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農林水産省

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平成29年度第1回議事録

1.日時及び場所

日時:平成29年9月5日(火曜日)14時00分~16時10分
場所:農林水産省本館7階  第3特別会議室

2.議事

(1)部会長の選任
(2)部会長代理の指名
(3)技術小委員会の設置について
(4)今年度の審議事項について
(5)社会情勢の変化を踏まえた次世代の農業・農村の構築について
(6)国際かんがい排水委員会(ICID)の活動方向について

3.議事内容

議事録(PDF : 447KB)

川村計画調整室長
  皆様お揃いでございますので、ただいまから食料・農業・農村政策審議会平成29年度第1回農業農村振興整備部会を開催いたします。
  今回は本年7月の委員改選後、初めての部会となります。部会長が選任されるまでの間、私、計画調整室の川村が司会進行を担当させていただきます。よろしくお願いいたします。
  なお、本日の会議は16時までを予定しております。
  開会に先立ちまして、荒川農村振興局長よりご挨拶を予定しておりましたが、急遽用務が入りまして、遅れて出席となります。このため、整備部長の奥田よりご挨拶を申し上げます。

奥田整備部長
  整備部長の奥田でございます。
  今、司会のほうから説明があったとおり、荒川局長は遅れての出席となる予定でございます。申しわけございません。
  さて、委員の皆様方におかれましてはご多用にもかかわらずご参集いただき、厚く御礼申し上げます。また、日頃より農業農村振興施策の推進に当たりまして格段のご理解とご協力を賜りまして、心より感謝申し上げます。
  本日は、委員改選後の初めての会合となるわけでございまして、委員就任のご承諾をいただいたことに、まず厚くお礼を申し上げます。
  さて、本部会では昨年度「社会資本の継承・新たな価値の創出と農村協働力の深化」を基本理念とした新たな土地改良長期計画を取りまとめていただいたところでございます。そのような中、先の国会では土地改良法の改正、農村地域工業等導入促進法の改正など行いまして、農政改革に向けて大きく歩みを進めたところでございます。
  こうした一連の政策の実現に向けて、この8月末には来年度の予算の概算要求を取りまとめたところでございまして、農村振興局といたしましては、1つ目としては担い手の農地集積・集約化等による構造改革の推進、2つ目は、水田のフル活用と経営所得安定対策の着実な実施、3つ目として、強い農林水産業のための基盤づくり、4つ目として農山漁村の活性化を重点事項として、総額6,752億円を要求したところでございます。
  さて、土地改良長期計画策定時にこの部会でもいろいろ議論をいただきました。今年度の部会では、その議論を踏まえた上で、将来の展望をさらにご議論いただきたいと考えてございます。特に今後、農村地域の人口の減少、高齢化、混住化に加えて担い手が中心となる農業構造への転換が進む、あるいは農村協働力の低下が心配される、このような状況下において、次の世代に向けてどのような農業が展開され、また、魅力に溢れ活力ある農業・農村をどのように構築していったらいいのか、将来の農業・農村のあるべき姿についてご議論をいただきたいと思っております。
  いずれにいたしましても、今年は、先ほど来申し上げていますように新たな土地改良長期計画を作成した直後というタイミングでございまして、比較的自由なご議論がいただけるタイミングと思っております。限られた時間で事務局から新しい技術でありますとか農村協働力の深化などについてご説明させていただきますが、できるだけ資料の説明は最小限にとどめまして、皆様方にご議論いただく時間を確保したいと考えてございます。
  ぜひ忌憚のないご意見をいただけるようお願い申し上げまして、私からのご挨拶とさせていただきます。
  本日はよろしくお願いいたします。

川村計画調整室長
  ありがとうございます。
  なお、荒川局長におきまして到着次第、ご挨拶をさせていただきます。
  また、局長は再度、用務のため途中退席となりますことをご了承お願いいたします。
  次に、委員の皆様を紹介させていただきます。後ほど自己紹介を兼ねてご意見をいただく時間もありますので、ここではお名前だけの紹介とさせていただきます。
  まず、中央におられます委員からご紹介いたします。
  染谷委員です。
  柚木委員です。
  渡邉委員です。
  続いて、臨時委員をご紹介いたします。
  浅野臨時委員です。
  安藤臨時委員です。
  柴田臨時委員です。
  武山臨時委員です。
  西尾臨時委員です。
  西村臨時委員です。
  長谷川臨時委員です。
  松田臨時委員です。
  森臨時委員です。
  横田臨時委員です。
  渡辺臨時委員です。
  なお、小谷臨時委員と平松臨時委員におかれましては、所用により本日は欠席とのご連絡をいただいております。
  続いて、農林水産省の出席者をご紹介いたします。
  大野大臣官房審議官です。
  太田農村政策部長です。
  奥田整備部長です。
  秋山農村計画課長です。
  松本地域振興課長です。
  森澤農村環境課長です。
  安部設計課長です。
  神田土地改良企画課長です。
  宮﨑水資源課長代理、山下事業調整管理官です。
  横井農地資源課長です。
  宮崎地域整備課長です。
  なお、防災課長、笹川におきましては遅れての到着となります。ご了解をお願いいたします。
  次に、本部会の公表の方法についてご説明いたします。
  本部会は傍聴について可とし、配布資料は会議終了後に、議事録は内容を確認いただいた上で発言者を明記し、それぞれホームページにて公表することとさせていただきますので、ご了承願います。
  それでは、配布資料について確認させていただきます。
  一番上から会議次第、配布資料一覧、委員名簿、資料1、資料2、資料3、資料4と、それと参考資料として参考資料1、参考資料2、参考資料3、参考資料4、参考資料5となっております。参考資料4と5につきましては本日は説明を行いませんが、前国会で成立しました土地改良法の改正及び農村地域工業等導入促進法の改正に関する資料でございますので、後ほどお目通しいただければと思います。
  また、ご参考までに、委員の皆様には3月に作成しました農村振興プロセス事例集を配布させていただいています。
  不足等ありましたらお知らせ願います。よろしいでしょうか。
  それでは、議事に移りたいと思います。
  報道関係者の方のカメラ撮りは、ここまでとさせていただきます。
  それでは、議事次第に従いまして議事を進めたいと思います。
  議事(1)部会長の選任でございます。
  参考資料3を見ていただきたく思います。
  食料・農業・農村政策審議会令第6(部会)でございますが、部会長は「当該部会に属する委員の互選により選任する。」とされております。
  この規定がございますが、委員の皆様の中で部会長についてご意見ございましたらお願いしたく思います。いかがでしょうか。

柚木委員
  先ほどご挨拶の中にもありましたけれども、これからのこの整備部会での議論につきましては、昨年おまとめいただいた新たな土地改良長期計画に関連した議論も多々あるとおっしゃったわけでございます。その観点からいたしまして、この長期計画の取りまとめに当たられましたお隣の渡邉委員に部会長をお願いしたらどうかと思います。ご提案申し上げます。

川村計画調整室長
  ただいま渡邉委員をご推薦する意見がございましたが、染谷委員、ご意見いかがでしょうか。

染谷委員
  ただいま柚木委員からご推薦がありました渡邉委員について、異議ございません。よろしくお願いします。

川村計画調整室長
  ありがとうございます。
  それでは、互選により渡邉委員に部会長をお願いすることといたします。
  渡邉委員、部会長席へお移りいただきたく、お願いいたします。

(渡邉委員  部会長席へ)

川村計画調整室長
  それでは、ここで渡邉部会長からご挨拶をいただきたいと思います。
  また、以降の議事につきましては部会長に進行をお願いしたいと思います。
  部会長、よろしくお願いいたします。

渡邉部会長
  京都大学大学院の地球環境学堂の渡邉でございます。
  今期もまた部会長を務めさせていただくことになりました。改めて、農業・農村にかかわる多彩な、各分野を代表するような委員の方を前にして、皆様方のご意見を取りまとめる役が務まるものかどうかちょっと心許ないところもございますが、前期に引き続きまして皆様方からよい意見を引き出させていただく役回りと思って務めさせていただきたいと思います。
  先ほど奥田部長のご挨拶にもありましたけれども、実は前期ではなかなかできなかったのですが、委員の中で議論をする、委員で意見を交わし、考えを重ねて、よりよい農業農村振興整備、その施策の振興に役立つ議論ができるような運営をしていきたい、進行をしていきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  これも先ほど部長のご挨拶の中にございましたが、前期で取りまとめました土地改良長期計画、これのフォローアップといいますか、進捗を見ながら議論していくというのが今期の部会の大事なポイントかと思います。現場の具体的な問題に対応するために、土地改良法や関連の法案の一部改正もなされましたが、長期的な展望に立ってどのように考えていったらいいか、自由に議論というお話もありましたし、そのように進めさせていただきたいと思います。
  少し私見を申し上げさせていただきますと、前期の土地改良長期計画は、計画の考え方自体も計画に書き込んである、あるいは計画の意義自体も書き込んであるようなところがあって、私は「自己言及の計画」と申し上げたこともあるのですけれども、そのキーワードは「農村協働力」かと思います。土地改良事業あるいは農業農村整備事業をよりよく進行させるための農村協働力、あるいは申し上げたような事業を進行することによってさらに鍛えられていく農村協働力、これをどうやってもう一度といいますか、次世代に向かって仕立て直していくかが大きな課題だと思いますので、この部会でもそれが議論の中心になると思います。
  今日の議論かと思いますが、そういうことを考えると、それに携わるプレーヤーが必要です。力強いプレーヤーが必要だと思います。そこも大事な議論のポイントかと考えて、今日ここへ参った次第ですけれども、今、申し上げたこともみな先ほど部長のご挨拶で触れられたことでありますし、今日これからの議論を私が先に申し上げたようなところもあるかもしれませんが、そのような課題に向かって、皆様方のご意見をいただくように進行していきたいと思います。何とぞよろしくお願いいたします。
  それでは、ご用意いただきました議事に従いまして議論を進めさせていただきます。
  審議会令の規定によりまして、部会長が不在の場合に職務を代理する委員を部会長があらかじめ指名することとなっております。
  私といたしましては、本日ご欠席ではありますが、平松委員に部会長代理をお願いいたしたいと思います。皆さんよろしいでしょうか。

(異議なし)

渡邉部会長
  ありがとうございます。
  では、そのように進めさせていただくことにします。

川村計画調整室長
  平松委員は本日ご欠席ですので、事務局からご就任をお願いいたします。

渡邉部会長
  ありがとうございます。
  それでは、議事(3)小委員会の設置について、まず、事務局からご説明をお願いします。

川村計画調整室長
  資料1をご覧ください。
  技術小委員会の設置についてご説明いたします。
  技術小委員会は、2.ですが、土地改良事業計画設計基準の制改定等を調査審議する委員会でございます。
  3.に「技術小委員会の委員長は、部会長が指名する。」とございまして、今回、委員改選がございましたので、部会長から小委員会の委員長の指名をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

