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食料・農業・農村政策審議会 食料産業部会(平成30年5月14日) 議事録

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日時及び場所

平成30年5月14日(曜日)13:01~14:46
農林水産省第2特別会議室

議事次第

1.開会

2.挨拶

3.議事

(1)食品産業戦略会議の取りまとめについて
(2)働く人も企業もいきいき食品産業の働き方改革検討会の取りまとめについて
(3)卸売市場を含めた食品流通構造の改革について
(4)その他

4.閉会

配布資料一覧

  • 議事次第
  • 座席表
  • 食料・農業・農村政策審議会 食料産業部会 委員名簿
  • 資料1-1 「食品産業戦略」について
  • 資料1-2 食品産業戦略食品産業の2020年代ビジョン
  • 資料2-1 働く人も企業もいきいき食品産業の働き方改革検討会取りまとめ
  • 資料2-2 食品産業の働き方改革早わかりハンドブック
  • 資料2-3 ハンドブックご紹介リーフレット
  • 資料3-1 卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案の概要
  • 資料3-2 卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案
  • 参考資料1 農業競争力強化支援法に基づく事業再編計画の認定について
  • 参考資料2 食品製造業・小売業の適正取引推進ガイドライン~牛乳・乳製品製造業~

概要

 

13時01分開会

 

  • 得田企画課長
    それでは、皆様、定刻となりましたので、ただいまから食料・農業・農村政策審議会食料産業部会を開催させていただきます。
    私は、本日の進行役を務めさせていただきます食料産業局企画課長の得田でございます。よろしくお願いいたします。
    委員の皆様におかれましては、お忙しいところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。また、本日は早朝より大田市場の視察について御参加をいただきました委員の先生方におかれましては、まことにありがとうございました。
    それでは、開催に当たりまして、野中大臣政務官から一言御挨拶をさせていただきます。
  • 野中大臣政務官
    農水政務官の野中でございます。
    食料・農業・農村政策審議会の食料産業部会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
    委員の皆様方におかれましては、本当に御多忙の中御出席をいただきまして感謝申し上げます。
    先ほどもございましたが、本日は早朝から大田市場を有志の方で御視察をいただいたということであります。
    本日の会合から大都魚類株式会社の網野委員にも御出席をいただくということであります。どうぞよろしくお願いいたします。
    本食料産業部会でございますが、卸売市場法など食料産業局が所管する法律に基づく諮問事項について御審議いただくとともに、食料産業政策全般について幅広く意見交換する場でございます。
    本日の部会においてでございますが、昨年12月の本部会で中間報告を申し上げました2020年代の日本の食品産業のあり方を提案した食品産業戦略や、食品産業に着目した働き方改革について、それぞれ取りまとめましたので、御報告をさせていただくとともに、本年3月に国会に提出し、いよいよ今週末から衆議院の方で審議入りする予定でございますけれども、卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案について、あわせて御報告を申し上げまして、委員の皆様から忌憚のない意見を賜れればというふうに存じております。
    引き続き食品産業の持続的な発展に向け、活発な御議論や御指導を賜りますことをお願い申し上げまして冒頭に当たっての挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
  • 得田企画課長
    ありがとうございました。
    野中大臣政務官は公務のため、ここで退席をさせていただきます。
    続きまして、食料産業部会の委員に交代がございましたので、御報告させていただきます。関本委員から網野委員への交代でございます。網野委員におかれましては、一言御挨拶をいただければと存じます。
  • 網野委員
    初めまして。築地市場に本社を置きます水産卸の会社であります大都魚類と申します。そこの網野と申します。
    今朝ほど幾人かの方と実は大田市場で御一緒させていただきましたけれども、水産の方の生けすの方で御説明さしあげたのは弊社の社員ということでございますので、ひとつよろしくお願いします。
    場違いかもしれませんが、この20年、30年来、魚食は減少の一途、日本人1人当たりの魚の消費量が減少の一途という傾向に誰よりも危惧しているうちの1人であるということでよろしくお願いしたいと思います。
  • 得田企画課長
    ありがとうございました。
    なお、本日は安部委員、大橋委員、高岡委員、中嶋委員、松尾委員、村井委員におかれましては、日程の調整がつかず御欠席との連絡を受けております。
    また、髙島委員におかれましては、遅れて到着という御連絡をいただいております。
    したがいまして、本日の部会は、20名中現時点で13名の委員及び臨時委員の御出席をいただいており、全体の3分の1以上となっておりますので、食料・農業・農村政策審議会令第8条第1項及び第3項の規定により成立しておりますことを、まず御報告させていただきます。
    また、農林水産省側の出席者は、お手元の座席表のとおりでございます。
    なお、本部会につきましては、審議会議事規則第3条第2項の規定によりまして公開することとなっております。
    また、本部会における皆様の御発言につきましては、審議会議事規則第4条の規定によりまして議事録として取りまとめ、皆様に御確認いただいた上で公開させていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
    さて、カメラ撮影につきましては冒頭までとなっておりますので、カメラ撮影については御配慮いただき、ここまでとさせていただきます。
    さて、皆様方の席の前にタブレットを置かせていただいておりますが、今回より本審議会におきましてもペーパーレスでの審議会とさせていただきます。
    まず、資料につきましては、席上にあるものとしては配布資料一覧、議事次第、座席表、委員名簿、そして紙媒体として印刷物となっておるものでございますが、資料2-2の「食品産業の働き方改革早わかりハンドブック」と資料2-3のリーフレット、そして参考資料2、いわゆる下請ガイドライン、これを配布させていただいております。
    また、タブレットの前に、タブレットの使い方、そして「資料の切りかえとページのジャンプの方法について」という操作方法の資料を配布させていただいておるところでございます。
    なお、キーボードについてはつけておりませんので、操作につきましては指でされるか、マウスでされるか、タッチペンでやっていただくということを考えております。
    まず、操作方法を見ていただきたいのですが、赤枠で「資料1-1」「資料1-2」「資料2-1」「資料3-1」「資料3-2」「参考資料1」、こうしたタブがございます。このタブでございますが、今開いている資料のタブの右側に「×」印がついております。これを触ると資料が消えてしまいますので、回復につきましては事務方に合図していただければ回復させていただきたいというふうに思っております。
    また、このタブレット、適宜角度を変えて使うことができますので、持ち上げていただいて、この後ろの角度を変えるところで調節をして、見やすいような角度にしていただければというふうに思っております。
    それでは、パソコンの画面上の資料の確認をさせていただきたいのですが、このタッチペンを使っていただいても結構ですし、マウスでも結構ですし、指でも結構なんですが、このタブのところの「資料1-1」「資料1-2」「資料2-1」「資料3-1」「資料3-2」「参考資料1」、これはタブレットと同様でございますので、指でこういうふうにやったりすると字が大きくなったり小さくなったりしますが、そうした操作についてお試しをいただきまして、今でも結構でございますし、そして審議中でも結構でございますが、機械がフリーズしたとか、何かうまくいかないとか、消えてしまったとかということがございましたら事務局の方に合図をしていただければ対応いたしますので、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。
    それでは、資料の使い方はよろしいでしょうか。
    では、進めさせていただきます。
    それでは、恐縮ではございますが、伊藤部会長におかれましては、以後の司会をお願い申し上げます。
  • 伊藤部会長
    それでは、これより私の方で議事を進行させていただきます。
    委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。
    まず、先ほど事務局からも紹介がありましたが、以前委員から御希望があった卸売市場の視察について、私を始め希望する委員で、本日大田市場に行ってまいりました。出席された委員におかれましては、早朝からお疲れさまでした。
