今度は別の話として、たい肥を使いなさいという話が出てくる。7番でもたい肥を使いなさいということが出てくるんですけれども、ここをもう少し関連づけたり、分かりやすく説明した方が、農家は分かりやすいのかなという気がしています。まずわらをすき込まないというのは、現実的にあり得ないと思うので、そういう方向に行くならば、ホールサイレージといったものを増やすとか、手はあるのかもしれないですけれども、ちょっとピンと来ないかなと思っています。
たい肥のところでは、C/N比というのがすごく大事で、ヨーロッパとかアメリカのオーガニックの基準では、たい肥と十把一絡げではなくて、C/N比が入っているぐらい厳しいところがあるので、日本もただたい肥をまけばいいということではなくて、C/N比の考え方も必要なのかなと思いました。
あと5番についても化学肥料を減らしなさいということだと思うんですけれども、ここで、化学肥料を減らすということとたい肥を使うということを整理して考えないと、現場はすごく分かりにくいです。これは全く別の話であり、現場としてはすごく混乱するので、化学肥料を減らすということと、たい肥を使うということはやっぱり別に考えなければいけないのかなと思いました。
最後に一番インパクトのある7番なんですけれども、この中で、例えばこういうデータがあって、これを政策に持っていって、手を打っていくという、その手がいいのか、悪いのかという、多分、議論をするんだと思うんですけれども、結局、最後は化学肥料、化学合成農薬を減らすという中で、あまり化学合成農薬の説明されていないんですね。農家に、なぜ化学合成農薬を減らすというところまでやるのかとか、ここをもう少し環境保全型農業に対する支援と結び付けて、SDGsではないですけれども、そういう方向に日本の農業が向かうことがすごく地球温暖化対策に資するというような、メッセージを分かりやすい政策にしてもらえればいいかなと思います。
すみません、長くなりました。

〇渡邉座長
ありがとうございます。
では、増本委員。

〇増本委員
私の方は少し全体的な話になります。今日ご紹介のあった各種施策の多くは、分類からして、直接的な効果を見るような、GHGをどれだけ削減できるかという施策でありました。一方で、間接的な対策もあると思いますが、例えば小水力を利用した発電やバイオマスを活用したメタン発酵ガス等の利用です。このような間接的な対策であっても、資源の有効利用により化石燃料の使用を減らすことになります。そのような対策に関しては、最初から検討されなくてここにないのか、反対にそれは検討してあるけれど、今日の資料で紹介されたものに比べて、評価された数値が小さいから、掲載の必要がないものとして載せていないのかといったあたりの取り扱いについて知りたいところです。
回答は後ほどいただくとして、例として紹介しました小水力発電に関しては、農業用水を利用した発電などの温暖化対策は実際に実施されており、そのポテンシャルも全国的に存在するわけです。また、農業用水は十分な流速が期待されないことから、発電としての経済効果は小さいよと言われている中で、これまで検討されてこなかった水利施設、例えば頭首工などの取水用の灌漑施設を利用するともう少し高いポテンシャルを持つ小水力発電もあるというような検討も研究機関で行われています。あるいは、灌漑用ダムなどでは、従来は水利用が行われていない非灌漑期においても水力発電を行うといった、貯水量の効率的管理による水力発電の検討などの研究成果もあります。たとえ農業用水を利用した小水力発電の件数や発電量の数値が少ないとして今回の資料には載せてないとのご回答であったとしても、農水省としてアピールする案件として、そういった用語なり、検討結果を積極的に出して欲しいと思います。後半は私の希望としてのコメントです。
以上です。