渡邉部会長
  今、事務局からご説明がありましたが、技術小委員会の委員長につきましては部会長が指名することになっております。こちらも平松委員にお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。

(異議なし)

渡邉部会長
  以上でこの部会の構成が整ったことになります。
  議事(4)今年度の審議事項についてです。
  これも、まず事務局よりご説明をお願いいたします。

川村計画調整室長
  資料2をご覧ください。本年度の当部会の審議事項でございます。
  以下の3つの事項について審議を予定しております。
  まず1ですが、社会情勢の変化を踏まえた次世代の農業、農村の構築でございます。昨年8月に長期計画が作成されておりますので、本年度、長期計画を踏まえて議論を深めていきたいと考えております。
  本年3月に開催されました昨年度のこの部会において、委員の皆様方に意見を求めたところ、ハード整備だけではなくて、農村の魅力あるいは農村協働力の視点が重要ということがございましたので、このことを踏まえまして、次世代の農業・農村の構築としまして、農村協働力の低下が見込まれる状況において、次世代に向けて競争力ある農業が展開され、魅力溢れ活力ある農業・農村が構築されるよう、1)としまして、担い手政策を推進していくため、情報通信技術を活用した生産基盤の在り方、この際に農村協働力の補完・向上、この考え方も含めて検討したい。2)農村協働力を活かし、多様な主体が農村に住み続けるような魅力ある農村社会の構築について、こちらを議論したいと考えています。
  詳しくは後ほどご説明したいと思います。
  その他、2.としまして国際かんがい排水委員会の活動方向でございます。
  また、3.としまして、こちらは技術小委員会に付託する内容でございますが、土地改良施設管理基準の改正等でございます。内容は、土地改良施設管理基準-用水機場編-の改定など合計3つございます。これにつきましては本年3月の部会で技術小委員会に付託しておりますので、本日、詳しい説明は省略させていただきたいと思います。
  開催スケジュールでございますけれども、(1)農業農村振興整備部会につきましては今回を含めて合計3回、(2)技術小委員会については9月以降開催しまして、こちらも3回開催したいと思います。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  ただいまのご説明につきまして、何かご質問ありましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
  具体的な内容については、先ほどのご説明の中にもありましたように、次の議題の中でご意見いただくことになろうかと思いますが、よろしいでしょうか。
  ありがとうございました。では、今年度の審議事項については資料2のとおりとさせていただきたいと思います。
  続きまして、議事(5)社会情勢の変化を踏まえた次世代の農業・農村の構築について。
  これにつきましても、まず事務局よりご説明いただきたいと思います。

川村計画調整室長
  資料3をご用意ください。
  社会情勢の変化を踏まえた次世代の農業・農村の構築ということで、ご説明させていただきます。
  まず、1枚めくっていただくと目次がございます。
  本資料では、まず(ローマ数字)1、諸情勢の変化としまして1.農業・農村構造の変化、こちらをご説明した上で、2.課題を踏まえた検討事項を整理したいと思っています。
  その上で、(ローマ数字)2、社会情勢の変化を踏まえた次世代の農業・農村の構築ということで、先ほど資料2でご説明しました、1つは生産基盤の在り方、2つ目は魅力ある農村社会の構築について、事例を紹介しながらご説明したいと思っております。
  早速ですけれども、資料について説明いたします。
  時間の関係上、ポイントのみの説明とさせていただきます。
  まず、2ページをお開きください。
  左のグラフです。ここでは農村において近年、一貫して人口が減少しておりますこと、また、都市部に比べても高齢化が進んでいることが示されております。
  右のグラフですけれども、混住化も進んでおります。都市的地域を除く地域で農家の占める割合は2割程度。農村といってもほとんどの方は農家以外の方となります。
  3ページでございますが、左のグラフです。
  先ほどは農村全体でしたけれども、農家のみで統計を見てみますと、農家戸数も減少しておりますし高齢化も進んでおります。一方、右のグラフですけれども、担い手が利用する面積は、現在、全農地の過半を超えておりまして、担い手への農地集積ということでは進行しているということでございます。
  一方、4ページでございます。
  左上のグラフですけれども、小規模な農家については依然として多数存在しまして、農家の二極分化が進んでいる状況でございます。
  5ページでございますが、今、ご説明したとおり、人口減少、高齢化、混住化、あるいは農業構造の変化を踏まえて人的資本、マンパワーが減少あるいは劣化しているということと、人と人とのつながりの農村協働力についても低下しているということが言えるのではないか。地域を担う担い手の負担が増えてくるということ、あるいはコミュニティの維持、施設の維持管理についても支障が生じることが懸念される状況でございます。
  6ページをご覧ください。
  ここで、今、ご説明しました農村協働力について詳しくご説明したいと思います。
  土地改良長期計画では、農村協働力について「農村におけるソーシャル・キャピタル」という解説をしております。そこで「ソーシャル・キャピタル」でございますが、実は様々な定義がございまして、最も一般的なのは、アメリカの政治学者のパットナムが唱えました「信頼、規範、ネットワークといった社会組織の特徴」でございます。単なるネットワークではなくて、信頼がある、規範もある、そういうつながりでございます。
  パットナムはこのときソーシャル・キャピタルについては、真ん中少し左側の表でございますが、内部結束的な性格のものと、外に出ていく橋渡し的なものと2つの性質があると説明しております。
  他方、農村振興局においてもソーシャル・キャピタルの検討を進めておりますけれども、これまでは、内部結束に注目した検討が多かったということかと思っております。
  7ページでございます。
  2年前の部会で農村協働力を説明した際の資料を改めてご紹介します。
  農村についてはインフラ等の社会資本、生態系等の自然資本、あるいは農業者、マンパワーとしての人的資本がありまして、これらを農村協働力が結びつけて農村社会の効率性を高める、こういう整理をしているものでございます。
  8ページでございます。
  これも部会での資料でございますが、農業農村整備事業についてご説明しますと、枠の中の2つ目の丸ですが、丸1.農家が発意し、同意徴集を経るという手続があるとか、丸2.整備された基盤で営農等の話し合いが進められるという、農村協働力に働きかけて地域の発展に貢献するポテンシャルを有する、こういう説明をさせていただいてきた経緯があります。
  9ページでございますが、ここで農村協働力の数値化、指標化についてご説明したいと思います。
  ソーシャル・キャピタルの指標については、先行の文献で、統計データあるいはアンケートによって推計されている事例がございます。いずれも調査方法はきちっと確定しているということでなくて、その都度工夫をして取り扱っているということでございますが、農村振興局において平成18年、52の集落に対してアンケート調査を行っております。
  そのアンケート調査の内容は、右側の表でございますけれども、例えば質問項目、近所での付き合いとか友人との付き合い、ちょっと右に行って相互扶助とか地域貢献、こういうことを聞いております。これらについて集落全戸にアンケート調査を行いまして、その集落ごとに高いとか多いとか、肯定的な内容を回答した方の比率を算出しまして、統計的手法を用いて各項に関係して調べて、指標化しているものでございます。
  平成18年の調査で得られたデータから、緑色に書いています協働型のソーシャル・キャピタルと、黄色は互助型といいますか、そういうソーシャル・キャピタルに分類されると整理しております。この調査について、昨年─平成28年に同じ集落に対して同じ調査票でアンケート調査を行って、指標の変化を比較したということでございます。
  10ページでございます。
  この平成18年の調査に加えまして、平成21年にもアンケート調査をやっています。この際は、左側の図を見ていただきたいのですけれども、内部結束的なものに加えて橋渡し的な、集落を超えた橋渡し的なものと、地域と行政のつながりをここでは「結合」と言っていますが、こういう外部との連携についても調査できるように工夫し、項目を増やしてアンケート調査を行いました。
  これについても昨年、同じ集落に同じ調査票を発出して調査したということで、その結果が11ページでございます。
  過年度の調査と昨年度の調査、このソーシャル・キャピタルの指標を比較しますと、全体として低下する傾向が見られます。ただ、平成21年に調査しました橋渡し型については、ほぼ同様という結果でございます。その一方、右上のグラフでございますが、北海道の一つの集落でございますが、上がっているところもございました。ここはほ場整備事業を実施して、地域全体で種モノといいますか、高収益の作物を一生懸命つくっているという事例で、こういうところでは上昇した事例もございます。
  いずれにしても、これらの挙動についてまだ十分な検討には至っていない状況でございまして、まず農村協働力について当方でも、これまでも関心を持って調査してきたというご説明でございます。
  続きまして、13ページでございます。
  このような状況を踏まえての検討事項としまして、まず、政府全体として革新的技術の導入を推進しているということです。生産基盤に関しても、ICTの活用による水管理の省力化を推進しておりますし、14ページでございますが、農水省全体としてもスマート農業の加速化ということで、AIあるいはIoTの活用を進めています。
  15ページでございますが、6月に閣議決定されました未来投資戦略の中でも、公的機関が有するデータを積極的に提供していこうということで、農業データ連携基盤の構築をお示ししているものでございます。
  このようにICTの活用ということで方向が示されている中で、16ページをご覧ください。
  農村協働力について考えてみますと、従来は、農業集落を主体として内部結束的なものが注目されていましたが、一方、集落を超えあるいは都市や行政と広く連携していく、ここでは私ども「開かれた農村協働力」という言葉を使っておりますけれども、このような新しい農村協働力を築いていくことによって地域の活力を維持・向上していくことも重要だと考えるものでございます。
  17ページ、課題を踏まえた検討でございますが、本年度の部会においては、今、ご説明したとおり農村の人的資本の減少、農村協働力の低下の中で、検討課題1としまして、担い手政策を推進していくためのICTの活用等を考える際に、農村協働力をどのように考えていくかということと、検討課題2として、新たな農村協働力を形成して魅力ある農村社会の構築、こちらについて審議をお願いしたいと考えるものでございます。
  18ページでございますが、具体的な事例等をご紹介していきたいと思います。
  まず19ページ、生産基盤における新技術の必要性でございますけれども、担い手政策に関しましてマンパワーが落ちているということですので、マンパワーを拡大していく。このために農作業の負担軽減を進めていくという視点が必要かなと思っています。このためには新技術の活用による省力化が大事だということを示しております。
  20ページでございます。一方、農業水利について水源から末端まで、幹線レベルについては土地改良区、支線が水利組合、末端が農家ということで極めて複雑・多重的な構造になっています。
  21ページですけれども、今、ICTで実証が進んでいるのは、右側の図でございますが、ほ場レベルでセンサー等を活用して、地域の水需要を管理していこうということです。こういうことができれば、水源から末端まで地域全体の水管理についても効率化が期待されるということでございます。
  急いで大変恐縮ですけれども、22ページでございます。
  ICTに関しては、建設現場でも導入が進んでおります。ICTを活用した情報化施工を積極的に進めて、低コスト化を推進していくことを今、農水省としても進めているところでございます。
  そこで、23ページでございますが、今、ご説明したICTの活用について担い手の効率性が高まっていくということがございます。一方、担い手だけでは、例えば農産物の加工とか販売といったものは難しいと考えられます。土地改良計画が示している産地収益力の向上の視点に立てば、担い手の効率性を高めていくことと、その後、地域全体で産地収益力を高めていく、こういう展開が期待できるのかなと考えるものでございます。
  事例として、24ページですけれども、北海道の士別市では大規模な区画整理を行い、GPSトラクターを使って効率的な農業をしていますが、新たな取組としまして、トマトジュースや米粉パン、こちらについては地域団体と連携して取り組んでいます。
  25ページは岡山市の事例ですけれども、経営の大規模化と相まって、ここは酒蔵と連携して地域特産物をつくっているという事例でございます。
  26ページでございますが、こういうことを踏まえて、検討の視点、下の点線の枠でございますが、ICTを活用した担い手政策と生産物の加工・販売をもたらす農村協働力の向上、こういう活用の両立が重要ではないかと考えていまして、その視点で議論が高められたと考えております。加工・販売だけではなくて、担い手を応援する方策あるいはICTの人材育成、そういう視点もあろうかと思いますので、ご意見をお願いしたいと思っています。
  続いて2.多様な主体が住み続ける魅力ある農村社会の構築でございますが、こちらは、農村振興プロセス事例集で地域の活動がどんどん発展していることをお示ししましたので、こちらをご紹介したいと思います。
  29ページでございますが、宮崎県の高鍋町でございます。
  これは基盤整備を行って多面的機能支払を活用し、その後、ひまわり植栽を契機に地域イベントを行って、「ひまわりキャベツ」のネーミングで販売、ご当地グルメの開発等、地域全体の活動に広げている事例でございます。
  30ページは埼玉県の秩父市でございますが、基盤整備を行って、多面的機能支払により農地を保全して企業参入を進めたところ、ワイナリーやウイスキーメーカーも参入して地域の活性化が図られているという事例でございます。
  30ページは佐賀県有田町でございますが、こちらは田園景観に配慮した基盤整備を行って、中山間地域直接支払を活用しつつ棚田オーナー制等々交流活動を続けまして、棚田まつり開催、Uターンの定着、こういうものにつなげている事例でございます。
  32ページは群馬県みなかみ町でございますが、観光農業をねらって基盤整備を行って、その後の子供の教育旅行、あるいは現在では外国人観光者、インバウンドの対応もやっているということでございます。
  33ページは山口県周南市でございますが、ツルの生息に配慮した基盤整備を行って、環境配慮を前面に出した地域特産物の販売、これは酒蔵と連携してやっているという事例。
  34ページは岐阜県郡上市でございますが、小水力発電を活用して新規就農者の研修や加工商品の販売、こういうものに使っています。
  35ページは大阪府和泉市の事例ですが、ため池の整備をした後、災害が来ても農業用水が確保されるのであればそれを生活用水や防水用水に使えるのではないかということで、土地改良区の理事長さんが大阪府と和泉市と農業用水の利用に関する協定を結びまして、協定のみならず、地域住民を巻き込んで防災訓練をやっているということです。これは協定という手法を活用して、うまく地域のつながり、協働力を深めていると言えるのかなと思っています。
  36ページでございますが、以上の事例については特に新技術という観点ではございませんが、ICTの活用については情報発信あるいは共有、これを効率的に進められるということですので、農村協働力の深化にも活用できるのではないかということです。37ページでございますが、これは三重県の立梅用水でございます。GISで地域の施設を地図情報化して、様々な活動をこの中に蓄積するという取組をしております。さらには豪雨時に施設がどうなるかをシミュレーションして的確な管理に役立てるとともに、消防部署と農業水路の情報を共有して、防災訓練等、地域の防災力を高めている事例でございます。
  38ページは大分市の事例でございますが、農業ダムの情報について、インターネットで管理者のみならず市町村等々広く見られるようにしまして、迅速な情報共有を図っているということでございます。通信技術で効率的に連絡を図っているということです。
  39ページ、まとめでございます。
  点線の枠の中でございますが、開かれた農村協働力ということでご提案していますが、多様な主体が参加した農村協働力の深化としまして、今、事例をご説明しましたが、様々なご意見あろうと思いますので、ぜひお願いしたいと思っています。内容的には、先ほどの生産基盤と重複するところもあろうかと思いますが、例えばプロセス事例集の横展開とか、防災・減災の進化等の議論にもなろうかと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  長くなりましたが、説明は以上でございます。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  先ほどご了承いただきました今年度の審議事項の材料について、急ぎご説明いただいたということになろうと思います。
  ちょうど荒川農村振興局長がお見えになりましたので、早速ですけれども、一言ご挨拶いただいてよろしいでしょうか。来た早々で申しわけございません。