    また、御案内いただきました東京都の皆様に、この場をお借りしまして御礼を申し上げます。
    それでは、本日の議事の進め方について確認していく前に、まずは事務局より、今朝の大田市場の視察について簡単に報告をいただきたいと思います。
  • 武田卸売市場室長
    卸売市場室の武田でございます。
    本日の朝、伊藤部会長を初め、6名の委員の方々と大田市場の方の視察に参っておりました。現地では、東京都大田市場の場長以下、都職員の皆さん、あと網野委員ほか業界関係の皆さんに御案内いただけたということでございます。
    簡単に、私の方から概要を御紹介したいと思います。
    まず大田市場でございますけれども、青果部、水産物部、花き部と3つの部類がございまして、そのうち青果に関しましては約3,000億弱の取引がございまして、これは全国の大体7分の1ぐらいのシェアを持っているということでございます。また、お花も非常に多くて、全国の4割ぐらいのシェアを持っていると。大体500億弱ぐらいの取引があるということでございます。
    また、水産物部も90億ぐらいの売上があるといった、そういった市場を今日の朝に拝見したということでございます。
    今日は、6時半から視察の方を開始いたしまして、8時半まで2時間みっちり場内を歩いていただいたということでございます。
    まず、青果部の方から見学させていただいたわけでございますが、大田市場は競りの割合は非常に少のうございまして、2%ぐらいということでございますが、一番最初に野菜の競りです。実は東京は小松菜の一大産地でございまして、地場産の小松菜の競りを拝見させていただきました。
    また、果物。果物は比較的競りが多いということでございますが、サクランボなりマンゴーの売場ですとか、あるいはメロンの固定競りの様子を見学させていただいたということでございます。
    その後、売場を離れまして、大田のもう一つの特徴である分荷の部分です。「荷を分ける」と書いて分荷の部分でございますが、ロジスティクスセンターを見学させていただきました。温度帯も15度で管理されて、その中でピッキングなり、あるいは量販店向けの配送、そういった準備を行うロジスティクスセンターを御案内いただいたということでございます。
    その後、青果の仲卸の売場、あるいは関連棟、水産仲卸売場を通りまして、先ほども少し御紹介ございましたけれども、網野社長のところで水産物部の卸売場で活魚水槽の方を御案内いただいたということでございます。こちらでは、北は北海道から南は九州、沖縄までいろいろなところの活魚が届くということでございますので、それに合わせた温度帯なり海水を用いて、例えば養殖のタイでございますとか、あるいはカンパチでございますとか、そういったものの売場での管理についても御説明をいただいたということでございます。
    その後、少し離れた、車で移動いたしまして、花の方の売場の方に移動させていただいたということでございます。花の方は、非常に情報化なりオートメーション化が進んでいるということでございまして、機械ぜりでありましたり、あるいは在宅のウエブから競りのシステムに入れるような、そういったオンラインの取引についても御紹介いただきました。また、自動搬送のベルトコンベアであったり、あるいはレールで移動するといったような、そういった自動搬送の部分についても御紹介をいただいたということでございます。
    また、花の仲卸売場、昨日、ちょうど母の日が終わって非常に忙しい中、ある意味戦い終わった後というような感じでありましたけれども、花の仲卸売場についても御説明をいただいて、最後に、これも青果同様、大田の花のところもチェーン店のお花屋さんたちのための商品の調製なり配送を行っているロジスティクスステーションがございます。ここを御案内いただいて、都合2時間びっちり御覧いただいたということでございます。
    以上、簡単でございますけれども、本日の概要を御報告いたします。
  • 伊藤部会長
    ありがとうございました。
    それでは、これより議事に移らせていただきます。
    本日は、事務局から報告事項が3点ございます。
    前回と同様に、(1)、(2)のまとまりと(3)について、全体を2つに分けて議事を進めていきたいと思います。
    前回、委員の御提案により食料産業戦略会議の検討状況について議論いただきましたが、本日は(1)「食品産業戦略会議の取りまとめ」を御説明いただきます。
    また、昨今の人手不足等を踏まえ、食品産業の持続的発展のためには働き方改革が必要とされていることから、本年1月から農林水産省において検討会が開催されております。先般報告書が取りまとめられましたので、あわせて御説明をいただき、皆様より御意見をいただきたいと思います。
    その後、(3)「卸売市場を含めた食品流通構造の改革について」を御説明いただき、皆様より御意見をいただきたいと思います。
    あくまでも目安ですが、(1)と(2)のまとまりを14時過ぎぐらいまで議論し、それ以降を(3)の議論に充てるという時間配分を考えております。
    本日の部会は15時までの2時間で議事の終了を予定しております。事務局及び委員各位におかれましては、限られた時間内で効率よく議論を進められるよう、円滑な進行に御協力をいただきますようお願いいたします。
    では初めに、(1)及び(2)について報告をお願いいたします。
  • 横島食品製造課長
    食品製造課長の横島です。よろしくお願いいたします。
    タブレットの資料1-1を御覧ください。
    昨年5月から今年3月まで食料産業局長の研究会、食品産業戦略会議を開催し、前回の部会では9月に公表した中間論点整理を紹介しました。今回は、4月に研究会の取りまとめとして食品産業戦略という報告書を公表しましたので、その概要を説明させていただきます。
    本文は60ページぐらいありますが、資料1-2として掲載しているので、御参照ください。
    では、概要資料に沿って進めます。
    表紙の次の2ページを御覧ください。
    主に食品製造業について、今後5年から10年を見据えた場合に、どのようなことが可能性としてあるか、あるいは行政がどういうことに気をつけなければいけないかをまとめたのがこの戦略です。まず日本の食品製造業の位置づけですが、日本を代表する製造業と言えます。事業所数、従業員数は1位、出荷額、付加価値額は輸送用の機械器具、要するに自動車に次いで2位という規模を誇っております。これだけの規模ですから、食品製造業が成長発展すれば、日本経済全体に対する影響というのも潜在的にあるということです。
    次の3ページを御覧ください。
    この戦略では、個々の企業の経営に使われる、いわゆるSWOT分析の手法を参考にして、ここに掲示してある4つの要素について、日本の食品製造業を日本の他の製造業、あるいは海外の食品製造業と比較しながら分析をしました。
    その結果、まず4つのうち「強み」が4ページ目に書いてあります。ここに掲げてある項目については、皆さん御存じの内容ですので詳細は省きたいと思いますが、こういったことについて日本の食品製造業は非常に強みを持っているだろうということです。
    次に、一方の「弱み」です。5ページを御覧ください。
    これら5つの指標については、日本の製造業の平均と比べても、残念ながら低い状況にあるので、これを克服していかなければならないということです。
    いくつかグラフを紹介します。6ページを御覧ください。
    営業利益率です。売上高営業利益率について日米欧の大手食品メーカーの財務諸表を比べました。そういたしますと、米国、欧州と比べて、M&A戦略など経営の戦略の違いもありますけれども利益が非常に薄いことが日本の食品製造業の課題として現れています。
    次に、7ページの労働生産性です。
    食品産業、特に食品製造業については、製造業平均と比べて6割にも満たないということで労働生産性が極めて低いです。ちなみに、卸、小売や外食などの食品サービス業もそれぞれの分類の平均と比べると低くなっており労働集約的な産業であると言えます。これは、最近の中食需要の拡大に伴って、文字どおり手の込んだ総菜などの商品が増えており、それに伴って低くなってしまっている状況をどうするかが課題であります。
    一方、労働生産性の低さは以前からあったわけではありません。8ページを御覧いただきたいのですが、これは日本の製造業全体と食品製造業の労働生産性の推移を半世紀分ぐらい見たものです。
    1970年代までは平均とそれほど変わっていませんでした。70年代以降、ワニが口を開けるようにだんだん広がってきてしまっているわけです。
    その背景として、最近はAIとか第4次革命とか言われていますが、70年代に自動車産業や電機産業においては、米国の手法も参考に生産方式の効率性を追求してきたのに対し、食品製造業についてはそういう活動が限定的であったのではないか、その結果、差がだんだん広がってきてしまったのではないかとの指摘もありました。
    次の9ページ、輸出に関してです。
    各国の名目GDPに対して食料品、これは加工品以外の青果物も含みますが、の輸出額の比率を比較したものであります。
    オランダは突出しているわけですが、他の先進国と比べても日本の数字が極めて低いということで、海外展開においては輸出以外に海外投資という手法もありますが、それを差し引いても、ちょっと低いのではないかということであります。

