このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

平成26年度第2回技術小委員会議事録

  • 印刷

1.日時及び場所

 日時:平成26年11月11日(火曜日)10時00分~12時00分

 場所:農林水産省本館6階 農村振興局第1会議室 

 

2.議事

(1)今年度の検討スケジュールについて

(2)土地改良事業計画設計基準計画「農業用水(畑)」の改定について

(3)土地改良事業設計指針「耐震設計」の改定について

(4)農業水利施設の機能保全の手引きの改定について

(5)その他

 

3.議事内容

 議事録(PDF:418KB)

 

○原川計画調整室長

ただいまから平成26年度第2回技術小委員会を開催いたします。

本日は、ご多忙中にもかかわらずご参集いただき誠にありがとうございます。

まず初めに、本会議の公開方法について説明させていただきます。

本会議につきましては傍聴は可能といたしまして、会議への提出資料は会議終了後、議事録につきましては発言者を明記の上、後日ホームページにて公開させていただきますので、ご了承よろしくお願いします。

次に、配付資料について確認させていただきます。

一番上から会議次第、委員名簿、配付資料一覧、資料1、資料2の1、2の2、2の3、資料3、資料4の1、4の2、資料5、参考資料1の順になっておりますけれども、不足等ございませんでしょうか。

なお、本日、島田委員と向後委員におかれましては所用によりご欠席とのご連絡をいただいております。

それでは、早速でございますけれども、議事に入りたいと思います。

以下の議事進行につきましては毛利委員長にお願いいたします。

 

○毛利委員長

おはようございます。よろしくお願いいたします。

会議次第に従いまして、議事を進めてまいりたいと思います。

初めの議題であります今年度の検討スケジュールについて、事務局より説明をお願いいたします。

 

○原川計画調整室長

資料1をご覧ください。今年度の基準改定に向けた検討スケジュール(案)でございます。

一番左にあります通り、計画基準の農業用水(畑)から一番下の機能保全の手引き、今年度の検討事項は5項目ございます。それぞれにつきまして本技術小委員会で3回ご審議いただきたいと思っております。

今日は11月11日でございますけれども、計画基準の農業用水(畑)の2回目でございます。設計指針の耐震設計につきましては本日が1回目でございます。一番下の機能保全の手引き、これは2回目でございます。

また、来月12月12日におきましては設計指針のため池と耐震設計、あと環境配慮の技術指針についてご審議いただきたいと思っています。

その後、それぞれの計画基準等につきましてパブリックコメントをいたしまして、その結果も反映した上で2月に第3回目の技術小委員会を開きたいと思っています。その上で3月に農業農村振興整備部会へ報告いたしたいと考えております。

 

○毛利委員長

今のご説明についてご質問等をいただきたいと思います。

今年度は技術小委員会の議題も盛り沢山ですので、少し密なスケジュールになっておりますけれども、いかがでしょうか。

それでは、次の議題に移らせていただきます。

「農業用水(畑)」の改定について、事務局からご説明をお願いいたします。

 

○小平農村環境課長

農村環境課長の小平と申します。

資料2の1、2の2、2の3がございますが、主に2の1と2の2を用いて説明させていただきます。

土地改良事業の計画基準、農業用水(畑)の改定についてでございます。

前回6月のこの小委員会におきまして、検討の方向についてご審議いただきました。委員の皆様からいただいたご意見を踏まえて改定案を作成しておりますので、ご説明させていただきます。

1ページは前回もご説明しましたので、この計画基準、畑地かんがい事業に際しての基準になるということで、省略させていただきます。

2ページでございます。

この基準はそもそも平成9年にできましたが、その後の農政の動向等を踏まえまして、検討等の項目としましては、右下のほうに掲げてございますように3つ大きく分かれるのかなということで、施設の更新等に向けた調査計画手法について、ストックマネジメントの考え方などを記載する。それから畑地かんがい地区における環境配慮について、そういった事例を踏まえて記載を充実する。3つ目としましては、委員の皆様方からいただいたご議論、それから、我々としてもこれまで現場において課題等の聞き取りをしておりますので、そういったことも含めて、さらには最近の技術進展を含めて情報を整理して記載する、この3つになるかと思っております。

3ページをお願いいたします。

そもそもの計画基準の内容でございますけれども、調査・計画をする際に遵守すべき基準を定めたもので、基準書の中には、後でご説明しますが、普遍性、規範性の高い基準からその運用について触れること、さらにはその解説ということで3つの構成になっておりますし、これと別に、基準書に記載されないような各種の技術的な解説につきましては、技術書という形でまとめることになってございます。

今回の農業用水(畑)の検討に当たっては、地域によっては水田と畑を一体としてかんがいする場合もありますし、それから、既に改定されておりますけれども農業用水(水田)という計画基準がございまして、これもこちらでご審議いただいて、平成22年に改定してございます。したがって、それとの整合にも留意して検討を進めることが重要と思っております。

4ページは、それぞれの項目の主な考え方でございます。

まず、施設の更新等にかかわる改定でございます。ここは前回の会議でもお示ししましたが、更新が増大してくる状況や現状、それからストックマネジメントの流れを整理してございます。

一番左に棒グラフがございます。前回はかんがい事業全体の数字を示しておりましたけれども、委員からご指摘がありまして畑地かんがいの数字を入れました。いずれにしましても、更新が増大してくるといった現状が見えるかと思います。

これらを踏まえまして、5ページでございます。

施設更新等にかかわるところ、現在の基準書の中にはストックマネジメントの考え方については記載がございませんので、それをきちっと明記するということで、特に右側の(改定方針のところに書いてございますが、調査段階において機能診断とか評価がなされたり、計画段階において長寿命化とか機能保全にかかわる計画作成が行われるように記載を検討することになるかと思います。

6ページをお願いいたします。

そこで、ストックマネジメントの考え方をきちっと明記するとともに、その際、例えば施設更新時におけるきめ細かな対応とか、今後の農業構造変化とか技術の進展に対応した視点といった面では、まず、施設の更新時ですけれども、地域では今後、農地の集約とか、あるいは今後、例えば営農する際に作物の変化とか、いろいろ農業変化が見られると思うんですけれども、こういった水需要の変化について十分対応が必要だということで、既存の水利権を最大限活用して、担い手がうまく水利用できるような形で検討しようといった視点を記述したらどうかと考えております。

それから、農業構造の変化とか技術進展なんですけれども、担い手が今後、集中してくる中で、新たな農業水利システムの構築が重要になると思います。例えば水管理の省力化といった面では、ICTの活用、例えば頭首工の取水ゲートに自動制御するような機能をつけて自動的に取水制限が行われるといったようなこともございます。こういったICT等の活用によって、水管理の省力化とか水利用の効率化が実現されているということもございますので、そういった視点。

あるいは施設の管理記録を蓄積することによって、将来の更新等に向けてストックマネジメントがやりやすくなるということもありますので、施設管理記録の蓄積の仕組みづくりが重要であるといった視点を記載したらどうかと考えております。

続きまして、7ページでございます。

ここは環境配慮の点でございますが、前回の会議でもお示ししていますが、関係者とともに環境配慮に取り組んできている状況でございます。

8ページの右の改定方針のところでございます。

こういった環境との調和への配慮の考え方については、指針、手引き等に既に示されてございますので、これらの記載を踏まえつつ、畑地かんがい地区の事例収集も行いながら記載を充実したいと考えてございます。

9ページをお願いいたします。

畑地かんがい地区における環境配慮の事例を調べたところ、真ん中に簡単に表にしてございますけれども、水辺の生態系とか周辺環境への配慮、こういったものが主体でございました。そういう意味では水田のかんがいと同様なものがなされており、水田かんがいと同様に環境配慮が重要と言えますが、表の下に記載してありますが、水田の場合、そのものが水辺環境を有しているので、取組は畑地に比べてやりやすいのかなという感じがいたします。畑は水田と比べて、環境配慮の際により大きな費用のかかり増しが発生する懸念があるということもございますので、環境配慮のレベルを検討する際には営農とのバランスに留意が必要かと思われます。そのあたりのところを水田の考え方に加えて追記するといったことで整理したいと考えております。

10ページ、この委員会でいただいたご議論を踏まえて検討した事項でございます。

1つは、耐震対策であります。

これは大変重要なことでして、仮に被災した場合、大きな影響を及ぼす可能性がございますので、地域の実情に応じて、必要に応じて適切な対策を検討するといった形で整理させていただきたいと思っております。

それから、地球の温暖化に伴う気候変動の影響ですけれども、四角の枠中に書いてございます。平成19年に農林水産省の総合戦略を策定してございますが、この中で気候変動が農業生産基盤に及ぼす影響を評価して、必要となる適用策や推進方策を検討するといった大きな方向が示されております。その後、農業・農村整備においての展開方向についていろいろ取りまとめが行われておりますが、今回の案件に関するところでございますが、気候変動が水利用に与える定量的な評価といったものがこの中の課題として掲げられてございます。

今回の基準書の対応でございますけれども、こういった地球温暖化による影響等の対策については重要なポイントであるんですけれども、現時点においては、例えば気象変動が個々の施設の水利用に与える定量的な評価手法がまだ確立されておりませんで、今後の技術開発の結果を見る必要があると思っております。ですから重要なポイントではありますけれども、基準書の中に記載するのはなかなか難しい面がございますので、引き続きの検討事項とさせていただきたいと考えております。

11ページをお願いいたします。

この基準書が制定されて以降、さまざまな技術進展とか新たな技術といったものが出てきておりまして、例えばかんがい方式とか土壌水分の測定とか、栽培管理用水の使い方など、そういったものについては当時の知見でも記載されておりますが、最新の状況を踏まえてこのあたりを更新するとともに、小水力の発電等のエネルギー関係、それから地理情報システムなどについては記載がございませんので、特に技術書といった技術的な内容の整理を中心に、情報を追加したいと思っております。

12ページ以降、少々具体的に、どういったところに改定を盛り込むかということですけれども、12ページの最初、ストックマネジメントの考え方のところで、まず、総論の中でストックマネジメントの考え方を明記したいと考えております。そういったことを踏まえまして、調査段階あるいは計画段階において、調査をする際には既存施設の活用の状況を把握する、それから、施設の計画段階においてはそういった考え方を検討する、といった考え方を追記したいと考えております。

13ページをお願いいたします。

施設更新時に係るきめ細かな対応ということですが、これは先ほど説明させていただいたような考え方を調査の段階で、要は、地域の既存の水利権水量とか施設の有効利用等を図るような形できめ細かな用水管理をする、そういった関係から、可能な限り新規の用水需要に対応するということで、施設規模が過大とならないように留意しながら実情を調査するといったところで、ほ場の用水量調査のあたりにその考え方を盛り込んだらどうかと考えております。

