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農林水産省

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平成29年度第3回議事録

1.日時及び場所

日時:平成30年1月16日(火曜日)15時00分~16時50分
場所:農林水産省本館4階  第2特別会議室

2.議事

(1)今後の土地改良区の在り方について
(2)国際かんがい排水委員会(ICID)第68回国際執行理事会の結果報告について
(3)農業生産基盤の整備状況について

3.議事内容

議事録(PDF : 273KB)

川村計画調整室長
  お待たせしました。皆様おそろいでございますので、ただいまから食料・農業・農村政策審議会平成29年度第3回の農業農村振興整備部会を開催いたします。
  委員の方々におかれましては、年始のご多忙の中ご参集いただきまして、誠にありがとうございます。
  なお、浅野委員、西尾委員、松田委員におかれましては、所用によりご欠席との連絡をいただいております。
  開催に先立ちまして、荒川農村振興局長よりご挨拶申し上げます。

荒川農村振興局長
  農村振興局長の荒川でございます。よろしくお願い申し上げます。
  本日はお忙しい中お集まりをいただきまして、ありがとうございます。特にこの前のセッションで企画部会もやっておりまして、企画部会と重なっておられる先生方におかれましては、大変お忙しいところ申しわけございません。よろしくお願い申し上げます。
  今日は、第3回の農業農村振興整備部会ということでございまして、例年とは回数とテーマが変わっておるかもしれませんけれども、よろしくお願い申し上げます。
  今回、新年早々お集まりをいただきまして、この審議会を開催させていただくこととさせていただきましたのは、土地改良法の改正につきまして、現在私ども省内で検討を進めさせていただいているところでございます。その内容等につきまして後ほど事務方からご説明をさせていただきますが、ご意見、ご審議を賜れればと思っておるところでございます。
  土地改良法につきましては、明けて、去年になりますが、通常国会に土地改良事業の関係で法律改正を出させていただいたところでございます。農地中間管理機構と連携をして土地改良事業をやる場合に手続を簡素化するということと、農業者の負担をなくしていくということなどを内容といたします法律改正を前回の国会に出させていただきまして、成立を見たところでございます。
  その検討の過程の中で、土地改良区の在り方についても引き続き検討していくべきではないかというご議論がございまして、私ども昨年から現時点に至るまで、その検証を深めてきたところでございます。後ほど詳しく資料でご説明をさせていただきますけれども、土地改良区の構成員の方々の高齢化ですとか、あるいは規模拡大によりまして農業者の数が減ってきているといったようなことから、このままの組合員のあり方でよろしいかということについて疑義なしとしないというところでございます。
  また、土地改良区の半数が専任の事務方の職員がいないといったように事務体制も非常に脆弱なものでございますので、毎年毎年かなりの予算額で土地改良事業を実行していく、その中で土地改良区の皆様方がしっかり仕事をしていくためにも、その体制整備が不可欠ではないかというようなことを検討しておるところでございます。
  今日は、このほか議題のところにございます、いくつかの議題がございますので、お時間ない中で恐縮でございますけれども、しっかりご審議を賜りまして、ご意見を賜れればと思います。よろしくお願い申し上げます。

川村計画調整室長
  ありがとうございました。
  それでは、配布資料について確認させていただきます。
  一番上から、会議次第、委員名簿、配布資料一覧、資料1、資料2、資料3となっております。不足等ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
  本部会の公表の方法についてご説明いたします。
  これまでと同様、配布資料は会議終了後に、議事録は内容を確認いただいた上で、それぞれホームページにて公表することとさせていただきますので、ご了承お願いします。
  それでは、議事に移りたいと思います。
  以降の議事進行は、渡邉部会長にお願いします。
  なお、報道関係者のカメラ撮りは、これまでとさせていただきます。
  では、渡邉部会長、よろしくお願いいたします。

渡邉部会長
  皆さん、こんにちは。お寒いなか、といっても今日は東京はちょっと暖かいようですが、年度末を控え、あるいは学年末を迎えるお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。どうぞ今年もよろしくお願いいたします。
  先ほど荒川局長のお話にもありましたが、昨年度に土地改良法が改正されました。私の理解では、この改正は、現場で事業施行に当たってたちまち取り組まないといけないところに対応された、また対応したということかと思います。これもまた先ほどのご説明の繰り返しになりますが、農業や農村の状況の変化は進行していて、まだまだ課題はたくさん残されているということかと思います。それに向けて、さらに急ぎの対応が必要であるということで、私どものこの部会も今期の課題を設定して、これから具体的にどう進めるかという議論をしていると理解しています。休まずに急ぎ成果を上げていく必要があると考えているところであり、より良い農業農村整備が進むよう、この場での審議や意見交換が進むよう、進行していきたいと思います。どうぞ今年もよろしくお願いいたします。
  それでは、用意されています議事次第に従いまして議事を進めていきたいと思います。
  初めに、議事(1)「今後の土地改良区の在り方について」を審議したいと思います。
  先ほどもご説明がありましたように、土地改良法の改正を見据えた検討が今なされていると伺っております。その内容については、土地改良区の組合員の資格、また改良区の体制に関するものが主なポイントであると理解しております。
  私どものこの部会の今期の大きな検討課題のキーワードは「農村協働力」だと思いますが、農村協働力を担う中心のプレーヤーの一つは土地改良区です。これは前期から議論を継続してきたところで、現在検討されている法改正は私どもの今期の議論とも密接にかかわることから、今日はその進行についてご説明をいただき、またこの部会の農村協働力や土地改良区制度に造詣の深い皆様から意見をお伝えして、法改正、あるいは今後の整備に役立てていただけたらいいということで、この議題設定がなされていると考えます。
  こうしたことを踏まえてご審議いただきたいと思います。まず初めに事務局よりご説明をお願いいたします。