    次に日本の食品製造業の「機会」でありますが、ここに掲げた3つについても皆さん違和感はないのではないかと思います。特に日本の食については、日本の食事、和食の独自性に対する関心と健康に対する機能性が最近注目されています。
    日本食の場合、独自性と健康機能性が両方をもともと兼ね備えている魅力が強み、機会だと思います。
    それから、電子商取引が広がっています。これによってメーカーが直接消費者に訴えかけるということもだんだん可能になっているというのは、新たな可能性だと思います。
    最後に、4つの要素のうちの4番目、「脅威」であります。6つ掲げています。この中で1番目が一番重要で、もう人口が減りつつありますので、国内市場はいろいろな意味で縮小せざるを得ず、そういう意味で海外の市場にどう広げていくかが課題です。
    一方で、2番目の人材確保難も深刻であります。足元で景気が回復していることもあって、中長期でも労働力人口が減少していることは日本産業全体の課題なのですが、景気が回復基調にあるので、よく聞く話題で、隣の自動車工場に労働力がどんどん流れていますというお話を聞きます。その意味でも、食品製造業の人材確保難の程度は非常に深刻になっています。これを克服しないと稼働率を維持するのもだんだん大変になってきてしまっているという状況であります。
    こうした4つの要素を見て、特に弱みをどう改善するか、あるいは脅威をどう克服するかということで、この戦略の中では、本文では第3章ですが、三本柱をそれぞれの食品製造業においては目標としてはどうかという提案をさせていただきました。それが12ページに示してあります。
    1番目の柱として、「需要を引き出す価値創造」ということにしました。生産性、コストの低減というのももちろん課題なわけですが、議論の中では、日本が食品製造業の経営拠点、あるいは立地拠点として独自の地位を高めるためには、少品種大量生産によるコスト削減のみを追求するのではなく、それでは他国との競争になかなか勝てないので、やはり他国では提供できないような新たな価値、あるいは高い価値を生み出すということをまず追求すべきではないかということが指摘されました。そこで、この「需要を引き出す価値創造」を一番目に掲げました。
    具体的な目安の数字として、例えば付加価値額を今後5年から10年で現在の3割増すということを目標としてはどうかと提案しています。
    三本柱の2番目が「海外市場の開拓」です。これは輸出、あるいは海外投資で海外売上を現在の3割増やすことを目標にしてはどうかということです。
    3つ目の目標が、新しい価値を幾ら創造して需要をつかまえても、生産が追いつかなければ貴重な機会を見逃してしまうわけですから、先ほど申し上げた人材確保難を克服するために自動化、IT化を通じて労働生産性の向上を図っていかなければいけないということです。これについても、現在の3割増というのを目標に掲げました。
    2012年から昨年までの数字を見てみると、この三本柱の中で、傾向からして一番実現が困難、チャレンジングな目標は3つ目であります。
    最後に4つ目ですけれども、そうはいっても、一企業ではなかなか克服できない課題というのもあります。不公正な取引方法もあるでしょうし、災害対応もあるでしょう。行政も含めて、そういう環境整備をしなければいけないということを4つ目に掲げました。
    戦略の第4章では、この4つの項目に沿って、既にそういうことを克服している事業者の事例を20ほど掲げるとともに、行政の取組もあわせて紹介しています。
    13ページ、14ページ、15ページ、これは項目だけ掲げております。一例だけ挙げると、14ページの「生産性の向上」の3つ目に「賞味期限の見直しと廃棄ロスの削減」があります。既に行った事例として、お味噌について、業界団体で合意をして、今年の夏からの商品は、賞味期限を従来ほとんど半年で設定されていたものを1年に延長することになりました。科学的な評価も踏まえると、十分1年たっても消費者の方においしく味わっていただけるということなので、これによって製造ロス、在庫ロスも減りますし、小売店において棚の交換負担も減ります。容器も中身も何も変えません。業界が自分たちで評価をし直して1年に延ばそうということであります。そういうことも事例として紹介をさせていただいております。
    最後に、行政の方の関連する取組です。16ページの最後にありますが、同じく労働生産性でロボットを導入するなどいろいろしなければいけないことは皆さん認識されているわけですけれども、社内にそういうことを知っている人もいない。どのような事業者と連携すればそういうことが進められるのかどうもうまく見つけられないと、探しあぐねている声がありました。そこで、食品製造業者とロボットやIT技術を提供する事業者の出会いの場として「食品産業生産性向上フォーラム」というものを農水省で主催することにしました。
    3月に東京、ここ農水省で開催しました。立ち見が出るぐらい盛況でした。それを踏まえ、今週から四国を皮切りに全国各地で同じフォーラムを開催します。日本ロボット工業会に委託をしました。ロボットなどのメーカーに来ていただいてプレゼンテーション、出展をしていただくことになっております。もちろん参加は無料ですので、食品製造業、その他の食品産業の方々に奮って参加をいただきたいと思っています。
    私からの説明は、以上です。
  • 得田企画課長
    引き続きまして、議題(2)の「食品産業の働き方改革検討会の取りまとめ」関係につきまして御報告を申し上げます。
    資料につきましては、タブレット上では資料2-1、そして紙媒体でお配りをしておりますが、「食品産業の働き方改革早わかりハンドブック」、こちらの方をお手元に冊子としてお配りをさせていただいております。私の説明は、主にこの冊子の方でさせていただきたいというふうに考えてございます。
    さて、この働き方改革につきましては、政府全体として、現在働き方改革について取り組んでおるところでございます。横断的に取り組んでおります法改正などの制度的な改革、そうしたものとは別に、今回農水省におきまして開催いたしました検討会におきましては、いわば運動論としまして他産業と比べても人手の確保に厳しさを増しています食品産業のこの業界、業態に着目しまして、できるだけ多くの食品産業の経営者の皆様に働き方改革の取組について御理解いただき、実際に取り組んでいただく実践を促すというための方策を検討してきたものでございます。
    この検討会の成果物といたしましては、まさに今お手元にとっていただいております「早わかりハンドブック」、こうしたものをつくっておるわけでございます。このハンドブックを実際に食品産業の経営者の皆様にお渡しし、働き方改革を行うためのきっかけづくり、こうしたものとして使っていきたいというふうに考えてございます。
    タブレットの中に入っております資料2-1につきましては検討会での議論の流れ、そして各種データ、またアンケートをいろいろと取らせていただいています。アンケート結果も載せておりますので、御興味がある方については、後ほどこちらの資料2-1の方も御覧いただければと思います。
    このハンドブックについて御説明させていただきますと、このハンドブック、一番裏を御覧いただきますと、検討会の委員の名簿を下の方に載せてございます。この検討会におきましては、本審議会の委員でもございます栗田委員にもプレゼンをしていただきました。まことにありがとうございました。また、部会長の会社からも委員に御参画をいただきましたが、有識者や関係業界、そして労働組合関係の皆様の参画を求めながら、また実際に埼玉県春日部市にございます三州製菓株式会社さん、こうしたところでの現地開催も行いまして、実際に働いていらっしゃる女性従業員の方々との意見交換も行いながら、この1月から3月にかけて検討を行わせていただいたというものでございます。
    このハンドブック、一言で申し上げますと、検討会での議論を踏まえまして、なかなか食品産業を経営していらっしゃる方は忙しいと。忙しい事業者の皆様に気軽に手にとっていただいて、必要なところだけ読んでいただけるように、分厚くなく、手にとりやすく、読みやすい、こうしたことを念頭に置きながら構成をつくったところでございます。
    早速中身について若干御説明をいたしたいと思います。
    ページを開いていただきまして、まずは「Check List」と書いてございますが、2ページをお開きいただきたいと思います。
    この2ページがこのハンドブックのエッセンスでございまして、「3分間でこのハンドブックはやれます」というふうに我々は説明しておりますが、この2ページをやっていただくのに3分間かけていただければというふうに考えてございますが、2ページの上の方に、「まず、皆様にお伺いしたいこと」と。「働き方改革は必要だと思いますか?」と。「必要だと思う方は以下のチェックリストを、必要だと思わない方はP.3~6を御覧ください」というふうに誘導しておるわけでございます。
    仮に、この「働き方改革は必要だと思いますか?」のところにクエスチョンの方は3ページから6ページに行くというわけでございまして、試しに3ページ、4ページを開いていただきたいと思います。
    3ページにおきましては、この食品というのは、まさにリアルな物でございます。どんなにデジタル化が進んでも、このリアルな物というものはなくならない。命を支える大切な食という産業でございますので、こうしたものが持続的に続いていく必要があるにもかかわらず、下段の「2」のところにございますが、今後生産年齢人口というのは減っていくと。また、「2」の右下にございますが、有効求人倍率は年々増加をしていると。求人数、求職者数、この両方の方からきいてくるということになってございます。
    こうした状況の中、働き方改革をしなければ働き手がいなくなって企業の存続自体が問われかねない事態になりかねませんということを申し上げているわけでございます。
    4ページを御覧いただきたいと思います。4ページ、右側の緑のところでございますが、今回アンケートを実施いたしました。このアンケートを実施いたしましたところ、多くの方、ほぼ9割ぐらいの方が「働き方改革は必要である」というふうにお答えになってございますが、必要だとは思っているけれども、その内数としてまだ取り組めていないというのが、マネジメント層の方でも、従業員の方でも6割ぐらいの方が実際には取り組めていないと。実践には至っていないというふうな結果が出ておるところでございます。
    この4ページの中段を御覧いただきたいんですが、「取り組まれていない理由は何ですか」ということにつきまして、まず従業員の方にアンケートをとらせていただきますと、選択肢からの回答だったわけでございますが、「トップの意識が低いから」というのが一番上に挙がっておるところでございます。
    一番下のところでございますが、今度はマネジメント層を対象に、この「取り組まれていない理由は何ですか」というふうにお聞きしたところ、このお答えの1位は「人材、設備、資金が少ないから」と、ヒト・モノ・カネがないからというようなお答えだったわけでございまして、この両者のギャップ、意識のギャップがあるわけでございますが、ヒト・モノ・カネがないからといって、この取組を進めていないと大変なことになるということを申し上げているところでございます。
    5ページ、6ページについても簡単に御説明を申し上げますが、5ページにつきましては食品産業のファクトとしまして左上の図8を御覧いただきたいんですが、全産業、そして類似の産業と比べましても、食品産業におきましては業種別の所定内、また超過勤務時間というのは多くなっておりまして、時間の拘束の多い業種になってございます。
    一方で、右上の図9、そして下の方の図10でございますが、最近の若者、そして人々の志向というのがございまして、就職先選択においてとても大切と考えているのは「安定していて長く続けられる」、もしくは「自分の好きなことができる」「時間外勤務が縮減をしてほしい」「週休2日の徹底や年次有給休暇、こうしたものの取得促進」、そして「給与水準」、こうしたものが求められているということで、こうした求められていることにも応えていく必要があるんではないでしょうかということを示しております。