〇渡邉座長
ありがとうございました。
では、小櫃委員に伺ってそれから土屋委員に伺うことにします。
小櫃委員、お願いします。

〇小櫃委員
初めて参加させていただいています、日清製粉グループ本社で環境の仕事をしています、小櫃といいます。よろしくお願いします。
今、皆さんが議論されていることと少し違ってしまうんですけれども、9ページについて、ご参考までにということで、お話しをさせて下さい。先ほどのご説明では、緑に塗られていると、目標に到達しているというお話だったと思うんですけれども、例えば下から9行目の製粉協会、自分が製粉だから言うわけではないんですけれども、2020年の目標がマイナス16.5%、それに対して2016年度実績がプラスの24%となっています。製粉協会はCO2の排出削減に努めていないのではと思われるといけないと思って、お話をさせていただきます。製粉というのは、CO2の排出はほとんど電力に負っていて、CO2の排出量は電力の排出係数に影響を受けてしまっています。2020年度の目標は、震災前に立案しており、2020年には排出係数は1キロワットアワーの電気を1時間使うと、0.33キログラムのCO2を排出するということを想定していました。ところが、現在の排出係数は0.5を超えていますので、その排出係数を使って計算しているために、2016年度実績はプラス24%という値になってしまっています。
これを目標立案時に想定した0.33という値に置き換えると、マイナス20%前後になりますので、現時点でも既に目標を達成していると言ってもいいのかもしれないと思っています。
現在、プラスになっている一番上の日本スターチ・糖化工業会、4行目の日本パン工業会にも同様な係数の事情があるのかなと思っています。
それと、下から5行目の日本ハンバーグ・ハンバーガー協会は、エネルギー原単位でプラスになっており、今の排出係数のこととは関係ないと思ったので、ホームページを確認してみました。ハンバーグの業界は、過去にクレームがたくさんあったことから品質安全性を重視し、再検査の回数が増えていることと、年々多品種化をしているので、エネルギー使用が増えていると記載されていましたが、最後にこのような厳しい状況にあるが、節電対策の徹底や使用エネルギーの削減ということを一層進めていきますと結ばれておりました。各団体とも、この表でプラスになっているからといって、必ずしもCO2削減、省エネが進んでいないということではないということをご理解いただきたく、ご参考までに報告させていただきました。
以上です。

〇渡邉座長
ありがとうございました。
では、土屋委員、お待たせしまして申しわけございませんでした。

〇土屋委員
どちらも実は少し、別の委員の方が関係のことをご発言されているのですが、一つ質問をしようと思ったのは、資料1-1の、森林吸収源対策のところで、全体の吸収量の評価がCということで、実は1%未満、0.4%しか違わないのに、なぜCなのかということをご質問しようと思った。これは少しでも下回ればということですので、分かりました。
もう一つが、増本委員のご質問とかなり関連するんですが、今日、参考として配られています、農林水産省地球温暖化対策計画などにも、分野横断的な対策というのがあります。17ページ以降になるんですが、バイオマスの活用の推進とか、再生可能エネルギーとか、クレジット制度の活用等があって、これは後ろの方の施策の目標等を見ると、それぞれ数値目標的なものも載っているのですが、今回、なぜその部分はなかったのかということをお聞きしたいということです。

〇渡邉座長
ありがとうございました。
では、青柳委員からも伺います。お願いします。

〇青柳委員
国立環境研究所の青柳です。よろしくお願いいたします。
私の質問は、先ほどの井村委員と関連しているような質問なんですが、一つ一つの施策を見ますと、今日は点検なんですけれども、点検以前のそもそも論のお話で質問したいと思っています。非常に個別の、例えば機械なら機械だけとか、土壌なら土壌だけという施策の概要でございます。いわゆる農業の経営なり、共同体なりの全体的な運営、システムとしての一体的なものを、いろいろな工夫をして、省エネなり、低炭素社会実現に向けて、いろいろな行動をするという、そのシステムを一体化したものの評価というのが全く入っていない。例えば、先ほど増本先生からお話がありましたように、農家なり、共同体が、例えば小水力を活用して、その地域全体を非常に省エネ化したとか、経営を全体的に省エネにしたとか、実際、有機農業の方などでは、その有機のたい肥を熱源に使って、その経営体全体を省エネしたとか、そういう一つのシステムとしての評価が全くこの施策の中に入っていないというのは大変もったいない話ではないかと。それでかなりの節約というか、低炭素が実現できるのではないかということを非常に気にしておりますので、その辺をお答えいただければと思います。