荒川農村振興局長
    大変遅くなって申しわけございません。農村振興局長、荒川でございます。
  今日は第1回の農業農村振興整備部会の開催に当たりまして、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
  本来であれば冒頭きちんとご挨拶をさせていただくべきところでございましたが、大変失礼をいたしました。
  冒頭、奥田のほうからご挨拶させていただいたとおりでございますが、新しいメンバーで、新しい体制で今回ご審議いただくということでございまして、引き続きよろしくご指導賜りますようにお願い申し上げます。
  どうもありがとうございます。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  お座りになってすぐにマイクを渡したような感じで、申しわけございませんでした。
  それでは続けたいと思いますが、今のご説明に対しまして、先ほどありましたように今期の議論を深めていくための予備的な議論を深めたいということであります。
  これから先、各委員の方に順番にご発言いただこうと思いますけれども、日頃農業・農村整備についてお考えになっていることも含めて、自己紹介にも触れていただくことにもなろうかと思いますが、ただいまのご説明に対してご質問なりご意見をいただきたいと思います。

川村計画調整室長
  すみません、資料の説明が1つ抜けておりました。
  参考資料2を用意しておりまして、ご説明が抜けてしまいました。恐縮です。
  今回、未来の農業・農村について議論をいただくということでございます。将来の姿というとなかなか行政では描けないかなと思っておりますが、一方、農業農村工学会において、本年度の全国大会の開催に当たって「2050年農業・農村の姿」ということでポスターを募集しました。全部で61作品ございまして、全てお示しというとちょっと多いんでございますが、8月30日に9作品が表彰されておりますので、審議のご参考として、学会からご提供いただいた資料を参考資料2として提示させていただいております。
  1ページめくっていただくと、全部で61あるということで、高校生と大学生と一般、この3部門で募集しています。大学生からの応募が多かったということです。
  3ページ以降、高校、大学、一般の部門に受賞された作品ですけれども、AI、ICT、ロボット、こういうものがテーマとして多かったです。例えば3ページ、5ページ、6ページ、8ページ、9ページ、10ページ、こちらがAI、ICTあるいはロボット化ということ、その他4ページはエネルギーについての提案でございます。一番最後は産業型と観光型の農業の分化という切り口でございます。
  このようにして見ますと、ICTなりAI、こういうものの利用が今、多く期待されているのかなということでございます。
  説明は以上でございます。

渡邉部会長
  それでは準備の整った方から御発言いただいたらいいかと思います。どなたからでもどうぞ。いかがでしょうか。遠慮なさらずご発言いただけたらと思いますけれども。


横田臨時委員
  では、口火を。
  簡単に自己紹介しますけれども、私は茨城県龍ケ崎市から参りました有限会社横田農場代表取締役の横田と申します。
  横田農場という名前ですが、私はいわゆる米農家でございます。今年の作付が140ヘクタールほどございまして、今まさに稲刈りの真っ只中でございます。今日も午前中は稲刈りをやっていました。
  先ほどご説明いただいた資料3の最初のほうにもありましたけれども、もう既に十分ご承知のとおり、私の地域でも高齢化によってリタイアする方が多い。茨城県龍ケ崎市というのは茨城県では南側に位置していまして、直線で言うとここから50キロぐらい、肉眼で東京スカイツリーが見えるぐらいの距離にございますけれども、そういった地域であっても後継者が非常に少なくて、平場の水田地帯なんですけれども、やる人がいないということで、どんどんリタイアする方が増えている。それに伴って毎年10ヘクタールぐらいずつ作付面積が増えているような状況でございます。
  結果的には規模拡大しているわけですけれども、積極的に規模を拡大しようと言っていた時代はもう終わって、消極的な規模拡大をしながら、といっても毎年10ヘクタールずつ増えていくような状況にあります。
  その中で私、事前に説明を受けた中でも、農村協働力ということは非常に重要だなと感じております。というのは私も農村地域ですけれども、以前はほとんどの方が農業に従事されていましたけれども、今はもうリタイアされて、それこそ横田農場に頼んでいるという方がほとんどになってきて、むしろ地域の中で言うと、我々「担い手」と言われるとさも大事にされていそうですけれども、もはや少数派になっていて、いろいろな面で我々が、例えば何でしょう、作業をして、どうしても農業機械で農道を走行するわけですけれども、ほ場から農道に出ると泥が道路に落ちて一般の方の通行に迷惑をかけると苦情が来たりして、でも、私たちからすれば「それは農道だろう」と思ってしまうんですけれども、やはりそういうことも実際起こってくるわけで、では、地域の中で一緒に住んでいる、以前であればみんながそういうことをやっていたから何とも思わなかったのが、今は残念ながら私たち以外ほとんどの方がそうでなくなってしまったので、地域の中で我々農業者か必ずしも農業をやりやすい環境とは言えない状況になってしまっています。
  そういう中で、地域の中で農業者と農地を貸してくださる方がいかに一緒の地域の農業をやっていくんだという、担い手に任せたからもうそれでいいということではなくて。そういう考え方は非常に重要だなと思っています。何かそれを測る尺度が農村協働力というものなのかなと、私は事前に説明を伺って思いましたので、ぜひそういった議論を深めていただけたらと思っております。
  長くなりましたけれども、以上です。

