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平成27年度第6回議事録

1.日時及び場所

日時:平成28年1月29日(金曜日)9時45分~12時15分

場所:農林水産省本館4階 第2特別会議室

2.議事

   (1)新たな土地改良長期計画の策定について

   (2)都市農業振興基本計画の策定について(諮問)

   (3)技術小委員会への付託事項について

   (4)その他

3.議事内容

議事録(PDF:606KB)

○原川計画調整室長
  皆さん、おはようございます。
  定刻になりましたので、ただいまから食料・農業・農村政策審議会平成27年度第6回農業農村振興整備部会を開催いたします。
  本日は、新年最初の部会となりますが、本年もよろしくお願いいたします。
  なお、小田切委員、石井委員、岡本委員、北村委員、武山委員、西尾委員におかれましては、所用によりご欠席との連絡をいただいております。
  配付資料ですが、一番上から、会議次第、委員名簿、配付資料一覧、資料1、資料2が1から3までございます、資料3、参考資料1、2の順になっております。不足等あれば事務局にお伝えください。
  本部会の公開方法及び議事録の公表等につきましては、これまでどおりとさせていただきます。
  それでは、早速ですが議事に移りたいと思います。
  以降の進行は渡邉部会長にお願いしたいと思います。
  よろしくお願いいたします。

○渡邉部会長
  皆さんおはようございます。年が明けて、はや1カ月が過ぎようとして、年度も押し迫ってまいりました。お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。
  最近の色々な報道、特に政府の方針や予算審議の話を伺っていると、ここで話題にしております農業・農村に関わることが直接とりあげられることが多いように思えます。
  特に、農地の大区画化、そして集積と集約といった具体的な事項について触れられることも多く、これはまさに今期のこの部会で検討の中心としている次期の土地改良長期計画とも関わる課題で、責任を改めて感じているところでもあります。
  委員の皆さんのご意見を得て、事務局はこの策定に向けての基本的方針をバージョンアップしておりますので、今日は中間取りまとめに向けてよい意見交換ができればと考えております。
  それから、もう1つの大きな課題は、都市農業の振興についてです。これはある意味少し時代を画するような動きの中で、国・政府としての方針を決める時期になっているということかと思います。
  これについても、後でご説明いただき、皆さんのご意見をいただきたいと思います。
前置きが長くなりましたけれども、今申し上げたような姿勢・方向で、議事進行したいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  それでは、お手元の議事次第に従いまして進めたいと思います。
  1番目の新たな土地改良長期計画の策定について、まず事務局よりご説明いただきます。

