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農林水産省

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新たな土地改良長期計画に関する地方懇談会 東海ブロック(平成27年11月25日)議事概要

1.日時及び場所

日時:平成27年11月25日(水曜日)14時00分~16時30分
場所:桜華会館南館 3階 桜花の間

 

2.議事

(1)開会
(2)新たな土地改良長期計画の策定について
(3)東海地域における農業農村整備の現状と課題
(4)地方代表者による意見・要望等
(5)質疑・応答
(6)意見交換
(7)閉会

 

3.議事概要

議事概要(PDF:178KB)

【地方代表者による意見・要望等】
【和仁農園  和仁氏】
○建設業から農業に進出し、食味にこだわったブランド米や飼料用稲など約27haで営農している。条件が悪い中山間地であるが、建設業における工程管理等の技術を活用し利益を求める営農を進めている。現在の生産原価を更に下げるため、農作業管理ソフトや除草ロボットの導入などICTの活用を進めていく。
○建設業からの農業参入のため、当初はJAから良く思われていなかったが、現在は様々な優遇を受けている。
○当地域の農地を潤している水利施設は、昭和32年の整備のため、老朽化している。県による事業化のための調査は済んでいるが、政権交替があり予算不足のため、実施されていない。震度5強程度の地震が起きれば、施設は壊れ農業生産ができなくなるとともに、相当な水害の発生が危惧され、生活用水としても支障となることから、早急に対策を進めてもらいたい。
○当農園での飼料用稲(WCS)の生産原価は9万円/10aであり、水田活用交付金8万円と産地資金2.5万円を活用して何とか利益が出ている。交付金8万円を無くそうという議論もあるようだが、この8万円は畜産農家への助成金と思っており、無くなれば畜産業の影響が大きい。そういった悪影響がある削減については止めて欲しい。

 

【農家  渡会氏】
○昭和43年の豊川用水完成とほ場整備事業等の実施により、芋、豆の栽培からキャベツなどの高収益作物等の一大農業産地となった渥美半島において、施設園芸(輪菊)を営んでブランド化などに尽力(平成4年度に天皇杯受賞:園芸部門 周年菊出荷連合)してきたが、東海地震・東南海地震など大規模地震による被害を危惧している。
○幹線水路の耐震化対策は進めて頂いているが、まだまだ石綿管等古い管が埋まっている路線も多々ある。そういった箇所も速やかに取り替えて頂くとともに、万が一、地震が来た場合の施設復旧やほ場の除塩対策などの青写真でも描いて頂ければ有り難い。

 

【八百文  鈴木氏】
○お金儲けのための農産物というだけではなく、命と健康を守る食の改善という思いで果物屋を経営している。産地での講演も多く、皮ごと食べる種なしブドウを考案し、シャインマスカット等の品種改良を後押しして今の大人気に尽力した。
○大規模農家でアメリカやヨーロッパに勝つようなところもあるかもしれないが、品種改良にもっと力を入れて、産地の特産物(ブランド品種)や個性が輝くような生き残れる施策をお願いしたい。
○中山間地では農業を続けられず耕作放棄が進んでいる。意欲のある農家が一生涯好きな農業を続けられて、なおかつ消費者にも寄与できるような施策をお願いしたいし、自分自身も携わっていきたい。
○県の多面的機能委員会の委員もやっているが、農村の環境を保全すること、また、そのための活動を通し、地域社会で素晴らしいコミュニケーションが生まれることを一緒に携わり、学ばせてもらっている。

 

【鍋田土地改良区  白木氏】
○海抜ゼロメートル地帯を受益とするエリアで土地改良施設の維持管理を行っている。水田は海抜マイナス2m、宅地でも0m程度であり、年中機械排水が必要な地域である。
○地域の農業水利施設の資産価値はおよそ400~500億円と想定しており、水田面積で割れば約400~500万円/10aの設備投資がなされている。先のUR対策でも整備が進んだと思っている。
○担い手への農地集積が進んできているが、土地改良に携わる組織の将来に不安を感じている。地域でも組合員約1,000人のうち、実際に水田の水管理に携わっているのは2割程度であり、管理のための賦課金や土地改良事業の実施等に関して意識が薄れてきている。

 

