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農林水産省

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平成30年度第4回議事録

1.日時及び場所

日時:平成31年3月15日(金曜日)13時00分~16時19分
場所:農林水産省本館4階  第2特別会議室

2.議事

(1)農業農村整備の新たなフロンティア
   ・山間地域における基盤整備
   ・住民との共創
(2)技術小委員会への付託事項について
(3)報告事項
   ・国際かんがい排水委員会(ICID)第69回国際執行理事会の結果報告について

3.議事内容

議事録(PDF : 405KB)

 

石井計画調整室長
  それでは、定刻となりましたので、ただいまから食料・農業・農村政策審議会平成30年度第4回の農業農村振興整備部会を開催いたします。
  本日は年度末のご多忙の中、ご参集いただきまして、まことにありがとうございます。
  なお、小谷委員、松田委員、横田委員におかれましては所要により、本日、ご欠席とのご連絡をいただいております。
  それでは、開会に先立ちまして、高野農林水産大臣政務官よりご挨拶を申し上げます。

高野農林水産大臣政務官
  皆様、こんにちは。ご紹介いただきました農林水産大臣政務官を拝命させていただいております高知県選出の参議院議員の高野光二郎と申します。
  本日はこの部会に御参加いただきまして、本当にありがとうございます。そして、ゲストスピーカーの皆様におかれましては、大変ご多用にも関わらずご参集いただきまして厚く御礼を申し上げます。
  さて、昨年は多くの災害が発生し、農地、農業用施設等に甚大な被害をもたらしました平成30年7月豪雨により、広島県を中心として多くのため池が決壊いたしました。このことを踏まえ、我が省では全国ため池緊急点検を実施するとともに、ため池対策検討チームを設置して、防災重点ため池の設定の考え方の見直しや、今後のため池対策等を検討してきたところでございます。その後、ため池対策の検討を進め、2月19日に「農業用ため池の管理及び保全に関する法律案」を閣議決定いたしました。今後は防災工事をしっかりと進めていくこととしており、必要な予算を確保して万全を期してまいります。
  本日は、高知県北川村の私の大好きな上村誠村長と、株式会社4CYCLEのフジノケンクリエイティブディレクターのお二人には、ゲストスピーカーとして、お忙しいところ、わざわざお越しいただきましてありがとうございます。上村村長は、ユズが特産品である北川村において、農業を軸とした地域振興を進められております。また、フジノクリエイティブディレクターは、新潟県津南町を含む豪雪地帯において、地域住民とともに地域ブランドの創出などに取り組まれております。
  最後に限られた時間ではございますが、渡邉部会長を初め、委員、そして、ゲストスピーカーの皆様に忌憚のないご意見をお願い申し上げまして、私のご挨拶にかえさせていただきます。本日はありがとうございました。

石井計画調整室長
  ありがとうございました。
  それでは、まず、初めに配付資料について確認させていただきます。
  農林水産省では審議会のペーパーレス化を進めております。本日の部会では紙での資料説明は行わず、タブレットパソコン上の資料で説明いたします。タブレットパソコンの画面上でご確認をお願いしたいのですが、一番左から、資料1、資料2、資料3、資料4―1、資料4―2、そして、資料5、最後に参考資料1となっております。会議次第、委員名簿、配付資料一覧、タブレットパソコンの操作説明資料については、お手元に紙の資料として配付させていただいております。皆様、よろしいでしょうか。審議中にタブレットパソコンの操作でご不明な点がございましたら、挙手していただければ事務局で対応させていただきます。
  次に、本部会の公表の方法についてご説明いたします。配付資料は既に農林水産省のホームページで公表させていただいております。議事録につきましては内容をそれぞれ確認いただいた上で発言者を明記し、ホームページで公表させていただきますので、あらかじめご了承をお願いいたします。
  それでは、議事に移りたいと思います。本日の会議は、16時までを予定しております。報道関係者のカメラ撮りは、ここまでとさせていただきますので、よろしくお願いします。
  それでは、以降の議事進行につきましては、渡邉部会長にお願いしたいと思います。渡邉部会長、よろしくお願いします。

渡邉部会長
  渡邉でございます。皆さん、こんにちは。
  年度末の本当にお忙しい中、多数、お集まりいただきましてありがとうございます。先ほどもご紹介がありましたが、本日は前回に引き続きまして、お二人のゲストスピーカーにお越しいただいております。非常に興味深い取組のお話を伺えるということで、ありがたく、また、楽しみにしてまいりました。どうぞよろしくお願いいたします。
  年度末も迫ってまいりましたが、ご承知のようにこの部会の今期も大詰めといいますか、取りまとめの段階に入ってきたところです。昨年度、農業・農村の状況を改めて整理した上で、農業農村整備事業の課題をまとめましたが、今年度はそれを踏まえまして、さらに農業・農村の目指すべき姿をより明確にして、それをもとに農業農村整備事業の役割、あるいは進め方等について議論を深めるということで進めてきたかと思います。
  これは少し先回りしますと、実はそんなに先でもないと思いますが、次期土地改良長期計画の検討も、もう少ししたら確実に視野に入ってくると思われ、この部会の取りまとめも、そういう方向を視野に入れた中で議論ができたらと思います。いつものように忌憚のないご意見をいただけたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  それでは、議事に早速、入らせていただきますが、まず、初めにゲストスピーカーからご説明を伺いたいと思います。初めに、山間地域における基盤整備について、高知県北川村村長の上村誠様にお願いしたいと思います。では、上村村長、どうぞよろしくお願いいたします。

上村村長
  北川村村長の上村です。本日はよろしくお願いします。また、こういう場は初めてなもので、緊張して言葉がきちっと伝わらないかもわかりませんので、その点はご容赦ください。
  それでは、山間地域における基盤整備について、北川村の取組を説明させていただきます。
  1ページをご覧ください。北川村は直近の国勢調査で人口が1,294人、高知県で3番目に人口が少ない村です。そうした中で、国の人口研が出されている人口予測シミュレーションの数字を気にしていましたが、本当にこれでいいのかということが自分自身の中で疑問がありましたので、村独自で過去5年の自然増減、出生数、それから、死亡者数、それぞれの年齢をデータ化しまして、独自で作ったものが下段のほうにあります。これを国推計、村推計で比較していきますと、最初のうちは村推計のほうが高いのですが、後々、村の推計人口のほうが少なくなると。ただ、これは社会増減を含んでいませんので、恐らくこれ以上、数は減っていくのだろうと考えられるところです。こうした中でどうやったら北川村が、小さな山村が生き残っていくことができるのかということをずっと模索しておりました。
  次のページを見ていただきたいのですが、実際にどこの町村もそうだとは思いますが、特に限られた平野、あるいは限られた園地しかない、そういったところで工夫していくには何が必要なのかということを考えました。特にまず一番に考えたのは、対策1、対策2に書いてあるように、北川村に住んで、働いて、生活できる収入が得られなければ、北川村には絶対に人は集まらない。いなくなるばかりだと。また、仮にそういう産業が構築されたとしても、北川村に住みたい、住み続けたいという環境がなければ、選んでもらうことはできないだろうという、この2点がベースになっています。
  そうした中で、北川村の産業って何があるんだろう。いろんな企業があるわけでもない。まして、独自に企業を作ることもできない。そうした中では従来からある一次産業、特に過去からずっと自生していましたユズ、中岡慎太郎が最初に広めたと言われていますユズ、これが昭和になって産業化できないかということで、過去、行政が取り組んだ経過がありました。しかし、実際にはこのユズで生計を立てられる専業農家はわずか1桁しかいなかった。定年後に専業農家になられた方はおります。これらを入れると2桁ありますが、実際に子育てをして、きちっとそこで生計を立てられると考えると、今、言った軒数ぐらいしか数えられないというのが現実でした。
  そこで、そうしたら何でそうだったのか。北川村のユズの平均耕作面積、これは4反ほどでした。40aです。反当60万円という収入が仮にあったとしても240万円、経費を除くと恐らく200万円を割ってくる、そうした数字にしかなりません。それでは、食っていけるわけではないし、子育てをできるわけがない。そうした中でどうすればいいのか。一番は園地、畑をきちっと生計を立てるだけの量をもってもらう。これがなければ動かない。ベースができないと考えました。
  実際に、私は村長に4年前になったわけですが、最初に考えたのは道路工事、あるいは災害等の復旧で出てくる土砂、そうしたもの、残土扱いされているその土を利用して、かさ上げして、集積化ができないかと考えました。というのは、今、四国8の字ルート、命の道と呼ばれています道路整備が進んでいますので、そうしたトンネル工事であるとか、そういった土を活用してやれないかと思ったわけです。ただ、村長に就任してどれぐらいの量があるのかを確認したら、そんな整備に使える土はありませんでした。
  そこで困って、何とか手はないのかと模索を始めて、中国四国農政局にも伺いましたし、本省の皆さんのところにも何度も足を運ばせていただいて、そうしているうちに方法が見つかってきたというより、方法を考えていただきました。北川村が従来の事業でしたら、10ha、20haという大規模な園地整備はできるわけがない、そういった場所がないので。
  山間地で、どれぐらいの面積の団地が作れるだろうと考えたときに、まず、こちらへ来て話を聞かせていただいたときに、現地を見てほしいという話をさせていただきました。そうしたら、山間、急峻なところで園地が限られている。そうした中で、団地がどれぐらいの規模だったら、まあまあ何とか可能なのかということを探ってくださり、今、NN事業と呼ばれる農業基盤整備事業ができて、我々はスタート台に立てたと思っているわけですが、それぞれの団地が5反規模で、村全体で5haが作られれば、何とか対応できる事業を創設してくださいました。これによって北川村が生きていく、北川村が生き残っていく産業の基盤となるベースを生むことができるスタート台に立てたと思っております。
  それとともに、対策2にあります基本政策2、子育て支援、教育充実とありますが、実際に基盤整備が順次できていく、でも、それを担っていく後継者あるいは新規就農者をどう育てていくのかということを考えたときに、北川村はここで子育ての段階から、そうしたことを考えられる仕組みを作りたい。これは教育の中で、できれば年齢ごとに子供達の数の3分の1、3人に1人は北川村にゆくゆくは帰ってきて農業で起業してほしい、農業で起業したいと思えるような、そういった教育に結びつけていくことが必要ではないかと考えています。
  子供達が憧れる農業者、そういうふうに捉えてもらえるような環境が必要ではないか。例えば子供達がプロ野球選手に憧れる、サッカー選手に憧れる、そういったイメージで農業を捉えてもらえるようにならないといけないと思っています。そして、実際にそういう環境を育てていくためには、これから先、教育も根底にあり、その中で地域ならではの「北川学」と呼んでいきたいと思っていますが、そうした中で意識を醸成していく必要があるのではないかと思っています。
  次に基本3ですが、実際に先ほどちらっと触れました命の道8の字ルートを今、一生懸命、国土交通省を含めて国でも対応していただいています。これがなぜここに上がっているのか。実際に物流が変わります、これによって。高知県東部、北川を含めて関東でしたら今、輸送に、3日かかります。関西でしたら2日かかります。それが命の道8の字ルート、いわゆる高知県東部から徳島のほうへ抜ける道が完成することによって、先ほど言ったように3日が2日、2日が1日、つまり、約3割の農産物を増量して都会、消費地へ運ぶことができることになります。そうした意味で、非常に大切だと思っているところです。また、村民の安心安全についても同様ですし、日本一元気な長寿村づくり、これも死ぬまで元気で農作業に関わってもらいたいという考え方がございます。
  次のページをお願いします。先ほどの人口シミュレーションがあったように、日本の人口は人口研で言いましたら、約40年後、2060年から2065年に今の1億2,000万人が8,000万人前後になると言われていますが、マーケットが縮小するのは間違いない。そうした中で北川村は今、ユズの需要に対する供給量が7割強ぐらいしかできていないのです。ただ、それでいいかというわけではなくて、先ほどスタート台に立てたほ場整備地をきちっと活用して増量しながら、なおかつ所得を上げていくという取組を考えたときに輸出は当然欠かせません。日本のマーケットだけでなく、輸出を考えることによって、うちが考えている生産量をきちっと売っていけるだけのマーケットを確保していくことをしていきたいということで、現在、既にヨーロッパ圏、フランスを中心に、そちらに輸出を始めておりますし、全国で初めてフランスには青果でも輸出した実績がございます。
  さらにUAEにも広げていきたい。それは徐々にでいいと思っています。一気に広げても、そこらへ集中的に出すことができないので、じわじわと、そういった確保をしながら北川村の生産基盤、イコール、販売販路も確保しながら結びつけていきたい。それで、次に下の2のほうですが、2段目に100ha、100戸の専業農家を育成と書かせていただいています。これは北川村が人口1,000人を割らない村であり続けるために、100軒の専業農家を作ることによって、1軒4人と考えて400人の基礎数値をたたき出すことができるし、100軒の農家があることによって、ユズを産業としてずっと持続できるという意味合いがあります。こうしたものをきちっとしていかないといけませんし、また、こういった目標だけではなくて、ハードだけではなくて、生産技術、こちらもきちっとした技術に裏付けられた栽培ができていくような、そういった仕組みも必要です。これにつきましては、高知大農学部にも協力を得まして、この夏から秋にかけて農業塾を開催して行く予定で、今、動いているところです。
  そうした両面がそろうことによってU・Iターン、北川村では順序立ててまずは規模拡大、兼業農家を専業農家にする、あるいは子供、孫、ひ孫、こうしたゆかりある方に帰ってきてもらいたい。そして、次に土地にゆかりのある人、その次には移住という考え方で地域には投げ込んでいます。ただ、移住というのは必ず欠かせないものだと認識しているところです。
  次のページをお願いします。次に、担い手に農地の創出と集積というところがありますが、最初、北川村はこれまでの経過から、あるいは他の市町村の動きを見ていた中で、ただ、単に農地を集積するから協力してくださいといっても無理だと認識していました。それで、最初、私も農業の専門用語がわからなくて非常に苦労したのが一時所有という言葉でした。北川村が土地を買って、農地を買って新規就農者に分け与えていくという発想はきちっとできていたのですが、そういう言葉を知らないがためになかなか理解してもらうのに時間がかかったという思い出があります。でも、それがわかると全く理解度が違って一気に進みます。そうした経験をさせていただきましたが、実際に北川村でしたら、今、順次、土地を買って園地整備に向けて中間管理機構への移管というか、預けも手続が終わって整備の段階に入りつつあるというのが現実でございます。
  来年度から新植が始まる予定です。この新植が始まる予定というのは、まだ、これに対して苗の準備もしないといけませんし、また、新規就農者や規模拡大農家の対策もしないといけません。ただ、ユズは植えてすぐ収益が出るものではありません。苗を植えて、6年、7年かかります。そうした中できっちり研修も受け、実際にやっている専業農家のところで技術もそれぞれのAさん、Bさん、Cさんというような形で、Aさんのところではこういうやり方、Bさんのところではこういうやり方、Cさんのところではこういうやり方というのを学んで、その中でいいものを取っていく、なおかつ、さっき言いました大学にも力を借りながら、軸になる栽培技術はこういうものだというものを並行してやっていく、そうしたことで生産が上がるに伴い、収益も上がってくる仕組みができるのではなかろうかと、そのためにここに書いていますように、先ほども言いましたが、それぞれ1軒当たり1haを持って対応してもらいたい。
  1haというのは、単純に収入換算しましたら、月30万オーバーというのは軽く超えられる目安だろうと専業農家からも伺っています。これを上手にやれば年商で 1,000万円オーバーも可能だということでございます。先ほどから言っているように、この農業につきましては基盤、それから、安心できる就農環境、あるいはユズの技術の高度化、安心できる生活環境を並行してやることによって、きちっと北川村で生計が立つ、北川村で暮らしていこうというベースができるのではなかろうかと考えております。
  最後のページになりますが、5ページをお願いします。先ほどから言っていますように、農地中間管理機構を活用した樹園地整備事業ができたことによって、北川村は今後、生き残っていけるベースができるようになりました。非常に感謝しております。しかし、本来だったら5ha、10ha、20haの規模でやらないといけないものを1団地当たり5反という規模でやれることによって、山間地の園地が生き返る、また、持続することができる、そういった事業です。これを我々はフルに活用して、北川村が生き残っていく実証例を作っていき、また、日本の中で、高知県の中できちっとした取組が見えるような動きをしていく予定です。
  最後になりますが、本当にこうした事業を作っていただいた農水省の皆様に感謝を申し上げますとともに、まだまだ、これからご支援等をいただきながら、実際に実績というものをきちっと明確化して仕上げていきたいと考えておりますので、ぜひ、今後ともよろしくお願いいたします。
  ご清聴ありがとうございました。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  ただいま、上村村長からご説明いただきました。非常に興味深い取組とこれまでの経過のご説明だったと思います。
  これから20分ほど、皆様から質問やコメントをいただきたいと思います。まず、初めに高野政務官にご発言いただきたいと思いますが、よろしくお願いいたします。

