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農林水産省

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平成30年度第3回議事録

1.日時及び場所

日時:平成31年1月15日(火曜日)13時00分~16時15分
場所:農林水産省本館4階  第2特別会議室

2.議事

(1)農業農村整備の新たなフロンティア
   ・農業・農村における国土強靱化
   ・新技術を活用した地域振興
(2)平成30年7月豪雨等を踏まえた今後のため池対策の進め方について
(3)農業生産基盤の整備状況について

3.議事内容

議事録(PDF : 588KB)


石井計画調整室長
  それでは、定刻となりましたので、ただいまから食料・農業・農村政策審議会平成30年度第3回の農業農村振興整備部会を開催いたします。
  本日は、年始めのご多忙のところご参集いただきまして、誠にありがとうございます。
  開会に先立ちまして、室本農村振興局長よりご挨拶を申し上げます。

室本農村振興局長
  皆様、お疲れ様でございます。
  委員の皆様におかれましては、ご多用の中、この農業農村振興整備部会にご出席を賜りまして、厚く御礼申し上げたいと思います。また、日頃より農村振興政策の推進に当たりまして、格別のご理解、ご協力を賜っておりますことを重ねて御礼申し上げます。
  今日は、京都大学から藤井教授、岩見沢市から松野市長にゲストスピーカーとしてお招きをしておりまして、後ほどご説明と、そして忌憚のない意見交換を皆様方とともにやっていただければと、思っております。
  せっかくの機会でございますので、最近の予算の状況をご説明したいと思います。土地改良予算は、22年度予算から大幅に削減されました。その後、回復基調でございまして、この31年度、来年度予算の関係で申し上げれば、今年の補正と合わせて、21年度の5,800億円、これを651億円上回る額に達しております。ただ、当初予算をしっかり、これからも回復させていくという命題がございますので、引き続き私どもとしては頑張ってまいりたいと思っております。
  それから、昨年は非常に災害の多い年でございました。特に7月の豪雨では、ため池が全国で、32カ所決壊をいたしまして、うち1カ所では3歳の女のお子さんが亡くなられるという悲惨な状況に遭遇したわけでございます。
  こういった状況を受けて、昨年夏場以降、全国20万カ所あるため池、これをきちんと保全管理していく必要があるということで、現在ため池の新法について検討しております。これも次の通常国会に上程するかどうかという調整の最終局面でございますので、上程をするということになれば、しっかり国会での審議を尽くしていただいて通していきたいと考えております。
  冒頭触れましたように、本日の部会では、藤井京都大学大学院教授、それから松野岩見沢市長のお二人にゲストスピーカーとしてお越しいただいております。
  藤井教授でございますが、国土強靱化の第一人者ということで、私ども農林水産関係も、この国土強靱化の基本的な理念のもと整備をさせていただいております。強くしなやかな農業・農村ということで、この政策に従って各種展開をやっているところでございます。
  松野市長におかれましては、ICTを活用したスマート農業、この先駆的な取組をやっていただいておりまして、農業だけではなくて地域振興という概念で市を引っ張られているということで、本日お越しいただいております。
  今日は、委員の皆様、そしてゲストスピーカーのお二人の方々を交えて、有意義な意見交換を期待しております。忌憚のないご意見を賜りますようお願い申し上げまして、挨拶とさせていただきます。
  本日はよろしくお願いいたします。

石井計画調整室長
  ありがとうございました。
  本日、浅野委員、西村委員におかれましては、所用により本日ご欠席ということでご連絡をいただいております。
  それでは、まず初めに配布資料について確認させていただきます。
  農林水産省では、審議会のペーパーレス化を進めております。本日のこの委員会では、紙での資料説明は行わず、タブレットパソコンの資料にて説明をさせていただきたいと思います。
  席上のほうは、会議次第、そして名簿、あとは配布資料一覧についてはお配りしておりますが、それ以外の資料としてタブレット、一番左から資料1、資料2、資料3、そして資料4、また参考資料1、参考資料2、参考資料3となっております。
  皆さん、特に不具合等ございませんでしょうか。
  審議中にタブレットパソコンの操作でご不明な点がございましたら、挙手をしていただければ事務局の者が対応させていただきますので、よろしくお願いいたします。
  また、本部会の公表の方法についてご説明いたします。
  配布資料は、既に農林水産省ホームページで公表されております。議事録については、内容を確認いただいた上で発言者を明記した上で、ホームページで公表するということとさせていただきますので、ご了承のほどよろしくお願いいたします。
  それでは、議事に移りたいと思います。
  本日の会議は、16時までを予定しております。
  報道関係者の方のカメラ撮りは、ここまでとさせていただきますので、よろしくお願いします。
  以降の議事進行につきましては、渡邉部会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

渡邉部会長
  皆さん、こんにちは。
  年も変わり、あっという間に半月経ちましたけれども、年始早々お集まりいただきましてありがとうございます。
  ご承知のように、この部会は、今年度は次期の土地改良長期計画の策定に向けて、いろいろな状況の変化や情勢を踏まえて、広く次の農業・農村のあり方、あるいは農業農村整備のあり方を議論するということで進めております。
  先ほど室本局長からもお話がありましたが、今日はお二人のゲストスピーカーにお越しいただいております。お一人は、京都大学大学院工学研究科教授の藤井聡先生、もうお一方は、北海道岩見沢市長の松野哲様です。お忙しいところご出席いただきありがとうございます。よろしくお願いいたします。
  これも先ほど室本局長のお話にありましたが、先ほど申し上げた部会の課題に対して忌憚のない意見交換ができたらと考えておりまして、そのような方向で進行を務めさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  まず、ゲストスピーカーのご説明を受ける前に、事務局から部会の審議事項につきまして、再度確認するためにご説明いただきたいと思います。
  では、事務局、よろしくお願いします。

石井計画調整室長
  それでは、本年度この部会でご審議いただく審議事項について、ご説明いたします。
  資料は参考資料1の3ページをご覧いただきたいと思います。
  こちらの審議事項につきましては、昨年8月の第1回目の部会で委員の皆様にご説明してご了承いただいたものでございます。
  まず審議の背景、目的でございます。ポンチ絵をつけておりますが、その左側のほうに農業・農村を巡る状況について整理をしております。また、ページの下のほうに骨太の方針、また未来投資戦略、国土強靱化基本計画の見直しなど、政府全体の動きを整理しております。その上で、真ん中の部分をご覧いただきたいと思います。AI、IoTなどの言葉に代表されますが、新技術の進展には著しいものがございます。政府は、未来投資戦略でSociety5.0 を提唱しておりまして、農業分野では新技術を駆使したスマート農業を推進することとしております。また、農業生産法人など大規模農家の台頭が非常に目覚ましく、高収益作物の導入など新しい農業が各地で展開しております。さらに、田園回帰など農業や農村に対する国民の価値観も、いい意味で大きく変化していると受け止めております。一方で、農業・農村は激減する人口、高齢化の進行、頻発化、激甚化する災害、深刻な鳥獣被害など課題が山積しております。このように、農業・農村を巡る状況は、ポジティブな意味でも、またネガティブな意味でも大きく変化しております。このような、新しい時代が到来する中で、将来目指すべき農業・農村像はどのようなものか、また、その実現に向けて農業農村整備が果たすべき役割、これらについて農村の多様性を考慮しながらご審議いただきたいと考えております。
  そして、審議の進め方については、次のように考えております。
  まず、新しい時代の到来に関しまして、本日、藤井教授、また松野市長にお越しいただいていますが、専門家の方をゲストスピーカーとして部会にお招きして、新技術の著しい進展、新しい農業の展開など、委員の皆様と議論を深めていただきたいと考えております。こういった議論を踏まえまして、新しい時代が到来する中での目指すべき農業・農村像を明らかにして、農業農村整備が果たすべき役割をご審議いただきたいと考えております。
  そういった農業農村整備が果たすべき役割を、今後の農業農村整備の課題と位置付けて、本年度の審議結果として今後整理していきたいと考えております。
  審議事項については以上でございます。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  それでは、早速、ゲストスピーカーの方からお話を伺いたいと思います。
  初めに、農業・農村における国土強靱化について、藤井教授にお話し頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

藤井京都大学大学院工学研究科教授
  皆さん、どうも初めまして。京都大学の藤井聡でございます。本日は、こういう貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  私のほうからは、今ご紹介いただきましたように、農業・農村における国土強靱化をお話ししたいと思います。
  私は、京都大学工学部都市社会工学専攻で教鞭をとってございますけれども、政府では、政府が進めます国土強靱化の大臣の諮問機関で、政府機関でありますナショナル・レジリエンス懇談会という国土強靱化の有識者会議がありまして、そちらの座長を仰せつかってございます。農業土木、農業経済に関しては、本部会の浅野先生も我々の委員会に入っていただいて、いつも農業関連のことをご指導いただきながら国土強靱化の行政の議論を進めているところでございます。
  私の資料は、資料1になってございます。国土強靱化については、今し方のポンチ絵にも書かれてございましたけれども、最近の激甚な災害の多発を受けて、安倍内閣下でスタートされた新しい行政であります。
  一般的に、防災と非常に類似したものと認識されているところだと思いますけれども、政府の機構としては、防災を内閣府防災という部局とは別に、内閣官房の国土強靱化推進室が設けられておりますので、重複するところがありながらも明確な差異がある行政として展開されているものです。
  では、その差異は何かというと、防災の場合は特定の災害、地震や津波、洪水、そういうものの被害を1個ずつ減らしていこうというものでありますが、国土強靱化の場合は、日本の国家、あるいは地域社会、地域、そういったものの基礎体力を上げて、あらゆる危機を乗り越える力を身につけようという、ある種のたくましさを身につけようというものが国土強靱化行政になります。
  したがって、防災行政ではダムを作りましょうとか、あるいは津波のための堤防を作りましょうとか、津波のためのタワーを作りましょうとか、あるいは津波が来たら逃げましょうという対症療法的な議論を突き詰めるのが防災行政になりますけれども、国土強靱化の場合は、最も重要なのは、みんな東京に住んでいるから首都直下地震で大変なことになると。南海トラフ地震は三大都市圏を襲うから、みんな太平洋に住んでいるから大変なんだから、そもそも一極集中している、太平洋ベルトに集中をしているという、この日本の構造そのものが、あらゆる脆弱性の源なんだから、本質的に日本国家をあらゆるリスクに対して強くしなやかにしていくためには、全国を分散化しないといけないのではないかという議論が当然遡上に上ります。
  さらに言うと、国土というものは平野部、都市部もあるけれども、農地がたくさんありますし、山岳地帯も多いのだから、国土全体を強靱化するのであれば農地の荒廃をとめないと、これは話にならないし、これから山地の荒廃も止めないと話にならない。そして、それを荒廃しないようにするためには、農村、それから中山間、そういったものがしっかりと人が住んでいて、そして、そこの人が住むための生業が存在し、生業が存在するということは、林業需要や農業需要を国内でしっかりと支えておくという、そういう産業消費社会構造、農業を中心としたそういう農業の社会の軸としたような、それこそ日本は「瑞穂の国」と言うわけでありますから、昔からそうやって日本の国土が守られて、産業、文化、国土、全てが混然一体となって、日本という国の国体というと古いかもしれませんけれども、そういう日本の国の国柄ができているんだから、その国柄を復活、あるいは活性化するということをやらずして国土の強靱化なんてあるはずないという議論が、防災ではできないけれども、国土強靱化であればおのずとできるということになります。
  そういう意味で、国土強靱化の行政というものは、日本の国そのものが弱いひよこのような、もやしみたいな国になっているところをたくましい男の子のような、女の子のような、そういう国家にしようというのが国土強靱化というものであります。
  では、行政技術として、それをどうやっていくのかということに関して、まず私の資料1の1ページをご覧ください。
  国土強靱化基本計画というのが、去年の12月に改定版が閣議決定されましたが、その前の資料を提出していますので、これは素案の抜粋と書いてございますけれども、これは素案をとっていただいて、今の確定版の文言と変わらないものであります。
  まず「国土強靱化の取組姿勢」が、国土強靱化基本計画の冒頭に大きく書かれていますが、この1から5が私として極めて重要な文章だと認識しています。もともと日本がもやしっ子になってしまったのは、思想のゆがみがあったからだというのが座長としての私の認識であります。
  もともと国土強靱化基本計画ができる前には、列島強靱化論という2011年3月22日にまとめた私の計画がありまして、これは東日本大震災を受けて、日本がこれだけ被害を受けたのは、もともと思想がゆがんでいるからであると。この日本を抜本的に強化するためには、東日本の復興を遂げるとともに、日本列島それ自体を強靱化する大転換を果たさねばならないという思いで、京都大学の仲間、私の言論人、知識人の仲間と11日かけて作った列島強靱化10年計画というのがあります。それに基づいて、今、私の立場からすると、今の日本の政府の国土強靱化行政というのは、それに基づいて進んでいるというのが私の認識ですが、そのときに基本的に考えていたのは、日本の思想がゆがんでいるから、これだけ激甚被害が出たんだという認識であります。繰り返しになりますが、そういうふうに思います。
  では、どういうふうに思想がゆがんだのか。大ざっぱに言いますと、昭和時代はまだよかったのですが、1989年の平成元年のころから、消費税を導入した年でありますけれども、どうやらこの国は大きく道を誤ったのだというのが、私の学者としての基本的な大局観であります。
  どういうふうに間違ったのか。最も一般用語に近い言い方で申し上げると、かつてはそれほど存在していなかった、いわゆるサッチャー元首相、レーガン元大統領、中曽根元総理に象徴される新自由主義、英語ではネオリベラリズムと呼ばれますけれども、このネオリベラリズム、新自由主義、あるいは別称でネオリベと呼ばれたりとかしますが、このネオリベ思想が日本の中でどんどん浸透していったから、日本はだめになったのだというのが、私の基本的な仮説であります。
  では、ネオリベ思想とはどういうものかというと、経済学的に言うと、これはいわゆる近代経済学、とりわけフリードマンに象徴されるような、あるいはそういう自由主義経済に象徴されるような理論でありますけれども、一般的な教科書をひもときますと、経済学というものは、希少な財の分配、配分に関する学問だと書かれているんですが、この新古典派経済学のフィロソフィー、哲学自身が徹底的に間違えているというのが私の認識です。
  なぜかというと、希少な財は誰が作っているのかという認識が、新自由主義には存在しません。誰かが生産をし、国力のもと誰かが生産し産業を活性化することで、あるいは土地を改良することで物事が生産されていくんだというプロセスを経済学の学問の中から切り捨ててしまっています。例えばトヨタだとかグーグルだとか、すごく大きな企業が既に存在していて、その財をどうやって分配するかだけに注目している、あるいは、もうそれを過剰に重視しているのが新自由主義というもので、もともとこれが提案されたのがアダム・スミスであって、アダム・スミスというのは、当時のイギリスという産業革命で、さんざん生産力があって、強力な国が言い出した経済理論でありますから、当然ながら自由貿易を推進することがイギリスの国力、国家のためにとって国益にかなうから自由貿易だと言っただけの話であって、生産力が脆弱なところで希少な財の配分なんかをやると、全て奪い取られて終わってしまうということになります。
  このような認識が昭和時代の日本にはまだあって、例えば通商産業省では、産業力はすごく活性化しただろうし、農水省でも徹底的に農業の生産力を上げていこうという、その根幹に土地改良というものがあったわけで、そういうものが昭和時代のときに徹底的に重視されていたわけでありますが、このネオリベラリズム、希少な財の分配の議論になったら、そうしたらもう既に大量の穀物ができるアメリカのものを安い金で買ったらいいではないかというだけの議論になっていって、ガット・ウルグアイラウンドや、そしてTPPや日米、日欧のFTA、EPAにこだわってきていると。そうすると、自由貿易の伸展とともに、その裏側にあるのは、生産力にお金をかけるなんてばかなことだということになって、農業改良のための予算なんて7割削ってもええやないかとなるのは、これは理論的、哲学的必然であるということになります。
  しかし、食料品は自分で作っておかないと飢えるかもしれないし、食料品を自分の国土で作ることが国土の強靱化を果たすことであり、食料品を自分の国で作ることが日本の経済を支えることになるのだという、この当たり前の議論というものが木を見て森を見ずの新自由主義の中で捨てられてきたということが大きな問題であると認識します。
  したがって、本当に農業振興を行い、本当に国土強靱化を行うのであるのならば、このネオリベラリズム、新自由主義経済理論に徹底的に支配された言論空間、あるいはその政策フィロソフィーそのものの転換を図らねば、国土強靱化はできないというのが2011年3月22日にまとめた計画書に書いた基本的な形のフィロソフィーです。そのフィロソフィーを政府の閣議決定文書に書いたのが、この1ページ目の(1)国土強靱化の取組姿勢であります。今のイントロダクションのもと、これをご覧いただくとご理解いただけるのではないかと思います。
  まず1つ、「我が国の強靱性を損なう本質的原因として何が存在しているのかをあらゆる側面から吟味」しろと。これは要するに、今申し上げたようなところに気づきなさいということが1の中に出るわけであります。
  2「短期的な視点によらず」、新自由主義は極めて短期的であって、ROE8%革命だとか四半期決算だとかそういうもので、いわゆる経済学で言うところのショートターミズムと言われますけれども、新自由主義経済理論では徹底的にショートターミズムになる。そして、土地改良で長期的な投資をやるということを全くやらなくなります。したがって、そういうのが今の新自由主義的なものの特徴なんですけれども、「短期的な視点によらず、強靱性確保の遅延による被害拡大を見据えた時間管理概念」、これは何かというと、時間のことを考えれば、ゆっくり投資をやっていくのと今投資をやるんだったら、100年かけて投資をやるのと今投資をやるんだったら、100年分早く生産性を上げることができます。ところが、投資しなかったら生産性が上がるのは100年後になります。そのころ、アメリカやら韓国やら中国やらにも徹底的に負けてしまって、あるいは地震が来て全てが流されているということになりますから、強靱性というものは長期的に考えて、かつ必要なものは短期的にやることも必要になってくるという、この時間管理概念とEBPM、これは最近よく政府で言われますけれども、Evidence Based Policy Making、証拠に基づく政策立案、これは要するに、証拠に基づけばTPPなんかをやってしまうと徹底的に国力が毀損していくというのは、例えばアメリカの、ミシガン大学だったかと思いますけれども、一定の過程を置いたシミュレーションを置けば誰が考えてもわかるようなものなのだということがシミュレーション計算でわかっていますけれども、例えばそういうような格好で、きちんと理系的なシミュレーション、これはイメージではなく証拠に基づいてやりましょうという概念、これがEBPMです。これと時間管理概念、早くやらないと意味がないという概念。この双方の概念を持ちつつ、長期的な視野を持って計画的に取組に当たりましょうと。
  89年の平成元年という年前後は、東西冷戦で計画経済が敗れたということになって、計画というものの重要性が本来はあるにもかかわらず、計画というものが全て悪いものであるかのように言われたのがこの平成という時代であります。その中で、この国土形成計画というものに国土計画も変わってしまって、結局予算が長期的につかなくなってしまいましたし、土地利用の長期計画も十分立てられなくなって、長期的な予算が配当されなくなりました。
  この思想的な転換というのは、実はネオリベラリズムの暴走の背後には、東西冷戦の崩壊によって、計画というものが、さながらネガティブワードになってしまったという指導的な背景があるということも、ここで考えておくべき必要があると思います。したがって、計画を考えましょうということも2で書いています。そして、ショートターミズムはだめですよということを2に書いてあります。
  3「各地域の多様性を再構築し、地域間の連携を強化するとともに」云々、地域の活力を高め、一極集中からの脱却を図り、「自律・分散・協調」型国土構造の実現を目指しましょうと。まさに農業振興が必要であるということが、ここに書かれているわけであります。農業振興をやるときには、金太郎あめのようなものではなくて、それぞれの民俗学、宮本常一が歩いて見つけてきたような、忘れ去られた日本人の生活態度というものをしっかりと思い出しながら、そこの風土というものを考えながら、多様性を確保しつつ、それぞれの地域活力を高めて、そして東京一極集中を克服していこうではないかということが3に書かれています。これこそ国土強靱化の本丸なんだということが、3のフィロソフィーであります。
  4「我が国のあらゆるレベルの経済社会システムが有する」、ここも同じことを違う言葉で言っています。「あらゆる経済社会システムが有する潜在力、抵抗力、回復力、適応力を強化」しましょう。これぞ農村振興であります。農業振興であるとともに農村振興であります。もちろん、農村と都市があるんだとしたら、都市も当然ながら振興していく必要はありますけれども、農村も国土の一部なのである以上、農村振興も絶対に反面において必要だというのが4に書かれているということであります。
  5「市場、統治、社会の力を総合的に踏まえつつ」、ここで重要なのは、市場だけじゃないんだぞということを言っているわけであります。統治の力も必要だし、社会の力も必要なんだと。これが新自由主義では徹底的に看過、見過ごされてきているということに関しての反省といいましょうか、それに対する義憤といいましょうか、主張というものが、この5に書かれていると。市場、統治、社会の力を総合的に踏まえつつ、大局的、これは大局的ですから、日本の国土全体、地域全体、あるいは10年、100年、1000年の風土を見据えながらというのが大局的というものであります。システム的なというものも、これも特定のビジネスがもうかったらいいというものではなくて、先ほど申し上げた農業振興というものは、木材の需要だとか6次産業化も含めてでありますけれども、日本人がちゃんとお米を食べるだとか、あるいは米粉を使うだとか、そういうことも含めてシステム的な視点に立って適正な制度、規制のあり方を見据えながら進めましょうと。
  「適正な規制」と書いているということは、規制緩和が善であるというイデオロギーがネオリベラリズムの中にはあって、そういう規制のあり方を単に緩和するわけではなくて、強化も見据えて適正化、緩和も当然見据えますけれども、強化も見据えて適正化をすることが大事なんだということが書かれています。
  以上、哲学的なこと、思想的なことをいろいろと申し上げましたけれども、そういったものに基づいて、例えば7-6と書いてあるところ、農地、森林等の被害による国土の荒廃を避けようとか、あるいは8-2、復興を支える人材、地域の人材をちゃんと守っていこうとか、そして5-8、食料等の安定供給の停滞を避けようと、そういうことが書かれています。
  そして、これを実現するために国土強靱化はどういう行政をやっているかというと、ずっと下に下がっていただいて、この全体の資料のページ数の12ページをご覧ください。
  右上のここが国土強靱化基本法の説明になりますけれども、国土強靱化基本法は、以上の理念を実現するためにどうなっているのかが書かれているんですが、ここの右上のポンチ絵でアンブレラ計画のイメージ、こう書かれています。このアンブレラ計画のアンブレラというものは、これは傘というものであります。これは、基本的には国土強靱化基本計画というものは、あらゆる計画の上位計画なのだという計画理念、法設計理念であります。それをアンブレラ、上意と書くと上意下達ということになりますので、あまりにも強過ぎるということでアンブレラと、ふわっと書かれているわけでありますけれども、基本的には、国土強靱化基本計画は今言ったような理念が書かれていて、そこにいろんな文言が書かれまして、農水関係に関してもいろんなものが書かれていて、そこに書かれている記述のその下に、いろいろなエネルギー計画とか食料計画とか、そして土地利用改良計画とか、国土計画として下にこうあると。
  そのときに、上に書いてある言葉の意味は、上に書かれている概念、あるいは文言と下の法律に書かれている概念、文言とに齟齬があった場合には、上の計画の文言が優越するということであります。したがって、上に書かれている文言は、この法律がずっと運用されていけば、5年、10年と経っていけば、下のというと恐縮でありますけれども、国土計画だとかそういったものの国内のあらゆる計画が上の計画理念にちょっとずつ変わっていくということになります。したがって、今申し上げたような理念に基づいて、ぜひとも本部会で土地改良長期計画についても、しっかりとご議論いただきたいと思います。
  そして、浅野先生を始め、農水省の事務局の皆さんと今のような議論を様々に6年間、2回この計画を作っておりますので、私は去年の暮れまで内閣官房参与でもありましたので、官邸の総理ですとか官房長官の調整も含めて、この計画を農水省の皆様としっかりと議論したので、浅野先生にもご指導いただきながら作ってきましたので、基本的に国土強靱化基本計画に書かれている理念というものが、皆様のご議論と大きく乖離することはないと思いますけれども、今書かれている計画の中で一部そぐわない、あるいはもっとそぐうようにすることができる部分があるのならば、ぜひともアンブレラ計画である国土強靱化計画というものを参照いただきながら、しっかりとご議論いただければありがたいと思っているところでございます。
  細かいところ等いろいろとあろうかと思いますけれども、また意見交換の折にそういうご議論が及んだときに、またその辺のお話ができればと思います。
  以上でございます。ありがとうございました。