○原川計画調整室長
  資料1ですが、12月8日にお示ししました論点整理の際、数多くの意見をいただきました。それらを踏まえ、今回は全体の構成を整理しておりますのでご説明させていただきます。
  まず、1ページをご覧ください。全体の構成でございます。
  第1から第4までございまして、第1は基本方針となります。1番目に「農村の潜在力を高める土地改良事業」ということで、農村の潜在力とも言える農村協働力と土地改良の関係を整理しております。2番目が「内外の情勢と課題」でございます。また、3番目が、1、2、さらには新たな食料・農業・農村基本計画等々の政府の計画も踏まえまして、施策の方向性ということで整理させていただきました。
  第2が「目指すべき農村の姿」ということで、1番に「農村の多様性」、また、2番に多様性を踏まえました「個性豊かな活力ある農村を実現するための基本戦略」として、前回色々なご意見をいただいたことを踏まえ、プロセス重視の優良事例の横串展開や地域の特性を踏まえた整理について言及しております。
  第3が「政策課題を達成するための目標と具体の施策」ということで、大きく政策課題を3つ、位置付けております。基本的に変更はありませんが、ネーミングにつきましては色々とご意見いただきましたので、政策課題1(時計文字)、前回は競争力の強化としておりましたが、「強くて豊かな農業」、政策課題2(時計文字)、地域社会の維持・活性化としておりましたが、「美しく活力ある農村」、政策課題3(時計文字)は、「強くてしなやかな農業・農村」として整理しております。
  右側ですが、政策課題1(時計文字)につきましては、2つの政策目標を掲げており、まず1つ目は「担い手の体質強化」ということで、「生産コストの削減」、「集積・集約」、また「法人化の促進」、この3つを位置付けております。2つ目で、「産地収益力の向上」ということで、「農業生産の拡大・多様化」、また「6次化」について位置付けております。
  政策課題2(時計文字)につきましては、政策目標3として、「農村協働力と美しい農村の再生・創造」ということで、1つは「農村協働力を活かした地域資源の保全管理体制の強化」、もう1つは「美しい農村環境の創造を通じた地域づくり」を位置付けております。もう1つ、「快適で豊かな資源循環型社会の構築」ということで、「農村の生活基盤の効率的な保全管理」、「再生可能エネルギー」を位置付けております。
  3つ目の「強くてしなやかな農業・農村」ですが、1つ目は「老朽化や災害リスクに対応した戦略的な保全管理と機能強化」ということで、「農業水利施設の長寿命化」、「湛水被害等の防止と施設の耐震化」、ハード的なものを位置付けております。政策目標6として、「災害に対する地域の防災・減災力の強化」では、地域住民による活動ということで、ソフト対策を位置付けております。
  第4について、前回は「踏まえるべき事項」と言っておりましたが、表現を強くしまして、「必要な事項」ということで6点掲げております。
  前回と同様ですが、4と5、前回は1つにまとめておりましたが、今回は技術開発と人材育成と分けて整理しております。
  それでは第1から説明したいと思います。
  3ページです。まず、ここでは「農村の特徴と役割」について記載しております。我が国は水田農業の展開に伴って、水でつながった農村コミュニティを形成、農村は農業生産と生活が同じ空間で営まれている、また、二次的資源環境が農村コミュニティに支えらえた空間。そこからは、食料の安定供給はもちろんのこと、様々な多面的機能を発揮して、国民に多大な恩恵を寄与している。
  これらは国民に気づかれにくい、「見えざる国富」ということで、農村コミュニティという潜在力を発揮して、この富を次世代に引き継ぐことが必要ということで整理しております。
  4ページです。「農村の構成要素」ということで、農村は、農地・農業用水などの社会資本、自然資本、人的資本で構成されております。
  その上で農村協働力でございますが、これは農業用水の利用・管理の共同作業に由来する慣習等に裏打ちされ、また、農地・農業用水の社会資本を舞台として継承されてきた。
  この農村協働力が3つの資本を強く結びつけることにより、農村の潜在力を高めている。そういったことで、農村協働力は農村の持続的かつ安定的な存続を可能ならしめてきたものということで整理しております。
  5ページです。土地改良事業の特徴ですが、左下の記載のとおり、他の公共事業と異なる特徴を有しているということで、単にインフラ整備にとどまらず、地域協働の舞台である農地・農業用水を磨くことを通じて、農村協働力に働きかけて3つの資本を結びつけている。そういうことで農村の潜在力を引き出す農村協働力が活性化され、色々なストック効果を発揮しているということで整理しております。
  その中で、大きな2番、「農業・農村を取り巻く内外情勢と課題」でございますが、6ページには経済情勢について記載しております。農業産出額が減少傾向である。また、食品産業との連携が農業を支える構図であるが、その生産額も減少傾向ということです。
  こうした経済の縮小が、地域における人口減少、需要の逸失を招くことのないよう、食品産業との連携を通じて、持続的な発展を図っていく必要があるとの整理をしております。
  7ページです。経済情勢の変化ではTPPの大筋合意により、これまで以上に国際的な競争に直面している。また、平成30年産米を目途とする生産調整の見直しに取り組む予定ということです。
  国内需要の縮小が見込まれる中、「経営マインドを持った農業者が活躍する攻めの農業への転換が急務」ということです。
  次は8ページ、「農村内部の構造変化」です。農村は人口減少・高齢化が進行しており、農業者についても同様で推移している。また、混住化も進行しておりまして、従来の農業者中心という特徴を喪失している。
  特に、中山間では厳しい状況にあります。このままでは集落の弱体化、農村協働力の脆弱化が一層進行するおそれがある。一方で、田園回帰に象徴されるような新たな動きも顕在化しているということです。
  9ページ「災害リスクの高まり」です。地球温暖化に伴う気候変動、これは農業・農村の生産、生活の基盤を脅かす深刻な課題である。特に、農業は気候変動の影響を最も受けやすい産業です。また、世界的な食料需給を考えますと、多くの食料を輸入に頼る我が国にも大きく影響する。
  また、近年、人命にかかわる災害も顕在化しており、大規模地震の発生確率も高いということも踏まえ、我が国の国土が脆弱であることを再認識して、自然の猛威に正面から向かう必要があるということで整理しております。
  10ページ、最後ですが、特に「社会資本のストックの減少と劣化」ということで、他の社会資本に比べて、減少度合いが顕著だということです。
  また、現在の整備水準等に照らし合わせた場合、低質化、陳腐化しているものも存在するという状況です。このような社会資本ストックについては、地域経済を支える基盤として既に組み込まれているということで、既存のストックの機能の維持・継承といったことも大事だという整理をしております。
  11ページ、3つ目の丸でございます。農業・農村を取り巻く環境は厳しさを増している。地域協働の舞台が崩れつつある中、土地改良の特徴を生かして、農業・農村を将来にわたり継承する。また、新たな価値を生み出す場として磨き上げていく必要があるということで整理しております。
  それらを踏まえ、3番の「本計画における政策課題と施策の方向性」です。基本的な考え方ですが、量的な減少、質的な劣化が進んでいる社会資本を健全に保全していく。また、農業・農村を取り巻く情勢の変化に応じた新たな価値を生み出す土台として整備していくことが重要だろうということを記載しています。
  また、マル2として農業者や地域住民、行政が連携して、それぞれの有する知恵・能力が最大限発揮され、農村協働力を深化していくことが重要ということで、社会資本の継承、社会資本の新たな価値の創出、農村協働力の深化を図って、個性豊かな活力ある農業・農村の実現を目指す。こういったことを基本的な考え方として整理いたしました。
  13ページです。「政府の取組」として、先般閣議決定された新たな食料・農業・農村基本計画、これは産業政策と地域政策を車の両輪として進める。その上で、強い農業と美しく活力ある農村の創出を目指すとしております。
  また、国土強靭化基本計画、まち・ひと・しごと創生総合戦略、これら政策課題にも適切に貢献していく必要があるということで、下側の絵になりますが、まず産業政策では「強くて豊かな農業」、地域政策として「美しく活力ある農村」、これを地域の特性を踏まえてバランスよく実施していく必要があるということです。
  また、その土台として、2つの政策の表裏一体として補完するものとして、「強くてしなやかな農業・農村」ということを位置付けております。
  その中で、強さの視点で言えば、特にハード対策になりますが、農業水利施設、ため池の老朽化や耐震対策、こういった既存のストックは、地域農業を支える基盤として既に組み込まれておりますので、この部分をしっかり対応することは産業政策を支えることにもなりますし、もう1つのしなやかさはソフト対策中心になりますが、農村協働力を活用した防災・減災活動、これは農村協働力の深化と言いますか、それらを通じて地域政策にも貢献する。こういった関係で全体の施策を考えております。
  14ページは「産業政策の視点」、15ページは「地域政策の視点」、16ページはそれを「補完する視点」ということで、「強くてしなやかな農業・農村」について、それぞれ説明をしております。
  17ページです。「第2 目指すべき農村の姿」ということで、こちらについても、前回の部会で多くの意見をいただきました。
まず、18ページ「農村の多様性」ですが、我が国の農村の姿は、地域類型、営農類型、風土、さらには各地域が有する資源・強みによっても多様なかたちを形成している。
  また、そのかたちは、社会経済情勢、国民の価値観の変化に伴って、時代とともに変化するものということで整理しております。
  下側は、地域類型から見た農村の多様性を円グラフで表しております。
  19ページは、「営農面から見た農村の多様性」です。そういったことを踏まえまして、20ページですが、「個性豊かな活力ある農村を実現するための基本戦略」として、まず農村の目指すべき姿について整理しております。
  先ほど申しました農村の多様性を踏まえれば、土地改良が目指すべき農村というのは特定のかたちではなくて、社会資本の整備とその実施プロセスを通じて農村の潜在力である協働力を深化する。そのことによって、地域の特性・強みを生かした持続的に発展し得るような農村というのが土地改良が目指すべき農村ということで整理しました。
  このように考えますと、実施プロセスを含めた多様な取り組みの横展開、また地域特性に応じた柔軟な整備が必要になるということで、整理しております。
  21ページですが、その中の「実施プロセスの横展開」ということで、現在、各県から優良な取り組みを集めておりまして、その中の2つ記載しておりますが、これらを見ますと、段階的に発展しております。先進事例に見られる共通の特徴として中心的な人・組織がいる、関係者間の連携がとれている、継続した話し合い、問題意識・ビジョンの共有、複数の施策を活用する、さらに持続発展の可能性があるということで、これらを踏まえて、実施プロセスを含めた多様な取り組みの横展開を図りまして、地域自らが考え行動する手がかりを提供することによって、個性豊かな活力ある農村を実現するという考えのもとに、長期計画と合わせて事例を提示していきたいと思っております。
  もう1つは22ページ、「地域特性に応じた柔軟な整備」ということで、ここでは地域類型、営農類型に応じた様々な整備があるということです。
さらに、23ページでは、地域類型、営農類型だけではなくて、地域が目指す農業・農村の姿に配慮した柔軟かつきめ細やかな整備も必要だろうということで整理しております。
  次に、24ページ、「第3 政策課題を達成するための目標と具体の施策」ということでございます。25ページに全体について記載しております。今後、5年間における土地改良事業の戦略的な推進を図るため、3つの政策課題と6つの政策目標を設定しております。
  下側の記載は先ほど全体構成でお示しした内容と同じでございます。3つの政策課題の関係、農業の成長産業化は政策課題1(時計文字)に関係しますが、これが農村地域を活性化する。逆に、農村協働力の深化、これは政策課題2(時計文字)に関係しますが、農業の成長産業化を促す、また、強くてしなやかな農業・農村は政策課題1(時計文字)と2(時計文字)を補完・下支えするということで密接に関連している。
  この3つの政策課題に位置付けた施策をバランスよく実施することによって、地域の特性に応じた持続的な発展を実現する、このような考えもとに3つの課題を位置付けたということです。
  26ページです。その中で、1番目の政策課題1(時計文字)、強くて豊かな農業について、この基本的考え方につきましては、TPP協定の大筋合意を受けて、経営感覚にすぐれた担い手の体質強化と産地の収益力向上を実現していく必要がある。
  このためには、その土台となる農業生産基盤整備を推進して、経営マインドや意欲を持った農業者、さらには中山間地域を含む地域が持てる力を発揮できる条件を整備する必要があるだろう。そういうことで、基盤整備を通じてコストの削減、集積・集約、法人化、農業生産の拡大・多様化、6次化を推進して、所得と雇用の確保等による農村の収益力向上を図るということを基本的考え方として整理しております。
  26ページの下と27ページは今ご説明しました、これまの部会でご説明しております現状と課題になります。
  28ページは政策目標1、「担い手の体質強化」です。その中の(1)生産コストの削減ということで、こちらにつきましては、日本再興戦略で、平成35年までの生産コスト目標がございます。この達成に向けまして、大区画化の推進と併せて低平地を中心に安価に整備が可能な畦畔除去による簡易な大区画化の取り組みも拡大していく。
  また、地区によっては、2つ目の丸に書いてあるようなことも考慮しながら進めていく必要がある。また、営農形態の変化に対応した水管理の省力化、営農の効率化のための省力化技術を積極的に導入していく。
このような考えのもとに、マル1からマル3の政策指標を設定してはどうかということです。
  特に、マル2とマル3は、今回の長計で初めて設定しようと検討している指標になります。
  29ページ「農地の集積・集約の加速化」。こちらにつきましても35年までの農地利用集積の目標値がございます。この達成に向け、農地中間管理機構との連携を強化して、農地の大区画化、排水改良等の基盤整備を中山間地域も含め、意欲ある地域を対象に推進していく。
  また、2つ目の丸にあるような視点も留意しながら進めていくということでございます。
成果指標ですが、担い手の集積率、集約化率、また、今回新たに農地中間管理機構との連携率、こちらについても設定しようと考えております。
  30ページです。「法人化の促進」、こちらについても平成35年までの5万法人という目標がございますので、これに貢献するために基盤整備を推進していきたいということです。
  新たに設立された法人、また、規模拡大した法人数の増加率といったことを「成果指標」として考えていこうと思っております。
  31ページ「政策目標2 産地収益力の向上」です。野菜等の高収益作物への転換を通じて、地域ブランド産品の創出、輸出の展開などにつながるように各種整備を推進していく。また、自給率目標や自給力の向上に資するように、耕地利用率の向上にも貢献していくということです。
  そういった中で考えられる成果指標ですが、作物生産額に占める高収益作物の割合、もしくは増加率も今回新しく設定していこうと思っております。マル2、マル3については、現行の長期計画にもある指標です。
  32ページ、6次化産業化です。こちらも日本再興戦略で、平成32年までに目標10兆円というものがあります。そういったことで、基盤整備と担い手への集積・集約化の取り組みによって、創出された余剰労働力も活用しながら、また女性・高齢者の参画も得ながら推進していきたい。これにより、新たな雇用と所得の場を生み出し、地域全体の所得の増大、地域経済が循環・拡大していくというスパイラル的な発展に貢献していきたいということで、6次化産業化の取組についても設定したいと思っています。
  中程に記載のとおり、平成24年度から平成26年度の基盤整備完了地区の約4割で6次化産業化の取り組みが進められておりますので、この割合を高めていきたいと思っております。
  33ページ、政策課題2(時計文字)です。基本的考え方ですが、農村は農地・農業用水の利用・管理を通じて農村協働力が形成され、美しい環境等の多面的機能が発揮されている。また、農業生産と生活が同一空間で営まれている。そのような農村を「場」として展開する土地改良事業ということで、マル1農地・農業用水等の適切な保全管理、環境配慮の取り組みを通じた農村協働力と美しい農村環境の再生・創造。マル2生活基盤の効率的な保全管理、再生可能エネルギーの導入を通じた快適で豊かな資源循環型社会の構築に貢献していきたいと思っております。
  33ページの下側、34ページは今説明しました背景・課題を整理しております。
  35ページです。その中の「政策目標3 農村協働力と美しい農村の再生・創造」の1つ目、「農村協働力を活かした地域資源の保全管理体制の強化」ということで、農業者以外、地域以外の多様な主体の参画、また広域化を進めながら、農村協働力の深化と農地・農業用水等の地域資源の次世代への着実な継承を実現していきたいということで、「成果指標」として共同活動による保全管理への参加者数、新たな「成果指標」として農業者以外の多様な主体の参画率、また、広域化した地域の面積の割合を設定したらどうかと思っております。
  36ページ「美しい農村環境の創造を通じた地域づくり」です。土地改良事業の実施に当たりましては、引き続き環境への負荷、影響の回避・低減、再生・創造を推進していきたい。また、この取り組みを契機に、農業者以外の多様な主体の参画を得ながら、さらに、その地域の活性化につながる取り組みを推進していくということで、現行の長期計画にも位置付けている農村環境の創造に着手した地域数としております。
  新たに農業者以外の多様な主体が参画した地域数や、そういった取り組みを地域の活性化に結びつけているといった取り組みを行った地域数を新たな指標として設定していきたいと思っております。
  37ページ、政策目標4でございます。「快適で豊かな資源循環型社会の構築」ということで、1つは農村の生活基盤の効果的な保全管理。これは政府のインフラ長寿命化基本計画に基づきまして、農村インフラを対象に機能診断・保全計画の策定を推進する。
  また、集排施設につきましては、人口減少を踏まえて、集約・再編、下水施設への編入などを推進していくということで、農道、特に重要な構造物である橋梁、トンネルの保全計画の策定率、集落排水施設の機能診断の実施率、こちらについては、10割まで持っていこうと思っております。
  また、人口減少に応じた集落排水施設の整備計画の見直しの割合、3省庁連携した汚水処理の人口普及率を「成果指標」に考えようと思っております。
  次、38ページ、「再生可能エネルギーの拡大」です。小水力発電、農業水利施設の維持管理費の軽減等々、効果がありますので、積極的に導入を推進していきたい。また、農業集落排水汚泥の再生利用も積極的に推進していきたいと思っております。
  グラフにありますとおり、現状、土地改良施設で電力をかなり使用しています。現時点で小水力等により賄っている発電量は18%ということになっており、この割合を高めていきたいと思っております。また、集落排水汚泥の再生利用率を69%から高めていきたいと思っております。
  続いて39ページ、大きな政策課題3(時計文字)、「強くてしなやかな農業・農村」ということで、これは基本的考え方として農業水利施設の老朽化の進行や災害リスクが高まっているということで、強さとしなやかさを有する農業・農村を構築していくということでございます。
  先ほどご説明したとおり、既存の農業水利施設、これは我が国の食料自給率を支えております。また、コミュニティを利用した防災・減災の取り組みは、脆弱化する農村協働力の深化にもつながるものであるということでございまして、マル1、マル2にあるハード対策、ソフト対策をうまく組み合わせて、政策課題1(時計文字)と2(時計文字)の実現を補完しながら、強靭性を有する農村地域の実現に貢献していきたいということでございます。
  39ページ、40ページは背景、課題を整理しておりまして、41ページです。政策目標5、「老朽化や災害リスクに対応した農業水利施設の戦略的な保全管理と機能強化」、ここでは農業水利施設の長寿命化とライフサイクルコストの低減ということで、健全度評価に基づいた施設の機能保全対策を推進していく。また、この取り組みを効率的・効果的に行うため、機能診断・保全計画の策定の加速化、こちらについては10割まで持っていこうと思っております。
  また、施設情報の共有化、新技術の開発、こういったものを推進していきたいということで、マル1からマル5の「成果指標」を設定しようと思っております。
  42ページは、「湛水被害等の災害防止と施設の耐震化」ということで、1つは湛水被害等を防止する対策、また、土地改良施設の耐震照査、その結果を踏まえた耐震対策の実施、これによって、災害に対する地域の対応力を強化していきたいということで、42ページの下側にありますような3つの「成果指標」を設定したいと思っております。
  43ページ、政策目標6です。「地域の防災・減災力の強化」ということで、地域資源、農村協働力を活用した防災・減災力の強化として、ため池のハザードマップの作成、農村コミュニティ、農地・農業用施設が有する減災機能を活用した防災・減災活動、また、施設管理者のBCPの計画策定。これらにより、災害に対する地域の回復力、適応力等を強化していきたいということで「成果指標」を考えていきたいと思っています。
  マル2とマル3は今回新たに設定しようとしている成果指標となります。
  44ページが、今までご説明した成果指標等の一覧をお示ししたものです。
  次、45ページ、最後になります。「第4 計画の円滑かつ効果的な実施に当たっての必要事項」ということで、まず1つ目で、「土地改良制度の検証・検討」の方向性について、長期計画の中で記載したいと思っております。
  大規模経営体と小規模農家への二極化、土地持ち非農家の増加等の農業・農村構造の変化を見極めながら、土地改良制度の在り方につきまして、参加資格、管理・更新、団体としての在り方を切り口として、関係者の意見をよく聞きながら、一定の方向性を検討するということです。
  続いて47ページの「重点的、効率的な施策の推進」ということで、2つ目の丸にありますとおり、明確な目標と意欲を持ってチャレンジする地域に対して事業を重点化する。また、ハード、ソフトの組み合わせなどで集中的に支援するという考え方でございます。
  そういった取組に活用できる様々な事業がございます。特に48ページの下側は中山間地域のためのソフト事業でございますが、こちらについても基盤整備と連携をしっかりやって、中山間地域の発展を支えていきたいと思っております。
  49ページも「重点的、効率的な施策の推進」ということで、農業生産のコストだけではなくて、財政の健全化と事業の推進の両立を図るため、土地改良事業そのもののコスト削減も図ってため、事業コストや維持管理費の低減の取り組みを推進していく。
  基本的にはマル1からマル4を進めながら、事業コストや維持管理費の縮減の取り組みを推進していきたいと思っております。
  50ページです。「関連施策や関係団体との連携強化」ということで、こちらについても多くの意見をいただきました。
  各政策目標の達成に向けましては、土地改良事業だけでは困難でございます。土地利用調整・営農・経営・販売、または機械の導入、鳥獣害等、様々な施策と連携を図りながら、相乗効果を高めながらやっていきたいと思っています。
  また、関係団体、人とも連携強化を図っていきたい。「公」である行政と、「共」である地域のつながりも深めるような視点にも留意しながらやっていきたいということです。
  51ページです。「技術開発の促進」ということで、農業の体質強化、防災・減災を初めとする様々な課題に対応するため、新技術の開発を推進していきたい。新技術の現場での円滑な導入を図るための取り組みも強化していきたい。また、海外への情報発信、移転・普及も推進していきたい。
  これらを踏まえて、新たな長期計画の策定後、農業農村整備に関する技術開発計画を策定していきたいと思っております。
  52ページが「人材の育成」です。地方公共団体、特に市町村、土地改良区の技術者が減少する中、人材育成の取り組みを強化する必要があるということです。また、3つ目の丸に書いていますとおり、地域への技術サポートができるような技術者の育成、高度化する水管理、営農等のノウハウを有する担い手の育成も推進していく必要があるということです。
  53ページ、「国民の理解の促進」です。政策を展開していくに当たっては、国民の理解を得ながらやっていく必要があるということです。
  特に左下にありますとおり、農業農村整備事業に対する理解、国産農産物の適正な価格での消費の拡大、また、農業・農村に対する好ましいイメージ、こういったことが不可欠になりますので、色々な場を活用して、国民の共通理解を得ていくということが必要だということ整理しております。
  また、世界農業遺産や都市農業も含め、それらを活用したPR、または農業者と消費者や子どもたちとの交流の促進も必要だということ、施策情報の現場への提供についても、ここでしっかり書いていきたいと思っております。
  最後になりますが、「今後の進め方」です。
  8月7日の諮問から検討を進め、本日、全体の構成をご説明させていただきました。
  本日のご意見を踏まえて、年度内に中間取りまとめ案を諮りたいと思っています。その後、1カ月程度のパブリックコメント、パブリックコメントを踏まえた計画案、中間取りまとめに成果指標の目標値、事業量が入った計画案をお示しして、その後、法手続を行い、夏頃には閣議決定といったスケジュールで作業を進めていきたいと思っております。
  事務局からの説明は以上です。