高野農林水産大臣政務官
  上村村長、非常にわかりやすいご説明をありがとうございました。
  ご紹介を皆さんにさせていただきたいのですが、昨日、参議院の予算委員会がございまして、総理大臣、財務大臣を踏まえてNHKでテレビ中継を見ていらっしゃった方がいらっしゃると思いますが、そのときに私が農林水産省を代表して答弁に立ったわけでございますが、中山間地域の農業を今後、どうしていくかといった観点でご質問がございました。皆さん、ご案内のとおり、今、中山間の農業というのは耕地面積の約40%がございます。そして、農家の数は43.7%でございます。そして、全体の農業の産出額のうち、中山間農業が担っているのは40.3%でございます。そこで、政府としましては、中山間地域の振興については日本型直接支払制度など、多様な施策を講じていくことを今後も続けていきたいというのがまず基本でございます。
  そして、中山間地域等直接支払交付金については、高齢化の進展、新規就農者を含む担い手の確保といった課題を踏まえ、バージョンアップします。平成31年度当初予算からさらに加算措置をしてまいります。どういったところに加算措置をしていくのか。これは、1つはU・I・Jターンなどの新たな人材を確保するための取組をする地域、そして、2つ目は福祉・生活など農業者が住みやすく、集落の持続可能性を高めるための取組を行うところに対して、地域に対して加算措置をしていきます。もう1つ、人手不足に対応するため、IoT、ドローンの活用などスマート農業を推進すること、このフルパッケージではなくてもいいのですが、どれか、この1つの項目について取組を加速するところに対しては、土地面積に応じて加算的な予算配分をしていくといったようなことで、モデル的に全国60地域ぐらいを選定して、試行的に取り組んでいこうというふうに思っています。
  また、中山間地の農業ルネッサンス事業という取組がありますが、これは非常に全国からの要望が多いです。多いということもありまして対前年度比40億円アップ、来年度4月1日から3月31日の平成31年度は、440億円を計上することといたしております。あと、ご紹介させていただきたいのは、今、北川村の取組のお話がございましたが、例えば今国会に、これは内閣府の法案ですが、地域再生法の改正案を実は提出して可決するように取り組んでおります。これは何かというと、農地付きの空き家を活用した移住促進、つまり、空き家の農地と中間管理機構で取りまとめた農地を一緒に生かして、移住促進に取り組んでいくといったような取組も進めてまいります。
  そして、最後に昨日の総理の発言を引用させていただきたいのですが、岡山県西粟倉村がございまして、これは人口が15年間で2割減って1,500人を切った村です。村ですが、昨年、初めて人口増に転じ、10人増えたということでございます。これらの背景には、地域おこし協力隊、これは安倍政権が始まる前よりも10倍以上増えまして5,000人規模になって、こういった方々が地域に入って移住して、定住して新たないろんな事業を始めているといったようなことでございます。また、10年前は東京から地方への移住相談は、その半分は60歳以上だったのです。それが今では9割が50歳以下の現役世代で、30歳未満の若者の相談は50倍に増えているといったような東京都市圏の状況もございますので、こういった取組もご紹介させていただきたいと思っています。
  村長、私は質問があります。UAEのドバイの話があったのですが、これらはGulfoodですよね。日本から44の中小の事業者とか食品開発会社、食品加工会社が出展したと私もお伺いしていますが、今、ユズはその中で競合しているんですね。今、村長がおっしゃられていましたユズの技術の高度化、つまり、グローバルマーケティングをする中でどういったユズが求められているのか、確かに北川村のユズはめちゃくちゃうまい。それを私は知っています。ただ、それを成分評価するとかマーケティングして、どういったものが好まれるのかというような評価をされていましたら、ご紹介いただきたいと思います。

上村村長
  以前、うちでも調査したことがあります。うちのユズは何で品質が高いのか、香りが高いのかを調べたのですが、まだ、結果は出ていません。というのは、接ぎ木と実生があります。接ぎ木は、皆さんもご存じかと思いますが、カラタチに芽を接いでユズがなるようにするわけですが、実生は種から育てたものです。そこの違いがあるのだろうと言われていますが、それだけではないなと。今のところは、成分的にはそれほど極端な差があったわけではないです。ただ、うちへ進出してきているゆず王国という企業がありますが、そこの従業員が北川村のユズの加工を始めたら、これが北川村とわかるのです。だから、そういったところから、そういった成分もこれからきちっと調べた中で、ここが違うんだという売り方をしないといけないと思います。
  それから、先ほど高野政務官が言われましたが、まだ、ユズが競合しているといったところで、全体の中でのシェアというのは知れています。そうしたことでいくと、もっと消費拡大することによって、まだまだ、足りないというのが現実なので、ここはもっときちっと整理した中で、戦略を含めて外へ出していくことをしないといけないと思っています。

高野農林水産大臣政務官
  ありがとうございました。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  高野政務官からは先ほどの上村村長のお話にかかわる農水省、あるいは国全体の取組についてご説明いただきました。ありがとうございました。
  それでは、委員の皆様、ご質問やコメントがあったらどうぞどなたからでも、では、渡辺委員でよろしくお願いします。

渡辺臨時委員
  新潟の渡辺でございます。大変力強いお話を聞かせていただきまして、大変参考になりました。
  それで、1つ確認させていただきたいのですが、表紙にあります100戸の専業農家を育成・確保するという目標と、4ページ目にあります1担い手当たり1ha規模を確保したいということは、100戸掛ける1haということは、100haの団地を目指しているということですかというのが1点。そうしたときに、今の5ページの試算によるとユズが反収が70万円弱とすると、1haで単純に粗収益が700万円ということになります。そういうことでよろしいでしょうか。

渡邉部会長
  委員の方のご質問をいくつか受けてからご回答いただこうと思いますが、いかがでしょうか。では、西村委員、どうぞ。

西村臨時委員
  教えていただきたいのですが、1戸当たり1haは、ユズの栽培の作業量としてはどの程度のものなのか、農家としてはかなり余裕を持ってやれる範囲なのか、それとも、1軒の家で2人ぐらいでやるのがぎりぎりだとか、その辺の感覚を教えていただけますか。

渡邉部会長
  よろしいですか。ほかは何か。では、柴田委員、よろしくお願いします。

柴田臨時委員
  ありがとうございます。
  資料の3のところですが、全体の村の面積の1%足らずでユズを栽培しているということで、耕作放棄地も15haありますけれども、今後、さらに拡大していくのかということと、それと田んぼと畑とユズということで農家の年間の労働力の配分でいくと、フル活動のような格好になっているのか。3つ目は上のユズの生産量を見ると増減があります。こういう果樹関連というのは成り年と裏年があって、1つの作物ですと豊凶の差が大きいので、これから生産をさらに拡大していくとなると、この辺の対策というのは何か、これは果汁ということもあるわけですけれども、考えておられるのか。以上3つです。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  では、ここまでの大体経営など耕作規模と能力に関わるご質問について、ご回答いただきましょうか。

上村村長
  そうしたら、重複することもありますが答えさせていただきます。
  北川村は1農家当たり1ha、100軒ということで、100haの整備を目指しています。実際に北川村のユズ農家の平均耕作面積は先ほど言いましたけれども、4反、それ以外の田畑を含めた平均耕作面積は5反ほどになっています。そうした中で、ユズ園地だけでいいましたら、今、トータル、村の中では135haあります。ただ、それもほとんど団地にはなっていなくて段々畑です。そうしたものをきちっと整理する、あるいは引っ越ししながら生計を立てられるようにしていく仕組みを作ることによって、農家の所得を減らさずにやっていけるのではないかと考えています。また、新規就農者、新たに耕作就農していただける方についても先ほど言いました時間ロス、これは研修している間にきちっと苗を植えて公社が管理して、研修が終わった後に引き渡すことができる、そういった仕組みを作ることによって時間ロスなく、こういった果樹作物でも新規就農あるいは規模拡大ができるのではないかと考えております。
  それから、所得につきましては、反当60万円というのは専業農家に言わせれば、たやすくできる金額だと聞いています。これを数軒ある専業農家で確認したら、皆さん、同じように言いますので、恐らく間違いないだろうと。ただ、ここで考えておかないといけないのは、反当60万円で、それで満足するかしないか、さらに1,000万円を目指すのか、実際には1,000万円オーバーの売り上げを上げている農家もあります。そうしたところでいきましたら、大事なのは生産栽培技術。そこをきっちり整理することによって、そうした安定化が図られるだろうと思っております。
  先ほど、表年、裏年の話がございましたが、こちらもきちっと自分達が管理することによって、そんなに極端に差がない農家さんもあります。これをもっと確立していけば、表裏の差も縮まっていくだろうと考えているところです。ここのところは専門家の力を借りて、きちっと技術指導、あるいは自分達が研究していく中で積み上げていきたいと思っているところでございます。
  それから、年間の作業量の問題がありました。これにつきましては、ユズは一番人手がかかるのは収穫です。それ以外の時期は、専業農家は結構余裕を持って生活しています。自分が山へ猟に出たり、川の漁へ行ったり、ある程度、自由な時間も過ごしながら生計を立てることができる。ただ、収穫期、10月の終わりぐらいから12月いっぱいぐらいまでは夜中も働いています。そうした稼働の変則的な部分はありますが、絶対にそこで生計が立てられない作物ではないと理解していますし、北川村ではそれが軸で動いてきていましたので、これをきっちり仕上げた上で次の段階に進みたいと考えておるところでございます。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  よろしいですか。では、森委員から伺います。その後、安藤委員にお願いします。

森臨時委員
  上村村長のお話は大変勉強になりました。わかりやすく、いいお話でした。ありがとうございました。
  質問ですが、基盤整備の話ではなくて輸出のことに関してご説明いただきましたけれども、ページでいえば資料の3ページにご質問があります。最初に安定的な販路の確保の後に、国内市場の縮小及び生産過剰に備えてという文言から始まりますが、1人の女性の消費者としてみると、ユズの人気は割と高いように思います。海外に販路を見出すほうがいいと思うほど消費が減っているのか、実際の数字を教えていただきたいです。香りが高いユズであるというご説明がありましたけれども、加工品ではあまり香りが高いと使いにくいことはありませんか。価格の問題もありますでしょうが、例えばユズハチミツとかいうのがブームになっていると思いますが、そういうものには使いにくいのか、外国に売ることのほうに特化した理由をお聞かせいただければと思いました。質問はその点です。

渡邉部会長
  では、ご回答を先にお願いします。多分、安藤先生は違う観点のご質問だと思うので。

上村村長
  まず、国内市場の縮小について、今、縮小しているかと言えば、そうではありません。今は拡大しています。先ほど言いましたように、人口減少に伴って人口が3分の1減れば、恐らくマーケットも3分の1減るだろう、そういう推測のもとで縮小という言葉を使わせていただいています。
  それから、生産過剰ということにつきましては、平成21年度産はかなり豊作でございました。そうして、そのときにきちっとマーケットを確立できていなかったばかりに、北川村というのは調整団体になって苦い思いをしたことがあります。そうしたことで、きちっとそういったところについても対処できるように、マーケットの確保が大事だということを思っているところです。
  海外輸出については、ベース的に北川村の生産量の中で、まだ、これは個人的に思っている段階ですが、1割から3割ぐらいが外国輸出に対応できれば、それでいいのではないかと考えているところです。絶対的なマーケットは国内、そこの中できちっと売っていくことが基軸です。
  あと、香りの高さについて、これは決してマイナスではないと思います。高く売れるのだったら高く売ったほうがいいと思いますし、そのほうが農家所得も上がりますので。一例に先ほど言いましたハチミツユズを2種類、北川村でも作っています。これは実生の実を使ったハチミツユズと、それから、接ぎ木を使ったハチミツユズ、断然、実生のほうがおいしいです。食べ比べていただいたらすぐわかると思いますので、また、ぜひ送らせていただきたいと思います。

渡邉部会長
  ありがとうございます。
  では、安藤委員、伺います。

安藤臨時委員
  お話をありがとうございました。
  2点あります。いずれも政策に関わる内容になります。
  北川村では、中山間地域等直接支払制度は実際に使われているのでしょうか。集落協定等を結んで、共同の取組でこうした団地の整備をすることは可能だと思うのですが、そういうことは考えられなかったのかということです。中山間地域等直接支払制度で集落協定を結ぶためには一団の農地を設定するのですが、こういう条件の悪いところではそれだけのまとまった農地面積を確保できないといった問題があるのでしょうか。また、単価も水田に比べると樹園地は随分安いです。北川村から見ると、中山間地域等直接支払制度については、こうした問題点がいくつかあるのではないでしょうか。あるいはこういうところ改善してほしいという要望がもしあれば、あわせて教えていただきたいというのが1点目です。
  2点目ですが、これは、ほかの地域への適用可能性と関係するものです。村が農地を購入されているというお話でしたが、最終的にその農地は売り渡すことになるのでしょうか。それから、買い取るときにどれくらい予算を使っているのか、また、その予算はどのようにして捻出されたのでしょうか。所有者が不明で買収するのに大変だった農地があったかどうか、これからそういう問題が出てくるのかどうか、そのあたりの見通しも含めて教えていただければと思います。
  少し難しい話になりますが、耕作放棄地を買収する場合、以前であれば農地法に未墾地買収の規定がありましたが、それはなくなってしまったので、買い取りが大変だったといったことはなかったでしょうか。そのあたりも含めて、今後、この取組を村内に広めていくに際して、制度的な問題があれば、教えていただければと思います。