渡邉部会長
  藤井先生、どうもありがとうございました。
  非常に限られた時間でしたが、社会的な認識の背景から始まって、国土強靱化計画と基本法それぞれについて、農業農村整備、あるいは土地改良との関わりも含めて端的にまとめていただいたと私は伺いました。ありがとうございました。
  冒頭申し上げておりませんでしたが、今日の進め方として、ゲストスピーカーの方に20分程度お話しいただいて、それぞれについて20分程度、質問や意見交換をさせていただきます。お二人のご発表、質疑応答が終わったところで、1時間程度意見交換をさせていただきます。このように進めさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
  それでは、ただいまの藤井先生のご説明に関しまして、ご質問やご意見がありましたら伺いたいと思います。どなたからでも、どうぞご遠慮なく。
  では、柴田委員、お願いします。

柴田臨時委員
  どうもありがとうございます。資源・食糧問題研究所の柴田と申します。
  私も、特に2012年以降、攻めの農林水産業政策に対して、何となく間違っているのではないかと、こういう気がいたしておりました。物事をもうかるかもうからないかの二分法で見て、それから効率的なのか効率的でないのか、まさに短期的な視点から判断しているのかという気がいたしました。間違っているなとは思っているんですけれども、それを理路整然と指摘できないということもありまして、今、先生のお話を伺ったところ、まさにそのとおりでありまして、非常に胸のすく思いがいたしました。
  特に私は、この市場原理主義的、新古典派的な物事、経済の考え方というのは、いわゆる生産関数一つを見ても、労働と資本と、それからイノベーションの部分、TFP(全要素生産性)は含まれるけれど、自然についての言及がありません。自然、あるいは資源というのは無尽蔵にあるというふうな前提でひたすら成長を求めてきた結果、経済は発展したものの、一方で重要な自然の部分ですね、景観を含めて水の問題、森林の問題、最終的には国土の保全の問題、ここが毀損されてきてしまったという気がいたします。
  先生はまさにこうした経済思想そのものを否定されたわけですけれども、一方で国が進めている規制改革会議や産業競争力会議等、ここで特に農業に関しては競争力プログラムが13項目あります。これらと先生の思想との上下関係というか、これはどういうふうに考えたらいいのでしょうか。

渡邉部会長
  藤井先生よろしくお願い致します。

藤井京都大学大学院工学研究科教授
  先ほど申し上げましたサッチャー、レーガンが源流であるとすると、最近の政治的には、理論的にはアダム・スミスであるとしても、この大きな新自由主義の系譜があると思います。
  これは大きく一くくりにすると平成の30年間の流れであったと思います。そのせいで国土が脆弱化したと考えます。したがって、本当に真面目に国土強靱化アンブレラ計画というのが適用されていくのであるならば、こういった行政は全て矯正されていくはずだと私は思います。残念ながら、国土強靱化行政が始まって6年である一方、ネオリベラリズム行政は30年以上続いているところがありますので、まだ6年では十分矯正されるには至っていないのだと思います。
  ただ、国会で決めた法律に基づいてアンブレラだと言い、そして下部の計画は変わっていくということになっているはずでありますので、この国土強靱化基本計画が適正に運用されれば、徐々に変わっていくはずだと思います。
  今の回答で回答になっていますでしょうか。

渡邉部会長
  よろしいですか。ありがとうございました。
  ほかにいかがでしょうか。
  では、柚木委員、お願いします。

柚木委員
  ご説明ありがとうございました。全国農業会議所の柚木と申します。
  私も先生の話を聞いて心強く思った点がたくさんあります。若干、今の農業政策を見たときに、やや産業政策に偏り過ぎているのではないかと、もう少し地域の視点を入れていかないと、全体の農業・農村の発展なり、国土全体にもいい結果を与えないのではないかと思っています。
  そういう観点から、地域政策をどういう視点で強化したらいいのかということについて、お金にならない部分が多々あると思いますので、そういう点を、政策的といいますか、国としての取組が必要だと思います。先生として、その辺はどのようにお考えなのか。
  それからまた、中山間地域を中心に人口が減少している、それから農地の場合も荒廃農地が相当増えてきているという状況にあります。こうした地域において定住再生産が可能な仕組みづくりを経済的観点も必要ですが、それ以外の観点も含めて前へ進めるためにどのように考えていったらいいのか、お考えがあればお聞かせいただきたい。

藤井京都大学大学院工学研究科教授
  非常に大きなご質問をいただいたなと思います。
  まさに一番重要なところだと思いますが、私もまた農業について十分考えさせていただいたようなところもありますけれども、あくまで私の視点でということでご説明いたします。15ページをご覧ください。
  今のご質問に対して、私はやっぱり農業・農村の振興に当たって、需要のイノベーションという、日本人がつくる農産品の需要を確保することが本丸ではないかと思います。
  そういう視点で、食産業インフラ・イノベーションが日本を救うとここに書きました。見出しのところだけご紹介すると、「食料自給率」の向上は「国家安全保障」のために必須だと、これはもう言わずもがなだと思います。右上に書いてあるのが、「食料自給率」の向上は、平時における「経済成長」のためにも不可欠であるということであります。
  これはどういうことかというと、食料自給率が低いということは、日本人が稼いだ金を外国の農家に配っているということになります。したがって、食料自給率が低いというだけでGDPは毀損していきます。したがって、経済が成長するためには、需要というものが絶対必要であるというのが第一の法則だとすると、第二の法則として、その需要の中でも衣食住の食ほど太くて安定した需要はない。したがって、食という需要をしっかりと国内で産業化、マネタイズしていくというのは、国家成長戦略として当たり前の態度であるにも関わらず、新自由主義者達はお金を払って外国人から米やいろんなものを買っていると。
  したがって、それで日本の成長がだめになってきていると。外国人にお金をいっぱい配ってしまうと、ぐるぐる回るんですけれども、日本の農家に金を配ると、その人は車を買ったり家を買ったり石油を買ったりしますから、日本経済の成長のために必要なんだということが非常に重要です。
  ここで、なぜこの概念がないか、ないがしろにされているかというと、新自由主義においては、彼らの議論というのは、新古典派経済学というのはご案内の方が多かろうと思いますけれども、サプライサイドエコノミクスと言いまして、デマンドサイドエコノミクス、いわゆるケインズ理論も含めた、需要というものを経済理論の中に含めない特殊な「セイの法則」という話を導入することで、サプライサイドエコノミクスを使っているから、需要を売り飛ばしてしまうということが、いかに国力を毀損するかというのがわかっていないということがあると思います。
  この思想的ゆがみが矯正されるだけで、日本国内で自給率が高まっていくというのが経済理論的に正当化されますから、農山村が発展していく可能性はどんどん広がっていくと思います。
  次に、次の16ページの「食料自給率」の向上は公益にかなうと。だから、世界の常識では、農業は半政府事業になっているんだと。これも有名なグラフでありますが、図2でありますけれども、小さくて恐縮でありますけれども、農家の方の農業所得に占める公的資金率というのは、日本が最低なんだと。農業は補助金漬けなんだと、こう言っている人達がいるという、情報戦争で敗北していることが、今、日本の農業がだめになっている重要な原因だと思います。
  ところが、私は元内閣官房参与として、テレビ、雑誌とか山ほど出ている人間として断定しますけれども、「彼ら」は、徹底的に意識した情報戦争を戦っています。ここで敗北しているから農山村が振興できていないんだということもご理解いただきたいと思います。
  右下のところで、「食料自給率の向上」に向けた総合戦略が必要だと。例えば自給率向上ソフト戦略だとか、例えば米消費量の増強、野菜消費量の増強、食べ残しの低減、米粉の活用と、そういう需要対策は様々にやっていくことがすごく大事です。
  イノベーションというと、どうしても供給側の議論をしてしまいがちなんですが、もしもスマホを使う人が100人ぐらいしかいなかったら、スマホなんていうイノベーションが起こったとは絶対言われないですね。インターネットを使う人が1,000人ぐらいしかいなかったら、インターネットなんてイノベーションと絶対言われていないです。したがって、イノベーションの母は需要です。必要は発明の母なのだという、この当たり前のことわざを、ぜひ思い出していただきたい。ここを思い出すだけで新しい角度が見えてくると思います。
  国産農水産品の増強に向けて、イノベーション、例えば水田での畑作を可能とする土地改良とか、輸入依存農産物のための改革だとか、水産品生産力の増強等といったことです。例えばこんなことをこのところで書いております。
  何を申し上げたいのかというと、議論の内容として、我々が見過ごしがちなところをいくつか申し上げました。1つは需要こそが本当に大事なんだと。そして、自給率を下げるのは安全保障だけではなくて成長率を下げているんだという、この角度もぜひご議論いただきたいというところ。そして、情報戦争で徹底的に我々は負け続けてきたんだということをしっかりご理解いただきたいと思います。そして、先ほどの繰り返しになりますけれども、思想戦において、我々は敗北したから農山村がだめになり、国土が荒廃しているんだということもご理解いただきたいと思います。
  最後に、「思想戦」という言葉は、非常に何かエキセントリックに聞こえてきますけれども、例えばケインズの「一般理論」という有名な本、ケインズ革命を起こした本の冒頭の第1章に何が書かれているかというと、こういうことが書かれています。大学人とか学者が言っている理論、思想というものは、ほとんど影響がないという実務家は多いけれども、それは完全な間違いだと。どんな実践家もどんな実務家も彼らが言っている発言というものは、30年前や40年前の場末のくだらない学者が、どこかでぼそぼそっと書いたことを繰り返し言っているだけなんだということを言っています。
  したがって、思想というものがどれだけ実務的な巨大な意味を持っているのかということを忘れてはならないんだということをケインズは書き、そして彼はケインズ革命を起こしたのは、そういう認識があったからこそ、思想的大転換を行って、ケインズ革命を行った。そして、その思想的大転換は何だったかというと、経済の成長は需要が導くんだという、この1点のために、彼は生涯を賭して戦い抜いて、そして世界を救っていった学者だったわけで、この議論は農業の議論とも非常にかぶっているところがあるのではないかと思いますので、ぜひその「大転換」の議論をご参照いただければと思います。
  長くなって恐縮です。以上でございます。