〇渡邉座長
ありがとうございました。
橋本委員がもう一回手が挙がっていますので。手短におまとめいただけたらありがたいと思いますが。

〇橋本委員
先ほどお答えいただいた中に、家畜排せつ物を炭素に含めるというようなニュアンスがあったかと思うのですが、井村委員からもご指摘がありましたC/N比の問題とか、今の酪農バブルでロボットがばんばん入ったり、ロータリーパーラーができたりしていく、攻めの農政の中での畜産クラスターを活用した牧場の多くの排せつ物が炭素と言うにはどうかなというような感じがしています。実際問題、有機物を土壌に入れるといっても、たい肥の中で、どれだけそれに供するものがあるんだろうかという部分というものを考えていかなければならないのかなと思っているんですが、その辺はどうかなと思いまして。

〇渡邉座長
ありがとうございました。
では、中田委員、お願いします。

〇中田委員
水産分野から質問させてください。今回、この概要版で取り上げられたというのは、かなり限られた、絞ったものの評価だというふうに認識していますが、例えば吸収源対策について、農地とか森林というのはあるんですけれども、水産の部分でも、水産庁の事業で行った海草藻場の単位面積当たりの年間の炭素の吸収量、あるいは蓄積量というのが、実は森林に匹敵する、あるいはそれよりも多いぐらいだという評価があります。ですので、是非そういうのも将来的に入れていくようなことが考えられるのかどうか、その辺をお聞かせいただければなというのが1点と、もう一つは確認ですけれども、3ページ、対策評価指標の部分ですけれども、これは全漁船に対する省エネ漁船の比率ですよね。新たに新造された船の何パーセントぐらいがこういう省エネ漁船になるのかということを教えてください。
よろしくお願いします。

〇渡邉座長
中田委員、大変失礼いたしました。
貴重なご意見、ご質問をいただいて、予定の時間を過ぎていますが、事務局からお答えいただきます。では、八木委員、手短にお願いします。

〇八木座長
今回の施策の中で、昨年度、この計画ができたわけですけれども、その後も、研究開発等も進んでおりますし、農業の状況も変わっております。ですので、是非見直しですとか、検討をできるだけ短いサイクルでやっていただく必要があるかと思います。
特に心配なのは、何人かの委員からコメントが出ておりました、農地への炭素の投入、特にわらをたい肥にするという対策が現実的なのかどうかということです。現在、農研機構の中でもいろいろ日本全国の研究開発をやっておりまして、2年前に私ども、農業環境技術研究所が農研機構と一緒になりまして、地域と一緒にできるようになりました。そうしますと、地域によって状況が異なるし、対策も違った対策がある。例えば九州、沖縄ですと、家畜糞尿の有効利用、あと東北でありますと、大規模な水田、北海道だと、北海道は温かくなっているので、今まで水田で中干しできなかったのが中干しできるとか、そういった新たな研究のシーズがありますので、是非、研究開発と対策と、リンクしながら進めていっていただきたいと思います。
以上です。

〇渡邉座長
ありがとうございました。
予定の時間が過ぎていますけれども、今の長期的なご提案を含めて大事なご指摘をいただいているように思いますので、事務局からご回答いただきたいと思います。この点検の枠組のご質問もございましたので、短時間で回答いただくのは大変恐縮ですが、事務局からの回答もなるべき手短におまとめいただけたらありがたいと思いますが、どこからご回答いただけましょうか。
では、具体的なところから。