渡邉部会長
  今のことに関連して、制度あるいは取組の枠組みについての関連のご質問はよろしいですか。
  では、ご回よろしくお願いします。

上村村長
  まず、中山間の直接支払制度の関係ですが、これはこれで、北川村で活用しているエリアが2つか3つあったと思います。はっきりした数字ではなくて申しわけないのですが、ただ、今回、こうして自分達が活用したい事業ができた。これで何が違うのかといったら、中山間の制度でやれるのは限られているのです。段々畑があったら、それを固めて歩いて効率的な畑にできるわけではない。そうしたことを考えると、きちっとほ場整備をした中で効率的な栽培ができるやり方にしないと、今後、せっかく作った土地も後継者に渡していけない、あるいは今、段々畑の園地でユズを作っている農家が子供にその園地で同じように栽培していけといってもやれないです、はっきり言って。ここでは効率のいい園地にして作業効率も省力化して、あるいは機械化してということをやらないと、次世代につないでいけない、地域が残れないということになるので、あえて我々は農水省の皆さんのご協力を得た中で、中間管理機構を使った園地整備をやろうと。それでなおかつ、それをきちっと次世代につないでいって、ずっと北川村が永続できる仕組みを作りたいと考えての対応でございます。
  それから、農地の購入、北川村が準備したのは5億円を準備しています。実際に100haを作って回していくために自分が試算した中では、10億円ぐらい必要かと思いましたが、北川村には残念ながら、そんな財政的体力はございません。そうした中で精いっぱい作ったのが5億、これをフルに活用して北川村が一時所有して、園地ができて栽培収入ができる段階で新規就農者に渡していく、規模拡大農家にきちっと購入していただくことをやって、初めて農家も自分の園地できちっとした収益が上がることになるだろうと。また、そうでなければ、自分が思うところではサラリーマン農家は一生懸命やりません。きちっと自分が畑を持って、そこできちっと自分が作業して収入を上げる、こういうやり方をしないことには身にならないと思って動いていますので、そこはご理解いただけたらと思います。
  決してサラリーマン農家が悪いとは言いませんが、ユズのような作物では先ほど言ったように、労働の時間帯が閑散期と繁忙期とで全然違います。そうした中で、サラリーマンでやっていけるわけがない。ハウスのように考えれば、ある一定の作業量は年間を通じて組んでいけるでしょうが、こういう果樹作目についてはほぼ無理だと思っていますので、そこはしっかりときちっと一戸一戸の農家が、起業としてやっていける形をとらないといけないだろうということが考え方の基本でございます。
  それで、所有権等々もありますが、これは先ほどありましたように不明地等々がありますので、そこは法制度の中で対応できるものは対応していきたいと思っていますし、実際にまだできないものにはぶつかっていないです。ただ、今、次のエリアの設定をしようとしているところで、1軒、不明者がおりまして、そこについてどう対応ができるのかということを今、検討を始めたところなので、これができるかどうかはまだ明確に答えることができない状況です。
  それから、耕作放棄地の購入については、当然、耕作放棄地を購入していくわけですが、きちっと団地ができるところでないと村は購入しません。全然違うところにぽつっとあるところを購入したところで園地整備にならないのでは、そういったところは購入しませんし、きちっと団地ができるところでも、なかなか難しい人もおります。中にぽつっと真ん中だけ、自分はここでないといけないと、感情的にそこの土地を占有したいという方もおられますのでは、そういったところは除いていかないといけないと思います。ですから、できる限り村としたら高齢化されている農家さんの土地を一旦買わせていただいて、そこを整地した中で、その子孫に渡すとか、あるいは新たに新規就農してくれる方に渡していくことで売り渡していくことを考えています。
  先ほど高野政務官が農家住宅込みで、という話をしていましたが、そういったことも今後は考えていかないといけないと。今、村では移住者用、特に新規就農者を優先に考えていますが、そうしたことも含めても、村が購入して家を直して渡していくことは、なかなか難しいです。ですから、そういったところにつきましては、新たに農家団地ではないですけれども、そういったものも考えていかないといけない時期が近々来るのではないだろうかと思っています。
  それから、耕作放棄地問題は先ほど話が出て申しわけないですが、耕作放棄地だけを買うことはないです。実際に耕作放棄地はぽつぽつと飛んでいます。その周りには必ず畑があります。そうしたところを含めて購入させていただいて、整備した新しい効率のいい畑で栽培してもらうという考え方で動かしていただいていますので、ご理解いただけたらと思います。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  あっという間に予定の時間を過ぎてしまいました。まだ、伺いたいことはたくさんあると思いますが、どうしてもこの場で聞いておきたいということがあったら伺いたいと思います。では、染谷委員、手短にお願いします。

染谷委員
  質問ではなくてお礼を言いたいのですが、ここで上村村長のバイタリティ、また、活躍ぶりを聞かせていただきまして本当にありがとうございました。自分自身、勇気をもらった、そう感じでいます。私も千葉県柏市で農業をしていますが、逆に住宅地の近くで農業をしていますので、どんどん農業をする者が減っています。そういう中でいかに農地を荒らさない、後継者をもっと増やしていこうということで頑張っていますが、今日、上村村長の話を聞かせていただいて、よし、もっと頑張るぞという気になりました。
  ありがとうございました。

上村村長
  ありがとうございました。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  最後にいいコメントをいただきました。本当に時間が足りませんでしたが、この場での質疑はここまでとさせていただきます。また、委員から事務局を通じてお尋ねすることがあるかもしれませんので、そのときはご対応をどうぞよろしくお願いいたします。
  では、上村村長の話はここまでとさせていただきます。どうもありがとうございました。

石井計画調整室長
  それでは、ここで高野政務官には公務のため、退席させていただきます。

高野農林水産大臣政務官
  染谷委員、北川村は龍馬の盟友の中岡慎太郎の出身地なんですよ。温泉もありますし、CLTの施設もありますので、ぜひ遊びに来てください。
  ありがとうございました。失礼します。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  それでは、続きましてお二人目のゲストスピーカーにお話しいただきたいと思います。お二人目は株式会社4CYCLEのクリエイティブディレクターのフジノケンさんです。では、フジノケンさん、住民との共創と題してお話しいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

フジノクリエイティブディレクター
  よろしくお願いいたします。フジノです。
  最初にお断りですけれども、すみません、いきなり4CYCLE、フジノケン、クリエイティブディレクター、片仮名と英語ばかりで申しわけないのですが、わからないところがあったらぜひ後で聞いてください。
  私からは、住民との共創ということの実践の事例をご紹介したいと思います。ページでいいますと2ページ目です。フジノケン株式会社4CYCLEとありますが、私のプロフィールについてご紹介しますと、もともとは広告代理店で広告の企画制作に関わっていました。12年前に新潟県津南町に移住しました。
  当時、移住というと今のように大きな流れではなく、実験的なところもありましたが、移住しながらもともとやっていた広告の制作、デザイン、あるいはブランドづくり等といったことを地域に活かしていこうという思いで、この12年間、関わってきました。おかげさまで2017年にはグッドデザイン賞をいただき、2018年、10年間ずっと関わっていた雪国観光圏という日本版DMOの先駆けと言われている取組がありますが、それでジャパンツーリズムアワード2018の大賞をいただきました。
  今の仕事としましては、まず、ディレクターとして雪国観光圏というブランドづくりに関わっています。また、津南町の情報発信アドバイザーとして、住民との共創の場づくりや、全国の13の観光圏が集まった連携のブランドづくりもお手伝いしています。
  また、地域の住民としていいますと、たった3畝なんですけれども、田んぼをやっていまして10年目になります。あと、町内会の評議委員というものもやっていたり、大地の芸術祭という地域アートの祭典の実行委員やボランティア団体、また、ジオパークの推進協議会の委員などをしております。
  目次というページがありますが、今のような移住者の実践として、移住者の立場から少し気付きを共有させていただきたいということと、また、観光地域づくりということで雪国観光圏に関わっていましたので、実践を踏まえてお話をしたいと思います。ポイントは3つで、1つは農村を開くということの課題と、可能性をお話ししたい。2つ目はその中で住民との共創に私は可能性を感じていますが、その実践の事例と、そういった場を作るときに心がけていることをお話させていただきます。
  農村を開くということで、まず、シンプルに言うと1つ大事だと思っていることは、伝えることと伝わることのたった1文字の違いですが、ここに本当に大きな乖離があるということ。これをどうやって地域の人に伝えようかと苦心しています。広告制作をしていますと、伝えたいことが伝わらないことが当たり前ですので、伝えたいことが伝わらない前提で考えますが、農村にいますと極めて濃い文脈というか、共有するものが極めて多くて、少し言っただけでも伝わるという環境が日常だったりします。ですので、どうやったら伝わるのだろうかということを考える機会はなかなかないことが、1つ課題としてあると感じています。
  めくっていただきまして、それと関わる話なんですけれども、私は東京にも事務所がありまして、東京との往復、といいましても基本は津南町に住んでいて、東京に月3~4回出張する、そういう形で仕事をしています。今、10年ぐらいやってきて感じているのは、ディレクターという存在が地方には必要だということです。
  東京では、例えば依頼者、クライアントがいて、表現者とか、あるいはお客さん、生活者の間にディレクターというものがいて、そこが概念とかを操作して企画を作ることをしている。一方、農村では関係性が固定化していることが多く、ディレクターの必要性を、あまり感じることはない。しかし、移住とか観光とか、それを総じた情報発信で農村を多様な関係に開こうとしたときに、ディレクターという存在がむしろ地方にこそ必要なのではないかと感じるようになりました。
  もともと、僕も広告代理店でディレクターとしてやっていましたが、移住した当初は、都市型の職能だから地方では難しいだろうと考えて、わかりやすいところでデザインができますとか、ホームページを作れますという形でやっていました。そのプロセスの中でディレクターという存在がむしろ地方に必要になってくる、農村を開くという意味でいうと必要になってくるということを感じています。
  次のページですが、例えば伝えると伝わるや、あるいは多様な主体をつなぐといったディレクターの存在、そういうたくさんの視座を持つことが必要になってくると思いますが、そのときに1つの契機として観光が位置付けられるのではないかと思っています。これは日本版DMOの雪国観光圏にずっと関わってきた中で感じていることです。
  この場合に、観光をお客様と、それを受け入れる地域と一方向で捉えるのではなく、観光という場をいろいろな観点を持った人が交わる場だと捉え直すことで、そこに新しい可能性が広がるのではないかと感じています。それは、言葉にすると「おもてなし」から「学び合う」関係へ、ということになります。例えばインバウンド等のように、お互いの距離が離れるほどに学びの深さは深まってくると実感しています。
  つい1カ月ほど前ですけれども、スウェーデンの女性のシェフの方を津南町にお迎えして、ご案内したことがありました。そのときに、私としては津南町の縄文の文化を伝え、農村の暮らしを教えるつもりでお迎えしましたが、後でスウェーデンの方から言われたのは、サステイナブルという観点から見て、紹介してくれた縄文とか農村の暮らしは価値があるということ。スウェーデンは、特にヨーロッパの中でもサステイナビリティに関心が高い地域だとおっしゃっていました。なるほどと、そういう価値があるんだなと。こちらは教えるつもりでいましたが、逆に教えられる、そういう学び合う関係性が、観光には可能性としてあると感じています。
  農村を開くというときに、今、言ったようなインバウンドとか、あるいは伝える、伝わるとか、そういった多様な視座を養っていくことが非常に大事なのではないかなというふうに感じていまして、とはいいながらも、それはすぐに養えるものではなく、練習の場として共創の場は、大きな可能性があるのではないかと感じています。
  そのいくつか実践の事例を紹介します。ページでいうと11と振ってあるところで、みんなで編集会議というものがあります。これは津南町でやったのですが、町の魅力を伝えようというテーマで集まった住民の人と一緒に、どういうテーマにしようかというところから、それぞれのページの企画あるいは構成、取材、記事の作成まで全て住民の方にやっていただいて冊子を作りました。2冊作りましたが、1回目の冊子として米をテーマにした冊子を作りました。こういう場を設けることで、地域において当たり前だと思っていたことが、いかに外の人にとって価値があり、伝わるのかを学ぶ場になったと思っています。
  また、同様に今度は映像ですが、秘境で知られる秋山郷というエリアが津南町と隣の栄村にまたがってありますが、その映像の制作を、これも住民の方と一緒に行いました。せっかくだから、皆さん、一緒に作りましょうということで話をしていくと、最初は秋山郷の美しい四季を紹介したいという話になりましたが、そもそも、この映像を作る目的は何でしょうね、あるいはどういう人に伝えたら秋山郷の魅力が一番わかってくれるのでしょうねということを話し合っていくと、せっかく映像で今はインターネットの時代、世界に通じるから、秋山郷の日本の中で有数の雪深い冬を紹介したいという話に自然になっていきました。そういった中でわざわざこんな秘境まで来てくれるのは、異文化に関心のある欧米の人じゃないかというふうにだんだん絞られていき、結果的にそういった冬の旅を紹介する映像になりました。これも、外国人の目線になって秋山郷の価値を振り返って考えるという1つの契機です。
  その次、雪国観光圏、これはフリーペーパーで年4回発行している冊子でございますが、こちらも今、デザインのチームと、7つの観光協会の皆さんと一緒に、雪国観光圏というエリアの魅力を伝える冊子を発行しています。これの編集会議もみんなで冊子のデザイン、構成等を考えながら作っています。
  雪国観光圏の中では、43歳の高収入の女性を大事なターゲットとして設定しています。仮称で今井薫さんと言いますが、今井薫さんにどうやったら伝わるのかを考える練習の場になっていることと、もう1つは7市町村の観光協会は、それぞれ近接する地域ではありますが、それぞれ事情が違うようで、そういったそれぞれの立場の違いも、この場が学び合う場になっています。これは年に4回、1回ごとに3回ほどのワークショップをしていますので12回、これを継続して行っています。
  次、N37°ワークショップとなっていますが、これはいわゆる着地型ツアーを作ってみようということの取組ですが、ここでは雪国文化を来訪者の人に伝えようということを目的にしていて、まずもって住民そのものが地域の知恵を知ろうということで、ワークショップを設けました。これは、いわば現在と昔の時間を超えた多様な視座をここで獲得する場になっていったと思いますし、また、実践として実際にツアーを3回ほど行いましたが、中には外国人が参加してくれた回もありまして、実際に自分達が考えた、こうやったら伝わるのではないかと考えたことを実践の場で、まさにフィードバックをもらう取組になりました。
  最後になりますけれども、こうした共創の場を作っていく上で重視しているポイントということで2つほど紹介します。
  1つは、ワークショップはいろいろなところで行われていると思いますが、私が意識しているのは話し合いのための話し合いとか、ワークショップのためのワークショップにならないようにすることです。そのために制限されたフォーマット、冊子、映像に表現として形にしてみましょうというふうにします。制限があることでどうしても取捨選択に迫られますし、その中で本当に心から大切にしたいことは何なのだろうということに向き合う機会になります。また、表現することで他人にお見せしてそのフィードバック、評価を得ることになるので、その乖離を認識する機会にもなります。
  短期間で成果が形になることで、相手にこういうふうに伝わると思って作ったけれども、実は違ったというフィードバックを得る機会になる。
  次の17ページ、最後になりますけれども、多様なアイデアが生まれる対話の場も意識して作っていまして、何かを作ろうというときに、私はこれをしたいという意見を通すことが往々にして起こり得ますが、極力、そういった意見を通すような議論の場ではなくて、まさにこういう場の真ん中に自分のアイデアを投げ込んで、みんなでそれを確認していく、そういう対話の場を作っています。
  その対話の場を作るに当たって大事にしているのは、対話の文脈というものをきちんと守りながら、その中で流れが生じるのを待つということです。多少、時間はかかりますが、本当にじっくりとこれは待ちながら、その流れが生まれるのをゆっくりと待ちます。流れは抽象的な言葉ですが、なるべく具体化していうと、目的を共有しながら同じ方向を見て、多様なアイデアがその中から生まれてくるという状況のことです。
  最初のうちは、自分はこうやりたい、こうやりたいといういろいろなベクトルで話が若干拡散していきますが、あるときにひょんなきっかけで少しベクトルが動き出す瞬間があって、そういう時間を大切にして、それをきっかけにアイデアがバババッと生まれるような、そういう場を作れるように意識しています。そのためには平等に発言を促すということと、もう1つは出たアイデア、意見をなるべくその場でさらすということを意識しています。
  また、その文脈を保持することでいいますと、どうしてもどう表現するかという話にいきがちなので、一旦、そもそもなぜ、これを作ろうとしているのだろうねということとか、そもそも、誰に伝えようとしているのでしょうかということを問うように心がけています。
  こういったことをしながら共創の場を作っていますが、タイトルの農村にクリエイティブの種をまくということでいいますと、私自身、この10年間で感じていることですが、単に東京の視点を農村に持ち込むことではないと。農村自身が多様な視座を受け入れることであり、あるいは場合によって育成すること、また、最終的にはそれを外からではなくて、内包するためのきっかけを作るということを意識して活動しています。
  成果でいいますと、例えばみんなで編集会議に参加したメンバーの中で、その後、ゲストハウスを開いてみようということになったり、あるいはその中の人が津南のつなベジ会という活動を立ち上げ、観光と農業をつなげ始めたり、あるいは秋山郷の映像を作ったメンバーの中で、冬期は閉鎖したお宿をやっている若いメンバーがいたのですが、この映像を作ることをきっかけに、冬にやってみようと、動き始めました。全てが共創の場の成果であるとは思いませんが、その1つの契機にはなったと感じています。
  私からは以上になります。ご清聴ありがとうございました。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  それでは、また、20分程度、皆様から質問やコメントをいただきたいと思います。どなたからでも。平松委員、伺いましょう。