渡邉部会長
  よろしいですか。
  ほかにいかがでしょうか。
  では、渡辺委員、お願いします。

渡辺臨時委員
  新潟県土連の渡辺と申します。
  大変力強いお話を聞かせていただきました。私ども地方の人間にとっては、農業・農村の問題にはしっかり取り組むべきだということをサジェスチョンしていただきまして、大変ありがとうございました。
  そんな中で、ご説明の中にあった国土強靱化の取組姿勢が5つの中で、地域の活力を高め、依然として進展する東京一極集中からの脱却を図る必要があると言う点についてです。地方は相当疲弊をしており、特に中山間地域はどんどん人がいなくなってきている現状の中で、東京一極集中を排除したいということについて、具体策としてイメージされていることがありましたら、ご教示いただければと思います。

渡邉部会長
  藤井先生、お願いいたします。

藤井京都大学大学院工学研究科教授
  ありがとうございます。
  今、国土強靱化の中で、この東京一極集中緩和というものが脱却点の一番重要な本丸であるということで、とりわけ第2期の計画を立てるに当たって、ここは集中的に議論をいたしました。
  政府を見回しますと、ここを所管している行政組織が2つありまして、1つがまち・ひと・しごと創生本部であって、これは片山大臣のもとに今議論を進めているところでありますけれども、もう一つが国土交通省の国土政策局になります。ほかにも各省庁それぞれ、東京一極集中緩和に関するところはやっているんですけれども、システマティックにやっているのは、この2つが本丸になってくると。
  そして、片山大臣のところのまち・ひと・しごと創生本部は、主にソフト対策にお金をたくさん投入すると。まちづくり交付金、あるいはいろんな6次産業化等もよく使います。そういうものが非常によくやられています。もう一方で、国土政策局のほうは、コンパクト・プラス・ネットワークというインフラ整備が議論されています。ここで、明確にその目標のために事業を展開しているのは、やはりまち・ひと・しごと創生本部になります。一方で、コンパクト・プラス・ネットワークは、理念はあるものの具体策は特に議論が十分されていないというのが私の認識です。
  ここに最大の問題があると私は考えています。先ほど申し上げたEBPM、Evidence Based Policy Makingの概念でいきますと、ソフト対策だけでは、東京一極集中緩和効果など、なかなか難しいところがあると思います。
  一方で、やはり新幹線を日本海側に引くと、金沢がどれだけ豊かになったか。これが熊本や鹿児島に新幹線が通ることで、彼らの沿線がどれだけ豊かになったのか。そこに都市圏ができ、それに引きずられるように周辺の地域も豊かになってきているというところがあります。
  逆に言うと、三大都市圏を貫く国土軸というものを作ったことで、どれだけ彼らが人口とか都市機能を集中させたか。一方で、日本海に何も作らないことによって、どれだけのものが奪われたのか。これを考えると、10年、20年、30年スケールで見ると、新幹線、高速道路の投資をするかどうか、国土軸の投資をするかどうかというものが国土の骨格を決定づけているというふうに、今申し上げているのが、私の研究の本丸の部分なんですけれども、ここをエビデンスベースで、様々な統計分析で明らかにしているところでありますので、地方に、それこそ田中角栄先生が列島改造論で書いた2枚の絵があるんですけれども、全国に高速道路をつくる、全国に新幹線をつくるというこの2つの絵を実現させることで、相当、国土構造を分散化し、それぞれの都市圏が形成され、それぞれの都市圏に支えられている農山村も豊かになっていくのだろうと思います。
  したがって、私は地方を豊かにしていくためには、やはり日本海軸とか、第二国土軸とか、北海道の新幹線を旭川まで作るとか、さらに言うと、北海道の農業を活性化するためには、あそこはトラックを使って本州まで物が運べないわけでありますから、第2青函トンネルの議論を始めるとか、そういった議論をしっかりと、ポリティカルコレクトネスとか世論の空気を恐れずに、建設の話も農業の話も進めていくことが大事なのではないかと。
  最後になりますけれども、ネオリベラリズムの議論というのは、平成31年が今年の5月で終わりますから、この機会にもうそういうネオリベなるものは全て泥船に全部沈めて、心機一転し、改めてもう一度、この今申し上げたような適正な未来を見据えた明るい議論が進められるように、思想の大転換を今こそ図るべきではないかと思います。
  以上でございます。

渡辺臨時委員
  ありがとうございました。

渡邉部会長
  よろしいですか。
  少し話題が具体的になったところで、議論や質問がたくさんおありでしょうが、藤井先生のお話はここまでとさせていただきます。藤井先生、ありがとうございました。
  続きまして、岩見沢市の松野市長からお話しいただきたいと思います。新技術を活用した地域振興に関してお話しいただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

松野岩見沢市長
  岩見沢市長の松野でございます。
  本日は、貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます。早速ではございますが、岩見沢市の基幹産業であります農業につきまして、現況の取組なども含めてスマート農業の社会実装に関する取組、この点について説明をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。
  1ページでございます。早速、資料2の1ページとなります。初めに、岩見沢市の概況について簡単にご説明をさせていただきたいと思います。岩見沢市は、札幌市、そして新千歳空港から約40kmの位置、ちょうど正三角形のそれぞれが頂点になります。そういう位置関係にありまして、石狩川水系の豊富な水資源、さらには治水対策、土地改良、農業の基盤整備、それらの成果を背景に土地利用型農業を中心とする国内有数の食料基地でございます。
  ただ、残念ながら人口の減少が進んでおりまして、昨年12月末現在で81,778人の人口、高齢化率も34.87%でございまして、国内の多くの自治体と同様に人口減少と少子高齢化、まさに人口縮減時代に直面しているわけでございます。
  次に、農業の現況についてでございます。行政面積の41.2%が農地、19,800haでございます。その農地では、水稲や小麦、大豆、たまねぎなど、いわゆる土地利用型農業を中心としておりまして、特に水稲の作付面積は6580haと北海道最大でございます。
  次に、資料の3ページでございますが、農業におきましても人口減少と高齢化が進んでおります。農林業センサスの数字を見ましても、農業の就業人口は5年間で15.4%減少いたしました。平均年齢も57.1歳に上昇しているなど、基幹産業の持続性の確保に向けて、経営体質の強化を始め、活力ある農業・農村づくりが急務でございまして、後ほど紹介いたしますが、スマート農業の実装に向けて、農業基盤という観点からも農地におけるブロードバンド環境の形成が重要と認識しているところでございます。
  なお、平成27年の農林業センサス以降の独自調査でございますが、高齢化率はほぼ横ばいでございますが、平均年齢は57.0歳と若干下がってきております。また、1戸当たりの経営面積は直近、昨年の数字ですが、農林業センサスは16.7haが平成27年の正式な数字ですが、昨年の独自調査では、1戸当たりの経営面積は20.5haと20haを超えるという状況にございます。
  そこで、資料の4ページになりますが、岩見沢市における課題対応の取組についてのご紹介をさせていただきます。営農の効率化、高付加価値化を目指す農業基盤整備を始めといたしまして、定住促進などの後継者対策、そして地域特性でありますICT環境を用いたスマート農業の実装など、様々な取組を総合的に進めているところでございます。
  まず経営の安定に向けた空知型輪作体系の推進でございます。
  これは資料の5ページになります。現在、水田の約5割で輪作が行われておりまして、乾田直播や無代かき栽培を導入し、米と麦や大豆との輪作がされております。多い農家では7品目の輪作が行われるなど、土壌成分や排水性の改善による収益性向上、そして大型機械の併用による経済性の向上を図っているところでございます。
  次に、資料の6ページになります。下水道資源を循環する農業の推進という項目でございます。下水中に含まれますリンや窒素を農地に還元する取組でございまして、市内の下水道処理場で普通肥料として調製されます脱水ケーキや顆粒状の乾燥肥料を利用しているところでございます。
  下水道の事業者は、農家に下水由来肥料を無償で提供し、散布費用は市が負担をして農家に散布をして活用していただく形でございます。従来、下水道事業者は、肥料の過剰在庫を産業廃棄物としてコストをかけて処分していたものでございまして、農業肥料として提供することにより、処理コストを5割~7割削減することができ、また、農家は資材コストの縮減にもつながるなど、コストと資源が市内で循環する取組となっております。
  次に、資料の7ページでございます。ほ場の大区画化でございます。整地費用などの管理費面での効率化はもとより、作業の効率化に寄与する大型作業機械の利用におきましても、大区画で、かつ長方形の形状が効率を高めることとされておりまして、後ほどご紹介をするオートステアリングシステムの活用におきましても同様の形状が効果的とされております。また、北海道大学大学院農学研究院の野口教授と実証を進めるロボットトラクターにつきましては、例えば共同で検証中のメーカーによりますと、ロボットトラクターの導入により作業効率が向上するほ場の条件を、ほ場がほぼ矩形で面積が5反以上、50a以上、一度に耕す作業幅は3m程度と報告をされております。当該ロボットトラクターの安全基準といたしましては、作業幅に係数を乗じた値を自動設定する仕組みとなっておりまして、作業幅が3mの場合であれば9m程度の安全幅をとる必要があるなど、今後のロボットトラクターの実装においてもほ場の大区画化が不可欠と考えております。
  次に、資料の8ページ、地下かんがい、集中管理孔についてでございます。大区画化するほ場におきましては、風等による水の偏りが大きくなるなど、大区画化ゆえの作業効率を阻む課題がございますが、その対策といたしまして、用水管と暗渠管を兼用いたしまして、田畑兼用でかんがいが可能な地下かんがい整備を進めております。米の乾田直播栽培を初め、畑作における干ばつ対策にも有効でございまして、さらには、集中管理孔では、暗渠排水を用水で洗浄するなど延命化も図られるところでございます。
  次に、資料の9ページでございますが、移住定住促進に向けた新規就農者への支援でございます。新規就農者への支援といたしましては、新規学卒者、Uターン者、あるいは新規参入者に対し、きめ細かなサポートのプログラムを独自施策も含めて用意をしております。新規参入者は、ミニトマトなど比較的小規模な基盤で高収益な作物を栽培する方が多い傾向でございまして、資料に掲載する表にはカウントしておりませんが、米作りなどの土地利用型農業への就農希望者は、大規模な農業法人に就農するケースが多くなってきているところでございます。
  次に、資料の10ページでございます。また、経営体質の強化への支援施策につきましても、地元農業団体等との連携のもとに、農業生産性の向上はもとより農産物の付加価値化の形成、さらには流通を含めたバリューチェーン化に向けた取組を進めているところでございます。
  次に、資料の11ページ、農村地域の定住促進に寄与するICT利活用の資料でございます。岩見沢市では、ICTの活用による市民生活の質の向上、それと地域経済の活性化、この2つを目指して、25年ほど前からICT施策を展開しております。地域内の基盤として、市内の公共施設、学校、医療福祉関係施設を結ぶ自営の光ファイバー網を全国の自治体に先駆けて平成9年度に整備をし、約200キロの延長を確保しております。
    次に、資料の12ページでございますが、デジタルデバイド解消に向けましても、光ファイバーと無線アクセスシステムを用いて、農村地域に所在するご家庭向けのブロードバンド環境を現在構築しているところでございます。
  次に、資料は13ページになりますが、ICTの具体的な利活用につきましても、北海道大学を初め、さまざまな機関との協調のもとに、教育、医療、安全などの社会実装を進めてきております。
  次に、資料の14ページでございます。例えばその一例でございますが、市内の小学校の全学年の希望者を対象に電子タグを用いて登下校をサポートする児童見守りシステムは、95.7%の児童に利用されておりまして、多くの家庭に安心感が高まったと評価をいただいているところでございます。
  次に、資料の15ページでは、これは働き方改革にもつながるものかもしれませんが、子育て中の女性、さらには高齢者、そして障害者の方々でも可能な在宅就業、いわゆるテレワークにつきましても、地方創生関連事業として企業側が求める技能や資格を取得する市民向けの研修会を実施しておりまして、農村地域にお住まいの方を含め、既に100名を超える方が個人事業主契約のもとに、ご自宅での可能な時間での就業が開始されているところでございます。
  そして、資料の16ページでございます。生活の基本となる健康につきましても、平成28年に全国で初となる健康経営都市宣言の認定を受けるとともに、北海道大学医学部を中心とするプロジェクト、「北海道大学COI食と健康の達人」拠点プロジェクトに参画をしながら、「人もまちも元気で健康」をテーマとした取組を進めているというところでございます。
  そして、資料の17ページからは、スマート農業関連でございます。先ほどから申し上げております地域の特性でもありますICT環境をベースに、気象など様々な先進技術、情報、ロボット技術を用いるスマート農業の社会実装に向けた取組を進めてきております。次の資料の18ページでは、岩見沢市でのスマート農業に関する取組のこれまでの経過でございます。6年ほど前より本格化したものでございまして、その起点となったのが、市内の営農者によります研究会の発足でございます。その後、営農者のニーズをもとに気象観測や位置情報に関するシステム整備を岩見沢市で行うとともに、農林水産省を初めとする国のモデル事業、補助事業等の採択をいただきながら、その具体化を進めてきております。
  資料の19ページでは、例えばでございますが、市内の13カ所に設置をした農業気象システムでは、各種データや過去データを用いて営農スケジュールの最適化に寄与する情報配信を、これは50mメッシュ単位で既に行っているところでございます。
  次に、資料の20ページでございます。資料が長過ぎて申しわけないんですけれども、現在のサービスコンテンツでございますが、米、麦、たまねぎを対象としておりますが、例えばたまねぎ生産における防除資材コストの削減など、具体的な成果も上がってきております。
  そして、資料の21ページにあるように、昨年からは、さらなる精密化に向けた取組として定点カメラによる生育監視、さらには積算気温の精密化、土壌水分量の計測などの技術検証も進めてきております。
  そして、資料の22ページでございます。トラクター走行に関する位置情報の活用についても積極的に取り組んでおります。営農者ニーズをもとに、平成25年春には、RTKの基地局を独自で整備をいたしまして、誤差3cm~5cm程度の位置情報を用いたトラクターのオートステアリング機能の実装を進めております。既に130件を超える農家が利用されておりまして、走行ラインの適正化による労働時間削減など具体的な成果が上がってきております。
  そして、資料の23ページでございますが、その資料にありますように、北海道大学大学院農学研究院の野口教授と連携しながら、ロボットトラクターの社会実装に向けた検証も進めております。同一ほ場内での有人―無人トラクターの協調作業につきましては、検証に協力する農家からも、これが発売されたら直ちに購入するという反応もいただいております。
  資料の24ページでございますが、その完全無人走行トラクター、ロボットでございますが、その実現に向けましても、昨年8月に内閣府より近未来技術等社会実装事業の選定を受けたところでございまして、北海道農政事務所にもご協力をいただきながら本格活用に向けた制度確認、そして運用の検証を進めております。
  そして、資料は25ページになります。岩見沢市では、このような取組を基礎としながら、農・食・健康の連動による地方創生を地域戦略として掲げておりまして、産学官連携のもとに関連する施策を横断的に展開をしております。
  そして、資料は26ページになります。こちらからは、農業を基軸とする地域戦略に関しまして、さらなる展開に向けた農業基盤の岩見沢市としての捉え方などについてご説明をさせていただきたいと思います。
  資料は27ページになります。まず、防災面での農業基盤についてでございます。生産性の向上はもとより、持続性確保という観点からも、農地の防災機能、あるいは事前防災機能、さらには国土強靱化に資する機能は非常に重要でございます。その際、空間的な連続性はもちろんでございますが、経年に対する継続性の確保も大切であると考えておりまして、広域的かつ継続的な防災機能として整備することが、まさに必要と考えております。
  このため、農家、自治体、さらには河川、あるいは下水道等の他の事業者との間で情報を共有し、迅速で的確な防災活動を展開するための環境形成が極めて重要であるとも考えております。また、基盤設備の経年変化への対応といたしましては、高価な、例えば大型排水ポンプ施設の低コスト延命化に向けましては、アグリトライボロジー技術を施設管理に導入しておりますが、こういった技術の農業基盤全体への展開も重要とも考えております。さらには、北海道岩見沢市は豪雪地帯でございます。冬期間や融雪期における水害リスクへの対応についても十分な配慮が必要と考えております。
  次に、資料の28ページでございます。環境機能でございます。化学肥料や化学合成農薬に頼った農業体系は、地力の低下、さらには生物の多様性を発揮しにくい環境を生み出しておりますので、やはり農業のベースは土づくりであり、大区画化などの整備事業はもちろんのこと、先ほどご紹介いたしました資源循環型農業などの普及により、地力の向上につながるものと考えております。また、従来型の堆肥と下水由来肥料の併用によりまして、土中での腐熟も進み、温暖化ガスの発生を抑制しながら、炭素を土壌内に貯留するとも考えております。水田環境鑑定士によりますと、下水由来肥料の堆肥を用いた水田では、水生生物の多様性も確認をされたところでございます。例えば資源と生き物の新たな循環体系を構築して、農村と都市の循環体系をもとに、農村の新たな付加価値の経緯につながることも期待をしているところでございます。
  資料は29ページでございます。最後に、スマート農業に関する基盤についてでございます。当市はもとより、日本農業の持続性確保におきましては、スマート農業の社会実装は不可欠なテーマであり、その基盤となる農地でのブロードバンド環境の構築は重要であると考えております。当市の事例を掲載しているところでございますが、残念ながら、農地へのブロードバンドサービスの環境は極めて脆弱でございます。例えば農家への光ファイバー、FTTHサービスは経済性から困難でありまして、また、ほ場におきましては、一般的なLTEサービスでさえも難しい、厳しいエリアが所在しているのが実情でございます。しかしながら、通信事業者独自による環境形成にも限界がございます。このため、これからの農業基盤という観点からも、農地におけるブロードバンド環境の形成につきまして、公設民営型の整備スタイルを含め、ぜひご検討いただきたいとも考えているところでございます。
  次に、資料の30ページでございますが、当市では、スマート農業の社会実装に向けまして、先ほどご紹介いたしました光ファイバーと、これは無線アクセスシステムを併用したブロードバンドサービス、このさらなる展開といたしまして、本年度よりほ場をカバーする超高速ブロードバンド環境整備を開始しております。地域LTEとしてのBWA、さらには5G等による環境形成を通じ、ロボットトラクターに不可欠なテレメーター、テレコントロール機能が地域に実装されるとともに、農村地域の維持活性化、不可欠な社会基盤が産業政策として、また地域施策として構築されるものと期待をしているところでございます。
  資料の最後のページになりますが、31ページです。農業分野におけるスマート化は、管理作業のみならず、営農計画策定から整地、収穫、出荷など、全ての作業の効率化に寄与するものでありまして、そういった一連の作業工程を1カ所で可視化できるモデル構築によりまして、経済評価も含めスマート農業の具体的な普及実装が加速するとともに、農村地域の持続性確保の面におきましても非常に重要な社会基盤になるものと考えております。
  岩見沢市としては、地方創生に向けた重要施策として、引き続き取組を進めてまいる所存であり、今日を契機に皆様にご指導、ご支援を賜りたいと考えております。
  どうもありがとうございました。