渡邉部会長
  「長くなりました」というご発言があって思い出したのですけれども、皆さんにご発言いただくとすると5分程度でということだったので、横田委員はもう少し話していただいても大丈夫だったかもしれません。皆さん5分程度でお話しいただきたいと思います。
  続けて、いかがでしょうか。どなたでも。

柚木委員
  全国農業会議所の柚木と申します。よろしくどうぞお願い申し上げます。
  全国農業会議所は、ご案内のように各市町村に行政委員会である農業委員会がございます。これの全国組織ということですが、昨年、農業委員会の制度の抜本的な改正がございまして、我々全国農業会議所も、農業委員会のネットワーク機構ということで農林水産大臣の指定を受ける形になっております。
  農業委員会自身も、これまではいわゆる公選制で委員の方々が選ばれていたわけですけれども、市町村長さんの任命制になりました。同時に、この整備部会での議論とも関連すると思いますけれども、地域の農業者の代表といいますか、地域の代表としての機能、いろいろな農地の話とか農業全体の話を議論していくに当たっては、地域の中で推薦を受けた、そういう方々の代表としての意識がないと、なかなかそういう議論にならないのではないかということで、公選制は、そういう代表を選ぶシステムとしてはきちっとできていたわけでございますけれども、任命制になる中でそこの機能をどのように持たせるかということで、制度の中でも地域の推薦を基本にして、自ら手挙げをするということもあるわけですけれども、そういう中で、議会同意もかけた形で公平公正な選び方をということになっています。
  と同時に、やはり農業で頑張っている方々が農業委員の方々の過半を占めるようにということで、これも制度で措置されましたので、これまで約8割の農業委員会で新制度へ移行しましたけれども、60%弱を認定農業者の方々が占めている状況でございます。現場の話を聞きますと、やはり委員さんの農業に対する、また地域に対する思いもこれまで以上に強い観点も出てきたということ、それから、新たに担い手に農地を集積するということで、農地利用の最適化推進委員というものも新たに設置するということで、こういう方々も地域の農業者の若い方々、また従来、農業委員さんを経験した方々も改めてもう一肌脱ごうかということで、推進委員として地域の農地の利用調整に当たるような体制ができているということであります。
  そういう中で、これからの整備部会での議論の中にもあろうかと思いますし、先ほどもお話ありましたように、土地改良の長期計画の中の、いわゆるキーワードになっています農村協働力という観点で、1つは、課題の中に担い手の育成ということが入っております。担い手の育成というのは、担い手の方々がより経営を効率化して、また収益を高めていくことが大事なわけでございますけれども、農地の位置づけ、農地なり、また農業の水利施設とか先ほどの農道も含めて、そういう農村地域が持っている資源について、単に担い手の方々の経営を高めていくためだけの資源ではない部分があるのではないかと思っております。地域の貴重な資源としての農地であるとか水利施設であるとか、農道の在り方といったことも改めて検討するといいますか、共通認識を持っていくことが、全体の担い手を育成しながらその地域の美しい農村をつくっていく、そういう観点が大事になるのではないかといった問題意識を持っているところであります。
  もう一点は、前の全体の委員会でも申し上げさせていただいたんですけれども、いわゆる相続の未登記農地が非常に増えてきているということ。これは農地に限らず、宅地、それから森林のほうもそういう状況があるわけでございまして、今回、来年度の法務省の概算要求の中にはそういう相続登記が行われていない土地についての調査なり、それから登記を促していくような予算要望も出されているということでございますけれども、農地の場合はいろいろな制度改正の中で、農地を利用するということで農地中間管理機構を含めて、所有者が不明な農地についても一定程度、制度的には手がつけられるようになっているわけでございますけれども、まだ実効を上げていく段階にはなっていないわけでありまして、土地改良法の改正で、中間管理機構を利用した形での土地改良事業を進めていく上での同意不要といったことも出てきております。
  こういったところをフルに活用しながら、今、5割を上回っている担い手の集積の割合はあるわけですけれども、これを8割にまでということになれば、相当条件の悪いところを一定程度整備しながら、担い手が効率的に使えるような形で提供していく、そういう姿をつくっていかなければいけないと思いますし、そのためにはいろいろ、小さい面積を含めて多くの地権者の方々の農地を集積しながら整備して、また担い手へという、こういう流れをそれぞれの地域の中でどうつくっていくのか。そこはそれぞれ土地持ち非農家の方も含めて、一定の参画をしていただくような、それこそ農村協働力の仕組みをつくっていかなければいけないのではないかと思っています。
  農地のあるところに住んでいない地権者の方々がどんどん増えてきておりますから、そういう方々に参加意識を持っていただくようなことをどう形づくっていくのか、システム的にそういうことができるのかといったことも、いろいろ現場の事例も含めて、この議論を進めていければと思っております。

安藤臨時委員
  東京大学の安藤と申します。
  私の専門は農業政策でありまして、実際に現地調査をして政策がどう使われているかを確認しながら、このあたりは政策を変えたほうがいいかなとか、そういうことを問題提起していく、そんな研究をしております。
  3点ほどコメントしたいと思っています。
  1点目は、今、柚木委員から出された話にかかわってきます。それは土地改良事業制度の再検討という話になるかもしれません。
  現地調査をしていてしも、かなり農業構造変動が進んでおりまして、農地供給層はかなり形成されている。これ自体は喜ばしいことだと私も思います。しかしながら、土地持ち農家の増加に伴って、土地改良事業の合意形成がかなり困難になってきている、こういう問題が出ているわけですし、不在地主、所有者不明の農地が出てくるとこの問題にさらに拍車をかける、そういう状況があると思います。
  一方で、農業収益はかなり低下しておりまして、耕作者の事業費負担能力もかなり落ちている中で、しかしながら、いろいろなものが老朽化していく中で事業は実施しなければいけない。3分の2同意に基づく─実質的には地権者の3分の2同意だと思いますけれども、難しくなってきている中で、土地改良事業制度の時代に応じた再検討が必要になってきているのかなと思います。自作農を前提とした土地改良事業をずっとやってきたわけですけれども、どうもそうではない状況が生まれてきているのではないでしょうか。
  ただ、なかなか大変な話だと思いますが、もう既にこれについては早い段階からいろいろな検討会が立ち上げられてきたと思いますけれども、それをもう少し踏み込んで見る必要があると思っております。
  また、農地集積との関係で言うならば、農地中間管理機構と土地改良区との関係も整理していく必要があると思います。農業委員会と中間管理機構との関係も整理していく必要があるわけですが、ともかく土地改良区との関係を整理していく必要があると思っています。
  私は農地制度も一応専門にしておりまして、やはり制度論的な話が多くなる傾向にありますが、このような視点からまず1点目のコメントをさせていただきました。
  2点目ですけれども、これは最初の横田委員から出たコメントにかかわってくるかもしれません。農村地域資源の維持管理は、果たしてこのままで可能なのかどうなのかという問題です。
  担い手への農地集積は本当にどんどん進展していますが、水管理、それから水路の清掃とか畦畔の草刈りは規模の経済が働きませんので、なかなか大変な仕事になっている。こういう仕事は集落の支えがないとやっていけなくなるのではないかと思っております。
  しかしながら、幾ら村の力をかりたいと言っても人口そのものがどんどん減っていくわけで、そうすると、規模の経済が働かない中で、頭数で対応しなければいけない仕事はできなくなってくる。これにどう対応していったらいいか。
  技術的な突破は可能かということで、水管理についてはどうもICT技術があるようですけれども、多分それだけでは済まなくなると思います。ほ場の大区画化とかいろいろなことを考えてもいいかなと思っております。
  ただ、横田さんが展開しているような平場の水田地帯はまだいいかもしれませんが、中山間ではかなり大変な状況があって、担い手への集積を進めると担い手が草刈りで担い手が倒れてしまうような、そういう状況があるかもしれませんので、地域差を意識した対策が必要だと考えます。そして人口も減るわけですから、どう考えても人手が足りないわけで、それに対する手当をどういう形でしていくかを考えないといけないと思います。それが2点目になります。
  3点目は、農村協働力あるいはソーシャル・キャピタルと言われるものをどうやって発揮していったらいいかということです。
  私はこちらはあまり専門ではないんですが、こうしたネットワークというんですか、人間関係というのは使えば使うほど強くなる、逆に使わないとさび付いてしまうものだと思っています。そうすると、こうしたネットワークが機能するための最初のインプットをどうするかが重要になってくるかと思います。
  そしてインプットを行うと、このプロセス事例集のようにぐるぐる回り始めて、新しい上のステージに地域が動いていくということだと思います。そうすると、目標を設定して、その目標を目指して動いていくような、地域を経営していくというか、そういう仕組みをつくれるかどうかがすごく重要になると思います。
  土地改良事業というのはある意味でそういう、全員を束ねてある方向に持っていく、そういう役割を果たしてきたと思いますが、そうすると、絶えず何かに取り組み続けさせていくというか、何かに取り組んでいく動きを何らかの事業を契機に絶えずつくっていくというか、そういうことが必要になってくると感じています。
  ただ、ずっと働かされ続けると農村が疲れてしまいますので、これはなかなか大変かなと思います。全ての農村がそうなるとも思えないんですが、しかし成功しているところを見ると、常に何か新しい目標を掲げてそれに向かっていくんだという、そういうことをやっているような印象が、このプロセス事例集を見る限りしています。
  以上、私からは3点のコメントになります。

渡邉部会長
  ありがとうございます。
  今までの3名の方のご意見を伺っただけでも、それぞれについてもう少し意見交換して深めたいところですが、残念ながら時間の制約があってなかなかできません。けれども、今の安藤委員のように、前の委員のご発言に少しかぶせるようにコメントをいただけたら議論がかみ合うかなと思いますので、ちょっと意識してご発言いただけたらと思います。注文が多くなりますけれども。