平松臨時委員
  大変クリエイティブな取組でありますとか、その背景でありますとか、さらにはワークショップにおけるファシリテーションのノウハウ的なところもご紹介いただきまして、大変興味深くお聞きいたしました。ありがとうございました。
  フジノさんのお話をお聞きしていますと、官か民かという区別で言うならば、民の取組をされている、住民との共創で民の立場で地域の活性化に取り組んでおられると理解したのですが、いわゆる行政との連携といいますか、官民連携、その辺のところで何かありましたらご紹介いただければと思います。

渡邉部会長
  関連したご質問があったら少し受けたいと思いますが、よろしいですか。では、どうぞ、渡辺委員、お願いします。

渡辺臨時委員
  新潟県をフィールドとして活動していただいて大変ありがとうございます。私も津南郷をよく知っていますが、特に雪国観光圏の話は某旅館の代表の方からお聞きしました。そこで、こういう取組に参加してくる方、メンバーは、どういう方がどういうタイミングで集まってくるのかが不思議です。そのきっかけがあるのかどうか、お聞かせいただけるとありがたい。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  では、行政も含めて、関わる人との関係についてご説明いただけたらと思います。

フジノクリエイティブディレクター
  まず、官民協同に関していいますと、雪国観光圏の、私は民間の立場で関わっていますが、雪国観光圏は一般社団法人雪国観光圏という民が集まった組織と、あと、雪国観光圏推進協議会という官、市町村と、あと、観光協会が入っている組織がありまして、そこの二本立てになっています。その2つの主体が一緒に集まって会議をする雪国観光圏戦略会議というのがございまして、月に1回、定期的に開催しながらワーキンググループの取組を共有したり、官の側の要望を聞いたり等しております。
  雪国観光圏の参加メンバーでいいますと、参加メンバーも濃い人から薄い人まで、いろいろな階層があって例えば雪国観光圏ブランドワーキンググループの参加者は、こちらからしかるべきルートを通してお誘いするというような形で参加していただくようにしています。
  濃い人達、代表になっている旅館の井口さんであるとか、雪国A級グルメを企画し、プロデューサーとしてやっていらっしゃる岩佐さんとか、何人かコアなメンバーの人達がいますが、その人達は本当に何をきっかけに、どういう思いで関わったのかということは、実は僕達も自分自身も含めて結構不思議なところがあって、よく酒飲み話をしますが、これは希望と愛ではないかという話をしています。
  雪国観光圏が掲げている雪国文化とか、雪国の知恵をコンセプトにしていますが、そのコンセプトに何か希望を感じた人が、自分もそれに関わって何かを残したいと感じていることと、あとは僕自身も含めてですが、皆さん、地域に住んでいらっしゃる方なので、地元への愛というか、自分達の子供の世代、孫の世代にどういうふうに地域を残していこうという思いが重なった人達が、どこかのタイミングでつながって参加しているのだろうと思います。

渡邉部会長
  よろしいですか。
  では、引き続いて、では、長谷川委員、伺います。

長谷川臨時委員
  大変参考になる話を聞かせていただきましてありがとうございました。
  1つお伺いしたいのはフジノさんが10年間取り組まれた結果、この地域にどういう変化が起こっているのかということです。例えば観光についてはインバウンドもあるでしょうし、国内の観光客もあるでしょうが、観光が増えて注目されていく中で、例えばフジノさんがこちらに移住なさったように、東京圏などから移住する人が増えて人口の減少に若干なりとも変化が生じているんだとか。あるいは産業として見たときに、観光も含めてこういう産業が新たに起こり始めているだとか。あるいは農業についても例えばどういう作物を作っていくのかということを考えたときに、観光なり、インバウンドなりというものを想定しながら何か変化が起こってきたのかとか。その辺、何でも構わないのですが、どういうプラスの変化が起こってきたのかということについてお伺いできるでしょうか。

渡邉部会長
  何か関連してよろしいですか。
  では、フジノさん、今のご質問にご回答いただきましょうか。

フジノクリエイティブディレクター
  まず、観光に関していうと、雪国観光圏というレベルでいうと着実に、かなり急激にインバウンドのお客さんが増えてきております。これは観光圏の取組の成果というだけではなくて、大きな潮流の中で、また、地理的な条件もあったりすると思います。東京から70分という地理的な条件もあると思うので、これが観光圏の成果と一義的には言えないかと思いますが、状況としてはそういうことが1つあります。
  移住者に関していうと、津南町の移住者は地域おこし協力隊も含めて、ほかと比べて多いわけではないです。農業の新規就農者は昔から着実にいらっしゃいますが、量として多いというわけではありません。1つは移住なり、観光なりで関わった外の人が質的に濃い付き合いをしている。あるいは移住した方がゲストハウスを始めて、住民とか来訪者を対象にしたワークショップを始めているとか。旅館のおかみさんが冊子づくりを契機につなベジ会という会を立ち上げて、旅館において津南の農産物を料理とか、販売するとか、キャンペーンみたいなことを始めているということがあります。
  先ほどのご説明の中で、多様な視座をお話しさせていただきましたが、観光とか移住というものも1つの成果はもちろん入れ込み客数であるとか、あるいは人口増があると思いますが、もう1つ大事なところは質的な面で、農村を開くという意味での新しい視座を獲得するというような意味合いもあって、それもかなり重要なのではないかと感じている次第です。

渡邉部会長
  よろしいですか。ほかはいかがでしょうか。
  今のことに関連して私も1つ伺います。外との関わりとか、いろいろコミュニケートするやり方が醸成された中で、地域の皆さんが足元を見て、それだったら、ここの暮らしの環境でこういうところも直したいよね、などといったリクエストとか、その進め方についての何かアイデアなどが出てくることはないのでしょうか。例えば、それだったら、ここの道路をこうしてほしいとか、観光だけではなく直接の暮らしに関わるようなところですが。

フジノクリエイティブディレクター
  直接、暮らしに関わるようなことでいうと、特殊な例ではありますが、こういった取組をしていく中で、この地域の雪国文化というものをフォーカスしようとしたときに、わらでつくる雪室が昔から作られていたんだということを発見して、いまだにそれを作っていらっしゃる方がいるということで、その人に雪室の作り方を教わる会をしました。それから今年の冬は自分で作ってみましたという感じで、本当にわずか1人の人が作っていただけだったものが今年の冬は多分、10人ぐらい人がつくったのではないですかね。
あとはハード面ではないのですが、最近でいうとSNS、フェイスブックとか、そういったところで雪国の文化、雪国の知恵というふうに発言される方が増えてきているというのは、実感としてあります。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  ほかはいかがでしょうか。こちらにお座りの農村振興局の幹部の皆さんも、何かご質問があったらおっしゃっていただいたらと思います。
  そうしましたら、大体予定の時間になりましたので、フジノさんのお話はここまでとさせていただきます。
  先ほど私は、皆さんをミスリードするような発言をしたのですが、実はこの後、休憩を取った後、ゲストスピーカーの方もお二人に加わっていただいて、自由な意見交換をさせていただくので、まだ、上村村長に対しても質問のチャンスはあったということです。そういうことで、一旦、休憩に入らせていただいてよろしいでしょうか。では、10分間の休憩で、14時35分の再開にさせていただいて、休憩後は今、申し上げましたようにゲストスピーカーの方も加わっていただいて、お二人にお話しいただいた話題について自由な意見交換にしたいと思います。では、休憩に入らせていただきます。

14時24分  休憩
14時35分  再開

渡邉部会長
  予定の時刻になりましたので、再開させていただきたいと思います。
  先ほど申し上げましたように、これから大体30分間ぐらい意見交換をさせていただきたいと思います。ゲストスピーカーのお二人にも加わっていただきまして、先ほどのお話を材料にもさせていただきながら、自由に意見交換をさせていただきたいと思います。まだ、ご質問があれば伺い、その回答を踏まえて、また、議論が深まるかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。では、どなたからでも、どこからでも、では、柚木委員、お願いします。

柚木委員
  大変貴重な話をありがとうございました。
  お二方にご質問といいますか、どういう取組をされているのかということでお聞きしたいのですが、今、農村現場で5年先、10年先を見通して現場の振興を図っていくための地域の話し合いといいますか、これは農地の問題も人の問題もそうですが、こういう話し合いを地域の方々の意識も高めながら前へ進めていくためにどういうふうにされているのか。1つは上村村長さんのところで、新しいユズを中心とした地域おこしの取組を当然村がかなり先導されてやっていらっしゃるのだろう、それぞれ、農地を有効利用するときに現場の住民の方々、農業者の方々の話し合いへの参画といいますか、そういう場をどういうふうに作られていらっしゃるのかであります。
  それから、フジノさんにそういう地域の中で行政の方とか、それから、地域のリーダーの方がこの地域の活性化のために、こういう話し合いを進めないかというときに、フジノさんのような方がいらっしゃればいろいろな話でリーダーシップを持ってできると思いますが、地元の方がそういう役割を背負ったときに、こういう点は注意したほうがいいとか、こういうふうに進めていくと新しい発想も生まれたり、意識も高まっていくのではないかという、何かポイントがあれば教えていただければと思います。
  以上です。

渡邉部会長
  ありがとうございます。
  お二人に回答していただきたいと思いますが、ここからは自由な討議なので、回答に加えて関連してお考えがあったら自由にご発言いただけたらと思います。では、上村村長からお願いします。

上村村長
  地域の中での話し合いですが、簡単ではないです。我々は年に一度、15地区だったかな、分散して地区で座談会をやります。そのときは、政策的なところは話をしますが、来る方が固定してしまいます。だから、実際に伝わるのはごく一部。だから、先ほどフジノさんが言われましたが、伝える、伝わるという非常に難しさを感じています。それと、今回のこの事業でしたら、専業農家はどういう意図があって、どうしたら収益が上がってということを話した途端に理解できましたが、兼業農家であるとか、あるいは農業に携わっていない方は非常に難しいです。先ほど反当60万という話をしましたが、専業農家だったら簡単だという話、でも、兼業農家であったり、農業に携わっていない方は難しいといいます。これを理解させるのは生半可では伝わりません。
  だから、今、考えているのは、実際にそういう新たに新規就農して収益が上がったぞという実例を作らないといけないのに躍起になっています。今、若手あるいは移住者でやってくれている方が出始めています。そこの取組によって、もっと広がりを持たせていくことができればということで、頑張れ、頑張れと発破をかけながら、頼むぞ、頼むぞと内心は思っています。
  あと、それと伝え方の中で行政だけが言ってもいけない。ユズ部が農協の中にあったり、あるいは村が絡んでユズの振興協議会もつくっていますし、また、ユズの輸出促進協議会もつくっています。そういったところで、必ずこういうふうにやっていっていますよとかというのも、絶え間なく伝えているのが現状です。答えになっているかどうかわかりませんが、農家は成功事例があればまねしてくれるので、早くそこへたどり着けるように頑張っているところです。

渡邉部会長
  では、フジノさん。

フジノクリエイティブディレクター
  リーダーシップに関していいますと、1つカリスマを求め過ぎないというのは今の時代、あると思っています。雪国観光圏は、ジャパンツーリズムアワードの大賞を取ったりで注目されていて、代表の井口さんが外に出て話をされることが多いので、井口さんというカリスマが1人で引っ張ってきたという捉えられ方をすることが多いのですが、1面で確かにそういうところはありますが、誤解もかなり多く、雪国観光圏という取組が進んできているのは、実は雪国文化研究ワーキンググループという学芸員の方が集まる部会があって、そこの座長を学芸員の方がされていたり、あるいはもっと言うと、女性コーディネーター研究会という、スーツの人ばかりの会議が多くて女性が集まる会がなかなかないので、そういう場を作りたいと集めた方がいらして、そういう女性コーディネーター研究会も動いています。
  それぞれ、リーダーのタイプが違います。井口さんは、変革型のタイプだと思いますし、女性コーディネーター研究会の方は多分、本人はリーダーと思っていないと思いますが、支える側というか、自分はなるべく出ないでいいことを引き出すみたいな方で、僕なんかが見ていると、それは新しいタイプのリーダーだと思ったりしますが、そういう意味で、地域でいくときに万能のカリスマを求め過ぎないで、でも、多分、得意分野を持った、あと、志を持った方はきっといらっしゃると思うので、そういう分散型のリーダーシップみたいなことですかね、というのが1つきっかけとしてあると感じています。

柚木委員
  ありがとうございます。

渡邉部会長
  よろしいですか。ほかはいかがでしょうか。西尾委員、伺います。

西尾臨時委員
  西尾と申します。大変貴重なお話を本当にありがとうございました。
  今のご質問に関連してですが、地方にこそディレクターが必要だと本当にそう思いますし、観光地づくりとかではなくて、地域づくりなんだと前にいただいた資料には書いてございまして、私も本当にそう思っています。そういう地域づくりをしていかないと、地域のすばらしさを後世の子供達に伝えることもできないと思うので、本当に大事だと思いますが、ディレクターがこの部会的にいうと、どういった人達がディレクターになり得るのかというようなところのご意見があったら、教えていただきたいと思います。

渡邉部会長
  お願いします。

フジノクリエイティブディレクター
  いろいろな立場になってみられることが大事だと思います。この地域でずっと根ざしてきた方の立場にもなれるし、今の時代の例えばお1人様で食事へ行ったり、観光へ行ったりするという女性のことも、何となくわかるしという、いろいろな立場になれる人がディレクターとして必要な人材だと思います。そこは結構育成できると僕は感じでいて、そういう育成の場として、先ほど紹介したような一緒に作る場を作るのが、いいきっかけになると思って活動しているところです。

西尾臨時委員
  同じく上村村長にもお伺いしたいと思います。

上村村長
  ディレクターですか。直接、すみません、ディレクターという考え方をしたことがないので、当てはまるかどうかわかりませんが、それぞれ、うちのユズの取組にすれば各地で引っ張ってくれるだろうというより、お世話してくれる人が大事だと思っています。今日の会議の中で地域おこし協力隊の話がありました。先行して1人入ってくださっている方で、ユズをやろうかという気になってくれている人がいます。でも、その方がそういうふうになっていく過程では、それぞれの地区の方でお世話してくれるところがあるところです。だから、そういう方をきっちり作っていく。だから、そういうことができ出すと、北川村は30ぐらいいろいろな地区がありますが、そこのそれぞれの地区がありますが、それぞれの地区が生き残っていくことができるのではなかろうかという例になりそうだと思って、今は、見守っています。