渡邉部会長
  どうもありがとうございました。
  様々な取組をなさっている中で、特にICTの利活用の最先端の取組を中心にお話しいただいたと思います。
  先ほどの藤井先生のお話の文脈から言うと、国土強靱化そのものと考えられる取組みの話もたくさんあって、藤井先生が今後どこかで事例としてご紹介になるのではないかというような話がたくさんあったと、私は伺いました。
  それでは、委員の皆様からご質問やご意見を伺いたいと思います。
  では、長谷川委員、どうぞ。

長谷川臨時委員
  お話、大変ありがとうございました。最先端の農業をこういう形でやっているのだなということで、将来、強い農業を考えていく上で非常に参考になるお話だと思って伺いました。
  そこで、お伺いしたいのですが、農業農村振興整備部会で去年の秋に現地視察をやったときもお話を聞いて感じていたことですが、最先端の農業をやっているところでさえ、例えば10年後を見据えたときには担い手の不足をどうやっていくのかということが問題になるという話も聞きました。
    それで、岩見沢市でどうなのかを見させていただくと、3ページのところに就業人口の平均年齢の推移が書かれてありまして、高齢化が進んでいることは確かなんですけれども、お話の中で直近だと横ばいになっている、57.0歳になっているというお話がありましたけれども、これは様々な取組をする中で、いわゆる高齢化であるとか担い手の不足であるとか、その種の問題についてはかなりの程度緩和されてきた、よくなって改善されてきたと理解してよろしいでしょうか。
  例えば新規就農の支援の話が9ページにも記載されておりますけれども、例えばこういう新規就農を希望する若い人達が、実際つくかどうかはともかくとして、希望者が増えているだとか、実はそうでもないだとか、その辺の現状については変化はどうなんでしょうか。あるいは、まださらに改善すべき点があるのだとすれば、どういう点があるのか。その辺についてお話を伺えるでしょうか。

渡邉部会長
  では、松野さま、お話しいただいてよろしいですか。

松野岩見沢市長
  ありがとうございました。
  高齢化等が改善されるのか、そういう見通しはどうかというようなことも含めてのご質問がまず第1点にあったかと思います、1つは岩見沢の場合は、経営面積が現状で今20haぐらい、そこで1戸の農家が離農すると、その20haの農地をどうするかという議論になります。岩見沢は、今現状では、水田の耕作放棄地は、ほとんどありません。地域内の農家の方でほぼ吸収しています。
  となると、必然的に経営面積を拡大しながら土地利用型農業を継続していく。その際には、経済性と収益性もそうですし、要は効率化を図っていかなければならない、省力化もしなければならない。となると、どうしても必然的に機械をどう活用していくのかという議論に行き着きます。
  今、岩見沢で40代前半のまだまだ若手のご夫婦がおりますが、二人で50haを、このを使って営農しているケースもあります。ですから、産業としては、実は農業というのは、これから高付加価値化も含めて省力化をしていくということは、やっぱり必要になってくると思います。ですから、そこで人口を吸収するといっても、効率化を高めていく以上は、人手は少ない中で営農していくという一つの宿命を持っています。
  ですが、多様な農業がありますし多様な働き方があるので、そういった意味では新規参入とか、特に岩見沢の場合はUターン者が多く、そういった方が三大都市圏等で働いた方が戻ってきて、今、営農で、むしろ勤務するよりは自分で農業を継いだほうが楽しい人生が送れると思っていらっしゃる方もそこそこいらっしゃるでしょうけれども、ただ、全体としては人口減少しておりますので、農業人口がこれ以上増えるのかというと、減ってくると思います。減った中で、農業と農村をやっぱり維持しなきゃならない、そのうちの一つが、こういう方向性だと私どもは理解しています。
  それから、新規就農者を増やしたいと思っていますし、おそらく道内のどこの自治体もそうだと思っていますけれども、そうかといって、新規就農者がいきなり増えるわけではありません。国の制度も使いながら、おそらくどこの自治体でも独自の制度を付加しながら、新規就農者の確保に努めているのでしょうけれども、ただ、こういうスマート農業などに取り組んでいると、例えば農地の法人化、大経営化が進んだ場合に、そうすると、勤労者として農地に従事するというような考え方も出てきますので、そういった意味では、個人で営農をするといったときに、ミニトマト、あるいはきゅうりなのか、そういうハウスでの高収益作物を使って栽培するというような農業とは違うやり方の選択肢もあると言えるかと思います。
  以上です。

渡邉部会長
  よろしいですか。
  では、ほかにいかがでしょうか。
  では、森委員、お願いします。

森臨時委員
  部会長に確認しておきたいのですが、資料4にあります農業生産基盤の整備状況については、農水省側から今日は説明がありますか。

渡邉部会長
  はい、後でご報告いただきます。

森臨時委員
  そうですか。では、それに絡めた質問は後ほどさせていただきます。
  藤井先生、松野市長、大変勉強になるお話をありがとうございました。
  岩見沢の事例を伺いまして、思った以上に、市民生活にICTを活用しているということがわかって、心強く思いました。
  松野市長の後押しをするような発言になるかもしれませんが、岩見沢市がある空知地方という地域では、全体的に大区画化がかなり進んでおります。昨年、私は国営事業の計画でいろいろ視察しました。大区画化、あるいは地下かんがいシステムが整備されたほ場を見ました。それから水の管理のシステムが先進的に変わり、それを導入したことによって担い手が戻ってきた例をたくさん見てきました。そういう心強いお話をさらにしていただければ、藤井先生が提言されていらっしゃることの裏打ちになると思います。北海道には事例が本当にたくさんあるので、紹介していただきたいなと思いました。
  言いたいことがほかにあったんですけれども、資料4の説明の後に言わせていただきます。
  ありがとうございました。

渡邉部会長
  では、後ほど改めてご発言をお願い致します。
  では、松田委員、お願いします。

松田臨時委員
  市長のご説明、大変ありがとうございました。
  私も秋田県美郷町という自治体で同じ立場ですので、規模の大小の違いはあるにせよ、これだけすごいことをやっていることに敬意を表したいと思います。
  農業の部分については、北海道の農業経営規模は一般的に大きいということは承知していますが、この資料を見ますと、やはり岩見沢の平均経営規模というのは、多分、秋田県の平均経営規模の10倍ぐらい大きいのだろうと思います。
  そこで、今展開なさっているICT活用等の取組が、この規模だからできるということなのか、この規模ではなくてもできるものというものなのか。市長のお考えはいかがなものでしょうか。また、当然、システムを導入する場合、イニシャルコストとランニングコストの両方が必要なわけですが、今の状況において、農家が負担、つまり利用者が負担するランニングコストに対する状況をお教えいただければと思います。

松野岩見沢市長
  確かに、岩見沢はもともと、近隣の自治体と比べて岩見沢が経営面積が大きいかというと、そうでもありません。大体平均並み、平均より少し上かもしれませんが、経営面積よりも、こういう技術の能力を発揮するためには、先ほども資料の7ページでも申し上げましたが、例えばロボット農業の展開には面積で50a以上、最低でもそれぐらいはなければなりません。それ以上であればいろいろな機能の発揮の仕方があると思います。
  それから、今は国営農地緊急再編事業などでも岩見沢市でも採択いただいて目指しているのは、高収益の野菜を作るとか、いろんなやり方を考えているんですけれども、より効率的になるのは、確かに区画が大きいほうが効率的になるかもしれませんけれども、この技術の導入については、一定規模の面積以上であれば十分できると思います。
  それから、一定のコストがかかるわけです。そのコストについては、これからいろんな、おそらく農業の取組方が出てくるだろうと思います。私どもの地元では、例えばコントラクターという考え方があります。農作業を請け負う法人のような組織がありまして、実際にそこでは農地の所有と農作業は全く分離した形で経営効率を上げる。昔の機械利用組合のもっと企業版のような形です。
  いろんな農家のやり方があると思います。ですから、トランスボーダーファーミングとかと、いろいろ議論を呼んでいるところもあるかもしれませんけれども、いずれ農地の所有と、それから農作業は、もっとスリム化していく可能性もあります。そうなると、できるだけその規模が大きいほうが効率はいいに決まっています。そうではなく、きちっとした生産性の確保はできるでしょうし、もっと農業自体はいろんな作物も含めて多様性があっていいと思うので、それに応じたやり方というのはあると思います。
  たまたまトラクターでロボット農業をやっていますけれども、ほかには例えば果物とか、そういう適否を見極める等、いろんな農業があると思っています。
  それから、今、私どものGPSのRTKの補正局を市内に3局、私どもで作りました。それを受信するのは、受信装置と、それからオートステアリングを組み合わせると今セットで200万円ぐらいかかります。ですが、当然のことながら、私どもはそれに一定の助成を出して導入を進めています。これを入れることによって、作業負担が抜群に軽減されますので、そういった意味では、十分イニシャルコストについては農家の方の経営努力で賄えると思います。1年とは申し上げませんけれども。
  それから、ランニングコストについては農家負担で行っておりますので、むしろ、そちらの物材費等も含めてコストの低減が図られますので、それで大体吸収していくのだと思います。
  それから、今、ロボット農業、無人トラクターの分野に関しては、岩見沢市内の一定のエリアでSIPの中で実証実験をやっています。もちろん機器として、もともと実装した機器として安い価格で販売できるというようなことも目指しての取組でもあります。それは今後、それこそ需要次第というのもあるのかもしれませんけれども、その需要も強いと思っています。

渡邉部会長
  よろしいですか。
  ほかにいかがでしょうか。
  では、西尾委員。

西尾臨時委員
  西尾と申します。
  今日は本当にありがとうございました。多様な先進的な活用の仕方を教えていただいて、大変勉強になりました。
  こうしてICT、IoTを使って、農家だけでなく一般の住民の方も含めた活用をされているところは、すばらしい取組だと思いました。この部会の中でも議論されていることですが、今後、少数の農家が多くの農地を所有することになって、少数の農家と多くの非農家の住民という構図のなかで、国土を守るという考え方を一般市民にまで涵養していくという取組はどのようにしていらっしゃるのか、教えていただければと思います。

松野岩見沢市長
  経営規模の大小等いろんな課題は確かにありますが、私どもが最終的にスマート農業として先にバックキャスティングといいますか、むしろフューチャーフローなのかもしれません。思い描く先というのは、例えば地域全体が生産体みたいなことも何か構想できないだろうかと。
  例えばそこで働く農業者の方の研修会を開いたり、そこで農作業を一面的に展開できないかとか、あるいはそこで6次産業化、もしくは加工、販売まで向けた、そういう一定の取組ができないかとか、確かにおそらくある一定のコストもかかってくるとは思います。決してそれは大きいからできる、小さいからできないということではなく、その特性に応じたやり方というのは、必ず知恵を出せばあると思っています。
  むしろ、小さいがゆえにできることと、大きいがゆえにできないこと、メリット、デメリットはやっぱりあるので、そこは現実に合わせて取捨選択するしかない。というのが率直な思いです。
  ただ、夢は持っています。農地であってもスマートシティーがあったっていいのではないのかぐらいの、そういう夢を話したりはしますけれども、そういう感覚もあってもいいのではないかと思ってはいます
  少しお答えになったかどうかわかりませんけれども、すみません。

渡邉部会長
  よろしいですか。
  では、安藤委員、お願いします。

安藤臨時委員
  ありがとうございました。
  北海道は構造政策の優等生として、都府県の将来の姿をある意味で先取りしていると思って話を伺わせていただきました
  こうした効率的な農業経営は、都府県でも平場の水田地帯でも展開し、同様の問題が生まれると思っています。伺いたいのは1点だけです。
   ほ場内での作業については、かなり効率的な作業が実現されていて、理想的な状況が生まれているとは思いますが、スライドの27枚目のところでも指摘されていますが、農地保全活動の継続性が問題として残されていると考えます。
  今の西尾委員からの質問とも関わるかもしれません。結局、ほ場内での作業、機械作業についてはかなり効率的にできるようになりますけれども、あぜの草刈りとか水路の清掃といったものについては、最終的には人力が必要になってくる状況に基本的に変化はないと思います。北海道ではそういう問題はクリアできているのかどうなのか。クリアするために何らかの生産基盤の整備がされているのかもしれませんが、この問題がクリアされているとすれば、それは都府県でも適用可能になってくると思います。
  この地域資源の維持管理活動は、非農家の協力や、ある程度の頭数がないと維持できないのか。それともそうしたものがなくても可能なのかどうかによって、人口減少社会において、農村地域の資源をどう維持していくかということにとって、決定的に重要な論点になると思います。それだけに構造政策の優等生、最先端を行く北海道で、この問題がクリアされているか否かということについて、お伺いしたいということでございます。
  以上です。

渡邉部会長
  では、松野さまよろしくお願いします。

松野岩見沢市長
  確かに、ご指摘のとおり、人力が少なくなってきている。ですから、あぜの草刈りや排水路の草刈り、そういったことに対して、人力では今のやり方が厳しいのが現状です。
  そこで今、そこを一気に機械化する何とかという議論は先に置きまして、今、岩見沢市では、多面的活動組織の広域化を目指しています。そこに一定の人材を集中して、そこで活動ができる。そういうことも踏まえて、活動組織の広域化を立ち上げていこうと考えております。
  ご指摘のとおり、現状のままでは担ってくれる方がいなくなってきているという課題は聞いています。その課題に現実的に応えるために、30年度、31年度の2カ年で、取り組んでいるところです。