    また、6ページでございます。
    働き方改革云々の前に、大前提中の大前提としては、職員、従業員の安全を守るということが必要でございます。図11、左上の図にございますが、一方で食料品製造業、これは火を扱うとか熱いとか滑りやすいとか、そういうことがございまして、労働災害の発生率というのは他産業と比べても高いということがございますので、まず安全の確保ということは大前提として大切だということを申し上げております。
    また、女性の就業者の占める割合が高い、パートタイム労働者の割合が高い、子育てとの両立など柔軟な勤務時間などが求められている。こうした働いている人の声、こうしたものをデータとして載せておるところでございます。
    また、ここで最初の2ページに戻っていただきたいんですが、こうしたもろもろの状況を踏まえまして、働き方改革に興味を持っていただいた方には、2ページの「Check List」、12項目載っておるわけでございますが、この「Check List」についてそれぞれ、2ページの上から行きますと、「職場の働き方や従業員の抱える問題について定期的に把握しているか」、「YES」「No」とか、2番目の「経営方針の中で「どのような働き方を目指すか」等を明示している」、「YES」「No」。これについて個別にお答えをしていただきまして、「No」をつけたところを御覧いただきたいという構成をしております。
    試しに1つだけ御紹介しますと、例えば2番目の「経営方針の中で「どのような働き方を目指すか」等を明示している」に「No」をつけられた方は、これは「P.8」と書いていますが、8ページを広げてくださいという構成になってございます。
    試しに8ページを開いていただきたいと思いますが、8ページの方では、この構成といたしまして、経営方針の中で「どのような働き方を目指すか」が明示されていない場合、どういうようなリスクがあるかといいますと、全員がこういう理解を共有していないと、つくった制度が活用されないと。制度よりもまず風土、こうしたものの改革の方がまず大事ですということを申し上げているわけでございます。
    また、トップの取組が何よりも大切でございますので、トップが従業員に向けて目指すべき姿、働き方を成文化し、経営方針などに明記し、繰り返しましょうということを紹介しております。
    真ん中のコラムのところに「経営理念の成文化って?」と書いてございまして、右側に「いつでも目に入るところに掲示を」というふうに書いていますが、こうした基本方針として有給休暇取得率とか女性の管理職比率とか、こうしたものについて数値目標、こうした具体的なイメージを書いていくということが大事ではなかろうかと。こうした取組事例を紹介しておるというわけでございます。
    また、この8ページの下のところには、「時間当たり生産性を評価する制度って?」というのがございますが、長時間馬力をかけて、何時間もかけて仕事をするという時代ではございません。長く頑張れる人だけを評価するのではなく、同じ成果なら少しでも時間をかけずに取り組んだ人を評価することが多くの人の能力を引き出せるというような、こうした取組事例がございます。こうしたものについても紹介をさせていただいておるということでございます。
    以上、こうした項目が12項目いろいろとあるわけでございます。もとより、この1冊だけで働き方改革が取り組める、これで事足りるわけでは決してございません。きっかけづくりということを主に狙いとして作成したものでございまして、我々としましては、この冊子をもとに各種団体・企業の集まる機会を利用しまして、積極的にこの冊子を配りまして、「Check List」のチェック、こうしたものをしてくださいというふうにきっかけづくりをさせていただきます。
    また、その先の話としましては、先ほど1番目の議題でありましたが、生産性フォーラムと同様の形で、全国で10カ所程度で個別の相談にも応じることができるような、関係者や働き方改革に関するコンサルタントの方を講師としました、より具体的なセミナー、こうしたものを開催するということを考えてございまして、皆様方の取組の次の一歩を踏み出すことを応援してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
    説明は、以上でございます。
  • 伊藤部会長
    ありがとうございました。
    それでは、ただいま説明のありました食品産業戦略について、そして働き方改革について、どなたからでも結構ですので、御意見、御質問をお願いいたします。
    それでは、髙島委員どうぞ。
  • 髙島委員
    ありがとうございます。食品産業戦略会議のことと働き方のことと1個ずつ意見を申し上げたいと思います。
    まず食品産業戦略会議の方で非常に明確な柱が3本提示されていて、本当にそのとおりだなというふうに思いました。
    食品産業の課題は、実は食品業界という業界は特にないというところは結構大きいというふうに思っていて、御説明もありましたが、大規模化しようと思っても、なかなかそれができない、生産性が上がらないとできないというのは自社の中の問題もありますが、役に立つパートナーを見つけるためのネットワークをほとんどの人たちは持っていないという問題があります。
    食品業界というのはなくて、チェーンストア協会みたいなコンビニ業界とか、ファーストフード業界とかスーパーマーケット業界とか水産業業界とか冷凍食品メーカー業界とかはあるんですが、それぞれが連携をして情報交換することというのは食品産業においては極めて少ないというふうに思っています。
    やはり復興なんかをやっていても、非常にマーケティングがうまくいっても、ランニングもうまくいって、輸出のルートもつくって、ちょっと売上が倍になったらそこで打ちどめということが非常に多くて、生産設備を増やしたりとか、あるいは品質保持を、新しいクライアント向けのレベルにまで品質管理をしっかりやることを求められると結構途方に暮れちゃうということが多いというふうに思っています。先ほどのロボット系、IoT系と食品産業のマッチングのやつ、非常におもしろいと思っていたのですが、非常に有効ですが、それの手前で食品業界内でのマッチングというか、一番いいのは食品産業内の「Uber」みたいなのがあるといいなと思うんです。あいている工場と仕事を出したい人が連絡をとる方法が今非常に少なくて、後段の市場の話も近いものがあると思うんですが、片や仕事を出す先を探している、片や稼働していない設備が結構あると。だけど、この人たちは今のところほとんど出会う機会がないというのが食品業界、日本全体の課題じゃないかなというふうに思っています。そういう「Uber」的な、「Airbnb」的なシェアリングも含めた食品業界をつくっていく、そして情報をマッチングさせていくということが即効性があって有効なのではないかということを感じます。ぜひ御検討いただけるとうれしいなというふうに思います。
    それから、2つ目の働き方のところで、このハンドブック、非常にいいなと。僕見た中で、こんなに分かりやすく働き方改革にアプローチしているケースはあまりないので、大変すばらしいなというふうに思いました。
    1点だけ、そもそも働き方を政府の人に教えていただく必要があるのかということに関しては私は意見があるんですが、ただ大変すばらしいと思うんですが、1点だけ食品業界ならではということを私がふだん思っているのは、やはり食品産業って結構きついと言われることが多いと思うんです。みんなが休んでいるときに働かなきゃいけなかったり、天候とかさまざまな影響で働き方が毎日変わらなきゃいけなかったりなど大変だと思います。大変な中で何でやるかというと、やっぱり本来やりがいがすごくあるということで、お客様の幸せであるとか、笑顔であるとか、そういったものに非常に近いということがあります。本来そういう職場でやりたいことがやれる、お客さんの笑顔のそばで仕事ができるのがうれしいから、ちょっときついけど頑張るという人が多いんですが、このうれしいの部分がちゃんとフィードバックされていないケースが非常に多いんじゃないかなというふうに思っていて、それは製造業においても、流通業においても、外食業においても、頑張った結果、どのようにお客様が喜んでくれているのかみたいなことのフィードバックの量が圧倒的に少ないから、何か我慢の仕方を減らしましょうという働き方の改革、我慢しないで済むようにしましょうという施策になっていく傾向にあるのではないかと。むしろ、やりがいをさらに増やしていくんだということで言うと、食品ならではの喜んでいるお客様の声がすごくたくさん入りやすいという特性を生かして、もっとそういうものを従業員の皆さんが浴びるように感じられるといいんじゃないかなというふうに思っていますし、そのような仕組み化は可能であるというふうに思っています。
    以上、2点です。
  • 伊藤部会長
    ありがとうございました。
    何人かの方にまとめていろいろ御意見をいただきたいと思いますので、ほかの方はどうでしょうか。
    それでは、難波委員どうぞ。
  • 難波委員
    難波です。失礼します。
    ハンドブックを事前に資料でいただいていて、従業員の方に聞いたりもしたんですけれども、弊社は6次産業をしていまして、農業も、製造も、販売もということでしているんですけれども、ちょっと余談なんですけれども、このアンケートの「なりたい職業」の中で、女の子は「食べ物屋さん」で、男の子も「食べ物屋さん」が入っているんですけれども、「農業」が入っていないよねということで、農業がいつも50位より外れてしまうというのがちょっと残念だよねということがまず話題に出たんですけれども。まあ、ちょっと余談ですが。
    弊社は製造業なので、女性がほとんどなんです。パートさんなんですけれども、社員さんももちろんいるんですけれども、パートさんが子育て世代と、それから介護世代の方なんです、全員が。となると、子育て世代のお母さんたちは、子供がお休みのときはみんなお休みになってしまうと。夏休みですとか休日の登校日などの後のお休み、振替休日になるとパートさん全員お休みになってしまうというところが問題になっていまして、これも会社の問題ではあるんですけれども、従業員さんの意見を一番にしようということで会社の方針を進めていまして、働きたいし、子育てもしっかりしたいという欲張りなところを女性は持っていて、働きにも出たいし、子育てもしたいというところで、しっかり働いてもらって、週3でもいいし、4でもいい。できれば全部働きたいけれども子育てをしたいというところで働いてもらっているんですけれども、そういうふうに問題が出てきまして、みんなが休みになってしまうと稼働ができなくなってしまうので、従業員の規模としては小規模の企業に、従業員20人以下の企業に当たるので、20人以下の企業というのが、表でもありましたけれども、食品業界で多いというところで、製造業で多いというところで、こういうような悩みがほかにも出てくるのかなというふうに思っております。
    何が言いたいかと言いますと、結局、従業員さんの意見を聞いていくとちょっと弊害が出てくるので、そこをどう埋めようかなというところを今考えているところです。
    結論としては、私たちの企業は、従業員さんにしっかり休んでもらって、子供、お子さんのことを見てもらっている休みのときは、あらかじめわかっているので派遣社員さんとか派遣のパートさんを雇おうかというところで先日話をしたというような状況でした。
    それをこのアンケートもあったので、先日話題にさせていただきました。
  • 伊藤部会長
    ありがとうございます。
    それでは、加藤さんどうぞ。その後、森山さんになります。
  • 加藤委員
    食品産業戦略会議の取りまとめについて、現場の状況を踏まえてちょっと御意見させていただければなと思います。付加価値と労働生産性と海外投資1つずつです。簡単ですけれども。