〇生産局農業環境対策課長
では、各論の方から説明申し上げます。
井村委員からご質問がありました、施設園芸のお話とかを含めて、面積の減とか、面積の増をどう見るのかということについてです。ベースとなる水田面積などはご存じのとおり、平成27年3月の、食料・農業・農村基本計画で示されている値をベースに設定をしております。そういった意味では、恐らく数年後には基本計画の見直しの中で、ベースとなる値が変わってくると思います。
ただ、施設園芸に関しては、全体的に施設園芸面積が全国的には減ってきている中で、この計算の方法は、そういった省エネ機器が、燃油を1反当たり大体10キロリットルぐらい使うという前提を置いて、これを入れたら、このぐらい下がるという、普通の加温機と比べた省エネ機器の削減分を足し合わせていくという計算方式であるため、面積が反映されるような設定になっていないということはご理解いただきたいと思います。
また、井村委員と橋本委員から共通で聞かれている、C/N比、これはまさに重要なお話。あまりCが大き過ぎると、今度は窒素飢餓になるとか、逆に、Nが大きいと垂れ流しのようになってしまうということで、持続農業法とか、先ほどの環境直接支払などでは、C/N比はこういうのが必要だよということは設定しますし、うろ覚えですが、肥料で売る場合も、そういったものが表示できているような気がいたします。
いずれにせよ、全体的に良いたい肥を作っていただき、それを実際に農地に入れる。それが先ほど橋本委員から発言のあった、畜産クラスターとか、エサ米とか、そういった形の中で、うまく循環することも重要ではないかなというふうに思っているところでございます。
稲わらの話なども含めて、全体的な話で一つ紹介させていただきたいのは、今、実は農研機構さんの方で、いろいろな土壌の条件とか、例えば中干しの期間を延ばした方が、メタン発生が抑えられるとか、そういった知見をもとにして、見える化サイトというのを出しています。農地土壌から出てくるCO2換算量がどうなるかというのが、ある意味では個人の農家でも分かるようになっています。今、環境直接支払交付金の方で第三者委員会、実は先週の金曜日に開催したんですけれども、そういったデータを用いて、それぞれ有機ではとか、たい肥を施用した場合、緑肥を入れた場合とか、そういったものについて、どれだけ環境保全効果、土壌炭素貯留効果があるかというのを全国調査をして、そういったものを中間年評価として出そうという形にしています。そういった意味では、新しい知見、イノベーションとかを使いながら、全体的に土壌を良くしつつ、地球温暖化防止や生物多様性保全といったところに持っていくというような施策体系になっているということをご理解いただきたいと思います。簡単ですが、以上です。

〇渡邉座長
お願いします。

〇水産庁増殖推進部研究指導課海洋技術室長
水産庁海洋技術、三野でございます。
先ほどの中田委員の方からのご質問に対してご回答したいと思います。
水産分野で、藻場等に関して、この藻場等の造成が、CO2の削減に大きく寄与しているという意見でございます。水産分野につきましては、この目標の指標といたしまして、先ほど事務局からご説明のあった漁船の省エネルギーということで数値化して、目標を設定しているところでございます。委員のご指摘のように、藻場の関係であるとか、あと漁港とか漁場の省エネルギーとか、こういったものも、この計画には盛り込まれておりますけれども、目標の数値としては掲げてはないということでございます。
この藻場の保全とか漁場の省エネ対策については、目標には掲げてはいなくて、数字として算定しておりませんけれども、引き続き今後、CO2の削減として、施策として取り組んで参りたいと考えているところでございます。
また、漁船に対しての省エネの比率ということでございますけれども、現在、漁船が非常に高齢化しておりまして、30年を超えるような平均船齢でございますので、こういったものが新船になることによって、省エネ効果として、5%とか10%とか、それ以上の効果のある漁船もあると思いますけれども、そういったものを算定しておりますので、古い漁船が省エネ化するということで、100%ということで算定しております。
以上でございます。