神田土地改良企画課長
  土地改良企画課長の神田でございます。本年も引き続きよろしくお願いいたします。
  それでは、お手元の資料1についてご説明をさせていただきます。
  資料の1ページをお開きください。
  今回の検討と農業競争力強化プログラムとの関係でございます。
  一昨年11月の農業競争力強化プログラムにおきまして土地改良制度について見直しの方向性が示され、既に事業の部分については昨年の国会で法改正をしたところでございますけれども、土地改良区の在り方の部分につきましては、さらに実態を調査すること等を通じて引き続き検討していくと位置づけられたところでございます。
  4の「土地改良区の在り方」でございますけれども、具体的な観点といたしまして2つに分けております。まずは「土地改良区の組合員資格」で、農地の所有と経営の分離が今後一層進展することが見込まれる中で、現在の一筆1資格などの現行制度の仕組みで対応可能かどうかを含めて、こうした課題に対応できる事業参加資格者及び土地改良区の在り方等について、さらに実態を調査すること等を通じて引き続き検討していくとされております。
  また、(2)は「土地改良区の体制」で、土地改良区の組織体制が弱体化する中で、合併や事務統合の促進などによる事務局体制の強化や、市町村や県土連、民間事業者等への維持管理・運営事務の委託の拡大、小水力発電の導入など土地改良施設の高度利用による財政基盤の強化を促進する。
  土地改良区の体制については、組合員資格の在り方とあわせて引き続き検討していくとされているところでございます。
  続きまして、資料の2ページでございます。
  「土地改良区の現状」ということで、まず、土地改良区の数ですけれども、合併等により減少傾向で推移しておりまして、28年度末で4,585となっています。
  組合員数につきましても高齢化等により減少が進んでおり、359万人まで減っています。
  右側に円グラフで整理をしておりますけれども、これは全土地改良区を対象に、今どういう事業をやっているか悉皆調査しましたところ、赤で囲っておりますけれども、約85%の土地改良区で農業水利施設の維持管理業務が中心的な業務となっているということでございまして、農業水利施設を次世代まできちんと守っていくことが、土地改良区に今課されている役割だと考えているところでございます。
  続きまして、3ページでございます。
  土地改良区の組合員資格でございます。
  現行制度につきましては、土地改良区が設立されますと、左のほうに条文がありますけれども、いわゆる「3条資格者」と言われる第3条に規定する資格を有する方は当然に土地改良区の組合員となるという強制加入の仕組みになっています。
  その場合の3条に規定する資格を有する者はどういう方か、右のほうの表に整理をしておりますけれども、これは法律の条文に沿って、まず、自作地の場合は、所有者と耕作者が同じ方ということで、所有者が組合員になります。一方、下の貸借地につきましては、土地の所有者の方と実際に耕作をされている方が別々ということになりますけれども、この場合の組合員資格は、「原則として耕作者」と書いております。下に条文を具体的に書いておりますけれども、ただし、農業委員会の承認を受ければ、所有者の方も組合員になれるという規定になっているわけでございます。
  3条により組合員資格が決まりまして、その組合員には、左のほうに書いてありますけれども、議決権と選挙権が与えられます。一方で、運営について責任を負うということで、金銭の賦課金の負担なり夫役の負担が求められることになります。
  次の4ページでございます。
  このような法律の規定を前提に今実態がどうなっているか全国調査をしたのが、左側の円グラフでございます。現状、土地改良区の組合員の構成を見ますと、まず自作地と貸借地の割合が、自作地が緑、オレンジが貸借地ということで、自作地が大体6割強、貸借地は4割弱というデータが出ております。
  そのうち、オレンジの部分、貸借地については2人の権利者がいるわけで、実際に所有者、耕作者のいずれが組合員資格を取っているか調査をしたわけですけれども、全国ベースで見ますと、所有者と耕作者がおおむね半分ずつ、やや所有者のほうが多いというデータが出ております。
  さらに右の棒グラフになっている部分が、地域別に分けて集計したデータでございます。北海道とか東北、北陸、沖縄につきましては耕作者の割合が高くなっておりますけれども、一方で、関東、東海、近畿、中四国、九州におきましては、所有者が圧倒的に高い割合を示しております。
  なぜそういうような違いが出ているか、同じページの右のほうに、これは土地改良区に対してお伺いをした結果ですけれども、所有者が組合員となっているケースはどういう理由か、まず一番多いのが建設事業を行うときの費用負担について、所有者のほうで負担しないと、そもそも農地が借りてもらえないとか、あるいは地域、地元の地区では従来からそういった慣行になっているとか、あるいはほ場整備になりますと、区画の形状が変わってくると所有権に及ぼす影響も非常に大きいので、所有者の方が組合員になっているというような回答が得られています。
  次の5ページでございますけれども、そういった状況の中でどういった課題が出てくるかということでございます。現在私ども考えておりますのは、組合員の方も高齢化が進んでおりまして、離農される方がどんどん増えていく。年齢構成も、平均年齢も既に66.8歳になっています。
  また、担い手に対する利用権の設定という形で集積も今度どんどん進んでいくことが見込まれるわけでございます。
  こういった中で、所有者が中心になっている土地改良区につきましては、組合員の中の所有者といっても、自作地を少し持っているケースもあると思いますけれども、もう営農をやめてしまって、土地持ち非農家になられる方というのが今後増加していくと考えられます。
  右のほうに図がございます。これは、土地改良区の組合員のデータではございません。全農家のデータですけれども、平成27年で見ますと、農家戸数200万強に対して土地持ち非農家の数も140万戸存在するということでございますので、当然所有者が組合員になっていると、土地持ち非農家の方が増えてくることになると見込まれるわけでございます。
  実際に耕作をされておられる耕作者の皆さんが将来にわたって安心して営農を続けていくためには、耕作者の意見を踏まえながら、土地改良施設の維持管理・更新を適切に行っていく必要があるわけでございますけれども、必ずしも土地持ち非農家の方については、施設の更新等に対する関心も低く、所有者が中心のままでは事業運営に関する意思決定というのが適切なタイミングできちんとできなくなるおそれがあるのではないかと懸念されると考えています。
  次の6ページでございますけれども、他方で、そうであれば、所有者ではなくて耕作者が組合員になればいいのではないかという考えもございます。ただ一方で、所有者から耕作者に組合員資格を交替しますと、運営に係る負担が発生することになります。建設事業をやっていますと、特別賦課金が残っているとか、あるいは毎年の水の電気代、あるいは人件費に係る経常賦課金の負担をどうするかという問題があります。
  また、地域によっては維持管理に係る労働力について組合員の方が夫役という形で共同で出役をされているようなケースについて、それを一体誰が負担するのかといった問題がありまして、全て耕作者に負担を求めることは難しいと考えております。
  そういった意味で、所有者が中心の土地改良区におきましても、所有者から耕作者への資格交替を段階的に、一律にではなく、やはり段階的に進めていくことが適当ではないかと考えているところでございます。
  次の7ページでございます。
  現行の組合員資格については、貸借地については所有者、または耕作者のどちらか一方しかなれないという仕組みでいいのかどうかということが課題であると考えております。
  実際に、左側の表でも土地改良区の運営については、多くの土地改良区で施設の維持管理等についての不安を抱えているということがございます。
  また、右側の表でございますけれども、実際には組合員資格自体は耕作者がなっているケースにおいても、負担の部分については所有者と事実上分担して負担しているというようなケースが、いろいろな形で当事者間で取り決めがされているということがございますので、1つの土地に所有者と耕作者の2人の権利者がいらっしゃるので、その方々が分担しながら土地改良区に参加できる仕組みができないかと考えているところでございます。
  枠内に書いてありますけれども、上の丸につきましては、所有者が土地改良区の組合員となっているケースにおきましては、例えば出入作でそこの地区だけ借りている方とか、あるいは新規就農でまだ借地でやっている方については、直ちに組合員資格は取れないということになりますけれども、新たに現行の組合員資格に準ずるような資格を設けることで営農上必要な事項について、土地改良区の構成員に加わって土地改良区に対して意見が述べられるような形ができないかと考えているところでございます。
  下の丸につきましては逆のパターンでございますけれども、資格交替をして、耕作者の方が組合員になるといったケースにつきましても、従来所有者の方が負担していた土地改良施設の維持管理・更新に係る賦課金、あるいは夫役の全部を引き受けることが難しいケースにつきましては、従来組合員でおられた所有者の方が、資格交替すれば土地改良区とは全く無関係になるということではなく、組合員に準ずるような資格を設けることで土地改良区の構成員として残って、従来の賦課金なり夫役の一部を分担するといったような形ができないか、現在検討しているところでございます。
  この仕組みは、必ずしも全国一律ということではなくて、土地改良区の実態を踏まえて、土地改良区ごとに選択ができるというような仕組みにしていく必要があるのではないかと考えてございます。
  次の8ページでございます。組合員の資格交替に係る手続でございます。
  左の表の部分につきましては、現行制度におきましては、先ほどの3条資格、組合員資格については農業委員会の承認を受ければ所有者の方もなれると、貸借地についてなれると申し上げました。一旦所有者の方が承認を受けて組合員となっておられるケースについて、例えば代替わりのタイミングなどで、この機会に耕作者に変更しようと当事者で合意をされたケースにつきましても、今の仕組みにおきましては、もう一回農業委員会の承認が必要になっています。
  こういったケースにつきましては、承認を受けて例外的な場合を本来の原則に戻すというケースですので、必ずしも承認まで求める必要はないのではないかということで手続の簡素化ができないか考えているところでございます。
  右の表につきましては、現在、組合員の資格交替があった場合には、従前の組合員と新たに組合員になられる方が連名で土地改良区に資格得喪通知を出していただくことになっています。
  平成26年から農地中間管理機構の仕組みができておりまして、転貸の仕組みになっておりますので、所有者Aの方から中間管理機構が一旦借り受けまして、新しい担い手、耕作者の方に転貸する仕組みになっております。
  こういたしますと、組合員資格が所有者から中間管理機構に移り、また中間管理機構からBの方に移るという2回の資格交替が発生することになりますと、2回土地改良区のほうに得喪通知を出さなければならなくなります。
  こういった場合につきましては、特に中間管理機構は公共的な機関でもございますので、2回の権利移動につきましては、まとめて土地改良区に得喪通知ができるようにしてはどうかと考えているところでございます。
  続きまして、資料の9ページでございます。
  「理事の資格要件」ということでございます。
  左のほうに土地改良法の条文も入れておりますけれども、現行法におきましては、土地改良区の理事は5人以上選任することになっております。そのうち、5分の3以上は組合員の中から選任することになっているわけでございます。
  これまでも申し上げていますように、組合員には耕作者の方、それから所有者の方もいらっしゃるわけでございます。もちろん、所有者の立場の意見も土地改良区の運営にはきちんと反映していく必要があると思いますけれども、所有者の中にも、実際に耕作もされておられる方、あるいはもう全く耕作をやめておられる方、土地持ち非農家の方もいらっしゃるということになりますと、理事の過半を土地持ち非農家の方が占めるようになりますと、本来の耕作者の意向を反映した運営ができなくなってくるのではないかという懸念がございますので、実際に耕作をされている方が役員の過半を占めるように要件のほうも見直していく必要があるのではないか考えているところでございます。
  続きまして、10ページでございます。
  「農業用水の配分方法」という見出しを立てております。これは本来、土地改良区において水利権、設定された水利権の範囲内で組合員に公平に配分をしていくということが本来の業務でございます。
  法制定時を考えますと、土地改良区の地区内も大体同じような規模の自作農の方が組合員で、農作業も同時期で各組合員の水のニーズにもあまり大きな違いがなかったということで、水の配分についても均等に行っていくというのが慣例化しているものと思っております。
  他方で、近年、土地改良区の組合員の中でも規模の大小の格差が大きくなっている中で規模拡大に伴う農作業の長期化、あるいは米の作付品種の多様化により水の需要も非常に変化が生じていて、組合員の水需要も多様化しているということで、各土地改良区のほうも水の配分について非常に苦慮されている実態があると考えております。
  そういう中で、水の配分について慣例に従ってやるということでは対応が難しくなっているのではないかと考えておりまして、地区内の水需要の実態に応じた配分ルールというものを見えるような形で設定していく必要があるのではないかと考えているところでございます。
  続きまして、11ページでございます。
  「土地改良施設の維持管理」という見出しを立てております。これは、「地域の活動組織」と書いておりますけれども、想定しておりますのは、多面的機能支払が制度化されており、その交付を受けて活動されている活動組織がたくさんございまして、農地周りの水路等の維持管理に取り組んでいただいている地域が多数ございます。
  ページの右下にも数字がございますけれども、全国4,500の土地改良区のうち2,500の土地改良区の地区内で多面的機能支払の交付金の交付を受けて活動している組織があるということで、その数も18,000組織に及んでいる状況がございます。
  水について水源から末端のほ場まできちんと安定的に供給していくためには、ほ場周りだけではなくて、土地改良施設のほう、上流から適切に維持管理をしていく必要があるわけでございますけれども、組合員の数も減っていく中で、土地改良区のマンパワーにも限りがありますので、適正な維持管理に支障を来すおそれがあるのではないかと考えております。
  こういった中で、地区内に地域の活動組織があるところについては、土地改良施設の維持管理に参加できるようにしてはどうか。具体的には、そういった地域の活動組織を土地改良区の構成員という形に位置づけできないかと考えているところでございます。
  一方で、地域の活動組織のほうも事務局で苦労している地区もあるというふうに伺っておりますので、そういった事務について土地改良区にお願いをするというような関係も築きやすくなるのではないかと考えているところでございます。
  続きまして、12ページからは、「土地改良区の体制をめぐる課題」ということで整理しております。
  まず、12ページから「総代会制度」についてでございます。
  総代会につきましては、組合員で組織する総会に代替する組織として設置されるわけでございますけれども、現行法におきましては、組合員の数が200名を超えている土地改良区で設置ができることになっています。
  総会につきましては、組合員全員が参加する会議でございますので、総代会が設置されるケースに比べますと、やはり出席者の確保ですとか、開催通知等の経費もかかるということがございます。
  今後、組合員数が減少する見込みの中で、また土地改良区の体制についても建設事業から維持管理が中心となっていくことを考えますと、毎年総会を開催するということよりも、より総代会を活用して土地改良区の組織決定を機動的に行えるようにすべきではないかと考えておりまして、現在、200人という基準が厳しくて満たせないようなところもございますので、基準の引き下げができないか検討しているところでございます。
  次の13ページでございます。
  現行制度で総代をどうやって選ぶかでございますけれども、土地改良区の総代の選挙につきましては、県なり市町村の選挙管理委員会の管理のもとで選挙をすると法律上規定されているところでございます。
  また、総代におきましては、選挙管理委員会の管理のもとで選ばれた地域の代表者ということで、総代会の当日出席できない場合については欠席扱いになりまして、書面とか、あるいは代理人を立てることが認められていないところでございます。
  しかしながら、左の下に円グラフがございます。実際にはほとんどの土地改良区で、むしろ候補者、総代のなり手がいなくて、選挙区ごとに1名しか候補者がいなくて無投票というのがほとんどのケースになっております。
  そういった場合におきましても、選挙に係る費用については土地改良区の負担ということになっておりまして、時間とか費用、労力等が負担となっていることを踏まえますと、選挙管理委員会によらずとも土地改良区がみずから選挙すればいいのではないかと考えておりますし、また総代会における議決権の行使方法につきましても、書面とか代理人による議決権の行使も認めてよいのではないかと考えているところでございます。
  続きまして、資料の14ページをご覧いただければと思います。「土地改良区の事務統合の推進」でございます。
  現状、土地改良区におきましても職員がいない土地改良区がたくさんございます。そういった場合の事務統合に土地改良区連合という仕組みがうまく活用できないかということでございます。
  現行制度におきましては、土地改良事業の効率的な実施の観点から、複数の土地改良区が土地改良区連合を設立いたしまして、事業の一部を共同して行うことができる仕組みになってございます。
  左のほうに、現在土地改良区連合は76ほど設立されておりまして、左のほうに絵がありますけれども、現行制度としましては、いわゆるA、B、Cの改良区の水源が、頭首工が共同になっているというようなケースについて、その管理を土地改良区連合で行い、それぞれの土地改良区の管理は土地改良区がそれぞれやるという関係にあります。
  現行の土地改良区連合の制度におきましては、共同事業の範囲が土地改良事業に限られ、賦課金の徴収の事務、会計処理といった事務とか、あるいは小水力発電などは附帯事業ということで、そういった事業のみを共同で行うことで事務の効率化、あるいはコスト削減を図る取組が土地改良区連合を使ってはできないことになっているわけでございます。
  今後、土地改良区の体制の脆弱化がどんどん進んでいくことが見込まれますので、より事務の効率化、コスト削減を図る観点からは土地改良区連合が行う事業活動の多様化を図る必要があるのではないかということで、右側に「共同化のイメージ」と書いております。例1ということで、土地改良区が維持管理の事務、会計事務とか、あるいは賦課金の徴収事務だけを共同で行う、共同事務所として機能する土地改良区連合はできないかと。右側の例の2におきましては、A、Bの改良区は、Bの改良区の近くでは小水力の条件が整っているというようなケースについて、改良区が共同で出資をしまして、土地改良区連合で小水力発電を行って、その収益でそれぞれA、Bの改良区の賦課金の負担の軽減を図っていくといった取組はできないか検討させていただいております。
  続きまして、15ページでございます。財務会計の関係でございます。
  まず、15ページが「複式簿記の会計」という見出しにしております。現在、土地改良区の会計につきましては単式簿記が中心となっております。平成23年に土地改良区の会計基準を見直しまして、単式でも複式簿記にも対応した会計基準を設定しておりまして、それ以降、土地改良区においても複式簿記の取組を進めておりますけれども、現行制度では法律上は単式簿記でも構わないことになっているわけでございまして、現在、複式簿記に取り組んでいるところは1%程度という状況でございます。
  複式簿記につきましては、もちろん不正経理の防止といった効果もあるわけでございますけれども、現在、土地改良区が管理している土地改良施設はどんどん老朽化が進展しておりまして、これから本格的な更新時期を向かえていくことになります。そういった更新を計画的に進めていく上でも、きちんと現行の資産評価、減価償却をきちんと行って、更新事業費についての積み立てを計画的にやっていく取組は大事だと考えておりまして、土地改良区においても複式簿記の導入を進めていく必要があるのではないかと考えているところでございます。
  続きまして、最後、16ページでございます。
  「会計監査」でございますけれども、会計監査をする役員として監事が選任されております。現行制度におきましては、土地改良区の監事の中の少なくとも2分の1は、半分以上は組合員と法律上規定されているわけでございます。2分の1を超えなければ員外からも選任ができることになっておりますけれども、左の円グラフがございますけれども、ほとんどが組合員の中から選任をされているという実態でございます。
  組合員でない方の選任も若干事例はございまして、具体的には自治体の職員の方とか、JAのOBの方とか、あるいは会社員の方という方が選任されているケースがあるということでございます。
  土地改良区の会計については、必ずしも複雑な会計処理をしているわけではございませんけれども、取り扱っている金額も多くございますので、一旦不祥事が発生いたしますと被害額も大きくなるといった問題もございますので、監査の内部のチェックも強化していかなければならないのではないかということで、組合員以外の方の第三者による監査を導入することが適当ではないかと考えております。この場合の第三者といいますのも、必ずしも公認会計士とか、そういった専門の方までは必要はないと考えておりますので、できれば組合員以外の方の員外監事の選任を求めていく必要があるのではないかと考えているところでございます。
  資料の説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  私は、土地改良区制度、あるいは土地改良区運営に当たっての近年の多様で深刻な課題、簡単に解決できない課題であることを改めて理解したところでございます。
  ただいまのご説明につきまして、委員の皆様からご質問やご意見を受けていきたいと思います。また冒頭から心苦しいのですが、1時間ぐらいで議論をしたいと思いますので、今日は私以外に12人の委員がご出席ということから、お一人3~4分程度でご発言いただきたいと思います。大事な課題につきまして時間を制限して申しわけないのですが、頭の片隅に置いてご発言いただけたらと思います。
  では、早速ですが、渡辺委員からどうぞお願いします。