○渡邉部会長
  ありがとうございました。
  それでは、今ご説明いただきました新たな土地改良長期計画の構成案について、委員の皆様からご意見、ご質問を、11時半を目処に伺っていきたいと思います。
  1つ事務局に確認させていただきたいのですが、最後にご説明がありました今後の進め方について、年度内に中間取りまとめ案を作成するということですが、これは、3月下旬に予定されている次回の部会において、本日の議論を踏まえて文章化して中間取りまとめとするということでよろしいでしょうか。

○原川計画調整室長
  本日の資料を元に文章化した形でお示ししたいと思っています。

○渡邉部会長
  本日の議論を踏まえて文章化されていくということを頭に置いて頂き、質疑あるいはご意見、コメントをお願いしたいと思います。
  1時間強ありますが、まず初めに、前回からの大きな変化と言っていいか分かりませんが、資料1ページに示されているように、全体の構成を整えられたことが1つのポイントかと思います。
  第2に、目指すべき農村の姿が後段に記載されていたのを、分かりにくいという意見を踏まえて整理されたということ。そして、第3には、政策課題1、2、3(時計文字)の関係を13ページのように整理し直されたということかと思います。
  私個人としては、現在の土地改良の課題とこれから進めるべき計画を、土地改良関係者だけではなく、広く一般に理解していただけるよう、より分かりやすい整理ができたというのが私の理解ですが、委員の皆様はどのようにお考えでしょうか。
  この全体の枠組みについて何かご意見ありましたら、そこからまず伺いたいと思いますが、どなたか、いかがでしょうか。
  枠組み自体については、大きなご異論はないということのようですので、それを踏まえての細かいご説明もあり、一部は成果指標も案が示されましたが、個々の具体的な施策も含めまして、どこからでもご質問、ご意見いただきたいと思います。いかがでしょうか。
  近藤委員、お願いします。

○近藤委員
  近藤です。お疲れさまです。
  感想から言うと、私は8年ぐらい、この部会でやらせてもらって、ようやく農業土木について「そうだったのか」と分かったりすることも多いんですよね。なかなか理解ができないところが多い分野なんです。ようやく、今、少しずつ分かってきたところもあるかなというような状況です。
  何が言いたいかと言うと、これからTPP対策として予算の上乗せがあれば、必ず出てくるのが、「無駄な農業予算が潜り込んでいる」という批判です。世間の見方というのは、20年前のウルグアイラウンド対策費の使い方が物すごい「負のインパクト」として残っていて、無駄遣いと言えば農業土木だ、そういう印象が世間に強いと思うんですね。
  そういう意味で、なぜ必要なのか。これをすることでなぜ農村が守られるのか、みんなの利益になるのか、ということを常々丁寧に説明していかないと、なかなかこの無駄遣いの象徴みたいな負の印象というのは消せないと思っています。けれども、今回拝見していて、非常に分かりやすく書かれているなという気がしました。
  特に、これから進めていく予算が必要な政策がいかに必要かということを丁寧に引き続き説明していくことがとても大事だと思っています。そういう意味では今回は非常に良くできている。長期計画にお付き合いさせてもらって3回目になりますが、どんどん良くなってきて、今回も非常に良く理解できるような内容になってきたなというのが感想です。
  意見を1つ言っておくと、非常に幅広く、こうあるべきだということで丁寧に書かれた資料なので、これを文字化したらそれはいいと思うのですが、一方で44ページ、今日初めて成果指標項目が出てきたのでしょうけれども、成果指標をどうするかということが議論になると思います。数もどんどん増えてきて、増えたのは充実したという側面もあるのでしょうけれども、一方でちょっと増え過ぎて、整理する必要があるのかなと思います。これからの作業なのでしょうけれども。
  まさしく、農業土木というか、土地改良の事業そのものであるのが、上の方。直接的な政策手段を持っているものもあれば、一方で、12、13や15は他の政策との複合的なものにしないと、直接的な効果、政策手段は持っていないというものも幾つか入っていると思います。
  だから、これだけたくさんの成果指標があるのは参考指標としていいと思うのですけれども、全部同じような扱いでいいのかな、濃淡つけなくていいのかなと思います。
  あと、細かなことを言えば、例えば17番や22番、機能診断の実施率について、機能診断を実施することは重要ですけれども、頑張りました、行政として手を付けましたというのが成果として入っています。その結果どういう効果、成果があったがというのが、成果指標なので、「頑張りました率」が「成果指標」として堂々と出てくるというのもまたちょっと違和感があるかな。
  幾つかこの中の項目、総じて何種類か性質の違うものがこれだけ増えて入ってくるので、濃淡をつけるなり、あるいは参考資料にするなりということがそろそろ必要になってくるのかなというような気がしました。
  取りとめのない意見ですけれども、以上です。

○渡邉部会長
  ありがとうございました。
  今の2つ目のところは、少し前から議論になっていますけれども、成果指標をインプット指標にするのかアウトカム指標にするかの議論で、最近はずっとアウトカム中心にすることで流れてきて整理もされているのですけれども、さらにもう一歩、そこの整理をした方がいいという、そういうことでしょうか。

○近藤委員
  そうですね、最終的につくるのは行政骨子なり行政目標なので、特にこの5年間で最初の政策課題1(時計文字)のところに恐らくTPP関連で予算が載ってくるわけですよね。そうすると、ある程度そのあたりの整理も必要なのかなという気がします。

○渡邉部会長
  そこの整理が必要だということですね。アウトカム指標がきちんと示せないようなものは、挙げないほうが場合によってもいいかもしれない、といったご指摘と理解していいですか。

○近藤委員
  そうですね、参考資料扱いにするなり、直接的な政策手段を持つものと、直接的に影響が当たらないものも整理は必要かなと思います。

○渡邉部会長
  ありがとうございます。
  引き続き委員の方から。
  河野委員、お願いします。

○河野委員
  ご説明ありがとうございました。
  先ほど部会長がおっしゃったように、全体が大分整理されてきて、特に13ページのところで産業政策と地域政策、そしてそれを支えるものが何なのかということで、かなり分かりやすくなったと思っております。
  私自身は、今回示された構成案の中で一番重要なのは、消費者の立場や国民の立場からすると、第4に書かれた部分だと強く思っています。
  確かに、農業・農村をめぐる課題というのは、長い間色々と言われてきましたし、農政がその時の環境変化に応じて変わってきたというのを国民としては目の当たりにしていますし、それに対する感想も持っています。
  それで、土地改良というところで、普通にこの目的は何なのかと考えれば、農業生産の基盤であり土台となる土地をどれだけ技術や知恵を最大限に使って有効活用できるのか、それをみんなで考えていく場だということは非常によく分かったところです。なので、今回もこの全体像の提示はとてもいいと思いました。それが1点目。
2番目は、これはこういうふうに整理されたとしても、国とか有識者の方があってほしい農村の姿と、現場の方がこうありたいとか、こうなりたいという姿が本当に合っているのか、齟齬がないのかというところはやはり確認した方がいいと思います。
  ここに書かれていることは非常に現状から考えたときに理想的な姿で、この施策を打っていけば、間違いなく今から一歩前向きに進めるだろうと思っています。
  ただ、本当に現場の人たちがこの施策の方向性を理解して、自分たちもこの形に沿って補助を受け、支援を受けやっていこうと同じ気持ちで、同じ思いを抱けるのかなというところ、そこはやはり確認をしていっていただければなと思いました。それが2点目のコメントです。
  それから、3点目は、今回着目してしっかりと書いてくださっているのが、ベストプラクティスを提示くださるということですけれども、農村の多様性というところに着目された、特に21ページの整理というのは、農業者ではない私から見ると、個性豊かな農村、しっかりと多様な価値を持っている農村、インフラも違うし、人材も違うし、それぞれ個々魅力のある農村を応援していくには、こんな考え方があるんだという、この整理も非常に分かりやすくてよかったと思います。
  やる気があって、ビジョンを持っているところ、人の気持ちも揃っているところにしっかりと応援をしていくんだというのが分かっていていいかと思いました。
  それから、4点目、やはりこれは農業だけのことが書いてあるのですけれども、当然のことながら、農村にしても普通の暮らしがあるわけで、農業施策だけでは完結しない、特に地方創生の部分、それから人の移動の部分ですね、そのあたりも含めて、他省との連携と書いてくださいましたけれども、もう少し、この施策を読んだ地域の人が、農家だけ頑張っていればいいんだというだけじゃなくて、ほかの施策なども活用してうまくやっていくんだというのが、参考資料でも見えるような形でフォローしていくといいのではないかなと感じました。
  それから、最後ですけれども、この資料の、最初に申し上げたとおり、私は4番目のところがすごく重要だと思っていまして、資料の53ページ、私がどこに属しているかというと、私は税金を払う側の国民の位置にいます。やはり、先ほど近藤委員もおっしゃっていましたけれども、国民が本当に農業を大切だと思い、それを国を挙げて守っていくんだ、新鮮で美味しくて適正価格の農産物をずっと食べていたい、それはちゃんと手当てをしないとだめなんだということが重要だと感じています。
  それで、さらにここに書かれている53ページの右側のところですけれども、「施策情報の現場への浸透」ということで、最近、別の会議でも都道府県や市町村の農業政策に関わる職員の方が非常に手薄になっているという話を聞きました。
  国でこんな立派な方針を立てられた。それと現場を誰がつなぐのか、コーディネートは誰がするのかというのがとても気になります。
  そのことがしっかりとできれば、必要なところに必要な施策が届き、それを見ている国民も今回の土地改良に対する国の方向性というのを理解できる、見える化なんですけれども、国がこんな新しい施策をつくってくれたから、「やってみるか、何ができるんだろう、これまでと同じような感じかな」という形でいくのがとてももったいないと思います。
  環境は変化してきている、当然のことながらこれまで農業がやってきたビジネスのやり方というのも変化せざるを得ない。新たな需要が喚起できるし、新たな方向も示されている、だからそのことをしっかりと理解して、地元が頑張っていく。それのコーディネート、行政の手当てと、それから現場というのをうまくマッチングするというところも是非考えていただければと思います。
  以上です。