渡辺臨時委員
  私は新潟県土地改良事業団体連合会の渡辺と申します。
  今、安藤先生のお話の中で、土地改良区というキーワードが出てまいりましたので、その流れで少しお話しさせていただきたいと思います。
  ご承知のとおり、土地改良区というのは土地改良法のもとで設立される組織で用排水施設を管理することを主体とする改良区のほかにも、畑地整備やほ場整備のために一時的に設立する改良区等、いろいろな様態があります。新潟県の場合は、ほとんどが用水を管理することを主体とした改良区です。農村地域の中で、農業者が参画する組織としては、JAと土地改良区というものがありますが、農業生産の下支えをするための施設を管理していく役割を担っているのが土地改良区です。
  しかし施設ができ、便利に使っている現在になりますと、もともとは、いわゆる農村協働力が存在していて、みんなで一緒に物をつくって、みんなで一緒に便利に使おうやという考え方からスタートしたものが、現在は便利に使える状態になったものですから、もう協働でやらなくても個で対応できるようになってしまったという結果が今あると思います。改良区という組織そのものに対する理解度も、今の若い人は「改良区って何をやっているところ?賦課金だけ集めているところじゃないか」みたいな意識しかなくなって、一緒に農業生産基盤を整備して便利にしてきたんだという歴史そのものを忘れかけているようなのかなと、感じております。
  実際に農業構造の変化の中で、高齢化、それから二極化、混住化という話があります。横田さんが言われたように、地域の担い手は農業者なんだけれども、少数派です。自分たちが農作業をすることが、その他の人たちの不便さを増加させているというお話もありました。そういうところに我々としてどう対処していくのか、1つ大きな課題があると思っています。
  土地改良区の話を聞きますと、個々の農家は土地改良区に対して過度な期待をしているようです。昔であれば集落、地域みんなである程度の維持管理をやったものを、全部「それは改良区の仕事だろ」と振り向けてきている部分が結構感じられるという話を聞きます。また、土地改良区の体制そのものが非常に厳しくなってきております。就職する人もあまり多くないところがありまして、人材確保は難しいし、施設はどんどん老朽化するので維持管理の負担は増えるし、施設が高度化しているものですから職員の業務も非常に多様化していて、1人の人がマルチで働かなくてはだめだという話があります。
  しかし、運営の原資になっている賦課金徴集そのものを拒否する、「そんなもの、どうして自分たちが払わなくちゃだめなんだ」というふうに都会に出られた土地持ち非農家も増加しているということで、改良区そのものが相当疲弊し始めています。そういう現状にあって、改良区そのものの組織を今後どう再構築するのか、非常に頭を悩ませております。そんな中で農林水産省が、最初は「農地・水・環境保全向上対策」、今は「多面的機能支払」という制度をつくっていただいて、何とか地域とのつなぎはできているのですが、なかなか厳しい状況にあります。
  これからの土地改良区は、土地改良施設のお守りをする役割から、地域のコーディネーター的な役割を果たしていくべきなんだろうということで、農協とか農業委員会と連携して、いわゆる地域の農村協働力を強めていこうといった動きも増えてきておりますので、私どもとしても、そういうことをぜひ支援してまいりたいと考えております。
  今日ご提案のありました技術的な新しい取り組みで解決するという切り口に加えて、これからまたいろいろ議論させていただければなと思っております。
  よろしくお願いいたします。

染谷委員
  千葉県柏市で米を中心に小麦、大豆、ばれいしょ等をつくっている染谷です。
  先ほど横田さんから農業をやっている者としてのお話をいろいろ聞いたんですけれども、自分も、実際に農業をやりながらいろいろなことを思っています。そのことをお話しさせていただきたいと思います。
  横田さんと同じように、うちも150ヘクタールぐらいの米をやっているんですけれども、そこに絡んで農家が、要するに土地を貸してくれる農家、また売ってくれた農家、350戸あるんですよね。ということは、350戸の農家が米づくりをやめてくれてうちの経営が成り立っているんですけれども、実際にそれがよかったのかなと考えるようになったんですね。確かにこれは儲けというか、仕事を考えれば規模拡大できて、どんどん効率よくやる、そのことを考えればよかったんですけれども、そういうふうに350戸の農家がやめなくてはいけなかった、それに対して考えるようになりました。
  実際に、先ほどもありましたように農業人口はどんどん減っている。それとまた、基幹的農業従事者という言葉がありますよね。その数が年間5万6,000人ほど減っているんですよね。逆に若い人たち、30代、これは1世代当たり7,000人かそこらしかいないんですよね。そうするとこれから先、自分らも含めて団塊の世代がやめていく、そうすると相当の数が減っていくのではないか。その数を埋め合わせしないと本当に、農業そのものを日本でやっていくことができるのかな、必要な食料を供給することができるのかなと考えるようになっています。
  実際に、従業員の友達が銚子でキャベツをつくっていて、遊びに行ったときちょうどキャベツが安くて、1箱が400円だというんですよね。そうすると、箱代、運賃を引くともう100円しか残らない。8個のキャベツが100円なんですよね。そのときその友達が言った言葉は、自分は今さら農業をやめて他の仕事には就けないけれども、子供には農業を絶対やらせないと。やはりこれは若いから農業を選ばないのではなくて、親が農業をさせないという場面がたくさんあるんですよね。
  そういうことを考えると、やはりこれから農業に必要な農業者数、農水省では90万人と踏んでいるそうですけれども、今はどんどん減っている。でも、90万人で止まるのかどうか。必要な数が確保できなくてどんどん土地が荒れてくる、そういうことにならなければいいんだろうけれども。そういうことを自分では危惧しています。
  ですから柏においても、できるだけ若い人たちに元気になってもらおうと。自分たち直売所をやっているんですけれども、その中にアンダー45、サッカーの世界ではそれの3分の1か半分ですけれども、45歳以下が集まって研修したり、また視察に行ったりして、自分たちがこれからどう農業をやっていこうかとか、そういうグループもあります。
  また、柏市内にはアグリコミュニケーションかしわ委員会というものがあります。これは柏が3.11、東日本大震災で原発事故の影響を受けました。ホットスポットということでいろいろ騒がれて、柏市民そのものが、ホットスポットの地元の野菜は食べないようにしようとなってしまったんですよね。そのときにできた組織なんですけれども、やはりこの地域の農業を何とかしようということで集まりました。
  これは農家だけではなくて、農業以外の飲食業の方、また商工会議所、いろいろな形で集まってくれて、柏の農業をどうしようということでいろいろ話し合ってもらっています。最初は駅前で柏の農産物のイベントをやったり、また、今は地域の農産物をいかにこの地域の飲食店で使ってもらえるか、そういうこと、また、いろいろな形で地域の農業を盛り上げようということでやっています。それには若い人たちもどんどん入ってきて、若い人たちが、もっともっと若い者の魅力を出していこうということでやってきています。
  こうやって、自分としてはやはり農業は人と農地だと思います。これは2つ両方とも大事なことであって、それをしっかり、この年になっても何とかこの地域を守っていこうということでやってきています。よく例えで言うんですけれども、1軒専業農家で、仮に3人で働いている。すると3人の収入でその1軒が食っていくんですけれども、その1軒は年間幾ら使うんだろう。1,000万円も2,000万円も使うはずはない、600万円か700万円だよねとなると、1人当たりの稼ぎは200万円なんですよね。要するに、1人200万円で3人で600万円、その600万円で1軒が生活している。
  そうすると、二十歳で農業を始めたばかりで200万円の給料はいいんですけれども、これが結婚して子供ができて、それでも200万円、50歳、60歳になっても200万円なんですよね。二十歳から70歳まで働いて生涯幾らになるんだろうか。これでは魅力のある産業と言えるだろうか、そんなことを感じています。できるだけ所得を増やすことも大事なことだし、その辺をいろいろな形で盛り上げていければいいなと思っています。

長谷川臨時委員
  産経新聞の長谷川といいます。農業政策とか財政とか通商政策とか、そういう社説を普段は担当しています。
  今回から臨時委員に選ばれてということで、いろいろ説明を受けて非常に興味を持ったのは、この農村協働力という考え方については私も非常にいい考え方だなと思いました。ご説明の中にもありましたように、「開かれた」という形で農村協働力、橋渡し型あるいは結合型、そういうものを目指していく方向なんだろうなというのは、まさに今の農村の現状等を考えていったときに非常に重要な観点だろうと受け止めています。
  その上で、ちょっと感じたことだけ述べさせていただきたいんですけれども、ご説明の中にもありましたように、中山間地でさえ農家の割合が2割しかないような現状の中で、では、協働力をどういうふうにやっていくかという観点でいくと、やはりその他8割の人たちをどう巻き込んでいくかという話になってくると思うんです。そうなってきて農村の協働力というものを考えたときに、その他の人たちのことを考えると、これ「農村協働力」と言うけれども、では、例えば「地方協働力」と言えばどうなるんだ、その目指すところは違うのかというところが、正直私の中ではどうも整理し切れない部分があります。
  もっと端的に言えば、例えば他の省庁でも、地方創生がどうだとかいろいろなことをやっているわけですよね。そういう中で農村協働力ということが、では農村を核として協働力を高めていくという観点で何ができるのかをまず打ち出さないといけないんだろうなとは思いますけれども、同時に、では同じようなことをやっているところとどういうふうに連携できるのか。
  例えば、事例集の中でインバウンドの話がありましたし、企業との連携の話もありましたし、そういうものは他の省庁もいろいろ絡むんでしょうから、そこでどういう取り組みをやっているのかも踏まえた上で考えていかないと、同じようなことをそこらじゅうの省庁でやっているようなことになってしまうといけないのかなと思ったりはしました。
  もう一点考えたいなと思っていたのは、横展開の先行事例集についていろいろ挙げられていて、これは非常に重要なことだと思いますし、成功するにはどうすればいいのかということについて、一つ一つの事例を見ていくことは重要だと思います。
  これも、それこそあらゆる行政課題で似たようなことをやっているわけですけれども、ここでもちょっと注意したいなと思うのは、それぞれの地域、それぞれの事例で成功したものには成功した要因が当然あると思うんですね。担当している方の指導力というのもあるでしょうし、その地域、地域が置かれた状況、例えば農産品に非常にブランド力があるだとか、他の観光資源があるだとか、あるいは人口の構成上の問題だとかいろいろな要素があると思うんです。あると思うんですけれども、やはりその先行した事例の中で聞きたいのは、そういう特異な状況だけではなくて、では、その他大勢のところができない理由は何なのか。1つには、例えば規制があって、ここの地域はそれを乗り越えられたけれども他の地域はなかなか乗り越えられなくなっているんだとか、あるいはそれこそ先ほどの話ではないですけれども、縦割りでいろいろやっているせいで進むものもなかなか進まないという状況もあるでしょうし、横展開を考えることは非常に重要なんですけれども、その横展開の一つ一つの事例が必ずしも全国に広がっていない理由は何なのかということを考えることが、より重要なのかなと思っていまして、そういう観点でもいろいろ見ていければと思っております。