【三重県土連  加藤氏】
○県内各地域の実情に合った事業メニューを地元目線で検討し、行政との橋渡しができるような事業展開を行っている。事業が着実に推進できるよう、土地改良長期計画等に基づき農業農村整備事業予算の十分な確保をお願いしたい。
○農地中間管理事業をはじめとした農地集積による土地持ち非農家の増加等、構造変化が加速化しており、これから事業を進めていく上で、土地改良事業の参加資格や費用負担等について、法制度の見直しが必要と考えている。
○土地改良区は、農業者にとって一番身近な存在であり、地元調整や水の利用調整などに携わり地域をうまくまとめている。組合員の減少は賦課金の減少に繋がり、土地改良区の運営は厳しくなっていくため、運営基盤を強化する対策が必要である。
○各事業の補助率について、今は事業で一律となっているが、農道や排水路など公共性が高い工種は補助率を高くする(地元負担を軽減する)など見直してもらえれば、同意徴集や地元調整がスムースになるため、検討をお願いしたい。

 

【三重県農林水産部  福岡氏】
○限りある予算の中で、施策が現実的で実現可能であるためにはどうあるべきかと考えた時に、古くなったから直すという施策ではなく、地域、市町村、県、国が役割分担の中で、施設の機能維持や向上などの対策を行う必要がある。
○三重県の農地集積率は33%だが10年後の目標は70%であり、今後、集積が進み構造が相当大きく変わると思っている。農業に携わる方が少なくなってきた時に施設をどう維持していくのか。受益者負担が増大していくことへの対策が必要である。
○地域のコミュニティも農業を中心に守られてきた。施設の持つ機能をきっちりと理解して広く関わってもらう。農業に関わる人を増やしていく施策が必要ではないか。
○地元での地域活動への参加において、多面的機能支払活動・農事組合の法人化、人・農地プランの策定、農地中間管理事業への取組みに携わったが、行政に関わる者であってもJAや市役所に聞くことが多くあった。裏を返せば、行政としてきっちりと地元の懐に入れていない、コーディネートする役割を果たせていないという思いを持った。そういった点が地域の農業を支えていくための我々の役割だと思っている。

 

【質疑・応答】

【農家  渡会氏】
○私の地域は概ね海抜5mであり、地震による津波が来れば一蹴されてしまう。塩害の除去をいち早くできるような対策イメージが持たれているのか。そのような対策を検討してもらえれば、営農を続けていく上で安心できる。

 

【農村振興局  堀畑都市農村交流課長】
○これまでは大規模な津波を想定した施設を造ってこなかった。東日本大震災の被害の状況を見ても、被害の大きい施設、奇跡的に助かっている施設等いろいろである。そのような中、排水機場の復旧では、電気設備の位置を高くするなど様々な工夫がなされている。今後、東海地震等が危惧される中でそういったことを考えながら検討を進めていくというのは一つの方法である。

 

【東海農政局  長山設計課長】
○現在、非常時における業務継続計画の作成について、県、土地改良区でモデル的に取り組んでいるところであり、今後、情報提供に努めたい。

 

【農村振興局  堀畑都市農村交流課長】
○工種毎の補助率というのは、平成5年の補助率の整序化などの経緯からすると難しいと考えるが、地方財政措置等の視点で公共性の高いものについては手厚くするといった議論はあるかもしれない。
○飼料用稲等への助成金(水田活用の直接支払交付金)に対しては、財政審の中でも厳しく言われているが、助成金があり安定的に生産できるという背景がないと取組みが広がらないという議論もしてきた。与党内での声も強いため、継続する方向で堅持していくものと思っている。

 

【東海農政局  長山設計課長】
○予算や施設整備等に関する話が合った。平成28年度予算の概算要求では1,000億円の増額要求をしている。要望については東京に伝える。また、実施においては、県などと相談しながら進めていく。
○担い手への農地集積による組合員の減少への対応など、土地改良法(法制度)の関係については、現場の意見を聞きながら、検討している最中である。

 

【意見交換】
【毛利委員(座長)】
○平地と中山間地域においては目指すべき農業・農村の姿が異なると思うが、それぞれの地域においてどのような施策を推進していくべきかについて皆様からご意見を頂きたい。

 

【石井委員】
○平地は大規模化で低コスト化が図れるというが、集積が増えると人の雇用も増えることから、一人当たりの作業面積は減っていない。30a区画は50年前の水準であり再整備が必要である。
○畦畔除去による大区画化(再整備)をより効果的に行うためには担い手の耕作地の集団化が必要となるため、零細農家も含めた土地利用調整を組み込んだ整備の考え方が必要である。
○大区画化のなかで末端水路を省略するなど管理すべき施設を減らすことにより、少数の担い手で維持管理ができるようにすることも必要である。

 

【鍋田土地改良区  白木氏】
○施策のせいなのか、団塊世代のリタイアが多いのか、米価が安いためなのか分からないが、農地集積を進める速度が速すぎる。
○集積ばかり急ぎすぎて、水管理等の維持管理を含めた営農ができる担い手が育っていない。担い手にノウハウがまだまだ蓄積されていない。
○地下水位が高いため末端排水路をなくせば乾田化ができなくなり転作できなくなる。また、安易に末端排水施設を減らすことは、地域生活において支障がでる場合もある。
○飼料の国内調達(飼料用稲)も例えば2割・3割という方針が必要である。