    付加価値については、我々は工業的な─まあ、自動車産業とかの人たちといろいろ一緒にいるので、彼らも悩んでいるし、我々もそれを、食品も後を追っちゃっているのでよくないなと思うのは、原価積み上げ式の価格設定は食品はやめられるんじゃないのというのは時々言われます。海外とのコミュニケーションも増えているので、日本は何でそんなに真面目に原価積み上げて価格決めるんだという意見ありますので、もしかしたら食品は、せっかくブランド力ありますから、ガンと。まあ、1本1万とか20万とかのワインボトル入りお茶も売れるぐらいですから、もう少し価格の何か価値のつけ方みたいなのをもっと全体で勉強していってもいいんじゃないかなというのは思っています。
    あと2つ目の労働生産性です。これは、我々2年間続けて、産総研とリンゴ農家さんの業務分析をしました。A農家さんとB農家さんいて、収穫から出荷までの作業ですけれども、生産性が5倍違います。理由は2つあって、いい農家さんは栽培が密植栽培、高密植栽培という国とか県とかも試験でやっている密度の高い栽培方法をとっていることと、もう一つ、そこの方が、農場長さんが非常に楽をしたいという思いが強くて、きちんと一筆書きで人が動けるような業務フローを組んでいると。そういう意識があるという2点大きな違いで5倍も違ったんです。
    我々、ロボットを導入する前分析で業務分析をしたんですけれども、労働生産性が明らかに低い農家さんは、ロボットを入れてもどだい無理で、まず業務をきれいにしてから入れましょうと。後者の、もう既に前者の方の5倍ぐらいの生産性がある方に関しては、すぐに自動化の機械入れても効果が明確で、労働生産性が2倍とか、そういうのをなし得るでしょうという結果になりましたんで、食品産業全体ですし、農業現場を含めると、恐らくもう本当に種とか栽培方法からも踏まえて、フードチェーン全体でデザインし直さないと、労働生産性、どこか1カ所改善したところで、せいぜい1.3倍、3割増しは達成できるかもしれないですけれども、本当に農家さんから最後川下まで全部豊かになるというほどの労働生産性の改善はないかなと感じています。
    もう一つ、海外投資です。これに関しては、すごいウエルカムで待っているのに、日本の企業が投資してくれないというのをあちこちで聞かれますので、商社が行かないと出ていかないような経営体制の会社は多いんじゃないかなというのは思うので、かなり先方の国たちは大分ODAで一生懸命国が、日本が投資してきたこともあって、親日国も多いですし、ウエルカムなんだけれども、出てきてくれないというのが現状なんじゃないかなと思います。それをどうしろというと私も解決策はわからないんですけれども、もっと海外にシェアを拡大した経営者が食品業界に出てこないといけないなというのは感じています。
    以上です。
  • 伊藤部会長
    ありがとうございました。
    それでは、もう一人森山さんで、その4人の方は後ほど。
  • 森山委員
    私の方は、1つ目の食品産業戦略のここにある3つのところの最近の気づきと最近の動きの話をさせていただきたいと思うんですけれども、もちろん、一番の価値創造のところ、付加価値を上げる、それから海外、それから労働生産性のことがあるんですけれども、食品業界全体があまりまとまりがないという話がございましたけれども、それぞれのところでそれぞれのまとまりがあって、そこで決めているルールというのがございまして、今農水省さんなんかもバックアップして、例の3分の1ルール、これの見直しを随分進めるようになってきました。
    それから、過剰包装です。これは一時期値上げのときに値上げできなくて、中身だけ減らして包装だけ一緒だというやつなんですけれども、最近これが動き出したんですけれども、なぜ動き出したかなというふうに私思うには、これはメーカーさんだけではできません。メーカーさんがいかにやっても、最後のお客様の1つ手前にいらっしゃる小売業の方々の姿勢が変わってこないと変わらないんです。私どもの業界は、この間にある卸売の業界ですけれども、最近顕著な例として3分の1ルールを2分の1にするだとか、包材をもっと小さくして棚に並べる、並べ方を変える方というのは、ほとんど実行段階に来ているやつは小売業側、これは大手も、小手も、中手もなんですけれども、そうだねと、やっぱり変えていこうと。それは小売業の団体がやるというよりもリーダーシップのあるところがやっているんですけれども、そうすると変わってきます。
    ですから、全てが小売業が主導権を持っているわけではないんですけれども、今の食べ物の構造上でいくと、もちろんそこにはネットもありますし、また別の販売の方法もあるんですけれども、今のところ、大多数を実店舗、リアル店舗で売っていて、そのリアル店舗の方々の敷いている今やっているルールというものに乗っているんです。
    ですから、こういうふうに整理していただいてすごく分かりやすいと思うんですけれども、実際には小売業の方々と、小売業の団体と話しても実はらちが明きませんので、それぞれの企業、またはまとまった企業群というのがありますので、そこら辺とお話をするのが近道でございまして、実際先ほど言いました3分の1を2分の1にするだとか、包材を小さくするだとか、ほかの期限の問題だとかなんかもあるんですけれども、大体大手のそういう小売業の方々と話し合いができたら進むんです。メーカーさんとか卸なんかでは、まだまだ。もちろん、いろいろなルールがございますので、それも変えて、今ちょうど変えているところでございますので、生産性を上げていきたいということについては皆さん共通の認識としてございますから、方向性は間違えていないんですけれども、やり方の端緒というか、キーワードは小売業の方々とちゃんと話をして納得していただいて、例えばお互いにメリットを、最終的にはお客様にもメリットが行くように考えてやるということだろうと最近、この半年ぐらいですけれども、つくづく思っていまして、もちろん、業界団体みんなで話し合うことは大事でしょうけれども、実際に決断していただくのは、それぞれの企業の経営トップなので、そういう方々と一つ一つお話を積み重ねると実際に効果が上がっているという実感なので、御披露させていただきました。
    以上です。
  • 伊藤部会長
    ありがとうございます。
    それでは、4人の方々の御質問とか御意見について、よろしくお願いいたします。
  • 横島食品製造課長
    では、食品産業戦略の関係の方から。
    髙島委員にいただいた御意見ですが、フォーラムにも実際食品サービスの方も半分ぐらい来ていらっしゃいました。「食品製造業」ではなく「食品産業フォーラム」と銘打ったのがよかったのかもしれません。このフォーラムもそういう場になるように育てていきたいと思います。また「Uber」論は戦略会議でも出ました。特に物流の共同化で、同じ品目で共同配送というのが今出ていますが、それだとやはり工場の配置が違うので限界がある。自分の工場はここにあって、ここに届けたいんだけれども、ちょうどいいトラックないですかというのを誰かうまく取り仕切ってくれないですかねという話がありました。すぐに何かということではないですけれども、いろいろな技術とかネットワークを駆使して、おっしゃったようなことが出てくるようにこちらも検討を進めていきたいと思っております。
    それから、加藤委員の話、これも戦略会議でよく出て、同じような材料を使って、同じコストなのに何でヨーロッパのものは4倍の価格で売れているんだろうという議論がありました。戦略にも載せていますけれども、1つあったのは、外国の企業でここ近年で見られる傾向として、誰がその会社の製品の価値を高めたのだということをきちんと評価するシステムというのが成り立ってきていて、そういう評価を高める活動、統括する役員としてチーフ・マーケティング・オフィサーとかチーフ・ブランディング・オフィサーという人がいて、そこがきちんと評価されるようになっている。けれども、日本の企業ではまだそういうことを明確にしていらっしゃるところはあまりないんじゃないかという話もありました。高く売ると言ったら語弊があるかもしれませんが、どうやって価値を高めていくかということをもっと気をつけていかなければいけないのだと思います。
    それから、生産性の高め方は答えは1つではないですし、1社だけでできることにも限界があると思います。特に材料とか出荷の物流が絡むと、いろいろな方の協力が必要です。森山委員のお話とも関連すると思いますが、団体対団体だけではなくて、個対個の取組もあるでしょう。そういうコミュニケーションの橋渡しを我々もお手伝いをしていきたいというふうに考えております。
    以上です。
  • 得田企画課長
    続いて働き方改革についてですが、まず髙島委員から、役所が実業に取り組まれている皆様方に何かアドバイスができるわけは毛頭なくて、例えばこういう取組事例がありますというようなことをまず御紹介させていただいて、取組づくり、きっかけづくりということを念頭に置いておるわけでございます。
    例えば、今モチベーションの話がありましたが、ハンドブックの22ページを御覧いただきたいんですけれども、ハンドブックの22ページに「従業員が学び育つための仕組み・風土がある」のところのチェックリストのところの参照ページをつくってございまして、ここで書いてあるのは、ヒアリングをしたときにも企業の方からよく聞いたんですが、我々の活力というのは「ありがとう」という言葉なんですと、「おいしかったです」という言葉なんですというような実例をいろいろと聞かせていただきました。そうしたお客様に喜ばれるものをつくりたい、届けたい、そうしたことを従業員が持っている希望を引き出して満足度を高めるということがモチベーション向上や生産性の向上にもつながるんじゃないでしょうかということを言ってございまして、それの具体的な取組事例としては、例えば真ん中のコラムにございます「一人一研究って?」というのがありますが、みんながこれぞという研究をしてもらって、それを食堂とか分かりやすいスペースで表彰して掲示をするとか、下に、「ますのすし」とかいろいろ載せていますけれども、仕事をする人の喜び、幸福感というのはいろいろなところに見いだす人がいます。事業のタイプによっては、それに合った、別に給料だけではないという人も多いでしょうから、そうしたタイプに合わせて満足感を高めていくということが大事ではなかろうかという提案をしておるところでございます。
    また、難波委員に御指摘をいただきまして、ありがとうございました。
    3ページの左上に先ほどお触れいただきましたが、第一生命さんのアンケートで、21年間、女の子のなりたいものランキング1位「食べ物屋さん」ということで、食べ物屋さんというのは心をひく職業でございます。
    農業の方も我々の検討と同時期に検討、働き方改革をされていまして、その際に出た言葉で、聞いた言葉としては、農業というのは3Kじゃないんだと。「きつい」「汚い」「危険」なんていうのは、もうはるか昔の話で、最近の農業というのは新3Kなんだと。この新3Kというのは人によっていろいろなことがあるらしいんですけれども、「稼げる」「格好いい」「キラキラしている」とか「気分がいい」とか「感動がある」とか、その人によっていろいろな言葉があるそうなんですが、時代はかなり変わってきているんだというようなことを聞いてございます。
    農業の話からまた食品産業の話に戻りますが、例えば、この中の15ページを御覧いただきますと、いろいろな働き方をされる方がいます。やはり子育てとか介護。特に介護の話というのは、今65歳以上の方のうちに要介護認定を受けている方の比率というのは17.9%というふうにかなり上がってきており、大体5人や4人に1人は、両親いらっしゃる場合には、そのどなたかが要介護認定を受けるというのがもう他人ごとじゃなくて自分ごとになってくる時代になってきております。
    そうした中で突然の休みというのが出てきますので、そういう突然の休みに対してはどういうことができるかというと、一人三役制度というのをちょっと出しておりますが、1人がやれる仕事の幅を増やしていくという取組例がありますというようなことを紹介しております。
    また、20ページもございますが、20ページは「ここ数年のうち、育児・介護を理由に離職した従業員はいない」のところのチェックでございますが、こうした中では、やっぱりフレックスタイムのフレキシビリティを増やす、そして休業中や一旦やめた方にも戻ってきていただくためにお手紙を書くとかリターン制度をつくるとか、そうした取組事例を紹介させていただいているところでございます。
    以上でございます。
  • 伊藤部会長
    それでは、ほかの方はいいですね。
    それでは、続いて御質問を。
    それでは、すみません、時間の関係でお二人ということで。
    それでは、宮島委員、どうぞ。
  • 宮島委員
    では、簡単に。
    働き方改革のところで、前回ですか、少し前の会議でも申し上げたかもしれないんですけれども、今食品の関係の会社は特に女性にとってすごい人気業種になっていると感じます。私は、大学生の息子もいますけれども、就職先として働き方の改革を前に打ち出した会社が女子の大学生のトップ層にとって希望する会社にすごくなってきている印象です。食品業界の働き方改革のみならず、希望としては日本の働き方改革の全体を特に女性の働き方、働きやすさも含めて引っ張ってくださるぐらいのところも期待できるのではないかと思い、それぞれの会社にお願いしたいです。
    プラス、この本はとてもよくできていると思うんですけれども、さらにこれに入れてほしいとまでは言いませんが、ディテールのところでまだいろいろと工夫の余地があると思います。この中でちょっと弱いかなと思ったのは、ICTを働き方改革の中に組み合わせることで、つまり時間の共有化ですとか、それぞれのネットワークのつくり方の中でかなり有効になるということがいろいろな会社でもわかっていると思うんですけれども、特に食品とか小売というのは時間の組み合わせ方がすごくお互いに難しい中、いい形でITを生かすと、よりいい働き方改革が現実的に進む部分があるのではないかと思うので、そういったところももし例があれば共有していただけるとありがたいと思いました。
  • 伊藤部会長
    それでは、波多江委員お願いいたします。
  • 波多江委員
    食品産業戦略の柱の中で、それぞれ「需要を引き出す価値創造」、それから「海外市場の開拓」「労働生産性の向上」、いずれも3割増しということで柱を立てていただいて、非常にすばらしいことだと思います。
    その中で弊社が関係する「海外市場の開拓」という部分なんですけれども、御承知のとおり、2017年度の農林水産物、それから食品の輸出総額というのは8,000億を超えて史上最高の輸出額になりました。ただ、伸び率からいくと7.6%ですから若干鈍化した部分からいくと、3割増しという目標がここに掲げられているということは非常に望ましいと考えます。
    ただ、難波さんじゃございませんけれども、農業のことがどうしても頭の中にございまして、全体8,000億を超えたと言いながらも、その中の加工品というのは、海外からの輸入原材料で日本で製品化されたものが海外に輸出されているというのが現状です。果たして国産の原材料を使った輸出実績という点で捉えていくと、国内農業の振興という部分と密接に関連が出てきます。そのように考えていきますと、食品の海外市場の開拓ということだけではなくて、もう一つは、農業を発展させるための海外市場の開拓が必要です。その辺を区分して考えていく必要があるんじゃないかなと思います。
    いろいろな分野で輸出が伸びているという部分では、農水省をはじめとして頑張っていただいているのですが、食品全体の中でも農業という部分をどう位置づけしながら国内の生産力を高めていくのか。そういった観点で今後まとめていただくと、非常にありがたいと思います。よろしくお願いします。
  • 伊藤部会長
    ありがとうございます。
    それでは、お二人の件についてコメントをお願いいたします。
  • 得田企画課長
    宮島先生から働き方改革で、食品産業はまさにそれこそリーダーとして引っ張っていける業界だという御指摘は本当にそのとおりで、隣にいらっしゃるのでちょっとしゃべりにくいんですけれども、本当に先進的な取組をされている食品企業は多いです。勤務時間も短いし、ICTも活用されているとかという事例はいっぱいございます。
    このハンドブック、本当にすみません、ちょっと書き込みが足りなかった部分にICTの活用とか、確かに事例の紹介とか足りない部分ございますので、次の改訂のときとかに合わせてさらに直すべきは直していきたいというふうに考えてございます。
    どうもありがとうございました。
  • 横島食品製造課長
    波多江委員の指摘なんですけれども、戦略で書いてあることで、もう御案内だと思いますが、個々の品目で見るとさまざまですが、全部平均して見ると、日本の農林水産物の出荷先の7割は食品産業なんです。青果物のまま消費者には届いていない。6割が製造業で、1割は外食になっています。
    そういう意味で食品製造業の中には国内に行くのと海外に行くのとがありますが、食品製造業の活動が増えれば農林水産物に対する需要も増えるだろうし、実際今までそういう傾向は見られます。
    それから、最近国産の材料を使ったものの人気は、国内市場のみならず、海外でも高まっています。もともと7割、6割使っている中で、今製造業者から聞かれるのが、品目によってさまざまですが、国産の農産物が足りないということです。国産の農産物を使った商品が欲しいという需要があるけれども、残念ながら原材料が足りない、あるいは価格が上がってしまうこともあるので、我々としては、そういう需要があるということを農林水産物の現場にも丁寧にお伝えし、「じゃ、もうちょっと増やしてみようか」という活動につなげていくような発信も必要ではないかと思っております。
  • 浅見輸出促進課企画官
    輸出促進課の浅見と申します。
    波多江委員の御指摘の関係で、農業を発展させるための海外市場の開拓ということだったと思いますけれども、輸出促進課と政府挙げて輸出全体を、農林水産物・食品の輸出を増やしていくという目標に向かってやっておりまして、現在、海外からの需要がある中で国内の生産に対応できていないという部分もございますので、そういった部分、生産地を海外輸出に対応させていくというようなことも含めて、農業に直接利益が落ちるような、そういう輸出の取組も進めているところでございます。
  • 伊藤部会長
    ありがとうございます。
    それでは、「食品産業戦略について」と「働き方改革について」はこのくらいとさせていただきまして、次に「卸売市場を含めた食品流通機構の改革について」、事務局から説明をお願いいたします。
  • 宮浦食品流通課長
    食品流通課長の宮浦でございます。
    資料3-1をお開きいただければと思います。
    資料3-1の1ページ目は、昨年末に政府で決定いたしました農林水産業・地域の活力創造プランの一部をほぼ踏襲したものになっておりますので、本日の説明は2ページの法律案の骨子というところから御説明をさしあげたいと思います。
    2ページの法律案の骨子の方を御覧いただければと思います。
    まず冒頭の「趣旨」のところですが、この法律は卸売市場を食品流通の核として、食品流通の合理化と公正な取引環境の確保を促進するということを目的としておりまして、その狙いとしては、生産者の所得向上と消費者ニーズへの的確な対応を図るといった、こういう中身でございます。
    冒頭の野中政務官からの御挨拶にもありましたとおり、先週から衆議院の本会議で審議が始まりまして、まだ現時点では国会での審議中でございます。その内容について御説明申し上げます。
    「法律案の概要」のところにありますとおり、中身は卸売市場法と食品流通構造改善促進法になりますが、まず卸売市場法の目的規定に関して見直しをいたしておりまして、「この法律は」というのの後ですけれども、「卸売市場が食品等の流通において生鮮食料品等の公正な取引の場として重要な役割を果たしている」という趣旨のことを今回初めて、この法律の目的規定の中に書き込みをいたしております。
    それから、(2)の「卸売市場に関する基本方針」でございます。
    この審議会の審議事項でもあります卸売市場の整備に関する基本方針というものを改めまして、今回、卸売市場に関する基本方針というものを定めることにいたしております。
    ポイントは、1、2、3とありますとおり、業務の運営に関する事項、それから施設に関する事項、その他というふうな3点になってございまして、これまでは市場の整備が中心の基本方針でありましたけれども、今後は業務の運営の部分を中心とした基本方針として改めていくということとなってございます。
    それから、次の(3)「卸売市場の認定等」、「1 卸売市場の認定」についてであります。
    卸売市場であって次の要件に適合しているものを大臣、または知事が認定をして、大臣が認定したものは「中央卸売市場」、知事が認定したものは「地方卸売市場」という名称を使用することができるということといたしております。
    その具体的な認定の際の審査の基準がア以下に記載してございます。申請書ですとか業務規程の内容が大臣が定めます基本方針に照らして適切である。それからイですが、法令に違反しない。こういったことがまず基本になってまいります。
    それから、ウは開設者が遵守すべき事項を整理いたしております。差別的な取扱いを禁止する、あるいは卸売の数量ですとか価格などの公表をきちんと行う、それから(ウ)卸売業者ですとか仲卸業者等の取引に参加する方々への指導・助言ですとか報告・検査、是正の求めなどの措置を開設者がきちんと行うことができるということを担保しているということになってまいります。
    それから、(エ)で売買取引の方法ですとか代金決済の方法を開設者が定めて公表をするということといたしております。
    それから、エのところですが、こちらは卸売業者などの業者の方々が遵守する共通の取引ルールをまとめてございます。開設者が定めました取引の方法によって卸売を実施する。差別的取扱いは禁止する。それから、受託拒否を禁止する。それから、開設者が定めました方法による代金決済を行うといったことと、卸売業者に関しましては事業報告書を作成して、出荷者に対して閲覧することを義務づけてございます。
    そのほか、(オ)、(カ)で売買取引の条件ですとか結果を公表するということといたしております。
    それから、オのところですが、エで定めました共通の取引ルール以外のその他の取引ルール、具体的に申しますと第三者販売ですとか直荷引き、商物分離等になってまいりますが、こういうものを定める場合には、きちんとルールをチェックするということにしておりまして、まず(ア)といたしましては、共通の取引ルールに反するものでない。それから、(イ)として、一部の参加者だけじゃなくて、取引参加者みんなの意見を聞いて、きちんと定めている。それから、(ウ)として、取引のルールですとか、その理由、こういったものを公表しているということを担保することにしております。
    このほか、カ、キ、クのところでありますが、開設者が必要な体制を有するですとか、必要な施設を有する、あるいは適正かつ健全な運営に資するような、主に資金面の確保の要件に適合しているのかどうかということをチェックすることといたしております。
    それから、(4)「支援措置」のところでありますが、認定を受けた中央卸売市場、卸売市場に対しましては、引き続き国は施設整備の助成を行ってまいりますけれども、その中でも中央卸売市場であって、この後出てまいりますが、食品等流通合理化計画という流通の合理化に前向きに取り組むような計画を定めて認定を受けたところの施設整備につきましては、非常に高い比率での10分の4といった助成を行うとしています。
    冒頭に、先ほど申し上げました一般的に行う助成は、通常3分の1の助成でありますので、法律には高い助成をするというところだけを明記したということでございます。
    続きまして、食品流通構造改善促進法の一部改正ですが、こちらも目的規定から改正をいたしております。「食品等の流通が農林漁業者と一般消費者とをつなぐ重要な役割を果たしていることに鑑み」といった流通の重要性を目的規定の中に今回初めて明記をいたしております。
    その上で大きく2点改正事項がございまして、まず1点目が(2)の「流通の合理化のための措置」でございます。
     1といたしまして、大臣が食品等の流通の合理化に関する基本方針というものを定めます。これも現状は審議会の諮問事項であります流通構造改善に関する基本方針というものを修正いたしまして、こういった基本方針を改めて策定するということにいたしております。
    この中身ですが、アからエとございますが、流通の効率化に関する事項、それから品質管理、衛生管理の高度化に関する事項、情報通信技術等の活用に関すること、国内外の需要への対応に関する事項、こういったものを流通の合理化と規定をいたしまして取組を促していくということといたしております。
    その上で、2にありますとおり、こういう事業を実施する方々に対しては計画の認定を行って、3の支援措置、A-FIVEの出資ですとか流通合理化促進機構による債務保証、あるいは政策金融公庫の融資といった支援措置を講じていくということといたしております。
    それから、(3)のところでありますが、取引の適正化のための措置が2点目の改正事項でございます。
    まず1のところですが、農林水産大臣が取引の適正化のために取引状況に関する調査というものを行いまして、その調査の結果に基づきまして、必要に応じて指導・助言などの措置を講じてまいります。
    さらに、この把握した中身に関して、不公正な取引方法に該当するような事実があると思料するときは、公正取引委員会、こちらは独占禁止法を所管する役所になるわけですが、こちらに対して、その事実を通知して、優越的地位の濫用などの規定に基づいて必要な措置をとることなどを促していくということになります。
    以上のような内容の見直しに合わせまして、題名を「食品流通構造改善促進法」から「食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律」に改めることといたしております。
    最後に「施行期日」のところですが、卸売市場法の関係の規定の施行は、公布の日から起算して2年を超えない範囲で政令で定める日、それから食品流通構造改善促進法の一部改正につきましては、6月を超えない範囲といたしております。
    また、2のところでありますが、現在既に開場いたしております中央卸売市場ですとか地方卸売市場、こういったところも改めて認定の手続をしていただくことになります。現在、それぞれ64市場と1,081市場がございますので大変な作業になってまいりますが、卸売市場の施設などの、すぐには中身が変わらないような事項につきましては、その事項の記載を省略することができるといったような負担軽減措置を法律の中でも講じているところであります。
    このほか、最後「検討」でございますが、施行後5年をめどとして必要な見直しを行うという旨を法律上明記いたしております。
    それから、最後に、参考としてビジネスモデルというのがその後についてございます。今回の法律の改正内容は、昨年の政府の方針に即したものを淡々と法律に落とした中身になっておりますが、これで具体的に何がどう変わるのかというのがなかなかよく分かりづらいという御指摘がございましたので、このペーパーを取りまとめております。
    まず1つ目の輸出促進というところですが、左側の四角の囲いをちょっと御覧いただきますと、現行では仲卸業者の方々というのは産地から直接荷を集めてくるということが禁止されてございます。今回は、ここが国の一律規制は廃止されて、市場ごとに設定可能ということになってございますが、こうなることによって何がどう変わるのかということであります。
    右側のポンチ絵を御覧いただきますと、昨今輸出などに関しましては、国内の有機野菜、小ロットでの注文が非常に多くなってきてございますが、こういった有機野菜の産地の場合、小ロットの取引になってまいりますので、なかなか卸さんの集荷に乗らないこともあります。
    そういう意味で仲卸の方々が直接産地と取引できるようになることによって、こうした品ぞろえを確保して輸出などの所得機会をうまくつかんでいくことができるというふうに考えております。
    それから、2つ目の産地直送ですが、こちらも左側の「現行」というところを御覧いただきますと、現行では卸売市場に持ち込んで1度取引を行うということが原則になっております。今回は市場ごとに設定可能ということにいたしておりますが、これは右側のポンチ絵を御覧いただきますと、産地から物流事情などを考慮した上で、物は小売店などに直送することができるようになってまいります。
    一方で、取引自体は卸売市場を介在した市場取引となりますので、市場取引のメリットというのは代金が早期に回収されるというところがメリットでありますので、そうした早期代金決済の果実は享受した上で物流コストを抑制して鮮度の高いまま小売店に物を届けることができるといったところはメリットであろうと考えてございます。
    それから、最後に市場間ネットワーク。「現行」のところを御覧いただきますと、卸売業者による同一市場内の仲卸業者への販売というものが原則になっておりまして、それ以外の方への販売は原則禁止となってございます。これも今回市場ごとに設定可能にしておりますが、こういたしますと、ほかの市場の卸さんとか仲卸さんへの転売・転送といったものが可能になってまいります。
    前段の御議論の中でも、髙島委員と宮島委員から、それぞれネットワーク、あるいは情報化の話がございましたが、この条件緩和ができてまいりますと、まず物の転送が可能になるといったことと、さらにここからもう一歩進歩して踏み込んでいけば、情報流、それから商流の共有化といったことなどができてきますと、さらに市場間ネットワークというものが決済も含めて広くかなり合理化されることが期待されるところでございます。
    こういった取組を今後進めるためのまず第一歩に今取り組み始めたといった状況でございます。 それから、附属いたしまして、お手元に紙で審議会の関係法令というものがございます。それの5ページを御覧いただければと思います。
    5ページに審議会の食料産業部会の所掌事項が書いてございまして、3つ目の欄に食料産業部会とございますが、卸売市場法、それから2つ飛んで食品流通構造改善促進法などの規定による審議会の権限に属させられた事項を処理することというのがこの部会の審議事項になってございます。
    それから、9ページをまた改めて御覧いただきますと、9ページには卸売市場法の規定の抜粋がございますが、アンダーラインが引いてあるようなところがこの審議会の審議事項になってございまして、先ほど口頭で御紹介申し上げましたが、卸売市場の整備基本方針を定めようとする場合といったようなことなどがございますが、今回こういったことが、事項が改正されております。
    それから、あわせて15ページを御覧いただければと思いますが、15ページは食品流通構造改善促進法の規定の抜粋になっております。これも現在の食品流通部門の構造改善を図るための基本方針という規定になってございますが、このあたりが今回押しなべて改正事項になってございまして、法律改正が、法案が成立いたしますと、こういったところも全体的に見直しをした上で、また改めて基本方針を定める際には委員の先生方の御意見を賜るということになってくることと考えてございます。
    それから、最後に、この審議会には、これまで築地市場の豊洲市場への移転に関して、その都度状況の報告を行ってまいりました。今回は資料にまとめて御報告するような事項はございませんが、本年10月11日に豊洲市場を開場するということで東京都さんを中心に意見がまとまったということでありますので、また今後、現行の卸売市場法に基づきまして業務規程の改定の認可申請などが上がってくることになるのではないかと考えてございますが、ここは行政の方で現行の法律の規定に従いまして判断をして、また適宜行ってまいりたいと考えているところでございます。
    以上、私の方からの御説明でございます。
  • 伊藤部会長
    ありがとうございました。
    それでは、ただいまの説明に基づきまして意見交換に入りたいと思います。
    どなたからでも結構ですので、御意見、御質問、挙手をお願いいたします。
    それでは、髙島さん。
  • 髙島委員
    ありがとうございます。大変分かりやすかったです。
    意見もまざった質問を2つさせていただきたいと思うんですけれども、まず「合理化のための」というところがいくつか言葉として出ていたと思うんですが、合理化というと比較的コストカットみたいなものの印象が強いんですけれども、付加価値の向上みたいなところもかなり余地あると思うんです。例えば、お客様のキッチンでやるかわりにカットしてあげるとか、味つけてあげるとか、アソートしてあげるみたいな機能を持つであるとか、あるいは、これはできるか、また別の問題もあると思いますが、輸出においての検疫の機能の一部をもうこっちで終わらせてしまう、市場の中で終わらせてしまうとか、あるいは糖度保証みたいなもので付加価値をつける糖度検査みたいなものを市場で担保するとか、そういう付加価値的なものも非常にチャンスがあると思っており、この辺の「合理化」という言葉の中にそういったコスト的なもの、あるいは大規模化的なもの以外のそういった付加価値向上的なものは入っているのでしょうかというのが、どこまで入り得るのかというのが1つ目の質問です。
    それから2つ目は、いくつかのビジネスモデルの中で商流と物流、情報流、そういったものを切り分けて市場として機能を提供していくという方針で大変分かりやすかったんですが、これは直接当社にも関係のある質問になってしまうんですが、商流は使うけれども物流は使わないという事例が多分2番の事例だと思うんですが、その逆みたいなのはどうなのかなと。商流は関係していない。例えば当社は市場との商流はないんですが、物流だけ使わせていただく、情報流だけ使わせていただくといった、そういう商流以外の機能をオープンに提供していくようなことが実質的に、理論的にというよりは実質的に起きていくような感じになるんでしょうかというのが2つ目の質問です。
  • 伊藤部会長
    それでは、引き続きどなたか御質問ございますか。
    それでは、今の髙島委員の御意見に。
  • 宮浦食品流通課長
    ありがとうございました。
    まず「合理化」という言葉の意味合いですが、まず結論を先に申し上げますと、付加価値の向上などのプラスのポジティブな意味合いも含めて今回は定義づけをいたしております。
    先ほど御説明いたしました資料3-1の3ページのところを御覧いただきますと、「食品流通構造改善促進法の一部改正」の部分のところになりますが、(2)の1「基本方針」のところでア、イ、ウ、エと4つ書いてございます。これを総じて流通の合理化というふうにしておりまして、流通の効率化ですとか情報通信技術の活用など、コスト削減につながるようなものももちろん入っているんですが、品質管理、衛生管理の高度化ですとか、それから特に国内外の需要への対応といったところは付加価値創造のところも込みにして流通の合理化の取組といたしているところでございます。
    それから、ビジネスモデルの点につきまして、商流は使わないけれども物流だけということが実質的にあるのかどうかということですが、これも現状でも実質的にはございますし、今後も実質的には出てくるというふうに思っております。市場の流通、幹線流通のところは比較的コストが軽いという話もございますので、そういうところに地域のストックポイントのところで荷物をまとめて市場流通に乗っけて消費地に運ぶといったようなことは現状でもございますし、今後もドライバー問題を含めて対処していくためには必要な取組ではないかなと思っているところでございます。
  • 髙島委員
    ありがとうございます。
    さっきの物流の話もあるんですが、設備で付加価値が上がっていく部分とかのところで資本関係のない業者、仲卸さんの子会社とかではない、資本関係のない業者がそういう付加価値の部分だけとか情報技術の部分だけとか、そういう完全にオープンになっていくと、実質的に非常に活性化するんじゃないかなというふうに思っています。
  • 伊藤部会長
    それでは、ほかに御意見はどうでしょうか。
    それでは、内田委員お願いいたします。
  • 内田委員
    どうも説明ありがとうございました。
    改正案が決まった段階ですので感想みたいにもなるかもしれませんが、卸売市場というのは朝早くから遅くまで、朝現場で荷物を見て、夕方に量販店さんから発注が上がって対応するものですから、やはり拘束時間が発生するということで、3K的な職場であるというふうによく言われていて、これを今改善するように努力しております。
    それで、働き方改革の中でも言われておりまして、モチベーションを上げるというか、やりがいを与えるということもありますので、我々の会社では、社員に対して卸売市場が日本の農業を守っているんだと、日本の食文化を守っているんだ。だから、皆さん頑張りなさいということを言ってやりがいを与えている。ちょっと社員向けの言葉なのでおこがましいんですけれども、お許しいただきたいと思います。そういうことを常に社員に伝えながら、公共性のある仕事だから、ちょっと大変だけど頑張ってくださいねということを常に伝えております。
    そういう意味では、最初の文面の中に、「卸売市場を食品流通の核」というふうに定めていただいたことに関しましては非常に感謝いたしますし、これを社員に伝えて、さらにやりがいを持って仕事に当たらせていきたいというふうにも考えているところでございます。
    1つお願いとしましては、これから移行、先ほど説明があったとおり、多少簡素化していただけるようですけれども、移行に関して各市場、ちょっと何か心配しているところがあるようでございますので、早く内容を開示していただくのと、できるだけスムーズな移行ができるようにお願いをしたいというふうに思っております。
    それと、最後の市場間連携の件でございますが、今回、第三者販売とかできるようになるということをベースに考えますと今まで以上にやりやすくなりますが、実際には今までも、過去にも、仲卸さんを通せばできる話なので、システムとしては市場間の流通をやってきております。実際に転送業者の方々がおられて、転送業者の方々が市場と市場の間を結んでというような取引をされていたんですけれども、転送業者の方というのはどうしても営利目的で利幅が多く取られるんです。我々卸会社が横の連携をとって荷物を回す場合というのは、どちらかというと産地の方を向いて、産地の商品をどういかにさばくかということを考えますので、最低限の利益で我々は市場間転送をしているということも言えますので、転送業者のかわりに市場がもっと連携をとって品物をやりとりできるようになるということは、強いては農家の方の手取りアップにもつながってくるのかなというふうに思っておりますので、我々としてもどんどん進めていきたいというふうに考えております。
    以上です。
  • 伊藤部会長
    ありがとうございます。
    ほかに御質問ございますか。
    それでは、近藤委員どうぞ。
  • 近藤委員
    価格決定、要するに競り原則というのがもうほとんど実質なくなっていて、これに対してはどこまで、現状どういうふうな価格決定が競りによらないでなされているのか。そこの合理的な根拠と透明性はどういうふうに確保されているのか。
    産地がちゃんと指値をして、それに基づいて決められているのか。市場の価格決定です。現状、競りの割合が随分下がってきて、競りによらない価格の決め方ってどうやって決められているのかということについてお伺いしたいと思います。
  • 伊藤部会長
    ほかにどうでしょうか。今の件に関係の。どうぞ、加藤委員。
  • 加藤委員
    1つだけ。静岡県西部地域、花が産地で、花の農家さんとよくお話しするんですけれども、花だけは下げ競りなんだよねというので非常に嘆いていらっしゃるので、その辺、何とかならないのかなというのを補足で聞きたいなと思います。
  • 伊藤部会長
    私は今日、花きの市場へ行きましたけれども。
    それでは、3人の方の意見についてお願いいたします。
  • 宮浦食品流通課長
    ありがとうございました。
    まず、内田委員からお話のありました各市場の皆さん方の御心配の向きというのは、私どももいろいろと伺っております。現在、この法案を国会で審議していただいている段階でありますが、仮にこの法案が成立いたしましたら、まだ政省令、政令ですとか省令といった下部規定、それから大臣が定めます基本方針というものをできるだけ早急に定めて、各市場で自分たちの市場は今後どういうふうにしていくのかということを議論していただけるような環境をつくっていかなきゃいけないと思っております。
    この法案が仮に成立した場合には、下部政省令などをできるだけ秋口ぐらいには策定をして、できる限り早急に皆様方が議論していただける環境をつくっていきたいというふうに考えているところでございます。
    それから、近藤委員からお話のありました競りの今の実情ですが、品目によってそれぞれかなり差がございます。青果ですと1割、水産ですと2割弱ぐらいの取引が競りで行われてございます。
    一方で、食肉なんかですと9割は競りでありまして、要は物品の個体格差の大きいものに関しては、まだ競りが多く行われているということなのかなというふうに認識しております。
    それでは、大方の価格決定というのはどういう形で行われているのかということになりますが、大方は、その反対側、相対取引になってまいります。相対取引の場合は、おおむね産地の方からこれぐらいの価格で売ってもらえないだろうかといった話がついた上で言ってきて、それに実質的には業者の方々が若干の利ざやをつけて価格設定をされているというふうに考えてございます。
    花につきましては、室長の方から。
  • 武田卸売市場室長
    卸売市場室長の武田でございます。
    お花については、委員御指摘のとおり、競り下げ方式という形をやってございますが、お花は非常にいろいろな品目、あと色とか、そういったもの様々ございまして、それをスピーディーに価格決定をするということで競り下げの仕組みをとっているということでございます。例えば競り上げの仕組み、あるいは水産物においては入札の仕組みとか、いろいろな価格決定の仕組み、あるいは相対取引も含めてでございますけれども、どの方式が一概に価格が上がりやすいとか、下がりやすいとかということではなくて、品目の特性に応じて、経験に沿って、なるべくスピーディーに公平に価格決定ができるような仕組みが選択されていると、そういうことなんだというふうに御理解いただければと思います。
  • 伊藤部会長
    ほかに御質問ございますか。
    どうぞ。
  • 波多江委員
    非常におこがましい意見になるかもしれませんけれども、今回の卸売市場の改正について懸念しているのが行政の関与が後退するんじゃないかなということです。これは先だっての日本農業新聞の記事ですが、中央卸売市場を開設している自治体にアンケートをとったそうです。その内容で、「今後も運営に関与していくのか」というアンケート結果では、5割弱が関与していくという状況でございました。残りの自治体については、「まだ方針決めていない」という回答だったという記事が載っておりました。中央卸売市場がそういう状態の中で、地方卸売市場が支えている地方の食文化というのは非常にまだ重要だと思っているわけですが、この地方卸売市場の運営に関しては、かなり経費がかかって、それを支えている自治体が後退傾向という現状の中で、今度の改正が行われることによって行政の関与が一層後退していくんじゃないかなと危惧します。そうなってくれば、結果として大手の中央卸売市場に寡占化していく、荷が集中していくということになってくると、そうなると、生産地の立場で申し上げますと、価格競争が激化し、結果として生産力、産地構造が弱体化していくということになるのではないかということを懸念しております。今後とも食料自給という観点で考えていきますと、一定の行政の関与が私は必要だと考えます。その辺についてお考えをお聞かせいただければと思います。
  • 伊藤部会長
    ありがとうございます。
    ほかに御質問ございませんでしょうか。
    それでは、今の件をよろしくお願いします。
  • 宮浦食品流通課長
    ありがとうございます。
    御指摘の点、先週の国会の本会議の場でもかなり論点になったところでございまして、私どもその辺はよく注意をして対応しているところでございます。
    本日御説明いたしました資料3-1のまず1ページ目を少し御覧いただければと思います。
    1ページ目の開設者が行う事項としてあります(3)の1の(ウ)のところでございますが、開設者が卸業者ですとか仲卸業者に対する指導・助言、報告・検査などを行うことといたしております。
    また、次のページにまいりまして、次のページの一番上のところですが、大臣及び知事が開設者に対して、また指導・助言、報告・検査、措置命令などの取り消しを行うということで、市場の運営に関しては最終的には大臣、あるいは知事が開設者に対してきちんと指導を行うことによって、状況が悪ければ措置命令、さらに改善されなければ認定の取り消しまで行うというところをきちんと法律上担保して市場の公共性を確保する、あるいは信用を確保するということにいたしております。
    また、生産者の方々からは、取引を実際上行うことになります卸売業者の方々の財務体質などに関しても指摘がございましたので、本日御説明しましたとおり、卸売業者の事業報告書の閲覧も出荷者に対してはこれを行わせるということにして信用確保をしていこうと思っているところでございます。
    中央卸売市場に関しましては、これまで自治体に限定されておりました。一方で地方市場に関してはそこは自由でして、これまで1割程度が自治体でありましたが、それ以外はすべからく民間の開設者になってございましたので、こういったところをきちんと、今申し上げたような規定をきちんと担保して信頼性を確保するということに私どももよく注意をして対策を講じていきたいと思っております。
  • 伊藤部会長
    よろしいですか。
    ほかに御質問等ございますでしょうか。
    皆様よろしいですか。
    それでは、熱心な御発言をありがとうございました。全体を通じて新井審議官から御発言をいただきたいと思います。
  • 新井審議官
    今日は大変長時間にわたり、幅広い議題について御議論いただき、ありがとうございました。
    最後に卸売市場法の法律改正の話がございました。まさに今後作ります卸売市場法の基本方針、それから流通構造改善法の基本方針は、この審議会の審議事項と、法律に基づく審議事項ということになりますので、法案が通りましたら早急に私どもから案を示して、この審議会で御議論いただきたいというふうに思っております。
    今日お話をいたしました戦略会議、それから働き方改革、いろいろな点で今食品の流通のみならず、日本全体は非常に過渡期にあります。そういう中、私どもいろいろな形で業界の方と議論をしながら、より良い提案をしていきたいというふうに思っておりますので、今日いただいた意見も踏まえながら、またいろいろな施策に取り組んでまいりたいと思います。
    今日は本当に朝早くからの委員の方もたくさんいらっしゃいまして大変恐縮でございましたけれども、本当にありがとうございました。
  • 伊藤部会長
    それでは、最後に「その他」につきまして事務局からお願いいたします。
  • 得田企画課長
    特にございません。
  • 伊藤部会長
    それでは、本日は長時間にわたり御議論いただきまして、ありがとうございました。
    進行を事務局にお返しします。
  • 得田企画課長
    伊藤部会長ありがとうございました。
    今後の本審議会運営につきましては、食品リサイクル法の基本方針についての審議等、こうしたものもございますので、次回は夏の終わりから秋頃の開催を予定しております。具体的な日程につきましては、部会長と御相談の上、委員の皆様にまた改めまして御案内をさせていただきますので、よろしくお願いしたいというふうに考えております。
    なお、本日の机上備えつけ資料の関係法令、この灰色のファイルにつきましては次回以降も使用しますので、そのまま机上に置いていただければと思います。
    それでは、これをもちまして食料産業部会を閉会したいと思います。本日はどうもありがとうございました。

14時46分閉会

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