〇渡邉座長
ありがとうございました。
他の全体的な枠組の話もありますが、何か。
では、農村振興局さん、お願いします。

〇農村振興局設計課計画調整室長
増本委員から小水力の件でご質問がありました。
農業農村整備事業で、施設管理の適正化を図るという観点で、小水力の導入を進めておりまして、この1年間で、28年5月と29年3月を比較すると、20カ所ほど施設が増えて、推進されているということです。能力的には5,000キロワット増えていますが、農地土壌、あるいは施設園芸など、全体と比べると、CO2削減ということでは、小さい数字になるのかなというふうに考えている次第でございます。

〇渡邉座長
他は。
そうしたら、全体的な枠組について、では参事官お願いします。

〇大臣官房参事官
小水力の補足なんですけれども、再生可能エネルギーの導入状況については、現在、経産省の方で太陽光や小水力などを全部集めて、まとめて一括計上しております。その中で、農水分野の切り分けが今、できない状況になっており、特出しすることが難しい状況です。いずれにせよ、この温暖化対策計画の中で書かれていますので、3年毎に取りあえず見直し評価するという中で、農林水産分野でどこまで進んだのかというのは、また精査していきたいなと思っております。
藻場の補足説明なんですけれども、もともと藻場における炭素貯蔵能力というのもあると言われておりまして、IPCCの中では、それなりの位置付けがされているというのが現状だと思います。ただ、日本におきまして、どこまで藻場について、炭素貯留ができるのかということについては、データ的なものが非常に少く、今、環境省でいろいろ検討していると聞いております。
八木先生がおっしゃっていた研究開発は非常に重要だと我々もよく知っておりますので、今後、この審議会で検討していく議題の中で、ご相談しながらやっていきたいと思っております。
以上です。

〇渡邉座長
一つ、先ほど青柳委員が少し触れられた、この分野なり、対象だけではなくて、少し総合的に見ることについての方向性というか、今後のお考えのようなものがもしあれば、お話しいただけたらと思うのですが、現時点ではこういう切り口で点検しているけれども、それを総合化するシステムも大事ではないかという、ご指摘であったと思います。それは何かご見解がもしあれば、お話しいただけたらと思います。

〇大臣官房参事官
目標数値を作って、それにどれだけ到達したかを数値で評価していく過程の中、システムとして評価するのは、今どうしたらいいのか思いつかないのですが、何か検討できることがあれば、また今後検討させていただきたいと思います。

〇渡邉座長
ご検討いただくということでお願いいたします。今日は皆様からたくさんご意見をいただきましたし、事務局からご回答いただきましたけれども、これを踏まえて、この点検結果をこれから事務局の方でおまとめいただくという、こういう理解でよろしいですね。
ですから、そのように今日の意見をよくまとめて、組み込んでいただくようお願いして、この議題1の議論をここまでとさせていただきます。ありがとうございました。
それでは、議題2に移りたいと思いますが、議題2のその他ですが、まず事務局からご説明いただきます。