農業構造の変化等に対応した部分につきましては、施設管理計画の中で、例えば将来の補修、補強、更新に向けて管理記録を保存するといった仕組みを設けることも重要であるということで、追記したいと考えております。

14ページをお願いいたします。

環境配慮の部分でございますけれども、これは総論のところで、環境との調和に配慮しつつ総合的な検討を行うということで、総論のところに明記をし、さらに調査段階においては環境との調和への配慮事項を把握するために調査すること、さらには計画のところにおいては新たに項目を立てまして、環境との調和への配慮に係る計画について、新規にこういう計画を作るということで項立てをして、整理したいと考えております。

15ページをお願いいたします。

耐震対策の考え方でございますけれども、施設計画の中に、そういった耐震対策が重要であるので適切な対策を検討するということで、追記したいと考えております。

16ページをお願いいたします。

地理情報システムの活用ですけれども、地形図の作成等の際にGISを活用することも効率的であるといったことで、これは解説のほうになりますけれども、そういった解説を加えたいということと、再生可能エネルギーにつきましては、施設計画の中でその導入の可能性について検討するといった形で追記したいと考えております。

17ページは、前回、先生方からいただいたご指摘に対して対応方針が書いてございますが、今、説明させていただいた内容になりますので、省略させていただきます。

資料2の2をお願いします。

申し訳ございません、時間がありませんので簡単に触れさせていただきますが、めくっていただくと目次がございます。この基準書は、大きく「総論」と「調査」と「計画」と分かれてございます。今、説明させていただいたところがそれぞれどこに入っているか、さっと触れさせていただきます。

下の真ん中に振ってある数字で5ページをお願いいたします。

総論のところでございますけれども、事業計画作成の基本ということで、一番左の列にありますが、青い字はストマネ関係、緑の字は環境配慮ということでそれぞれ明記するとともに、環境配慮の部分は先ほど説明いたしましたが、一番右の列の解説の緑の真ん中あたり、下から2行目でしょうか、「営農とのバランスに留意し、環境との調和に配慮することが必要となる」といった形で整理させていただいております。

それから11ページ、このあたりから「調査」に入りますけれども、右の下、既存施設の活用について把握するということで、ストマネの関係、それから環境との調和の配慮事項について把握するということで、調査の際の把握の内容について記載させていただいております。

13ページの右下、GISの活用について、受益地調査の中でそういった活用ができますよという整理をさせていただいております。

20ページの真ん中の列、上から2つ目の青い字のところになります。これは用水量調査の部分でございますけれども、きめ細かな対応といった考え方をここに入れさせていただいております。

35ページをお願いいたします。

ここは「計画」のところでございます。基本計画の中にはいろいろな計画をもとに基本構想を策定するというのがございますが、ここで「環境との調和への配慮に関する計画」というのも改めて項立てしましたので、それを追記するとともに、具体的には43ページの3.3.6、環境との調和への配慮に係る計画になりますけれども、ここでその計画を定めるということで整理してございます。

また、45ページになります。

ここは施設計画を立てるところになりますけれども、真ん中の列の黒い部分、「なお」書きのところで耐震対策について、必要に応じて検討するということと、「また、」以下は、再生可能エネルギーの導入の可能性について検討するという形で整理してございます。

71ページになります。

ここは管理運営計画のところでございます。管理運営計画は、新設とか更新も含めて管理運営の内容になりますけれども、一番右の列の「施設の管理運営」のところで、構造変化へ対応して管理のしやすさといった面で記載を追記してございます。

こういった位置づけで整理させていただいております。

もう一度、資料2の1の18ページをご覧ください。

スケジュール関係でございますが、今日ご審議をいただいて、おおむねご了解を得られればパブリックコメントを実施しまして、今日いただいたご意見あるいはパブリックコメントを踏まえて、2月に予定される審議にはまた改定案をお示しし、ご議論いただきたいと思っておりますので、年度内に部会から報告、答申をいただきたいと思っております。

 

○毛利委員長

それでは、審議に入らせていただきます。

委員の先生方からご質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。

 

○武山専門委員

資料2の1の9ページ、畑地かんがいにおける環境配慮の事例ということで、四角の中に表を作成していただいていまして、環境配慮の中にどういったことが含まれるかが具体的に非常にわかりやすくなったなと感じました。

その中で、動物、植物、景観、周辺環境と4項目に分類いただいているのですが、その上の2つ、動物、植物に関しては、ご説明があったように水田のほうが、そもそも水田自体がこれらの生息地になっていること、また、これをつなぐ水路がコリドーの役割を果たすこと、これらによって、重要性も高いし、また事業の一部としての取組もやりやすいしということで、いずれにしても重要性が高い。それに対して畑地のかんがいにおいて、比較してですけれども、水田よりは重要性が低めに捉えられてもいいかなということで、「営農とのバランスに留意して」という書きぶりになっているのかなと感じております。

それに対して下の2つ、景観と周辺環境については、畑地でも水田と同等の重要性があるということは言えるかと思います。特に周辺環境への騒音とか、あと排ガスとか、こういったものは営農とのバランスというよりは、むしろ絶対に取り組むベき項目となりますので、計画書の書きぶりはこれで問題ないのかなと思うのですけれども、その後の取り扱いについて、若干仕分けに留意が必要かなと感じました。

 

○小平農村環境課長

ありがとうございます。

記載ぶりにつきましてはよろしいかというようなご意見をいただきましたので、そこはそれで整理させていただきたいと思いますが、実際の現場での利用等につきましては、今、委員からご指摘いただいた点も含めまして、どのように工夫できるか引き続き対応してまいりたいと思っております。

 

○吉田専門委員

資料2の1の13ページ、本文のほうにもあるのですけれども、13ページのほうを見ていただいて。

調査:改定箇所、基準の運用(案)の2.3精査、2.精査の内容のところで、先ほどご説明いただいた「その際、更新を行う場合には、既得水利権水量及び……」という赤で改正すると言われた部分ですけれども、この最後のくだりが、これは調査内容に関する基準だと思うんですけれども、ちょっと計画に踏み込んでいる感があって、調査というのは基本的に客観的に行うべきだと思いますので、「施設規模が過大とならないように留意して」調査するということはないのかなという印象を持ったので、この辺、もしご検討いただけたら。計画のほうにこのように記述するといったところで、ちょっと工夫していただければなという感想を持ちました。

 

○小平農村環境課長

どういう点を調査するとか、どういう視点で調査するといった形からすれば、確かにやや考え方に踏み込んでいる面があると思います。すみません、今すぐここでどのように修正したらいいかは言えない状況ですので、先生のご指摘等を踏まえて、どんな形にできるか検討させていただきたいと思います。

 

○吉田専門委員

もう一点、全体として環境への配慮についてです。

自治体のマスタープランを参照するということが基本にあると思うんですけれども、基準には別に記載されているのでそれで結構なんですが、説明資料として、例えば公表する場合に環境への配慮方法の中身として、基本的にいろいろなレベルでマスタープランがあると思いますので、そういったものも参照しながらというあたりは説明に必要なのかなと拝見していて思いましたので、その辺ちょっとご検討いただければと思います。基準については、何も問題ないと思います。

 

○毛利委員長

今、ご指摘いただきましたのは、14ページの2.2.2のところに「市町村が定める」と書いてある、このあたりのことですね。

他にご意見いただけますでしょうか。

 

○青木専門委員

まず1点は、資料2の1の6ページ、中段左側にある「施設の更新時に係るきめ細かな対応」具体的に青い点線で囲ってある計画例2「既設用水路をパイプライン化し、生み出された用水を新規利水地区へ供給」というのが、正直言ってちょっと過激すぎるのではないかなと。早い話、既設用水路をパイプライン化しても水計算上の用水量は変わらないんですよね、基本的には。その施設の構造によってロスの水がちょっと違うので、若干の量は変わるけれども、生み出される新しい水はそんなにない。

また、今の時世に「生み出された用水を新規利水地区へ供給」という言葉がちょっと気になるものですから、左側の全体解説の「既存の水利権を最大限活用し、担い手が水利用の自由度をもって戦略的な営農を展開」こういう言葉はいいだろうと思うんですけれども、その計画例1はいいんですけれども、2のほうが、ちょっと表現が過激すぎるのではないか。

もう一点は、16ページのGIS、地理情報システム活用の件です。

具体的に管理する土地改良区の面から見ると、受益面積の確定だけではなく、後々の管理においてもGISの利用は非常にうまく地域で活用されると思いますので、維持管理面での効用についても、ここら辺に何らかのコメントをいただけるとありがたいなと思います。

 

 

○毛利委員長

確かに、後段はそうですね。維持管理と、その運営の中でも活用できる貴重な情報だと思います。

事務局から何かございますでしょうか。

 

○小平農村環境課長

最初のきめ細かな対応の部分、表現がちょっと過激だということがございました。我々も事例を調べまして、確かにロスが減って、その分、効率的な水利用ができるという面が見られる計画がありましたので、ちょっと表現をまた検討したいとは思いますが、そういったことも可能であるという面で記載させていただいたところでございます。表現はまた工夫させていただきたいと思っております。

また、GISにつきましては、委員ご指摘のとおり、各種面積調書を作成する等々のときにも、先ほど事例として挙げた以外にも利用できると思っておりまして、というのは、例えば技術書といった技術的なことを事例としていろいろ整理するという面もございますので、そういった中に、こういった事例もあるということで整理するのは一つのアイデアかなと思っていまして、そういった活用についてはわかりやすい情報の提供に工夫したいと思っております。

 

○毛利委員長

ご指摘いただきました生み出された用水の新規利水地区への供給についてですが、これは何か事例があるのでしょうか。

 

○小平農村環境課長

事例がございまして、福井県の九頭竜川地域の事例を参考にさせていただきました。

 

○毛利委員長

九頭竜地区は、開水路をパイプライン化して圧力水として海岸まで配水できるようになったので、今までかんがい用水がかからなかったところに水が届くようになった、そういう事例だったかと思います。

そういう事例があるのであれば、うまく表現して対応いただければと思います。

 

○室本整備部長

青木委員がおっしゃった新規利水ですね、これは事例としては国営かんがい排水で、農業用水の受益が減って水が余ってきた、同時にそれをパイプライン化することによってげた水を流す必要性をなくし、そしてロスも減らす。そういうことで余った水を工業用水とか上水に転用する、こういった事例が国営で1地区、補助ではたしか、これまで4~5地区やってきたと思います。