松田臨時委員
  秋田県美郷町長の松田といいます。美郷町は秋田県の南部に位置していまして、日本一大きい横手盆地のほぼ中央にあります。奥羽山脈に連なっていますので、盆地の中の平地と中間地、それから山地、ほぼ全部の地帯区分を持っているところですが、やはり担い手が今、アップアップしている状況にあります。
  というのも、農地がどんどん担い手に集まって、離農したいという方が増えているからなんです。この先、一定の次の世代の担い手を確保しないと、少なくとも土地利用型は大変だなというところまで来ているのが私どもの実態です。
  そういった中で、担い手を楽にしてあげながら地域を保っていくためにはどうするかというと、ご提案があったIT、ICT、あるいはIoTを使ったというのはそのとおりだろうと思います。ただ、一方で、それが進み過ぎると多分さらに農地が集まりやすくなって、結果的に離農が増える。そうなった場合に、農村協働力というのは、農業者プラス非農家の方もあわせた機能でなければその地域に住み続ける動機にならないわけでありますので、そこの接点をどうするかが大きい課題になるのではないだろうかと思います。
  農村協働力について話をすると、非常に重要な機能で、これまでの農村地域においてはそれがあるから農業が保たれてきた、あるいはそれがあるから農村に住み続けたということがあるんだろうと思います。ただ、一方で、多様な価値観の中で「農家、農業を離れたならここに住み続けなくてもいいや」という状況、方向があって、私どもざっと6,600世帯ある中で、今、空き家が300以上あります。それはすなわち離農した結果として、そこに住み続ける必要がない、あるいはもっと他で働いたほうが楽であるということなんだろうと思います。悉皆調査していないので大ざっぱな把握なんですが。
  そういうことを考えると、先ほど安藤先生がおっしゃったソーシャル・キャピタルをどう発揮するのかと、その機能発揮のために何をインプットするのかが非常に、農業者はもちろんですが、そこに住み続ける非農家の方々にとっても重要なテーマになるのではないか。その際、やはり地帯区分ごとの気風の違い、風土の違いというのがあるんだろうと思います。
  例えば農業でいくと、西日本と東日本は明らかに農業生産の形態と内容が違います。それから山間地の農地と平場の農地の使い方も違います。そうしたときに、地帯区分ごとにあるこれまでの脈々とした工夫の違いといったものを視野に入れた農村協働力の維持とか、農村協働力の醸成といいますか、そこの観点がこれから求められるのではないだろうかという気がいたします。
  いずれにしても、構造変化が今現在の状況でとどまるわけではなくて、さらに進むであろうトレンドを後追いするような政策だけではなくて、それに歯どめをかける、例えば離農農家を減らすための政策は何かないのかとか、あるいは粗方は担い手農家に頼むんだけれども、自分も少しは農業に携わることによって農村協働力の一員となり得るといった政策が必要ではないかというふうな幅広な議論がないと、秋田県は全国一、将来を走っているところでありますので、より農村地域においては将来の住民の数の確保というところに危惧を覚えるわけですが、そういった観点も今後の検討課題かなと思っております。

柴田臨時委員
  資源・食糧問題研究所の柴田と申します。
  自己紹介を含めて、3点ほど意見を申し上げたいと思うんですが、資源・食糧問題というのは食糧に限らず、私は商社勤務の時代から、石油、ガス、エネルギーとか、あるいは鉄、非鉄などの産業鉱物、こういったマーケットを見てきました。特に2005~2006年あたりから大きく市場が変わったなという印象を受けています。これは恐らく成長一本槍で世界経済全体が成長を目指す中で、この成長に限界が来ているのではないかという思いです。特に成長の方程式というか、成長会計の中で生産関数を見ると、労働力と資本とイノベーションというものが入っているわけですけれども、実はこの中に資源の問題、農地、土地を含めて生産に要する資源がないんですね。これは資源は無限にただで手に入る、こういう前提で成長が描かれているけれども、ここに限界が来たなという印象をまず持っております。
  こういう中で日本の農業等を考えてみると、ようやく、何というか、今回の長計でもって農村協働力という概念が入ってきて、非常にいいことだと思うんですけれども、これはまた改めて考えてみると、原点に戻ったなという印象を受けます。
  もともと農村は、私が子供のころは農村共同体というのは協働力の世界であって、あらゆるものが、今、医福食の連携とか言っていますけれども、そういうものが全部含まれていた世界であったわけですよね。それが地方の力を発揮していたんですけれども、どんどん成長を目指して機能を分化して、それぞれ要素を専門に分けていった結果、確かにそれぞれに生産性は上がったかもしれないけれども、何か問題が取り残されてしまった。資源の劣化というか、こういう部分があらわれてきているんだと思うんですね。ここにもう一度、農村協働力という概念で立ち返るということで、非常に大きな問題提起をしているなと思うんですね。
  したがって、この農村協働力をいかに強めていくか、深めていくかということが重要だと思います。こういう中で今回のこの資料集は、ここにICTが加わってきたということですね。先ほど松田委員からもありましたけれども、ICTで農業がどう変わるかといった場合、どういうふうに評価したらよいのかと考えてしまうんですけれども、もともとICTの導入というのは生産性を高めていくための手段ですが、土地生産性なのか省力化で労働生産性を高めるのかという観点でいくと、どうも農地の規模を拡大していくということですから、どちちかというと規模拡大を前提にした省力化、労働生産性を高める方向に行くのかなと思われます。
  その場合、やはり農業・農村内部が先端的な農家とそうでない農家と二極分化している可能性が高いなと思うんですね。経済界などの見方では、先端農家が突き進んでいけばあとは他の農家もついてくるんだ、ついてこられない者はしようがない、こういうふうな見方もあるようですけれども、やはりそうではないと思うんですね。そう見ると、今後のICTの導入についても、零細な農業を含めてすべての農家が、どういうふうにかかわっていくのかが重要だと思うんですね。
  その際に、28ページに既存の集落の信頼関係を起点とする図があり、農家の部分から開かれた農村協働力という格好で、ベクトルが農村の中から外側に広がるという関係になっていますけれども、これは何というか、理想だと思うんですね。現実には農村の外側の世界が大きく変わって農村を揺り動かしている、変貌させてきている、こういうベクトルがまずあって、それに対して折り返しのベクトルという流れになると思います。農村を起点とする発信力が、本当に農村の中に育ってくればいいんですけれども、どうもその辺が、果たしてこういうベクトルが成り立ち得るのかが今後の課題になると思っております。

森臨時委員
  今回のご説明について、事前説明をやっていただいた時よりも今日提出していただいた資料は随分分かりやすくなっていると思いました。特に、開かれた農村協働力のところの橋渡し型、結合型という横の表は非常に分かりやすく変わっていたので、見やすくなるよう努力しているなという感じで拝見しました。
  他の委員とちょっと違う視点で、気づいたことをお話しさせていただきます。
  私は22年前に、ある新聞社の文学賞で開拓時代の農村を書いたところから、作家としてスタートしまして、生涯を通じての課題でもありますし、テーマでもある農業・農村についていろいろな視点で著作を発表しています。作家であると同時に、消費者であるわけですから、その視点で考えたときに、今回の農村協働力の大事さを伝えるために、この資料づくり、それから農業・農村の変化及び課題ということで話を進めていただいたことは理解しています。しかし今回、2016年度の食料自給率が38%に下がったという非常にインパクトの強い発表がありました。農業・農村の変化といえば、まずそこを1度踏まえているというのが資料の中にあってもいいのではないかと思います。
  というのは、土地改良事業による水田の汎用性ということは、食料自給率に大きくかかわってくるわけですし、協働力の側から見るのではなくて、その基本の部分は食べるほうの側から、食料全体を踏まえた上で見るという資料づくりが必要だと思います。どこか前半に入っていたら、よりよいものになったのではないかという感想を持ちました。
  2点目ですが、外部委託などの地域の協働力という中で、例えば、16ページにある開かれた農村協働力のところで言えば、下のほうに「地域内外の多様な主体の協働による地域の維持・活性化」とオレンジ色の枠に囲まれてある点についてです。私は北海道から来ていますので北海道を例にとって言いますと、草地や酪農などにおけるコントラクター、こういうものはこの中のどれに含まれるかということを、どこかで記述していただけたらよかったのではないかと思いました。例えば建設業界の大型機械とオペレーターが、耕すだとか収穫作業等に来ていて、それによって農地が維持できている事例もたくさんあります。そのあたりを具体的に、どんな地域内外の協働を考えているかが伝わってきません。例えば農福連携の視点から考えたような感じられるところがあると、他産業の労働力をかりるといったことも伝わると思いますので、そのあたりももう一押ししてほしかったと思ったところです。
  それから、柴田委員や長谷川委員もおっしゃっていたことですけれども、ICTにかかわることや土地改良事業の成功例がたくさん、プロセス事例集も含め、今回の資料の中にも抜粋で入っているものがあります。では、できていないところはどうなんだろうという視点があったらより分かりやすくなると思います。なぜできていないのかを考えて解決策を見つけるという考え方は大事なんだろうなと思いました。
  もう一つ、ICT農業に関してですけれども、たまたま今回の資料で言いますと24ページ、北海道の大きな水田が出ています。1枚の田んぼが6.8ヘクタールと非常に大きいのですが、これが農水省のホームページで資料として発表されたときに、6.8ヘクタールがどのぐらいの大きさかは多分誰も分からないと思うんですね。専門用語で私たちはその大きさを評価しているわけですけれども、例えば東京ドーム何個分みたいな表現を入れていただきたいと思います。それを1枚の田んぼにすると、これぐらい効率よく収穫できるんだという話があると、一般の方がそのことに価値を見出せるのではないかと思いました。
  実際には、この6.8ヘクタールの田んぼを経営するというか、やっていく中で一番いいのは、例えば田植え機に乗るのがGPSの導入などもありまして、運転する人と苗をセットする作業をする人、3人乗っていたのが1人でできるようになっています。そういう具体性があれば、ICTの意味が分かっていただけるのではないかと思いました。
  最後にもう一点ですけれども、高齢者が非常に増え、地域の人口が減っていることは、もうどこでも重要な問題で、皆さんそれで困っていることは分かるんですけれども、でも、世間一般的には、高齢者というのは、まだまだ元気で働けるという言い方がされています。技術力が高く、これまで地域を守ってきたお年寄りに、例えば1時間でも2時間でも労働力を提供していただくことによって、地域の農業が守られるとまではいかなくても、生産力の低下に少し歯どめがかかるのではないか。「高齢者ばかりだからその地域はだめなんだよ」ではなくて、その方たちをどう活用するか、どうにかして少しでも働いてもらって、その間に新しい力を農村に導入することができないかというように、今まで農村を守ってきたご高齢の方たちを敬意を持ってきちっと評価してあげてほしいです。それをまだ頼りにしている部分があるのも、農村の存続の仕方として大事ではないかと思うので、考えていただけたらいいなと思いました。