渡邉部会長
  よろしいですか。
  では、西村委員、いかがでしょうか。

西村臨時委員
  また、フジノさんにお伺いしたいです。非常に興味深い話で、ご意見を伺いたいのですが、今までの委員の方の質問も踏まえて、ディレクターは自然発生的に生まれるのか、それとも、現地で育てるか、もしくは、外で育った人を連れていくか、それはいろいろだと思いますが、それなりのトレーニングを受けた人を、充てるべきなのか。自然発生というような考え方の人達も、以前はいたと思いますが、そこの辺はどのようにお考えでしょうか。

フジノクリエイティブディレクター
  トレーニングは必要だと思います。さっきの世話役がすごくしっくりきましたが、そういう立場を考えられるということ。あと、ディレクターというのは方向付けをして導く人でもあったりするので、そういう意味でいうと、今のマクロ的な変化とか、そういうことに関しても知っている必要がありますし、組織論等も多少知っている必要があると思うので、そういうところはトレーニングとか、もしくは学ぶ意欲のあるということは資質として必要だろうと思います。

渡邉部会長
  西村委員もおっしゃったいろいろなやり方があったり、いろいろなときに、いろいろな方法があると思いますが、西村委員はそれを大学でも考えているということがあって質問されたのでしょうか。

西村臨時委員
  前職でそういうことを目指したクラスというか、トレーニングのカリキュラムみたいなことを考えていた方達がいました。異動する前の前の職場で。安塚にも見学に行ったことがありますが、いくつかの地域で村おこしのようなことをやってきて、でも、なかなか長続きしませんでした。現地でうまくいったのは最初の数年で、その先、続かなくて、活動や人が再生産していかないのはどうしてなのかなと疑問に思っていたので、そういう意味で質問させていただきました。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  武山委員何か関連してありますか。

武山臨時委員
  関連ということではないのですが、よろしいですか。上村村長に2点、1つは感想というか意見で、1つは質問です。
  まず、意見から、感想から申し上げます。平地の農業を考えると、1戸の農家が1haというのは当然、小規模に見えるわけですが、地域の地理的条件を活かされながら、1戸当たり1haで当然、専業農家がやれるんだと、これは私も愛媛でみかん農家を見ておりますので、十分、腑に落ちるところでございます。こういった農業の1つの姿が十分、日本の農村であり得るということをもう一度、我々は認識する必要があると思いました。
  といいますのは、長年、土地改良の流れを見ていますと、大規模な農家を育てよう、労働粗放型の農家を育てようという大きな軸があって、当然ながら中山間地域には特例的に面積が小さくても、ほ場整備の要件に乗せるという仕組みがありましたが、あくまでオプションであったり、特例であったりしたと思います。しかし、こういう非常に現実的で意欲的な取組を拝見しますと、こういう路線がむしろ我が国の1つのあるべき姿だということを捉え直す必要がある。オプションではなく、また、要件を緩和したということでもなく、ここを目指すんだというようなほ場整備の考え方が非常に重要ではないかと思いました。
  そういう大規模農家で、粗放型でという1つの軸だけではなくて、我が国の多様な国土に合った小規模で、さらには労働集約型の農業を山間地で展開していくと、この軸ももう1つ重要な軸として多軸型の土地改良を考えていかなければいけないということです。
  付け加えますと、おそらくこれは農業だけの戦略ではなくて、地域の戦略でいらっしゃったはずで、こういう100戸の農家を育てられれば、それだけ地域に人口が増えて、地域社会の利潤にも当然つながっていくお考えももちろんあったことと考えるわけです。農村、地域社会の維持、インフラの維持にも人手が要るので、1戸の農家が5haも10haもするような農業ではなくて、小規模でも労働集約型で生産性の高い農業を展開する。これは非常に重要な今後の未来型の農業だと大変心強く感じた次第です。
  もう1つ、付け加えますと、4つの団地に分かれて、やっと集約して5haのほ場整備をされるということをお示しいただいています。これも非常に重要な点です。永年性作物を育てる農業の場合は、ほ場整備に当たって何年も収益の上がらない時期が当然出てまいります。そのときに、玉突き式に、段階的に1つのエリアの中でほ場整備ができると、どこかの団地では収益が上がっているということが実現できるので、これも一般的にはこんな4つにも団地が分かれているようなところを1つの計画エリアでほ場整備するのは、効率が悪いような見え方がするかもしれませんが、これも非常に理にかなったやり方だと思い、大変感心して拝見いたしました。
  次、質問です。今回、中間管理機構を使われているところで、通常、農地は我が国の土地基本法に照らし合わせれば公共財ですけれども、私有地であるので、個々の農家の意向が極めて強く反映されるものではございます。しかし、今回、このように中間管理機構、さらには村を挙げて農地の買い付けに乗り出されたことによって、村の戦略をほ場整備の中にうまく埋め込める非常にいい仕組みをとられたと、これも大変学ばせていただいたところです。
  こうなりますと、村の戦略が極めて重要と、農業の戦略だけではなくて、村としてどこを目指すのか。それを思ったときに、今回、いただいた資料では2060年に目指す北川村の姿と。つまり、40年以上先を見越して、皆さん、ビジョンを作られている。これは本来、市町村の皆さんには、難しい大きな課題だと思います。このビジョンをなぜ立てられたのか、また、おそらく村長のリーダーシップがあったことと思いますが、こういう具体的な計画、ビジョンをどのように立てられたのか、何か工夫された点があったらぜひ教えていただきたいと思います。

渡邉部会長
  では、上村村長さんお願いします。前半はコメントでしたが、関連してそれにお考えがあったら、さらに付け加えてお話しいただいても構いませんが。

上村村長
  前半と後段のビジョンは同じような答えになるので、ひとまとめにさせていただきますが、実際、2060年を描いたのは各市町村、全国津々浦々、どこもやっていると思います、地方創生総合戦略を立てているはずなので。ただ、2060年というのは1つの長いスパンなんですけれども、それ以前に、今日、お話しさせていただきました2030年の場合だったら推計上1,000人を割るということになります。そこまでにどういう手立てができるのか、そこまでにある一定の手立てができなければ、その先の2060年はほぼ難しいという状況になります。だから、そこを目指して今はやっているところですし、それに対して農水の方々にもご協力いただいて、制度を創ってくれたので、そこへ踏ん張っていけるスタート台に立てたわけです。
  制度がなければ、うちのような山間地でほ場整備は無理です。単独で一般財源でやろうとしたところで、何もできません。そういう制度があるからこそ初めてできることですし、そういう制度があるから地域がこぞってみんなでこうやって、一丸となってやっていこうよという組み方ができたのがもとにあります。
  最初、作ったときにはそこまで言えなかったので、村民に対して自分もこうなっていくんだよということを、胸を張って言うことができませんでした。ただ、そうやっていく中で制度を創設してくれたことによって、こういうふうにプランが見えてきた。来年、新植できる、その新植もある、その次もできるということが描けてきた。それによってそれぞれの地域の農家、あるいは農業をやろうという方々がもう少ししたら順番に面積も増やしていける、そうしたら生計も立つ工夫ができるというところが見られるようになったのが一番大きいです。
  だから、地域社会はそこからつながっていく。最初の説明でもさせていただきました。決して基盤整備だけが主ではないです。しかし、この基盤整備がなければそれは生むもとがないので、地域へつないでいくということも当然できません。生むもとがあって初めてそうしたことができますし、そうしたら教育環境にしろ、健康環境にしろ、どうやっていくのかが言えるようになる。それの大もとができたことに感謝し、次の段階として地元のおばちゃん達に、あんたら、病気になったらだめやでという話をするわけです、健康でおってよと。北川村は1人1人が亡くなっていくと人口がおらんなるから、絶対に病気はするなと、健康で頑張ってくれということが言えるようになっていく。そうしたらおばちゃん達が、ほんまやねと思ってくれるようになるわけです。だから、そういうつなぎができるということがあって、作ったビジョンがより鮮明になってきたところです。

武山臨時委員
  ありがとうございます。
  ともすると、ほ場整備主導型というか、事業があるからとにかくほ場整備をやろうという形で、やった後の戦略がなかなか描けないまま、とにかくほ場整備やという形も残念ながら当然多く見受けられるわけです。今、ご説明いただいたように、制度があったからこそビジョンが実現へ向かっていったというのは当然あると思います。しかし、そもそもビジョンを描かなければいけないという動きというのは非常にすばらしいなと思います。これはちなみに何か委員会を立ち上げられたとか、例えば地域ごとの戦略を地域ごとに考えてもらって、それを北川村としてひとまとめにされたとか、どういうプロセスでこのビジョンは描かれてきたのでしょうか。

上村村長
  まず、最初に言ったように北川村が生き残っていくためには何が必要なのか、当然、働くところがあって収入がなければできません。だから、そういうものは何なのか、それと、ただそれがあっただけで、そうしたら、そこに地域社会が形成できる、人が住み続けるのかといったらそうではありません。当然、生活するための環境ということ必要ということが生まれてきます。それをベースにして、副村長時代からいろいろな経験をさせていただいていたということもありますが、そこで北川村で構成できる要素は何かを考えていくと、まず、産業でいったらユズしかなかった。ほかにみょうがとか、いろいろなものがありますけれども、実際にどこを軸にすれば一番動きやすいのかといったらユズだったということです。
  それと、ユズにしてもさっき説明しましたが、専業農家がほぼいませんでした。兼業農家あるいは片手間農家というのがたくさんいて、農協のユズ部に参加している戸数でいったら約300ぐらいあります。しかし、実際に専業農家でやっているのは10戸足らず。定年専業農家を入れると20戸ぐらいになりますか。そういうレベルなので、産業としても維持させることをしないと村が成り立っていかない。だから、産業を創る、それから、生活環境を作る、産業はユズだ、ユズは効率的に作れる耕作面積が必要になるから、それをやっておかないと後がない。当然のように、狭地で段々畑で、息子にやれ、あるいは北川村に移住して農家をやらないか、農業をやらないかといったところで誰も振り向いてくれないので、きちっとそこのところを整理する必要がありました。
  それと、生活環境のところでも、まず、今、やろうとしていることは教育と言葉がいいかどうかは別にしてピンピンコロリです。これは何でかといったら、人口をできるだけ減らしたくない。高齢化で、今、うちは高齢化率が40%を超えています。そうした中で、できるだけ人を減らさずにやろうと思ったら、年寄りに長生きしてもらうしかないのです。長生きしてもらっている間に、こっちの対策が少しずつできてくれば、何とか減少率も緩和できるだろうという組み合わせです。
  それと、もう1つ子育て世代、ここに振り向いてもらうためには教育も必要だし、ただ、都会でできる教育だけをやっていても人は来ないので、そこは北川村ならではのオリジナルの部分をどういうふうに組み上げることができるのか、それで、将来にわたって産業を維持していくためには、そこの教育の部分でしっかりユズだったらユズを学校で勉強して、その後、帰ってきてユズをやろうじゃないかという意識の醸成をしないことには、農業は続いていかないと思っています。
  根本的には1つ1つのことが昔だったらテーマがあって、でも、横のつながりがなかったわけです。こういったものを社会形成の中で1つのくくりとして、産業があり、教育がありというものをしっかりとうちの中で作っていくことが大事じゃないかというのが考え方の根本になっています。

武山臨時委員
  ありがとうございます。

渡邉部会長
  よろしいですか。ありがとうございます。
  随分、核心を突くような議論というか、お話をいただけたなと思いますが、ほかはいかがですか。では、浅野委員、お願いします。

浅野臨時委員
  京都の浅野でございます。私も高知県の出身でして、実は高知の食べ物をたまに食べたくなると東京にアンテナショップ、まるごと高知というのがありまして、そこの中に今日の北川村の実生のユズ酢がありまして、確かにとても香り高くて、すばらしい試みだなと前から注目しておりました。
  今日のお話も非常に説得的で、いろいろおもしろい取組をやっておられるなと思ったのですが、1つだけ私はわからない点があって教えていただきたいと思います。これを拝見しますと村の中のほとんどが実は林地、林地の面積が圧倒的に広くて、今日は全く林業の話が出てこなかったのですが、資源的にいうと、林地とどうやってうまく組み合わせるかみたいな形の取り扱いもある種できたと思います。
  ただ、一方で村がとられた戦略は、アイコンという言い方をする一種のシンボルを作って、みんなの気持ちをそこに集めるためにユズがそのシンボルになるという意味で、非常に戦術的に私はうまいと思います。ただ、全体として所得形成を考えようと思うと、ある資源を全部使ったほうがいい。そうなったときに、林産物はどうなっているのだろうと思いましたので、もしかしたらほとんどは国有林で直接関係ないのかもしれないですが、その辺の事情をご教授願えませんか。

渡邉部会長
  よろしくお願いします。

上村村長
  林業はかなり課題があります。現実に北川村の森林面積は95%ほどあります。そのうち半分が国有林、半分がほぼ民有林と言っていいぐらいです。その中で、実際に林業で生計を立てている人は専業でいません。森林組合の職員ぐらいです。はっきり言ってそれはお金にならない。何ぼ山を持っていて木がそこに植わっているといっても、申し訳ないけれども、国の資金、県の資金、村の資金を垂れ流しで搬出してようやく何とか回っているのが現実です。
  ただ、本当にそうしたら林業で食っていく仕組みができないのかといえば、そうは思っていないところがあります。ただ、どういう打開策があるのかというのはまだたどり着いていません。北川村ではCLT、知事も含めて、高野大臣政務官も含めて、それぞれに役割があって推し進めているということがありまして、昨年、オープンした北川村温泉があります。CLTでつくりました、どういうものになるのかわからないまま。ただ、それはうちの村会議員みんなが地元でつくるのに、コンクリート建てではどうもなるまいと、地元の木を使えと、絶対にいいぞという後押しがあったのでやらせていただきました。
  そうしたら、温泉へ来るお客さんと裸でお風呂には入っているときに話しましたが、CLTがわからないのです。木造というのはわかりますが。だから、そういったところはもう少し工夫しないといけません。もっと広がっていけばいいと単純に思っています。

浅野臨時委員
  私は素人考えで、今まで林業というのは木材に対して意識を集め過ぎたのではないか、非木材の林産物は実はたくさんあり、あるいは木材でも使い方を考えるといろいろできます。私自身がその地域の杉の名刺を使わせていただいております。実は隣の馬路村です。馬路村は木のかばんという形で売り方をしておられる。だから、そういう意味では、木材を建材として使うだけではなくて、木材あるいは非木材林産物と北川村のユズとうまく組み合わせたら、いろんなものが実はできる、いろんなものがパッケージになって売れることが、地域の所得を形成するではないかと思うので、プラス、鳥獣害とかいろんな問題もありますので、農と林が、問題を一緒になって考える視点が出てくると、もっと幅広い展開があるのではないかと素人考えで思いますので、もしよろしければということです。
  以上です。

上村村長
  ありがとうございます。
  本当に捨てることはないと思います。せっかくうちの行政区域の95%もある山を指をくわえて見ている必要はないと思うので、何とかしたいという気はありますが、今、即座に何かあるかといったら対応を要しないだけです。それともう1つ、村の職員にも数に限りがありますし、戦力的にどうやって、やっていけるのかといったら、ある一定、絞りながら展開していかないと幅広くはできないです。そういった事情もあります。でも、頑張っていきたいと思います。ありがとうございます。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  ほかに。では、柴田委員、どうぞお願いします。