 

【農家  渡会氏】
○渥美半島は平坦地であり、畑主体の地域である。
○1戸あたりの経営耕地面積は6~10haであるが、ほ場規模は10~30aと小さく、大型機械での作業効率が悪い。
○施設園芸では施設の集約ができず集中管理が難しいことから、非効率である。
○集積する手立てがわからず、また、新たな費用負担をしたがらない。

 

【三重県農林水産部  福岡氏】
○県内約2,100集落のうち、中山間地域は約850集落。農村集落は、農業を中心としたコミュニティによって形成されてきた。
○地域資源を活かした儲かる農業も必要だが、全ての集落で行うのは困難である。
○中山間地の集落、拠点都市に近い集落、など地理的条件を活かす方法もある。
○画一的ではなく、田舎ビジネス・企業とのマッチング等、地域にあった農業振興方策について集落での話し合いを促進することが重要である。

 

【三重県土連  加藤氏】
○中山間地では、転作奨励により荒廃し、耕作放棄地と化している実状がある。
○中山間地は生活(居住)の場であり、生業が必要。産業施策と地域施策のバランスが必要である。
○高齢化・人口減少等によりコミュニティの崩壊が懸念される。
○農業農村整備事業によるハード面での下支えを行うとともに、将来ビジョンを示していく必要がある。

 

【毛利委員(座長)】
○成長産業の実現のため、地域毎の施策をどうするのか、産業施策と地域施策、農業農村整備事業で下支えし地域コミュニティを守る、ハード・ソフト全体的な支援が必要との意見が出てきた。
○次に、農村地域における防災・減災の取組を効果的に実施するため、どのような対策を講じるべきか。また、地域コミュニティの機能を活用するために必要なことは何かということも含めて皆様からご意見を頂きたい。

 

【和仁農園  和仁氏】
○平地と違い、収入を生まない土地(法面など)を持つのが中山間地である。
○地形上、機械の大型化は不要である。10a当たりの労働時間も多いが、おいしい米で差別化している。
○受託地のうち、一部に大区画ほ場があれば使用する機械が違ってくる。建設機械と異なり農業機械はリースができない。
○おいしい米づくりのために、投資は嵩むが作期を逃さないためのバックアップ機も準備している。
○水田がきちんと管理されていれば、異常豪雨でも災害は起こらない(荒廃地は災害が多い)。このような面でも地域貢献している。

 

【八百文  鈴木氏】
○食料と国土を守るために農業は必要である。都市部の人は、食べることによって農業が守られるという自覚がない。意識改革が必要。
○農業を知らない人が多い。農業に携わり、育て・実り・収穫する喜び、触れる喜びを知ってもらいたい。併せて、食べることの大切さを教育することが必要。これらはいい農業につながるはず。
○果物・野菜を毎日摂取することが医療費削減に繋がると思っている。飲食したものが体を作ることを理解してほしい。

 

【毛利委員(座長)】
○ブランド化も必要であり、農業に関する思考を変えていくことも必要である。

 

【農家  渡会氏】
○田原市は旧3市町が合併し、19校区のコミュニティが存在。うち、18校区は農地・水保全管理支払い交付金の支援を受けており、市全域で年1回環境整備を実施している。全国的に見ても例がないのでは。

 

【近藤委員】
○儲かる農業の実現、TPPの締結で変わる環境、追加投資の必要性など、このような中で、今後の展望、土地改良事業では何をサポートできるのかなどについてのご意見を伺いたい。

 

【和仁農園  和仁氏】
○通常、企業農業では利益の出ないことは行わないが、安全安心でおいしい米の生産と地域への貢献という自負から、今は儲からない農業をやっている。
○TPPには賛成である。日本は資源がないため、輸入→加工→輸出の流れを変えることはできない。
○農家は、生産原価を知らない。これでは商売はできない。
○地域での更なる高齢化・人口減少により、受託面積の増を見込んでおり、機械が必要であることから、今も設備投資を進めている。
○農地中間管理機構は、農振農用地区域内でしか受託できない・整備事業ができないなどの制約がある。中山間地は区域外が多い。市長特例などで対応できれば農地への耕作道の拡幅などの整備が可能となり、中山間地は良くなる。

 