渡辺臨時委員
  私は新潟県土連の渡辺でございます。
  委員の中で土地改良区に一番近いポジションにいる関係で、まず口切りをさせていただきたいと思います。
  ご説明にもありましたように、現在、土地改良区は組合員の高齢化等のほか、農地集積が進むことにより、大きな経営体は育っている反面、土地は所有しているが農業には従事していない、いわゆる土地持ち非農家が増えてきています。地域農業の構造が大きく変わってきているため、土地改良区組織の運営も大変様々な課題を抱えております。
  現行の土地改良制度というのは、農地の所有者イコール耕作者という前提で作られた制度であり、現状と合わないところが出てくるというのは当然のことかなと考えています。
  昨年度の土地改良法の改正では、事業負担の軽減とか事業手続の簡素化とか、事業申請ルール等の軽減とかいろいろ見直しをしていただきました。しかし、土地改良区本体そのものの在り方等については、まだ検討の余地がたくさんあることから先送りされていました。
  このたびこういう形で今後の見直し方向を整理していただいたということは、私ども土地改良関係者にとっては本当にありがたい、時宜を得たご提案なのかなと感謝するものです。
  ただし、今後方向性を整理して見直しを進めるに当たりましては、歴史的な背景とか地域性等にも配慮していただきたいと思っています。もう一つは土地の所有者と土地の利用者が大きく違ってきている時代ということにもぜひご配慮いただいて、利用される方がより便利な方向に整理をしていただきたいと考えております。
  最後に、ほ場整備のように個人の資産の価値を上げるという事業は別として、土地改良施設の維持管理とか更新という事業につきましては、申請主義とか受益者負担ということではなく、公的負担で整備をしていただく時代ではないかなとも考えていますので、併せてお願いしまして私からの発言を終わらせていただきます。