柴田臨時委員
  フジノさんにお伺いしたいのですが、お話の中で伝えると伝わるというところに非常に興味があります。津南町を拠点にして地域観光をつくっていくというお話の中で、外の多様な主体に対して伝えることはなかなか難しい、ただ、農村では伝わるのだと、こういうことで農村の外に伝えていくための工夫としてディレクターさんがいて、いろいろ話し合いをしていろんな手段をつくり上げていくということでありますけれども、最終的に目標というのは地域の観光づくりというのが目標ですけれども、そのための結局、着地点や方向性が、時間軸を含めて、ディレクターとしてのフジノさんの頭の中に既にありますか。それともどういう着地点に至るか、まだわからないですか。そこを津南地域の中から取り出そうとしていますか。

フジノクリエイティブディレクター
  自分の中には概要としてはあります。ありますが、それを押しつけたくないという思いがあって出さないようにしています。結果的に僕がこういうふうにしていったらいいのではないかという方向にならなくてもいいと思ってもいます。そこは本当にみんなと一緒に作っていくというものだと思うので。そこでリードが必要な場合は、こういう方法があるのではないか、こういう価値を使って、こういうところに訴えていったらいいのではないかということを時に応じてそれこそ導こうとは思いますが。地域の場からさっき言ったみたいに、対話の中で流れができ上がっていくことが大事だと思っているので、そこはじっくり我慢してやっていきたいと思っています。あとはスパンでいうと20年、30年かかるとは思っています。それがどういう方向になるか、僕が考えている方向なのか、それかわかりませんが。さっきのビジョンの話にも通じますが、雪国観光圏も10年間やってようやくここまで。とはいえ、割と外の評価は多少、期待値も含めてされてきていますけれども、地域の中でというのはまだまだの部分が非常にありますので。新たにまた、津南でも地域づくりのDMO化みたいなことの動きも少し進もうとしていますが、この先、20年、30年というふうに考えた上で、そのぐらい腰を据えてやっていく必要があるだろうと感じています。

渡邉部会長
  よろしいですか。ありがとうございました。
  予定の時刻になりました。休憩後は自由討議と申し上げましたが、質問が中心になりました。その中で委員の皆様からも質問を超えてご意見をいただいたので、いい意見交換ができたと思います。先ほども申し上げましたが、まだ、伺いたいことがたくさんあると思いますので、お二人のゲストスピーカーには今後、また、委員から事務局を通じて何かお尋ねすることがあるかもしれないので、そのときはどうぞご対応いただきたいと思います。
  それでは、ゲストスピーカーお二人を交えての意見交換はここまでとさせていただきます。どうもありがとうございました。
  では、議事に沿って審議を進めていきたいと思います。
  昨年8月の部会では、農業農村整備の新しいフロンティアについて議論していくということになりまして、これまで現地調査を含めまして1月の部会でも審議を進めてきたところであります。この部会の取りまとめに向けて、現在、事務局がこれまでの審議を踏まえて資料を整理されておられるので、まず、事務局からご説明をいただこうと思います。では、事務局、よろしくお願いいたします。

石井計画調整室長
  まず、部会長、お二人には最後までいていただく予定でございますので、今からご説明することについてもご意見を。

渡邉部会長
  わかりました。私の理解が間違っていたかもしれません。それでは、引き続きご出席いただいて、適宜、ご意見があったら言っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。では、事務局、よろしくお願いします。

石井計画調整室長
  それでは、お手元の資料3でございます。
  まず、2ページをお開きください。審議のスケジュールでございます。昨年8月の1回目の部会で昨年度の議論を取りまとめた上で、今年度の審議テーマを農業農村整備の新たなフロンティアとして、ご審議いただいているところでございます。現地調査を含めてこれまで3回の審議を行っていただいております。それで、ページの右上なんですが、来年度の第1四半期に来年度の1回目の部会を開催して、そこで今年度の審議の取りまとめを行いたいと考えております。そこで、今日の部会でこれまでの委員の皆様のご発言を整理した上で、農業農村の将来の方向性について整理した資料を今からご説明いたしますので、ご意見をいただければと思います。
  3ページをお願いいたします。こちらは昨年8月に取りまとめた29年度の審議内容でございます。昨年度は2つの検討課題についてご審議いただきました。1つ目が左側の検討課題1、オレンジのところでございますが、情報通信技術を活用した生産基盤のあり方についてご審議いただき、多様な新技術の実証・普及、また、スマート農業に対応した基盤整備について取りまとめを行っております。2つ目が右側、緑色のところでございますが、検討課題2多様な主体が農村に住み続けるような、強くしなやかで魅力ある農村社会の構築に向けた方策についてご審議いただいたところでございます。
  4ページでございますが、こちらは本年度、現在、ご審議いただいているテーマでございます。農業農村を巡る状況が大きく変化しているということで、こういった新しい時代が到来する中で目指すべき農業農村像はどういったものか、また、その実現に向けて農業農村整備が果たすべき役割は何かということを、農村の多様性を考慮しながらご審議いただいているということでございます。
  5ページをお願いいたします。これまでの部会での委員とゲストスピーカーの皆様のご意見を整理したものでございます。項目ごとに整理しております。まず、新技術の著しい進展でございます。まず、委員からのご意見で、使える技術と使えない技術を見きわめることが必要である、高精度なGPS等の情報インフラ整備とその活用促進が重要である、農村に人が住み続けるためにこそ新技術を導入すべきである、新技術について想像できないようなことを前提として基盤整備を計画していかなければならないということです。ゲストスピーカーからは、今後のロボットトラクターの実装においてもほ場の大区画化は不可欠である、スマート農業の社会実装は不可欠であって、その基盤となる農地でのブロードバンド環境の構築が重要、農業分野におけるスマート化は農村地域の持続性確保の面においても非常に重要であるということでございます。
  6ページ、大規模農家の台頭、新しい農業の展開について、委員からのご意見は以下のとおりでございます。新しい農業が展開する反面、地域にはいろいろと課題も生じるといったご意見が多かったということです。大区画ほ場のように進んだ農業をしていても、担い手確保の問題に直面している、人生百年時代に突入し、新たな担い手、農地の問題が生じている、土地改良区の実態を見ると体制を維持すること自体が相当厳しい状況、土地持ち非農家が増えて組合員になる人の意識が変わっており、土地改良区の組合員であることすらわかっていないような方が増えているということでございました。
  7ページをお願いします。国民の価値観の変化でございます。委員から、今の若い方は価値観が多様化している、大学を卒業して会社員になればいいと思っている人ばかりではないので、いろいろな支援の形があるのではないか、若い方が働いている企業のいいところを取り入れて、若い方が働けるような環境をつくっていかなければならないということです。 こちらの右の現地調査、島根県安来市のイオンアグリ創造で若手社員が営農を展開していることに対するコメントでございました。
  続いて、8ページをお願いします。課題が山積する農村。いくつかテーマがございますが、国土強靭化についてまずお話しいたします。ゲストスピーカーから、国土全体を強靭化するのであれば、農地、山地の荒廃をとめないと話にならない、農村、中山間地にしっかりと人が住んで、人が住むための生業が存在し、林業需要、農業需要を国内でしっかりと支えておくということが必要、また、食料品を自分の国土で作ることが国土強靭化を果たすことになるということでございます。
  続いて、9ページでございます。引き続き、人が住み続けられる農村づくりというテーマでございます。委員から、ほ場整備を契機として担い手に農地を集約して、農業で生計を立てる一定の者を確保することは重要だが、担い手以外の人が非農家にならないようなほ場整備のあり方、そこに住み続けるための仕組みづくりが必要だということ、多面的機能支払い等も農村に人がいなければ機能しない、農村に人が住むための環境整備にも新技術を活用していくべきである、平地における効率性と付加価値、中山間地域における効率性と付加価値、こういったものは画一的ではないということで、地域における居住の永続性と、その地域の組織における営農の永続性の接点をどう結びつけるか、これは非常に難しいと実感したというご意見でございます。
  10ページでございます。地域資源管理に関して、最も大きい問題は中山間地域の資源管理だということです。今後は後継者や農家の数がそろわなくても管理が可能な地域資源のあり方、そのための整備を考えていくべきではないか、また、西日本豪雨で被害を受けなかったため池は、その水が生活用水に転用され、地域のインフラとして十分機能しているため池だったと、そういった施設の管理まで今後も土地改良区だけに任せていいのかということです。続いて、担い手への農地集積が8割に達したような地域では、畦畔の草刈りが大きな負担になっていた、ここに技術革新が求められるということです。農村地域については、今後、十分な住民を確保できないことを前提に議論すべき、村がなくても可能な地域資源管理や農村整備のあり方を考えていく必要があるのではないか、また、現地調査で訪れたところは、草刈りが一番大変であるということが共通していたということでございます。
  続いて、11ページでございます。こちらは農村の多様性に関するコメント、まず、平地農業につきまして委員から、大区画ほ場のような進んだ農業をしていても、担い手確保の問題に直面しているというコメント、また、平場も中山間地域も共通して鳥獣被害対策を講じなければならない、農業農村整備からも考えていく必要があるというコメントでございます。
  続いて、中山間地域の農業でございます。下の段、中山間地域こそフロンティアであるというご意見、また、最も大きい問題は、中山間地域の資源管理だと思うというご意見、また、産業政策だけではなく、地域政策も含めて地域を守るにはどうすればよいか、真剣に考える時期に来ているというコメントでございます。
  12ページでございますが、都市的農業地域につきましては、現在、300戸の農地を十数名の従業員で守っているということで、その300戸の農家が水田の維持に協力してくれるかというと全くないということで、今まで皆でやってきたことがどんどん変わってきてしまっているというコメントがございました。
  最後に、地域政策のあり方についてのご意見がございました。農水省でめっきり聞かれなくなった言葉は地域政策という言葉である、地域の持っている資源をどう有効に活かすか、使うか、それに対して農業農村整備で何ができるか、どう対応するか、まとめていかなければならないという話、また、今日の農業政策を見たときに、やや産業政策に偏り過ぎているのではないか、もう少し地域の視点も入れていかないと農業農村の発展、国土全体にいい結果を与えないという意見でございます。
  以上、割愛したご意見もたくさんございましたが、委員の皆様には貴重なご意見ありがとうございました。
  続いて13ページ、ここから農業農村の将来に向けてということで説明させていただきます。
  14ページでございますが、まず新技術について触れていきたいと思います。Society5.0でございまして、政府の未来投資戦略2018では、Society5.0を本格的に実現するとしております。このSociety5.0において、農業分野ではスマート農業の社会実装が大きなテーマになっております。
  続いて、15ページでございますが、これはスマート農業の社会実装に向けた農水省の取組を一覧にしたものでございます。ページの一番右側に目標が書かれております。2025年までに農業の担い手のほぼ全てがデータを活用した農業を実践するということが目標となっております。この中で農業農村整備については下側の、環境整備という欄にスマート農業に対応した農業農村整備という欄で整理しております。
  具体的に16ページをご覧いただきたいと思います。こちらのほうに整理しておりますが、下の左から自動走行農機に対応した農地整備、また、ICTを活用した水管理につきましては、これまでもご説明してきた内容となっております。右側の情報ネットワーク環境の整備がございまして、これは総務省と連携して農村情報ネットワーク環境を整備して、スマート農業をどんどん展開していくというものでございます。また、同時にこのネットワーク環境を遠隔授業、また、遠隔医療などにも活用してもらって、農村の定住条件の強化に役立てたいという試みでございます。
  17ページはSDGs(持続可能な開発目標)でございます。SDGsは、国連で全会一致で採択されたものでございまして、持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のために、17の目標を掲げて取り組まれているものでございます。右下に我が国のSDGsの実施指針を掲げておりますが、赤字でアンダーラインを引いております。持続可能で強靭、そして、誰1人取り残さない、経済、社会、環境の統合的向上が実現された未来、これを目指すということでございます。
  18ページ、ここから農業農村の多様性について触れていきたいと思います。ご案内のとおり、農業農村、日本全国、多様な地形条件、気候条件のもとで多様な農業が営まれております。右側の日本地図でございますが、市町村別にそれぞれの農業産出額1位の品目を表したものでございます。北海道は畜産、酪農、東北や北陸では米、西日本は非常に多様な農産物が1位を占めております。多様な農業が全国で展開していることがおわかりいただけるかと思います。
  19ページは、農業の生産基盤の多様性があるということでございます。基幹的水路、基幹的施設については比較的、東日本のほうで多く整備されております。右下のため池数につきましては、瀬戸内海に面した地域に多いということで、地形条件等によりまして多様性があることがご覧いただけるかと思います。
  20ページでございます。農村における農家、非農家の割合の変化。最近、この割合は非農家が相対的に増加しております。平成12年と22年の数字を比較したものでございますが、都市的地域を除く全ての地域で集落に占める非農家の割合がそれぞれ7ポイントずつ上昇しています。一方で、農家の占める割合は2割程度となっております。ここでいう非農家は、実は以前農家だったが農地を担い手に提供したことで非農家になったという方も相当数おられることと思います。
  続いて21ページ、農村の多様な地域資源でございます。農村には多様な地形条件、自然条件などを背景として、都市と異なる固有で多様な有形、無形の地域資源を有しております。こちらのほう、農地、農業用水、小水力などの再生可能エネルギー、農村景観、伝統文化などを紹介させていただいております。こういったものを適切に管理しながら、持続可能な形で最大限活用することが重要と考えております。
  続いて22ページ、農村の地域資源を巡る状況でございますが、我が国は人口減少局面に入っております。2050年には1億人を割り込むと、推計されております。また、2050年には人口9人以下の無人化危惧集落が全集落の1割を超え、山間農業地域では実に3割を超えると想定されております。
  23ページをお願いいたします。こちらはコンパクト+ネットワークについて触れたものでございます。左側のポンチ絵でございますが、国土形成計画ではコンパクト+ネットワークという考え方を掲げております。人口減少、高齢化が進む中で、地域の活力を維持するということと、医療、福祉、商業などの生活機能の確保を行うことで、コンパクトなまちづくりを進めていくというふうな考え方でございます。小さな拠点をつくって、そこにいろんな機能を集積して、あとは集落を道路や通信などのネットワークでつないでいくというものでございます。
  続いて、24ページでございますが、コンパクト+ネットワークと農村の地域資源管理についてでございます。先ほどの委員からのご意見の中で、地域資源管理が大きな課題であるとの指摘がございました。具体的には人口減少社会で農村の地域の資源をどのように維持していくのか、最大の課題は中山間地域の資源管理であるなどといった意見がございました。今後、このコンパクト+ネットワークの考え方によりまして、農村でも拠点の集約化が進んでいくものと考えられます。ポンチ絵の小さな拠点と集落、それをつなぐネットワークである道路以外の部分の多くは農地などの地域資源が占めております。これについては可能な限り維持管理を行っていく必要があります。また、有効活用していく必要がございます。本日の北川村の取組についても、そういった意味で非常に参考になるものだと考えております。
  一方で、人手が不足して維持管理を行うことが難しい農村の外縁の農地につきましては、荒廃させることなく、除草ロボットなどの新技術を活用して人手をかけずに管理する。一方で、農村外縁の内側にある農地などは限られた人手で新技術を活用しながら、生産性の高い農業を行っていくというものでございます。国土を持続的で強靭なものにする方策の1つとして、こういったやり方も考えられるのではないかということで、委員の皆様のご意見をいただければありがたく思うところでございます。
  25ページでございます。多様な主体が住み続けられる農村、国土を持続的で強靭にする農村でございます。こちらも委員からご意見がございました。農村に人が住み続けるための仕組みづくりが課題であるということでございます。ポンチ絵をご覧いただきたいのですが、地域住民の雇用・所得の確保、人が住み続けるための条件整備、農村が持つポテンシャルの発揮の3つから成る三角形でございます。農家だけでなく、多様な主体が農村に住み続けるためには、左側の雇用・所得、そして、右側の住み続ける条件整備、そして、上にある農村のポテンシャル、農村固有の魅力ある地域資源の価値の最大化など、農村みずからが持つポテンシャルを発揮するような農村といったものが、多様な主体が住み続けられる農村になっていくのではないか、また、そういった農村が国土を持続的で強靭なものにするために求められているのではないかということで、こういった考え方についてもご意見をいただければと思います。
  26ページでございますが、多様な主体が住み続けられる農村に必要な要素として3つ挙げさせていただきましたが、それぞれどのようなアプローチが必要なのかということを整理したものでございます。こちらについても委員の皆様のご意見をいただければと思います。
  1つ目、地域住民の雇用・所得の確保につきましては、担い手のみならず地域住民にも雇用・所得を確保することが必要だということを書かせていただいております。新技術を活用して農業の成長産業化を図る、また、地域内外の多様な主体の協働によりまして6次産業化をしっかり支援していくということで、農業農村の所得を増大していくことが必要ではないかといった内容でございます。
  2つ目は、人が住み続けるための条件整備ということで、多様な主体が農村に住み続けることが農村地域の経済を維持、成長させるために、また、多面的機能の発揮を図るために不可欠だということで、生活環境の整備であるとか、自然環境の積極的保全などについて条件整備を進めていくことが必要ではないかということでございます。
  3つ目は、農村が持つポテンシャルの発揮でございまして、農村が有する都市と異なる固有で多様な地域資源をしっかり最大限活用するということで、農村がポテンシャルを発揮する取組を支援するといったものでございます。
  最後、27ページでございますが、多様な主体が価値を創出するためのプラットフォームを示させていただいています。農村の主体が新たな価値を創出するためには、農村内だけでなく、農村の外の多様な主体と様々に結びつくことが必要だと思います。そのためには、そういった多様な主体を結びつけて活動を促して、新たなビジネス、組織間の協力・連携などを創出する場、すなわち、プラットフォームが有効なのではないかと考えております。こういったものが農村に構築されれば、サイバー上で農村内外の多様な主体がマッチングされることで、新たな価値が生み出されるのではないかと考えます。
  このプラットフォームは、農村内の地縁的な農村協働力の充実と、農村外の多様な主体との開かれた農村協働力の拡大にも寄与するのではないかと考えております。このプラットフォームを構築するために、農村の情報ネットワーク環境を整備することが必要ではないでしょうか。こういった考え方について委員の皆様のご意見を賜れればと考えております。
  以上で説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  今、事務局から部会の取りまとめに当たっての資料をご説明いただきました。委員の皆様は、既に一度はお目通しいただいているのではないかと思いますが、20分ほど、この場でご意見をいただきたいと思います。初めに申し上げますけれども、このご意見をもとに次回の部会までに事務局で部会の取りまとめ案をご準備いただくというスケジュールになると思いますので、それを頭に入れてご発言いただけたらと思います。ゲストスピーカーの方も何かお気づきのことがあったら、ご自由にご発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。では、長谷川委員、渡辺委員の順で伺います。