渡邉部会長
  よろしいですか。
  ありがとうございました。
  では、平松委員、伺いましょうか。端的にお願いします。

平松臨時委員
  スマート農業に関して、非常に先進的な取組をなさっておられて、驚きをもって聞かせていただいた部分もあり、大変興味深く聞かせていただきました。ありがとうございます。
  こういったスマート農業は、高齢の方にとって若干ハードルが高かったりしますが、高齢化率が34%程度、そして平均年齢が57歳程度というお話を先ほど伺ったところですけれども、こういったスマート農業に対する高齢の方の反応というのはいかがなものでしょうか。世代別の反応というお答えでも構いませんし、また、そういった高齢の皆さんに、こういったスマート農業を普及させるために何か取組をされているかどうかをお聞かせいただければと思います。

松野岩見沢市長
  高齢だからなかなか取り組まないとかというような傾向にはないです。
  岩見沢市のもともとのICT農業利活用研究会という任意団体を、90戸程度農家の方で平成25年に作っていただきましたが、そのリーダーシップをとった方は65歳を過ぎた方でございます。65歳というのは、まだまだ人生100年とすれば、はな垂れ小僧世代かもしれませんけれども。平均年齢が上の方。そのメリットさえわかれば、年の若い、一定の年齢というのに区別なく、営農に直接携わっている方であれば、そのメリットさえわかれば難しい技術ではないので。若い方でも、やはり不得手な方もいらっしゃるので、そこは研修会を開くことにしています。そこのICT利活用研究会という組織の中で、それを目指す方に対しての使い方も含めた研修会です。ですから、それで十分対応できるということで、裾野が広がっていく、一定のコストもイニシャルコストに対する啓発にもなるといいますか。ですから、年齢は関係ないかと思います。

渡邉部会長
  よろしいですか。ありがとうございました。
  予定の時刻になりましたので、松野市長のお話はここまでとさせていただきます。ありがとうございました。
  先ほど申し上げましたように、この後、お二方のお話を踏まえて意見交換をしたいと思いますが、その前に10分間休憩したいと思います。
  一休みさせていただきます。よろしくお願いします。
14時35分  休憩
14時45分  再開
渡邉部会長
  それでは、再開させていただきたいと思います。
  先ほど申し上げましたように、これからは自由な意見交換ということで、お二人のゲストスピーカーのお話を踏まえて自由に意見交換をしたいと思います。
  まだ、多分ご質問もあろうかと思いますが、質疑応答も含めて、また質疑応答を超えて意見交換ができたらと思います。ご出席の農村振興局の幹部の皆さんも、適宜ご遠慮なくご発言いただけたらと思います。
  それでは、特にテーマや視点を限らずに意見交換していきたいと思いますが、どなたからでもご発言いただきたいと思います。いかがでしょうか
  では、横田委員、お願いします。

横田臨時委員
  茨城で米農家をやっています横田と申します。
  藤井先生、松野市長、非常に貴重なお話をありがとうございました。
  お二方にそれぞれご質問させていただきたいのですが、藤井先生のお話は本当に感銘を受けました。今日の部会とそれてしまうかもしれませんが、これは農業農村振興整備部会ですから農林水産省の中の話をします。先ほどのアンブレラというところは、農業だけでは解決できない、ほかの分野と一緒に解決していかないといけない問題も、私は農業の生産現場にいて大きいと感じています。
  我々が我々でできることは当然やるべきで、それもまだまだやることはたくさんあると思います。当然我々だけでは解決できない、ほかと一緒にやっていかなければいけない部分を、どういうふうに協調というか仕分けというか、一緒にやっていくことだと思います。先ほどの例えば情報戦のような話は、むしろ農業から、その場合どんどん発信していかなければならない部分だと思いますし、そのところをどううまく戦略的にやっていくことがいいとイメージされているのかをお聞きしたいと思ったのが、まず藤井先生へのご質問です。
  それと、少し関連するところもありますが、松野市長にお聞きしたかったのは、私は岩見沢市の取組に大変感銘を受けて、先ほどのお話の中にもありましたが、生産者の中でICT農業利活用研究会、最初に90戸ぐらいの方で始められたというのが、一番の肝かなと。
  というのは、仕組みを用意しましたから農家の方どうぞやってくださいというのではなくて、農家の方がこれは自分達で使いたいという意欲でどんどん集まってくる、人が重要だと。そういう意識を持っている方が、これだけたくさんの方が最初に立ち上げて、どんどん積極的に活用していくことが非常に重要だと思っています。
  当然インフラが整っていなければいけない一方で、それを使ってどんどんそこで成長していきたい、もっとよくしていきたいと思う人が同時に存在していないといけなくて、そういう素地みたいなものが地域の農業者の中に、もともと別にあったのか、どういう背景でそういうものができてきたのかを、これはお二人のお話を伺いながら、僕は絶対に人だと思っています。それは農業者自身もそうですし、関連の人達も含めて、何かそういう視点でお二人からそれぞれ質問に答えていただけたらと思います。

渡邉部会長
  ありがとうございます。
  ご質問なので、お答えいただきましょうか。よろしくお願いします。

藤井京都大学大学院工学研究科教授
  ご質問どうもありがとうございます。
  先ほど情報戦争という言葉を使いましたが、手短に申し上げますと、この言葉を使い出したのは去年からです。なぜかというと、去年フランスの大統領候補のアスリノさんという右派の反グローバリストの方がおられて、もともと高級官僚でした。高級官僚を辞めて政党を立ち上げてずっと頑張っている方です。彼が日本に来たときに、二人でいろいろと議論しているときに、彼曰く、もうメディアは完全にEU推進派に牛耳られていて、EU推進派は10人の大金持ちがいるらしいのですが、その10人の大金持ちがフランスの言論空間を全部支配しているんだよと。だから、SNSでいくしかないから、僕らは10年ずっとやってきて、最近ようやくSNSで広がってきてメディアも無視できなくなってきたんだよというおっしゃっていまして、ああなるほどなと。
  その彼が、「情報戦争」という言葉を使ったんです。日本でどうやら、そういう「情報戦争」をやっているのが藤井らしいので、わざわざ僕に会いに京都に来てくれたとのこと。それで、「そうか、これは情報戦争なんだ」と、僕は改めて思った。そこで情報戦争という言葉を思いました。
  では、改めて情報戦争という言葉を使って、どういうふうな戦略を考えてきたかというと、やっぱり何よりも大事なのは学問だと僕は思います。学問のアンダーピニングがない言論というのは、糸が切れたたこのようなものなので、それこそ新自由主義とか新古典派とかで経済理論とかケインズだとか、それからやっぱり哲学だとか、それから文学だとかで、あと民俗学だとか、そういうものを学者として言論人というのはしっかり教養として持つことがとても大事だと思います。そのアンダーピニングの上にいろんな言論活動が大事になってくると思います。
  言論活動として僕が明確に始めたのは、このままでは日本が潰れるなということを確信しましたので、これは学会の中で学問をしていてもしょうがないということで、表に打って出ようと思いました。
  業界紙等にいろいろ書いていましたが、一番最初に僕がやった方法は、新書をメジャーなレーベルから出すという方法です。これは学問とジャーナリズムとのちょうど間になりますので、新書という作戦は今の「情報戦争」にとってすごく重要になると思います。新書を出すと、それをいろんな方が見るので、政界の方もそれを見ますし、テレビの方も見ましたし、新聞社も見たということで、いろんな方とつながることができます。この新書を軸に、いろいろと世界が広がっていきました。
  したがって、アカデミズムをベースに言論を展開していくという態度がとても大事だと思います。アカデミズムから言論・ジャーナリズムまでいくと、ポリティクスまでもうすぐですので、そうなると、いろんな政党の方とも意見交換ができて、その中で内閣官房参与に指名されたりということにもなってきます。
  学問で1つ忘れてはならないのは、これは机上でやっていてもしょうがないので、学問は徹底的に現場と机の循環をすることがとても必要だと思います。そういうものをやっぱり10年、20年、30年蓄積があれば、表に出したときに人の一定のものを動かすことができるようになると思います。
  あと、言論の細かいところで言いますと、新書を出すと、基本的に先ほど申し上げたようにいくつかつながってきます。いろんなメディアで書いたりすることにもなりますし、それを見ている人からテレビのレギュラーになっていったりしていきました。
  そこで重要になってくるのは、有名なジャーナリストにご理解いただいて、正しい情報を広めてもらうようにする。ですから、有名な方にしっかりとした正しいことを教えていくことが、すごく大事です。その範疇に政治家の方も入ります。有名な政治家に正しい話を伝えていく。そのときに、やはり誰でも人間なので、きちんとした深い学問があれば、その情報が「正しい」ものであれば、センスのいい方は多分変わっていくと思います。そこで何と戦っているかというと、「おカネ」の論理です。つまり向こうは、「おカネ」の理論でやってきて、「論理や正しさ」がなくても「おカネ」があるので世論を動かせるところがある。一方で、我々は「おカネ」でいったってたかが知れているので、「真実の力」で戦うしかもうない。
  当然、「おカネ」の力のほうが強いので「おカネ」を持つ側の人々のほうが勝っていくことも多いわけですけれども、「真実の力」で展開していくのが大事だなと。当然ながら、様々な権力だとかお金だとかはとても大事ですから、そういった方とつながっていくのもとても大事ではありますが、最初は「真実の力」が何よりも大切。
  さらに申し上げると、今、私がやっている活動の中で重要なのは、西部邁先生という僕の師匠がいまして、東大の先生で、亡くなったので引き継いだのですが、雑誌をやっていまして、その雑誌を自分で編集するということで結構大きな言論空間を作ることができ、それを1回作ると、いろいろな人を呼んでいろんな人とつながりができ、今言ったような言論やポリティクス、アカデミズム等の交流が増えて、言論空間が広がっていくということがあります。
  その中で僕は毎号、農業ページを設けて、毎号必ず農業についてどなたかに書いていただくということをやっています。ぜひいろいろな方に書いていただきたいと思います。そうやって、お金がなくて向こうはおカネがあるという話ですから、それでも気合いで何とかなるという部分があります。そこでやっていくしか仕方がないというイメージであります。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  森委員、松野市長には少しお待ちいただきたいと思います。今の話題について一言申し上げますと、藤井先生の話の途中で、新書や雑誌、そういうメディア、方法を使ったやり方で、また途中にもSNSの話も触れられましたが、いろいろな立場でいろいろな形での情報の発信が必要だと思いました。委員の皆様はいろいろな立場の方がおられるので、委員の方から今の情報の発信についてご発言があったらお願いします。

染谷委員
  本当に今日はいい話をたくさん聞かせてもらいまして、ありがとうございます。
  情報戦争ということで、お聞きしたいことがあります。自分も20年、30年も前になりますが、ある評論家が、都市近郊で米や野菜を作っているから宅地が高いのだ、農地を潰せば宅地が下がると言っていました。それとまた、農産物を輸入すればもっと物価は下がるとも。その評論家を地元の商工会議所に呼んで講演会をしました。そして、その後、当時の会頭と行き会ったときに、自分が農業をやっていることを知っていて、あたかも簡単に言ってくれました。要するに、農産物は輸入したほうがいいと。農地は潰したほうがいい。そのときに感じたのは、有名な評論家が言えば、誰でもそうだ、そうだとなってしまうのだなと。これはもう世論作りをしていると感じました。
  先生の情報戦争のことかと今感じていましたが、ただ、やはり自分達はそのままで、それでいいのではなくて、それに自分も反抗しなくてはいけない。できるだけ自分も話をする機会があれば、そういうことを覆すようなことを話して理解してもらっています。農業は大事なものであって、私は柏に住んでいますが、柏の農業は産業の中でほんの一部でしかありません。しかし都市近郊でも農業は大事なものであって、そういうことを市民に訴えています。
  また、これは子供のころ聞いた先生の話ですけれども、これはイギリスのことを言っていました。イギリスは工業国として発展している。食料、農業は海外に依存している。それが先進国だと、その先生は教えてくれました。しかし、イギリスは今、自給率をどんどん上げています。そういう中で自分達は今の子供達に、先生がそういうことをもし教えるのであれば、子供達にも食の大切さをいろいろな形で伝えていかなくてはいけないと、そう感じています。
  それで、できれば先生に、こうしたほうがいいというものがあれば教えてもらいたいです。

渡邉部会長
  藤井先生、少しお待ちいただいけますでしょうか。
  他の委員の方から、今のいろいろな形での発信、いろいろなターゲットに対しての発信ということについて関連して何かご発言はありますか。よろしいですか。
  では、藤井先生、お願いします。

藤井京都大学大学院工学研究科教授
  いろんなやり方の中で、ついつい我々がすぐやってしまいがちなのは教育界へのアプローチで、それも我々はやろうとはしましたが、これはもう非常に難しいところで、僕は社会科教育学会にも入っていて、いろいろと賞とかいただいたりしたこともあるんですけれども、重要なのは「大人の空気」を変えることだと思います。
  だから、教育のためにも、大人同士の言論戦が大事。僕も評論家達とのいろいろな分野でのいろいろな戦いがありますが、そのときに私自身、工学部ですので、データのセンスが、恐縮ですけれども、普通の文系の方よりはデータの解釈とか扱いが得意というか、慣れているところがあって、そこで大体論理や実証の点で圧勝することが可能になります。そういう意味では、有名な経済学者でも何人も論理や実証、つまり「ロジック」の点で「勝利」してきたことがありますが、ただ、彼らは「レトリック」を使って民を惑わすことをしますから、そこで負けることはあります。が、ただ論理・ロジックで負けていると、論理・ロジックとレトリックでどちらも負けることになって、そうなると絶対に負けることになりますから、レトリックで負ける前に、まず論理とデータと実証で勝つことがすごく大事です。そういう意味で例えば、先ほどの僕の原稿の16ページに書いた農民所得に対する国費の割合のグラフは非常にわかりやすいグラフですので、このグラフ1枚だけで徹底的に戦えるところがあると思いますから、そういう意味で、このグラフを活用するというのは一つのある種のレトリックになっていくとは思います。
  だから、論理とデータをきちんと身につけた後は、どうやって彼らのレトリックに勝つかという方法を考えていくことが大事になるんだろうと思います。そこまでいくと、仲間をどうやって増やしていくのか、テレビの地上波にどう乗せるか、そういう作戦が次に出てくると思います。

渡邉部会長
  関連して発言させていただきます。
  藤井先生は、先ほど、ちゃんと中身があれば相手がわかるという話をされ、それから今日、何度も強調されたEBPMにおけるエビデンスに基づいているということがポイントだと思います。
  その中で、先ほどのお話の中で学や机と現場とのやりとりを話されましたが、その役割について一言ご発言いただきたいと思います。この分野に一番関わっているのが農業農村工学会だと思いますが、今年その創立90周年です。そういう中で、こうした分野の学や学会の役割、情報発信に関する学の役割などについて、考えておられていることがあったらお話しいただきたいと思います。