渡邉部会長
  ありがとうございました。コンパクトにまとめていただきました。
  引き続き委員の方からご意見いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  では、安藤委員お願いします。

安藤臨時委員
  私は農地制度を専門にしておりまして、どちらかというと、そうした視点からのコメントになるかと思います。3点あります。今回のご提案は、耕作者が主導権を握って土地改良事業を進めることができるようにしていくというものだと思うのですが、これは実際に農業構造が大きく変わっていく中で必要な対応ですし、このような方向でよろしいのではないかと私は考えていますが、次のような問題点もあるのではないかと思っております。
  土地改良施設の建設・更新に係る特別賦課金を全て、例えば、耕作者に負担させるというのは、今後、構造改革が進むと、ますます少数になる担い手の負担が増加していくので無理があるだろうと思っていますし、また、土地所有者からしても、もし、耕作者負担で土地改良施設の建設・更新が行われるようになると、耕作権が強化されて貸した農地は返ってこないのではないかという懸念が高まるという問題が生じる可能性もあるということです。
  そうした意味では、資料の7ページの右側の「非組合員である所有者が賦課金を実質負担している事例」に示されていますように、現実はこうした形で土地改良施設の建設・更新は土地所有者負担で行っていることには一定の合理性があると思われますし、それを認めて、そうした方向でしっかりと進めていくのはよろしいのではないかと考えています。ただし、その場合も問題が残されています。耕作者主導で土地改良事業等を進めることができるようになると、土地所有者の負担問題が生じてしまうからです。事業の実施は耕作者が決定するが、しかし、その結果生じる特別賦課金等については土地所有者が負担するということになった場合、土地所有者が受け取る地代と比べて、その負担水準が過大なものになると問題が生じてしまうということです。この負担があまり大きくなってしまうと、事業実施の決定権は耕作者、事業費の負担は土地所有者という取り決めの地域では、その負担を小作料で賄うことはできないようだと大変です。
  ただし、6ページの資料では、特別賦課金は10a当たり1,637円となっており、これに対して全国農業会議所の調査では、小作料はもう少し高い金額となっているので、そうした問題は発生しないかもしれません。しかし、そうした問題が発生する可能性があるとすれば、このように耕作者の主導権を強める方向で制度を改正した場合、土地の所有者が事業の実施に対して、このように経済的に割が合わないから反対、という意見をどのように表明することができるのでしょうか。あるいは事業実施に際しての、合意形成はどのような方法で行ったらよいのかが問題として残るのではないかと思います。これが1点目になります。
  あとの2つはそれほど大きい話ではありません。もう一つは、将来的に耕作者負担でほ場整備や土地改良施設の建設・更新が行われるようになった場合は、耕作者が何らかの理由で農地を所有者に返した場合に有益費償還の規定を設けていく必要があるのではないかということです。将来的にはここまで行かなくてはならないだろうと思っておりますが、これは農地制度にかかわる課題です。しかし、今回は、そこまではまだ行っていないと思っています。
  最後の点ですが、土地改良施設の維持管理は、農業構造変動が進み、担い手への農地集積が進展していきますと、ますます少なくなっていく担い手だけで行うのは難しいと思っています。これまでは土地所有者の出役で何とか対応してきたわけですが、それにも限界があります。そういう点からすると、ご提案にありましたように、地域の活動組織を取り込む必要は間違いなくありますし、今回の示された方向はよろしいのではないかと思っています。しかし、その場合、こうした地域の活動組織を土地改良制度の中にどのように位置づけていくのか、その結果、土地改良制度は全体としてどのような構図となっていくのかが気になるところです。もし、そのあたりのことについて何かお考えがあればお聞かせいただければというのが私からのコメントになります。
  以上です。

渡邉部会長
  ありがとうございました。ご専門の立場から、少し具体的にご提案も含めてお話しいただいたと思います。
  では、ほかの委員の方からご質問でも結構です。では柚木委員お願いします。

柚木委員
  全国農業会議所の柚木です。よろしくお願いします。
  質問が2つと、それからあと意見ということでお願いをしたいと思います。
  先ほど先生方からもありましたけれども、耕作者を主にした形での土地改良の運営ができるようにということは、これからの時代を考えれば必要なことだというふうに思っておりますし、前向きに対応すべきだというふうに考えております。
  その上で、1つは7ページでございますけれども、現在、これは3ページにもありますように、法律上は組合員の資格が明記をされているんですけれども、今検討中だと思うんですけれども、「土地改良区の構成員」という言葉が出ていますけれども、これは制度上、こういう「構成員」というものを位置づけるということで考えていくということでいいのかどうか。そうした場合に、今の組合員数3,592,000人ですか、ここがこれぐらいふえる格好になるよと。それだけ土地改良区をサポートする裾野が広がってくるよというふうな見通しがあるのではないかと思うんですけれども、わかる範囲で結構ですが、確認をさせていただければと思っております。
  それからもう一点は、先ほど200人超えのお話ございましたけれども、4,585の土地改良区で200超えのところがどれぐらいあるのか、聞き漏らしたかもしれませんので教えていただいて、あと100ぐらいの単位でどういうふうな構成になっているのかという組合員構成がわかれば少し教えていただければと思っています。
  あと意見でございますけれども、8ページでございます。「組合員の資格交替手続」という、ここが1つの大きなポイントになろうかと思っております。
  そもそも本則といいますか、土地改良法ができたときから、基本的には耕作者を基本とするということになっていたと思うわけでありますけれども、農業委員会の承認を得た場合は所有者可能ということでございます。
  少し確認をしてみたんですけれども、実は平成5年、農業経営基盤強化促進法、その前で言えば昭和55年の農用地利用増進法、もっとさかのぼれば農振法の一部改正で運用的に農地利用増進事業がスタートしたときから、今の基盤強化法の基本要綱の中にも書かれていますけれども、基本的にはそういう利用権の設定事業での貸し借りのときの土地改良区の組合員資格については、基本的には所有者ということがそこの中に盛られております。ただし、こういうふうに利用者がちゃんとやるような場合とか話し合いがついた場合は利用者にすることも適当であると、こういうふうな表現が利用権設定の関係で書かれている部分がありますので、その辺のことも踏まえて整合性をとった形でここのところの整理をしていく必要があるのではないか。
  またもとへ戻す、耕作者へ戻す場合の手続規定について簡素にしていくということについては、事務的にもいいことではないかと、こういうふうに思うわけでありますけれども、何らかの当事者だけでいいのかどうか、一定程度届け出みたいなことを考えるのかというようなこととか、若干具体的な対応についてはもう少しいろいろな面から検討していく必要もあるのではないかと思っていますし、中間管理機構を間に入れた対応についてはご説明があったような形でやることが一番効率的ではないかと思っております。
  以上です。