ただ、工業用水も上水も最近需要がないものですから、最近の例としては、農村環境課長が申し上げた九頭竜川下流地区で、パイプライン化してもともと受益でなかったところの用水需要が発生した、それに対して水を送水する、こういった地区もありますし、北海道などでも、パイプライン化までいかなくても受益の構成を変えることによって用水の需要が余って、その水を他の畑かん地区に持っていく、こういったことも結構最近はやっております。

そういうことを意識してこれを書いておりますが、非常に単刀直入に書いていますので、どのような修正が可能か検討させていただきたいと思っております。

 

○木下専門委員

今の件、余り掘り下げてはいけないのかもしれませんけれども、私も青木委員と同じように、疑問というか、どういう具体的なシナリオがバックグラウンドにあってこういうものが出てきたのかなと思っていました。

資料2の2の20ページ、だから抜き出しているところと一緒だと思うんですけれども、今、お話を聞いて、営農変化に伴う水需要の変化というのは多分2つのケースがあって、今お話があったのは余剰水的なものですよね。つまり農業用水利用が減少していくというところで、それをどう─営農の中なのか営農の外なのかわかりませんけれども─有効活用するか。一方で、戦略的な水田活用という政策の中で、例えば飼料米とか多用途米というニーズが出てきていて、その期別の水需要が今までの集中型よりももっと伸びてくる。そういう意味では、総量では減るかもしれないけれども、期別でいくと増える月があるとか、だからプラスとマイナスと両方の面があると思うんですね。

資料2の2の20ページの該当個所を読むと、青字の前に「用水の不足する」という、それを前提にしてあって、それに続くと、農業にもっと水を有効利用するためにというような話かもしれなくて、一方で余剰水というのが出ていて、そこで少し、需要が増える局面と減少という局面がうまくここに盛り込まれているかどうかというのが1つあります。

もうちょっと細かいことを言うと、水利用の自由度をもってというところが、やはり細かく言うと「自由度」というのはどういう意味で使われているのか。もっと言うと「きめ細かな対応」というのも、その言葉で大体これにかかわる人たちは「きめ細かな用水管理」と言うと大体1つの意味が通じるのか、やはり一つ一つ計画量を見ていかないと、いろいろなケースの「きめ細かな」があるのか、少しそういう曖昧さがあるのかなというのがもう1つの疑問でございます。

 

○小平農村環境課長

今、木下委員からいただいた営農変化ですね、これは農業用水の変化とか今後の作物の構成とか、地域の営農状況がいろいろ変わるということも含めてあるかと思っています。

全体的な構成としましては、例えば5ページの基本的な考え方のあたりにも入っているんですけれども、例えば真ん中の列に「事業計画の作成に当たっては、地域の農業農村整備の方向付けの中で、」農業用水の在り方についてどのようなといったことが書かれており、6ページの真ん中の列、基準の運用あたりで用水利用の効率化、その地域の営農の展開方向に即してどういう水利用の形態にするかといった全体的な検討、あるいは3.にありますけれども、地域の用水利用を変移させるような諸要因の動向を予測・検討して計画を作成するといった基本的な考え方はあり、その中で、例えば調査の段階ですと、11ページの真ん中に4とありますけれども、地域の営農とか経営とか、それから当該地域における将来構想とか、あるいは水不足の状況等々の情報を収集し、そういったところで計画を作っていくという考え方を全体としてはとっております。

先ほど先生からご指摘のあった20ページでございますが、この場合、もしかしたら「その際、」という接続詞がちょっとおかしな感じを持つのかもしれませんので、そこはちょっと検討させていただきたいと思っております。

 

○木下専門委員

用水不足という状況を受けているような書き方になっていますから。

 

○小平農村環境課長

はい。

 

○室本整備部長

木下委員のご指摘で、ちょっと余剰水に特化したみたいな説明になってしまいましたので1つ補足しますと、要は政策としては、これは麦、大豆を本作化するとか、あるいは飼料米に転換するとかいろいろな形を目指しているわけですね。そういった中で用水の供給期間が延びるとか、あるいは麦、大豆だと水をあまり必要としませんので水量が余ってくるとか、いろいろな現象が当然生じてくるだろう。そういう意味での営農に対応する水供給の自由度を上げることだとご理解いただければいいと思います。

その計画例の1が「調整池を造成し、」と。これはまさに調整池に水をストックして必要なとき、必要な地区に水を供給することを可能にする、こういう事例でございまして、決して余剰水の対応という意味だけを含んでいるのではない。先ほど農村環境課長が申し上げた九頭竜は、これももともと国営の受益に入っていない地区を受益に取り込んで、そこに水を、営農の多様化に伴って水をそちらへ回していく、こういうことでございますので、ある意味、地域全体での営農に対応した水使いをある程度の自由度を持ってやっていきましょう、こういう意味にご理解いただければと思います。

 

○堀野専門委員

前に比べるとすごくよく修正、ご対応されていると思います。

私のはどちらかというと技術書を念頭に置いたときの話になるのかもしれませんが、何回も申し上げているように、例えばGISにしても環境配慮にしても、温暖化とか小水力とか、ほとんどすべてとは言いませんけれども、かなりの割合が畑地に限定されたものではないですよね。多くが水田と共通の部分になりますので、これまで出されている基準書とかマニュアル等と齟齬がないように、もちろん十分留意されて書かれていると思いますが、その点を、特に環境配慮のところは、極端に言うと丸写ししてもいいはず。変な言い方ですけれども。ここで書いてしまうと、またそれを引きずって─言い方が悪いですね。いい書きぶりであれば問題ないんですが、この後いずれ水田のほうもとか、他のため池もとかなってくると、そういうところもそれに引っ張られることになりますので、それはいい書き方をされるとありがたいなと思っております。

それから、中で説明されていましたけれども、地球温暖化に伴う対策というのは、必ずどの側面でもうたわれるんですけれども、私はこれは言われたとおりで、引き続き検討というか、この基準書に無理に入れる必要はないのではないか。それは、とにかく供用期間をどのくらい対象として、あるいはこの基準書が効力を持つ期間をどれぐらいを設定するかを考えると、恐らく長くて20年いかないだろう。10年とかになると、その間で温暖化と言われても、多分もっと先を見通した温暖化の話になってくると思いますので、結構無理がある。

要するに、現時点で、例えば50年先を見通して計画を立てたりするのは実際問題難しいのではないかということで、もし書くなら「そういうことを理由に、ここでは余り触れない」みたいな書きぶりにしたらいいのではないか。

温暖化では語りたいことがいっぱいあるんですけれども、気温が直接上がるからどうこうというよりは、やはり雨のふり方等の水資源的な供給の偏在性のほうがずっと問題になってくるので、それを言い出すと、例えば小水力自体も今、そういうことを考えないで小水力と言っている。そういうところも今度は考えてやってほしい。

これは私の専門というよりは、恐らく武山委員の専門になってくると思いますが、環境配慮も非常によく考えられた文章になってきていますが、畑灌ということで申し上げたいのは、一時期ちょっとだけやっていましたけれども、獣害ですね。水田と違って、水田でももちろん獣害は出るんですけれども、畑灌となると原則周年でいろいろな作物が可能ですので、秋から冬に向かうころにかなり獣害を受けるところが、里山、普通にありますよね。

そういったところで余り、何と言ったらいいんですかね、環境配慮として生態系に配慮し過ぎると、今度は作物やられてしまうよという部分もあって、そういった部分をこの中に入れ込まれるのかどうか。それは基準とか運用、解説の部分で書かれるのか。ちょっと書いてほしいんですけれども、個人的には。技術書のほうである程度、防護策を含めて、そういった施設計画の中の具体策として入れられるのかというところがあると思うんですけれども、ちょっと触れていただけるとありがたい。実際に使われる方にとっても助かるのではないかと思います。

 

○小平農村環境課長

ありがとうございます。

水田と共通のところがあるということで、うまく説明できなかったかもしれませんが、農業用水(水田)で既にご審議をいただいて改定しておりますので、基本的にその表現をいただきながら、畑作の特徴的なところについて、例えば営農とのバランスにといったような形で追記するという方針で整理させていただきました。

地球温暖化については、コメントありがとうございました。

それから、鳥獣害でございますが、この基準自体は、取水から持ってきて水を配分して撒くという部分に当たりまして、むしろ今、先生がおっしゃったような感じですと、ほ場整備の基準のほうに鳥獣害の対応について記載しておりますので、そういったところで対応できるのではないかという整理をしてございます。

 

○堀野専門委員

私は専門ではないので余り大きな声で言いたくないんですけれども、既に水を配分する段階で、例えば水路をどこに這わすかが獣害対策の第一歩になってくるんですよ。ほ場だけで対応するのは結構難しくて、極端な話をすると、めっちゃ幅の広い水路をつくってグレーチングなど一切引かなければ、小動物は飛び越えられない。逆に言うと、それは一方で、落ちて死んでしまうという意味でけしからんという話にもなるわけですね。

そういう意味で、ほ場だけでの対策を念頭に置かれると、獣害としては多分ちょっと─武山委員などいっぱい言うことがあると思うんですが─困る事態になるのではないか。そういうことがあります。

あとはちょっと、追加でもし可能なら、前にも申し上げたように、畑灌の用水としての基準書の見直しであるにもかかわらず、本質である用水そのものの見直しの評価はあまり今回はないんですよ。それは狙いが、原則としてストマネを意識した長寿命化、更新に対してのことを意識されての改定だと思うので、それはそれで私もOKだと思うんですけれども、もし技術書で突っ込めるようなところがあれば、特に栽培管理用水の調査を、私も引き受けたりしていますけれども、最近いっぱいされていると思うので、少しでもそういう成果、最新のところの情報を入れていただけるとありがたいなと思います。

 

○小平農村環境課長

鳥獣害ですが、私ども、水路の配置によってどうこうという知見がまだなかなか積み上がっておりませんので、先生にもご相談して、整理できるかどうかちょっと検討したいと思っております。

それから栽培管理用水等々につきましては、技術書のほうでいろいろ整理したいと思っておりまして、今まで積み上がってきているやり方とか「こんな方法がある」ということについては、適切な情報提供に努めたいと思っております。

 

○毛利委員長

環境配慮とストマネが共通事項のような形で基準策定が進んでおりますけれども、技術書のほうにも記述を計画されているということですので、うまくバランスしていただければと思います。

他に何かありますでしょうか。

それでは、2つ目の議事に進ませていただきます。

耐震設計の改定でございます。

事務局からご説明をお願いします。

 