藤井京都大学大学院工学研究科教授
  例えば、私はいろいろ学会に属していますが、学生のころから属していた土木学会というところがあります。学会は、少し批判的なところから、かつ、学会の重要性も申し上げたいと思います。批判的なところから申し上げると、学会はどうしても論文生産とプロモーションのための場になってしまっていて、現場の学問であるにも関わらず、土木工学というのは農業の工学とも同じで、現場のためにこそあるものだけれども、何かある種、現場とつながっているふりをしながら遊離をして、何かいい論文で認められたい若者が何か認められるために何かやってみる、みたいなことに、大体どこの学会もなって、心理学会も経済学会も土木学会も教育学会も、もうどこへ行ってもそうです。僕は、最近はほとんど学会に行くのも止めていますが、そういう意味で、学会もいわゆる学問的ニヒリズムで廃退してしまっている、というところがあると思います。
  その一方で、知というものは最大の力を持つものですから、学会というのは、それはそれで大事で、そういう意味で学会を改善するという活動もしたり、あるいは学会という場をうまく使っていろいろと情報を社会にメッセージを発信していくことはすごく大事になるのではないかと思います。
  土木学会の点で1個だけ申し上げると、ちょうど僕とずっと仕事をしている元国交省の技監という、事務次官の次のポジションにおられた大石久和先生が土木学会長になられたときに、先生と相談をして、本気で南海トラフ地震が来たときに何兆円の被害があるのか計算をしましょうということと、土木というインフラが歴史においてどれだけ重要な意味を担ってきたのかということを、我々の視点から徹底的に研究しましょうという2つのプロジェクトを1年間限定で立ち上げて、両方とも出版して出しましたけれども、前者に関しては、これはNHKにもずっと報道されましたし、今の国土強靱化の流れを変えるほどの大きなインパクトを学問として出すことができました。
  後者の物語化に関しては、残念ながら、本は売れなかったのですが、多くの知識階層の人がその本を読んでいただいて、歴史というものはやっぱりインフラを見ないと語れないという教養が一部において広がりました。
  この2つを大石久和単名、あるいは藤井、大石だけの連名の研究成果として発表したところで、誰も見ないところを、こういう学会としてちゃんと皆さんの意見をまとめながらやったということで、学会は一つの大きな力になりました。
  このときに我々が参考にしたのが、アメリカ土木学会です。彼らはしょっちゅう中央政府に対していろんな建白書と言いますか提言を出して、かつそれがリアルに、本当に役に立つ、また何か学者の先生が言っていると言われるのではなくて、本当に意味のあるものを出している。したがって、学会という場をしっかりと使えば、一個人のプレーヤーがどれだけ頑張ってもできないことができますので、ぜひ行政、あるいは政治を本当に動かすような提言というものをされる力があるのが学会だと思いますので、ぜひ頑張っていただけるとうれしいと思います。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  農業農村工学会も、藤井先生が最初におっしゃったように、学や学会のあり方の今の課題を整理し直していて、会員の多くは技術者の方なので、農村振興局にもご支援いただいて、さまざまな取組をしているところです。
  自由な議論をと言いながら、私の関心に少し議論を引きつけてしまいましたが、先ほどの横田委員の2つ目の質問に戻りまして、北海道での背景やリーダーシップの組み立てなどについて、松野市長にご説明いただきたいと思います。

松野岩見沢市長
  横田委員にお答えします。
  今、私どもの前提としている技術は、例えばGPSを使ったトラクターの自動走行だとか、それからオートステアリングというのは、もともとアメリカの技術で、その技術自体は珍しくはありません。しかし、アメリカでは、そういう農業を展開していることを知って勉強している農業者の方が、岩見沢にいらっしゃいました。
  その前に、畑作と水稲の気象状況によってはいろいろな課題、現象が発生します。それを岩見沢市はICTを使って、例えば市内に200kmぐらいの自営の光ファイバー網を持っていますので、そこの末端で農地の中にも入っていますから、そこに気象ロボットを設置することによって、岩見沢市内のもっと細かく気象条件がわからないかというご提案があったのが平成25年度です。
  気象ロボットを展開し、その後、農家の方の提案を受けたのがアメリカでやっている技術の誤差が大き過ぎて展開できないので、岩見沢市で、RTKの補正基地局を市内で3カ所作ってくれないかと。そうすると誤差3cm程度で恐らく駆動できるはずだということで調査をして、3カ所でほぼカバーできるといって始めたのが岩見沢市のスマート農業の始まりです。
  戦略としては、岩見沢市は農業者ファーストです。ファーマーズ・ファーストともいいます。ですから、例えば行政のほうでパッケージとして、こういうことをやったらこういうメリットがあります、ぜひ手を挙げませんかということではなくて、農家の方が岩見沢市の情報基盤を使ってこういう情報を取りたい。そのためには、こういうことを行政ですれば、こういうことが実現するねと。そのことに対して有償でサービスするよ。そういったものが、まず気象情報であって、それからスマート農業、ICT農業です。
  岩見沢市はどちらかというと、ビジネスモデルのような展開の仕方です。もともとある技術をいろいろビジネスモデル化をして、より機能を高めていく。ですから、農業者ファーストでその利活用、ICT農業利活用研究会の事務局は、実は農協にしてもらっています。農業団体としての機能もしっかり果たしてもらいたいということで、農協に事務局になってもらったと。ただ、共通するのは、農業者ファーストです。
  これは余談になりますけれども、昨年6月に北海道大学でロバスト国際農林水産工学学会キックオフフォーラムがありました。オランダからワーヘニンゲン大学のフードバレーの本場の教授の皆さんもたくさんいらして、岩見沢も見ていました。オランダのワーヘニンゲン大学の先生も言っていましたが、オランダは徹底したファーマーズ・ファーストなんだと。ファーマーズ・ファーストをもとにして、いろいろと政策と事業を組み合わせていくんだと。ただ、オランダも北海道、日本と同じように高齢化が進んで農家人口が減少していく。同じ課題があるから非常に興味深いんだというようなお話をしていました。これは世界共通の傾向だと思います。
  そういうことなので、岩見沢市はファーマーズ・ファースト、農業者ファーストが唯一の戦略と言えるのかもしれません。
  以上です。

渡邉部会長
  よろしいですか。

横田臨時委員
  もう少し、すみません。
  何でアメリカの農業に関心があった方がいらっしゃったのですか。何かそういう素地があったのでしょうか。たまたまかもしれませんが、市長のリーダーシップもあったと思いますけれども。

松野岩見沢市長
  いくつかの要素があったと思います。もともと、その農家の方が非常にそういう農業の未来に対して、先駆的にいろいろとご自分でも勉強なさっていたと。アメリカではできるのに何で岩見沢はできないのだろうということに、歯がゆい思いをなさっていました。それから、岩見沢市のICTの取組は、二十数年前から取り組んでいます。例えば教育の事例を先ほど申し上げましたが、どちらかというと、市民生活の質の向上分野については、ある程度、比較的早く取組はできていたんです。ところが、地域経済の活性化、要は産業面での実装はずっとできていませんでした。それをICT基盤のメリットを活かすためだと思ったのが、農業でした。そういう提案をいただいたと。
  農業が一番機能をフル活用できる。なおかつ、地方創生で総合戦略を各自治体で作られる。私も政策投資銀行と連携しながら分析をし、いろいろやりました。そのときに人口が減るということは、社会面と、それから経済面でいろいろなデメリットがあり、そのデメリットを解決するには、岩見沢のICT基盤を使い倒さなければもう無理だろうと。その項目の一つに農業を位置付けて、そこに集中的に投資をしていったということです。
  以上です。

渡邉部会長
  よろしいですか。

横田臨時委員
  ありがとうございました。

渡邉部会長
  ほかにいかがでしょうか。
  では、平松委員、どうぞ。

平松臨時委員
  今のお話に関連してです。私は九州大学ですが、周りの農家の皆さんのICT化にも積極的に大学として支援しているところです。岩見沢市の場合は、近くに北海道大学があって、野口教授が一番積極的にされているのだろうと思いますが、そういった研究機関との連携が果たした役割というのはどんなものなのでしょうか。お聞かせいただければと思います。

松野岩見沢市長
  アカデミズムの果たす役割は、とても大きいです。私どもは先ほど申し上げたGPSを使ったトラクターの走行や、オートステアリングを伴う技術で、それを今度精密化するのにRTKを使ったと。
  新しい技術は、無人トラクターです。無人トラクターは、北海道大学大学院農学研究院の野口教授が日本一であり、ある意味、世界一だと思います。ただ、時流が追いついたというのか、ちょうど準天頂衛星が打ち上がって、今ほぼ稼働が決まりましたけれども、そうなると準天頂衛星の電波で3cmが実現できて、GPSのRTKは、実は最終的には必要なくなるかもしれません。ただ、両方ともどちらか機能しなくなることもあるので、それは併用しても全然構わないと思います。そういった意味では、時代が野口先生の取組に追いついてきたのではないのかということが、私の率直な感想であります。ただ、そういう取組で1つは信頼感が増すと。それと、行政だけでは発表する場所も実は限られてしまいますが、野口教授と連携することによって、様々な場面での発表が増えてきている。
  大学としての取組にも重要な位置付けがされているので、例えば国際的な場でも発表されている。そのときに、実は岩見沢でもこういう事例があるということを言っていただける。逆に、私どもは野口教授とこういう事例があると申し上げます。そういう相乗効果も地味ではございますが、あります。そこで認知が広がるということもあるので、大学と連携することは、産学官、特に学と連携して一定の取組の成果があると、今度は金も付いてきますし、様々なプラスのメリットが出てきていると思います。

渡邉部会長
  よろしいですか。
  では、森委員、どうぞ。

森臨時委員
  藤井先生にもう一つ伺いたいことがあります。お願いします。
  17ページに食料自給率を向上させるための先生のご提言がいくつか書かれていますが、右側のページの上から3段目ぐらいに、「既存の水田を畑作にも使えるよう改良し、」と、その汎用性を高めるというのは大変大事な土地改良事業の役目だと思います。砺波にありますたまねぎなどを事例に書いていらっしゃいますが、ここの太字になっています「既存の水田を畑作にも使えるよう改良し、」の後に「たまねぎや飼料作物等を作る取組み」という文言が5行目にあります。飼料作物の自給率が低いのは、非常に実際の自給率にはね返ってきている部分だと思います。飼料作物についての問題をどのようにお考えか、お聞かせいただけますか。

藤井京都大学大学院工学研究科教授
  そうですね、国産の牛の割合が高ければいいという話がありますが、もともと飼料が外国から輸入されていたら意味がないではないかという認識でここは記載しているところです。
  あと、農業の場合、釈迦に説法で私が申し上げるまでもないところですけれども、例えば種子法の撤廃でも、日本で作っているものであっても、種子をモンサントというか、モンサントを買収したバイエルでしたでしょうか、その辺から買っていたら、本当の意味での国産ではなくなってくるという意味で、ライフサイクルと言いますか、本当の意味での食料自給率を高めなければならないという趣旨で、ここでは記載しているところであります。

森臨時委員
  ありがとうございました。

渡邉部会長
  よろしいですか。
  では、渡辺委員、どうぞ。

渡辺臨時委員
  お二方からいろいろ興味深いお話があって、力強い取組があるということを聞かせてもらって大変勉強になりました。
  ただ、地方では農業者の両極化が進んでいて、大規模に農業展開をやっていきたいという方と、そうではなく土地は持っているけれども実際にそこまでしなくてもいいやという方がいらっしゃいます。実際に私どもが基盤整備の話を進めて行く中で、一生懸命やりたいという方は少数派で、あそこまでお金をかけてまでやる必要はないという考え方を持っている方が多数派です。
  新潟県人の特色なのかもしれませんが、そういう一生懸命やりたい者が積極的に話をすればするほど、自分がいい目をしたいから俺達を利用しているのだろうという、うがった見方をされてなかなか話がまとまらないのが現状です。一生懸命やっている者を応援していきたい考えていますが、とりあえず自分の田んぼのことは構わないでくれというような人達の意識を改革していかないと、うまくいかないと実感しております。
  その辺について、もしコメントがあれば、いただけるとありがたいです。

渡邉部会長
  では、お二人にお願いします。
  まず、藤井先生、お願いします。

藤井京都大学大学院工学研究科教授
  その問題は、本当にいろいろな業界で起こっている問題で、まちづくりでもそうです。そのときに、少し違う角度から申し上げますと、スピノザという哲学者に「エチカ」という本があるんですけれども、この本の画期的なところは、人間のある行為があったときに、普通の常識ではその行為をやったら、それはこいつが決めたことなんだというふうに我々は思っていることが多いのですが、スピノザは、いやいや違う違うと。そいつが決めた気になっているけれども、状況がそう決めさせているだけだと。もっと状況を見ないと本当の人間の行動の謎なんて解けないではないかということをスピノザは「エチカ」の中で書いて、これがある種のコペルニクス的転換のようなもの。これは心理学で原因帰属理論と言われたりしますけれども、なぜこれを私が申し上げたかというと、農家の方がモチベーションがない、ある方がある。そうすると、ついつい我々は、この人はモチベーションある、この人はないとおかしいやないかと責めてしまいがちですが、そういう側面が僕はあってもいいと思います。やはり個人の原因帰属というのは責任感が大事ですが、でも、また別の、こういう国の制度の議論等をしているときには、何でモチベーションがないのかということを考える視座もとても大事だと思います。
  それでいくと、要は、「もうからないから」だと思います。物が売れない、売れても安い、さらに物価は下がっていく。さらに言うと、TPPやらEPAやら、これから外国に取られるかもしれない。こんな右肩下がりのところで今さら頑張ったって、無理があるやんけと思うのが人情ではないかと。これが右肩上がりで、投資をすればするほどもうかっていって、暮らし向きもよくなるし、自分の家族もよくなっていくと。息子の代になって引き継がせたら、こいつもう億万長者だと。もうかる商売であれば、投資が進む、あるいはモチベーションを持つ農家の方はもっと多いことは間違いないと思います。
  この問題をスピノザ的視座から言うのならば、まずはデフレを脱却し、物価が上昇していくマクロ経済環境をつくると同時に、過剰な改革ではなく強靱化の思想に基づいて生産性を向上していく、あるいは農業生産力を上げていくというような、あるいは保護貿易主義的なフィロソフィーにこれから平成ではない、次の御代に転換していこうと。この2つができれば、今おっしゃったところは大きく展開するだろうと思います。
  もちろん、「おまえ何でやる気ないねん」と責めることはやってはいけないとまでは言わないですが、こういう視座も持っていただきたいと思います。

松野岩見沢市長
  続けて私からですが、岩見沢市の場合は、基盤整備事業をやって、集まってやるわけですけれども、むしろ順番待ちをしている状況がありまして、一定の規模のところで、次の世代に農業を継ぐ、継がせる、あるいは農地を継がせる、そのためには自分がよれよれになってからだと投資ができないので、自分の代でしっかりとした基盤を作った上で後継者に渡していくという考え方で進めています。今現状は順番待ちです。国営にしろ道営にしろです。
  ですから、少し状況が違うのだと思います。ただそれは、一定の利益が上がるという見込みが立っているからだと思います。それだけの投資が発生をしても、それだけの職業としても継がせる意味があるのだと思います。個人事業主で税制自体も適用ができますから、個人事業主としての経営者の感覚をもってすれば、今投資することによって、それが今度次の世代の収益に変わる。だから、そこは自分がしっかりやるというような考え方の経営者が北海道には多いのかもしれません。
  ただ、規模が大きいというのは、その際にやっぱりメリットになるので、負担も増えますが、そういうことではないかと思います。仮に利用するにしても、一定の土地は農業委員会で売買でき、全部処理されますので、それだけ投資のある価値と見ている農家の方が、現状から見ると、北海道、岩見沢の場合は多いという気はいたします。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  ほかの委員にも今の点についてお話を伺いたいのですが、前から議論になっているところで、経営体が両極化しつつあることを踏まえて、どういう整備が必要かということの議論だと思います。少し私の意見を申し上げさせていただくと、藤井先生がおっしゃったたように、経済的なインセンティブのモチベーションがあったときのまとめ方もあると思うのですけれども、渡辺委員がおっしゃったのは、昔でもそういうふうに経済的な差の背景はあったけれども、地域には何かまとめる力があったということで、それが近年ではなくなってきたということかと思います。

渡辺臨時委員
  後継者もおらず、どうしようもなく条件不利なところは、一生懸命やっている人に頼むしかないという話になって行きます。ところが、下町ロケットの現場になりました私どもの燕市周辺、西蒲原平野では、安定兼業のため困らないのです。片手間の農業で満足して、一生懸命やろうという人達に預けるということに対して、あまり関心がなく、どうせ俺達の田んぼを集めて自分がよくなりたいんだろうという見方が多いように思います。新潟のことわざで、「隣の家に蔵が建つと腹が立つ」という言葉があります。そういう感覚の方がまだ結構多いのです。今、農地中間管理機構という制度を作って、一生懸命働きかけをしていますが、それがなかなかうまくいかないのは、そういう理由も1つあると考えています。
  もうかるスタイルを作って実現させれば、みんな釣られてくるというお話でしたが、なかなかそこは難しいと思います。何かアイデアがあれば聞かせてください。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  今の件に関して、何か委員の方で、それぞれの地域によって事情は違うかもしれませんが、何かございますか。
  よろしいですか。では、横田委員、お願いします。

横田臨時委員
  せっかくですので、私も現場の人間として今の話に少しかぶせていくと、私の地域はどちらかというと高齢化してリタイアする方が急速に増えて、私のところに農地が集まってくるという状況があります。その中で、先ほど藤井先生のお話を聞いていて、そうだと思ったことは、哲学みたいなところが、今はとにかくどうでもいいということはないですけれども、農村でも失われてきてしまっているから、全体のことというよりは、とりあえず自分の代でいいというふうになってしまっているような感じがしています。もっとこういう哲学に基づいて地域農業をどうしていくんだということが、少し揺らいできてしまっているような感じがします。その中で、いや大規模こそが必要だから小規模の人達は辞めるというような役割がなくなってしまったように言ってしまうのも、これもおかしくて、皆さんそれぞれ大規模だろうと小規模だろうと自給的な農業だろうと、みんな役割はきちんとあると思うので、そういうものが何か失われてきてしまっているというか、そこがきちんと明確になっていないと私は今のお話を聞いていて感じました。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  今のことに関して、何かご意見、委員の方でありませんか。よろしいですか。
  先ほどの私の質問をもう一回繰り返しますけれども、いろいろな経済的な差がありますが、岩見沢市の場合なら両極のうち、簡単に言えば片方しかないから、比較的状況の対応はしやすいのかもしれません。様々な状況があったときに、何らかの地域的な合意を得られるようなシステムを私達は持っていて、それをある程度前提にして、いろいろなことを動かしてきたけれども、それが動かせなくなってきているときに、新たな形で合意形成を得る地域的なシステム、これはこの部会では「農村協働力」という形で表現したことの一端だと思いますが、それをどう仕立て直すか自体もここの課題だと思います。そういうことをご指摘になっているかと理解していますが、それでよろしいでしょうか。