○渡邉部会長
  ありがとうございました。
  では、もう一方、伺いましょうか。
  森委員、どうぞ。

○森委員
  ご説明、ありがとうございました。
  前回の委員の意見を反映していただいて、大変分かりやすくなったところが多くて、全体的には非常に評価できる形になっていると思いました。
  今、河野委員がおっしゃったことに関わることで、やはり子どもとの関わりなども今まで色々と経験してきた中で、もう1つだけ言葉を添えていただきたいというところがありまして、53ページの「国民の理解の促進」についてです。さっき近藤委員もおっしゃられましたように、農業の基盤整備にどのようにお金をかけて整備することが、私たちの食料を守るかということに対しての意識の醸成というのが非常に大事なわけですけれども、なかなかそこの理解は得られず、例えば子どもの農業体験などは収穫体験とか、そういうものに偏っているのがまだまだ多いと思います。様々な手法による国民の共通理解の醸成というところが左側にあるのですけれども、この10年間、教育制度の変更で子どもたちの総合学習の時間が非常に少なくなっています。
  その中で、田んぼの水がダムからどのように流れてきて、どんなふうに、利用されているかということを知るには非常に時間がかかるので、教育の方のコマ数だとかそういうことも、子どもたちの教育機会を奪っている理由になっています。農業に対する理解を得るための教育機会の減少につながっていると思いますので、子どもたち、教育関係者というのを1つの項目として短く書いてありますけれども、この辺、ただ副読本の提供だとか出前講座の実施などではなく、もう少し具体的に踏み込んで、ぜひ実施していただきたいと思いますので、お願いしたいと思います。
  以上です。

○渡邉部会長
  ありがとうございました。
  柴田委員、続けてお願いいたします。

○柴田委員
  ありがとうございます。
  25ページのところで、全体的な枠組み、課題と目標の枠組み、これが前回バランスの問題やウエートの置き方などで議論された中でこういう形でまとめられております。そこで私の感想になりますが、この文章の中に、農業の成長産業化というのがあって、これについて異論はないのですが、それとその一番上の農業・農村の持続的な発展とあります。「成長」と「発展」という言葉の意味合いですけれども、成長していけば最終的に発展するというところです。
  この発展の中には、必ずしも拡大、成長し、所得が上がるということだけではなくて、精神的な、豊かな生活なり、安心した暮らしとか、そういう内容も入るのと思います。
  それは単に、生活の質というのは、農業者だけではなくて、住民あるいは国民、都心含めたところにも影響してくるのだと思うんですね。
  この使い分けについてコメントがあってもいいのかなという気がしましたのが1点。
  それから、グルグルと互いが互いを後押しし、相乗的に効果を発揮する、こういうのは前回も議論があったと思うんですけれども、グルグルとスパイラル的な動きを稼働させるものは一体何なのか、ハードを整えるというのはあくまでも必要条件。しかし、十分条件ではなくて、最終的に発展までたどり着くような動きをもたらすものというのは、例えば地域のリーダーであったり、住民の理解であったり、あるいは内発的な発展というか、そこの部分というのは一体何が肝なのかという点を押さえる必要があるんじゃないかな。
  随分この資料は整理されていますので、言葉やキーワードとしてはちりばめられていると思うのですけれども、この部分をもう一度「見える化」して、それが最終的には国民の理解につながっていって、いかにハードに必要条件を整えていくというところに予算を使うということに意義があるんだ、というようなところをもうちょっと補強できないかなというような気がいたしました。
  以上です。

○渡邉部会長
  ありがとうございました。
  今、柴田委員が指摘された枠組みですけれども、例えば20ページにおっしゃった枠組みが表現されているのですが、ちりばめられているとおっしゃいましたように、もう少し分かりやすい表現、あるいは示し方があるのではないかというご指摘でよろしいでしょうか。
  今までのところ、枠組みについては多くの方が分かりやすくなったということですけれども、今の柴田委員のご指摘のように、枠組みについてのご意見もありますし、それ以外の方のご意見は広く農業関係者以外も含めた理解についての記述の仕方とかフォローアップの仕方についてのご指摘が多かったと思うのですが、以上について、何か事務局でコメントされることがあればお願いします。

○原川計画調整室長
  基本的には先ほどのご意見を踏まえて、文章作成の過程で検討していきたいと思っております。
  それで、1つは、近藤委員からご指摘があった44ページですが、これについても、この中の重点指標とそれ以外、それらに濃淡つけて、今回の主張がしっかり分かるようにまた考えていきたいと思っています。
  国民の理解についても色々とご意見いただきました。森委員から子どもとの関係がございましたが、子どもとの交流の関係。農村で言うハレの日や華やかな収穫など、そういうものばかりやるのではなくて、日々の苦労も伝わるよう取組も必要だと思いますので、それらも踏まえて、もう少し具体性を持ったような形も考えていきたいと思っていますし、柴田委員からも、グルグルを支えるものは何かということで、先ほど部会長からありましたとおり、それは農村協働力と我々は考えておりまして、その辺ももっとわかるように工夫していきたいと思っています。
  河野委員のお話も、今回、優良事例を示していきたい、その中で、長期計画や事例を作るプロセスとしても、県の方や地域の人も巻き込んで作っていく、そういったプロセスも大事だと思っていますし、策定後の浸透もしっかりと行っていきたいと思っております。
  色々とありがとうございました。

○渡邉部会長
  少し具体的なご指摘もありましたので、引き続きご検討いただきたいと思います。関連して私からご意見申し上げたいのですけれども、河野委員もおっしゃっていました現場の意見について、これまでも農業者自体が大きく変わっている状況下で誰を相手にしていくかということ自体も見ていかなければならないという中でこの計画を進めないといけないということと思います。
  それが4のところにも、あちこちにちりばめて書かれてあるので、河野委員の意見も踏まえて、分かりやすくより明確に書いていく必要があるかと思います。
  それで、さまざまな長期計画の最後は、一般的には「施策の総合的かつ計画的な実施に当たって必要な事項」と書いてあるものが多いと思うのですが、ここはあえて「円滑かつ効果的な実施に当たって」としています。この意図は事務局から私は聞いていないのですが、そういう中で、申請事業としての土地改良事業の性格も踏まえて、誰と話をしていくかという仕組みも計画を進めながら機能させないといけないということがポイントかなと思います。私の意見は第4の部分を見直す際にこの点ももう一度見直していただきたいということです。
  引き続き委員の皆様からのご意見を頂きます。
  浅野委員、お願いします。

○浅野委員
  幾つかあるのですが、最初に柴田委員から、成長と発展ということをうまく使い分けるべきだということで、実は経済学の中では成長と発展を使い分けておりまして、成長というのは量的な拡大のことです。「growth」が成長です。「development」というのは質的改善のことを言います。
  だから、経済が良くなっていくときにGDPが増えることを成長と呼びますし、GDPが増えて生活が豊かになることを発展と呼ぶということで使い分けをしているので、そういう使い分けをされると多分正確に意図が伝わるだろうと思います。
  あと、他の委員の皆さんもおっしゃっているように、基本的に枠組みについてはクリアになったということで、あとは成果指標との接合性ということです。
座長からもありましたように、インプットとアウトプットとアウトカムという、この3つが混在している印象を私も受けました。
  アウトプットというのはあくまでも政策そのものの特性、アウトカムというのは政策の特性ではありません。政策の影響を受けたものの状況を言うわけで、そういう意味では極めて難しいのですが、そちらに向かって動いているなという意図は感じます。
  ただし、実はこの評価自身もそんなに自明なものではないので、評価するための取り組みと言うのですか、例えば私の研究室で、実は道の駅の経済効果の評価というのを産業連関表でやっているのですが、従来の産業連関表による評価では、道の駅が新しい農産物をそこで提供することによる効果を十分捉え切れていないということが分かってまいりまして、だから、そうやって従来の方法で評価すると、道の駅によって農産物が売れることがどれぐらい所得になっているかということが実は過小評価されていたりする。そういうこともございますので、実は評価プロセス自身を研究しないとだめですよということを強調しておきたいと思います。
  最後に1つなんですけれども、44ページの「考えられる成果指標」の中の11番というのが「基盤整備完了地区における6次産業化の取組割合」なんですけれども、ここは6次産業化による雇用と所得の創出というのが政策になっているので、もっと雇用とか所得とかがどうなったかということ、とりわけ、女性や高齢者の雇用をどれぐらい増やしたかということが目に見えてくると、まさにこれこそがアウトカムに関する成果指標になるのではないかと思いますので、ぜひご検討いただきたいと思います。
  以上です。