○佐々木施工企画調整室長

施工企画調整室長の佐々木でございます。よろしくお願いいたします。

資料3に基づきまして、ご説明いたします。

まず1ページ、最近における土地改良施設の地震被害の状況を表にしてございます。表の一番下、東日本大震災の被害が一番大きい状況が見てとっていただけるかと思います。

2ページ、耐震設計に関する動向、経緯でございます。

ポイントは2点ございます。中ほどの昭和57年、土地改良施設の地震に対する安全性の照査・検討を実施するに当たっての基本的事項を示すものとして、設計指針「耐震設計」が作成されております。この指針では、現在で言うところのレベル1地震動を対象にしております。

その後、平成7年に兵庫県南部地震を経験しまして、平成16年に従来の地震動よりも規模の大きな地震動でありますレベル2地震動も考慮した耐震性の考え方につきまして、「耐震設計の手引き」としてまとめてございます。

3ページから4ページに「耐震設計の手引き」等における現在の耐震設計の考え方を整理しております。

土地改良施設におきましては、レベル2地震動を考慮した耐震設計が取り入れられております。地震動のレベルを2段階、レベル1地震動とより大きな地震動でありますレベル2地震動に区分しまして、施設の重要度区分に応じて各レベルの地震動に対する要求耐震性能を設定し、その性能の照査を行うというものでございます。考え方としましては、レベル1地震動では、損傷が全くないように設計する。一方で、レベル2地震動については構造物の粘り強さを考慮して設計する。多少の損傷は許容する考え方になっております。

3ページの下のグラフと図は、地震動と構造物の変位、状態をイメージした図でございます。

グラフの縦軸が構造物に作用する水平荷重です。横軸は構造物の変位を示しております。荷重を徐々にかけてまいりますと、図の1の点までは構造物は弾性変形を示します。このとき荷重を放しますと、構造物はもとの状態に戻ります。構造物に損傷は生じていない1までの状態になります。1の点を超えて荷重をさらにかけていきますと、構造物には1から2の状態のようなクラックですとかひび割れが生じてまいります。もうこの時点になりますと、荷重を取り除いても完全にはもとに戻らない状態です。2の時点を超えますと、コンクリートの剥落ですとか鉄筋のはらみ出しが生じてまいります。構造物の耐力が弱まって荷重がかからなくなってまいります。図2から3の状態です。そして、さらに荷重をかけると構造物が完全に破壊されてしまうという状況です。

次に、4ページの表で重要度区分の設定についてご説明いたします。

耐震設計に当たりましては、施設ごとに重要度区分を選定することになっております。重要度区分は、被災による二次被害、本来の機能に与える影響を総合的に判断して設定しております。低いほうからC種、B種、A種、AA種ということで、A種については極めて重要度の高い施設、A種のうち特に人命、財産やライフラインへの影響が大きい施設はAA種という区分にしております。

重要度区分に応じて求める耐震性能につきましては、下表のとおりでございます。考え方としましては、重要度区分B種以上で耐震設計を行う。そして、A種以上ではレベル2地震動まで考慮した耐震設計を行う考え方でございます。例えばAA種の設定は、レベル1地震動に対しては健全性を損なわない耐震設計が求められます。3ページの図で言いますと、図の1までの状態です。レベル2地震動に対しましては、限定的な損傷にとどめる耐震性能が求められます。図1から2の状況でございます。

なお、施設ごとに見ますと、ため池ですとか頭首工などはC種の設定がないものもございます。

5ページ、基準類の整備状況についてご説明いたします。

この表では、耐震設計「設計指針」が作成されました昭和57年、それから「耐震設計の手引き」が作成されました平成16年時点、それから現時点の3時点で記載しております。緑色の列が施設別の基準類の整備状況でございます。ブルーの列が、丸がついておりますが、設計指針「耐震設計」と「耐震設計の手引き」で対象にした施設を示しております。真ん中の列の平成16年を見ていただきますと、レベル2地震動を考慮した「耐震設計の手引き」がここで整備されたわけですが、施設別の基準類について見ますと、レベル2に関しては、ダムとファームポンドだけが平成16年時点では個別の基準にありました。現在においては、今度は右の欄になりますが、施設別の基準類の改定が進みまして、ほとんどの工種でレベル2地震動まで対象にした設計基準が整備されている状況でございます。

6ページ、東日本大震災を踏まえた検証でございます。

東日本大震災の被災状況を踏まえました耐震設計上の課題に関する検討状況につきまして、平成24年3月に整備部会でご報告させていただいております。その概要は下表のとおりでございますが、現在、大規模地震に対する耐震設計等の検討が必要と考えられる3工種について、検証等を実施してございます。

この表の中で申しますと、ポンプ場です。ポンプ場につきましては、津波で配水機場が被災するといった被害が発生いたしました。現在、津波等による浸水被害に対する耐水化について検討しておりまして、今後、設計基準「ポンプ場」の改定で対応してまいりたいと考えてございます。

もう一つはパイプラインでございます。これも地震の直接の被害というよりは、液状化による管路等の浮上、たわみ、継手の抜け出し等の被害が発生した。これは茨城県内、福島県内で多く発生してございます。被災施設にはレベル2地震動対策を行った施設はございませんでしたが、この地震での現象について、その現象面から液状化対策等について検討いたしまして、今後、設計基準「パイプライン」の改定で対応してまいりたいと考えております。

ため池につきましては、福島県内で決壊したため池を含めまして、深刻な被害が一部で発生いたしました。また、その他にも堤体に亀裂、斜面崩壊等が多く発生したため池がございました。

これを踏まえまして、まず1つは設計指針「ため池整備」というのがございます。これを平成25年3月に一部改正いたしまして、レベル2地震動に対する重要度区分を設定いたしました。AA種を追加しております。

もう一点は、この同じ指針の平成26年度内の改定を目指しまして、今まで記載のなかったレベル2地震動に対する照査方法について盛り込めるよう、今現在、検討しているところでございます。

7ページ、耐震設計「設計指針」改定の必要性でございます。

今、申し上げましたとおり、「耐震設計の手引き」で導入しておりますレベル2地震動に対する耐震設計の内容につきましては、現時点では施設別の基準類へ反映されてきております。こうした状況を踏まえまして、レベル1地震動のみを対象としている昭和57年の古い設計指針「耐震設計」に、レベル2地震動に対する耐震設計の考え方を導入してまいりたい。また、土地改良施設は、ご案内のとおり多種にわたっておりまして、構造物の特性もさまざまでございますので、耐震設計に関する一般的な内容をしっかりと取りまとめておく必要があると考えております。

8ページの改定方針案でございます。

改定につきましては平成16年3月に策定した「耐震設計の手引き」を基といたしまして、以下の観点から整理、検討してまいりたいと考えております。

1つは、レベル2地震動を含む耐震設計に関する一般的事項について解説をする。基本的な考え方、調査内容、設計条件、耐震計算法の種類、耐震診断の方法等について整理してまいりたいと考えております。

ここで恐縮ですが、最後のページに参考2という資料がございます。耐震設計と施設別基準類の違いのイメージでございます。

今、申し上げましたとおり、今回の設計指針「耐震設計」の改定案では、左の欄にございますように、主として土地改良施設の耐震設計に関する一般的事項について解説してまいりたいと考えております。一方、施設別の基準類につきましては、遵守すべき事項として基準書、この緑色の箱の中のようなことがいろいろ書いてございますが、「基準書」と具体的な施設ごとの設計手順等を記載している「技術書」という構成に分かれてございます。この例は、設計基準「頭首工」の例ですが、このような形で分かれてございます。

8ページに戻っていただきまして、中ほどの※でございます。施設ごとの設計手順等につきましては、平成16年の「耐震設計の手引き」には実はこの記載があるんですけれども、今、申し上げましたように施設別の基準類がだいぶ整備されてまいりまして、設計基準・指針に記載済みでございますので、今回の耐震設計の指針の改定では記載しないことを考えてございます。

2点目といたしまして、各施設で適用すべき基本条件、設計震度でありますとか計算方法については、それぞれの施設がどういった考え方になっているのかを横断的に一覧で俯瞰、比較できるように整理してまいりたいと考えてございます。

それから、耐震対策の事例ですとか、並行して検討しております先ほど触れました設計指針「ため池整備」の改定内容など、最近の知見については反映してまいりたいと考えてございます。

なお、ダムにつきましては5ページに戻っていただきまして、この表の中を見ていただくとわかりますように、平成16年の手引きでは、ダムの項はレベル1、レベル2のところが「-」になっています。この手引きでは対象にしてございませんでした。一方、施設別の設計基準「ダム」というものが個別に整備されておりますが、ここでは、レベル2地震動に対する安定性の検討を重要度に応じて行う規定を盛り込んでおります。ただ、このダムの設計基準の中では具体的な照査法、耐震計算法までは、レベル2については定めておりませんで、個別に検討してやりなさいといったことになっております。

そういった中で、現在、国営で造成したダムについては順次ダムごとにレベル2に対する耐震照査にトライアル、検討・照査しているところでございまして、今、行っている耐震照査等の算定データ等を蓄積しながら、ダムとしての耐震設計の手法を具体的に検討していく必要があると考えているところでございます。

このため、今回のこの設計指針の改定に当たりましては、ダムそのものについては具体的に記載しない方針としてまいりたいと考えてございます。

最後に9ページ、改定スケジュールでございます。

本日ご審議いただきました上で、12月に第2回ということで具体的な改定方針をご説明させていただきたいと思います。第3回を2月に審議いただき、年度内に整備部会にご報告するようなスケジュールでやらせていただければと考えております。

 

○毛利委員長

昭和57年の耐震設計と平成16年の手引きを一体化するような形での今回の改定というご説明をいただきました。

ご意見よろしくお願いいたします。

いかがでしょうか。個別の具体的なものがなかなか見えないので、コメントしづらいところではありますが。

それでは、私から質問させていただきます。

4ページ、これは以前の基準にも表現されていたところではあるのですけれども、「重要度区分及び地震動レベルと耐震性能」という表が下にありまして、レベル2地震動で「限定的な損傷にとどめる」というのがAA種、「致命的な損傷を防止する」というのがA種、これは全工種にわたって同じような表現という理解だと思いますが、これは上のグラフで言うと2とか3というところをイメージしておけばよろしいのでしょうか。

 

○佐々木施工企画調整室長

少しわかりにくくて恐縮でございますが、RC構造物みたいなもののイメージで申しますと、「限定的な損傷にとどめる」というのは、荷重が最大にかかるところ以内でその構造物の耐力がそれに耐え得るかといった検証を行う。さらに「致命的な損傷を防止する」というところで性能を評価する場合については、さらに先の構造物が持っている終極的な、何というんでしょうか、耐力、さらには粘り強さみたいなところも考慮して評価していくという考え方でございますが、ダムですとかため池については、ご案内のとおり、また少し異なっております。すべり面で評価し、レベル1については震度法で評価し、また、レベル2についてはその変位、実際に円弧でどのぐらいの変位、落ち込みが起きるか等について評価をする形ですので、少し異なっているかとは思います。