藤井京都大学大学院工学研究科教授
  状況のご説明どうもありがとうございました。そういうこともあるのだなということを改めて認識しました。
  その上で申し上げると、やはりデフレから脱却することは、今の話を前に進める上でも極めて重要だと。なぜかというと、デフレというのは貧乏であるということと同時に、先のことを考えず今のことしか考えなくなる傾向でもあるからです。インフレになると先がわかるので、何かやったら先はもっとよくなるということで、皆さんはどんどん前向きになると。ところが、デフレになるとどんどんだめになってきますから、特に資産家は動かなくなります。投資をしなくてデフレの社会というのは下流化していく状況ですから、誰かがこの世の中からはぐれ落ちて、落ちぶれていく下落社会になっていくので、特に資産家は「じっ」としておきたくなる。そういう意味でも、インフレ状況を作っていくというのは、極めて重要だということが1つ申し上げられると思います。
  先ほどの部会長のお話もなるほどと思いましたけれども、もともと柳田國男が民俗学を農政官僚を辞して始めたのは、まさにそこの視点の認識で始めたからであって、そこで柳田國男が発見した原理は何かというと、まず彼は、なぜ農民はかくも貧困なりきとかと言いながら、その貧困を何とかしたいという思いで最初は国で働いていましたが、これも現場におりないとしょうがないということで、それで現場をおりられて、彼が七転八倒編み出した方法は、まずはおじいちゃんとおばあちゃんの話をずうっと聞くということをやったのです。
  これはなぜかというと、それを今引き継いでいる民俗学者も、かなり亜流の民俗学者達しかその思想は引き継がれていないのですが、木下先生という方にいつも教えていただいたことです。昔を語っていくと、昔を思い出してモチベーションが湧くらしいのです。ここの村は元々こうだったなとか、そういや、そういう祭りをやっていたなとか、そういや俺らはこうやってこうやって、こうやっていたなと思い出すらしいのです。要するに、その土地のアイデンティティーが明確化していくというか、精神的に活性化されるらしいのです。そうすると、今ですら起こっている現象ですが、昔語りをずうっとおじいちゃん、おばあちゃんにさせると、そのうちだんだんその地域の温度が上がっていって、Uターンする人がたくさん増えて、まちが活性化していくという事例を民俗学会で発表していることを教えてもらったことがあります。
  今、部会長がおっしゃったように、経済的なインセンティブという点も大事ですけれども、私がデフレと言っているのは、最終的には経済的な話をしていますが、どこか思想的な話につながるからインフレ、デフレと言っている話であり、かつ柳田國男の場合は、完全に思想だけでいってしまって、昔話にいくという、これはもう釈迦に説法で当たり前みたいなことを申し上げていて恐縮ですが、そういうところを改めて大事にしていくというのも大事だろうと改めて思いました。
  以上です。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  時間が限られてきましたが、まだご発言いただいていない方で。
  小谷委員、お願いします。

小谷臨時委員
  ありがとうございます。
  今日は本当にお二人の先生のお話に感動していますので、質問にはならないのですが、あと部会の皆さんにもこういう形で、改めてこの農業農村整備を多角的に考えようという考え方にしていただけたことは、すごくすばらしいなと思っています。
  今も思想という話がずっと出ていますけれども、まず情報戦争だとか思想戦争に負けているということですが、ここではすばらしいお話ですが、多分ほとんどの日本人の消費者は国民レベルで、負けていることには気付いていないのだろうと、少し皮肉な言い方ですけれども、いわゆる消費社会に甘んじていると思います。藤井先生のような方が内閣官房のトップのそばに、こんなすばらしいブレーンがいるのにアベノミクスに伝わっているのかということも感じています。
  改めて農業・農村の価値というのは、以前どなたかに聞いた話で、農業を食料生産だと定義したことが間違いであったという言い方をする人がいて、農業だけではなく農村という人の暮らしの息づく場所というのは、もっと包括的な場であるんだと。例えば宇沢弘文先生のおっしゃる社会的共通資本ですとか、国連の場でダスグプタ教授が包括的冨という指標を提唱されています。そういう包括的な農業の価値が日本ではあまり認められていないと感じています。
  農業には多面的機能という、政策の考えはあるんですけれども、やはり二次的な、食料生産がメーンにあって、その他の機能は副次的にとらえられている部分が否めない気がしています。
  希望があるとすれば、参考資料1の最後にあったカラフルなフロンティアの農業・農村のあるべき形の一番端に、SDGsと地方創生の動きも政府全体の動きとして含まれています。日本の思想がゆがんできた結果が今であるならば、そのバランスをとろうとしている人達が、若者の田園回帰のような動きがあるなというのは、希望として感じているところです。これをもっと大きな意味で、農業の価値を、農村の価値を高める国民運動にするためにはどうしたらいいのかと、私もメディアの端くれですけれども、どちらかというと農業系の専門紙に書いたりしているものですから、やっぱりおっしゃった地上波で、一番のところでもっとやらなきゃいけないと感じると同時に、反省もしています。
  以上です。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  小谷委員には、いろいろな機会お持ちと思うので,その都度発信していただけたらいいと思って伺いました。
  ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
  大体予定の時間になりました。皆さんのご発言がなければ、もう一つだけ発言をさせて頂きます。
  松野市長に伺いたいのですが、ファーマーズ・ファーストとおっしゃっています。人口8万人の内で農業従事者は3,000人ぐらいです、農業に関わる方はもっと多いと思いますが、不適当な言い方かもしれませんけれども、地元でも農業者ファーストと、おっしゃっているのでしょうか。それで、特に異論は出てこないのでしょうか。
  さらに、もう一つ申し上げたいのは、その背景に市長は地域全体が生産体であるとおっしゃって、そういう認識を作っていくのだということが背景にあるので、そういう意味でかぎ括弧つきの「農業者ファースト」と思って伺ったのですが、その辺の事情を伺いたいと思います。

松野岩見沢市長
  農業者ファーストというときには、僕も気を使っています。ですから、フードバレーの本場のオランダのワーへニンゲン大学の偉い大学の先生も、ファーマーズ・ファーストと言っていました。岩見沢にとっても農業者ファーストなんですよというような言い方をしています。決して景気のいいことは言わないようにしていますが、ただ、それは地域で支えるという意味です。
  農業者の方は、当然自己実現を含めて自分で努力をして、農業に取り組んでいる。農業は、汗を流した分だけちゃんと収益でバックするような農業にしなければならない。岩見沢市は、行政として一定の投資は総合戦略に位置付けて行う。ただし、それは税金としてちゃんとバックしてもらう。お互いに役割を果たしましょうよと。
  ただ、北海道は、特に私どものいる地域というのは、農業がマインド的には基幹産業です。資料にもありますけれども、農業産出額は180億円程度なので、少なくとも岩見沢の工業出荷額は大体4,000億円ぐらいあるので、産業としてはそんなに大きなウエートを占めてはいないですし、農業就業人口も少ないですが、やはり農業なんです。商工業がいくら好調でも、農業が豊作であることによって、いろんな意味での経済に与えるプラスの影響というのは、実感としてあります。そういった意味では、農家に対する投資をやるためにしっかりとした手順を踏んでいきましょう、戦略にも位置付けましょう、そのベースは農業者ファーストですよねということをやっています。
  ただ、岩見沢みたいな地域だから、そういう取組ができたのではないかと思います。例えば先ほど渡辺委員がおっしゃったように、両極化している。だから、お話を聞きながら、これは日本全国どこにでもある中心市街地の商店の問題とパラレルではないかと思いました。例えば借地借家で営業していて、後継者はいないけれども、とりあえず店舗をあけているうちには収益が入ってくる。なくなったらそれを畳んで返せばいいや。それでは、中心市街地は廃れる一方なので、そうかといって、政府も地方政府も中心市街地の活性化ということで、一定の投資をやっています。では日本全国それが成功した事例はどれだけあるのかを思いながらお聞きはしていました。
  ただ、難しいのは、農業に対する参入というのは一定の制限があるので、そうすぐには新規出店が見込めない、いろいろな側面があると思いますが、ただ、そういうことに関心を持つ人を増やすということは、少なくとも共通することと思いながらお話を聞きました。
  ファーマーズ・ファーストというのは、そういった意味で使わせていただいています。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  進行がまずくて、皆様から自由なご意見をいただけなかったかもしれません。予定の時間となりましたが、最後に藤井先生、松野市長、もし何かご発言、とくにこの部会に対する注文などありましたら、ご発言いただきたいと思います。

藤井京都大学大学院工学研究科教授
  今日はこういう機会をいただきまして、本当にどうもありがとうございました。皆様方のご発言、ご質問をされながら、お聞きする話も大変勉強になりました。これからもますます農業のことを考えたいと思います。
  最後に、重複になりますけれども、思想的な転換が必要だと申し上げましたが、何から何かというのをいくつか重要なものを申し上げると、1つは財政においては「緊縮から積極」へ、この取組がない限り、農業の復活は難しいだろうと思います。
  もう一つは、「構造改革至上主義から適正な政策、構造政策主義」ですね。最近、政府でも構造改革という言葉ではなくて構造政策と呼ぶようになったのは、幾分の進歩ではないかと思いますけれども、改革ではなくて最適化を目指す政策だと、構造政策なんだと、この転換も重要だと思います。
  それから、これは2つ目と近いのですが、「自由貿易至上主義ではなくて、自由貿易と保護主義のバランスが重要であるという転換」もすごく大事だと思います。さらに言うと、経済理論、それから様々な政策論を考えるときには、英語で言うと「サプライサイドエコノミクス」ではなくて「デマンドサイドエコノミクス」も重視することが大事だと思います。様々な制度を考えるときに、供給サイドのことだけを考えることは、片方が欠けている状態です。供給だけではなくて需要もしっかり見ていくという、この思想的転換も大事だと思います。
  この4つの転換が果たされれば、農村は非常に明るい方向に行くのではないかと思います。農業という立場で徹底的に現場を重視されると同時に、農業に関与されている方は、この思想的転換を巡る、ある種の情報戦争に参与いただくとフィードバックも大きいのではないかと思います。
  そして、最後に、ちょうどこの御代替りが、空気が変わる最高のタイミングになりますので、嫌なものは全部、平成におっかぶせて、大体1つ前の時代はダサく見えるものです。2つ前の時代は格好よく見えるんですね。平成時代のときは、大正時代が格好よくて昭和はダサいという感じでしたけれども、これからは平成がダサくて昭和が格好いいということで、そういう空気にこれから変わっていくと思いますので、この好機を活用いただきたいと思います。
  長くなって恐縮です。以上でございます。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  では、松野市長お願いします。

松野岩見沢市長
  今日は本当にこういう機会をいただきまして、ありがとうございました。また、皆様からのご質問、またご意見なども聞かせていただきまして、改めて本当に自分自身、勉強になりました。また、そういう大きな視点での見方というのも確かに必要だと思いました。
  私どもは、価値観を変えていく努力は、いろいろな意味で必要だろうと思いますが、ただ、今、岩見沢で取り組んでいる事例は、これからの日本の農業の一つのあり方でございまして、これが全てではありません。その点はいろんなそれぞれの地域、あるいはその特性に応じた様々なやり方があると思いますので、そういった意味で、日本の農業を強くしていくといいますか、産業としても、また農村という地域も強くしていくということを含めて考えるいい機会になりました。
  本当に感謝申し上げます。ありがとうございました。

渡邉部会長
  藤井先生、松野市長、どうもありがとうございました。
  今日の意見交換が次の議論につながるように、事務局には資料としておまとめいただくようお願いしたいと思います。  それでは、次の議題2に移ります。
  平成30年7月豪雨等を踏まえた今後のため池対策の進め方についてです。
  昨年の8月も、この部会では、7月豪雨の被災状況等につきまして、事務局よりご報告いただきました。今日は農林水産省で検討を進めているため池対策についてご報告いただきます。
  では、事務局、ご説明をお願いいたします。

山田海岸・防災事業調整官
  防災課で海岸・防災事業調整官をしております山田と申します。
  本日は、防災課長が所用につき欠席しておりますので、代わりにご説明申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。
  まず、平成30年7月豪雨では、西日本を中心にため池が決壊するなど、農業用施設、それから農地に甚大な被害が発生いたしました。特に、ため池の被災を受けまして、農林水産省内にため池対策検討チームを設置し、防災重点ため池の選定の考え方など、今後の効率的なため池対策のあり方について検討を行いまして、昨年11月13日に取りまとめた内容を公表したところでございます。
  この取りまとめでは、ため池対策を効果的に推進するため、取組の内容を予算や制度の拡充に反映させるなど、政策の検討を引き続き行うとされておりまして、予算につきましては、防災重点ため池の整備を「防災・減災、国土強靱化のための3カ年緊急対策」に位置付けるほか、必要な予算制度の拡充を行ったところでございます。制度的な対応といたしまして、新しい法律の制定に向けて検討を進めているところでございますが、私からは、その前段となりますため池対策の検討の状況についてご説明申し上げます。
  それでは、資料に従ってご説明申し上げます。
  資料3の1ページ目をご覧ください。まずは、対策の対象となりますため池を巡る現状でございますが、全国の農業用ため池は、約20万カ所あるとされておりまして、降水量の少ない西日本を中心に分布しております。特に瀬戸内地域では、全国の約6割を占めている状況にあります。
  次に、2ページ目をご覧ください。我が国におけるため池の歴史は古くて、確認されているものの中では、大阪府の狭山池が西暦620年ごろから存在していると言われております。はるか昔から我が国の稲作文化を支えてきた重要な農業水利施設の一つであると言えると思います。
  3ページ目をご覧ください。この資料の3ページ目は、平成30年7月豪雨の後に実施をしました全国ため池緊急点検について記載しております。この7月豪雨発生後、地方公共団体の協力のもと、全国で決壊した場合に下流の家屋等に被害を与えるおそれのあるため池、全国で88,133カ所の緊急点検を行いました。そのうち、1,540カ所のため池については、応急措置が必要と判断されまして、例えば流木撤去といったような応急措置を徹底したところでございます。
  4ページ目をご覧ください。4ページ目は、平成30年7月豪雨を受けまして、農村振興局内にため池対策検討チームを設置いたしました。このチームでは、防災重点ため池や今後のため池の対策の進め方について、検討を行いました。この災害を契機として、右側に課題として記載しておりますけれども、今回の7月豪雨で決壊したため池32カ所のうち、防災重点ため池に選定されていたのは3カ所しかなく、冒頭の室本局長の挨拶でもありました女の子が亡くなったため池、これも防災重点ため池に選定されていなかったという課題が浮き彫りとなりました。
  そこで、5ページ目をご覧ください。この5ページ目は、防災重点ため池の見直しと今後の対策の進め方について整理したものでございます。先ほど申し上げました昨年11月13日に公表した内容を取りまとめたものでございます。先ほどの課題を踏まえまして、防災重点ため池の選定に関しまして、ため池と下流の家屋等との距離と貯水量の関係から、新たな防災重点ため池の選定基準を示したところでございます。資料の真ん中辺に1から4までございます。1から3まで、貯水量と家屋等との距離のものでございます。この防災重点ため池の選定につきましては、この新たな選定基準に基づきまして、今後、本年の梅雨前まで、来年度の5月31日までということになりますが、都道府県が市町村と調整をして、防災重点ため池を再選定することとしております。現在、防災重点ため池は11,362カ所ございます。この数から大きく増加するものと考えられます。現在、データベースにある全国96,000カ所のため池のうち、約5万カ所程度が該当するのではないかと考えております。それから、再選定した防災重点ため池におきましては、データベースの充実やハザードマップの作成といったソフト対策と、施設機能の適切な維持、補強といったハード対策を組み合わせて実施をすることとしております。資料の下のところの緊急時の迅速な避難行動につなげる対策、これが主にソフト対策となりますし、右側の施設機能の適切な維持、これがハード対策となりますが、こういったものを適切に組み合わせて実施していくことにしております。
  以上で私からの説明を終わります。