〇大臣官房政策課環境政策室長
それでは、その他の報告としまして、引き続き環境政策室長の中川からご説明させていただきたいと思います。
まず資料2を見ていただければと思います。本日もいろいろご意見いただきましたけれども、予算関係の概要でございます。
1枚あけていただいて、農林水産省における地球温暖化対策関係予算概算決定の概要ということで、30年度予算ということで、今、国会審議をしておりますけれども、概算決定額としては、このような形になってございます。
まず地球温暖化防止策でございますけれども、農林水産業・食品産業における排出削減対策ということで、環境保全型農業直接支払交付金、食品産業における温室効果ガスの排出削減対策を計上してございます。
吸収源対策としましては、森林吸収源対策の着実な推進ということで、森林整備事業(公共)、農業分野における温室効果ガスの吸収源対策ということで、再掲でございますが、環境保全型農業直接支払交付金、農地・草地土壌における炭素貯留量等を算出するための基礎調査を計上してこざいます。
先ほどもお話に出ましたけれども、再生可能エネルギー対策ということで、再生可能エネルギー導入等の推進を計上してごございます。
両輪のもう一方の気候変動の適応の方でございますけれども、農林水産分野における地域の気候変動適応計画の調査、分析ということで、地域での取組を促進するような事業及び気候変動に対応する産地形成に向けた取組支援を計上してございます。
これも先ほどお話がございましたけれども、地球温暖化対策に係る研究開発、地球温暖化に対する国際協力の事業も計上してございます。
その他、下にパリ協定で掲げられた排出と吸収を均衡させる目標の実現に向けてREDD+を推進するとともに、途上国への取組の支援を計上してございます。
平成30年度の地球温暖化対策の関係予算、概算決定については以上でございます。
続けて、ご説明をさせていただきたいと思います。
続きまして、資料3を見ていただければと思います。気候変動枠組条約第23回締約国会議の結果でございます。通称、COP23と呼んでございますけれども、昨年の11月6日から17日の間、ドイツのボンで開催されました(議長国はフィジー)。
参加国・地域はご覧のとおりで、非常にたくさんの方がご出席されて、日本代表団は環境大臣、各省担当者等で、農林水産省からは西郷農林水産省顧問、牧元林野庁次長が出席をしてございます。主要議題につきましては、まず(1)番、パリ協定の実施の指針、(2)番、2018年の促進対話のデザイン、タラノア対話というふうに呼ばれていまして、これは議長国であるフィジー語で透明性・包摂性・調和を意味するということでございます。
(3)番グローバルな気候変動の推進でございますけれども、世界規模での国、自治体、企業等、全ての主体で取組を推進するということが主要議題でございました。
もう一枚めくっていただいて、農林水産関係の結果概要でございます。
まず農業分野につきましては、これまで、農業に関する事項として、2012年から議論が続けられてございました。先進国と途上国が、これまで主張が食い違ってございまして、先進国の方は、適応と緩和をバランスをとって進めていくべきだという主張でございまして、一方で、途上国は、食料安全保障の観点からまず適応をやるべきだということで、これまで主張が食い違っていたわけですけれども、今回、議論が進みまして、農業と気候変動に関する自主的な取組を進めていくための基礎とができました。今後、土壌炭素だとか、そういったことをテーマに議論を実質的に進めていくということで、今まで対立していた中において、こういった実質的な取組を進めるための合意ができたということで、歴史的合意という形で世界各国や関係機関から歓迎されたということでございます。
2番目のパリ協定の実施指針等の作成作業ということで、パリ協定では、森林等の吸収源及び貯蔵庫を保全し強化する行動を実施すること、途上国における森林減少及び劣化に由来する排出の削減等(REDD+)を実施し、支援することの必要性が規定されてございます。
農林水産省としましては、我が国の森林経営や農地管理等が吸収源として適切に評価される指針等の作成を目指しておりまして、2018年のCOP24での実施指針等の合意に向けて、各国の意見を盛り込んだ非公式文書が作成されて、今後の交渉の進め方について合意がなされたということでございます。
関連イベントの実施及び参加ということで、気候変動の下での持続可能な食料生産の実現に向けたグローバル・リサーチ・アライアンス(GRA)の取組のサイドイベントをGRA議長国(我が国)が開催をいたしておりますし、民間セクターとの連携によるREDD+の推進のサイドイベントを森林研究・整備機構が開催をしているということでございます。
以上、COP23のご説明でございました。
引き続きまして、資料4に基づきまして、2016年度の温室効果ガスの排出量の速報値についてご説明をしたいと思います。