○渡邉部会長
  ありがとうございました。
  では、他の方から、引き続き。
  沼尾委員、お願いします。

○沼尾委員
  他の委員の方々がおっしゃっていることとちょっと重なる部分もあるんですけれども、幾つか申し上げたいと思います。
  まず、20ページ、21ページのところですが、まずこの21ページのところで、「実施プロセスの横展開」というのを示していて、これは私も非常に分かりやすい説明だと思いました。ただ、私は農業者ではないので、農業生産とはすごく距離があるもので、むしろ都会にいながら消費者の立場として、何故そんな農業基盤整備を、これだけ担い手も減っているのに力を入れていくんだ、他の部分の生活基盤の公共施設については維持管理の時代に入っていて、新規の設備という時代ではなくなっているにも関わらず、農業基盤については整備ということを謳っていくのはなぜか、ということに関しては、やはり、都会で暮らす者としては違和感を感じる部分もあるわけです。
  それに対して、それが必要だということをどのように言っていくかというときに、当然、基盤整備をすればいいということだけではなくて、そこに担い手がどう関わって、どのようにアイデアを出しながら、整備をしたことが具体的な成果に上がっていくように横展開をしていくのかということの説明も入れられているというのは非常に分かりやすと思いました。
  ただ、20ページ、浅野先生が最初につくられたものかと思うのですけれども、この図を見ると、まず土地改良事業の社会資本整備から始まっているという図が見えてしまっていて、むしろこの21ページで言うと、地域の課題をどうしていくかというところの中で、ハードというものが位置付けられているわけだから、人的資本と自然資本と社会資本が三位一体となって、それが農村協働力に働きかけていくんだということで、土地改良から始まるという書き方にするのが妥当なのかどうかというのはちょっと気になったところがあります。
  ただ、土地改良長期計画の説明だということで、事業自体の意味というのを説明したいということもあるんだろうと思うのですけれども、だけれども本当にその整備が必要なのかというところとの関係で、このあたりの伝え方というのはちょっと工夫したらいいのかなと思いました。
  それから2点目ですけれども、今回強くて豊かな農業ということで、基盤整備に関して、ITの技術や様々な新規技術を開発して導入していくということが書かれていて、そのこと自体は当然必要なものなので、否定するものではないのですけれども、片方で、土地改良事業って土地改良区で決めてやっていくというときに、その土地改良区の規模やマネジメント力みたいなものを考えたときに、新規の技術を入れていけばいくほど、それだけメンテナンスも含めてコストも掛かっていくし、なかなか地元では管理できないものというのがどんどん増えていくというときに、「身の丈」の技術でやった方がいい世界と、新規の技術を入れて、大々的にやった方がいい世界と両方あり得るだろうと思います。ここで描かれている土地改良区というものは、全国、様々だと思うんですけれども、そのときに全てのところでこういう最新の技術を入れてTI化していくということが本当に、維持管理できるのかというところも含めた規模感ということや、それぞれに合った技術や対応の仕方というのがあるのではないかなということを考えておく必要があるという印象を持っています。その辺りのところを踏まえて、この指標化というところをどう整理して考えればいいのかというところが分かりづらかったところがございます。
  あと、それからもう1点だけ申し上げますと、先ほども委員の方々から人材の話が出ていたと思いますし、柴田委員からもこの円錐のスパイラルをどうしていくのかというプロセスが大事だというところが出ていたと思います。
  現場でのヒアリングでも基盤整備はありがたいけれども、担い手がなかなかいなくて大変だというような話も出ておりましたし、まして、これからこういったハードの部分がIT化とか高度化していくとなると、なおさら、そういったものに精通した方たちが間でサポートするということが必要になってくるだろうと思います。
  ですので、現場での維持管理が大変だよねというところから、それをマネジメントするための人材育成のみならず、支援の仕組みというのをどうつくっていくのかというところを、もう少し具体的に考えていく必要があるのではないかと思いました。
  以上でございます。

○渡邉部会長
  ありがとうございました。
  もう一方伺いましょうか、いかがでしょうか。
  小谷委員、お願いします。

○小谷委員
  ご説明、ありがとうございます。
  質問と言いますか、感じたことですけれども、全体のことはよく分かりました。ありがとうございます。
  例えば、32ページの6次化の部分で、6次化の前の形容詞が余剰労働力を活用したという言い方が他の27ページにも、何度か出てきているのですけれども、そもそも、労働力が余るという考え方がよく分からなくて、何のために6次化を進めるのかと言ったら、余った労働力を活用するために6次化を進めるというよりも、私の今までの理解は、もっと農村にお金を落とすとか、生産者の顔と手が見えるような直接的なつながりという意味で6次化があると思っていたので、そこをちょっと聞きたいです。例えば年間60万人を集客とか、30万人集客というような例が出ていますけれども、6次化自体が何かもうちょっと小さな加工所に地域の生産者の女性部会が集まってするようなイメージがあるのですが、小さな加工所への配慮がどこかに記載されていましたら教えてください。大規模な6次化の例が出ているので、もうちょっと細やかなものがあれば。
  それと、防災について、42ページから43ページですが、昨日常総市に伺うことができまして、現場の様子も見てきましたが、まだ本当に工事の真っ最中で大変な状況でした。そこで、常総市の市長さんにもお話を伺えたのですが、ハザードマップも作っていたし、地震の訓練もずっとやってきたんだけれども、水害の訓練をやってこなかった。無線で呼びかけたり色々しても、地域の人が、逃げるのが遅れたり、あるいは一旦逃げたのに戻ったという話がありました。ハードをしっかりとしたものに造り変えることは大事なんですけれども、やはり、造った施設とのつき合い方とか使い方みたいな部分を伝えることが大事なんじゃないかと。
  市民、住民の意識という部分が重要だということでした。立派な堤防や水利施設を造って終わり、だけではないと思います。それから、書き方で、湛水被害などを「防止」という言葉が幾つも出ています。防止と言うと、何となく無くしてしまう、ゼロにできるような可能性を感じるのですが、やっぱり、どんなものを造っても災害は起きるんだという認識をみんなに伝えるのも大事だと思いますので、「減災」という、基本的には災害は起きるんだ、そういう中に暮らしているんだという意識を広めることも追加してもらえたら分かるんじゃないかなと思いました。
  常総市ではまさに復興の目玉を6次産業化にするとおっしゃっていたので、災害をむしろ恵みに変えていくような取り組みをされているのが良いと思いましたので、報告させていただきます。
  以上です。

○渡邉部会長
  ありがとうございました。
  3人の方からご意見いただきましたけれども、まず事務局何かご対応頂くことありますが。質問もありましたけれども。

○原川計画調整室長
  小谷委員からご質問がありました6次産業化のところです、余剰労働力というところで、趣旨は、基本的な考え方としては、農業が栄えても地域が滅びたらどうしようもないということで、極端な例は、担い手に集積されて、農業をやる人が少なくなる。そうであっても、例えば規模縮小する農家の方、高齢の方、女性の方の能力とか意欲を十分活用する、そういう視点で6次化も推進したいという思いがありますので、そういったことを踏まえて、文章表現を考えていきたいと思います。防災のところも、ハードのところで防止するとしていますけれども、例えば、ため池につきましても、対策をハードでやるというだけではなくて、想定外を想定した対応ということで、ソフトの住民活動も含めてしっかりやっていくというところは、考え方は変えていかなくてはいけないのかなと思っています。
  その他、ご意見いただいたところは、検討させていただきたいと思っております。

○渡邉部会長
  ありがとうございました。
  また、私から一言申し上げたいと思います。浅野委員も沼尾委員も、成果指標について触れられたと思うのですけれども、浅野委員がおっしゃったところは、評価の課題を抱えながら進めていかなければいけないということで、覚えていらっしゃると思うのですけれども、次期計画についての議論が始まる前、現在の長期計画の進捗状況を議論したときに、単なる目標とした数値だけじゃなくて、その実際の内容についても皆さんからご意見いただいたと思います。
そういう内容を意識した成果目標の立て方が必要かなと思いますが、浅野委員がおっしゃるような課題は、例えば最後のところにどこかに明示的に書いた方がいいのでしょうか。こういった課題は、国民的理解なのか技術開発のどちらで触れるべきか分かりませんけれども、そういうご提案と理解してよろしいですね。

○浅野委員
  はい。

○渡邉部会長
  それから、先ほど沼尾委員がおっしゃったように、成果指標は全国集計のパーセンテージが出たりしますけれども、実際は対象の規模などの条件ごとに見ないといけないこともあります。ただし指標としては扱う情報や記録が上がってこないかもしれないのですね。こうした状況を見ながらバランスのある成果指標を書き込む必要がある、こういうご指摘と理解してよろしいでしょうか。

○沼尾委員
  はい。

○渡邉部会長
  私の理解もつけ加えさせていただきました。
  それでは、まだご発言いただいていない委員に、順番に。
  加藤委員お願いします。

○加藤委員
  今回は非常に良くまとめていただいて、非常に分かりやすい長期計画という形になっていると思いますけれども、ただ、やはり抜け切れない面があるなという感じがします。多分作成している方々もそういう感じを持っているんだなと思います。そこで先に質問がありまして、28ページと31ページの大区画化の記載について教えて頂ければと思います。大区画化は水田の場合は1ヘクタール以上、畑は50アール程度以上という記載になっています。28ページの水田でいきますと、大区画により米の生産コストの大幅削減という下に、米印で対象地区というのがありまして、およそ15ヘクタールくらいの規模ですと記載がありますが1ヘクタール区画で米価は今と変わらないというふうに仮定した場合に、家族経営の専業農家では、果たして1ヘクタール区画のときには何ヘクタールが最適規模か、多分一定の規模面積を超すと、経済的な面から考えると落ちてくると思いますがどうなんでしょうか。一区画を大きくすればいいというものじゃないんだと思うんですがね。
  その点がちょっと分かりにくいので、分かれば教えていただきたい。また、畑も同じでございます。というのは、20ヘクタール、30ヘクタール1人で作付けできるか、限度があるはずですよね、機械化と省力化という中においても。
  ですから、その限度頂点が最適な経営類型モデルになっていくと思うのですが、そこが見えないから、なかなか農家の方々にうまく訴えられないのかなという感じがします。
  次に、これは要望と言いますか、ぜひ、このようなことを検討していただきたいということで、先ほど室長のほうからも農村のかたちという話がございまして、今日いただいた資料の8ページのところに、農村地域の構成も大きく変わってきている、これは国民全員共通の理解だと思いますと説明がありました。都市部が3%、この率の問題は別にしまして、平地、中間、そして山間と、大体20から25%の間へ入っているというのが農家の割合で、あとは非農家もしくは土地持ち非農家という方々だと思うのですが、こういう形が、そこの左の都市的地域にだんだん変わっていくんだと私は理解をしています。そういう中において、今回、先ほど意見もありましたが、農村集落に住んでいる方々がこれだけ多様化してきているのに、そこの分野の記述量が非常に少ない、これは土地改良法上の課題であると私は理解していますが、であれば、土地改良制度の在り方の問題になるのかも分かりませんが、農村のかたちというこの中で組み込んでいるわけですので、ぜひその辺を分かりやすく記載して頂ければと思います。
  今回の計画案では、美しく活力ある農村という政策課題の2(時計文字)の中に、ほとんどハードの記載がなくて、ソフト的なもの、長寿命化的な考え方という格好でございますが、まだまだ農村集落の整備というのは遅れていまして、そして当然、そういう中において、土地改良基盤の整備も遅れているわけですので、両面から整備していかないと、なかなか非農家の方々の合意というのは得られにくい。
  それがないと、浅野先生がつくられたこの農村協働力ということにも結びついていかない。2割なり2割以下になっていく農村の人たちだけで競争力を出すわけにはいきませんので、あとの8割の方々の力、理解を得ることが非常に大事です。
  非農家の方々なくして、土地改良長期計画という形がいいのかなというのが私の意見です。その辺も土地改良制度の在り方論にもなるわけでございますが、また、ご指導いただければありがたい。
  3つ目は、どなたかも言われていましたけれども、アベノミクスの中でも大きく謳われている地方創生につきまして、その戦略のメイン事業として考えられるのは、やはりNN事業だと私は思います。NNが基本にあって、地域の活性化、人口減少対策という形をほとんどの市町村が考えていると思います。
  そのような中多くの首長さんは従来形の土地改良事業として考えていますので、今、農村振興局で考えておられる農業中心というだけですと、なかなか地方創生にうまく活用できないのではないかなということも懸念されます。土地改良長期計画はここが限度かなという感じもしないでもないんですが、もしそうであれば、新たな農村計画とか、集落整備計画とか、そういうもの整備できるような方向性もぜひご検討いただければありがたいなと思います。
  以上でございます。