長谷川臨時委員
  ありがとうございます。
  スマート農業に対応した農業農村整備で、情報ネットワーク環境の整備について総務省と連携してやっていく話があって、非常に大切なことだと思って聞いておりました。それで、前回のこちらの部会のときにいらっしゃった岩見沢市のお話、その中でもICTをかなり多方面に活用して、農業だけではなくて医療や教育等いろいろなところで非常に成功しておられるという話がありました。この種のSociety5.0に関わる政策は、今、政権を挙げてやっているところがありますから、いろんな省庁があらゆる政策を出してきて、えてして、それが縦割りになってしまったりだとか、似たような政策を同じところでやったりとかすることも結構あると思うんです。
  そういう中で、今回は総務省と連携してということですけれども、別に総務省に限った話じゃなくて、農水省としては当然、農村社会というか、地域を活性化していくためには何をすればいいのかということを考える上で、別に農業だけを考えていいわけではありませんので、できるだけ多方面でうまく連携していきながら、実効性のあるやり方を無駄のない形で効率的に進めていくことが大事なのではないかと思います。これは私の意見として申し上げておきます。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  では、続けて渡辺委員、伺います。

渡辺臨時委員
  私も関連しますが、資料の24ページの囲みの中で、農村外縁部の農地は、荒廃させることなく、新技術を活用して人手をかけずに管理しという表現がありますが、これは具体性がないのではないかと感じます。その次のページの25ページの三角の説明の中で、先ほど上村村長のご説明にあったように、雇用・所得の確保ということと条件整備がベースにあって、もう1つ農村が持つポテンシャルの発揮という表現がありますが、そこも具体的に何をやりたいのかが見えないと感じました。
  それで、その説明がある26ページの一番下の囲みのところで、農村が持つポテンシャルを発揮する取組を支援するとか、都市にない農村の魅力を内外に発信するという説明があって、その次にプラットフォームの話が出てきますが、三角の一番上のところは、農村が持つポテンシャルの発揮という表現よりも、27ページにあるような農村協働力の充実、そういう表現をされたほうがいいのではないかと感じました。
  それから、もう1点、19ページ。地域により多様な農業生産基盤が整備されていますという集計表がありますが、この中に農道の延長がまとめて整理されています。ほかの水路、基幹施設、ため池に比べると、異次元の数値ではないかと感じがします。実際に農道として作った実績としてはたくさんあるのでしょうが、一般の道路とあえて整理して農道だけ、こういうふうに表現する意味があるのかというのが気になりました。
  最後に長谷川委員のお話がありましたように、方向性を出していく中で他省庁との連携という視点も必要だと感じております。ややもすると縦割りの弊害があって同じようなことをいくつかの省庁でやられていると感じる部分もありますので、その辺もぜひご検討いただけるとありがたいと思います。

渡邉部会長
  では、西尾委員も続けて伺います。柚木委員も続けてください。

西尾臨時委員
  関連しているので重複するかもしれません。総務省との連携のところで例えば区画整理事業等をしない山村にとって土地改良事業が今後どういうことをしていけるのかを検討すべきではないかと前に私も意見で言ったと思います。その中で総務省との連携は、土地改良事業がしていける1つの方策ではないかと思いました。
  それから、24ページですが、農村外縁ときちっと区分けされたイメージ図ですが、本来、農村の集落は農村外縁の中に複雑に絡まって入っている状態だと思うので、こういうすっきり分けた姿にはならないのだろうと思います。先ほどの委員にもあったように、限られた人手で新技術を活用してというところが具体性に欠けていて、一体、これはどうしていくのかというのが私の意見です。
  それから、最後の27ページのプラットフォーム化です。プラットフォームという言葉は全体的には理解できて、そうだと思いますが、これを直接初めて見たときには、一体、どこにどのような形、これは制度の話やシステムの話や技術の話なのか、どこにどういった形でのプラットフォームを考えているのかということのご説明もいただきたいと思いました。
  以上です。

渡邉部会長
  では、柚木委員も伺います。

柚木委員
  24ページの関連ですが、農村の地域資源の管理で、こういう絵で示されていますが、これはこれまでも議論がございましたけれども、農村が多様化しているということで、4ページの資料の中にも入っておりますけれども、いわゆる都市的地域、それから、平地地域、中間地域、山間地域という四つの地域に分けた上で、それぞれの中での地域資源の管理のイメージを示していくことが大事ではないかと思っておりますので、ここはそういう視点を入れて、さらに検討する必要があるのではないかと思っております。
  それから、もう1つは20ページの農家と非農家の割合、ご説明の中で非農家の中にはもともと農業者の方で農地を使わなくなって、他産業が主になっていらっしゃるという方々も含まれているということですが、この点については先ほどの血縁、地縁の関係も含めて、非農家の中もさらに分類といいますか、より農家に近い非農家と、それから、全く農業なり、農地との関係が薄いところと相当差があると思います。これは住んでいらっしゃる場所の問題もあろうかと思います。農業地域の出身で、今は東京とか大阪にお住まいになっている、農地は地元にまだお持ちの方々、これは地縁というよりも血縁関係もかなりあると思いますので、そういったところとの結びつきをより高めていくことが農村地域社会の活性化にも結びつくと考えております。そのあたりのことはもう少し丁寧に示していくことが大事ではないかなというふうに思っています。
  それから、今日、北川村の上村村長もおっしゃったように、中間地域なり、山間地域の基盤整備のありよう、また、その面積の規模の問題については今までよりも、今日、お話のあったような地域の実態に合った形で、また、経営に合うようなある意味では面積的にはコンパクトだけれども、高生産が期待できるような整備の仕方があるということでございます。今までは水田をベースにして、いろいろ考えてきたわけでありますけれども、樹園地とか、それから、もう1つはこの審議会の果樹・有機部会で今、議論になっておりますが、有機農業の対象面積、取扱面積をさらに増やしていく必要があるという観点の中で、有機農業関係の生産団地のようなものを耕作放棄地等とも絡めながら考えていくことも必要ではないかということを申し上げております。農業農村整備部会の中でも中間地域、山間地域の農地の耕作放棄地も含めた有効利用という観点で先ほどの樹園地の関係もありますし、有機農業の生産性を上げていくという観点も、取り入れていくことも必要ではないかと考えておりますので、その点もご意見として申し上げさせていただければと思います。
  最後になりますけれども、スマート農業の関係については、必要性というのはそれぞれの地域で重要でありますが、それぞれ地域に合った形のスマート農業のありようも、考えていく必要があるのではないかと。単なる自動走行のトラクターの話だけではなく、条件の悪い地域でスマート農業がこのように活用できるという観点も、前々から意見があります。そういう観点も必要ではないかと思っています。
  以上です。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  ここまでのところで、事務局にご回答いただきたいと思いますが、時間が限られているので、いくつかのご提案やサジェスチョンは次回までに検討いただくということにして、特にここまでの質問の中心は24ページ以降のところ、コンパクトネットワークと三角形についてと思います。今の時点でご回答いただくことがあったらお願いします。

石井計画調整室長
  いろいろとご意見をいただきまして、ありがとうございます。
  24ページについては、繰り返しになりますが、委員の皆様も現地もご覧いただいて地域の資源管理、特に中山間地域など、これから人手がどんどん減っていく中で、どう管理していくのかが大きな課題であるということで、これは1つの考え方ということで示させていただいています。先ほど文言の中で人手をかけずに新技術を活用して管理する外縁のところの考え方については、左下に除草ロボットを掲載しておりますけれども、人手がほとんどない状況の中でロボットを活用しながら、少なくとも荒らさないということがあると思います。限られた人手で生産性の高い農業を行う地域と、そうではない地域がこれから必要なのかもしれないということで、今回、このようにお示ししたわけでございますが、我々としても委員の皆様の忌憚のないご意見をいただければと考えているところでございます。
  25ページで、渡辺委員からこの三角形に関して三角形の頂点の農村が持つポテンシャルの発揮、概念もわかりにくいということで、農村協働力のほうがいいのではというお話もありました。このあたりは内部で検討させていただきたいと思います。
  あと、西尾委員だったと思いますが、プラットフォームのイメージがいまひとつ共有できないというお話だったと思います。我々としては農業農村整備で考えるのは、先ほど申し上げた農村の情報ネットワーク環境を整備していくということで、そういったものを地域で活用していただいて、農村内外の方々と結びついていくプラットフォームをサイバー上で作っていくことが有効なのではないかということで、こちらのほうに掲げさせていただいたところでございます。農村の中の「地縁的農村協働力」、そして、農村の外の多様な主体との「開かれた農村協働力」の拡大が必要だということで、これは29年度にもご議論いただいたところでございますが、プラットフォームを構築することで、そういうものに寄与していくのではないか、我々も農村の情報ネットワーク環境を整備していくことで、お手伝いできるのではないかということでお示ししたものでございます。

渡邉部会長
  ありがとうございます。
  1つ補足しておきますが、先ほど指摘のあった農村外縁の用語と内容についてはもう一度、整理されたほうがいいかと思います。法面の除草ロボットは農地での作業作業ですが、示されている絵では外縁の方に入っています。少し整理されていただいたらいいと思います。
  では、武山委員。

武山臨時委員
  ありがとうございます。
  24ページの図が大変皆さんの興味を引かれているようで、私もこれは大変重要な問題だと思いますので、大変いいことだと思っています。私も中山間地域の土地利用を研究していますが、今まで環境開発型の土地利用の展開がなされていく中では、開発を制御する、規制するという方法である程度、計画どおりの土地利用が実現されてきたわけでございます。しかし、昨今、人が都市へ移動する中で、農村が縮小してくるということでシュリンクしてくる、さらには自然を保全しようという社会の動きの中で、野生動物などが保護されてくることになりますと、今までのように自然と人の領域の境界を規制によってのみコントロールするような時代は終わってきたということになります。
  市場に任せていてはどんどんシュリンクしてきますから、計画的に境界を高く保ち、適正に制御する。この方法を考えることは、人類史上、初めての課題に我々は直面している。つまり、我々人間はどんどん人口を増やして、どんどん領域を増やしてきたわけです。今、初めて縮まろうとしていると。それに向かって新しい農村の計画のあり方、土地の考え方を提起していかなければいけない大きな課題を我々は抱えていると思いますので、今回、このような形で、何が正解かわかりませんが、こういうことを考えていかなければいけないんだという頭出しをしていただけたことは、極めて重要なご提起だったというふうに捉えております。さらには、それに対していろんなご意見が出たことは、大変貴重ですばらしいことだと考えております。
  さらにもう1点、気になりますのは19ページです。先ほど既にご指摘もありましたけれども、四角囲みの中の2行目には、「このように農業生産基盤は地形条件や気象条件により多様である」とありますが、それが言えるのは唯一、ため池の数だけではないかと。確かにため池は少雨の地域、瀬戸内に、さらには歴史的に長い農村整備の歴史のある地域に固まっているということで、日本の農村の多様性を色濃く表す材料としてお使いいただくことは大変いいことだと思います。しかし、水路の長さであるとか、農道の延長、これは単位面積当たりになっていないので何とも比較ができませんが、これはむしろ地域間格差が出てしまっていると読めなくもありません。すなわち、誤解を恐れずに申し上げますと、日本の農業農村整備は水利を中心に大規模な粗放型の土地改良を進めようとしてきた結果、その条件に合ったところに水路や道路の十分な整備がなされてきた一方で、その軸に乗れなかった地域に整備の手が回っていない、その結果の格差だというふうにも見えるわけです。本来は、そういう地域の多様性に寄り添うようなメニューが提供されて、日本全体の整備率というのが等しく上がってくることが理想だと思いますので、これは多様性というポジティブな方向で捉えるのは慎重になされたほうがいいのではないかと思います。
  以上です。

渡邉部会長
  続けて伺いましょうか。では、平松委員、森委員の順で。

平松臨時委員
  少し技術的なコメントですが、以前から気になっていたことがあって、この場をおかりしてお話ししたいのですが、16ページ、スマート農業に対応した農業農村整備を1枚物でまとめていただいていますが、例えば真ん中、ICTを活用した水管理、これは具体的に言いますと、そこに絵がありますが、取水施設から末端のほ場まで、いわゆる需要主導、デマンドベースで用水を無駄なく配水するようなシステムを構築していこうということになるわけです。これを単純に見ると用水路系は既にあるわけですので、そこにいわゆるICT(情報通信技術)を現場に実装していけば、それでほぼでき上がるというふうな勘違いが発生しないかなと心配しています。
  実際は、取水施設から水をとって、末端ほ場にいくまでには送る時間がありますので、そういったものを考えながら、いわゆる最適な取水操作というのが必要になってくるわけです。いうなればソフトウエアの開発です。ですから、同じページの右側や左側の例もそうだと思いますが、スマート農業に対応したものを作っていこうとすると、いわゆるハードウエア対策とハードウエアの開発、それから、ソフトウエアの開発、これらが両輪になることは、どこかで明示的に書いておいていただいたほうがいいという気がいたしました。
  以上です。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  では、森委員、伺います。

