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農林水産省

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意見交換 議事概要

1.日時及び場所

日時:平成29年1月23日(月曜日)15時45分~17時05分
場所:神野新田土地改良区事務所会議室(愛知県豊橋市)

2.議事

(1)開会
(2)挨拶
(3)意見交換
(4)閉会

3.議事概要

議事概要(PDF : 144KB)


テーマ1:農業生産の拡大・多様化による収益の増大について

河野委員
  雪が舞う寒い一日だったが、こういった天候リスクも農業においては日常なのだと思う。また、本日お会いした農業者からは、この土地を愛し、ここで頑張っていくんだという誇りを感じた。
  消費者として農業の本質をよく分かっていなかったが、今回の現地調査では、水をコントロールすることが、農業生産面だけでなく防災面においても重要であり、土地改良がその基盤を担っていることを改めて認識した。
  新たな土地改良長期計画の審議に当たっては、土地改良事業が産業面だけでなく、地域の協働力に働き掛けるという点に心を砕いた。これに関連して伺うが、土地改良事業を通じて地域が良くなった点としてどのようなものがあるか。

豊橋西部土地改良区理事(畑地帯総合土地改良事業「五号地区」推進協議会長兼務
  私が担当している畑地帯総合土地改良事業「五号地区」では、五号地区保全会というものを立ち上げ、ゴミゼロ運動や畑の管理を協働で行うなど、年に数回、農業者と一般の方がコミュニケーションをとれるようにしている。集落全体の戸数に対して農業者は半分程度だが、土地持ち非農家の方に農地を貸してもらえるよう地域農業を存続させていきたい。

渡邉部会長
  平成18年より農地整備の事業化に向けて検討してきたとのことだが、この間、どのような話し合いを行ってきたのか。

豊橋西部土地改良区理事
  米価が下落する中、どうやって生き残っていくかということを考え、畑作への転換を図った。(水田の減少に伴い、水稲で生計を立てる)オペレータの所得も減ってしまうので、どうするかといったことも課題となった。その際、田んぼは持っているが、もう農業はやらないという方々にどう関わってもらうのか調整に苦労した。 

森委員
  現地では、加工用キャベツのコストを削減することによって、安く卸せるようにしたいとの説明を受けたが、現状ではキャベツのほとんどが加工用なのか。また加工用と生食用では、掛かる手間が違うのか教えていただきたい。

豊橋西部土地改良区理事
  加工用キャベツは、生食用キャベツの生産・販売の延長線上という位置付け。生食用ならば1箱10kgの紙箱に詰めて出すが、加工用ならば300kg入る鉄のコンテナに積んでそのまま出荷するので、単価が低くても採算が取れる。ただし、安値で利益を出すためには大きな面積でやらなければならない。

武山委員
  今回の整備に当たり、団地化を行う際の利用権調整はどのように行ったのか。また、ネックになっているようなことはあるか。

豊橋西部土地改良区理事
  可能な範囲で調整しているが、既に納税猶予の対象となっている農地については難しい。また、「農地を貸したらそのまま取られてしまう」と考える人も多い。

神野新田土地改良区理事長
  現在の所有者は、神野新田が開拓されて3~4代目であり、土地に愛着を持つ人が多い。高齢者の中には、個人の土地に愛着があり、そこに手を加えられたくない人がいる。

武山委員
  今後、規模拡大を目指すときに、農地を買って拡大していくのが理想なのか、それとも、所有と耕作を分離した貸借による方法がよいのか。

豊橋西部土地改良区理事
  農地を所有するというのは、事業の賦課金の問題もあり、二の足を踏むだろう。貸借により規模拡大できればよいのではないか。

神野新田土地改良区理事長
  現実問題として、若い農業者は自分の土地にして団地化したいという思いがあるだろうが、年配の所有者は自分の土地を譲りたくないという場合がよくある。

柴田委員
  全国的に農地の減少が進む中で、この地域は耕作放棄地がないという印象。その背景には、農業生産性を向上させ、国力を高める「水」の事業があるからだと思う。
  インフラ整備が進むことで規模拡大し、年収1,000~2,000万円という農家もいるとのことだが、企業的な農業を行う上でのリスクや課題は何か。また、外部からの新規参入を受け入れる余地はあるか。

豊橋西部土地改良区理事
  リスクとしては、天候に関するリスクが最も大きい。そのため、湛水防除事業やパイプライン化によりリスクを軽減することとしている。
  外部からの新規参入について「五号地区」に関していえば、地区内の農業者ですら農地が足りず、地区外の土地を探している状況。

神野新田土地改良区理事長
  畑地帯総合土地改良事業「三郷地区」でも農地、特に畑が足りない。会社を辞めて農業をやりたい若手が、土地が空くのを待っている状態。このようなこともあり、神野新田では休耕地はゼロである。

毛利委員
  畑のパイプライン化が高収益化に向けたひとつの転機になったということだが、現状からさらに収益を上げたり、畑への転換を高めたりするためには、どのような技術が必要と考えるか。

豊橋西部土地改良区理事
  父の代からいろいろな作物を作り、地域に合う作物を追求して今の営農体系になった。例えば、かつてキャベツが根こぶ病の被害を受けたため、レタスへの転換を試みたが、この土地柄の強風で思うようなトンネル栽培ができなかった。そのため、根こぶ病の防除に取り組み、キャベツ栽培に戻した経緯がある。これ以上の収益性といわれても今は思い付かない。