渡邉部会長
  ありがとうございました。少しご質問もいただいていますが、回答をいただく前に、まず西村委員にご発言いただきます。

西村臨時委員
  西村です。
  私は、こういう法律や土地改良の事業の専門家ではないんですが、伺っていて土地の所有権や、あとは耕作権が簡単には動かないという前提でいろいろ皆さんお考えになった上で話をされているのかなという印象を受けました。だから、そういう前提に立つと、確かにすごく真っ当な案だと思うんですけれども、これから数千万人口が減って、農村ではもっと人が減って、さらに、現状でももう担い手のほうに半分以上土地が集積しているわけです。筆数ではまだ自作が多いですけれども、面積では半分以上集積していて、さらにもっと担い手が減ってくると流動化というのはどうしても出てきてしまうと。そうすると、特別賦課金というのが、所有者が払うにしても、それとも耕作者が払うにしても特別賦課金があることが流動化の足かせになるのではないかなという印象を受けました。先ほど渡辺臨時委員も少しそれに触れられたのですが、そういう意味では、例えば20年、30年先に自作がどのくらいで、担い手がどのくらいかって一応数字は常に出ているわけですけれども、その数字になったときに、どのぐらい耕作者や土地が動くのかというイメージを作った上で誰が特別賦課金を負担するのか。経常賦課金は多分ユーザーというか、耕作者が持つことになって当然なのだろうと思いますけれども、建設更新のほうの特別賦課金はすごく担い手のほうに集積したときに、一体誰が持つべきなのかという観点の議論もあったほうがいいのではないかというふうに感じました。
  以上です。

渡邉部会長
  ありがとうございました。長期的展望を今回の改正や検討の中でどう位置づけるかというご質問であったかと思います。今、安藤委員、柚木委員、それから西村委員からご質問が出ましたので、今の時点で事務局からご回答いただけるところがありましたらお願いします。柚木委員からは少し具体的なご質問だったので、数値など用意できたらご回答いただきたいと思います。よろしくお願いします。

神田土地改良企画課長
  土地改良企画課長、神田でございます。
  ご質問、ご意見もいろいろいただいているので十分にご回答できない点はございますけれども。
  まず、安藤委員の活動組織を具体的にどういう位置づけすることをイメージしているかということにつきましては、現在、活動組織についても土地改良区の組合員のような形で位置づけることができないか検討させていただいております。ただ、そういった活動組織については、直接の受益を受ける耕作者なり所有者の方とは受益の仕方が違いますので、普通の組合員の方と同じように議決権なり選挙権を認めることは難しいのではないかと考えております。
  他方で、地区内で活動していただいているので、土地改良施設の維持管理に関しては、土地改良区の構成員となって、維持管理の活動に加わっていただくことができないか現在検討させていただいてございます。
  それから、柚木委員から、土地改良区の組合員の数が200人から100人になったら、どのぐらい増えるかということでございますけれども、現在、土地改良区の中で総代会を設けているのが半分強でございまして、200人を超える土地改良区が6割、200人に達していないのが4割ぐらいとなってございます。実は100人という境界のデータがないものですから、基準を下げるとどのぐらい裾野が広がるかというデータは持ち合わせておりません。申しわけございません。
  それから、資料の8ページの資格交替の手続でございますけれども、合理化事業なりの経緯で所有者を基本的に組合員に位置づけるというような話は、フォローができておりませんので、経営局ともよく相談をして、どう整理していくかよく考えていきたいと考えておりますし、農業委員会の承認については、届け出という形で農業委員会のほうに当事者から申し出をしていただくことは必要ではないかと考えておりまして、申し出をしていただければ承認までは取らなくてもいいという見直しができないかと考えているところでございます。
  それから、西村委員からありましたご意見は、非常に長期的な課題でもあろうかと思いますので、特別賦課金、土地改良事業を行っていく上での賦課のあり方にかかわってくる問題だと考えますので、直ちにお答えすることは難しいですが、長期的な課題として、検討していきたいと考えております。

渡邉部会長
  ありがとうございました。まだ少しやりとりすべきことがあるかもしれませんが、ほかの委員のご意見を伺っていきたいと思います。
  では、平松委員お願いします。

平松臨時委員
  九州大学の平松です。
  九州北部に筑後川という一級河川がありますが、その下流域には低平農地域が広がっておりまして、その筑後川下流域の低平農地域の洪水防御に関する研究を長年、研究室としても行っていますし、私個人も長年タッチしておりまして、その研究の関係で洪水時の施設管理という観点で少し述べたいと思います。
  今日の資料の冒頭で土地改良区の業務として水利施設の維持管理という話が出てまいりました。上流の水源から末端のほ場まで上手に水を配分するといった操作が求められます。それに関連して水路の泥上げであったりとか、あるいは草刈りであったりとかといったような業務もあります。
  ただ、洪水時の話が今日の資料には全く書かれておりませんが、私は土地改良区の皆さんといろいろ接している中で、洪水時の業務が非常に大変であるということを少し述べたいと思います。
  ご存じと思いますが、ため池とか貯水池というのは樋門とか洪水吐と呼ばれるような、貯まった水を排除する出口があるわけですが、洪水になりますと、こういったゲートとかを操作して、できるだけ洪水が発生しないように速やかに流す操作が求められます。あるいは場合によっては一時的に貯留して下流の洪水被害を軽減するといった操作も求められ、低平農地域の場合でも同じです。
  低平農地域の場合、用水路と排水路が一緒になった用排兼用水路になっておりますが、洪水時にはそこにあるゲートを管理して、しっかりと洪水を排除するといったような作業が土地改良区の皆さんには求められているわけです。さらに、高度な管理としましては、今から雨が降るぞというときには、事前に貯水池とか、ため池の水を排除する、あるいは低平農地域の用排兼用水路でもそうですけれども、事前放流して豪雨に備えるといったようなことも土地改良区の皆さん、やられているわけです。
  こういった洪水時の管理の話を聞かれるとわかると思いますけれども、1つ間違うと人命にも影響するような非常に重たい仕事を土地改良区の方は担っておられます。
  今、事前放流の話をしましたが、これも、事前放流して、思ったとおりの雨が降れば、それで効果は非常に出るわけですし、大雨の後のかんがい用水も確保できるわけですけれども、事前放流はしたけれども雨が降らずに、いわゆる空振ってしまった場合は、洪水後の、大雨の後の用水に非常に重大なダメージを与えてしまうということになりますので、これは非常に勇気の要る操作のようです。
  最近、短期の降雨予測もしっかり情報が入るようになってきておりますが、それでも事前放流はとっても非常に勇気の要る操作のように思われます。地域の耕作者の皆さんが身を切る思いでこういった操作を担当しないと、なかなかできないと思われます。
以上のように、洪水時の施設管理に関しては、非常に重たいものを担っておられるのが土地改良区ですので、今回の議論の中でもこういった洪水時の施設管理といった点も忘れてはならない観点ではないかと感じています。
  以上です。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  私の理解ですが、昨年度の法改正によって、防災や災害復旧に対する土地改良事業の位置づけや役割がよりはっきりと具体化したと思うのですが、さらに土地改良区の在り方の中にも、そこのところを明確に入れていくのが大事だという、こういうご指摘であるという理解でよろしいですか。

平松臨時委員
  すみません、私、今おっしゃっている前年の土地改良法の改正の内容の詳細はよく存じ上げていないのですが、私が身近に接した土地改良区の皆さんが抱えておられる非常に重たい仕事としてこういった仕事がありますというご紹介です。

渡邉部会長
  わかりました。ありがとうございます。
  では、続けて森委員に伺います。

森臨時委員
  ご説明ありがとうございました。
  3ページ以降の土地改良区の具体的な問題点ですとかということについては、私なりに理解できたつもりです。けれども、大前提である2ページにあります「土地改良区の業務等」というご説明について補足が必要ではないかと思いました。私は農業農村整備の大切さを一般の方、土地改良区に関係ない方にわかっていただく主旨で執筆する機会があります。「土地改良区」という言葉は、まず一般的には全然わかっていただけません。今日の会議の後、これがホームページ上で公開されるわけですよね。そのときに総組合員数の推移というののインパクトが非常に強くて、減少の理由はそれなりにわかるんですけれども、じゃ、組合員じゃなくても農業用水等の利用はできるんだったら、ならなくてもいいよねというような感じで捉える消費者が多いんじゃないかと懸念します。維持管理するため、農業水利施設を利用するために組合員であることの意味とは何か。組合員数が減っているけれども、減っていても使えるんだったら、農業ができるんだったらいいんじゃないかというような疑問に答えるような項目はないので、一般の方に理解してもらえないと思います。
  例えば、マンションに住むときに町内会費はお祭りにも出たいから払うよね、ちょっとした清掃活動ならやってもいいよね。でも、マンションの管理組合の役員は面倒くさいからしたくないよねというような感覚で、こういう維持管理をやる業務の団体について思う方が多いんじゃないかと思うんです。
  ホームページで公開されて、それから土地改良区のこれからの在り方が重要であるということを一般の方にわかっていただくためには、何か具体的に身近な問題として捉えられるような切り口がどこかに必要なんじゃないかなというふうに思いました。
  ご専門の方たちのお話を聞いていて、今どれほど大変な局面になっているかわかるんですけれども、この資料を出されたときに、何だか難しくてよくわからないというような捉え方が多いんじゃないかということが、まず一番強く思ったところです。
  例えば、A、B、Cという農家さんが並んであったときに、Bは組合員さんじゃない、AさんとCさんは組合員さんである。用水路が横を流れている場合に、Bさん組合員じゃなかったらどんな不利益があるのかとか、そういう具体的なことがよくわからないんです。土地改良区の方たちに聞いても、そういう質問をしたら答えていただけません。
  そういうような切り口もどこかで考えていただいたら、土地改良区の現状と、それからこれからの方向性についての提案をする中での説得力を増すんじゃないかというふうに感じました。
  以上です。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  では、引き続き伺いましょう。では、横田委員お願いします。