西村臨時委員
  東京大学の西村です。
  私は所属自体というか、大きく括ると農村整備に関する学科、今で言うと専攻にいるわけですけれども、実際に私の研究室でやっていることは、農地そのものがどうなるか、それから農地の中で水だったり栄養分だったり汚染物質だったりはどう動くかというような、いわゆる農村の現場から離れた技術的なことをやっています。
  そういう意味で今日、今まで皆さんがコメントされたこととは随分違うことを言うかもしれませんが、特にこれから先については、実際に大規模で農業をやられている横田さんや染谷さんから「おまえの考えていることは間違っている」というようなことがあったら、ぜひ指摘をいただければと思います。
  何について言うかというと、ICTの話なんですけれども、先ほど柴田委員から、ICTは省力で規模を拡大する助けになるけれどもというようなことがありましたが、ICTもそれだけではないと思うんですね。ただ、現状である、例えばITを使ってかんがい管理を省力化するだとか、GPSで機械を自動的に走らせるというのは単に省力化になると思うんですけれども、それだけではなくて、そういう単純な、何かをセンシングしてフィードバックして、それで何かをするだけではなくて、ICTで得てきた情報を、咀嚼と言うとちょっと俗っぽい言葉ですけれども、咀嚼して、その先、予測をして次に何をするかというところまで持っていくと、それは農業の規模にかかわらず、すごくメリットのあることになるのかなという気がします。
  もう少し具体的な例を挙げると、例えば今年、関東では梅雨に雨が降らなくて、その後、8月以降日照がすごく減ったわけです。そうすると、地域によっては稲が熟すのが遅れる。ところが、ある地域で大規模に収穫請負をやっている業者さんがあると、そこはもう予定を組んでしまっていて、ある程度熟すと完全に熟さなくても収穫に入らないといけなくなります。そうでないと後の予定が詰まってしまってどうにもならなくなる。そうすると、最初のころに予定されてしまった人たちは、自分の田んぼはまだちょっと青いんだけれども刈られてしまう。そうすると当然等級も落ちますし、値段も下がる、収量も下がる。でも、どうしようもない。どうしようもないというか、「自分ではできないから、しようがないので諦めます」といってそれを受け入れるわけです。
  そこのところで、既にそういうモデルもありますけれども、ICTの情報なり何なりを使ってある程度のちゃんとしたモデルを使って、そこにAIを入れるか入れないかは別の話ですが、モデルを使って収穫期がどのぐらいずれるかといったことをあらかじめある程度の期間、遡って予測して決めることができれば、大規模な収穫業者も予定を組み直すことができるわけです。
  これは今まではあまり問題にならなかった。なぜかというと、温暖化である年が暖かいとかある年が寒いといったことが以前よりもうちょっと激しくなってきたから問題になってくることだと思うんです。
  同じように雨の話も、だんだん雨が激しくなる。つい先週も激しい雨がありましたが、ここから時間を置いて雨がどう激しくなっていくかというのは、だんだん気温が上がるに連れて激しい雨が降る、定性的にはそうなんですけれども、別に時を追わなくても、日本からだんだん南のほうに下がって沖縄へ行って、フィリピンに行ってインドネシアに行ってと気温が高いところに進んでいくと、大体どんな雨が降るか予想できるわけです。そうすると、農業土木で改良山成だとか農地保全等の設計指針や基準をつくったころに私たちが体験していた雨とは違う雨がこれから来る。そうすると、その指針でつくった、もしくはその指針で改良した畑、ほ場が以前予想されたとおりの浸食になる保証はなくなってくる。そうすると、そこでICTを使ってとってきたデータを使って、例えば畑の浸食がどうなるかといったことを予測して、それを今後、畑の設計に生かすようなことをしていかないと、この長期計画にあるように畑を増やすとか畑を大規模化するといったときに、よかれと思ってやったことが地域にとってちょっとマイナスが生じてしまうといったリスクも若干生じてくるのかなと。
  要するに何が言いたいかというと、単純なICTが今、事業として走っていますし、単純なICTについて皆さんいろいろ考えているんですけれども、もう一歩進んで、ICTを使って何かを判断して次の作業に生かす準備を今から始めていかないと、多分そのモデルなり何なりをつくるにはやはり何年もかかると思いますので、今から始めていかないと、今、急激に変化している農村の条件をサポートするのが手遅れになってしまうのではないかという危惧を、今回この資料をいろいろ読んでいて感じました。

西尾臨時委員
  西尾と申します。島根県出雲市にございます下出来洲環境保全クラブで活動しております。
  10年ぐらい前から、農地・水の時代から地域の協働力を生かしたいろいろな活動をしてきて、こうして委員として参加させていただいて、やはり次のステップに来ているんだなと感じているところです。
  私どもの環境保全クラブは9割が農業者で、あと1割が非農家という集団なんですけれども、そういう地域であっても、孫の代になったらどういった環境になっているのだろうかとすごく危惧される状況です。そうした中にあって、やはり外部との連携とかいろいろな機関との協働というのはすごく大切になってくるのではないかと感じています。
  でも、そういった外部との協働については大きなエネルギーが必要だと思うので、その大きなエネルギーというのは、やはり農業に対する収益性があるかということだと思っています。
  26ページに「地域の特性や発展度合いに応じた新技術の導入」と書いてありますけれども、やはり具体的にどの地域であれば、あるいはどういう発達具合であればどういう技術の導入が最も効果的であるのかというような、具体的に見える形で提示する必要があるのではないかと感じました。
  一方、島根県は中山間地が多くて、農地の集積も本当に進んでいない現状があると思っています。こういった集積が進まない地域にとっては、こういった施策が他人事というか、自分たちは置き去りになっているような感があるのではないかと私は個人的に感じています。本当に人口減少が進んでしまった地域にとっては、新たな取り組みをするような受け皿もない、そういう人材もない、そういう現状があると思いますので、そうした地域にあってはそのまま協働力を、外部との協働力というのはもう待ったなしの状況ではあると思うんですけれども、理論は分かっていても現実にやる人がいないといったことがあるのではないかと感じています。
  そういったときに、やはり行政が先頭に立って地元の気づきを促すとか、マッチングをするとかそういったことをやっていかなければ、そういったところが、何というか、置き去りになってしまうのではないか。それに伴って日本の国土の荒廃がどんどん進んでいくのではないかという感じがしています。
  それから、細かいことなんですけれども、15ページの未来投資戦略の中に赤文字で「ICTシステムの連携」とか「多様なデータを共有・活用できる」といった文言があって、先ほどもおっしゃいましたけれども、やはり素人が、あるいは誰でもこの利活用ができるようなシステムの運営、例えば検索エンジンみたいな簡単なものでも、そういった、何というか、難しいデータを読み込まなければ分からないようなものではなくて、誰でも分かるようなシステムの開発が求められているのではないかと感じたところです。

武山臨時委員
  私からは2点、発言させていただきたいと思います。
  まず、資料24ページですが、新技術と農村協働力の関係が描かれていると思います。25ページも同じですね。ただ、結局は余剰労働力が出て、それを別の産業に生かすという例が2つ示されているということで、ストーリーは1つかなと思いますと、非常にもったいないなと思うわけです。
  ちなみに言いますと、新技術の活用というのは、24ページ、25ページいずれの例でも結果としては作業時間の半減という結論が導かれているんですけれども、新技術の活用のもう一つのメリットとしては、就労環境の改善ということもあると思います。
  土地改良はとかく我々、作業時間が半減する、労働生産性が上がるということをアピールしがちなんですけれども、安全で素人でも農業ができる就労環境をつくる力が土地改良にはあり、かつ新技術にも期待されると思うんですね。そうしますと、例えば担い手の方は当然お一人で全てされるわけではなくて、地域の人材を雇用しながら大規模な農業を展開されるわけですけれども、例えば農業の経験のない方であるとか女性とかそういった方を、地域の余剰労働力を、多様な労働力を担い手の方が雇い入れて地域の農業を展開するということに、このような技術が生かされる可能性は十分あると思います。
  そのような形で、担い手を支える技術として位置づけることもできるのではないかと思います。
  さらには、そのような形で今まで農業にかかわれなかった地域の余剰人材を、農作業にかかわっていただく、さらには右の四角、農業を核とした新たな産業にも、農業に携わったことのない方が、地域の人材がかかわってくださる。そういった中で地域の方の農への愛着とか思いが育まれて、最終的に地域の協働力が高まるといったストーリーももう一つ書けると思うんですね。
  ですからぜひこの新技術の活用という方向性、幾つもあると思うので、最終的にどのように協働力につながってくるかというストーリーを複数考えていただけたらいいのではないかと思いました。
  もう一点は28ページから続く、事例のご紹介をいただいた部分です。
  私、すみません、自己紹介が遅れました。大学で農業土木、農村計画を専門にしておる者ですけれども、農村計画を専門とする立場からこれを見たときに、やはりビジョンというものが極めて重要なんだなと再確認した次第です。とかく土地改良に関する予算が少ない時代には、ビジョンをつくっても、それを実現するための土地改良ができないケースも地元にはあって、ビジョンをつくっても「それをどう生かすの?」というようなことで、ビジョンづくりが止まったようなところもあるかと思います。そして基盤整備ができますよというお金がついたときに、基盤整備のためのビジョンみたいな形もあったと思うんですね。でも、本来は、ビジョンを実現させるための土地改良であり技術でありというのが本来だと思いますと、やはり今後、ビジョンをつくっていくことの重要性が高いんだなと再認識した次第です。
  そう考えますと、この後ろのほう、例えば37ページ、38ページにお示しいただいているような技術というのは、まさにビジョンづくりに役立つ技術、情報なのではないかと思うわけです。具体性のないアバウトなビジョンをつくるのではなくて、こういった地域の情報が整備されることによって具体性のある、実現可能なビジョンが描きやすくなるわけですし、かつその話し合いの場で合意形成も行いやすくなる。客観的データを用いながら合意形成がしやすい、そういう合意形成支援の技術としても、こういったものは位置づけられてしかるべきだろうと思いました。