○渡邉部会長
  ありがとうございました。
  引き続き、毛利委員お願いいたします。

○毛利委員
  ありがとうございます。
  既に委員の方々からご発言があったことと重複するんですけれども、人材育成と技術のことについて、少しコメントをさせていただきたいと思います。冒頭の1ページ目、第4のところ、技術開発の促進と人材育成という項目に分けて、人材育成が頭出しされたということについては良かった対応だと思っております。
  これは52ページに関連します。人材育成については、随分と細かく表現されておりますけれども、少し分かりづらいと思います。どういう人材を育成するのかというのが見えないとおもいます。
  現実には、様々な事業が展開されているわけですから、それに応じた人材が要るんだというのは理解できるのですけれども、人材育成の取り組みの強化と書いておられるので、実際には様々な展開を通じてフォローされるのだろうと思いますけれども、ここに書いてあることだけではちょっと分かりづらい。もう少しシンプルに書いていただいた方がいいのではないかなと考えます。
単に人を育成するというだけではなく、技術を支援する枠組みというものももっと進めていかないといけないだろうとも思っています。
  農水省の組織の中で、技術を支援する部署ももちろん整備されているわけですけれども、大学、独法など、ほかの民間の研究所ですとか、様々に支援できるところもあるわけですから、そういうところをうまく活用した農村地域に様々発生するような技術的な課題を支援する枠組みというものも必要ではないかなと思っております。
  次に、施設整備のところですが、既に柴田委員からもお話がありましたようにハード整備というのは必要条件であるということはもちろん大賛成でありまして、その施設をどのように有効利用できる正のサイクルに持っていくように活用していくためには、そのドライビングフォースとして、協働力の強化やコーディネーターの育成が要るというのはよく分かるところです。
  そのことがいろいろなところに記述されているので、全体像を理解するまでにちょっと時間がかかるという印象を持ちました。
  最後に、21ページのところで、基本戦略、先進事例に見られる特徴、これ6つの特徴を下から2つ目の枠の中に掲げられておりますけれども、こういうことが1つずつドライビングフォースになっていくのだろうと思います。ここの中でも施設とか環境・景観がしっかりと整備されているという前提の条件があるはずです。ここで示している取り組み事例の中で前提条件背景となるものが何だったのかというところもご説明いただいた方が良かったと思っております。
  つけ加えさせていただきますと、先ほど沼尾委員から「身の丈の整備」というキーワードが出てまいりましたが、私なりに解釈をさせていただきますと、地域特性を反映したというか、全国の様々な、多様な農村地域に特有の状況を踏まえた整備とは何なのかと考えますと、中山間地、低平地と分けるのがいいかどうかわかりませんけれども、どうしても低平地に目が向いているような気がいたしまして、中山間地、キーワードがないわけではないですが、中山間地をどのように取り込んで、農村地域を将来に向けて展開をしていくのかというビジョンがなかなか見えてこないと感じました。
  以上です。

○渡邉部会長
  ありがとうございました。
  横田委員、お願いいたします。

○横田委員
  ありがとうございます。
  かなりまとまってはおりますが、今、毛利先生のおっしゃったとおり、よくぞ言っていただいたと私は本当に嬉しく思いました。
  中山間地は多様にやらなければいけない部分で、大きくこのように分けられると、例えば中山間地のコンパクトな農業を最初の取っかかりとして就農したいという若者がこれからの農地を守っていくんだろうということを考えますと、これを見たときに、ある程度の農地を取得できる、中間機構など色々ありますが、この問題は恐らく市町村も考えなきゃいけない問題だとは思いますが、とにかく若者は農地を取得してやってみたいという子や中山間の人柄や環境とか、また農地、一生懸命やろうという若者が多いのも正直なところたくさんある話でありまして、その枠組みをもう少し国のほうが提示していただけると、市町村もやりやすいのではないかな、そういう気がいたします。
  また、全体的な大きな農業を見たときの枠組みだとしたら、中山間はこの間もお話が出ていましたが、鳥獣害の問題があります。これに対しての文言は1つも入っていないのですが、ここの猟友会も人手不足ということで、そこもやはり手をつけなきゃいけない問題なのか、それをこの長期計画の中に入れるか入れないかは先生方のご判断ということになるのだと思うのですが、やはり農業をやるには人ありきで、人がどう動くかによって、地域の活性化が期待できると私は理解しておりますので、是非よろしくお願いいたします。

○渡邉部会長
  ありがとうございました。
  それでは最後になりますが、中嶋委員、お願いいたします。

○中嶋委員
  ありがとうございます。
  まずは確認についてのお話、感想を述べさせていただきたいと思います。
  今回のこの枠組みに関してもちろん異論はございません。それで特徴的だなと思うのは、第2に目指すべき農村の姿というのを掲げていただいたところで、ちょっと確認をしてみたのですが、前回の長期計画、今の長期計画ですね、それと比べるとここが非常に興味深い点だと思っています。
  そもそもが土地改良法に基づいて、土地改良事業をどう進めていくのかとか、それから土地改良施設の維持管理をどうするのかということを長期的な計画を定めていくという性格から、この農村をどうするのかというところに踏み込んでいく転換点になっているんだろうとは思います。
  ただ、現在の長期計画ももちろんそういう視点は色濃く出ていたと思うんですけれども、第2を入れていただいたことによって、非常にそれが指針としてははっきりしてきましたし、それはもちろん農村協働力の議論を事前にしていただいて、その枠組みに基づいて、構成をつくり直しているということが大きいかと思います。
  それから、資料で言うと21ページのところに、農村をどうしていくのかということを考えるときに、基本戦略の具体的な道筋を今回、非常に明確に出していただいたというのが素晴らしいなと思いました。
  これを見れば、その地域の方、現場の方々がどんなことをすればいいのか、どういうことに着目すればいいのかということがはっきり分かる。前回、物まねにならないようにしてほしいというお話をしましたけれども、このようにきちんとプロセスも示していただければ、決してただまねをするということにはならないのではないかなと思っています。
  こういった問題で、このような広がりを持ってきたときに、ちょっと話が変わってしまうのですが、成果指標をどのように設定するのかというのは、結構難しいんじゃないかなとに感じました。
  もともとは、長期計画では事業量をどうするのかということを書いてあったと思うのですけれども、そこから成果指標になってきて、その成果指標も土地改良事業が扱う領域の成果をどうするのかということに広がり、現在ではもっと大きな政策課題をどのように達成するのかというところまで拡大してきているという印象を持ちます。
  例えば、6次産業化の成果指標というのは、直接的には土地改良事業となかなか結びつかないところもありますが、実際の圃場整備事業は、その後6次化をどう進めていくかというところまで、プロジェクトとしては広がっておりますので、もちろん、成果指標の設定はできるのではないかと思いますが、もともとはさっきからの議論で言うとインプットとしての性格を強く持っておりますので、アウトプットなりアウトカムというのは、本来は設定しにくかったのではないかと思います。
  それから、一般的に最近、KPIを設定するという政策の計画の流れになっていると思うのですが、KPIの項目としては、いわゆるアウトカムとドライバーというのがあると思うんですね。そういう意味では土地改良事業、農業農村整備事業というのは、ある種のドライバーであると思いますので、その指標を軸に設定していくということになるのではないかなと思っております。
  しかしながら、やはりこの土地改良の長期計画は、食料・農業・農村基本計画との連携というものを強く意識された方がいいのではないかなと思います。
  近藤委員も先ほど申された、農業土木の事業はどうあるべきかというような国民的議論をする際、この意義をきちんと説明していくときには、やはり食料・農業・農村政策のあり方との連携、それにどのようにこの農業農村整備が貢献するのかということを説明していく上では、やはりこの基本計画との連携が必要です。
  そのための計画を達成していく上での道筋というものも、示していくときには強く意識していただきたいなと思っております。
  基本計画をつくっていく上で、私自身がとても気にしていたのは、やはり人口減少と高齢化の問題、特に人口減少の問題です。現場で既に起こっている人手不足の問題、これをどう解決していくのかというのが、政策全体の問題でもありますが、土地改良事業にとっても大きな問題であると思っております。
  維持管理をどうしていくのかということ、そこに私自身が強い問題意識を持っております。あと、そういった人手不足がありながら、実は雇用先がないと言うのでしょうか、そういった矛盾も地域にはあって、それが先ほど言った農村の問題を考えていく上での大きな課題である。そこの部分を土地改良事業がどういう形で関わっていけるのかというビジョンを示していただければいいなと思っております。
  それから最後ですけれども、粛々と計画を進めていくということでありますが、またTPPの問題もありますので、私は例えば基本計画でやるべきこと、示されたことは、もう少し前倒しで色々やっていかなければいけないのではないか、ある種のスピード感というものが非常に重要ではないかなと思っております。
  これは5年の計画でありますけれども、どのようなスピード感と言いましょうか、時間軸でこれを進めていくのかということを、書き込むかどうかは別にしまして、できれば何か議論する場があればいいなと思っております。
  ちょっとまとまりのないコメントになりましたが、以上です。

○渡邉部会長
  ありがとうございました。
  一通り委員の方から質問あるいは意見をいただきました。さらに相互にポイントをクロスさせて意見交換をしたいところですが、今日は時間がございません。加藤委員からは具体的なご質問がありましたけれども、委員の方のご発言に対して事務局から何かご対応いただくことがあればお願いします。

○原川計画調整室長
  水田と畑の1人当たりの経営規模なり水田と畑の1区画の大きさ、この辺はどこが適正かというのは極めて難しいところがありまして、石井委員もよく1人当たりの経営規模の拡大ということで、そこを色々な営農形態、経営手段等ある中で一律に示せない。統計データにも限界があって、そういうことを補足する意味で、第2のようなこともやりたいと思っていまして、ぱっと言えるのは難しいということもあります。
  それから、横田委員、加藤委員の後段のご意見、これは重要だと認識はしています。
  その中で、今結論できるのか、長期的に考えなければいけないのか、また、この土地改良長期計画の中で、どこまで書き込めるか、ここは慎重に議論を考えなければいけないと思っております。

○渡邉部会長
  ありがとうございました。
  私自身の意見も皆様の意見に引き出されて幾つか申し上げたところですが、最後にまた一言申し上げたいと思います。資料の中では、土地改良事業はビリヤードのキューで、施設を突っつくような形となっていることが話題となりましたけれども、長期計画としては、それは事実なので、その表現でいいと思うのですけれども、それをより分かりやすくする表現は必要かと思います。キーワードはここで今日随分話題になった農村協働力というのであって、事業の直接の対象ではないですけれども、その存在を強く意識した計画になっていると思います。加藤委員がおっしゃったように、農家協働力ではなく農村協働力を打ち立てるための生活環境整備の位置付けだとか、そういう見方も必要ではないかなと思います。
  毛利委員がおっしゃった人材の技術支援のシステムですが、それは多分、技術開発の促進の項目に入ってくると思うのですけれども、それも農村協働力のある中で働ける人材の育成を書かなければいけなくて、人材の育成の項目には農村協働力というキーワードが入っていないのですけれども、この辺りも整理していただいたらいいというのが私の意見です。言うまでもなく、農村協働力あるいは農村の様々なメカニズムの中で、きちんとした仕事をしている部分が土地改良関係の技術者が評価されてきたところだと思いますので、そこのところをクリアに書いていただきますと、さらに発展させることが明確になることだと思うので、その部分を対応いただけたらと思います。
  予定の時間になりましたけれども、特にご発言いただくことがありましたらお願いしますが、よろしいでしょうか。

○河野委員
  よろしいですか。

○渡邉部会長
  手短にお願いします。

○河野委員
  申し訳ありません。
  今日の資料の3ページのところで1つ気になった表現がありますけれども、これはこれで皆様がよしとするのであれば、私もそうかなと思いたいところですけれども、上の囲みの中の3番目の丸で、「これは国民が対価を払うことなく享受してきた見えざる国富」ということで、農村と言いましょうか、水でつながった集落の存在というのはもちろん非常に重要だと思いますが、国民が全く対価を払うことはなかったかなというところの理解が私はちょっと不十分でして、それなりに何らかの対価は払ってきたのかなと思っていますけれども、一切対価を払うことなくというところの背景を教えていただきたいと思います。