 

○毛利委員長

そうですね、工種ごとに少し丁寧な説明というか、記述があったほうがいいかもしれませんね。

委員から何かご意見などございますでしょうか。

 

○武山専門委員

今のAA種、A種の話に引き続くんですが、例えば、すみません、ちょっとイメージが捉えづらいんですけれども、5ページに示されているように施設ごとに、最終的にはすべての工種についてAA種であるとかA種であると判定されてきて─というイメージでよろしいんでしょうか。ため池とかダムだけでなく、例えば頭首工とか、そういう単体ごとに「これはAA種ですよ」とか、そういうことでしょうか。

 

○佐々木施工企画調整室長

そうですね、今、6ページに書いてある表が基本的な表現でございまして、例えば頭首工などの例で言いますと、ここに書いてある6ページの表現よりも具体的にこんな指標を参考にしなさいと。例えば「上工水と共同になっている施設ですか」とか「下流側の河川の状況はどうですか」といったことをよく見なさいというようなことが参考情報として書かれてございます。それに基づいて個々の施設を重要度区分づけして、耐震設計をしていく形になります。

 

○武山専門委員

そうしましたら、今回のこの設計指針の中には、AA種であるとかA種であるといったことを判断するような基準も盛り込まれてくるということですか。例えば10ページに示されている目次ですけれども、例えば調査の段階であるとか、そういったところで読んでいる人が大体の基準をイメージできるような書きぶりになるということでしょうか。

 

○佐々木施工企画調整室長

今、申しました重要度区分に関する6ページのような基本的な形と、あと施設ごとには具体的にどう評価するかといったこともさらに比較できるように記載するつもりではおります。

 

○吉田専門委員

今のお話を引きずって申し訳ないんですけれども、施設ごとに重要度設定するということですが、施設の中はいろいろなもので構成されていますので、パーツによっては最悪落ちてしまっても、でんぐり返ってしまってもいいような部分もなきにしもあらずだと思うんですけれども、そういう構成物それぞれのパーツの重要度といった考え方は、この基準等には入らないんでしょうか。その辺ちょっと確認させていただきたいんですけれども。

 

○佐々木施工企画調整室長

ちょっと繰り返しになってしまいますが、構成物そのものの要求性能に対する具体的な判断の仕方は書いていくつもりでございます。これはまさに、個別の基準にはもうある程度書いている部分がございます。それを踏まえて、改めてそこはさらに比較できるように整理していきたいと思っております。

例えば水路工などで言いますと、当然庭先に走っているようなU字フリュームみたいなものは耐震設計してございませんので、するべきもの、しないものを含めてそこは判断できるような形で整理してまいりたいと思います。

 

○毛利委員長

他にございますでしょうか。よろしいでしょうか。

土地改良施設全体にかかわる耐震設計でございますので、農業農村整備事業で実施している大きな基幹的なダムですとかパイプライン、ため池は軟弱地盤や狭隘地区に、地形・地質的にも非常に厳しいところにつくっておりますので、国交省が建設しているダムとまた違う性質を持っていると思います。軟弱地盤、堤体の材料そのものも非常に難しいものを使って構築している、そこに非常に大きな経験と実績、技術があるわけですので、そういうところをしっかりと意識できるような書きぶりにしていただきたいと思います。

安易に河川堤防あるいは国交省のコンクリートダムの基準類に単純に引っ張られることなく、農水省の技術を書き込んでいただくことを期待いたします。

それでは、次の議事に進ませていただきます。

「機能保全の手引き」の改定ということで、事務局からご説明をお願いいたします。

 

○松本施設保全管理室長

施設保全管理室の松本と申します。

お手持ちの資料4の1、4の2をご参照いただければと思っております。4の1が説明資料でございまして、4の2が今回ご提案する改訂版の新旧対照表でございます。

まず、資料4の1をご覧ください。

1ページから6ページまでは前回改定の背景、改定の方向をご説明したところでございまして、そこのご説明は省略させていただきますが、6ページをお開きください。ここに前回の検討の方向をまとめております。

大きく分けて3つあるとご提案したわけでございます。1つは社会情勢等の変化でございまして、特にリスク管理の概念が求められておりますので、そこを明示的に解説するようにしたということでございます。2つ目に、平成19年に前回の手引きを作りましたけれども、それ以降、取組の実績がかなり蓄積されてまいりましたので、取組の手法の改善ということで、施設監視の役割もどんどん大事になってきましたので、そういった考え方を整理する。または劣化曲線というものを機械的に適用してしまうということも出てきましたので、留意事項の整理、それから構造性能、水利用性能、水理性能、こういった3つの性能を全部意識して機能を考えていくことが大事なんだという原点に立ち返った考え方の整理をしております。3つ目に、蓄積されたデータの反映ということで、機能診断等も何千事例と実績が出てきておりますので、少し技術的な反映もしてみたということでございます。

7ページをご覧ください。左に改定案、右に現行手引きを載せております。

それぞれいろいろな考え方に基づいて整理しておりまして、左の改定案の第2章に「ストックマネジメントの基本事項」を入れまして、その中に2.2、性能の管理、2.3、重要度評価、2.4、リスク管理、2.5、耐震対策という形でほぼ全面的に書き直しをしております。

それから、3章に「ストックマネジメントの運用」とまとめまして、日常管理をして機能診断して対策をしてという、ストックマネジメントサイクルを回していく一つ一つのパーツごとの解説を取りまとめております。

4章には、平成19年度にはまだなかったんですが、国営でストックマネジメントする事業が立ち上がっておりますので、そういった事業も念頭に置いて、他の県営事業等の参考になるように、事業化に向けた解説を加えているということでございます。

それでは、一つ一つのポイントを説明させていただきます。改訂が膨大ですので、重要なポイントに集中してご説明させていただきます。

まず、8ページをご覧ください。

リスク管理の概念を明示的に導入ということでございます。

2章を新たに設けまして、その2.4に「リスク管理」を追加しております。その中身は基本的な考え方、管理水準の考慮、リスクコミュニケーション、緊急事態の事後対応、この4つの柱で構成しております。「基本的考え方」の枠内ですけれども、農業水利施設が劣化するということは、何を意味するのか。農業用水の提供が本来機能ですけれども、のみならず、水が溢れていることによって人命、財産等、第三者被害をもたらす可能性、そういったことも考えてリスク管理を行いましょうということを書いております。

では、それを具体的にどうするかという手順をまた解説に書いているんですけれども、少なくとも管理水準を考慮する、リスクコミュニケーションをちゃんと行う、緊急時の事後対応を考える、そういったことを位置づけております。

一番下の【参考】ですけれども、では、リスクをどのような枠組みで捉えるのか。原則的に考えていけば、リスクというのはある事象が起きた結果、どんなことになるか、その発生がどのぐらい起こりやすいかという組み合わせになるんですけれども、その結果は農業とか農業以外の想定被害額だろうし、発生確率というのは事故の発生確率だろうと思うんですけれども、これを実務でやっていこうとするとなかなか計算も大変ですし、精度も低いということで、今回ご提案させていただく枠組みとしては、実務的にやるやり方として、結果と確率なんですけれども、結果は重要度で置き換える。今「耐震設計の手引き」のほうで重要度の議論がありました。その重要度の考え方を持ってきて、重要度A・B・Cという感じで事象の結果による重要さを置き換えて考えてみる。他方、発生確率のほうは健全度で置き換えて考えてみる。機能診断をいたしますと最も健全なS-5から最も劣化しているS-1まで結果が出てきます。この健全度と重要度の2次元でリスク評価を考えていくという枠組みを提案していきたいと思っております。

右のほうに概念図を載せているんですが、例えば重要度5、Aの施設がある。個別の施設ごとに重要度を評価していきますけれども、重要度Aの施設については、例えばS-3ぐらいまで健全度の低下を許容するけどS-2、S-1まで低下することを許容しない。重要度BのものはS-2ぐらいで対策を行う、重要度CのものはS-1まで許容する。これは一つのイメージですけれども、そういったリスク管理の枠組みを新たに導入してみたいと思っております。

こうした考え方の基本としては、農業水利施設というのは新幹線トンネルですとか橋梁等と異なって、受容できるリスクの幅が広いところがあると思うんです。新幹線のトンネルですとか橋梁は、基本ゼロリスクでなければいけないと思います。しかし、農業水利施設はある程度リスクがとれる施設がある。先ほどの議論の中でも吉田先生が、極端な話でんぐり返ってもいい施設もあるのではないかとおっしゃっていましたけれども、一つ一つそういった、どの程度のリスクまで受容するのか、負担するのかということを関係者できめ細かく議論して合意していくというプロセスが、農業水利施設のストックマネジメントにあってはあるべきプロセスなのではないかという考えに基づいて、このようなご提案をしているということでございます。

9ページをご覧ください。

今、少し申し上げましたけれども、一番上の「管理水準での考慮」というのは、そういったところを1つ反映しているわけでございまして、施設の重要度評価を踏まえた上で、そういったリスクも考慮しながら、この管理水準というのは健全度が下がってきて、どこの健全度になったときに対策をするかというのが管理水準なんですけれども、そういったものを重要度に応じて、ある程度重要なものは他のものより管理水準を上げて考えていこうということを提案しているものでございます。

そうした中で、2.4.3、リスクコミュニケーションが大事になります。重要度と健全度に応じてどこまでのリスクを受容して、だれがどこまで負担するか、許容するリスクと対策費用はトレードオフの関係があります。施設の劣化状況に応じて具体的な保全対策について合意を形成していく、そのためには情報の共有と合意が必要になりまして、いわばインフォームド・コンセントが必要になる。それに向けたリスクコミュニケーションを図っていきましょうということを書いております。

健全度の低下によってどれぐらい施設が崩壊する可能性があって、発生したらどういう影響があるのか、それに対してどの程度の対策費用が負担できていくのかということなんですね。単なる情報共有ではなくてインフォームド・コンセントということで、理解して、納得して、合意を形成する、そのための情報共有だということをこちらに書いているということでございます。

ということは、ある程度リスクを受容しながら保全管理をするということなんですが、そういった意味では、2.4.4に書きました事後対応の検討もしておくことが大事になります。すなわち、機能保全対策によって重大な事故を発生させないことが基本なんですが、比較的小規模で重要性の低いものも含めて、すべての事故を回避することは不可能です。経済性の問題もあります。ということは、万一事故が起きたときの影響も極力抑制して、対応手順を考えることが重要になります。