浅野臨時委員
  手を挙げそこなったので一番最後になってしまって、皆さんにすごくいいことをたくさん言われてしまってあまりもう話すことがなくなってきました。京都大学の浅野と申します。大学では1年生に経済学の授業を教えております。
  私は前の期から引き続きお世話になっているんですけれども、今日出てきたこの資料、とても分かりやすくていい資料だと思うんですけれども、1つ、ポイントの置き方みたいなところで誤解されてはいけないなというようなことを一言申し上げておきたいと思います。
  それは、今日のお話は次世代の農業・農村の構築についてですけれども、どういう全体的な絵面になっているかを非常にカリカチュアしてお話しすると、基本的には、これから労働力が不足してきますね、労働力が不足して、農村協働力だって今まで以上に弱くなってきましたね、そうしたときにどうすればいいかを考えなければいけないけれども、1つは、農村協働力というのも今まで以上に開かれた形にすればどうにかなる、プラスICTを使えばまだいけるところはかなりありますよ、こういうふうに書かれているわけです。
  ただ、実はそう考えたときに、日本の農地の何%がそういうふうにやや明るい将来が描けるのか。私、かつてのこの部会の議論の中で、農林水産省というのは産業政策をやるとともに地域政策の担い手でもなければいけない。産業政策というのは基本的に儲けることを考えればよかったわけですけれども、儲けだけではない、非常に大事な国土を預かっているという役割が農林水産省にはあると思います。そうなったときに、要するに労働力が足りなくなった、ICTでもだめだった、そうしたらどうしますかということこそが、本来、農林水産省がきっちり考えなければいけないことではないか。
  そういうときに、国民にとって─私は多分一番安いコストで国土を管理する方法が農業の振興だと思っています。そうなると目標は、農業生産額を増やすこと以上に、6次産業化を進めることもできるところはやったらいいけれども、できないところはどうやって農地を次の世代に継承するかという別の役割を持つべきではないか。その側面がこれを読ませていただいた限りでは少し弱い、要するに、6次産業化とか攻めの農業のところが前面に出るのは仕方ないとしても、そこから漏れ落ちたところもきちんと国は見ていきますよというメッセージを出されるべきではなかったかな、そういうふうに全体を見て思いました。
  ただ、そういう視点が全くないと言っているのではなくて、ICTの活用の局面でも、非常に安い農地管理の方法として使えるわけですから、そういう側面も決して目配りを忘れていないよということをぜひ強調いただいたらどうかと思います。

渡邉部会長
  ありがとうございました。

染谷委員
  ちょっとよろしいですか。

渡邉部会長
  どうぞ。

染谷委員
  IT化についていろいろ質問があったんですけれども、実際に現場でどうなっているか報告させていただきたいと思います。
  うちもGPSを利用してトラクター、田植え機を、これはまだ直進性だけなんですけれども、これを取り入れています。では、どうして田植え機にGPSを取り入れたらよくなるんだということで、実際にはうちで働いている若い者、農業はまだ一年二年の者なんですけれども、これが田植え機に乗ると、1つは、真っ直ぐ走るだけで後ろの田植え状況、要するに苗とり状況を確認せずに、ただ真っ直ぐ走るだけですね。そうすると、列で植えていないところがたくさんあるんですよね。ということは、それは自分自身、前しか見ていないということなんですけれども。
  それと、真っ直ぐ走るように線を引きながら田植えをするんですね。そして帰りにその線を目がけて来るんですけれども、水があるともう線が見えないということで、水を落とすんですね。そうすると何が悪いかというと、実際には田植えと同時に除草剤も撒くんですよね。水のないところに除草剤を撒いて、田植えが終わったら水をかける。GPSを使うと水があっても真っ直ぐ走れるんですよね。そうすると、除草剤を撒いても真っ直ぐ走れていいんですけれども、そういうふうにメリットがたくさんあるんですよね。
  もう一つは、トラクターを使って、これも、例えばジャガイモとか大豆を播きます。そうすると、播種した後、培土するんですよね。直線で播いたところに培土するのは簡単なんですよね。もしこれが曲がっていたら、曲がったなりに培土していかないと踏みつけてしまうんですけれども、そういうふうに、トラクター、田植え機でそういうものを使うと素人でも真っ直ぐ走れるということで、機械を使うのは素人でも大丈夫だということですね。
  また、横田さんではそれにもう経営的に取り組んでいるんですよね。うちより一歩も二歩も先に進んだITを利用してやっているんですけれども、その辺は横田さんからお願いします。

渡邉部会長
  何か特別にあったら、手短にご発言いただいても。

横田臨時委員
  では、手短に。
  染谷さんにそんな、大先輩にそんなことを言われると私も大変恐縮なんですけれども、私、先ほどはちょっと言いませんでしたけれども、最初にこの資料を見たときにちょっとよくないなと思ったところが実はあって、GPSといった新しい技術の総称としてICTと言われていると思うんですけれども、我々農業経営者が経営として取り組む部分と、ここは土地改良とかいうほうだと思うので、その基盤としてどういう技術が必要かという話をきちっと分けて議論しないといけないなと、私はすごく思いました。経営者がどういう新しい技術を入れるのか、それをどう経営の中で生かしていくのか、そのメリットをどう出していくのかは経営者それぞれが取り組めばいい話で、それは経営の規模によっても地域によっても全然違うと思うので、その話と、でも、そういうものが活用できる基盤として何が前提になるか。
  例えばGPS、私たち何が困るかというと、ほ場の正確な位置とか、GPSが幾ら精度がいい機械があってもそれをちゃんと、無人で走らせるために、無人はまだちょっと先の話かもしれませんけれども、そういう基盤の情報が実はないとか、そういったもののほうが私は非常に重要だと思って、そこはきちっと分けて議論すべきかなと。特にこちらでは、基盤をどうしていくかという話をしたほうがいいのかなと思います。
  あと、西村先生から先ほどあった、ICTを使って予測みたいな判断をしたらいいのではないかという話ですけれども、これは私もSIPとかいろいろな研究のプロジェクトにかかわっているので、それはすごくあるんですけれども、ただ、作業の予測等をする上で、例えば今の天気予報とかそういうものが役に立つ、SIPでも今、生育モデルとかいろいろなことをやっているんですけれども、残念ながら、まだ今の段階ではそういうレベルまではたどり着いていないなと。
  でも、ここでは基盤の話があって、その基盤をどうつくっていくかという上でいろいろなICTの情報は役に立つのかなとは思っています。
  手短になりませんでした、すみません。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  一通り皆さんからご発言いただいて、実はもう終わらないといけない時間となり、私がいただいているシナリオから遅れているのですけれども、最初に申し上げたように、今のように委員同士で少し意見を問うたりする議論がいいと思って、あえてお願いしたところであります。私が最後に発言するよりはそちらのほうがいいということで、そうさせていただきました。
  今日は時間が限られた中で、それぞれ思いのたけを十分語っていただけなかったかもしれませんけれども、引き続き今日のご意見を踏まえて事務局で資料を整理していただいて、次の議論の材料をつくっていただきたいと思います。
  それから、今日は最後に現場の話も出ましたけれども、みなで現場を見に行くような機会をご検討いただけたらと思います。
  予定の時間を過ぎていますけれども、もう少し続けさせていただきたいと思います。
  議事(5)国際かんがい排水委員会(ICID)の活動方向について、まず、事務局よりご説明をお願いいたします。

安部設計課長
  設計課長の安部でございます。
  資料4をお手元にお出しいただけますでしょうか。
  目次を開いていただきまして、右下、1ページから始めさせていただきます。
  今年度は10月8日から14日にかけて、ICID第23回総会及び第68回国際執行理事会がメキシコシティで開催されることとなってございます。
  ICIDというのは1950年に設立されました国際機関で、かんがい排水に係る科学的知見によりまして、食料や繊維の供給を世界規模で強化することを目的としております。現在76の国と地域が加盟しておりまして、日本は1951年からこの国際会議に参加してございます。
  2ページ目でございます。
  先ほど申し上げました国際執行理事会での対応方針、これが農業農村振興整備部会の審議事項となってございます。
  まず、総会や理事会への対応でございますが、日本国内委員が総会、国際執行理事会、所属する各作業部会に参加いたしまして、各自が取り組んでいる調査・研究内容について議論いたします。
  次に、ICIDの会長・副会長選挙でございますけれども、今年で任期満了となります会長1名、副会長3名の選挙が行われます。会長につきましては南アフリカから1名が立候補してございます。副会長には、日本国内委員会の林田委員を含みます4名、3名に対しまして4名が候補者として名乗りを上げてございまして、選挙の対応として、各国の国内委員会へ選挙要請、支援要請のメールを送付するでございますとか、関係各国にございます日本国大使館の書記官を通じまして支援要請の働きかけを行うこととしてございます。
  次に3ページ、世界かんがい施設遺産についての報告でございます。
  世界かんがい施設遺産は2014年から始まった制度でございまして、建設から100年以上経過しているなどの登録基準を満たしたものが対象となってございます。今年度、日本からは4地区、青森県の土淵堰、栃木県の那須疏水、愛知県の松原用水・牟呂用水、和歌山県の小田井用水路を申請しているところでございます。これらの施設につきましては、先ほどのICIDの審査を経まして、10月の国際執行理事会でその結果が公表される予定でございます。
  4ページをご覧ください。
  ここに昨年度までに認定になった我が国の施設がございまして、全世界では47施設が認定されてございますが、我が国では27施設が認定を受けたところでございます。
  続きましての資料は参考までとさせていただきまして、後ほどご覧いただければと思います。
  簡単ではございますけれども、国際かんがい排水委員会の活動方向についての説明とさせていただきます。

渡邉部会長
  ただいまのご説明に何かご質問等ございますでしょうか。特にございませんか。
  先ほどご説明がありました2ページのところは、この部会の審議事項となっております。これをご検討いただく国内委員会の開催は、この部会の後になっておりまして、多分、2ページにある案で国内委員会でお決めいただくことになると思うのですが、その報告を得て私に判断させていただくことをお認めいただきまして、部会の決定とさせていただきたいと考えます。このように、今日ご説明した上でお願いしたいと思うんですが、今の手続、ご理解いただけましたでしょうか。
  後日資料を郵送して検討いただくよりは、今日きちんとご説明したほうがいいと思ってこのような形にさせていただきました。
  それでは、審議事項につきましては部会長にご一任いただきたいと思うのですが、改めて、よろしいでしょうか。
(異議なし)
渡邉部会長
  ありがとうございます。
  では、そのように進めさせていただきます。
  他に事務局から何かございませんでしょうか。

川村計画調整室長
  いえ、特に。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  もう大分時間が過ぎていますが、この際、改めて一言という方があったらお受けしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
  それでは、ここまでとさせていただきまして、司会を事務局にお返しします。

川村計画調整室長
  長時間にわたり、ご審議ありがとうございました。
  以上をもちまして本日の部会を終了させていただきます。誠にありがとうございました。

 

お問合せ先

農村振興局整備部設計課計画調整室

代表:03-3502-8111(内線5514)
ダイヤルイン:03-6744-2201
FAX番号:03-3500-4053