横田臨時委員
  先ほどのご説明、私のは、感想みたいな、コメントみたいなので申しわけありません。先ほどご説明いただいた中で、非常にいろいろ網羅的にやって取り組まれておられると思っていますし、これまで先生方から質問があったようなことで私も結構納得した部分もあります。私は実際水田や水路を使わせていただいて、現場で生産を行っている生産者ですので、そういう視点でお話しすると、少し私も最新のことをわかりませんが、生産費についてです。農水省の出している生産費調査の中で土地改良・水利費の割合は恐らく5%ぐらいだったのではないかと思います。
  例えば、横田農場で言うと、比較的コスト削減に取り組んでいて、生産コストを全体的に抑えていますが、そういう私たちの努力でできる部分で生産コストを下げていった結果、今横田農場の生産コストに占める土地改良・水利費の割合は10%ぐらいになっています。土地改良・水利費は、私たちの努力ではもう下がりませんから、当然そこが大きくなってくるわけです。今の米価の状況とか、今後輸出していくかとかという、今度米を生産してそれをどうしていくか、販売していくときにどうかということを考えていったときに、そのコスト削減を当然していかなければならない。そのときに土地改良・水利費が重くのしかかる。しかし、これ私たちが負担できませんという話では、もはや誰が負担するんだということになってしまいます。当然それはいろいろな議論もありましたけれども、耕作者が自分たちで生産し、実際に米を売って、そこの売り上げの中から支払わなければならないわけです。一方で、土地改良区も業務を効率化していくとか、電気代も高くなったりとか、運営が難しいとか、そういう実態も私もよく聞いていますから、そういう中で、先ほど複式簿記みたいな話もありましたけれども、土地改良区の経営も、公的な面ももちろんあるのでしょうが、一方でそこも自立的に運営していかないと最終的には土地改良・水利費が下がらない。それは、つまり私たちの生産するところのコストにも重くのしかかってくるということに当然なります。理事の中にも耕作者が入るという話もありましたけれども、より経営的な視点みたいなものが入っていって、当然それと地代みたいなところのバランスも当然あるわけですけれども、そういう視点が、この中で盛り込むという話ではないかと思います。そういう視点はより今後重要になってくるのかなというふうに感想として思いました。

渡邉部会長
  ご指摘ありがとうございました。
  それでは、柴田委員お願いします。

柴田臨時委員
  ありがとうございます。
  土地改良区の詳細な資料と現状の抱えている問題、本当によくまとめていただいてありがたいんですけれども、私は4ページの部分のところで感想と質問を申し上げたいと思います。前に渡辺委員からもありました所有者イコール耕作者という時代には何らあまり問題はなかったのが、だんだん左側の図のように自作地と貸借地が分かれるようになってきた。動態的に捉えた場合に、この自作地はこれから減っていって土地持ち非農家が増えていくとは思いますが、基本的に耕作者はみずから農地を保有するという考え方は、そもそも理想として、もうなくなっているのかどうか。右側の貸借地の部分で耕作者と所有者が16%、20%と分かれていますけれども、ここの所有者というのは、いずれウエートは下がっていく話なのか。ブロック別に見た場合に、北海道、沖縄は耕作者が増えているわけですけれども、所有者が2割残っているというのは、まだ過渡的な話であって、いずれ耕作者にかわっていく話なのか。あるいは国としては、耕作者がみずから農地を所有するという方向に誘導していくのか。この辺をどういうふうに考えられているのかということです。その際に農地の区画整理の規模とこの自作地と貸借地というのはどういうふうな関係になってくるのかと考えるわけであります。
  最終的には、農地は、特に水田を中心に日本の大きな食料の生産基盤でありますから、ある程度農地についても国の役割、すなわち、どういうふうな形で国が関与していくのかというのを明記すべき時期に来ているのではないかという気がします。
  以上です。

渡邉部会長
  では、小谷委員に先伺います。どうぞ。

小谷臨時委員
  説明いただきまして、ありがとうございます。
  今、柴田委員からも「耕作者」というキーワードが出てきたので素朴な疑問として。全体的に所有者から耕作者に移りやすくなると受けとめました。その耕作者というのは何をもって耕作者とするのか。今までは信用・信頼があったので成立していたと思うんですが、その耕作者が本当に耕作し続けてくれる主体なのかという証拠というか、ちょっとうがった考え方ですけれども、これは農地の問題であると同時に、水ですとか水源の話でもあって、最近は、農村にいろいろな形で今は外国の人なり、外国の資本が入ってきている時代ですので、何か地域で外資が土地を買い占めたりというような話を聞くので、そのあたりの、今まではいろいろな信用・信頼で保たれてきたことが簡素化されることによって何かほかの人に、悪意ではなくても考え方の違いでトラブルが生まれるリスクというんでしょうか、そういうのもあるのかなと思ってしまったので、回避する方法ですとか、何をもって耕作者とするのか、耕作者の定義とかがありましたら教えていただきたいです。
  以上です。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  5名の委員の方から伺いました。基本的に今回の検討に当たって注意しないといけないポイントや、気になるところをまとめてお話しいただいたと理解するところですが、ここまでで何か事務局のほうでご回答やご説明いただくことがあったらお願いしたいと思います。

神田土地改良企画課長
  ご意見をありがとうございます。
  平松委員からも、森委員からも、土地改良区が果たしている役割なり、土地改良事業の役割について、きちんと我々も、この資料にかかわらず、いろいろな機会を捉えて対外的なPRについては今後とも取り組んでまいりたいと考えてございます。
  それから、横田委員のご意見は、土地改良区のほうも土地改良区自身の経営がきちんと回るようにという観点が重要だと考えております。今回の経理の関係もそうですけれども、土地改良区の財産の状況を明らかにしていくことは極めて重要ですので、組合員に対して、あるいは組合員以外の方にも説明責任を果たしていくということではないかと考えているところでございます。
  それから、柴田委員、小谷委員それぞれ、農地の権利設定についてご意見がございました。農地の利用については、土地改良法も関連する制度でございますけれども、もともと農地法で規制がされているという部分がございます。農地につきましては、従来は自作農主義といいますか、耕す人が所有すべきだということが制度の大原則でございましたけれども、農地法も変わりまして、所有権は所有者に残したまま利用権だけを切り出して、規模拡大を進めていく取組が進められているところでございまして、今は株式会社も利用権という形で参入できることになっております。実際に利用権を取得しようと思っても、農地を借りるには農業委員会の許可が必要ということでございまして、きちんとその人が農業をやる人かどうか審査の上で借りる仕組みになっておりますので、外資が農地をたくさん買い占めるというか、借りるということも直ちにはない仕組みになっているところでございます。農地の利用に関する仕組みはきちんと適正に使う人が借りるというところが農地法で担保されるという前提で、その権利が設定されると、その土地に所有者と耕作者という2人の権利者が出てまいりますので、その2人が土地改良区の運営にどういうふうにかかわっていくべきか、今回、組合員資格の見直しをしようというのが今回の議論だと考えております。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  先ほどの森委員のご指摘について、私の立場で一言だけコメントさせていただきます。これから土地改良区の在り方の議論が進む中で、いろいろマスコミなりメディアに登場するチャンスが多いと思われるので、この機会に改めて土地改良区の果たしてきた役割や、これから期待されることもあわせて発信していくべきであるということに十分に留意すべきだと、こういうご指摘のように伺ったんですけれども、そういうことでよろしいでしょうか。
  こうした点については、私自身もいろいろな立場で発言しているので注意していきたいと思いますし、ご関係の方皆様、ご配慮いただけたらと思いました。
  では、続いて、引き続き長谷川委員お願いします。

長谷川臨時委員
  11ページの「土地改良施設の維持管理」ですけれども、地域の活動組織が農地周りの水路等の維持管理に取り組んでいる地域も存在すると。この辺の話は農村協働力を考える上でも非常に重要なことなんだろうと思います。それで、ここの上の括弧の中にある「地域の活動組織が土地改良施設の維持管理に参加できるようにしてはどうか」という、これはまさにそういう形で進めていければなと私自身思っています。
  その上で事務局の方に伺いたいのは、もう少し具体的に、参加できるようにするには、例えば制度的にどういうふうに変えていくことが具体性を高めていくことになるのかとか、その辺のイメージについて伺えればと思っています。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  では続けて、武山委員お願いします。