そういう意味ではロスコントロールの考え方を導入しているということなんですが、何か起きたときにどう対応するのか。例えば隣接している地区の水を融通するということもあるでしょうし、あるいは既存施設を有効活用するということもあるでしょう。「パイプラインが破裂したときに調整池の中に溜まっている水でこれぐらいもつ、その間にこういう臨時対策をする」ということをあらかじめ決めて、関係者で合意しておく。もしかしたら隣接する地区から水を臨時的に融通してもらうということもあるでしょう。あるいはパイプラインを作り直していくときに、単に受益地が減ったからそれを縮小させるだけではなくて、臨時のパイプを通すための断面を確保していくということもあるでしょう。こういったクリエイティブな工夫がいろいろあるのではないかといったことも含めて、緊急事態における事後対応の検討ということも位置付けたわけでございます。

10ページをご覧ください。

そうしたある程度のリスクを抱えながら、施設の状態をしっかり見ながらやっていくということは、施設監視の取組が非常に重要になってくるということでございます。前回の手引きのときには、機能診断をまずやっていかなければいけない、保全の計画をつくらなければいけないということで一生懸命やってきたんですが、ある程度機能診断が進んでくるに連れまして、診断が出た、ではどうするか。例えば歯医者さんに行って診断をしてもらって、このままいくと虫歯になるのが確実なので、しっかり歯磨きして様子を見ましょうというときに、様子を見る、ではどうしたらいいのかということでございます。そこを、ストマネも進んできたので今回、施設監視というものを非常に重視して書き下ろしたところでございまして、一つ一つの施設の個性を把握して適切な対応をモニタリングしていくということなんですが、この施設監視の囲いの中に書いているんですけれども、施設の劣化状況を一つ一つ見極めて、最適と判断される時点(適時)に適切な対策ができるようにちゃんと計画を作って、個別の監視内容とか項目もちゃんと作って、ただ「見ていますよ」というだけではだめですよ、ちゃんと「こういう場所でこういうふうに監視しましょうね」ということをしっかり計画に定めてやっていきましょうといったことを書いております。

例えば、日常管理の中でやるんですけれども、機能診断したところの定点というのがありますけれども、その定点に着目をして、目視とか写真撮影をしてちゃんと記録に残していきましょうね、そういったことも盛り込んでいるところでございます。

そうした機能保全計画の中で、ちゃんと機能監視の計画も含めて、どこでどういうふうにするということもちゃんと書いていきましょうという形で、施設監視の考え方につきましても書き込んだところでございます。ですから、これは機能診断して機能保全計画を作って対策工事をしていくという、そのプロセスの中においても常にその診断が正しいのか、劣化が予想どおり進んでいるのか、対策工事が適時適切に行われるようにしていくためのフォローアップとして大切な役割も果たしているんだということを書き込んだところでございます。

11ページをご覧ください。

今度は少し技術的な論点になるんですけれども、劣化曲線というものを我々、予測に使っております。例えば今、下に図が描いてあるんですけれども、健全度があって横軸が時間です。赤の点、縦の点線が入っているところで機能診断をしました。S-5のスタート地点が施設が生まれた瞬間です。生まれたときから劣化を続けて、あるとき機能診断をしたらS-4だった。ということは、この状態を通るように赤い線を1本引くわけですが、これで予測をします。だけれども、現場でこの機能診断が進んできますと、どうもこの図のとおりにやらなければいけないという感じで機械的に適用する動きが出てきております。

これを少し反省しまして、これは予測なんですが、機能診断というのは1回やっただけで将来か完全に予測できるわけではないんですね。一つ一つの施設には個性があって、その劣化も実はさまざまなんです。その施設が置かれている状況とか周りの環境によって一つ一つ違います。なので、基本的には機能診断を繰り返していくことで将来予測というのは高まっていくんだけれども、それ以前にこの機能診断のグラフはいろいろと便宜的につくったものでして、例えば健全度だって5、4、3、2、1と切りのいい数字になっていますが、実際の劣化状況はかなり千差万別でして、S-5に近いS-4もあればS-3に近いS-4もあるわけですね。そういった診断時の幅もありますし、その劣化の進行状況もそれぞれの現場、現場で違いますので、ある程度幅を持った概念なんだということを整理して、改めて示しているということでございます。だからこそ、施設監視をしてモニタリングをして、機能診断も繰り返していくことが大事なんですけれども、どうも会計検査院からのご指摘とか外部のご指摘を見ておりますと、もう1本の線で考えて、このとおり、決めたとおりやっていないじゃないかというようなご批判もあったりするので、こういった整理もしてみたということでございます。

12ページをご覧ください。

これも運用していく中での反省を踏まえた再整理というものなんですが、農業水利施設の性能というのは構造性能、水利用性能、水利性能、さまざまな性能が相互に組み合って発揮される面があるわけでございます。ただ、1回目の平成19年に手引きをつくったときには、とにかく機能診断をしてどんどん進めなければいけないということでしたので、この総合的に判断する際に、主に健全度、特に施設の劣化状況を見るときに「コンクリートが何ミリひび割れている」とか「どれぐらい表面がガラガラになっている」とか、そういった構造性能に非常に着目して健全度を評価する。そのことは合理性はあるんですけれども、どうしても現場でその運用が進みますと木を見て森を見ないといいますか、コンクリートがどれだけ劣化しているかだけを見て、実際その水路の本当の使命、役割というのは水を届けることであって、単にコンクリートだけが永続すればいいわけではない。そこで使い勝手のいい、水利用施設として役に立つものが永続していくことに意味があるわけで、ちょっと現場で構造性能だけに着目して、施設が果たしている役割自体をあまり見ないという反省点もございまして、改めてこうした性能全体を包括的に見ていくことが将来的には理想なんだと、理想なんだけれども、現時点では主に構造性能に着目した健全度という手法を用いてやっているんだよということを解説しているということでございます。

他方、将来的な方向としては、やはりこういった水利用性能、いろいろな指標があります。水利性能にもいろいろな指標がある。こういったいろいろな指標を総合化して、包括的な指標にチャレンジしていくことは目指していきたいし、構造性能に着目をして施設の健全度を評価しているときでも、水利用の性能等にも気を配るものでありたいということを出しているところでございます。

13ページをご覧ください。

それを少し補足したものになりますが、では、なぜ今、構造性能を中心にやっているのかを説明しています。

ちょっと長くなるので簡潔にしますけれども、構造性能で今、着目しているのは、真ん中の囲みの1と2の2つの理由です。水理性能、水利用性能も予測していくことが大事なんですが、それが徹底的にだめになる瞬間というのは、例えば水利用性能の指標を追っていても、水理性能の粗度係数を追っていても、この時点で決定的にだめになるという予測をするのはまだなかなか難しいんですね。だけれども、構造物が崩壊すれば水理性能も水利性能も決定的にアウトになりますので、まずそういった予測が非常にしやすいのが構造性能であるということ。あと補修、補強のタイミングを見るときも、構造物の構造的なものを見ていると一番見やすいということもあって今やってるんですよという、本当に基本的なところに解説を加えたということでございます。

14ページをご覧ください。

ただ、今回手引きを改定するに当たって、あくまで我々現場の実践で、コンクリートを見て水路を見ないということがないようにするために、木を見て森を見ないということがないようにするために、やはり水利用性能、水理性能にも着目した調査を行っていこうではないかと。健全度評価は、やはり今の段階では構造性能を中心にしていくけれども、現場に入っていくときに水利用性能にも気を配ろうではないかということで、14ページの左側ですが、機能診断の項目に少し書き加えまして、現場で見ていくときには水利用性能、水理性能の確認もしていこうではないかということを、左の図の右のラインに書いています。

ここは、お手元の資料4の2の44ページ、45ページの見開きになるんですが、44ページの上のほうに水利用性能、水利性能にも配慮していきましょうという手筋を書いていまして、その下に、今回、水利用機能、水理機能の問診表をつけました。これは、まず水路の例ですけれども、コンクリートを見るときに、やはり体全体を見る、ホーリスティックに見るといいますか、そのために送配水の性能とか分水の均等性とか保守管理の容易性とか、そういったものも施設管理者の人たちと一緒になってチェックしてみようではないかというふうに、こういった問診表も使いながら構造性能を中心とした機能診断も同時に行っていこうという手筋を示しております。

さらにその右側ですけれども、では、性能の不足が明らかになったときにどうするのかということも補足的につけ加えておりまして、資料4の1の14ページに戻っていただきたいんですが、機能診断をしたときに水利用性能、水理性能の不足が把握できたらどうするかという手筋も提案しております。

多分、性能不足というのは3つの要因だろうと。施設の要求水準自体が上がって、時代の要請が高まって施設が陳腐化する場合が1つ。もう一つは運用管理上の不備、使い勝手の悪さですね。実際に使ってみているんだけれども、ここの使い勝手が悪いぞという話。3番目に、施設が劣化して性能が不足する。多分この3つがあるだろうと考えまして、それぞれに、場合によってはストックマネジメントで対応する場合もあるし機能の向上というものを考えていく。機能の向上を考えていくときにはストックマネジメントでなくても、かんがい排水事業の中で性能アップを考えていくんですけれども、そういったストックマネジメントを超える取組まで視野に入れて、ストックマネジメントの取組をやっていこうというような、木を見て森を見ないようなことがないようにしようという意味で、そういう工夫を具体的に書き込んだところでございます。

15ページをご覧ください。

これは相当技術的な論点なんですけれども、2つほど論点を挙げております。かなりデータが蓄積されてきましたので、いろいろなものを見直しているんですが、今回は、例えば施設状態評価表というのが真ん中にございます。これはコンクリート開水路の例なんですけれども、ひび割れ幅が何ミリぐらいだったら中の鉄筋が腐食して危険な状態になるからということで、健全度の評価をしています。これは平成19年にまず提案したんですけれども、そのときは我々のデータが余りなかったので、コンクリート工学会の判定基準を準用しています。その後、ストックマネジメント、農業水路のデータがかなり蓄積されてきましたので、そのデータ見て、もう一遍見直してみたということでございます。

結論から言うと、変えなくていいだろうということになりました。全国で1,000カ所ちょっと現場データを調べて、実際のひび割れと、ちょっとはつって見て中の鉄筋の状況を全部チェックしてみたところ、おおむね今のこの基準は適当だろうという結論になりましたので、現時点では変更の必要性はないだろうと考えたところでございます。