【農家  渡会氏】
○輪菊経営に特化。周年菊のブランド化を行い、業務用をターゲットとしている。
○良い物をつくり、一級品としてのブランド化により市場で優位に立つ。
○今後は、一般消費者向けの生産を伸ばそうと考えている。
○ハウス1棟の建設に2,000万円かかる。増産するには離農者のハウスを借り補修するほうが得策である。
○増産の余力はあるが、次の世代へ託すようにしている。
○農地は、ほ場整備がなされており農業用水も確保されて満足しているが、小区画ほ場で虫食い状態でハウスが建てられ、再整備には地権者が複雑なため問題がある。
○TPPについてはやむなしと考えている。花は既に中国に押されてきているが、差別化できれば生き残ることができる。

 

【八百文  鈴木氏】
○TPPには対応する知恵・力が必要。
○生き残るには、産地に目を向け個性を引き出す必要がある。

 

【近藤委員】
○邪払(柑橘類)等にはTPPはプラスに働くと考えているのか。

 

【八百文  鈴木氏】
○蒲郡では邪払の生産量が3倍になった。中国等に輸出しプラスにしたいと考えている。
○産直や直販などで中央市場も厳しい状況がある。市場内での加工販売等の工夫もしてみたい。

 

【石井委員】
○農地所有者で、農地を預けた人の地域活動への参加状況はどうか。
○大規模農業は農家が減って農村の弱体化を招くことが懸念されているが、実態はどうか。

 

【和仁農園  和仁氏】
○現在は、農地所有者は、農地を預けても集落に住んでおり、賦役等には参加している。
○高山市上宝町の2040年の人口動態を見たとき、現在の58%となる。4割がいなくなることを危惧している。子供たちの農業体験等を模索中であり、地域を守るための施策検討が必要である。

 

【農村振興局  堀畑都市農村交流課長】
○文部科学省・総務省と連携し、都市の子供の農村での農作業体験等の活動支援も行っている。

 

【農家  渡会氏】
○施策検討の際、成功事例のみを見て、一律に考えること(誘導すること)はやめていただきたい。各地域の特徴を活かした検討をしてもらいたい。

 

【鍋田土地改良区  白木氏】
○TPPの動向よりも米価の変動に注目しているとともに農地中間管理機構へどの程度農地が集約されていくのかにも関心がある。
○高齢化・担い手への集積により生産者が減ってきている。地域の組織が不要だといわれるのか。優秀な人材は多いが、力を発揮できておらず、リーダーがいない。
○高い物が売れて、安い物が売れない。産直の地場産物が減っている。これらも問題である。

 

【和仁農園  和仁氏】
○空き家対策として、義務教育期間の子供がいる家族に移住してもらうことを考えている。
○家庭菜園等を行うことで農業に触れ合ってもらいたい。
○差別化された農産物は高くても売れる時代になっている。

 

【農村振興局  堀畑都市農村交流課長】
○空き家対策は、地域協議会を設立すれば対応可能な事業がある。
○今、優秀な若者が農村へ定住する事例も増えていることから、将来にわたって定住する可能性も考えられる。

 

【毛利委員(座長)】
○大規模化・集約化の話が出ているが、中山間地ではどの様な施策を活用すべきか、三重県として何かアイデアがあれば。

 

【三重県農林水産部  福岡氏】
○農業農村整備事業でいえば、条件不利地域の解消を行うのみで、平地のような生産性の高い農地にはならない。造成費も高く、地域にとっていい姿なのか疑問。
○地域にとってよりよい事業とするためには、十分な話し合いの中で地域の活性化に有効な基盤整備等を行うことが必要である。
○地域コミュニティが土台にあり、話し合いのきっかけを作るのも行政の役割と考えている。

 

【毛利委員(座長)】
○優秀な人材はいるが活躍の場がない、地域におけるコーディネーター役が必要との意見があったが、沖縄では、内地から来た人が地元を引っ張るといった話を聞いた。バランスが大事であり、優秀な人材が活躍するための場面作りには知恵が必要。
○様々なブランド化を参考に、地域には何が必要かを考えることも必要。

 

【鍋田土地改良区  白木氏】
○防災・減災のため、地域の用・排水路は財産である。これらがしっかり機能していれば、新たな農業の受け入れも可能である。
○知識を持った人材はいるが、生産技術を持った人材がいないため、技術者の育成が必要である。

 

【農家  渡会氏】
○農業用水がいつでも使えること、管理体制が継続されることが重要である。

 

【近藤委員】
○農業は大事な時期を迎えている。現場は何を望んでいるのかを今後も聞かせてほしい。今回はいい機会を与えてもらったと思っている。

 

【石井委員】
○地域内には、大規模経営体だけでなく、小規模で農業を継続したい意向の農家もいる。地域の将来展望も考慮しながら、それに合った整備や農地集積を実施していただきたい。

お問合せ先

農村振興局整備部設計課計画調整室

ダイヤルイン:03-6744-2201
FAX:03-5511-8426

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