1枚開いていただいて、横長のグラフがございますけれども、2016年度(28年度)の温室効果ガス排出量(速報値)、これは農業分野に限らず全体の排出量でございます。2016年度の総排出量は13億2,200万トンということで、前年度比0.2%ということで削減されております。前年度と比べて排出量が減少した要因としては、オゾン層破壊物質からの代替に伴い、冷媒分野において、ハイドロフルオロカーボン類の排出量が増加した。その一方で、再生可能エネルギーの導入拡大や原発の再稼働等により、エネルギー起源のCO2排出量が減少したことなどが挙げられるということで、全体的には減少しているということでございます。
もう一枚、開いていただいて、農業分野に非常に関係が深いといいますか、農業分野からたくさん出ている温室効果ガス、メタンと一酸化二窒素の排出量の状況でございます。
まず2016年度のメタンの総排出量は3,070万トンCO2換算ということで、前年度比1.4%で減少しています。うち、農業分野に限って見れば、農業分野からは、これまでもお話しさせていただいていますような、家畜の消化管内発酵、いわゆるげっぷと稲作等が由来で2,350万トンCO2換算となっており、農業分野についても、前年度比0.8%で減少しているということでございますが、全体として農業分野が77%占めているということでございます。
一酸化二窒素の方につきましては、全体で2,060万トンCO2換算でございまして、前年度比0.4%、うち農業分野、これは農用地の土壌、家畜排せつ物の管理などを要因とする排出源となっていますけれども、940万トンCO2換算ということで、農業分野においても、前年度比0.4%ということで、削減されているということでございます。
以上が温室効果ガス排出量の速報値でございました。速報値でございますので、また確報値という正式なものが出てくるということでございます。
最後に資料5をご覧いただければと思います。気候変動適応法案(仮称)の概要でございます。これは2月20日に環境省からの整理により、法案として閣議決定をなされた法案でございます。法案の概要は、一枚開いて、ポンチ絵を見ていただければと思うんですけれども、気候変動適応の法的位置付けを明確にし、気候変動影響及び適応に関する情報基盤の整備や広域協議会の場の活用等により、農業・防災等の各分野で適応策を充実強化するということでございます。
背景としましては、ご案内のとおり、我が国において、気候変動の影響が既に顕在化しているということで、農業分野においては水稲の白未熟粒が出るとか、みかんの浮皮症が出るとか、こういった問題が出ておりますし、あとは局地の災害ということで、洪水だとか豪雨だとか、熱中症の患者さんの増加数とか、そういった問題が出て、これが背景になっているということでございます。
法律案の概要でございますけれども、1番としまして、適応の総合的推進ということで、国は農業や防災等の各分野の適応を推進する気候変動適応計画を策定するということでございます。
既に政府全体の気候変動適応計画は平成27年11月に閣議決定されており、農林水産業分野については、平成27年8月に農林水産省気候変動適応計画を策定しています。今回、閣議決定された政府全体の計画を法定計画に格上げし、さらなる充実強化を図るというものでございます。それと、もう一つ、気候変動影響評価をおおむね5年毎に行い、その結果等を勘案して、計画を改訂していくということでございます。
各分野において、信頼できるきめ細かな情報に基づく効果的な適応策を推進するということでございます。
2番目に、情報基盤の整備ということで、適応の情報基盤の中核として、国立環境研究所を位置付けするということでございます。
3番目に、地域の適応の強化ということで、都道府県及び市町村に、地域気候変動適応計画策定の努力義務が課されるということでございます。また、地域において、適応の情報収集・提供等を行う拠点、地域気候変動適応センターとして機能を担う体制を確保するということでございます。また、広域協議会を組織し、国と地方公共団体等が連携して、地域における適応策を推進するということでございます。
4番目に適応の国際展開等ということでございまして、国際協力の推進、事業者等の取組、適応技術の促進でございます。
当然ながら、非常に農林水産業分野は影響を受けやすいということでございまして、今後、関係省庁と連携して、この法案を契機に、より気候変動適応の充実強化を図っていくこととしたいと考えておりますし、研究分野につきましても、国立環境研究所を情報基盤の中核となってございますけれども、本日、農研機構の八木委員からもご指摘されていますけれども、そういった関係機関としっかり連携をとっていくという形になってございます。
私の方からは以上でございます。ありがとうございました。