その下、健全度と時間軸の劣化曲線なんですけれども、これにつきましてもこれまでのデータ、機能診断で行ってきた約6,000のデータがございます。この6,000のデータを分析いたしまして、一個一個の施設ごとにやるのがいいんですけれども、それがどうしても使えないときに使うための標準的な曲線として、平成19年の手引きには書いているんですけれども、6,000の施設データを見直してみますと、緑の点線が現行手引き、黒の実線が今回提案するものですが、少し外側にシフトする。前回の手引きで提案したものよりもう少し、標準的には長寿命化すると考えていいだろうということで、黒の実線で示したものを今回、提案することにしております。

もう一つ、今回はいろいろと分析をしたところ、寒冷地は非寒冷地と比べて逆にちょっと寿命が短いといいますか、明確に傾向が異なるということで、右下の図に書いておりますとおり、寒冷地につきましては今回、全国の標準の黒の実線よりは少し内側にシフトしたものですね、やはり劣化が、特に凍害等の影響によって劣化が早く進む傾向があるということなので、寒冷地といたしましては、北海道、青森、秋田、岩手、山形、長野ですけれども、1月の平均気温が県庁所在地で0℃以下になるところ、ここにつきましては明確に有意な差が出たということで、寒冷地では、場合によってはこれを使ってもいいという提案もしているところでございます。

ここはかなり技術的な論点になりますけれども、そういったご提案もしております。

最後、16ページに前回ご指摘いただいた点への対応ということで、主に3つ書いております。

1つは、電気設備等のストマネをどう考えるんだという、ストマネに対する問題意識のお話がございました。今回、手引き改定案では2ページに、対応方針のところに書いておりますJISの定義に基づく図を載せておりまして、保全には予防保全と事後保全がある、予防保全の中には主に時間で管理する時間計画保全と、状態を見ながら管理する状態監視保全がある。主に機械等については状態監視と時間監視を組み合わせる、土木施設は状態監視中心にいくというように、考え方の整理を2ページに載せているところでございます。

次に、リスクの視点と主体でございまして、どう考えるのか記載すべきと。

これにつきましては先ほどリスクコミュニケーションのところでも大きく書かせていただいたんですけれども、施設の造成者とか土地改良区などの施設管理者、あるいは費用を負担する農家、改良区、あるいは地方公共団体等、そういった人たちとまず重要度評価から始まって、リスクをどう考えるのかというリスクコミュニケーションをしっかりしていくというプロセスの中で、しっかり書き込みをさせていただいたところでございます。

最後に、施設監視のところですが、常にフルに、絶え間なく監視するということではなくて、ある程度メリハリもあるのではないかというご指摘があったところでございます。

そのことにつきましても、対策工事を実施する、それにベストなタイミングを見極めるための密な施設監視と、機能診断が終わってまだ全然元気で大丈夫だと、あるいは更新し直した直後で、まだ健全度がS-5で全然大丈夫だという場合は、そういったときは簡易な方法でもやっていいということで、施設監視についてもメリハリをつけてやっていきましょうということを手引きの中で明確化するという形で、対応したところでございます。

最後、17ページには今後のスケジュールという形で書かせていただいておりまして、いろいろ皆様方のご意見等も踏まえながら、改定を進めていきたいと考えているところでございます。

 

○毛利委員長

ありがとうございました。たくさんの項目を説明いただきました。

それでは、委員の先生方からご意見をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○木下専門委員

まず確認ですけれども、この手引きのユーザーで施設管理者等というのは、土地改良区も想定されていましたよね。その上で、質問ではなくてポジティブなコメントというところで、資料4の1の9ページでございますけれども、ハードではなくてソフトの視点でのコメントですが、リスクコミュニケーションと事後対応というところでの私の感想で、リスクコミュニケーションを地方公共団体とか地域と図っていくというようなところだと思うんですね。一方で、大きな背景として農業用水の社会的な意義とか土地改良事業の地域での役割というものがなかなか、もっと理解していこうというようなところで、このリスクコミュニケーションを地域と図るというのはそういう、土地改良事業とか農業用水の社会的な意義とあわせて伝わることなのかなと。

創造運動みたいに「こんなにいいことありますよ」では一般の人が興味を持たなくても、「リスクがありますよ」と言うとかなり興味を持って、そしていろいろ理解をする上で「あ、そういう役割を農業用水は地域で果たしているんですか」と。用排水路とかですね。あるいは土地改良区というのがどういう組織かわかってきたとか、そういう副次的ですけれども非常に意義のある成果が同時に出てくるといいなと、ちょっと期待しました。

事後対応については、私、個人的な仕事で地元の土地改良区で、2年ぐらいかけて土地改良区の組織運営の仕方をもっとパワーアップしようというようなことで、職員研修とか運営の改善をやっているんですけれども、この時点でわかったことは、土地改良区の職員さんが、いろいろな意味でリスクを認識する力が低い─と言ったら変ですけれども、高い人もいれば低い人もいて、低い人がちょっと多いというところをどう改善していくかなと思っていました。

そういう意味では、このリスク認識を、要するに職員研修とか、土地改良区の職員の能力の向上とか土地改良区のそういう対応力の向上のために、事後対応のための手引きに則った対応ですね、まさに何が起きるかわからないという、想定外にどう対応するかというところが本当のリスク管理で問われるわけですけれども、それでもある程度、準備をすることで事後的な被害を縮小できるということがあるんだよということを、まずわかってもらって、そして自分の地元のところで具体的に起こり得ることを、まず現実を直視してもらって、そうすれば非常に、そのリスクが起きたときにも対応できるんですけれども、やはり農業用水を管理するという、そういう、何というんですかね、組織的な力とか社会的な力が同時に養われていくのではないかというふうに、ポジティブにコメントさせていただきます。

 

○青木専門委員

資料4の1の14ページ、最後に説明された水利用性能、水利性能の不足への対応というところで、左側、「施設への要求水準の向上」という言葉で一括りにされておりますけれども、基本的なストマネの考え方は、今ある施設を全面更新ではなくて、長寿命化を図るためにその間に何をしようかと考えられるのが基本の考え方だと思うんですよね。それが1つ、この例は用水のほうでやられていると思うんですけれども、例えば排水機場でやろうとすると、流域が開発されたから流出量が増になった、これは1つの要因ですよね。その流出量の増は、もとの施設までいじらなければいかんのか、流出量の増分だけ新たに追加すればいいのか。そういう手法もありますよね。

それからもう一つ、この中で耐震のことを別の項目立てでやっているんですけれども、例えばポンプ場で耐震設計をやり直したら、もともとのポンプ場がもうもちはせんという話になったら、これはもとの施設のストマネやっても何ら意味がないんですよね。だから新しい要求事項にどう対処するか、もともとのストマネの概念と新しい、一言で言うと整備水準を上げるためにどうしたらいいか。それを別項目で立てて新たに整備水準を上げる項目に対しての対処方針というものが、旧施設と一体的にやらなければいかんのか新たに追加すればいいのか、そこら辺の概念をもうちょっとはっきりさせておいたほうがいいのではないかと思います。

 

○松本施設保全管理室長

まず木下委員、いろいろとご指摘ありがとうございました。そういう気持ちで、リスクがあったときに何ができるかということで土地改良区の真価が問われる、施設管理者の真価が問われるという、水供給者としての部分があると思いますので、そういったことを肝に銘じながら、また見直していきたいと思います。

それから、青木委員からのご指摘ですが、まず耐震につきましては、今回、手引きの見直しの中で、耐震性能を満たしていくというのは本来備えるべき機能を備えるということなので、耐震のための調査は機能診断の中でやってもいいし、耐震対策はストックマネジメントの中でもやっていいということは明確化しております。

それを超える施設の能力アップのところをどのようにやるかにつきましては、そこまで機能保全の手引きの中に収めるのか、機能保全は機能アップを伴わないところまでにして、そこから先は通常のかん排の計画手順のほうに委ねていくのかということがあると思います。我々としては、今、能力向上が必要だという場合には通常のかん排、あるいはそういった排水能力強化のための手筋が別にありますので、そちらのほうで検討していく。全部を全部このストマネの手引きの中に盛り込もうとすると、ちょっと広がり過ぎてしまうのかなとは思っております。ただ、実務的には、一つ一つの現場においては多分、青木委員がおっしゃったみたいに、ここを何の事業でやっていくのかというような、いろいろな事業適用の工夫が求められることは、一つ一つの現場ではあるだろうとは思っています。

 

○青木専門委員

ちょっとその考え方とは違って、もともとストマネの精神というのは、例えばそのものに30年の耐用年数があったとしたら、30年後に更新すればいいではないかというのが従来の単純な考え方ですよね。それを、物によっては少しずつ軽微な補修なり何なりをして耐用年数を長くとって、そして全面更新の時期を遅らせてトータルのコストを安くしようというのがストマネの本来の精神だと思うんですね。

そこに他の要因が来たときに、全体のもともとのストマネの計画をある時期に変えて、これは追加の量が多過ぎるから全部を変えて更新したほうがトータルコストが安いのではないかという概念が出てくる可能性があるわけですよ。それについて何らかの記述が必要ではないかということです。

 

○松本施設保全管理室長

わかりました。実際の現場におきましても、ストマネで調査してきたけれども実際に営農の変化とか青木委員がおっしゃった排水状況の変化を踏まえて考えたときに、かん排事業に移行していくということがあるんですね。これまでの機能保全の考え方から少し変えて。そういったこともありますので、少しそういったニュアンスもわかるように文章的なものの補足を考えたいと思います。

ありがとうございました。

 

○武山専門委員

大変細かいことなんですけれども、資料4の1の8ページで、リスクの考え方について非常にわかりやすくご説明いただいているところですけれども、真ん中の点線の四角の中には「リスク管理においては、施設が本来果たすべき機能への影響に加えて人命・財産等の……」というふうに「人命」という言葉が入っています。それに対して、例えば図2の7とか、その下の点線で囲まれた四角の中では、事象の結果による損失額によってその重要度を判定していくんだよというような書きぶりになっているかと思います。やはり人命も含めてリスクということを捉えていくとするならば、ちょっと「損失額」という書きぶりが気になったところでございます。

地震の話とはまた別だとは思いますので、本当に人命が奪われるようなリスクが発生するというのは相当な話だとは思うんですけれども、ちょっとどきっとするなということで、ご考慮いただけたらと思います。

 

○松本施設保全管理室長

武山委員のご指摘、ありがとうございます。

損失額というのは、学問的にリスクを考えたときに損失額×確率という形でコスト評価ができるんですが、実際、人命というのはお金に換算できないものでございまして、そういうこともあって、もうちょっとばくっとした判断ができないかということで、重要度区分を準用していこうと。重要度区分の判断のほうでは、例えば「人命、財産等への影響が大きいもの」というクライテリアがあって、それに該当すれば重要度がAになる、そのような判断になりますので、一体何人の方の命を幾らに換算してということでなくて、ここの堤防、ここのダムが壊れれば、直下に住宅があってそこに人が住んでいるということを意識する、それだけで現場で重要度Aにできるようにと考えておりますが、表現的に考えなければいけない点は、少し工夫します。