武山臨時委員
  ありがとうございます。
大きく今回2点ご説明いただきました中の、まず後半の土地改良区の体制をめぐる課題の部分です。このように組織を簡素化していくご提案は非常に重要で、喫緊の課題だと感じております。ただ1つ、資料の12ページの総代会制度の部分ですけれども、伝統的に土地改良法は人単位での要件をつくってきたわけですが、そろそろ面積等の要件にも注目をしていく必要があると感じています。
  つまり、研究者のほうからは、例えば地域の面積の3分の2をカバーする人が参加していれば、その会には代表権があるとか、そういった会の設置についても提案がなされてきたところですが、実現に至っていません。そろそろ代表権を持つ会というものが人単位のみで検討されるのではなく、面積等の要件も並行して使うようなことも考えていってはどうかという、これは1つご提案でございます。
  続きまして、もう一つ、3条資格者の話ですが、4ページに非常に注目すべきデータをお示しいただいたと思います。極めて重要なデータだと感じています。すなわち、当然ながら、土地改良法は耕作者主義、所有者と耕作者が違う場合には耕作者が3条資格者になることが基本とされているわけですが、これだけ所有者というものが残り続けているということは重たく受けとめるべきだと思っています。すなわち、法律にはちゃんと3条資格者は「耕作者」だと書いてあるわけで、それでも「所有者」のケースがこれだけある。この事実はそう簡単に動かないだろうと思います。
  現場で非常に強く感じることは、そもそも貸借というものの形態に大きく2つあるということです。
  1つは、貸借者主義というふうに私は言っていますけれども、貸借する側がみずからの耕地をふやしたい、経営を大きくしたいということで農地を借りるというケースです。
  2つ目は所有者主義、つまり所有者の側がもうこの農地を耕作できない、もう利用できないよ、だから誰か借りてくれないか、誰か世話をしてくれないかという形で貸借が起こるケースです。
  前者は、当然北海道、東北地方の、比較的農地面積が大きくかつ平場で、そもそも基盤条件がいいという中では、基盤整備をする前から借りてくださる方がいらっしゃった。自分の借りた農地の条件をよりよくして、よりよい経営をしていこうという中で土地改良に取り組む際は、耕作者が費用を負担するということが当然あり得てしかるべきだと思います。
  一方で、わざわざ自分の経営がマイナスになるかもしれなくても、地域のために農地を借りてくださっている方、未整備の農地を借りてくださっている、山際の農地を何とか借りて世話をしてくださっている、このような方にとっては、なぜ自分が経費を負担してまで土地改良をしなきゃいけないのかというふうな考え方になって、これもしかるべきだと思われるわけです。
  そうすると、この問題は法制度上で耕作者主義を推し進めていけば解決するという問題ではなくて、むしろ、所有者の方が積極的に事業に参加できる道というものも並行して探らなければならない。新たに3条資格者の範囲を広げると言っても、法律上はもう既に3条資格者は「耕作者」となっているわけですので、現場は今と何も変わらないのではないか。そこで、土地改良事業に向けて所有者を動かす工夫というものも必要ではないかと感じます。
  もう一つ、貸借ということには法律上も2つあります。これも釈迦に説法ですが、農地法による貸借と基盤法の貸借です。
  農地法は、相対で農家さんと借り手が1対1で貸借関係を結んでいきますので、非常に色濃い貸借関係でございます。よって、耕作者にしてみれば、所有者の意見をないがしろにすることは非常に難しい局面があろうかと思います。
  一方、基盤法は、農地法がもともと所有者ではなく、耕作者、借りる人の権利を守る貸借の仕組みであったところがうまく進まないために、基盤法では所有者はある程度守りますよという中で貸借ができる仕組みを整えたと理解しています。そうなりますと、柚木委員がまさにご指摘いただいたように、この基盤法による貸借は、所有者が守られている仕組みの中で、そもそも土地改良法との矛盾というか、若干合わないところが元来からあったということも指摘させていただけたらと思います。
  すみません、長くなりました。最後ですが、そもそも農地の所有権というものがどう理解できるのかということも、並行して考えていかなければいけないのかなと思います。本来、日本の伝統的な農地制度は自作農主義でございまして、耕作者が農地を持っている状況だったのですが、時代は変わって、所有者と耕作者は違うという状況が多くなっています。では、所有者の責任なり権利というのは何かということもあわせて議論していかないと、とにかく耕作者主義だということでは、現在4ページにあるデータが示す現状では、やはり所有者がひたすら農地の所有権というものを離さないという状況が続き続けるのではないかと懸念しております。
  以上です。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  では、最後、染谷委員にお願いしましょう。

染谷委員
  生産者の立場での質問なんですけれども、自分で米づくりをしてきて四十数年経ちますが、実際に食管制度があって、制度上どんどん米の値段が上がってきて、23,000円ぐらいの米価だったときがあります。それから比べると、現在米価は大体半値になっているんです。そのときに自分達が米を作っていた生産費、要するに経費等、それが半分になったものがあるかといったら、何もなかったんです。本当に厳しい状況が続きました。その後、自分で水田を借りたり、買ったりした農家がありますが、300軒になります。ということは、300軒の農家が米づくりやめたのです。それは、やはり米の値段が下がったということで、もうこれから自分で米を作ってもだめだから、もういいやということで投げやりになった農家がたくさんいたと思います。
  そういう中で、これからも米づくりをしていくには、できるだけ農業に関係する資材、またいろいろな団体等の賦課金等、できるだけ下げていただきたい。そうしないと、いくら規模拡大しても採算がとれないのではないかと感じています。
  そういう中で、土地改良区として見れば、これまで一生懸命努力してやってきていると思うんですけれども、今日見せていただいた中で、7ページに各事例として組合費A、B、Cとありますけれども、高いところで12,000円、安いところで5,000円ちょっとだと思うんですけれども、こうやって差が出てしまう。これはどうしてかなという、その辺のところを教えていただければと思います。
  実際に自分達農家も努力する、そしてまたいろいろな組織・団体も努力してくれる、また企業も努力して安い資材を提供してくれる、それが今一番重要ではないかと感じています。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  一通り委員の皆様からご意見いただきました。最後の3名の方のご意見に対して、武山委員からは少し突っ込んだご提案もありましたけれども、事務局からご対応いただける範囲でご回答いただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