森臨時委員
  21ページの農村の多様な地域資源についてのページですが、私がこのような絵を初めて見たのは平成11年の新しい基本法ができたときだったように思います。そのときは同じようなことを表現するのに「多面的機能」という言葉で書かれていたと思います。内容は資源として捉えている点は同じだと思います。四角い黒枠の中の最後のところが、農村住民が経済的便益を享受することが可能になるという落ちになっていますが、地域資源を地域という狭い意味ではなく資源と捉えるのでしたら、農村住民の経済的便益という落ちじゃなく、それは「国民全体にとって必要な資源である」ということが重要なことだと思うので、都市の人にとっても地域資源が大事だということがわかるような文言に変えたほうがいいのではないかという感想を持ちました。
  以上です。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  では、皆さんに伺おうと思います。柴田委員、西村委員の順でお願いします。

柴田臨時委員
  今の森委員と武山委員とも関連しますが、全体の農業農村整備の新たなフロンティア、こういうところに脚光が集まってきて非常に結構だと思うのです。グローバルの視点からリージョンな視点に、初めて視点が転換したと思っていますが、その転換の始まりの部分での感想があります。例えば3ページで農村内部の農村に絡めた環境の変化というようなところから始まっていますが、もっと大きな世界でいきますと、サステイナブルな経済成長が難しくなったとか、あるいは地球の温暖化という天候の大変動時代に入っているわけであります。それから、足元の経済環境で見ても、アメリカ、中国、ヨーロッパ、日本で世界のGDPの6割ぐらいを占める国が経済的な行き詰まりの局面を迎えている中で、それに対応する温暖化対応でも持続性の対応が求められています。しかも、その対応はグローバルの対応ではなくて地域ごとのそれぞれに対応にならざるを得ないという中で、まさに農業農村の多様性というものがいやが応でも重要性を浴びてきたという、こういうふうな問題意識のようなものが必要だと思います。その上で、このフロンティアの新たな視点としてのフロンティアの開発に焦点を当てていくと、17ページで突如、SDGsが出てきますが、場所はここでいいのか、要は冒頭にグローバルな環境変化、転換点を迎えている背景の1つとして、このような意識になってきているということになると思います。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  今のSDGsの位置付けは、構成をこれから考えられる際に参考にされると思います。西村委員、伺います。

西村臨時委員
  先ほどの平松委員のご意見と近いのですが、未来投資会議なんかもかなりものづくりの思想が強くて、そうすると、一点突破でいいものを作ればいいだろうという話になってきます。確かにある部分それは正しく、ドローンや自動走行の草刈り機は、一点突破でいいものを作ればすごくいいと思います。ただ、農業農村整備や地域保全で必要になってくることは、先ほど平松委員はかんがいについておっしゃられたような、既存の課題の解決や既存の技術の向上がないとIoTも効果的にはならないところがあると思います。IoTで新しい切り口ができたから、今までの延長線上でできなかったことをできるようにする、もしくは新しい技術をつくるとしてもそれに対応可能なほ場、施設や農道が必要ですし、自動給水栓は誤動作が多いからスマート給水は嫌だという農家が出たりしないように、詰まらないもしくは詰まりが容易に解決する給水栓が必要になります。既存の技術をもっと先鋭的にとがらせないとIoTを持ってきても、結局効果が出ないことが多くなってしまうのではないかという気がしています。ここは、少し明示的にIoTだけではなく、それを支える古い技術の開発というのは、大事なんだということを少し考えていただけないかなというふうに思います。
  以上です。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  予定の終了時刻は16時でした。まだ、あと議題が2つも残っており、進行のまずさが明らかになってきてしまいましたが、15分程度、延長させていただいてよろしいでしょうか。申しわけありません、そのように進行し、まとめさせていただきたいと思います。
  ほか、委員の方はよろしいですか。まだたくさんあるかもしれませんが、お二人のゲストスピーカーの方にもぜひご意見をいただきたいと思います。

上村村長
  基本的なことで、そんなものは当たり前と言われるかもわかりませんが、農業をやりたい人をいかに育てるのかという視点が必要だと思います。今、村でやっていることの中で、つくづく感じています。高度成長期にだんだん二次産業、三次産業が発達して、どんどん、田舎から都会へ人を送っていったという20世紀主義みたいなものが、いまだに私どもの北川までもあります。そうした中で農村を維持するためには、農業をやりたい若者を作らないと続いていかないのではないかという意識があって、そういったものを考えていただけると非常にありがたいということで、一言、言わせていただきたかったところです。

渡邉部会長
  ありがとうございます。
  フジノさんも何か今のお話を踏まえて。

フジノクリエイティブディレクター
  1つだけ、27ページのプラットフォームですが、先ほど事務局から、情報ネットワークの環境整備を主にという話があったと思います。このプラットフォームで言われている都市農村交流、テレワーク、こういったものは情報整備ももちろんベースとして必要ですが、フェース・トゥ・フェースできちっと多様な主体が集まる例えば会議体とか、そういうものも同時に必要です。情報環境整備だけではなく、フェース・トゥ・フェースのプラットフォームも、必要になってくると思います。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  多くはご注意いただくことのご指摘でしたが、事務局、何か今の時点で伝えておきたいことがあったら簡単にお願いします。

石井計画調整室長
  ご意見ありがとうございました。
  たくさんのご意見をいただきましたので、これはしっかり我々で受けとめさせていただいて、次回の来年度第1四半期の部会で、何らかの取りまとめをまた提案させていただきたいと思います。たくさんのご意見をいただいて、いろいろと検討する材料をいただいたものと思っております。ありがとうございます。

渡邉部会長
  ありがとうございます。
  委員のお顔を見ていると、まだ、たくさん言いたいことをお持ちであることはわかっています。私も申し上げるところありますが、事務局には、適宜、委員の意見を聞いていただいて、次のステップの参考にしていただくプロセスをしっかりとっていただけたらと思います。ゲストスピーカーの方もありがとうございました。
  それでは、取りまとめに向けての議論はここまでとさせていただきます。
  次の議題に移らせていただきますが、議題2は技術小委員会への付託についてです。まず、事務局から手続についてご説明いただきます。

石井計画調整室長
  それでは、技術小委員会の委員長は調査審議の結果を部会に報告することとされておりまして、昨年2月から今年2月までの小委員会における審議結果を技術小委員会の平松委員長にご報告いただきたいと思います。食料・農業・農村政策審議会令では、部会の議決をもって審議会の議決とすることができるとございますので、大臣から諮問があった土地改良事業計画設計基準 計画「排水」の改定については、本部会で議決いただければ大臣への答申としたいと考えております。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  では、技術小委員会の平松委員長から付託事項についてご報告をお願いいたします。

平松臨時委員
  それでは、資料4―1に基づきご説明申し上げます。資料4―1をご覧ください。
  まず、1の検討の経緯ですが、平成29年12月の農業農村振興整備部会におきまして、土地改良事業計画設計基準 計画「排水」の改定に関わる調査審議の付託を受けまして、その後、平成30年2月から本年2月にかけて、技術小委員会において計3回の審議を行いました。この間、平成30年11月にパブリックコメントを行いまして、提出された意見については改正案に反映しております。最終的には2月22日に技術小委員会を開催しまして、こちらで改定案を取りまとめましたので、本日、部会に報告するものでございます。
  続いて2です。審議結果の概要の部分をご覧ください。改定の背景としましては、本基準は平成18年の改定から10年以上が経過しておりまして、この間、土地改良長期計画が策定されております。また、同長期計画の施策の内容等を踏まえ、豪雨等の自然災害リスクの高まり、農業生産の多様化、農業水利施設の戦略的な保全管理、ハード対策とソフト対策を組み合わせた防災減災対策等に対応するため、今般、計画基準の改定を行うこととしたものであります。
  答申の対象であります基準における改定のポイントは、そこにありますアとイの2点になります。まず、アですが、排水事業の目的に農業生産の多様化を加えるとともに、農用地及び農業用施設の被害発生の要因として、気候変動等の影響により激甚化する豪雨及び大規模地震、それと農村地域の都市化及び混住化の進行等を記載しております。イですが、主要工事計画を作成する際に、ライフサイクルコストの低減を図る機能保全対策及び耐震対策に考慮することを記載しております。
  さらに基準の改定にあわせて基準の運用及び基準及び運用の解説の記載を追記しております。資料4―1の1ページ目の一番下の段から2ページ目にかけてになりますが、まず、1ページ目の一番下をご覧ください。参考として、以下、ポイントを4つ挙げております。
  まず、アですが、豪雨の頻度及び強度が高まっているために、計画基準降雨について地域における近年の豪雨特性を踏まえて検討するよう解説に記載しております。また、現行の解説では、計画基準降雨について10年に1回程度の出水規模に対応するものを一応の目標としてよいとしておりましたが、今回の運用において10年に1回程度の降雨規模としてよい、ただし、湛水防除を目的とする場合は、排水計画における集落及び公共施設の湛水の程度に応じて、20年から30年に1回程度の降雨規模としてよいと記載しまして、解説にも同旨を記載しております。
  このほか、2ページ目になりますが、2ページ目の一番上です。計画基準降雨を上回る降雨に対応するために、ポンプ場の浸水被害軽減対策を講じる必要があることや、大規模地震に対応するために、施設の重要度に応じた耐震対策を講じる必要があること、それから、施設の管理面におけるソフト対策に関連して、業務継続計画(BCP)、これの策定に努めること、それから、現場での適用性等を考慮しつつ、新たな技術の導入を検討することなどを運用に記載しております。
  大臣への答申案に関しましては資料4―2、お隣のタブをご覧ください。このとおりに取りまとめております。基準の改定案については、当資料4―2の2ページ目から記載しております。また、基準及び運用の解説の改定案については、タブレットの中にあります一番右側の参考資料に記載しておりますので、こちらもご覧ください。時間も限られておりますので、大変恐縮ですけれども、詳細な説明は省略いたします。
  以上です。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  コンパクトにご説明いただきましたが、ただいまのご説明について何かご質問はございますでしょうか。武山委員、どうぞ。

武山臨時委員
  1点だけ確認させてください。資料4―2の1ページ、1.2の排水事業の目的というところで、赤字でプラスしていただいているところですが、1.2の3行目の後ろのほう、「農村地域の都市化及び混住化の進行等に起因した農用地及び農業用施設への被害」というものは、具体的にはどういう被害を想定いただいているでしょうか。そもそも、農村地域の都市化はあまり耳なれない表現だと思います。どのようなことを意識された表現かを教えていただきたいと思います。

渡邉部会長
  ありがとうございます。
  では、まずどうぞ。

平松臨時委員
  こちらはどうしましょうか。事務局からお答えいただいてよろしいですか。

渡邉部会長
  どちらからでも、では、事務局、ご説明をお願いします。

石井計画調整室長
  資料4―2の1ページの1.2の排水事業の目的の農村地域の都市化及び混住化ということで、これについて、農村地域に様々な都市的機能が進出してくるということで、農地がほかの目的に利用されていく。混住化も同じようになっていくわけですが、そのようなものが豪雨が発生したときに洪水等の発生につながっていくということで、農村地域の都市化、混住化の進行というものを気候変動の影響により激甚化する豪雨、大規模地震の発生と同様に、農用地等の被害の発生に関係してくるということで、書かせていただいたところでございます。

武山臨時委員
  すみません、今のご説明ですと、農村地域でも農地の転用が進んだ結果、そこに豪雨災害なりがかぶさると、農用地及び農業用施設にも被害が起こるということでしょうか。要は、これはわかりにくいかなと個人的には思うので。

石井計画調整室長
  もちろん、気候の変動というものも考慮する必要がありますが、実際、防災事業の中で、農村地域の土地利用が変化することによって、洪水被害などが発生しやすい状況ということも実際にございます。それで、こちらのほうでは気候変動の影響により激甚化する豪雨ということとあわせて、農村地域の都市化、混住化ということも記載させていただいているということでございます。

武山臨時委員
  食い下がって大変申しわけないのですが、都市化とか混住化が農用地や農業用施設への被害につながるということがわかりづらい。例えば地域全体の浸水等につながるというのは十分理解ができます。例えば転用された宅地が浸水してしまう、そういうことは理解ができますが、農用地及び農業用施設への被害はあまりポピュラーな話ではないと思いますので、何も否定するものではありませんが、そういう意見もあると捉えていただきたい。また、農村地域の都市化というのは、今、おっしゃったように土地利用の変化や、農地転用の進行といったことだろうと思いますので、農村と都市というのは本来、対極的に捉える概念なので、農村が都市化したら農村ではないということになります、今から直すのは大変なことだと思いますので、こういう意見があるということだけ残していただけたらと思います。
  以上です。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  少し私も説明したいところもありますが、時間も限られているので差し控えます。今、武山委員が取り扱いについて整理していただきました。基本的にはこの表現については、用語についてもしかるべきところで検討しているので、ご了解いただくということです。ご懸念は後で誰かが説明していただけると思いますが、今はご意見を承ったということにさせていただきます。それでよろしいですか。

武山臨時委員
  はい、ありがとうございます。

渡邉部会長
  ほかにご意見はよろしいですか。
  それでは、今の土地改良事業計画設計基準 計画「排水」の改定につきましては、ご報告いただいた案を部会として取りまとめ案とさせていただき、農林水産大臣に答申することとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
  では、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。平松委員長、どうもお世話さまでした。
  では、続いて議事3に移らせていただきます。報告事項、国際かんがい排水委員会(ICID)第69回国際執行理事会の結果報告について事務局よりご報告いただきたいと思います。

石島海外土地改良技術室長
  設計課海外室の石島でございます。資料5をご覧ください。
  こちらに昨年、カナダ・サスカトゥーンで開催されました第69回ICIDの国際執行理事会の概要を記しております。2ページに参加しました委員の氏名、どういう部会に所属して、どういう作業を行ったかをまとめております。2ページ、3ページと写真で各委員のそれぞれの発表等の様子を載せておりますので、参考までにご覧ください。
  4ページ目、副会長の選挙が行われましたが、今回は定数3に対して立候補者が3でしたので、単純にその順位を決めるだけの選挙が行われております。
  最後、5ページですけれども、世界かんがい施設遺産がその場で決定されまして、日本から申請されておりました4施設の登録が認められております。その施設の位置、写真をつけております。
  以上でございます。

渡邉部会長
  ありがとうございました。
  何かご質問はございますか。申すまでもないと思いますが、この執行理事会に参加するに当たって、どういう方針で臨むかについてはこの部会で審議いただいていますので、その結果をご報告いただいたということだと思いますが、よろしいでしょうか。
  では、ご報告を受けたということにさせていただきます。ありがとうございました。
  それでは、そのほかに何か全体で特にご発言いただくことはありますでしょうか。よろしいですか。
  なければ、審議はここまでとさせていただきます。ありがとうございました。
  遅くなりまして申しわけございません。では、進行を事務局にお返しします。

石井計画調整室長
  ありがとうございます。
  本日は本当に長い時間、皆様、熱心にご議論いただきまして、まことにありがとうございました。ゲストスピーカーのお二人にも本当に感謝を申し上げます。本日は色々な意見をいただきましたので、次回の部会で委員の皆様に事務局案としてお示ししたいと思います。
  それでは、以上をもちまして本日の部会を終了させていただきます。
  委員の皆様、また、ゲストスピーカーの皆様、本日はどうもありがとうございました。

お問合せ先

農村振興局整備部設計課計画調整室

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ダイヤルイン:03-6744-2201
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