○渡邉部会長
  文章化の中でまたご検討いただきますが、ご質問ですので、今の時点で答えて頂くことがあったら事務局、お願いいたします。

○原川計画調整室長
  現時点ではございません。

○渡邉部会長
  よろしいですか。
  大事な国富のところですから、引き続き検討していただいて、次回までに検討をお願いします。
  次回までにまだご意見がありましたら、事務局にお伝えください。事務局は欠席の委員の方も含めてご意見をまとめていただくことになると思いますけれども、引き続きよろしくお願いします。
  では、議題の1はここまでとさせていただきます。
ありがとうございました。
  それでは、議題の2に移りたいと思います。
  議事の2番目は「都市農業振興基本計画の策定(諮問)」についてですが、これもまず事務局よりご説明をお願いいたします。

○増井都市農業室長
  都市農業室長をしております増井でございます。
  まず、都市農業振興基本計画の策定につきましては、参考資料1にございますように、本日付で農林水産大臣より審議会に対して諮問をさせていただいております。
  この基本計画ですけれども、昨年4月に都市農業振興基本法が制定されておりまして、その中で、政府が基本計画を定めるということが規定されております。計画の策定に当たっては、農林水産大臣、国土交通大臣が案を作成して、審議会の議を経るということになっておりますので、今回の諮問はその一環ということでございます。
  計画本体はお手元の資料の後ろの方の2ー3ということで付けさせております。この計画に関しては昨年の9月以降、国土交通省と農水省で研究会を設けまして、その中には4人の学識経験者も入っていただきながら、議論・検討を重ねてきたものであります。
  計画自体、30ページ強ありまして、非常に分厚いものになっておりますので、説明は資料の2ー2というA3の大きな紙でご説明したいと思います。
  まず、左側の「現状」ということですけれども、市街化区域内の農地は宅地化すべきものとして位置付けられております。
  これは昭和43年に都市計画法が制定されて、全国の都市で都市計画区域というものが設けられた際に、いわゆる市街化区域の中に取り込まれてしまった農地ということでございます。
  一方で、生産緑地制度というものがございまして、これはそういう農地ではありながら、緑地機能ですとか、あるいは将来の公共施設用地として評価して、営農をそこは例外的に継続できる、あるいはしっかりやっていってもらおうということで、市町村から指定を受けた農地です。
  しかしながら、そうは申しましても、それは農業振興を積極的に図るという制度ではございませんので、これまで主要な農業施策の対象外とされてきておりました。
  税制でございますけれども、市街化区域内の農地はそういう性格の農地でしたので、固定資産税は宅地並課税ということで、非常に高い税率が課せられております。
  ただし、生産緑地に関しましては先ほどご説明しましたように、農業を継続できる、ただし、これは30年間農地の管理をしなさいということと、開発規制も課せられております。その関係もあって、農地評価・農地課税ということで、非常に税負担が低く抑えられております。
  また、相続税の納税猶予の適用も生産緑地は受けられるようになっておりますが、終身営農が条件になっておりまして、貸借はできない、人に貸したりはできないということになっております。
  そういう性格の都市農地ではございましたけれども、近年、状況が大きく変化してきております。左の下に書いておりますように、「食の安全意識の高まり」ですとか、「農業へ関心を持つリタイア層の増加」、それから学校教育ですとか、体験活動を通じた「コミュニティ意識の高まり」、それから大きな要因としましては、人口減少社会に突入して、宅地需要が減ってきておりまして、農地転用をしていく必要性も少なくなってきております。
  それから、東日本大震災を契機としまして、都市農地の持つ防災機能ということに非常に注目が高まっておりまして、都市住民のニーズが高まってきているということでございます。
  こういったことを踏まえまして、都市農業振興基本法が、先ほどご説明しましたように昨年の4月に制定されております。この基本法では、法律の目的として都市農業の安定的な継続を図ることが規定され、都市農業の新しい方向が示されております。
  その中で、特に政策課題としまして、「都市農業の多様な機能の発揮」ということがうたわれております。これは先ほどご説明しました左側の状況の変化というところに概ね対応するものでございますけれども、「農産物を供給する機能」を始め、防災ですとか景観、環境保全、それから体験・交流の場、理解醸成の機能というような、6つの機能が示されております。
  この機能の発揮を図っていく上で、まず農業政策上の都市農業の位置付けですとか、都市政策上の位置付けが何だろうかということを整理しております。
  まず、農業政策上の意義でございますけれども、都市農業の農家戸数、販売金額はどんどん農地が宅地化されて減ってきたとは言え、全国で1割弱を占めております。これはやはり食料自給力の重要な一翼を担っているということでございます。
  それから、都市農業はそういう非常に厳しい政策環境、税制環境に置かれてきた中で、やはり生き残りをかけていろいろな工夫をしてきております。
  例えば、地産地消ですとか体験農園、それから農福連携、こういったこれからの農村地域におけます6次産業化のある意味モデルとなるような取組も数多く出てきているということでございます。
  それから、我が国の農業をめぐる国際環境も、今後非常に厳しくなっていくことが予想される中で、やはり都市住民に対しまして、農業なり農業政策をしっかり理解してもらう身近なPR拠点としての役割もあるのではなかろうかということでございます。
  右側が都市政策上の意義でございます。国土交通省におきましては、3年ほど前からいわゆるコンパクトシティーですとか、都市と緑・農の共生というのが今後の目指すべき都市像ということで打ち出されております。
  今回、基本計画の中でもそこをしっかり踏まえて、都市農地を貴重な緑地として明確に位置付けていこうということでございます。
  それから、都市農業はこれまで緑地ですとか宅地用途ということで、そういった機能でしか着目されてこなかったのですけれども、今後は、都市の重要な産業である、特に地方都市におきましては、やはり都市の中の農業というのは、ある意味、土地を使って収益を生み出す産業ではないかということで、新しい切り口でも都市農業を捉えていこうということでございます。
  それから、3点目が「持続可能な都市経営」のためには、民有の緑地の適切な管理が必要だということでございます。
  これは例えば、都市の農地を自治体が買い取って、そこを都市公園などとして管理していくことになりますと、購入費用ですとか、維持管理コストなど膨大な費用がかかります。
  これを農家の方が、そこで農業を続けていってもらうだけで、緑地機能ですとか体験機能ですとか、同等の機能が発揮されるわけです。これは都市経営にとっても財政上も非常に効率的ではないかということでございます。
  こういった評価を踏まえまして、基本計画では新たな施策の方向として3つの方向性を出してきております。1つは「担い手の確保」ということでございます。都市農業とは言え、やはり高齢化ですとか後継者不足の問題は一般農地と変わらないわけです。
  しかしながら、都市農業の農地は一般農地と違いまして、小さい農地があちこちに分散しているような状況ですので、いわゆる担い手を決めて、そこに土地を集積して規模拡大をしてコストを下げていくといった方向性は描きにくいということで、むしろ多様な担い手に農地を守って都市農業を支えていってもらおうということでございます。
  もちろん、営農の意欲を有する後継者の方が基本になるのかもしれませんけれども、一方で食品関連事業者、例えば食品のメーカーですとか、スーパーが都市内の農地を借りて、そこでとれたものを原料にして、加工食品をつくったり、あるいはスーパーの店頭に店頭野菜として並べて売ったりする取組をどんどん推進していくことや、都市の住民のニーズを捉えた取組、福祉関連の企業ですとか、教育関連の企業、こういったところが参入して、体験型の農園を開設して、非常に評判のいい取組を行い、全国に広がっていっているような状況もございます。
  こういった方々も、しっかり施策の対象にしていこうということでございます。
それから、真ん中の「土地の確保」ということでございます。これまでは宅地化すべきというところで、農地として守っていくという制度になっていなかったところを、あるべきものということで、大きく転換を図って、計画的に保全をしてまいります。地方自治体で今コンパクトシティーに向けた計画づくりも進んでおりますけれども、そういった施策ともしっかり連携をしていくということでございます。
  3点目は、都市農地保全のマスタープランの充実ということでございます。都市計画法ですとか、都市緑地法ですとか、そういった、いわゆる都市計画サイドの制度がたくさんありますけれども、そういった中でも農地をしっかり位置付けて、計画的に保全を図っていくやり方を今後検討していこうということでございます。
  3点目が「農業施策の本格展開」ということで、これまで主要な農業施策を講じてこなかった都市農地に対しまして、今後は保全をするということで方針を変えていくわけですので、今後は農業振興策を積極的に講じられるように方針を転換するということであります。
  右側の欄が、施策展開に当たっての「ポイント(留意点)」を記載しておりますけれども、まず「施策の対象区域」は市街化区域のほかに、縁辺の市街化調整区域を含むということでございます。これは、都市によっては市街化区域内に農地が少ないところもあります。そういった地域では、近くの調整区域内にある農地が都市住民の憩いの場であったり、体験の場であったり、重要な役割を果たしておりますので、そこは少し広げて考えていこうということでございます。
  それから、都市計画制度の色々な制度で、市町村などが権限を持っておりまして、重要な役割を担っておりますので、今回、今後の施策展開に当たっても、やはり地方公共団体をキーにしまして、そこが地域の実情に応じた具体のエリアで政策を実施していくということでございます。
  2点目が新しい制度の話ですけれども、そういった、先ほどもご説明しましたように担い手の多様化を図っていくということは、いろいろな事業者が参入してくるということですので、やはりしっかりした事業計画を持って、しっかり農地を守っていってもらうということにしていく必要があるわけですけれども、図らずもそこが後々転用されたり遊休農地化したりとか、何か開発行為をして目的外に使われたりということがあってはならないわけですので、まず事業計画をしっかり公的な主体が評価をして、認定をして、場合によってはそこはしっかり土地利用規制もかけていく、守っていくということでございます。
  それから、「税制上の措置」ということでございますけれども、冒頭ご説明しましたように、今の税制は、いわゆる宅地化税制ということで、非常に重い税負担になっているわけですけれども、今後は農地として営農活動を支援していくという方向にかじを切っていくわけですので、やはりそういった取組に見合った保有コストの低減、これは固定資産税の軽減のことを想定しているわけでございますけれども、あるいは生産緑地に関しましては、貸借をすると今、納税猶予が適用を受けられないということになっておりますけれども、今後、担い手を多様化して、いろいろな方々が農地を使えるということになりますと、納税猶予がそこで切れてしまうという制度ですと、なかなか貸し手も貸したがらないということになりますので、そういったところもしっかり対応を検討していこうというところが2点目でございます。
  それから、「講ずべき施策」ということで、下に柱を幾つか書いております。全て都市農業振興基本法の中で、政府が講ずべき施策ということで明記されている項目でございます。これに関しましても、両省でこれまで検討をして肉づけを図ってきております。
  ポイントだけ簡単にご説明しますと、例えば1の「農産物を供給する機能の向上」のところでは、福祉や教育に関わる民間企業による都市農業への関与の推進ですとか、あるいは2番目の防災、景観の形成機能のところでは、防災協力農地の普及あるいは地域防災計画への位置付けの推進ですとか、3点目の土地利用の部分に関しましては、都市計画の市町村マスタープランや緑の基本計画に都市農地の保全を明確に位置づける、こういったことも盛り込んでおります。
  右側にいきますと、「税制上の措置」は先ほどご説明しましたように、固定資産税の在り方、それから生産緑地にかかる相続税、納税猶予の在り方を今後検討していくという方向性を打ち出しております。
  5番目は地産地消の推進ですとか、学校教育との連携、こういったことでございます。6番目は市民農園等の推進、こういったことをしっかりやっていって、農作業を体験することができる環境をつくっていくということでございます。
  新しい話としては、2ポツ目にありますように都市住民が農業を学ぶ拠点としての都市公園の新たな位置付け、こういったことも検討していこうということを盛り込んでおります。
  7番目は「学校教育における農作業の体験の機会の充実等」ということでございます。既存の体験ですと、種まきのときだけとか、収穫時だけということになっていますけれども、もっと農作業の過程全体に関わるような取り組みをやってもらって、いわゆる農業のある意味大変さとか、生き物の大切さみたいなものももうちょっと学校教育の中でしっかり位置付けられないかということで、文部科学省ともこれを検討していくということで出しております。
  以上が簡単ではございますが、基本計画の大まかなイメージでございます。
  今後の手続、スケジュールに関しましては1カ月程度のパブリックコメントの期間を設けまして、3月の下旬にもう一度この審議会の場でご議論いただきまして答申をいただきたいと思っております。
  その後、各省間での協議、調整を経まして、4月の下旬を目途に閣議決定をして公表をするという予定を描いております。
  事務局からの説明は以上です。