神田土地改良企画課長
  まず長谷川委員からご質問がございました11ページの活動組織の参加の仕方でございます。
  現行でも、特に制度的に手当てをしなくても活動組織と土地改良区が連携したり、あるいは土地改良区が活動組織の事務局を引き受けたりという取組はさせていただいております。今回、そういった関係をより強化できるように、土地改良区の構成員といいますか、組合員のような形で地域の活動組織を加えられるように、それも1つの選択肢として、土地改良区の中で議論をしていただいた上で、活動組織を組合員のような形で参加できるようにしてはどうかということでございます。
  一方で、先ほど安藤委員のときにも申し上げたのですけれども、直接の受益者たる耕作者なり所有者の方と同じように議決権なり選挙権を認めるというのは難しいのではないかと思いますけれども、夫役といいますか、共同活動、活動組織も組合員の一人としてそういう共同の出役なりに参加をしていただくスキームができないか検討させていただいております。
  それから、武山委員のご意見で、人数割なのか面積割なのかという話は、これは議論が難しいところがございまして、面積割というのもアイデアとしては従来からございますけれども、実際に運用するときに、票数のカウントの仕方が難しいということがございます。議案ごとに面積によって票を配分しますと、実際の合意数の集計が非常に煩雑になることになります。ただ、ご指摘のような観点は、総代を選任するときの選挙区の設定については単純な、人数割ではなくて、受益面積から見ても適切な配分になるようにということは心がけていかなければならないのではないかと考えているところでございます。
  それから、組合員資格の実態については、現に4ページのような地域格差が生じておりまして、組合員資格を一律に所有者から耕作者に移すというようなことは当然実態がついてこないので、難しいと考えております。2人の権利者の一方しか参加できない仕組みが逆にそういう状況を生んでいるのではないかということもございますので、1つの土地に、観点は違いますけれども利害関係を持っている方が、全く同じような権利義務を認めることは難しいとは思いますけれども、それぞれの持ち分に応じた参加ができる組合員資格ができないかということで、一筆1資格という仕組みをさらに1つの土地にある2人の資格者が両方土地改良区の組合員になれるようにできないか検討させていただいているところでございます。
  そういう仕組みもうまく活用しながら、必ずしもすぐに現場が動くわけではありませんが、土地改良区それぞれ、現に何が困っているか、大きな土地改良区は、まだ組合員が多過ぎるという考えもあると思いますし、小さい土地改良区でこれ以上組合員が減ると困るといったところも、いろいろな形があると思います。そういう中で自分の土地改良区は何が必要かということを土地改良区の中で議論していただいて、組合員資格をどうするのかよく議論していただく必要があると考えております。
  それから、農地の所有権のあり方については、これは土地改良法にとどまらない話でもありますので、私どもも問題意識を持っていきたいと考えております。
  それから、最後に染谷委員から、各土地改良区ごとに、7ページの賦課金にいろいろな差があるというご指摘をいただいております。日本全国生産条件には違いがあって、実際に水を通すために、自然の水が十分に潤沢にある地区もありますし、電気ポンプで揚げてこないと水が得られないところ、あるいは常に水がたまっていて、排水のためのポンプをずっと回さなければならないところ、それぞれ営農環境を維持するために必要な条件が千差万別でございます。それぞれの地区ごとに実際にかかるコストが異なりますので、土地改良区ごとに賦課金の水準には差があるというのが現状でございます。
  各土地改良区も合理化の努力はしていただいているので、賦課金が高い地区は土地改良区の職員の給料が高いということでは必ずしもございません。いずれにしても、土地改良区ごとに賦課金がなぜこの水準なのかというのは、きちんと組合員の方に説明責任を果たしていただく必要があると考えているところであります。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  ほぼ予定の時間になったのですが、私からも一言申し上げたいと思います。
  私が伺いたいことや申し上げたいことは委員の皆様がすでにおっしゃっていただいたのですが、自分の研究のテーマにかかわるところで1つ申し上げます。日本の農業用水管理が、農家の方を中心とする地域的な管理でうまくやってきたところの根源には、地域の水や施設をみんなのものだとして共同で維持管理するシステムが継続して存在してきたことがあると思います。その制度的な裏づけの、あるいは表現の一つは「1票主義」にあらわれてきたのではないかなと考えるところです。
  土地改良法の17条と思いますが、役員の選挙においてや、先ほど話題となった31条にもあると思いますが、サービスを地積や用水量によって賦課していくというものと同時に、地域全体の維持管理、あるいは資源を共有するということがそういう制度にあらわれてきたと考えます。それを機能させ続けていくものが、今度のこの制度、あるいは法の改正の中でどういうふうに位置づけるべきか改めて整理しておく必要があると思います。
  海外で説明するときにも、日本の土地改良事業の特徴の一つとして1票主義を挙げてきたと思います。先ほどご説明のあった多面的機能関係団体の参加の場合の意思決定への参画の仕方などもかかわってくると思います。こうしたことは大事なポイントではないかというのを最後に申し述べさせていただきたいと思います。
  対応については、先ほど事務局から、もう全体としてはご検討いただいているようにも伺いました。
  皆さん、まだまだきっとご発言はあると思うのですが、全体の議論を踏まえてどうしてもこれは発言したいという方があったら伺いたいと思いますし、振興局の幹部の方からももし何かご発言があったら改めて受けたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  よろしいですか。多分皆さんご意見はまだあると思うので、継続して事務局にお寄せいただいたらいいですよね。これは私のこの場での提案ですが、もし差し支えなければ、その提案のやりとりをご質問された方、事務局が了解されるのであれば委員で共有させていただいたらいいと思います。これはこの部会の議論の外の話になりますが、そういう形で共有する方向で私と事務局と相談させていただきたいと思います。それでよろしいでしょうか。引き続きご意見をお寄せいただきたいと思います。
  ありがとうございました。
  それでは、次の議事に移りたいと思います。議事(2)は、「国際かんがい排水委員会第68回国際執行理事会の結果報告について」です。事務局より、まずご報告いただきたいと思います。

石島海外土地改良技術室長
  設計課海外土地改良技術室の石島でございます。よろしくお願いします。
  資料2の1ページをご覧ください。
  「国際執行理事会等の概要」ということで、今回、昨年の10月にメキシコで国際執行理事会、それから総会があわせて開催されました。
  2ページに国際執行理事会に国内委員会から出席された委員の皆さん、それから具体的にどちらの作業部会等に出席したか、その一覧が示されております。写真で何人かの委員の方の様子も写っておりますけれども、各部会等で日本の知見・経験を生かした技術的な貢献・情報発信を行っていただきました。
  3ページには、総会の活動結果ということで、主な発表者の方等を示しております。
  4ページでございます。今回の理事会の中で会長及び副会長選挙が実施されました。その中で、副会長として日本から林田国内委員が立候補されました。全体4名の立候補者がおりまして、そのうち3名が当選ということで、実際に選挙という形になりましたけれども、そこにありますとおり、第1位の当選順位で当選をされております。
  下のところに今後の主な会議予定がありますけれども、第8回のアジア地域会議がネパールで今年の5月に、それから今年は8月にカナダで執行理事会等が予定されております。
  5ページにまいります。この理事会、総会の場で世界かんがい施設遺産の登録も行われました。ICIDが2014年から開始しております世界かんがい施設遺産の登録ですが、今回は日本から4施設が新たに登録をされております。具体的に登録されている施設については、その地図に示してあるとおりでございます。これでトータルとしては、日本で31の施設がかんがい施設遺産に登録をされたところでございます。
  私のほうからは、以上でございます。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  それでは、ただいまのご説明につきまして、何かご質問、あるいはコメントいただくことありましたらお願いしたいと思います。
  よろしいでしょうか。特にございませんでしょうか。
  では、ご報告を受けたということにさせていただきます。ありがとうございました。
  それでは、続きまして議事(3)「農業生産基盤の整備状況について」です。事務局からご説明をお願いいたします。

川村計画調整室長
  設計課計画調整室の川村です。私から、資料3についてご説明いたします。
  毎年農業生産基盤の整備状況をご説明しておりまして、今回、平成28年3月時点のデータを取りまとめましたのでご説明させていただきます。
  1ページをお開きください。「田の整備状況」でございます。左の表を見ていただきたいのですが、30a程度以上の区画整備済みの田につきましては面積が158万ha、平成27年から約3,000haふえて整備率が65%になりました。このうち、排水良好な面積、また50a以上の大区画に整備されている面積は、それぞれ109万ha、24万haで、整備率として45%、10%となっております。
  2ページをお開きください。こちらは、今ご説明した整備状況を都道府県ごとに示しておりますので、またご確認いただければと思います。
  3ページですけれども、田のうち、排水が良好でない農地の割合、これが高い都道府県を濃い青で示しております。北海道、あるいは青森県等々、まだまだ排水が良好でない地域が見られるという状況でございます。
  4ページは、「畑の整備状況」でございます。左の表でございますけれども、従来、畑の整備については末端農道の整備、あるいは畑かん施設の整備ということでお示ししており、今回、区画が整形されている面積ということもあわせてお示しをしております。区画が整形された面積は、全体で128万haで63%を占めているという状況となっております。
  5ページ、6ページ、7ページは、畑の整備状況について、田と同様、都道府県ごとに示したものですので、またご覧いただければと思っております。
  8ページは、今までご説明したものをグラフで示したものでございます。
  9ページですけれども、「基幹的農業水利施設の整備状況」でございます。基幹的農業水利施設につきましては、私どもで施設数と建設時からの経過年数、こちらを調べておりまして、左上の表でございますけれども、水路で約5万km、ダムや取水堰、そういう点施設で約7,600カ所となっております。
  それらにつきまして、資産価値を再建設費ベースで計算したところ、ここは平成27年3月段階になりますけれども、基幹的農業水利で19兆円、それ以外の末端水路等を加えると全体で33兆円になるという結果となっています。
  それに加えて、右の表でございますけれども、基幹的水利施設の区分ごとに耐用年数を超過した施設の割合を示しております。施設によっては、耐用年数超過のパーセントが前年に比べて増えているとか、あるいは用排水機場、水門等、耐用年数を超過している比率が高い、こういう施設が多いということとなっております。
  最後は、今ご説明した内容を、表にしたものでございます。
  説明は以上でございます。

渡邉部会長
  ありがとうございました。毎年ご報告いただいていることかと思いますが、何かご質問ありましたらお願いいたします。
  よろしいですか。では、(3)のご報告は受けたということにさせていただきます。ありがとうございました。
  一応これで予定した議事は終了しましたが、何か特にこの場でご発言いただくことはございますか。よろしいですか。
  特にありませんでしたら以上で審議は終了して、進行を事務局にお返しします。

川村計画調整室長
  委員の皆様方、長時間にわたるご審議、ありがとうございます。
  以上をもちまして、本日の部会を終了させていただきたいと思います。本日は、どうもありがとうございました。

 

お問合せ先

農村振興局整備部設計課計画調整室

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ダイヤルイン:03-6744-2201
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