〇渡邉座長
ありがとうございました。
ただいま4件、ご報告いただきました。限られた時間ではありますが、委員の皆さんからご質問、あるいはコメントをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。どの項目についてからでも結構ですが。どうぞ、ご遠慮なさらずに。
そうしたら、椛島委員、お願いします。

〇椛島委員
2点、質問と依頼事項ですが、まず平成30年の予算概算決定の概要というところで、2ページの1の(2)の、食品産業における温室効果ガス排出削減対策の部分についてでございます。これは書きぶりの話でちょっと端折ってしまったのかなと思うんですが、商習慣の見直し等の食品ロス削減国民運動というところについて、商習慣の見直しというのは、BtoB間の話であり、国民全般でやっているお話ではないので、もう少しふさわしい事例に、最終的に確定された段階で見直した方がいいのではないでしょうか。どちらかというと、商習慣の見直しというのは、納品期限と販売期限が後ろ倒しになりますので、一般国民に資するという部分で、もちろん被害がないように実験しながら進めているんですけれども、国民運動というよりは、バランスの最適化みたいな性格があります。来年、国民運動をかなり力を入れてやるということも聞いていますので、もう少し代表的な事例を書いていただいた方が誤解がないのではないかと感じました。
また、もう一点が、全体の結果、資料の4の温室効果ガス排出量の速報値の部分でございます。こちらに、食品業界にも関連する、取りまとめは基本的に経産省だとお聞きしているんですが、速報値の方の2列目、ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)の排出量の増加と冷媒分野に関する増加をしているというところで、漏えい量の報告に伴って、いろいろと分かってきている部分というのが増えてきている影響もあると思います。
実際に管轄は経産省かもしれませんが、世界各国で相当議論を聞いていると、ユーザー側であるこの冷媒を使う側の立場と製造している立場は、かなり乖離をしていて、大きな議論があるということを欧米の小売や食品業界から様々な報告を受けております。
漏えい量を管理してくると分かってきたのが、入れた当日に漏えいをしてしまったり、もしくは二、三年の使用など、使用段階が非常に短い部分での漏えい量が比較的多いということが、だんだん分かってきています。こういったエンドユーザーの立場に立った意見を取りまとめていただくというのは、農水省になると思うので、こういった分野、何が原因なのか、その対策について、喚起するとか、そういったところについても、検討というか、取りまとめをして、意見を代表して、言っていただくというところの機能になっていただきたいというお願いでございます。

〇渡邉座長
ありがとうございました。
他の委員の方、いかがでしょうか。
そうしたら、今のご提案もありましたが、事務局からご回答いただきましょうか。

〇食料産業局バイオマス循環資源課食品産業環境対策室課長補佐
食品産業環境対策室でございます。
今、ご意見をいただきました予算の関係でございますけれども、委員のおっしゃるとおり、表現が最適でない部分がございますので、こちらについては、ご指摘のとおり、商習慣の関係につきましては、BtoBのお話がございますので、皆様に誤解がないように表現の最適化に取り組んで参りたいと考えております。

〇大臣官房参事官
フロンの漏えいの関係ですが、昨年より漏えい量の報告につきましては、小売業界、農協の倉庫、漁協関係などから、農水省にも報告をたくさん受けています。今、聞いた話というのは、初めて聞いた話でございまして、今後、いろいろ調べて、どういう問題があるのか精査させていただきたいと思います。ありがとうございました。

〇渡邉座長
他はいかがでしょうか。よろしいですか。
特にご質問はございませんでしょうか。
それでは今の4件、ご報告を受けたということで、今日の予定された議事はここまでとなります。
ここで、この議事は終了させていただきます。ご協力、どうもありがとうございました。
それでは、進行は事務局にお返しします。

〇大臣官房参事官
本日は貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。
農林水産分野における地球温暖化対策計画の点検結果につきましては、本日の本会議においてご意見をいただき、点検がなされたことを内閣官房の方にご報告いたしたいと思います。
それでは、本日の会議はこれにて閉会いたします。
資料につきましては、机の上に置いたままにしていただければ、後日、事務局の方から郵送いたしますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。

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