○渡邉部会長
  ありがとうございました。
  それでは、今ご説明いただきました都市農業振興基本計画につきまして、委員の皆様からご質問、あるいはご意見がありましたらご発言いただきたいと思います。
  いかがでしょうか。

○小谷委員
  市民農園、家庭菜園に親しむ者として、農業体験が農業への理解につながると思うので、1番目にちょっとだけ言わせていただきます。
  この今回の基本計画、本当に待っていましたというような気持ちで嬉しく思います。
意見としましては、この赤い枠のところの身近なPR拠点となっていますけれども、本当に都市に農業をする人が増えるということは、農業PRに止まらず、農業や食料生産の意義を知るきっかけの場であり、農業や農村、農作業そのものを理解する場という意味で、都市にあるということは非常に大きな意味のあることだと思います。
  人口の多いところで農業が身近になることの重要性を改めて加えたいと思います。そして、あとは貸借される税制上の部分について、本当に市民農園や体験農園が都会の中で人が触れることが多くなることが、1億総活躍の全てが解決する場所になると思います。
  介護や福祉、介護予防にもなりますし、心のリフレッシュにもなりますし、そしてこの、今の農業や地方の問題を都会の人が本当に他人事ではなくて自分のこととして親しみを持って考える場になり、農業農村に対するリスペクトにつながる大きな意味のあることだと思います。

○渡邉部会長
  ありがとうございました。
  河野委員、お願いします。

○河野委員
  今の小谷委員の熱意に、確かに本当にそうだなと思います。消費者の立場ですけれども、やはり生産とそれから消費というのがそれぞれの現場が非常に距離があり過ぎて、なかなかお互いの理解につながらないということなので、都市で農業を頑張っていこうと思っている方、それからなかなか土地は手放せないし、農業もできないんだけれども、何とかしていきたいという方にとってみると、やっとそれを支える形ができたのかなと思っています。
  幾つか頑張っていただきたいということをお伝えしたいと思いまして、1つはやはりグリーンのところの担い手の確保のところに、実際、所有者の方以外の新規就農者を含むさまざまな食品関連事業者の方、それからビジネスを展開できる企業の参入もということなんですが、そのあたりの農地を持っていらっしゃる方のこれまでの意識というのをどれだけ払拭できるか、つまり、誰かに貸してしまったら戻ってこないかもしれないみたいなところを本当に上手に、意識を払拭して、いろいろな方の参入がスムーズにいくようにというところは配慮していただきたいというのが1点目と、それから2点目は、都市計画とそれから農地の話題なんですけれども、地方公共団体が今回はどれだけイニシアチブをとれるかなというイメージを持っています。
  土地を持っていらっしゃる当事者に加えて、行政、それから周辺の住民の皆さんなど、複数の視点から都市農業の価値というのをみんなで理解して、みんなで応援していくという方向でうまくまとめていただければいいなと思っています。
  私がかつて住んでいたところでは、住宅地の真ん中で結構な面積でカブをつくっていらっしゃったんですけれども、やはり農作業で土が舞うとか消毒は困るとか、除草は手でやれとか、周囲の住民からは、後から来たにもかかわらず過大な要求もありますので、そのあたり、軋轢のないように上手にやっていただければなと感じました。
  最後に、ついこの間報道で読んだのですけれども、千葉県の浦安市には、いわゆる農地の登録が1つもなく、市内の小学校で野菜工場か何かの形で小学生が農業に触れる機会を確保したというニュースをついこの間読んだばかりなので、ぜひ農地があるところでは、こういった取り組みを頑張っていただければと思います。

○渡邉部会長
  では、森委員。

○森委員
  ありがとうございます。
  ご説明の意図は大変よくわかりましたし、小谷委員のような意見があるのも承知しております。私は北海道から来ておりまして、都市農業振興基本計画というものがこれからできるんだという話を一般的に農家の人にしたときに、ほとんどそれに対して、「あ、そう」というような感覚です。それはなぜかと言うと、食料の安定供給を担っている、土地改良の長期計画の中で、大規模で生産コストを削減して生産効率のいい強い農業をやっていくことと、この都市農業振興基本計画で言われていることの接点みたいなものが見えないからだと思うのです。
  小谷委員がおっしゃったように、確かに、それを切り口にして農業の理解を進めるということは大変重要なことであるとは思います。よくマスコミで「生き残れる農業」というような形で報道されるときに、都市型で非常に売る場所も近く、理解のできやすい果実や野菜のことだけを取り上げられますけれども、日本の直面している問題としては、そのことだけを華々しく伝えたり、それが最も重要であるという言われ方をするのは農業全体を考えるときにはどうなのか、私は少し憂慮している部分があります。今のご説明でおっしゃっていることはたくさん正しいこともあるし、未来のあることも多いんですけれども、それと長期計画に盛り込まれています、強い農業をつくるための国民の理解の醸成の部分との接点を、ぜひ都市農業振興基本計画で都市の方たちにきちんと書いてお示しいただきたいと思いました。
  以上です。

○渡邉部会長
  ありがとうございました。
  もう何人かからご意見いただけたらと思いますけれども。
  中嶋委員。

○中嶋委員
  今回の都市農業振興法、それからこの基本計画というのは、いわゆる守ることで都市の農業を維持するのではなくて、攻めることで都市の農業を維持するという、そういう大きな転換点のところにあると理解しております。
  現実に都市農業で非常に元気な方もいらっしゃいますし、ビジネスとしても成功している方がいるわけで、そういった人たちをいかに伸ばしていくかというのは農業政策上もとても意味があるのではないかと思っております。
  そのときに、先ほどもご指摘があった身近なPR拠点としての役割、そういう外部効果も非常に大きいと思うのですが、ただ、それは都市住民から見られている、先ほども幾つかご指摘がありました。そういった点からすると、都市農業はこうあるべきだというある程度の規範というか、ガイドラインみたいなものが本来あった方がいいのではないかなと思います。
  もちろん、地域によって非常に多様なので、こうあるべきだというのは示すことは不可能であると思いますけれども、ただ、逆にがっかりさせてしまうと農業に対しての応援団に都市住民がならなくなってしまうということも考えると、ちょっと懸念されるところです。
  そういうことをする農家の方々は、何か施策的に応援していくというような、そんな仕組みがあるといいかなと、個人的には思っています。

○渡邉部会長
  ありがとうございました。
  ほかいかがでしょうか。
  横田委員、お願いします。

○横田委員
  この都市農業というのは、長い目で見ますと、食料を生産する場で、本当に自然なもので自分がつくったものを口にしたときに、これから海外から入ってくるものと断然の差があるということを実感される人たちが多くなるのではないか。そのためにも発信する場としては非常にいい方向にあるのではないかと思います。
  中山間地の農業は、面積が狭くて多様な農業があるんですね。それは健康のため、楽しみのため、老後の年金の上乗せの農業があります。
そういうことを考えますと、この都市農業の貸し手の方のメリットもあるし、借り手にもメリットがある。これはすごく中心的に発信するには非常に良い計画かなと思いますので、今後とも進めていただきたいなと思います。
  以上です。

○渡邉部会長
  他はいかがでしょうか。
  幾つかご意見出て、基本的には冒頭申し上げたように、時代を画するような新しい試みを評価する部分と、森委員からはご心配のご指摘もありましたけれども、引き続き次回まで検討するということです。
  森委員がご指摘になったのは、私の理解ですが、それぞれこの書きぶりの中では、食料・農業・農村の基本計画での位置付けをそれぞれきちんと書いていくことになると考えます。土地改良長計とこの都市農業振興計画との関わりということではなくて、大きな枠組みの中でそれぞれ位置付けていくと整理ができると思うのですが、いかがでしょうか。これからも含めて、少しまたご意見ありましたら。

○小谷委員
  短く、少しだけ。
  小さい子どもさんや若い子が農に触れる機会が増えることが、実はプロの農家になりたいという夢を持つきっかけにもなると思います。
  都市における農業を今回の新しい動きと言いがちですけれども、都市として栄える前は農村であったと思うので、人として暮らすために農が身近になるのは、むしろ新しいことではなく都市が農の場を取り戻す、という意味合いを全体に入れていただければ今の話も少し理解できるのではないか。

○渡邉部会長
  ご提案、ありがとうございました。
  いかがでしょう、よろしいでしょうか。
引き続きこの部会でも次回検討することになっていて、次回は答申をする前提で議論をすることになりますが、ご意見ありましたら、事務局に寄せていただきたいと思いますし、両計画の関係についても事務局でご検討いただきたいと思います。
  それでは、この議題2はここまでとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
  それでは、議事の3番目は、「技術小委員会への付託事項について」ですが、これもまず事務局よりご説明、お願いします。

○原川計画調整室長
  資料3でございます。「技術小委員会への付託事項について」ということで、今年度は2項目について技術小委員会への付託を予定しております。1つは計画基準、暗渠排水の改定でございます。
  これは参考資料の2にございますように、本日付で大臣から食料・農業・農村政策審議会の会長への諮問が行われております。
  内容につきましては、大区画化の推進に対応した暗渠排水計画の策定、地下かんがい排水などの暗渠排水技術の導入、効率的な保全管理手法等について、記載の充実を図るというものでございます。
  2つ目が本日の資料1でもありました「農業農村整備に関する技術開発計画の策定」ということでございまして、新たな長期計画の政策目標の達成に向けて、技術開発の展開方向について取りまとめるということでございます。
  第1回目の技術小委員会を2月下旬から3月上旬に開催いたしまして、来年度も引き続き、2、3回程度開催する予定です。
  技術小委員会の委員につきましては、現在、任命手続中でございますので、決定後にお知らせさせていただきたいと思っております。

○渡邉部会長
  ありがとうございました。
  では、ただいま事務局よりご説明いただきましたとおり、この資料3の事項につきまして、技術小委員会に付託したいと考えますが、ご質問、ご意見等ございますでしょうか。
  よろしいでしょうか。
  それでは特にご意見ないということですので、このような手続をとらせていただきたいと思います。
  委員が決定した時点で事務局より皆様にお知らせしていただくことになりますが、この委員会で審議を進めていただくということになります。
  よろしくお願いいたします。
  本日予定しておりました議事は以上でございますが、全体を通して何かございましたらご発言いただきたいと思いますが。
  よろしいでしょうか。
  それでは進行を事務局にお返しします。

○原川計画調整室長
  本日は貴重なご意見をたくさんいただきまして、まことにありがとうございました。
  次回の部会は3月下旬に予定しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  以上をもちまして、本日の部会を閉会させていただきます。
  ありがとうございました。

お問い合わせ先

農村振興局整備部設計課計画調整室
ダイヤルイン:03-6744-2201
FAX:03-5511-8426

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