渡邉部会長 
ありがとうございました。

神田土地改良企画課長 
土地改良企画課長の神田でございます。

渡邉部会長 
どうぞよろしくお願い致します。

神田土地改良企画課長
  後半は制度的な対応ということなので、私のほうからご説明させていただきます。
  まず、資料6ページをご覧いただければと思います。今回、制度的な対応ということで、大きく4つの観点から対応を検討させていただいておりますが、まず(1)が施策として対象とすべきため池をきちんと把握しなければいけないという課題であります。
  現在、ため池の数は全国20万カ所と言われておりますけれども、ため池データベースに整備されておりますのは、受益面積が0.5ha以上の9.6万カ所にとどまっております。かつ、これは過去25~27年度に整理をしたものでして、その後の最新の内容に更新される仕組みができていないという問題がございます。
  その結果として、昨年夏に緊急点検を実施したわけですけれども、そもそもデータベースに載っていないような小さなため池でどこにあるか特定が難しかった事例、あるいはデータベースには載ってはいましたが、実際に現地に入ってみると既に廃止や荒れてしまっているというような事例が実際に確認されたということでございます。
  そういう中で、農業用ため池がどこにあって、実際誰が使っているかというような情報を、行政機関のほうできちんと把握できるような仕組み作りが必要ではないかということが、まず第1点でございます。
  資料の中で点線の枠で囲っておりますが、具体的な対応方向で考えておりますのは、データベースを最新の内容にするために、県や市町村が現場に行って聞き取りなどをしなければいけないという仕組みから、これからはため池の所有者なり管理者の側から、行政に情報を届け出ていただくような仕組み作りをしていきたいということでございます。
  また、届け出られた情報につきましては、96,000カ所ありますデータベースの中身も更新し、載せていないものについては追加で載せるなどをして、公表可能な情報については公表していくことが必要ではないかということで検討しているところでございます。
  次に、資料の7ページでございます。防災重点ため池につきましての関係者の役割の明確化という内容でございます。今回の新たな選定基準で防災重点ため池の数も大きく増加をしていくことになるわけでございます。それに当たって、国、都道府県、市町村が協力しながら対策を進めていく必要があるわけでございますけれども、現状では、どの機関が何を行うか必ずしも明確に決まっているわけではございません。
  また、実際に、ため池につきましては所有者、実際に管理されている方、その水を使っておられる方、その関係者が多岐にわたるわけでございますけれども、それぞれの間の責任分担、役割分担も曖昧になってしまっているということで、設備の適切な管理も行われなくなるおそれがあるのではないかということを危惧してございます。
  そういう意味で、その具体的な対応方向の欄にも書いてありますが、現在、防災重点ため池で実施をしているスキームを、きちんと法律に基づく制度としていく方向で検討させていただいております。都道府県知事が地元の市町村長の意見を聞いた上で、防災重点ため池の新たな4要件、これに合致するものを特定農業用ため池、まだこれは仮称でございますけれども、特定農業用ため池として指定をしていく制度を新たに創設をしていくということでございます。
  また、関係者の責務といたしまして、所有者の方、あるいは管理者の方が、そのため池が機能を十分に発揮するように適切に管理をしなければならないという責務規定もきちんと明確化をしていきたいということでございます。また、下流に人家等がある施設ですので、地域の方の避難対策もきちんとやっていかなければならないので、市町村においてハザードマップ、あるいは緊急連絡網ですとか、そういった地域の方々の避難上必要な措置についても講じていただくための規定を設けていきたいということで検討させていただいております。
  続きまして、8ページでございますけれども、これは施設の管理体制の問題でございます。この防災重点ため池は、下流に人家等があるわけですから、きちんと適切な日常管理を行っていただく必要がございます。一方で、その多くのため池は、下に円グラフがございますけれども、実際に管理されているのは集落とか個人の方々が管理されているということで、農業者の数も減っていきますし、高齢化が進んでいく中で、管理が行き届かない施設が増加していくことが懸念されます。そうなりますと、今後、そのため池をどうしていくか、その地域の中で地元の行政機関も交えてよく調整をしていただく必要があると思います。もう使わないものであれば、この機会に廃止をしていくことも、やはり地域の中で話し合っていく必要があると思いますけれども、なかなか関係者で管理できず、市町村で管理をしていただくことが、地域の話し合いでそういう方向性が出てきた場合には、既に所有者が不明になっている施設の場合は、新たに授権行為もできないものですから、市町村で管理を希望するケースについては、市町村が管理権限を取得できるような仕組みを新たに創設できないか検討させていただいているのが3点目でございます。
  最後に9ページでございますけれども、4点目がハード面の対応でございます。施設の補強、それから使わなくなった施設の統廃合を着実に実施していかなければならないということでございます。豪雨等に対して、既に老朽化していて必要な機能がない施設は、きちんと補強対策を行う必要がありますし、利用度が低い施設については、この機会に統廃合も含めて地元でよく検討していただく必要があろうかと思っております。
  そういう中で、所有者の方々が特定できなくなっているようなケース、また地元の負担等の合意形成ができず、既存の事業で手挙げができないようなケースについて、本来必要な工事が実施できなくなってしまうことが懸念をされます。そのような場合への対応ということで、行政機関が主導して本来必要な防災工事がきちんと確実に実施されるような仕組み作りを、新たに講じていく必要があるということで検討しております。
  具体的な対応方向といたしまして枠内に書いてありますけれども、まずは所有者の方が自分で自ら防災工事、必要な工事ということで改良なり施設の廃止をしていただく場合については、事前に届け出をしていただく仕組みを講じた上で、特に下流に人家等がありながら、当事者の方々が工事をやっていただけないということがもし発生した場合には、最終的には都道府県が命令を発出して工事を行う義務を課すことができるように、また特に所有者の方々が不明になっているケースについては、都道府県が自ら必要な工事を代執行により実施できる仕組みを新たに創設する方向で、検討している状況でございます。
  私からの説明は以上でございます。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  冒頭ご案内の4時が終了見込み時刻でしたが、まだ少し議事が残っておりますので、もう少々お時間をいただきたいと思います。ご了解いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  それでは、ただいまのご説明に対して、何かご質問、ご意見はございますでしょうか。
  では、平松委員、松田委員、柚木委員と、その順番で伺いましょう。

平松臨時委員
  では、お先に失礼します。
  昨年の7月、西日本豪雨、そして一昨年の7月にも九州北部豪雨というゲリラ豪雨的な降雨があって、非常に甚大な被害、特に土地改良関係で言いますと、農業用ため池に甚大な被害が発生しているわけです。いずれも昨年も一昨年も人命に影響が及ぶような災害が発生しているという状況にございます。
  一昨年の九州北部豪雨のときには、私は農業農村工学会の緊急調査団の団長として現地に入りまして、被災したため池をほぼ全て調査しました。そういった調査を通じて、やはり農業用ため池の防災、減災の必要性を痛切に感じたところであります。
  少し具体的にお話しすると、上流で大規模な斜面崩壊が発生して、そこで土石流が発生しまして、土石流とともに流木がため池を直撃したにも関わらず、ため池が土石流と流木をしっかり受け止めて水だけを下に落として、下流には実は居住区域があって結構な民家が並んでいましたが、それが救われたといったような例がある一方で、多くの農業用ため池が被災しておりました。10以上を私は見て回ったと思います。
  そういった被災したため池を見ていますと、多くのため池の被災した原因は、今申し上げた上流からの土石流と流木によって壊れてしまったというのが大半ですが、例えば洪水吐がほとんど埋まってしまっていて、どうやら最近使われていたような気配がないというような、いわゆる管理が全く、あるいはほとんど行われていない、これは裏返しに言うと、農業用水源としての利用実態がほとんどないということだと思いますが、そういったため池が結構ありました。
  今回、対策の最後のご説明として、統廃合を含む方向で今後、これも法律化していくというようなお話でしたが、これはぜひとも必要な対策の一つであると思います。
  もちろん、今後も使われるため池に関しては、まずはその管理をしっかりしていくということ、それからハザードマップであるとか、それから避難訓練といったようなソフト対策をしっかりしていくということとあわせて、3つ目として、不要なものは統廃合するということは、ぜひともやるべきであると、2017年7月の朝倉豪雨、九州北部豪雨の調査を通じて痛感したところでした。これはぜひ進めていただきたいと感じています。
  以上です。

渡邉部会長
  続けて伺います。
  松田委員、お願いいたします。

松田臨時委員
  ため池の堤体の決壊については、大雨だけではなくて地震のケースもあると思います。そして、地震の場合は、多分堤防が決壊したとしても、周辺に河川があると一定程度飲み込めますので、ハザードマップを作るとしても、大雨のケースと地震で決壊したケースのケース分けが必要ではないかと思います。
  それから、大雨の場合、例えば土砂災害警戒地域については、気象台が降雨の状況とリンクした土砂災害警戒情報を発表します。ため池についても気象台と連携して、危険が増しますよというような連携性が求められるのではないかと思います。
  それから、所有者不明の特定農業用ため池を市町村が管理するというケースですが、どういう管理をするかの指針が必要かもしれません。そして、実際それに経費がかかる場合、財源確保についても、自治体にとっては大きなテーマでありますので、そういった点もあわせて総合的な対策を講ずるように希望したいと思います。
  以上です。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  では、柚木委員、お願いいたします。

柚木委員
  先ほど平松委員もおっしゃいましたが、使われていないため池の廃止の手続きについて、ぜひ簡素化の視点からお願いをしたいと思います。特に所有者が不明のところの、現在の場合はそういう方々を探索して同意を取れということになっているようでございますが、制度改正で、そういう手続きをできるだけ簡素化するということが大事だと思っております。そのことによって、必要なため池とそうでないものが、めり張りがついてくると考えていますので、ぜひその点はお願いしたいと思います。
  それから、そのため池を廃止した場合の地目の変更のところも、あわせてセットでお願いをしたいというのが2点目でございます。
  それから、松田委員からもありましたけれども、今、市町村も農政の関係の推進体制は、かなり人員的にも脆弱になっておりますから、新しい役割の中では財政措置もきちっとした上での対応を考えていかないと、なかなか実行が難しくなるケースがあろうかと思いますので、その点よろしくお願いしたいと思います。
  以上です。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  ほかにいかがでしょうか。
  基本的には、3委員からコメントをいただきましたが、何か事務局のほうで今日お答えいただくことがあったらお話しいただきたいと思いますが、よろしいですか。
  では、今後の検討の中で参考にしていただきますようお願い致します。この対策は、今日はご報告いただきましたが、この部会の審議事項と少し離れているところがあります。この部会の審議に関わるところについては、また適宜ご報告いただくことになろうかと思います。それもご理解いただきたいと思います。よろしいでしょうか。
  ありがとうございました。
  それでは、次に進ませていただきます。
  議題の3は、農業生産基盤の整備状況についてです。これも事務局に、まずご説明をいただきます。

石井計画調整室長
  資料4になります。
  農業生産基盤の整備状況について説明いたします。
  農村振興局では、毎年度、田、畑、そしてダム、頭首工といった基幹的農業水利施設の整備状況の進捗を取りまとめております。今回、平成29年度3月時点の実績についてご報告いたします。
  目次をご覧ください。田、畑、基幹的農業水利施設の順で説明いたします。
  1ページをお願いいたします。田の整備状況です。左の表は、全国の田の整備状況でございます。全国で田の耕地面積は242万ha、このうち30a程度以上に区画整備された面積は157.8万ha、でございます。田全体の約65%となっております。さらに、このうち50a以上の、いわゆる大区画で整備されている田は、全国で24.6万haということで、田全体の10%を占めております。また、区画整備された田のうち、排水良好の田の面積は109.3万haで、区画整備された田のうちの残りの49万haについては、排水条件は良好ではないと整理されております。また、右の表は、田の整備状況の推移をあらわしたグラフでございます。見るときにご注意いただきたいのですが、平成24年以降の数字は年度ごとでございますが、それまでのところは数年おきの数字になっておりますので、上昇のカーブが緩い、きついというところは、そういった時間軸の違いもございます。ご注意いただければと思います。
  続いて、2ページでございます。こちらは、都道府県ごとに田の区画整備状況をあらわしたグラフとなっております。地域によって数字に差があるということでございます。
  3ページは、ご参考として排水良好な田の面積を都道府県ごとに地図に落とし込んだものでございます。
  続いて、4ページでございますが、畑の整備状況でございます。畑の耕地面積は、全国で202.6万haでございまして、このうち末端農道が整備された面積は155.9万ha、畑全体の77%を占めております。一方で、畑地かんがいの施設が整備された畑は48.8万haということで、24.1%となっております。さらに、区画整形されている畑については128万haということで、全体の63%を占めております。右側は、畑の整備状況の推移をあらわしたグラフとなっております。
  続いて5ページでございますが、こちらは畑の末端農道の整備状況を都道府県ごとに整理したものでございます。
  6ページは、同じく畑地かんがい施設の整備状況を都道府県ごとに表したものです。
  7ページは、畑の区画の整備状況を都道府県ごとに表したものでございます。
  8ページは、細かい表になりますが、今ご説明した田と畑の整備状況を都道府県ごとに数値で示したものでございます。
  続いて9ページをご覧ください。最後の基幹的農業水利施設の整備状況です。
  ここで言う基幹的農業水利施設は、受益面積100ha以上の施設となっております。左側の上のほうの農業水利ストックの整備状況をご覧いただきますと、全国の農業用用排水路は、整備済みのものだけで40万km以上、地球約10周分になります。このうち、基幹的水路は約5万km、またダム、取水堰などの点的な基幹的水利施設が7,600カ所となっております。右側は、これらの標準耐用年数超過状況をお示ししております。施設の多くは老朽化が進行しております。揚排水機場の7割、また基幹的水路の4割が標準耐用年数を超過している状況でございます。
  最後に10ページでございますが、こちらは今ご説明した水利施設の整備実績を県ごとに整理したものでございます。なお、昨年度ご説明した資料と1点だけ違いがございまして、非常に見にくい細かい表でございますが、ちょうど都道府県の表の真ん中あたりに水路という欄がございます。本当に小さくて恐縮ですが、この中で、今回から水路延長の中のパイプラインの数字も内数としてお示しをしております。
  以上、簡単ですが、資料の説明とさせていただきます。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  それでは、ただいまのご説明について、何かご質問、ご意見。先ほど森委員からご発言があるということで、どうぞ。

森臨時委員
  ご説明ありがとうございました。
  1つだけご検討いただきたいことがあります。私は北海道に住んでおりまして、北海道の農業・農村振興審議会の委員をしておりまして、12月にもらった北海道の資料には、松野市長がお話ししてくださったようなICTを導入した大区画圃場の整備率についての発表がありました。北海道の場合は1戸ずつの経営面積が大きいものですから、30aで考える必要はなく、地下かんがいを利用した乾田直播ですとか、ICTの導入の力を発揮する強い農業のためには、やはり1ha以上の整備率というのを意識していかなければいけないと思います。この資料のどこかにICTを活用した農業というのでは、まだ北海道でさえも1haの整備率は13.7%しかないというような数値を、どこかに入れていただけたらありがたいと思ったので、ご検討いただけたらと思います。
  以上です。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  それでは、ただいまのご説明について、何かご質問、ご意見はございますか。先ほど森委員からはご発言があるということでしたので、どうぞお願いします。

石井計画調整室長
  ご指摘ありがとうございます。
  北海道においては、説明いただきましたとおり、水田の大区画化が非常に進んでおりますが、一方で、まだ1ha以上が13.7%というご指摘でございます。
  こちらについては、資料の2ページをご覧いただきたいのですが、田の都道府県別の整備状況のところ、北海道は一番左になります。棒グラフと折れ線グラフがございます。北海道は一番左でございまして、このグラフの見方ですが、これは青と黄緑とオレンジの3色になっておりまして、黄緑のところまでが30a程度区画の整備済み面積、また青い部分が50a以上、すなわち大区画の区画整備済みの面積を示しているものでございます。
  森委員のご指摘は、もっとわかりやすくこういうものを示せないかということだと思いますので、いろいろと工夫、検討してみたいと思います。ありがとうございます。

森臨時委員
  よろしくお願いします。

渡邉部会長
  よろしいでしょうか。
言わずもがなですが、こうした統計のデータの信憑性とか作成の手間とかいうのが話題になっているところでございます。こうしたデータの収集や整理は大変だと思いますが、継続して有効なデータを整理していただきたいということは、私からの要望として付け加えさせていただきます。
  ほかに、特に何かご発言いただくようなことはございませんでしょうか。
  それでは、今日の議事は全て終了いたしましたので、司会を事務局にお返ししたいと思います。

石井計画調整室長
  ありがとうございます。
それでは、以上をもちまして本日の部会を終了させていただきます。長い時間、皆さんどうもありがとうございました。

 

 

 

 

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