神野新田土地改良区理事長
  JAの主導で大豆や麦の作付にも取り組んだが、排水不良でうまくいかなかった経緯もある。

渡邉部会長
  せっかくの機会なので、土地改良区、市、県の皆さんからも、意見や要望等があればお願いしたい。

豊橋西部土地改良区理事
  これからも国、県、市が一体となって土地改良事業を推進していただきたい。 

農村振興局 奧田整備部長
  国、県、市町村、土地改良区の役割分担があるが、今後も、お互いに連携しながらしっかり取り組んでいきたい。
  また、今後、若い人が農業を引き継ぐためには農地の集積は避けられないが、農地中間管理機構のスキームを検討・活用してほしい。集積の際に土地が取られてしまうのではないかという心配がネックになっているとのことだが、農地中間管理機構は公的な団体なので安心して預けていただければと思う。

 

テーマ2:農業水利施設の機能向上による災害リスクの軽減について

沼尾委員
  排水機場について、22箇所を土地改良区が管理し、5箇所を業者へ管理委託しているとのことだが、何かあった際の土地改良区の責任の所在についてお伺いしたい。

豊橋市
  排水機場の管理については、地域の実情に最も精通しているということで土地改良区と委託契約を結んでいる。
  今後も改良区が持続的に排水機場を管理していくことができるかといえば、操作員の高齢化もあり、不安材料の一つではあるが、連携を密にするということで考えていきたい。

河野委員
  土地改良区が行う排水等の管理は地域の排水管理でもあるが、マンパワーという課題があるものの、これからも土地改良区で担っていくという理解でよいか。

神野新田土地改良区理事
  地域の排水管理ではあるが、営農に直結することであるため、土地改良区として積極的に担っていきたい。

森委員
  排水機場27箇所のうち、5箇所を委託しているということだが、民間の会社なのか、市も関与する第三セクターのようなものなのかお伺いしたい。

豊橋市
  第三セクターのようなものではなく、民間企業に委託している。ただし、その民間企業が単独で管理を行うということではなく、地域の方々の協力を得て管理している。

浅野委員
  本地区の農業生産に関しては、長い年月を掛けた産地形成により所得の確保が実現しており、それと併せて土地改良区の活動も円滑に行われていると感じた。一方、全国的に見ると、土地改良区が弱体化し、農業が低迷している地域もある。そこで、そのような地域に対して何かアドバイスをいただけないか。
  また、土地改良区が果たしている役割について、混住化が進んでいるにも関わらず、情報発信が少ないために地域住民の方々にあまり理解されていないように感じる。例えば、土地改良区が排水操作を行わなければ、地域の浸水水害がもっと増えるといったアピールが必要であり、土地改良区を支える運動のようにしていかなければならないと思うが、このような問題意識について、行政としてはどう考えるか。

豊橋西部土地改良区理事
  1点目については、土地改良事業を行う際の原点となる、地域で何ができるのか、どういった作物生産を展開していくのか検討するため、農地整備等の手法をしっかり話し合うということが重要ではないか。その際、土地改良事業の個人負担に対する理解をどう得るのか、また、資金面をどうするかといったことについて、行政ともよく相談することが重要。

浅野委員
  新たな土地改良長期計画では「農村協働力」という言葉が掲げられているが、地域で話し合うことが重要と考える。自分たちの強さや弱さについて十分に話し合うことで問題解決の糸口がつかめるという解釈でよいか。

豊橋西部土地改良区理事
  然り。ただ、それに加えて最終的に必要なのは資金かと思う。資金的に苦しい地域については行政等のバックアップを得ることで話し合いが円滑に進み、問題解決の糸口が見出せるのではないか。

農村振興局 設計課 川村計画調整室長
  2点目について、新たな土地改良長期計画でも、土地改良事業の役割を広報していくことや効果について分かりやすく可視化していくということが記載されており、事業や土地改良区の広報等について、引き続き検討していきたい。

愛知県
  愛知県では土地改良関係のパンフレットを作成しており、その中で農業用水展やフォトコンテスト、ため池の重要性や生き物出前授業などを取り上げ、PR活動を行っている。また、排水機場のトランプや農業農村整備についてのカルタを作成しPR活動を行ったこともあった。今後もこれらの活動を、土地改良区の協力も得ながら推進していきたい。

農村振興局 奧田整備部長
  今回の現地調査で見ていただいた排水機場では、集中管理システムの画面で水位等の状況を分かりやすく把握することができた。こうした技術も活用し、排水機場がなかった場合の被害をハザードマップのように示すことや、排水機場を動かした結果を示すなど、効果の見える化を図っていくことが重要ではないか。
  また、地域の排水を担うに当たり、排水機場を動かす際のルールについては明文化されており、それに基づいて運転を行うことが原則となる。沼尾委員より質問のあった責任の所在についても、そうしたルールの存在が前提となるかと思う。


以上

お問合せ先

農村振興局整備部設計課計画調整室

代表:03-3502-8111(内線5514)
ダイヤルイン:03-6744-2201

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