 

○武山専門委員

「額」という言葉でないほうが、むしろここに書かれていることを適切に表現し得るのではないかという指摘でございます。

 

○吉田専門委員

2つ述べさせていただきます。

1つは、これは私、ちょっと分野が違うものですから余計に感じるのかもしれませんけれども、「水理性能」と「水利用性能」という用語を2つ並列的に示して、それと構造性能とを対照的に表現されているんですけれども、具体的に水利性能と水利用性能が細かく分けられるかというと、漠然とした定義だと思うんですね。その意味で言えば、「・」でつなぐのであれば両方「性能」「性能」としつこくつけずに「水利・水利用性能」とかそんなふうにした方が、言わんとするところは、構造性能だけではなくて本来の機能である水を運ぶことに関する性能もちゃんと見ていかなければだめなんだよというご主張だと思いますが、何か3つあると3つそれぞれ見ないといけないのかというような印象を持ってしまうので、ちょっと表現を。

慣習だと思うので、余り変えてしまうとこれまた何なのかという話になるのかもしれませんけれども、もし差し支えなければ、ちょっとご検討いただくといいかなというのか1つです。

あと、たくさんのデータに基づいて新たに標準劣化曲線が得られたというご説明で、この示し方なんですけれども、先ほどの、全体として標準劣化曲線というのはあくまで標準であって、幅があることを伝えたいという主張があるんだと思いますので、このデータに関しても標準劣化曲線、この幅がどれぐらいあるのかといったところをもし示せるのであれば、何らかの形で示していただいたほうがより説得力が高まるのかなという印象を持つのですが、逆に何かごちゃごちゃしてしまってよくわからなくなってしまう、そのような事情が何かおありなんでしょうか。そのあたり、ちょっとご説明いただければと思います。

 

○松本施設保全管理室長

2点ほどご指摘がありました。

水利性能と水利用性能というのは実はかなり中身が違うものでございまして、物の働きの具合をあらわす指標なんですけれども、例えば構造性能、水路の表面が劣化して凸凹する、これは構造性能的なもの。コンクリートが弱ってきた、そこで粗度係数が下がって水を計算するときにいろいろと抵抗が増える。これは水理のほうです。ハイドロロジック。水利用というのは、その結果としてほ場に配られる水の量とか使い勝手が変わってくるということで、それぞれの局面でかなり違う概念であるということと、農業農村工学会等の論文でもこれは結構使い分けられているところもございまして、できればこのような形で書き分けさせていただきたいと思ってございます。

ただ、外部の方から見るとちょっとわかりにくいというのはあるかと思いますので、用語解説等でもよりわかりやすくということを、もう一遍心がけたいと思います。

それから、2点目の劣化曲線の幅でございますが、これは実際に6,000のデータを集めて分析して、かなり幅があるという実態はございまして、それをどのようにお示しするか。これは実は確率密度のような分布になりまして、なかなか表現しにくいんですけれども、参考資料編もまた別途、世の中に出すことにしておりますので、そうした中でヒストグラムみたいな形ができるかどうか。手引きのほうにいろいろ書きますと、また混乱してしまうところもあるので、参考資料編の中にそういったデータが示せないか、少し検討してみたいと思います。

ありがとうございました。

 

○吉田専門委員

例えば、ばらつきがあってそれに対してカーブを描いているわけですので、例えば標準偏差に相当する幅の回帰曲線の幅は、理論的には出せなくはないのかなという印象を持っています。これ、データをプロットしてしまったらもうごちゃごちゃですよね、恐らく。すごい数ですから。そういうことは余りよくないと思うんですけれども、何せコンセプトとして誤差が出るんだという模式図がある以上、どういう幅なのかといったものがあったほうがいいのかなということです。ご検討いただければ、何かうまい形で表現していただければと思います。

 

○毛利委員長

他にご意見ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。

議事の3つ目「機能保全の手引き」についてでございました。

それでは、その他に移らせていただきたいと思います。

事務局から資料5について説明があると伺ってございます。よろしくお願いいたします。

 

○佐々木施工企画調整室長

資料5「インフラ長寿命化計画」につきまして、ご紹介させていただきたいと思います。

パワーポイントの1ページでございます。

ここでインフラ長寿命化計画の建てつけについて、ご説明させていただきます。

1ページの上のほう、緑で囲っで「インフラ長寿命化基本計画」とございます。これは国、地方公共団体等が管理するあらゆるインフラを対象にしまして、国の関係府省庁が共同でインフラ長寿命化基本計画を策定してございます。ですからこの緑色の部分は、平成25年11月でございますが、政府全体の計画として既に策定済みでございます。

この基本計画では、ここに書いてございますようにメンテナンスサイクルを構築するでありますとか、トータルコストを縮減・平準化する、あるいは産学官の連携による新技術の開発といった基本的な方針を記述するとともに、オレンジで囲っています「行動計画」、各インフラを所管・管理する者が行動計画を策定してインフラの維持・管理、更新等を着実に推進するための中期的な取組の方向性を明らかにしましょうということと、もう一つは、さらに具体的な「個別施設計画」黄色の部分でございますが、個別施設計画を各インフラの管理者が策定しまして、個別施設ごとの具体の対応方針を定めていきましょうということを基本計画の中に規定しているところでございます。

これを踏まえまして、今般、農林水産省におきましては、私どもの農村振興局とインフラを持っております林野庁、水産庁が8月に行動計画─このオレンジ色のところでございます─を策定したところでございます。

この行動計画を踏まえまして、各都道府県、市町村におきましてはそれぞれが所管、管理するインフラを対象として行動計画及び個別施設計画を作成していただくという流れになってございます。

2ページでございます。

これが8月に策定しました農村振興局版のインフラ長寿命化計画(行動計画)でございます。

ご案内のとおり、当省では従来から、いわゆるライフサイクルコストの縮減を通じた戦略的保全管理の推進を進めてきているとこでございます。今般、政府全体の取組としての動きの中で、改めて所管するダムですとかため池、水路、ポンプ場等々を含めたあらゆる施設を対象としたインフラの維持管理・更新等を着実に推進する中期的な取組の方向性を明らかにしたところでございます。

具体的には、「目指すべき姿」に書いてございますストックマネジメントサイクルを、この5項目に留意して確立して長寿命化を図っていきましょうというようなことですとか、取組の方向性という3.の中では、例えば産学官の連携による技術の開発でありますとか農業水利施設の管理者である土地改良区であるとか地方公共団体への技術力向上に向けた研修を充実しましょうといったことなど、ストックマネジメントサイクルの確立に向けた国としての取組方針をできる限り記述したところでございます。

また、右下の「その他」で書いてございますが、ご案内のとおりさまざまな施設がございますので、施設ごとにどのような課題があって、今後取組をどうしていこうかというようなことを整理したところでございます。

参考資料で本編そのものをつけてございますが、その中で言いますと18ページ以降に農業水利施設、農道等、それぞれの施設の課題と取組方針を記載してございます。

また、2ページのその他の一番下に書いてございますが、この取組の中では個別施設計画を地方公共団体に策定していただくことが一つのポイントになりますので、地方公共団体の参考として、施設ごとの策定方針案、いわば策定要領みたいなものを地方公共団体向けに参考として提示してございます。

本編資料で申しますと、30ページ以降に個別施設計画の策定方針が記載してございます。

ただ、例えば農業水利施設などで言いますと、もともと機能保全計画を作っていきましょうといったような取組をしてございますので、そういった取組については今回の取組「個別施設計画」と名称は違いますが、もともとの取組をそこに置き換えていこうということで、重複的な作業はしないような形で今後、進めてまいりたいと考えているところでございます。

 

○毛利委員長

今、長寿命化計画(行動計画)の概要をご説明いただきましたが、何かご質問等ございましたらお願いいたします。

 

○堀野専門委員

今、これをご説明された意図を簡単に教えていただけますか。技術小委員会として、これをその他で取り上げたのは。

 

○佐々木施工企画調整室長

すみません、趣旨を申しませんで恐縮です。

特にこの場でこの案について、今後何かするためのご審議をいただきたいという趣旨ではございません。ただ、今日の議題とも少し関連する話題でございますので、政府全体の取組としてこのようなことをやっていますということと、それを踏まえて農振局でもインフラの長寿命化に向けた取組を体系的に整理いたしましたというご紹介でございます。

 

○毛利委員長

長寿命化計画のコンセプトが各基準に生きてくる、反映されるという理解でよろしいでしょうか。

 

○佐々木施工企画調整室長

そうですね、今回の行動計画において、インフラ長寿命化に向けて今後、足りない部分の技術書なり基準なりは具体的に整備していきましょうというようなことを、具体的に書いている部分もございます。

一方、個別施設計画の中で、計画を作るために点検等は当然やっていかなければなりませんので、そういった点検データについては蓄積しながら、今後の技術指針類の検討の参考にしていくことになろうかと思っております。

 

 

○毛利委員長

よろしいでしょうか。

それでは、以上をもちまして本日予定しておりました議事が終了いたしました。

農業用水のところでは環境配慮、営農とのバランス、あるいは新規利水の利用についてご意見をいただいたところです。水の供給の形態が変わるということで、営農も随分さまざまに進展していくというご紹介も事務局からありました。このことをうまく読み取れるようにご検討いただきたいと思います。

また、他基準との整合性についてもご指摘をいただいたと理解しております。

ストマネによる長寿命化については、施設更新とのかかわりについてうまく切り分けていただきたいといったご意見もいただいたかと思います。

「機能保全の手引き」今ほど劣化性能曲線の具体的なデータあるいはばらつきについても説得力のある説明が必要ではないかというご意見もいただいておりますので、パブリックコメントを経て取りまとめを進めていただくことになると思いますけれども、ご配慮をいただければと思います。

それでは、事務局にお返しいたします。

 

○原川計画調整室長

本日は多くの貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。

次回の開催でございますが、来月12日、議題につきましては設計指針のため池整備と耐震設計、技術指針の環境配慮、この3つについてご審議いただきたいと思っております。

改めて事務局より開催の通知をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

以上をもちまして本日の技術小委員会を閉会させていただきます。

どうもありがとうございました。

お問い合わせ先

農村振興局整備部設計課計画調整室
担当者:計画企画班
代表:03-3502-8111(内線5514)
ダイヤルイン:03-6744-2201
FAX:03-3500-4053

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader