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食料・農業・農村政策審議会 食料産業部会(平成31年4月12日) 議事録

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13時00分開会

 

  • 得田企画課長
    それでは、定刻となりましたので、食料・農業・農村政策審議会食料産業部会を開催いたします。
    私、本日、司会進行役を務めさせていただきます食料産業局企画課長の得田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
    委員の皆様におかれましては、お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
    議事次第の順でいきますと挨拶ということになっておりますが、塩川局長の到着が少し遅れておりますので、挨拶につきましては到着次第させていただければというふうに思っております。
    引き続きまして、議事に入ります前に、本日の委員の皆様の出席状況について御報告申し上げます。
    網野委員、大橋委員、高岡委員、村井委員におかれましては、日程の調整がつかず御欠席という御連絡をいただいております。また、栗田委員におかれましては、現在遅れておられます。
    以上をもちまして、本日の部会、20名中、現時点で15名の委員及び臨時委員の御出席をいただいており、全体の3分の1以上となっておりますので、食料・農業・農村政策審議会令第8条第1項及び第3項の規定により成立しておりますことを、まず御報告申し上げます。
    農林水産省側の出席者は、お手元の座席表のとおりでございます。
    また、本部会につきましては、審議会議事規則第3条第2項の規定によりまして公開することとなっております。
    また、本部会における皆様の御発言につきましては、審議会議事規則第4条の規定によりまして議事録として取りまとめ、皆様に御確認をいただいた上で公開いたしますので、よろしくお願い申し上げます。
    それから、前回に引き続きまして、今回もペーパーレスでの審議会で開催をさせていただきます。
    それでは、冒頭、マスコミの方、いらっしゃいましたら、カメラ撮りはここまでということでよろしくお願い申し上げます。
    それでは、これから伊藤部会長に司会をお願い申し上げます。
  • 伊藤部会長
    それでは、これより私のほうで議事を進行させていただきます。
    まず、本日の議事の進め方を御説明いたします。
    本日は、審議事項が1点と報告事項が3点ございます。審議事項は「食品循環資源の再生利用等の促進に関する基本方針の策定等について」です。また、報告事項は、「農山漁村再生可能エネルギー法の基本方針の変更について」、「食品産業戦略会議での検討状況について」、「新たな外国人材受入れ制度について」の3点でございます。
    本日の部会は、15時までの2時間で議事の終了を予定しておりますので、円滑な進行に御協力をお願いいたします。
    では、初めに「食品循環資源の再生利用等の促進に関する基本方針の策定等について」です。
    本件は、昨年9月に開催した本部会で農林水産大臣からの諮問を受け、本部会でも議論し、その後、審議を付託した食品リサイクル小委員会で審議が進められました。今般、小委員会において、食品循環資源の再生利用等の促進に関する基本方針の案と、食品循環資源の再生利用等の促進に関する食品関連事業者の判断の基準となるべき事項を定める省令の改正案がまとまりましたので、事務局及び食品リサイクル小委員会の渡辺座長から御報告をお願いいたします。
    それでは、まずは事務局から説明をお願いいたします。
  • 片貝バイオマス循環資源課長
    バイオマス循環資源課長の片貝でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
    それでは、食品リサイクル法の基本方針改正案等について御説明させていただきます。
    お手元の資料1-3をご覧ください。
    この部会で今回お諮りいたしますのは、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律、いわゆる食品リサイクル法第3条に基づいて定める食品循環資源の再生利用等の促進に関する基本方針と、食品リサイクル法第7条に基づいて定める食品循環資源の再生利用等の促進に関する食品関連事業者の判断の基準となるべき事項を定める省令、いわゆる判断基準省令でございます。
    変更概要は、それぞれ4ページと5ページに記載しており、後ほど渡辺座長より御説明をいただきたいと思っております。本文は資料1-1、資料1-2にあるものでございます。
    これらにつきましては、当該条項において食料・農業・農村審議会及び中央環境審議会の意見を聞かなければならないとされておりまして、昨年9月に本部会に農林水産大臣より諮問を行い、その後、本部会より付託を受けた食品リサイクル小委員会及び中央環境審議会の循環型社会部会食品リサイクル専門委員会の合同会議で、計6回の検討を重ねてまいりました。その経過は資料末尾の13ページにお示ししてございます。
    基本方針については、政令で5年ごとに定めることとなっておりまして、前回の基本方針の制定は平成27年、2015年7月でございましたけれども、9ページにございますとおり、その直後の9月に国連で採択された持続可能な開発のための2030年アジェンダ、いわゆるSDGsのターゲットの一つとして、2030年までに世界全体1人当たりの食料の廃棄を半減させるという目標が掲げられました。これを受けて、昨年6月に閣議決定された第4次循環型社会形成推進基本計画では、家庭系の食品ロスを2000年度比で2030年までに半減するという目標を設定するとともに、事業系の食品ロスにつきましては、その削減目標を食品リサイクル法の基本方針において設定する旨が記載されたということでありまして、1年前倒しの形で、この基本方針の見直しを行ってきたものでございます。
    小委員会の議論の結果につきましては、この後、渡辺座長より御報告がございますが、その前に私のほうからは、この基本方針の前提となる考え方について御説明をさせていただきたいと思います。
    8ページをご覧いただければと思います。
    この法律の対象となる食品廃棄物につきましては、この図では食品製造業、小売業、外食の各事業者から排出される可食部、すなわち食べられるにもかかわらず廃棄される食品、それから不可食部、すなわち食品の製造、加工、調理の過程で生じた食用に供することができないものの全体を指してございます。基本方針では、この食品廃棄物の発生抑制に優先的に取り組んだ上で、資源の再生利用を行い、これが困難な場合には熱回収をし、やむを得ず廃棄を行う場合は減量するという考えのもとで、まず抑制目標について詳細な業種別に定めております。
    一方、今回基本方針で新たに定める事業系の食品ロス削減目標は、ここにあります食品製造業、小売業、外食の可食部を対象に、全体としてどう発生抑制を図るかというものでございます。さらに再生利用等についても目標を設定してございまして、これは食品製造業、小売業、外食のくくりごとに可食部、不可食部を合わせた食品廃棄物全体におけるリサイクルの目標を定めるものとなってございます。
    それでは、渡辺座長より見直し内容の御報告をお願いいたします。よろしくお願いします。
  • 渡辺食品リサイクル小委員会座長
    御紹介いただきました、食品リサイクル小委員会座長の渡辺でございます。よろしくお願いいたします。
    座らせていただきます。
    本日は、食品リサイクル小委員会で取りまとめた食品循環資源の再生利用等の促進に関する基本方針及び食品関連事業者の判断の基準となるべき事項を定める省令の改正案について御説明いたします。
    資料は、今ほどと同じ資料1-3をご覧ください。使って説明をさせていただきます。
    まず2ページをご覧ください。
    2ページには現状と課題についてまとめてあります。発生抑制の現状、再生利用の現状を簡単にまとめてあります。
    続きまして、3ページをご覧ください。
    この現状を踏まえた対応の方向について、ここではまとめて方向性について記載をしております。合同会合の議論におきましては、2014年に定めた業種ごとの発生抑制目標値について、2016年時点で9割の事業者が目標値を達成しているということを確認いたしました。そのため、発生抑制がより進むように、目標値の見直しを行う必要があるという前提で議論を進めてまいりました。
    続きまして、6ページをご覧ください。
    今回、以前定めた業種ごとの目標値、発生抑制の目標値についての見直し、点検を行うということですけれども、今回初めての点検に当たることになりますので、前提条件につきましては、最初の設定時と同じ条件で検討をいたしました。その結果、2019年度以降の発生抑制目標値については、発生抑制が進んでいる19業種、全体の中でブルーの網がかかっているものが19業種に当たりますけれども、19業種について見直しを行うことといたしました。それから、2014年時点では設定されていなかった44業種のうち3業種につきまして、新たな目標を設定するということをいたしました。
    続きまして、7ページをご覧ください。
    冒頭に申し上げました、先ほど紹介がありましたSDGsの目標を踏まえて、事業系食品ロス削減に関する目標について、国連の2030アジェンダに位置づけられている半減の目標値や、第4次循環型社会形成推進基本計画において家庭系の2000年度比半減目標が設定されたことを踏まえて、事業系におきましても同様に、2000年度比で2030年までに半減の目標を掲げるということとして原案としてまとめさせていただきました。
    達成に向けて、この目標の実現というのは、さまざまな検討をしたところ、実現に当たっては非常に多方面の努力が必要な目標値、目標設定でありまして、これまでの延長ではなくて異業種との協働による取組、あるいは消費者も一体となった取組といった、社会全体で食品ロスを半減していく、削減していくという社会的な機運を醸成し、我々自身の行動を変革していくというような、多方面のステークホルダーとの連携を大前提としているものであります。社会全体が食を大切にするという考え方に基づいて、食品の製造から消費に至る、サプライチェーンから消費に至るまでの流れ、一連の食品供給の工程におきまして、それぞれにおいて食品ロス発生の可能性を相互に押しつけ合うのではなくて、協力して削減していくというサプライチェーン全体としての目標として考えるという考え方に立っております。
    続きまして、11ページをご覧ください。
    こちら、再生利用実施率にかかわるものですけれども、再生利用実施率、国全体として取組がこの間進められてきましたけれども、外食産業につきまして、やや取組が不十分な状況にありました。2016年~2017年にかけて数値が上がっていることもあるんですけれども、まだまだ低い状況にあります。これは、外食産業においては食べ残しなど再生利用に不向きなものが多く発生するということと、再生利用事業者が近隣に存在しないといったような問題もあります。そういったことから、市町村と再生利用事業者の処理価格の差、市町村の廃棄物処理計画における位置づけ不足など、食品関連事業者が再生利用を行おうと思っても、十分にその環境が整っていないという問題も指摘されております。
    そのことから、全体としての方向として、4ページの3に「食品循環資源の再生利用等の促進のための措置に関する事項」という言葉が書かれておりますけれども、ここに、市町村において廃棄物処理計画への位置づけを促進すること、事業系一般廃棄物の処理に当たり、原価相当の料金を徴収することが望ましいこと、廃棄物処理にかかわるコストを透明化していくことといったことをより明確に記述するという方向を打ち出しております。
    また11ページにお戻りください。
    再生利用等の実施率に関する目標については、2020年度から2024年度までに業種ごとの目標として、食品製造業は95%と、既に一定以上の取組が進められていることから、また外食産業においては2016年度の実施率が23%と、2019年度までに50%という目標と乖離していることから、目標としては現行の目標を据え置くということにしております。食品卸売業、食品小売業につきましては、現行目標から5%向上させ、それぞれ75%、60%に向上させるという目標設定としております。
    関連して、2016年1月に、食品関連事業者等から処分委託を受けていた食品廃棄物が、愛知県の産業廃棄物処理業者代行により不適正に転売され、消費者に食品として販売をされるという事案がありました。この本事案を受け取りまとめた再発防止策につきましては、引き続き適正な処理にかかわる排出事業者責任を徹底していく必要があるということも確認をしております。
    また戻りまして、5ページをご覧ください。
    判断基準省令の改定概要ですが、発生抑制にかかわる事項がこれまで限定的な表現であったということもありますので、ここをより書き込むことにいたしました。食品関連事業者の創意工夫により、さまざまな工夫で発生抑制の取組を進められるようにということで、仕入れ及び販売以外の工夫をする、フードバンクへの提供なども含めてさまざまな工夫をする、メニュー以外でも工夫をするといったようなことを明記しております。
    それから、政令については、新たな再生利用の手法として、いわゆる菌床化、きのこ類の栽培のために使用される形状の培地を追加しまして、再生利用のより一層の促進に努めるほか、定期報告省令については、食品関連事業者から求める報告の単位を、より詳細な実態把握をするという観点から、都道府県から市町村ごとに改めるということにいたしました。これもフィージビリティーをさまざまな事業者の方に確認をして、市町村で努力をしていただく部分もありますけれども、市町村でいけるということですので、市町村といたしました。
    さらに、ESG投資が活発になり、環境対策等の非財務情報が求められている状況にある中で、情報開示が行えないというケースにつきましては、その理由について記載をしていただくというようなことにもいたしました。これにより、食品関連事業者による積極的な情報開示を促進していくという方向を打ち出しております。
    私からの報告は以上です。
  • 伊藤部会長
    どうもありがとうございました。
    それでは、ただいまの説明に基づきまして審議に入りたいと思います。どなたからでも結構ですので、挙手をお願いいたします。それでは、栗田委員。
  • 栗田委員
    弊社は食品製造業に当たるのですが、食品廃棄を減らすときに、消費者とのかかわりでもう少し何らかの対策が必要です。我々がお客様からいただくクレームの中には、やはりこれはどうなのかと思うクレームがあります。
    本来食べられるものだけれども、いろんなところでこれは違うのではないかということを御指摘いただくと、我々製造メーカーはロットで廃棄をする、または返品をするという対処しかないので、それを結局捨ててしまうという形になってしまいます。
    私の個人的な考えかもしれないのですが、消費者庁ができてから、お客様から大変細部にわたっていろんなお話しをいただけるようになっています。ありがたいのですが、それを食べられない商品として御意見いただくのではなく、「こういうところに注意してください」、「今後気をつけてください」という程度に終われば、廃棄されるということはなくなっていくのかなと思います。それが、今、すごく日本の消費者の方が敏感になり過ぎているために、ほかの国では多分捨てられていないものが廃棄されてしまって、最終的に処分になってしまうという傾向が年々強くなっているように感じています。これの対応は、先ほども消費者とのかかわりというお話があったのですが、世界ではどうなのか。日本ではどうなのかというところの検討が、一回消費者の方との話し合いがそろそろ必要な時期に来ているように思っています。
    以上です。
  • 片貝バイオマス循環資源課長
    ありがとうございます。消費者との対応ということでございます。
    これにつきましては、基本方針の中でも、消費者の意識、行動というのが重要である。特に食品ロス削減のためには、過度な品揃えを求めないことや、先ほどのような賞味期限も含めてですけれども、過度な対応を求めないというような消費者の意識変革が必要であるということを、今回この中で盛り込んでございますので、こういうことを踏まえて、消費者との対話という形の機会をさらに積極的に設けていきたいと思ってございます。
    そういう意味では、食べ切りや、それから賞味期限について、まだ棚の賞味期限の新しいものからどんどん買っていくというような消費者の習慣も、これも見直していただくような形の啓発活動のポスターも昨年も作っておりますので、引き続きこういうことについての取組をさせていただきたいと思ってございます。
    当然ながら、そういう意味で、小売業者の方や製造業者の方におきましても、消費者の皆さんとの対話というのも必要な機会だと思いますので、我々としても、そういう機会を積極的に作ってまいりたいと考えてございます。
  • 伊藤部会長
    よろしいですか。
  • 栗田委員
    基本的に我々から見ると上流なので、仰っていることはよく分かるのですが、今のやり方だけだと、私たちは年々厳しくなる中で生きているなという感じがして、何か別の方法を考えていただかないとと思います。仰っていることはよく理解できるのですが、上流からのいろんな意見はどんどん強くなる一方で、捨てるものがどんどん増えていく、見た目の悪いもの、ちょっと変形しているものという形での御依頼がある中で、何か別のことが必要、先ほどの話も伺いましたが、今までと変わらない。ただ年々お客様が厳しくなる。特に今、高齢化になった中で、いろんな知識を持っている方が情報をいっぱい仕入れられて、さらに厳しい御意見をいただいているというような理解をしていまして、これについて何か別の手段の、今までにない、違う取組を一つしていかないと、廃棄はどんどん増えていくと感じています。その辺について、ぜひもう一つ御検討を深くしていただければと思います。
  • 片貝バイオマス循環資源課長
    今までにないということでございますので、どういうアイデアがあるのかというのは、むしろ皆さんにいろいろなお知恵を拝借してということだと思っています。
    ただ、やはり消費者のほうも、そうやって要求水準が上がって廃棄が増えれば、その分、製造のほうに負担をおかけするわけですので、それはコストという形で最終的には消費者のほうの負担にもはね返ってこざるを得ないというところにもなるということを消費者に理解していただくために、どういうやり方がいいのかというのは、今ドラスチックな案が我々はあるわけではありませんが、そこはまたいろいろな形で、皆さんのお知恵を踏まえて、新しいやり方をさらに考えていきたいと思っております。ありがとうございます。
  • 伊藤部会長
    それでは、安部委員。
  • 安部委員
    外食の立場で、フードサービス業界のJF(一般社団法人フードサービス協会)でも、この問題、ちょうど半年近く前に僕はそういう指摘をしたと思うんですけれども、11ページに、先ほどちょうど御紹介がありました統計数字に疑問を呈したい。このときにも議論したんですけれども、それまでは年率1~2ポイントしか変化しないものが、1年で9ポイントも急に上がった。上昇率でいえば40%という異常な数字の開きになった。これはサンプリングの仕方が対象が一定じゃないのではないか。年次ごとに経時変化を見る場合は、少なくともサンプリングの対象を、一定におかないと傾向は掴めない。会社も同じところで定点観測を続けないと、どういうふうに推移しているかというのが非常に不明になります。
    前提が確かでないと原因の分析も観念的想定になってしまっています。今、個人営業店を調査する、あるいは資料を出させるというのは非常に困難なので、やっぱりJFの加盟企業の中から業態別のいくつかの代表的なものをモデルにして、それをずっと継続して定点観測する流れということを共有したい。情報の所有を共有したいということと、その上で対策を講じていかなければいけない。対策の前に、その原因をちゃんと突きとめないといけないという活動になると思うんです。
    まず、これも仮説で申し上げますと、廃棄物の処理コストは以前に比べてはるかに高くなっていますから、各社、これを抑制するということは利益に直結するから、すごい関心事になっているということが一つあります。それから、ポーションがどこも小さくなっています。だから、ほかにも要素がありますけれども、普通に考えると、大体廃棄物の発生は自然に減っているはずという仮説を僕は持っています。
    というところで、そうはいったって、これは抑制していかなければいけないということは社会的な共通の問題意識ですから、そのことに向かっていくということも共同でやっていきたいというふうに思いますが、今申し上げましたサーベイの仕方というのと、それから、それに基づく原因の分析と、その対策ということを、現実的に地に足の着いたもので進めていきたいというふうなことが、ここの11ページの感想ですね。
  • 伊藤部会長
    ありがとうございます。それでは、今の件について。
  • 片貝バイオマス循環資源課長
    ありがとうございます。
    サーベイの件ですけれども、これの基礎になる数字でございます。基本的に、この法律に基づきまして、100トン以上の食品廃棄物等多量発生事業者に関しては報告義務を課してございます。そういう意味で、報告義務を課している者からの報告、それから、その他につきましては100トン未満になりますけれども、定期的に、これは統計の調査に基づいて行ってございます。
    しかしながら、統計のほうも、先ほどぶれがあるのではないかというお話がございましたけれども、統計の手法で、基本的には同じような形でやっていると我々としては認識をしてございます。
    ただ、ほかの製造、小売、卸等と外食の違いということで言いますと、100トン以上の発生事業者の割合が圧倒的に少ないということがございます。外食に関して言うと、報告義務がかかっている者が3割程度ということであります。ほかで言いますと、製造は逆に8割以上に報告義務がかかっており、そこの規模にかなり違いがある中で、やはり取組にもかなり差が出てきているのかなと思ってございます。
    先ほど処理コストのお話もございましたけれども、小規模な外食業者におきましては、なかなか近くにリサイクル業者等がいない中で、それを何とかしてリサイクルにあえて回そうとすると、それだけコストがかかってしまうという現状があるということは、今課題として認識してございます。そういう意味で、先ほどの中でもありましたけれども、今、事業系一般廃棄物の処理は市町村においてもきちんとリサイクルに振り向けていただくとともに、適正な料金体制を作っていただいて、周りのリサイクル業者と公正な競争ができて、公正なリサイクル環境ができるということが、この小規模な外食業者にとってもリサイクルが進みやすい環境整備になると思っておりますので、ここは環境省とも協力して、しっかり進めたいと思っております。
    近くでリサイクルがしやすいということであれば、いろいろ処理の機械というのも増やすことが必要でございます。私どもが、今考えてございますのは、下水処理施設でバイオガス発電をしようという施設がいくつかできております。できればここを下水の汚泥だけではなくて、ガス発生効率の高い食品残渣も活用することで、その施設の発電効率も上がるため、この活用も必要だと思っております。これは今現在、国土交通省のほうと私ども、今、連携をして調査、それから実現に向けての実証というのをやるべく今進めているところでございます。
    以上でございます。
  • 伊藤部会長
    髙島委員。
  • 髙島委員
    ありがとうございます。
    3つほど申し上げたいんですが、1つ目は、今議論になっている指標のことなんですけれども、僕もこの11ページの指標が危険というか、本当の目標というのは10ページのほうなんですよね。この捨てる量を半減させたいというのが大事で、捨てなければいけないかもしれなくなったときに捨てなくて済んだ率みたいなものを11ページでとっているのかなというふうに理解したんですけれども、そもそも捨てなくていいぐらいしか買わないという、余計に買わないということも大事だと思いますし、余計に買わないことをすごく頑張るとあまり余らないので、あまり余らないものを再利用するのってすごく難しいと思うんですよね。何かここだけ見て外食がいまいちみたいなことになると、もしかしたら外食は余計な量を買っていないから使いにくいのかもしれないとか、本来的には業種別に仕入れたうちどのぐらい捨てたのかというのが大事なんじゃないのかなというふうに思っています。なので、その全体として廃棄を減らすためには、そもそも余計に買い過ぎないということと、それから、買い過ぎてしまって廃棄しなければいけなくなりそうなときに、どれぐらい再利用に回したかという、両方の指標を見ていかないと、ちょっと全体感がミスリーディングになるんじゃないかなというのが感じたところです。間違えていたらご指摘ください。
    それから2点目は、先ほどの栗田委員のことに関係あるんですが、先ほどおっしゃられたように、抜本的にということで、何から着手するかということで考えると、一つやりやすいのは賞味期限かなというふうに思うんです。お客様は、賞味期限が1日延びること、あるいは短くしか残っていないことに対して非常にストレスを持つ割に、賞味期限の決められ方というのはかなりアバウトに決められていて、本来もっともつものであっても短めに賞味期限を決めるような、メーカーさん側の賞味期限を決める側の善意というか、余裕を持って短く設定することが起き、かつ、余裕を持って短すぎたものが1日でも超えると大問題になっちゃうみたいなことがあるのかなと思います。この賞味期限の決め方について、短く決められないように、あるいは場合によっては、もう賞味期限を決めなくてもいいぐらい長くもつみたいなものは、一応決めないといけないよねというのもあると思うんですが、賞味期限の決め方のガイドラインをしっかりと作ることによって、本来捨てるべきじゃないものまで捨てなくていいし、それに対して消費者の方がヒステリックにならないようにしていくというのもあると思います。
    あとは、3分の1ルールと言われるような業界の慣習も、それにセットで生まれてきているものだと思いますが、そういうものも見直していくということあたりが着手しやすいんじゃないのかなというふうに思いました。
    3点目は、これ、本当にやるんだったらチャージするのが一番いいんじゃないかなと思っていて、生ごみ有料化というか、生ごみを捨てるのにすごくお金がかかるとか、あるいは食品廃棄税みたいなものがかかるとか、そういうふうにしていくことでトラッキングもできやすくなるし、本当にそうせざるを得なくなったらそういうことも考えたほうがいいのかなというふうに思います。
    やっぱり生産者としては、捨てられる分まで作っているということはむなしいんですけれども、じゃ、作らなくて済んだときに、値段が上がらないと単に収入が減るという懸念があるので、どうしても多目に作ろうという力が生産者側には働きがちなので、廃棄を減らすということを社会的にやることにあわせて、使う量はしっかりとした価格で流通できるような環境を作っていくということも重要だというふうに思います。
    以上です。
  • 伊藤部会長
    それではお願いします。
  • 片貝バイオマス循環資源課長
    ありがとうございます。
    まず再生利用よりは減らすというところでございます。これにつきましては、先ほど最初に言及しましたように、まず、この法律につきましては、当然リサイクル法ということなので、リサイクルを進めることが目的ですけれども、その前にできるだけ最大限発生抑制を図ることが、この法律の前提として位置づけられています。そういう意味で、今回も、まず各業種別に抑制目標を置き、その上で再生目標もあわせて作っているという立てつけになってございます。抑制目標はかなり業種を細かく分けて設定をしてございますので、そこでまずそれぞれの実態に応じて徹底をしていただくという格好になろうかと思ってございます。
    それから、賞味期限のお話でございます。これは確かにロスの原因としては非常に大きゅうございます。ここの課題としては、一つは、今、年月日になっている期限を年月表示にするというだけでも、在庫管理などからいってもかなり、日ごとにロスが発生することが防げるというようなものがございます。現在、消費者庁の制度として、3カ月を超える食品については年月表示ができることになっておりますので、できるだけこういうものについては年月表示を取り入れていただこうということでございます。
    私ども、今度、これに関しまして、実際に年月表示化を進めているところの事例を企業から発表してもらうセミナーを計画しておりまして、非常にこれは参加の要望がたくさん出てきてございます。飲料業界は、自主ガイドライン等も公表しておるところでございますので、こういうセミナーを通じてさまざまな機会を捉えて、より柔軟な形で賞味期限を運用できるような形で推進をしてまいりたいと思っております。
    それから、そもそも期限を延ばすという工夫も各企業で行われております。これは包装等の機能の向上によってできる部分がかなりできておりますので、各業界にも、そういうところの促しというのもやっていきたいと思ってございます。
    それから、有料化の話でございます。これは、先ほど適正な料金を市町村にも取ってもらうというところを、この基本方針にも入れました。やはりそこはコストに見合う適正な料金を取ってもらうことが進むことによって、このリサイクルも進んでいくと思っておりますので、ここは環境省とも協力をして、自治体を巻き込んで、この推進を進めたいと思ってございます。
    以上です。
  • 伊藤部会長
    それでは、お2人。どうぞ、加藤委員。
  • 加藤委員
    ありがとうございます。1つ質問と、1つ意見を述べさせていただきたいと思います。
    1つは、7ページ目のロスのところなんですけれども、この行き先についても、これは肥料に何トン行くとか、そういうロス分の廃棄のリサイクルの行き先の分配みたいなものって捕捉しているのかどうかというところと、肥料に行く場合に、我々も農業現場でよく肥料を、食品会社さんの残渣を肥料化、堆肥化したものを使わせていただいたりして、いい、悪いなんていう評価を現場でするんですけれども、使ってみなければわからないことが結構多くて、もう少し食品会社さんの処理のところに、堆肥化のところにもう少し技術体系化みたいなもので、もう少し指導が入ると、農業現場も、そういう有機の堆肥の地域で消費された食品残渣から生まれた堆肥を地域でまた使うみたいなことがやりやすいかなと思っていまして、なので質問は1つです。ロスの先ですね。行き先まで捕捉しているのかどうかが質問です。
    もう一つは、消費者さんのクレームが細か過ぎとか、うるさ過ぎというのは、生ものを売っていても同じでして、やっぱりドイツもそうですけれども、環境教育というか、子供たちから啓蒙しないと根本的な解決ってないんじゃないかなと思っています。ちょっと時間がかかるんですけれども、子供たちにきちんとした環境教育を、文科省さんと連携しながら施さないと、そもそも食べ物への関心が薄れていたりとか、それがいろんな生きる意欲の低下にもつながっていたりとか、いろいろ食って、国力にも、一人一人の生きる力にもかかわる、すごく重要な機能も持っているものなので、その点を加味すると、やっぱり小中学生、特に小学生ぐらいから環境とか食の教育はしっかりやっていかないと、根本的には解決しないんじゃないかなというふうに思っています。
    以上です。
  • 伊藤部会長
    それでは、波多江委員。
  • 波多江委員
    2点お話をさせていただきたいと思います。1点は、基本的な部分です。今回の食品リサイクル法の基本方針なり、あるいは目標値の設定については異論はございません。ただ考え方という点で、今回の食品リサイクル法そのものは、もともと本柱の食料・農業・農村基本計画の、枝葉の一つだと私は思います。
    そのような観点で考えますと、本柱である食料・農業・農村基本計画の中にある食料の自給率という部分とこの食品ロスを減らして自給率を高めていくこととは、密接に関係しています。最たるものについては我が国の畜産部門であり、その飼料は、ほとんどが海外からの輸入飼料に頼っています。そのことが自給率を引き下げている大きな要因になっています。そのように考えますと、
    今後、本格的に議論されていくと思いますが、食料・農業・農村基本計画策定の中で、食料自給率と絡めた食品リサイクルの目標値等をどのように考えていくのか。そのような関連づけが必要であり、重要と考えます。この点は意見としてお聞きいただければと思います。
    2点目は、先ほど加藤委員から発言がありましたように、私も早い機会から教育の現場の中に、先ほど述べさせて頂きました食料自給率の問題も絡めて、日本の食料生産や供給・消費の実態がどのようにあるのか、どのような課題を抱えているのか、早い機会から教育現場の中で我が国の教育の一環として捉えていく必要があると思います。なおかつそのことによって食料を自給していく、食料生産の大切さ、食育の必要性、食品リサイクルの考え方、そういったものを鑑みながら教育現場の中で反映されていけば、さらに国民的な運動として盛り上がっていくのではないかと思います。
    以上です。
  • 伊藤部会長
    ありがとうございます。それではお願いします。
  • 片貝バイオマス循環資源課長
    まず、加藤委員のお話でございます。
    今、廃棄物がどのような形でどれくらい仕向けされているのか。これは、前回の説明の資料である参考資料の1-2の9ページをお開きいただければと思いますが、食品廃棄物がどれぐらい再生利用に仕向けられているかという分類を整理してございます。再生利用の中では多くが飼料に向けられている。その次、肥料、それからメタン等の燃料系に仕向けられているというような格好でございます。大半は飼料に行っているという数字になってございます。
    それで、あと肥料の規格ということでは、特に食品残渣に関しましては、入れるものによって大分成分が異なり品質が安定しないという話は以前からよく言われるところでございます。そういう意味では、今やっているリサイクル業者等は、できるだけいろいろなところから集めて品質を一定させる等の努力もされているところがございます。私どももそういう形の取組をしっかり支援したり、アドバイスしたりというのは引き続きやっていきたいと思ってございます。
    次に、教育の件でございます。これは、この小委員会の議論でも強く言われたところでございまして、今回、この基本方針の本文、1-1の一番最後のページをご覧いただければと思いますが、ここで「環境教育・環境学習や食育の推進」を今回新しく盛り込ませていただくことになりました。これを通じて、また文科省等とどういう具体的な取組ができるのか。小委員会では、いろいろ教育読本のようなものをつくってやったらいいのではないか、そのような話もございましたので、いろいろな取組をまた考えてまいりたいと思っております。
    また、波多江委員からの自給率との関係でございます。なかなか出てくるロスが国内由来と外国由来の比率というのはわからないものですから、直接的なリンクはできないわけですが、ただ、我が国、多くを輸入に頼っている中でロスが発生しているというのが事実でございますので、そもそも食品ロス削減に取り組むという国民全体の意識を高める前提としては、この問題はしっかり訴えていく必要があろうかと思ってございます。
    教育の話は先ほどと同じでございます。
    以上でございます。
  • 伊藤部会長
    それでは、森山委員。
  • 森山委員
    先ほど委員からも有料化するのがいいという話が出たんですけれども、この4ページのところにございます「市町村による事業系一般廃棄物処理に係る原価相当の料金徴収の推進」と書いてあるんですけれども、一般ごみは市町村が集めていますよね。これは恐らく外食の小さなところの、それが市町村。先ほどお話があったとおりリサイクル業者がいないということも含めて、大きなところはそこに出さなければいけませんけれども、そうでないところが市町村のそういうごみとして出している。それを把握して、コスト相当分を徴収するんだと。そうすることによってリサイクル業者にはお金を払わなければいけませんから、それを抑制するんだとかという意味だと思うんですけれども、言葉としてはわかりますけれども、現実問題として、どういう徴収とか、どういうふうにやろうということを考えて、この項目を入れられたのかがちょっとイメージが私はわかないので、それを教えていただきたいというのが私の質問です。
    以上です。
  • 伊藤部会長
    それでは、宮島委員。
  • 宮島委員
    ありがとうございます。
    消費者の意識がやっぱりすごく大事だということと、それにつながる教育が大事だということは、もう本当にそうだと思います。そして、メディアにいる私としては、国民がみんなそういうふうに思うことがすごく難しいということも日々感じています。
    例えば、12ページに、25年に決定されたロゴマークがあるんですけれども、私、恥ずかしながら、メディアにおりましたが、このロゴマークをずっと知りませんでした。私は経済を広く見ているので、かなりいろいろな政策をちょっとずつ触っているんですけれども、いろんな施策が国民運動を盛り上げようとしています。いろんな施策が学校教育にそれを入れようと言います。そうすると、学校側から見ると、学校側は知財教育もやらなくちゃいけない。少なくとも今、英語とプログラミング教育という大命題があるわけですが、そのほかにもいろんな世界が、「いや、知財教育ももっとやってみましょう」、「東証の金融教育もやったほうがいいでしょう」、思い当たるだけでもいくつもの教育を小学校や中学校でやってほしいというふうに思うわけですね。そして、みんながやっぱり副読本とかを考えるわけです。でも、高校生、大学生を持っている私は、そういった副読本や、そういった教育指導要綱に書かれたものが学校でどのように扱われているかということも知っています。だから、本気で取り組まないと本気では入らないし、本気でやったとしても、じゃ、やっぱり学校の授業で40人いて、何人がそれを本気で聞いているかということになると、そこはやっぱりおぼつかないということを考えると、こちらの参考にある普及啓発、ホームページに載せる、取組事例の紹介、学校における環境教育、全国大会、どれもすごく必要で大事だと思うんですが、これが十分ではないというふうに思っていて、それでもまだ食育というのは、一般の人が関心があるだけ相当ほかよりはリードしているとは思いますので、ここでもう一歩、やっぱり工夫がいるのかなと思います。
    今回の策に入れてほしいというわけではないんですけれども、やっぱりせっかくSDGsの流れがあるので、お店なんかで、外食産業なんかで、うちのお店はSDGsにすごく気を使っていますと、だから仕入れも頑張っているし、例えばメニューだって、そんな大量なメニューじゃなくて、皆さんのとりやすい、無駄な食べ残しが少ないような、こんな工夫をしていますとか、そういったものをお店が伝えて、このお店はそこに意識があるからいいなという流れをつくるというのも一つではないかと思います。
    あともう一つは、そういうものを作っても、今度は意識の高い人はそっちに行くんですけれども、そっちについて行かない人たちということが当然出てきます。さっきの賞味期限との関係なんですけれども、賞味期限って、すごくシビアに見ている人は見ているんですけれども、どうでもいい人は割とどうでもいいんですよね。うちも正直、家にある賞味期限切れのものはしょっちゅう普通に食べていて、全く問題がないわけです。そういう人たちにアピールするためには、本当はもっと賞味期限切れのものを買ってもいいのに、目に触れているのは、どうしても百貨店のお歳暮とか、もともと高いものを半額にするのとか、あとはスーパーの午後7時とかぐらいに安くなるものとか、そういうものではカバーできるんですけれども、もしかしたら捨てられているものからすると、もうちょっと、あまり気にならない人たちがフォローできる部分があるのではないかと思います。
    そうすると、そこを阻んでいるのが、まさに賞味期限の決め方なのか、お店が、パーティーなんかは特にそうですけれども、食中毒を気にするホテルの配慮とか、多分様々なものがあると思うんですけれども、そういった業者を縛っているものを何らかの形で少し緩めるステージをつくって、大して気にならない人は大して問題なく食べられる世界というのを、もうちょっと広げると、そこに対しては意識が高くなくても飛びついていく人がいるのではないかと想像します。ですから、トータルとしては、なかなか掲げた目標というか、掲げた方策だけでは本当にしんどくって、入っていくのは相当難しいと思うので、様々な工夫が必要かなと思います。
    以上です。
  • 伊藤部会長
    ありがとうございます。それでは、中嶋委員。
  • 中嶋委員
    ありがとうございます。
    資料1-3の5枚目のスライドでちょっと質問させていただきたいんですが、定期報告省令(案)に報告様式等の改正というのがございます。それで、この再生利用等の状況の非財務情報の開示を促進するために様式を変更、公表項目の追加というのがあるんですけれども、基本、この報告書というのは、行政に対して報告するものですが、それを使って公表してくださいということをこっちに書かれているのかどうか。ちょっと知識がないものですから確認したいということと、それについては、ある程度標準化されているようなものなのか。例えば環境報告書とかIR報告書とか、そういったものに使えるものなのかということを聞きたいと思いました。
    先ほども消費者の方にいろいろ知っていただくというお話がありましたけれども、こういう情報をきちんと理解すれば、消費者が選ぶという行為につながりますし、それから、IR情報として投資家にもアピールしていくんではないかと思います。ESG投資などいろいろ議論されていると思いますので、こういったものがどの程度使われているのかということをお聞きしたいと思って質問させていただきました。ありがとうございます。
  • 伊藤部会長
    それでは、お願いいたします。
  • 片貝バイオマス循環資源課長
    まず、一般廃棄物処理の原価相当の料金徴収ができるのかどうかという話でございます。
    これは市町村の自治事務なので、最終的には市町村の判断というところもあるんですけれども、現状、本来であれば、事業系の廃棄物は事業者が処理をする責任があるという前提でございます。そういう中で、市町村の財政負担で、事業系も含めて廃棄物が処理されているという現状がございます。
    市町村におけるごみ処理経費が大体全国で2兆円ぐらいになります。1人当たりに計算しますと、年間1万5,000円ぐらいの国民の負担になってございますので、ここに関しましては、市町村にとっても必要なコストに対する料金徴収というのは必要なことであろうということでありまして、これは環境省でも、そのきっかけという意味では、自治体の廃棄物処理計画にきちんと書いていただく等の取組の推進、あるいは施設整備等の支援をして、その方向を進めていきたいという考えだということでございます。
    十分なお答えになっていないかもしれませんけれども、以上でございます。
    それから、宮島委員のお話でございます。実際に教育現場に冊子を送ったら終わりということではなくて、消費者と一緒の実際の活動をどういう形で進めているのかという中で有効な方法を考えていきたいということでございます。
    それから、お店の取組としては、今、食べ残しを引き取るようなアプリもだんだん進んでまいりまして、そういう意味の関心の高い人には非常に好評でございます。かなりそういうものも増えてきてございます。ですので、このような取組をさらに増やすということは一方で必要でございますし、先ほど緩めるような取組ということがございました。これは、今一番課題なのは、昔は食べ残しの持ち帰りが折り詰め等でできていたのが、食中毒を懸念し事業者がためらわれるというところがございました。ドギーバッグというような食べ残しを持ち帰るものに関しては、やはりある程度自己責任で持ち帰りますというところの取組が必要でありますので、そこについてお店側も理解をしていただく。お互いに消費者、お店が理解をして持ち帰りを進めるということが必要でございますので、ここの取組については、また消費者庁等と、どういう形でさらにそういう啓発ができるのかというのをこれから考えてまいるところでございます。
    中嶋委員の御指摘の部分でございますが、公表という部分に関しましては、今までは、100トン以上の発生事業者に関しまして、排出量や排出抑制に基づいて取り組んだ取組等を報告していただいていましたけれども、これについては必ずしも、必ず全部公表するということではなく、同意を得られたところに同意が得られた範囲で公表するという形にしてございました。基本は、これからもそういうことでありますが、そこの範囲を広げる、かつ公表したくないのであれば、それがどういう理由で公表したくないのかというところをきちんと確認した上で、できるだけ企業には公表するような形を我々としても促していくということを考えているというものでございます。
    以上でございます。
  • 伊藤部会長
    最後ということで、お願いいたします。
  • 髙島委員
    質問じゃないのであれですけれども、やっぱり、多分今質問された委員のほとんどの人がもやもや感が残っていると思うんですよね。ミーティングを生産的にするほうがいいと思うんですけれども、やっぱりどうしても、基本方針を策定するには審議会の意見を聞かなくてはいけないということで、できるだけ無傷でこの策定したものを通したいと思われる方々と、それから、我々としては、ここに書いていないことで何か社会をもう少しよくできる、付加価値をこの場で出したいと思っている我々の意見がかみ合わないべくしてかみ合わないなというふうに感じていまして、やっぱり僕ら、ここにいる意味って何だろうかというのは、やっぱり法律、方針はいいんですけれども、それに本当に実行力を持たすために、決めただけじゃなくて、やらなければいけない追加のことがないだろうかとか、あるいは、これを決めただけでうまくいかなかった場合はここまで考えたほうがいいんじゃないかとか、僕らはそういう視点で言っているので、もうちょっと、せっかく時間を使うのであれば生産的な場になるようにして、この基本方針に反対しているということはないと思うんですけれども、それを通す上でさらに実行力を高めたいという議論を、何かもうちょっと生産的にできるようになったらいいなと思いました。
  • 伊藤部会長
    今の件に関して。
  • 片貝バイオマス循環資源課長
    無傷で通したいということではございませんで、もし生産的な意見という形のお答えになっていなかったとすれば、私の御説明が至らなかったのかなと思っております。これに関しましては、まさに基本方針を作った後にどのように実効性を高めるかということが大事でございますので、そういう意味では、先ほどの最初のお話でもありましたように、どういう新しい取組ができるかというのは、正直我々も悩んでいるところでございます。これに関しましては、引き続きいろいろ御意見、御指導賜れば、我々もそれを踏まえてやっていけるかなと思っております。非常に我々も悩んでやっている部分でございます。
    以上でございます。
  • 伊藤部会長
    悩んでいるということでございますけれども、一方で、小委員会をつくって、そこではかなり議論をしてきたという経過もありますので、それは御承知おきいただきたいと思います。
    それでは、たくさんの方々から御意見をいただきまして、御審議をありがとうございます。本件に関して異論はないということで理解させていただいてよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

  • 伊藤部会長
    それでは、本件について部会として了承するということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

  • 伊藤部会長
    ありがとうございます。
    本部会の議決につきましては、食料・農業・農村政策審議会令第6条第6項の規定によりまして、審議会の議決とすることとされておりますので、後ほど食料・農業・農村政策審議会として御了承いただいた内容で農林水産大臣に答申を行いたいと存じます。
    それでは、諮問事項はここまでということにさせていただきます。
    次に報告事項がありますけれども、塩川局長がいらっしゃっておりますので。
  • 塩川局長
    遅参しまして大変申しわけございませんでした。4月1日付で食料産業局長を拝命した塩川と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。
    食料産業は、言うまでもなく、我々国民生活を豊かにするために必要不可欠なものだと思っております。今、髙島委員から厳しい御意見をいただきましたけれども、私、やはり皆さんの意見を聞いて食料産業政策を進めなくちゃいけないと思っております。結論ありきで進めたいとは思っておりませんので、ぜひ忌憚のない御意見を賜り、我々も真摯にそれを受けとめて、しっかり政策に反映したいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  • 伊藤部会長
    それでは、次に報告事項に移ります。
    まず報告事項の(1)農山漁村再生可能エネルギー法の基本方針の変更についてですが、これは昨年10月の本部会でも議論し、その後、事務方で検討を進め、基本方針の変更案を取りまとめられましたので、事務局から説明をお願いいたします。
  • 片貝バイオマス循環資源課長
    引き続きまして、バイオマス循環資源課長の片貝でございます。よろしくお願いいたします。
    今度は別の話でございまして、資料2でございます。農山漁村再生可能エネルギー法の基本方針の変更ということでご説明させていただきます。
    資料2の、まず2ページ目をご覧いただければというふうに思います。
    前回も御説明いたしましたけれども、この法律は平成26年5月に施行されまして、5年が経過しようとしてございます。法律の附則に、5年以内にこの法律の施行状況について検討を加え、必要な措置を講ずる旨の規定がございますので、見直しを行ってまいったという次第でございます。
    この間、取組地区、順調に伸びてきてございまして、市町村のアンケート、関係者からの聞き取りでは、法律の枠組みそのものについては意見は特にございませんで、むしろ、この法律に基づいて地元の合意形成のもとで再生可能エネルギーの活用を図る取組を広く進めてもらいたいという意見が多く聞かれたところでございます。
    そこで、今回の見直しに当たりましては、この法の枠組み─法の枠組みといいますのは、この法律のもとで市町村を中心に協議会を作って、そこでこの導入に当たっての基本計画、それから整備計画を立てた場合、必要な法の手続がワンストップで行えるというものでございますけれども、この枠組みそのものは維持しつつ、基本方針を現下の情勢を踏まえて見直して、再生可能エネルギーの地産地消という点にスポットを当てて、農山漁村の更なる活性化に資するものとしたいというふうに考えてございます。
    具体的には5つの大きな課題に沿って事項を整理をしているところでございます。ここは一覧でございますが、次のページから項目ごとにまとめてございますので、次から順次説明したいと思います。
    3ページをご覧いただければと思います。環境問題やSDGs及び災害への対応についてでございます。
    近年、地球レベルの課題として、国連における持続可能な開発目標、SDGsですとか、COP21における地球温暖化対策としての、いわゆるパリ協定を採択されるなど、世界が脱炭素社会に向けてかじを切り、また、個々の企業の取組がESG投資といった形で具体的に評価される動きが出てきてございます。他方、近年、災害が多発して大規模停電のおそれも高まっている中、農山漁村におけるエネルギー源の多層化が必要になってきているという状況でございます。
    こういうことを受けまして、まず環境問題の対応といたしましては、再生可能エネルギーの利用を消費者や取引先が認識し、選択できるような見える化の取組が重要と考えており、その情報発信の方策を打ち出す旨を記述してございます。
    また、災害対策の対応としては、地域に存在するバイオマス、太陽光、小水力、風力、地熱といった再生可能エネルギーを用いた分散型エネルギーシステムの構築の重要性を訴えますとともに、次ページに記載する地産地消の取組を進めることとしてございます。さらに、ソーラーパネルですとか発電設備が地震や豪雨によって倒壊するというおそれも近年懸念されておりますので、施設の耐久性等を確保するという、こういう旨も記述をしているところでございます。
    4ページをご覧ください。電力をめぐる現状への対応ということでございます。
    再生可能エネルギーにつきましては、平成24年度より固定価格買取制度、いわゆるFIT制度が開始されたことで、太陽光発電中心に導入が着実に進展しているところでございます。しかしながら、国のエネルギー基本計画では再生可能エネルギーの主力電源化をうたってございますが、その割合は現時点でまだ15%弱ということでございまして、近年は送電線の容量不足から、北海道のように、FIT売電を目的にした畜産バイオガス発電の速やかな導入というのが困難になっている地域もございます。
    こうした中、スマートグリット技術ですとか、こういう技術の進展によって、地域単位で電力の需給を調整することで再生可能エネルギーを最大限活用する地域循環の可能性が広がってきてございます。そこで、今回、既存の配電網の活用、増強の必要性というのはうたいつつも、他方、FIT制度からの自立化も念頭に、地域新電力ですとか農山漁村エネルギーマネジメントシステムといったインフラを育成、活用することで、農山漁村の様々な資源を最大限生かした再生可能エネルギーの地産地消の普及に注力する旨を記述しているところでございます。
    5ページをご覧ください。市町村のサポート支援についてでございます。
    本法律の活用に関するアンケートを自治体に実施をいたしまして、1,000以上の市町村から回答を得たところですけれども、その結果、未利用資源ですとか荒廃農地等を有効活用して地域活性化を図る観点から、再生可能エネルギー導入の関心が高いということが分かりました。実際、先行事例では、電力や売電収益を農業ですとか加工直売、農地保全などに活用して成果を上げている地域がある一方、この法律で定める基本計画の策定ですとか協議会の運営に携わる人材の不足によって取組を進められない地域も少なくないということがわかりました。
    そこで、今回の見直しの中では、国としてモデル事例の共有化、他地域への展開を行うことを通じて市町村を軸とした取組の推進を図るということと、その際、地域の合意形成の場としての協議会を環境アセスメント等の手続で活用するですとか、法律に基づく事業の活用、それから荒廃農地の有効活用を図る、環境条例等との整合性の確保の観点から、合意形成の結果としての基本計画を条例に引き上げることを推奨するというようなことを記載することとしてございます。
    6ページをご覧いただければと思います。再エネ手法の更なる展開・充実でございます。
    農業におけるエネルギー利用の8割程度は熱利用という調査もございますけれども、再生可能エネルギーにおける熱の活用は十分進んでいるとは言えない状況にございます。発電の際に生じる熱を加温ですとか熱消毒など農業現場で活用できれば、コスト削減にもつながることが期待されるというところでございます。
    また、前回の御議論の際も御紹介しましたけれども、農業生産が可能な形で太陽光発電パネルを設置して、適切な営農を行うことで荒廃農地を再生利用し、再生エネルギーの拡大とともに地域農業の継続、地域活性化につなげる取組、いわゆる営農型太陽光発電、こういった取組が広がりつつございます。そこで、これに対しましては、バイオマスの熱電併給を促進する地域の取組を支援する、それから各地域の状況に即して営農型太陽光発電が適切な形で普及が進むように、営農面も含めたサポートを充実するという旨を記載することとしてございます。
    最後、7ページですが、新目標の設定ということでございます。
    再エネを活用して農林漁業の発展を図る取組の実施地区につきましては、2018年度の目標を100地区以上としておりました。2017年までの達成状況は79地区ということで、目標に向かって順調に増加してきたという認識でございます。
    次の5カ年目標でございますが、同じ件数でも、地域によって導入する再生可能エネルギーの種類や規模が異なること、それから、熱電併給の取組を進める観点からは、熱利用も反映した実績というのを把握することが望ましいということを考えまして、この取組から生み出される電気・熱に係る収入、あるいは削減コストの経済規模を新たな目標値としたいというふうに考えてございます。
    2016年度までの経済規模は約187億円ということになってございますので、これを過年度の増加ベースよりも上積むことを目指すということにいたしまして、2023年度は600億円とすることを目標としたいと考えております。
    その裏づけの根拠といたしましては、記載にありますが、森林・林業基本計画では、2025年までに燃料向けとなる国産の低質材の利用を800万立米とする目標になってございます。現状から350万立米の利用を上積みする必要がございます。これを発電使用量に換算すると392億円となりまして、この相当数が実際にエネルギー利用に振り向けられれば、ほかの再生可能エネルギー、すなわち畜産ですとか食品残渣のバイオマスを始め、太陽光、小水力の増加も見込めることから、合わせて400億円以上の積み上げで600億円の経済規模を確保できるのではないかというふうに考えてございます。
    この基本方針につきましては、現在、並行してパブリックコメントも開始をしてございまして、その上で新たな基本方針を告示をして運用を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
    説明は以上でございます。
  • 伊藤部会長
    ありがとうございました。
    それでは、本件は法令で定められた本部会の審議事項ではありませんけれども、前回の本部会の議論も踏まえて、農水省で変更案がまとまりましたので、御意見のある方、挙手をお願いいたします。
    お2人、どうぞ。
  • 近藤委員
    私、九州なんですけれども、九州はこの方針に沿ってやっているんですね。ところが九電は買入制限していまして、この方針との整合性は一体どうなるんだろうかなと思って聞いておりましたが、いずれのところも、やっぱりそういう問題が起きたときに、この再エネ法の方針とのバランスというか、整合性をもうちょっと取って、ここに書かれていることは、非常に我々農業者としてもいいことだし、ぜひやりたいなと思っていますが、やっぱりそこでどうしてもセーブがかかってしまうと、当然投資も必要ですので、この方針がただの作文で終わってしまわないようにお願いしたいなと思います。
  • 伊藤部会長
    栗田委員、どうぞ。
  • 栗田委員
    あくまでも意見ですが、私たちの仲間が再エネに対して取り組んでいる分にはあまり心配しないですが、何か災害があっても、自分たちで元に戻すという努力をすると思うのですが、農業の方が取り組むときに、そのままそっくり農家の方に返すんではなくて、メンテナンス費用を貯蓄してあげて、何かあったときにそれを使って元に戻すという、仕組みを何か作られたほうが私はいいんじゃないかなと思います。なかなか農業の方って、例えば米だと、1年に1回収入があるというパターンになれられていて、この間もちょっと農業法人ともめたことがあって、我々の常識が通じなかったという経験をさせていただきました。とても高い値段で売電なさるのはいいのですが、それを全部使ってしまうと、次何かあったときに直したいと思っても直す力がないと思います。じゃ、国なり公庫さんがお貸しになるのであればいいかというと、なかなか借りるという踏ん切りまでいかない中で、自動的に保障される、グループ的な何かをおつくりになると、投資なさっても、次に何かあったら何%出るから安心だねというような形を作られたほうが、農家の方が取り組むのにはいいのかなと感じました。
    以上です。
  • 伊藤部会長
    それでは、近藤委員と栗田委員の件、お願いします。
  • 片貝バイオマス循環資源課長
    ありがとうございます。
    先ほどの電力会社の買入制限等もあって、そういう中で進むのかというお話でございました。そういう意味でも、これは配電網の増強といいますのは、電力会社等、それからエネルギー政策の中でしっかりやっていかなくちゃいけませんので、そういう意味では、我々もそこについて非常に重要だということで、系統増強の必要性というのを今回ここに入れまして、これ、各省、経済産業省等も含めて協議をして、この文言を入れたというところでございますので、ここは各省挙げて、そこの問題点についてはしっかり取り組んでいきたい。
    一方で、そこが進まないと進まないのかという問題がございます。そういう意味では地産地消というところが重要でございます。いかに地域の中で、中央のほうでの送電なり売電ということをしない中で電力を活用できるのかというところのいろいろな方策というのは、私どもの中でもしっかりここの検討をして支援をしていきたいというふうに考えてございます。
    それから、栗田委員のお話につきましては、この基本計画の中では、この設置に関しては、後々終了した場合の撤去の費用だとか、そういうものもきちんと積み立てて計画的にするようにというような記述はございます。ただ、それを実際にどう支援していくかというところに関しては、国のほうとして具体的に取組があるわけではございませんので、何らかの形で、そういうものがより適正な形で推進できるような方策というのがあるかどうかというのは、今後の検討課題だというふうに考えてございます。
  • 伊藤部会長
    よろしいですか。それでは安部委員。その次に加藤さん。
  • 安部委員
    すみません。なるべく簡潔にします。
    目標達成に向けては、目標もやっぱり高く設定しておいてということは重要なことだと思います。ただ、それに向けて、新しいことへの試みということも、これは縷々たくさんいろんな発想が出てきていますから、これは進展していくんだろうなと期待するところです。
    もう一方では、改善していくための障害となっている阻害要素をどう取り除いて解決するかということも、実はボリューム的にはこっちのほうが効果が大きいということがあるんじゃないかというふうなことも思いまして、それで言うと、なかなか阻害要素と問題解決ということが具体的に据えられて、先ほどの話じゃないですけれども、その原因は何で、したがってどう対策していかなければいけないかということが具体的になっていかないという心配が少しありまして、もう10年ちょっと前ですけれども、僕も業界の中で環境問題のカテゴリーの委員長をやっていましたときなんかは、先ほど出ていました食品残渣を、これをコンポスト化して、それを農業生産と結びつけて、それを業界で積極的に買い取るというサイクル制の事業を取り組もうとしたときに、間のロジックを省略して言うと、一番の障害は産廃業者さんというか、回収業者さんの近代化ということと、それまで保護されていた地域をまたぐという越境ということを解決しないと、これはファミレスやらいろんなところと、ある種大同団結して、全部食品残渣を集めて、埼玉のある町長さんが、農家をやっておられる方のところに連携があったコンポスト工場と一緒に、その越境の許可も得たりしながら、その手続を取り除いていくというのも大変な作業だったんですけれども、あとは回収業者さんの近代化ということも図らないといけないということで、二世の会というのをつくって、2代目の人たちを集めたサークルで、その人たちといろんな都道府県に、それはメンバーがまたがっていましたから、そういう人たちとやっていたんですけれどもね。
    実はそういう推進運動って、誤解を恐れず言うと命がけなんですよ。ものすごくその業界の保守性が強くて、そういうことは、僕らは自力で協会で独力で取り組んでいることではあったんですけれども、もっと、それこそ行政もひっくるめて、そのことの近代化みたいなことを推進していかないと、継続するのはなかなか難しい。それから、一回そういうことがつくられて動き出したとしても、それがずっと、もうサスティナビリティーに欠けるというか、継続がなかなかできない。どこかで中断すると、そこで元の木阿弥になるということがあったりしますから、そういうことの現実も、先ほど仰っていたように、本当にこれはどこがネックになって、何をクリアしないと、この問題は解決しない、推進しないということに本気でいろんな立場から一緒に取り組まないと、なかなか難しいというふうに─難しいという問題提起だけここでやったんじゃしようがないんですけれども、あえてちょっと申し上げておきたいというふうに思います。
  • 伊藤部会長
    ありがとうございます。それでは、加藤委員。
  • 加藤委員
    本当にエネルギーの地産地消って、地域の自立には欠かせないなと実感しています。一つ、我々、農業ロボットで自律走行とかをやっていたりIoT的なことをやっていると、電源確保って非常に重要でして、機械をトラックに積んで近くまで持っていって、また電池が切れたら持って帰って自宅で充電みたいな、倉庫で充電とか、これ、ちょっと違うんじゃないかなと思っていまして、例えば中部電力さんとか域内なので、電力会社さんの電柱にSuicaみたいなものをかざせばその場で充電できるような、手軽に買える仕組みみたいなものがあればいいんですけれども、それって中電さんとやる話じゃなくて、やっぱりこれでやりたいんですね。地産地消で地域で生み出して蓄電しておいて、そういうステーションが、もう半径2~3キロの間にはぽこぽこあって、それをカードで買える。それは地域通貨でも何でもいいと思うんですけれども、何かそんなふうになってくると、本当に地産地消の仕組み化ができて、電動化が車も進みますから、ロボットだけじゃなく普通の車もそれでやっていくようなことになっていくと、これは本当に何か自立できるんじゃないかなと思っていますので、皆さん御指摘のとおり、問題はいろいろあるんですけれども、やっぱり個々の地域が自立するにはここじゃないかなと思っているので、ぜひ課題解決を一歩一歩していっていただけたらなと思います。
  • 伊藤部会長
    ありがとうございます。それでは、お願いします。
  • 片貝バイオマス循環資源課長
    安部委員の原因対策をしっかりというところについては、まさにそのとおりでございまして、これからもいろんな形できちんと現状を把握して、しっかり取り組んでまいりたいと思っています。
    それから、加藤委員のお話は、もう非常に示唆に富むものでございまして、スマート農業といかに連携して、この再生エネルギーを加速化していくかというのは、地域のインセンティブにもなるものでございますので、我々も、どういう支援の仕組みができるかというのを今考えているところでございます。よろしくお願いいたします。
  • 伊藤部会長
    ほかに御意見ありませんか。
  • 波多江委員
    方針とか目標値に対しての意見ではないのですが、要望という意味での意見ということで捉えていただくとありがたいと思います。再生エネルギーの様々な手法がたくさんある中で、壁になってくるのは農地転用の問題とか、あるいは農地所有権の移転の問題とかが壁になっています。そのような現状の中で、農業振興と併せて考えていかねばなりません。限られた耕地で農産物生産を行う日本農業の中で、中山間地の問題があります。この中山間地が持っている特色を再生可能エネルギーに変えられるようなやり方というのは何があるのかというと、やっぱり自然だと思います。風力だったり水力だったり、そのような自然の持つ力を利用するなど、中山間地の中で再生エネルギーの事業が進められていけば、中間産地の活性化にもつながると考えます。また、中山間地の耕作放棄地の拡大などの問題解消にもつながっていくのではないでしょうか。
    そのように考えますと、ここでは太陽光発電の例とか、あるいはバイオマス発電の例が取り上げられているのですが、小水力発電などは、河川の利用とか、あるいは水路の利用とか、中山間地が一番利用しやすい部分を考えていくことが重要と思います。そのような部分にもう少し傾注した施策を打ち出していただけたらと感じました。
    以上です。
  • 伊藤部会長
    それでは、お願いいたします。
  • 片貝バイオマス循環資源課長
    ありがとうございます。
    今回の小水力の話、特にいたしませんでしたけれども、まさに地域にある資源を使って、そこで利益を生み出して、それを集落の維持ですとか、そういうものにつなげていくというのが、この法律の趣旨でございますので、この小水力というのも重要な要素だというふうに思っておりまして、まさに小さい地域で取り組みやすいケースだというふうに思っております。しっかりこういうところも促進をするように進めていきたいと思っております。
  • 伊藤部会長
    ほかにございますか。髙島委員。
  • 髙島委員
    質問なんですけれども、発電の部分は大変よくわかりまして、いいと思いました。今も出てきましたが、蓄電とか送電とかというところを、農村というか、特に過疎集落に人がすごく少ないところの送電線をどこまで担保するのか。せっかく地産地消にしたけれども、送電線の問題ですごくコスト高になっちゃうとかあるのかなと思っていて、今後の地域の送電や、あるいは蓄電技術も、もう多分進化が必要だと思うんですが、そっち側ってどういうふうな感じで進められていく計画なのかというのがあれば、教えていただければと思います。
  • 片貝バイオマス循環資源課長
    送電線に非常に配電にコストがかかるというところ、さらに現在でいうと、まだ蓄電池はかなり高いというところがございます。そういう中で、なかなか大きなものを導入するというのは農村部でも難しいということがございます。そういう中で、できるだけ電気の需要を集中したところで、発電の近くで加工場だとか、そういうところの電気需要を見出すだとか、そういうところでまずはうまくつなぐ。できるだけコストのかからないような形にしたいというふうに思ってございます。
    それから、電気にすると配電でコストがかかるんですが、例えばバイオガスであれば、ガスホルダーという形でそれを移動するというようなことも場合によっては可能でございます。こういう手法も使いながら、できるだけコストのかからないような形でのエネルギー供給というのができないかということは考えておるところでございます。
  • 伊藤部会長
    本件、そろそろよろしいでしょうか。
    それでは、いただいた様々な意見については、事務局においてさらに検討を進めていただきたいと思います。
    次に、報告事項の(2)、食品産業戦略会議での検討状況について事務局から説明をお願いします。
  • 東野食品製造課長
    食品製造課長の東野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
    食品製造課では、食品産業戦略会議を主催しておりますが、ここで昨年の11月から議論してきた内容について御紹介をさせていただきたいと思います。
    資料3の1ページをお願いいたします。
    食品製造業の現状でございますが、赤の帯が食品製造業でございます。この右端を見ていただきますと、職員1人当たりでどの程度の付加価値を生み出しているのかということでございますが、全産業の0.74倍、全製造業平均の0.56倍となっておりまして、一言で言うと、食品製造業の生産性というのは、全製造業平均の半分しかないという状況になっているということでございます。
    2ページをご覧いただきたいと思いますが、それだけ多くの人手に頼っているということでございますが、一方で欠員率も高いということでございます。食品製造業の欠員率は3%でございますが、全製造業は1.3%ですので、3倍近い欠員が生じているということでございます。
    3ページをご覧いただきたいと思います。
    3ページは、食品製造の工場でどのあたりに人がたくさん必要になっているのかということで、赤いところが人の多い工程でございますが、原料処理ですとか、まさしく食品の製造・加工をするところ、それから包装・充填のところ、こういうところに人手がかかっている。一方で右側は機械装備率でありますが、原料処理、食品製造・加工、包装・充填のところは機械化も進んでおります。そういう意味では、機械はあるものの、人手がさらにかかっているということだろうと思っております。
    今回の会議では、こういう状況を踏まえまして、4ページでございますが、食品製造業における労働力不足、人材確保難に焦点を当てまして、それを克服するためのビジョンをつくろうということで、昨年の11月から議論を開始しまして、これまでに10回にわたって議論を行ってまいりました。
    5ページをお願いいたします。
    これはメンバーでございますが、この部会の委員であられます東京大学の中嶋先生に座長をしていただきまして、民間企業の生産部門の責任者の方を中心に議論をしていただきました。毎回、これ以外にもゲストの方をお呼びして、その方々を踏まえて議論をしてきましたけれども、栗田委員にも御参加をいただきまして現状をお話しいただきました。それから、役所側は私どもに加えまして農林水産技術会議、それから農研機構、それから経産省の産総研といった研究開発部門も参加をして一緒に議論をしてきたところでございます。
    10回の議論を踏まえまして、これからビジョンを作成するということでございますが、今のところ、この6章構成で考えております。まずは第1章で食品製造現場における労働力不足の現状と課題というのを押さえて、それから第2章で機械化の現状と課題、それから第3章は機械開発の現状、第4章は国における技術開発の現状、それから、第5章は少し毛色が変わっておりますけれども、食品製造業、こういう機械化の生産性向上をいくら進めても、最後、どうしても人に頼らざるを得ないところは残ってしまう。そういう中で、今いる職員の人に最高のパフォーマンスを発揮していただけるような環境作りというのは一方で大切ではないかという議論がありました。栗田委員にもその部分で御発言をいただきましたけれども、そういう職員に最高のパフォーマンスを発揮していただくための環境整備ということを第5章に書かせていただきました。それから最後、第6章は、課題克服に向けた取組ということでございます。
    7ページをお願いいたしますが、課題克服に向けた取組ということで、結論のところでございますが、ポイントになる議論としましては、AIですとか食品安全といった最先端の分野、あるいは共通基盤の分野について、各社がそれぞれ同じようなことを研究しているということで、膨大な無駄が生じているんではないかというような議論がございました。開発すべき技術については、共通領域と競争領域に分けて、基盤となる技術、安全確保技術は共通領域というふうに位置づけて、共同で開発するべきではないか。それから、そういう共同で開発する取組については、国として支援する仕組みを構築するべきではないかといった御議論がございました。
    8ページ目は、これを受けまして私どもで考えて、またビジョンにも最終的には取り入れようと思っておりますけれども、今年度、複数の企業、これは垂直連携もあれば水平の同業連携というのもあると思いますが、共同実証グループというのを作っていただいて、共通領域の分野について、私どもも少しではございますが補助金をつけて、一緒に青写真を描いていただく、フィージビリティースタディーをしていただくというようなことを考えております。それで、32年度につきましては、これなら実証、工場に持ち込めそうだというようなものにつきまして、順次工場に実装していただいて、またそこで研究グループにフィードバックをしながら効果の測定、実証ということで、実用機まで開発をしていきたいと、そういうことに私どもも御支援をさせていただけたらなというふうに考えております。
    9ページをお願いいたします。
    そういう共通領域ってどんなものがあるのかというのも議論をいたしました。ここでは4つほど事例として挙げておりますけれども、例えば原料の検査をするようなものというのは共通で開発できるんではないか。カメラ、画像処理ですとか、そういうものについては大変安価になってきております。昔は何百万、何千万としたものが1万円、2万円で買えるようになってきている。そういうものを使えば、割とみんなで協力してできるんではないか。
    それから右側は、今度は、でき上がった製品の検査についても同じように共同で開発できるのではないか。
    それから、左下でありますが、先ほど、機械化は進んでいるけれども人手が減っていないというグラフを見ていただきましたが、それぞれの機械が専用メーカーで作られていて、独立しているということなので、機械に原料を投入したり、あるいはでき上がったものを機械から取り出したりということで、労働強度は下がっていても、人が減るまでには至っていないということなので、そういうおのおのの別のメーカーが作った機械同士をローラーコンベアーなんかでアタッチメントでつなぐことができないか。その共通規格をみんなで開発できないかというのが左下でございます。
    それから、右下は、少量多品目生産というのが食品は多くて、1時間機械が動くと、今度は次のロットに切りかわるときに、それ以上かけて洗浄する。アレルギーの問題なんかもあるので、それに時間がかかっているという話がありましたので、何か全ての機械に共通の簡単に洗浄ができるような機構みたいなものを基盤技術として開発できないかというような議論があったので、4つほどここで、これに限るわけではありませんが、こういうものができるんではないかということでございます。
    最後、10ページは、職員の方々に最高のパフォーマンスを発揮できる環境というのはどういうものなのか。今、各社それぞれがお悩みをお持ちで、それぞれ各企業ごとに考えていろいろ工夫していらっしゃるということですが、これも機械と同じように、仲間を水平連携、あるいは垂直連携でグループ化して、みんなで知恵を出し合って、それからアドバイザーの方にもお入りいただいて、共通にこういう議論を進めていきたいというようなことでございます。
    これから本格的に取りまとめをしたいと思っておりますが、以上でございます。
  • 伊藤部会長
    それでは、ただいま御説明いただきました食品産業戦略会議の座長を中嶋委員が務めておられますので、中嶋委員から議論の内容をお願いいたします。
  • 中嶋委員
    ありがとうございます。
    この食品産業戦略会議は2回目でございまして、第1回目の内容につきましても、この部会で一度御報告をさせていただいたと記憶しております。
    1回目では、最終的にはトリプルスリーという目標を出して、今後の食品産業の戦略の方向性を示したわけですが、そのときには、1つ目は新たな価値の創造、それから2番目は海外市場の開拓、そして第3には労働生産性の向上というところを指摘されていました。今回の戦略会議は、3番目の深掘りをするという位置づけだというふうに理解しております。
    枠組みにつきましては、今、どんな議論をしたか、それからどういうふうに取りまとめるかということをコンパクトに御説明いただきましたので、私は、どんなお話が話題に出たかというあたりを、ちょっとだけ御紹介させていただきたいと思います。
    この生産性向上において、ハード面、それからソフト面のさまざまな局面について、専門家を招いてお話をしていただいたということであります。
    1つは生産性向上ですが、これは農林水産原料の加工の自動化の現状と課題、それから2番目は、原料検査をAIなどを使っていかに正確に行っていくかというお話が特に印象的でございました。その際に、やっぱり原料をつくる農業側、水産業側が不良品質の原料をつくらないという、そういった技術開発が非常に重要になるということも指摘されたことが大切だったと思います。
    それから、2つ目が技術開発の仕組みについての議論がございました。そこでオープンイノベーションをどのように実践するかというお話がされたんですが、例えばいろんな企業の方が集まってお話し合いをするときに、やっている振りをするような悪いPDCAサイクルが回るというような、そんなお話もあって非常に興味深かったです。
    それから、基礎研究と応用研究の間に死の谷があるとか、それから、製品開発とビジネス展開の間にダーウィンの海があるとか、そういった御議論も披露されまして、具体的にどう進めるのかというあたりも非常に示唆的だったと思っております。
    それから、最後に職員のモチベーションを高める仕組みということで議論がありました。これだけの人手不足ですので雇うのが難しいということもあるんですが、やめないようにするということがとても重要であるというのが一つのポイントだったと思います。そのために、従業員の満足度調査をどのように進めるかとか、ダイバーシティー経営をどのように進めるか、それから、参加型、支援型のリーダーシップというものをどういうふうに確立するかというあたりもとても大事だったと思います。
    そして、心理的安全性という概念も御披露いただいたんですが、やはり働いている方が均等に発言する機会があり、力を発揮していただくための場づくり、これがいかに重要なのかということも学ばせていただきました。
    こういったことは全て戦略会議の議事概要に示されていて、非常に勉強になると思います。報告書もとても大事だと思うんですが、参加した者の意見といたしましては、ぜひこのホームページもご覧いただければと思います。
    以上でございます。
  • 伊藤部会長
    ありがとうございました。それでは、御質問、御意見等ございましたら挙手をお願いします。
  • 加藤委員
    1点だけ、小さい事例なんですけれども、昨年度、それこそ農水省さんの事業を使って、農業者さんの京丸園さん、ちょっと有名な、農業大賞をとった方ですけれども、たまたまその方たちと業務改善の取組をしていまして、うちは矢崎総業の近くにあるものですから、矢崎の方と一緒に改善に入りました。半年で出荷現場が1.5倍の生産性になり、16人携わっていたところが12人になりましたので、そこはちょっとラインからセル生産方式に変えたりとか、あと、一人一人の能力が、障害者の方、高齢者の方がいて違うものですから、一人一人の能力がはかれるように、少し安いラズパイとかグーグルドライブとか、無料のものを駆使しながら、そういうものが計測できるような仕組みも使って、まだそこまで運用はしていないんですけれども、基本的に作業現場自体は改善が進んで1.5倍になった。2倍目指して、また継続して改善を回していくという成果が出てきましたので、そういう意味では、大きい会社さんはこういう取組で、もう少しAIとかをしていくのも一つですけれども、小さい出荷者さん、数億規模の出荷者もいっぱいいるものですから、そこは結構製造業の力を使うと、あっという間に2倍ぐらいにはなるんじゃないかなというのは、やっぱり思っていましたけれども、実行できたので、この取り組みを中央で大きくやるのも一つ、考え方を地方に個々に展開していくのもとても大事なことじゃないかなと思っています。
  • 伊藤部会長
    ありがとうございます。どうぞ。
  • 東野食品製造課長
    この委員会、大企業の部長さん方が多いんですけれども、都内であめをつくられていらっしゃる中小の方も入っていただいて一緒に議論をしました。そういう中で、共同で技術開発をして、翌年は工場のラインに一度組み込んで、それでフィードバックしながら実機に仕上げていこうというときは、そういったような中小の出番があるんじゃないか。大企業の大きなラインにそういうものを組み込めないし、中小企業と組んで仲間に入ってもらって、実証するときには、そういう中小企業の製造業が一緒にやれるチャンス、出番があるんじゃないかというご発言もいただきました。
    また、我々、来年度の予算というのはこれから要求していくんですけれども、もし取れれば、そういう技術というのは税金が入って開発した技術ですから、できるだけオープンにして、皆さんに使っていただけるような仕組みにできたらいいなと思っているところでございます。
  • 伊藤部会長
    ほかにございますか。よろしいですか。ありがとうございます。
    それでは、次に報告の(3)に入ります。新たな外国人人材受入れ制度について事務局から説明をお願いいたします。
  • 新藤外食産業室長
    外食産業室長、新藤でございます。
    私のほうからは、この4月から制度が開始されております新たな外国人材受入れ制度について、時間も押しておりますので、ポイントをかいつまんで御説明させていただきたいと思います。
    資料の4番をご覧いただきたいと思います。
    まず1ページ目でございますけれども、昨年12月に入管法が改正をされまして、こちらに書いてございます特定技能1号及び特定技能2号という新しい在留資格が創設をされました。特定技能1号につきましては、こちらに書いてございます14分野、飲食料品製造業、外食業を含む14分野が対象となっております。また、特定2号につきましては建設、造船・舶用工業の2業種のみでのスタートということになっております。
    飲食品製造、外食が対象となっております特定技能1号のポイントでございますが、この左側、真ん中の四角のところですが、まず在留期間、通算で上限5年までとなっておりまして、また技能水準、日本語能力水準を試験等で確認をして、合格した人に入っていただくという仕組みになってございます。また、どちらも同じような括弧書きがついてございますが、それぞれの分野にリンクしている技能実習の2号を修了した方、これは要するに3年間修了した方ですが、そういった方は試験を免除で入ってこられるという仕組みになってございます。家族の帯同は基本的に認めず、受け入れ機関、または登録支援機関による支援の対象ということで整理をされております。
    2ページをご覧いただきたいと思います。
    こちらは、この制度の基本的なスキームを示しておりますけれども、右側の図をご覧いただきますと、まず真ん中、右側のところの受入れ機関、これは受入れの企業さんになりますけれども、こちらが一番下の外国人の方と雇用契約を結んでいただいて就労していただく。まずここが中心でございます。この受入れ機関は、この外国人に対して様々な支援を行うということになっておりまして、また、この受入れ機関も外国人の方も、一番上の出入国在留管理庁に対して各種の届け出を行うとともに、各種の指導や助言、あるいは検査命令を受けるというような仕組みになっております。
    また、オプションとして、この左側の登録支援機関というのがございまして、この受入れ機関自らがこの外国人の方の支援を行うということが難しい場合には、この登録支援機関に、その支援を委託をすることができるということになってございます。
    続きまして、3ページをご覧いただきたいと思います。3ページは、飲食料品製造業分野の概要でございます。
    まず(1)の受入れ見込み数。これは向こう5年間の上限として運用していく数字ですけれども、34,000人ということになってございます。
    人材の基準、これは試験が2つございまして、まず丸囲み数字1のところの飲食料品製造業技能測定試験、それから丸囲み数字2のところの国際交流基金日本語基礎テスト、または日本語能力試験のN4以上に合格をしていただく必要があるということでございます。技能実習3年を修了した方は、これらの試験が免除になるということです。
    また、(3)の人材のイメージでございますが、飲食料品の製造工程でHACCPに沿った衛生管理ができる人材ということで、ご覧のような項目についての試験をするということになってございます。
    また、(4)の外国人が従事する業務でございますが、飲食料品製造業全般ということで、飲食料品、これは酒類は除くということになっておりますが、その製造・加工、安全衛生に関する業務となっております。また、日本人が通常従事している関連業務、これに付随的に従事することも可能ということになっております。
    対象範囲は、こちらに記載してございますような日本標準産業分類に該当する事業者が行う業務ということで、食料品製造業、清涼飲料製造業等ということになっております。
    また、受入れ機関の条件ということで、食品産業特定技能協議会というものを作ることになっておりまして、こちらの会員になっていただいて必要な協力を行っていただく。
    また、(7)の雇用形態のところは直接雇用ということになっておりまして、これは、要するに派遣業態は認められておらず、企業が直接雇用するということになっております。
    4ページをご覧いただきますと、こちらは外食分野の概要でございます。
    (1)の向こう5年間の上限は53,000人ということになってございます。
    (2)の人材の基準のところですが、丸囲み数字1の外食業技能測定試験、それから丸囲み数字2の製造業と同じですが、どちらかの日本語試験に合格をしていただく必要があるということでございます。
    (3)の人材のイメージのところですが、飲食料品の食品衛生に配慮した飲食物の取扱い、調理、給仕に至る一連の業務を担い、管理することができる知識・技能を有する人材ということで、こちらに列記しているような項目での試験を行うということになっております。
    また、従事する業務は外食業全般ということで、飲食物調理、接客、店舗管理となっております。また、製造業の場合と同様に、関連業務に付随的に従事することが可能となっております。
    対象範囲は標準産業分類の飲食店、あるいは持ち帰り・配達飲食サービス業に該当する事業所での業務となります。
    受入れ機関の条件、丸囲み数字1は飲食品製造業と同じですが、協議会の構成員になっていただくということと、丸囲み数字2として、風営法に規定する接待飲食等営業の営業所に就労させないことと、風営法に規定する接待を外国人の方に行わせないことということが条件になっております。
    また、雇用形態は直接雇用ということになっております。
    5ページは、今後の、特に国内でのスケジュールを示してございますが、まず4月は外食業の技能試験を、この4月25日、26日に東京、大阪で行うことになっております。また、この試験、申し込みが殺到いたしまして、定員オーバーの部分の追加試験の要望が非常に強いということで、6月にも、今度は地方会場も含めまして2,000人規模の会場を用意して試験を行うということになってございます。また、10月には飲食料品製造業のほうの試験も始まるということになっております。また、この囲ってあるところですが、7月、12月にはそれぞれ日本語の試験が、これは国際交流基金のほうで行うということになっております。また、国外での試験についても、順次実施をすべく現在調整中ということでございます。
    私からの報告は以上でございます。
  • 伊藤部会長
    ありがとうございます。
    それでは、御質問等ございましたら、3名分ぐらいの時間がありますけれども、どうぞ。
  • 難波委員
    ありがとうございます。
    中山間地域で農業と食品製造をしております。やはり人材不足ということで、人材を確保するのにものすごく苦労をしております。
    今回のこの制度にすごく期待しているところがありまして、地方にも果たして人材が来るのかというのを一番やっぱり気にしているところでして、上限が食品製造分野は34,000人というふうにあるんですけれども、この振り分けといいますか、人材を地方や過疎地のほうにも来るようにするような、何か仕組みというか、そういうものがあるのかというのを1つ知りたいのと、あと、現在の外国人の反応といいますか、状況を知りたく、教えていただければと思います。
  • 伊藤部会長
    それでは、お願いします。
  • 東野食品製造課長
    飲食料品製造業につきましては、御指摘のとおり、5年間で最大34,000人を受け入れるということにしております。食品製造業というのは地方に割と多うございまして、地方でもしっかり外国人材に働いていただく必要があるという議論がなされています。まずは技能実習2号を修了された方につきましては、これは無試験で、そのまま特定技能1号に移行できるということでございますので、技能実習2号で働いている方々、4月から入ってこられるということでございますが、試験につきましては10月以降にやろうと思っています。その際には、国内試験と海外での試験と両方やろうと思っていますが、国内試験につきましては、地方で多めに試験をするというようなことで、地方にしっかり人材が供給されるように努力をしていきたいと思っておりますし、また、技能実習で地方の加工場なんかで働いていただいている方はたくさんおられますが、雇い主の方がしっかり寮なんかを整備されて、都会で自分でアパートを借りるよりも安く借りられる。また、都会では狭い部屋で1人、あるいは1部屋に2人みたいなことがあるかもしれませんが、地方ではアパートを1人で2部屋使ったりとか、家賃も安うございますので、結局自国に仕送りできる額としては地方で働いたほうが、ディズニーランドはないかもしれないけれども、映画館なんかもありますし、地方で働いたほうがたくさん仕送りできますよというような事例もありますので、そういう優良事例集というのを作って配らせていただくというようなことで、地方には地方の魅力がある。生活もしやすいし、物価も安いしというようなことで、都会にあまり集中し過ぎないようにしっかり努力をしていきたいというふうに考えております。
  • 伊藤部会長
    ほかの方。
  • 栗田委員
    すみません。海外の試験について教えていただきたいのですが、今回、留学生でも海外で大分不正な登録があったために、今年の春は大分規制が厳しくなって、留学生が認められなくなったということを伺っています。そういう中で、今回初めて特定を海外でやるときに、悪い人たちの選別はどのようになさるのでしょうか。
    それと、技能実習生ですと家庭訪問をしたり、前もって確認をするんですけれども、技能実習生で出られた方であれば、過去に出て、国内に入ってくる方であれば、まだ送り出し機関がある程度の保証をしていただければいいのですけれども、全く未経験で登録してきた方に関して安全性はどうなんでしょうか。たまたま今、私もベトナム人、正社員で雇用するのにどうしたら安全性が保てるかということで、身上調査をお金がかかってもいいから海外でやってくれという話をしているのですが、特に今回の特定の場合、その安全性というのは、向こうから多分入りたいという話で来たときに、そこはどうやって選別することがいいのか。
    国内であれば、まだ技能実習生を3年終わった子が中心になって来るので、ある程度安全であるか、安全じゃないかというのは法務省さんのほうに聞けばまたわかると思うのですけれども、海外がすごく不安だなと思います。今まで野放しで、留学生が不法な方がいっぱい入っていたということも伺っている中で、新規の事業の中で海外から新たに入ってくる人たちの選別についての考え方を、ぜひ教えていただきたいなと思います。
  • 伊藤部会長
    お願いします。
  • 新藤外食産業室長
    恐らく2つのポイントがあって、1点目は、試験については、基本的にその学科の知識があるかどうかを見るだけですので、そこで何かを判別するということは多分できないんだと思うんです。
    2点目は、人材のマッチングなりリクルートの仕方をどうするのか。技能実習の場合は、制度として送り出し機関があって、日本側には管理団体があって、そこで人材の流れというのがある程度決まったルートの中で行われていたというのがございます。今回のこの制度は、基本的にこうでなければいけないというものは、国内法上は特に縛りがないということになっておりまして、恐らくいろんなパターンがあるんだと思うんです。大企業であれば、現地に支社があって、そこで直接リクルートしたり、あるいは海外に進出している外食企業であれば、海外の店舗で働いている人を連れてくるケースもあると思います。あるいは、そういうことができないような企業さんであれば、何らかの送り出し機関があって、そこで育てている人と、日本国内の業界団体であったり、あるいは人材紹介会社であったりというものが結びついて、そこでプールされた人材を紹介する形になる場合もあると思います。そこは恐らく国内法上はフリーで、あと、海外の相手国のルールによって、例えば送り出し機関を経由しなければならないというような規制をかけてくる国もあるでしょうし、そうでない国もある。そこは恐らく国によってまたやり方が変わってくるということになろうかと思います。
    ただ、その中でも、やはり採用していただくに当たっては、技能実習の場合でも多分そうだと思うんですが、やっぱり直接現地に行って面接をしたりとか、試験で受かりましたということに加えて、やはり企業としての採用活動の中で人材を見きわめていくというのは、別途の取組としてどうしても必要になってくるんだとは思っております。
  • 伊藤部会長
    ほかにございますでしょうか。森山委員、お願いします。
  • 森山委員
    先ほどの難波委員からの質問の追加なんですけれども、ちょっと分からなかったので、5年間で何万人、1年目は何千人という数字は、それぞれについていまして、今回はこれで全部で14業種で、たしか35万人弱ぐらいの人をまずは受け入れるんだということになっているわけですけれども、先ほど御質問があった、その数字に足したら、すなわちファーストカム・ファーストサーブなんですか。すなわち、いっぱいになったら、その年はやめ、またその次の年ということなんですか。すなわち、ロケーションが都市部、地方部というのがあったじゃないですか。そこの説明がちょっと意味がわからないので、その説明をしていただけませんか。
  • 東野食品製造課長
    5年間で34,000人が上限ということなので、5で割って毎年上限というわけではなくて、1年目で2万人になっても、そこは34,000人になるまでは制限はかけないということになります。
    それから、地方と都市の話でありますが、できるだけ都市に集中し過ぎないようにということは心がけていかないといけないと思っておりますが、一方で、この制度、技能実習と違って、外国人の方は同じ分野内であれば転職が自由にできるという条件でもあります。実習生ではなくて労働者ですので、一般の労働者と同じ権利があるということですので、雇う側もそこは待遇面については気をつけていただく必要があろうかと思います。
    私どもは、飲食料品製造業と外食産業で協議会を作っています。全部の雇用主は、そのメンバーになっていることということにしておりますので、飲食料品製造業、外食産業が、どこの企業がどこの国から人を何人雇っているかというのも把握をして、またお願いも、その都度協力依頼なんかもしていくということでマネジメントをしていきたいと思っています。
  • 伊藤部会長
    よろしいでしょうか。御協力ありがとうございました。
    それでは、最後に、その他につきまして事務局からお願いいたします。
  • 得田企画課長
    ございません。
  • 伊藤部会長
    それでは、全体を通じて小野審議官からお願いいたします。
  • 小野審議官
    食料産業局の審議官をしております小野でございます。
    本日は、長時間にわたりまして熱心に御議論いただきまして、まことにありがとうございます。
    皆様の御意見、まことに貴重な御意見でございました。今後、政策運営に生かしてまいりたいというふうに思っております。
    今日4つの議題がございました。食料産業局の仕事として製造、流通、あるいは輸出とか、そういう商品のサイクルが一つ、それから資源循環というもう一つのサイクル、両方ありまして、それをうまく回さないといけないということでございます。
    最初の議題の2つは、後者のサイクルの話だと思います。基本方針を4年ぶり、5年ぶりぐらいに見直すということであります。この間、食品リサイクルの分野ではSDGsが出まして、食品ロスの削減ということが謳われました。再エネでも、東日本大震災の後、主力電源化ということを謳っております。この他、産業の人手不足ですとか外国人の受入れにつきましては、少子高齢化、人口減少、働き方改革というものが進んでおります。
    4つの議題を議論いたしましたけれども、どれも資源の効率化とか、それから最適な資源の配分といったようなことをどうするかということで、共通の課題であるというふうに私どもは認識しております。資源配分はミクロの課題でありますけれども、やっぱり相互で影響するということで、マクロ的に考えないといけないというような問題でもあろうかと思います。
    いずれにいたしましても、このような課題に対しましては、事業者ですとか消費者、大人だけではなく、今日は子供の教育という話も出ましたけれども、こういった方々によく御理解していただいて進めていくことが重要だと考えております。各関係府省とも連携して進めていきたいと思っております。
    本日はどうもありがとうございました。
  • 伊藤部会長
    皆様、御審議いただきましてありがとうございました。
    それでは、進行を事務局にお返しいたします。
  • 得田企画課長
    伊藤部会長並びに委員の皆様方、どうもありがとうございました。
    さて、本部会につきましては、本年7月に委員の皆様方の任期が満了しまして委員の改選が予定されておるところでございます。次回以降の日程につきましては、この委員の改選、そうしたことを踏まえて、また改めて御連絡させていただきたいというふうに考えてございます。
    それでは、これをもちまして、本日の食料産業部会を閉会させていただきたいと思います。
    本日は、皆様、どうもありがとうございました。

15時12分閉会

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