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作成日:平成27年12月4日

更新日:平成27年12月18日

肥料の偽装表示問題について

平成27年11月に、太平物産株式会社の製造した肥料の原料や配合割合が、肥料袋に表示されている内容と異なる不適正なものが多数あることが発覚しました。

消費者の皆様が報道やインターネットで様々な情報に接される中で、情報や商品を選ぶ際の参考となるよう、問題の内容、問題の肥料を使って作られた農産物の安全性、農林水産省の今後の対応策などについてQ&A形式でご説明します。

 

  1. 今回の事案ではどのような点に問題があったのですか。
  2. 問題の肥料が今後も使われることはありますか。
  3. 問題の肥料を使って作られた農産物は店頭に出回っていますか。
  4. 問題の肥料を使って作られた農産物は食べても問題ありませんか。
  5. 「有機農業」、「有機農産物」、「有機質肥料」の「有機」とはどういう意味ですか。
  6. 「有機質肥料」で作られた農産物が「有機農産物」になるのですか。
  7. 農林水産省の検査体制に問題があったのではないか。今後も同じようなことが起きてしまうのではないですか。

1.今回の事案ではどのような点に問題があったのですか。 

平成27年11月5日、全国農業協同組合連合会(以下「全農」といいます。)は、肥料メーカーの太平物産株式会社から仕入れ販売した肥料が、原料や配合割合が肥料袋の表示と異なるものが多数あったことから、同社の製造する肥料の出荷を停止し、また、既に出荷されたものは回収するなどの措置をとったことを公表しました。

また全農は、取引のあるすべての肥料メーカーに対して肥料の品質管理の実態を調査していることを併せて公表しました。

 

この事案の問題点

農林水産省は、独立行政法人農林水産消費安全技術センターに対して、太平物産株式会社への立入検査を命じました。

また、全農の調査をきっかけに発覚した疑義情報に基づいて、疑義のあった他の肥料メーカーへの立入検査についても命じました。検査の結果、以下の法違反を見つけました。

 

<法違反の内容>

今回問題となった肥料は、「肥料取締法」という法律に基づき、成分などを記載する「保証票」と呼ばれるラベルを付ける必要がありました。このラベルには肥料の種類や名称のほかに、「保証成分量」や「正味重量」、「生産した年月」、「生産業者の名称・住所」などが記載されることになっています。

※ 「保証成分量」・・・含有すべき主成分の最小量

 

(1) 原料の種類の記載が不適正であった

- 重量割合の大きい順に原料が記載されなければいけないにもかかわらず、重量割合の大きい順に記載されていなかった

- 原料として記載されているのに、製品の製造に使用されていなかった

- 原料として記載されていないのに、製品の製造に使用されていた

という違反がありました。

 

(2) 原料または材料の使用が不適正であった

肥料の製造に関して、Aという肥料とBという肥料それぞれが法律に基づき登録されていた場合、AとBを混合することは法律で認められており、混合した肥料を新たに登録する必要はありません。

今回の肥料では、成形を簡単にするために糖蜜や小麦粉などが混ぜられており、この場合、新たに肥料として登録しておく必要がありましたが、登録されていませんでした。糖蜜や小麦粉などは、農産物や人の健康に有害なものではありませんが、これらを混合したものが肥料として登録されていなかったので使用してはいけなかったのです。

 

(3) 「保証成分量」が不足していた

 「保証票」に記載されている「保証成分量」とは含有される主成分の最小量を示すもので、この値を上回っていないといけません。

肥料に含まれていた窒素・りん酸・加里等の実際の量が表示されているより少ないものがありました。

 

このように、原料や配合割合が肥料袋の表示と異なっていたことが今回の事案の問題でした。

なお、検査の結果、安全性に懸念のある原料が使用されていたり、公定規格で定められた有害成分(カドミウム、ヒ素)の濃度が、上限値を超えたりするなどの安全性を損なう問題はありませんでした。

※公定規格・・・肥料の品質を確保するため、含有すべき主成分(窒素・りん酸・加里等)の最小量や、有害成分の許容される最大量などを規定

 

<参考情報>

 

2.今回の肥料が今後も使われることはありますか。 

立入の検査の結果、「(1)原料の種類の記載が不適正であった」「(2)原料または材料の使用が不適正であった」「(3)保証成分量が不足していた」という法違反が見つかりました。

法違反の詳しい内容は問1をご覧下さい。

 

(1)と(3)は、肥料メーカーが表示内容を正せば出荷できるようになります。

(2)の「原料または材料の使用が不適正であった」ものは、糖蜜や小麦粉などを混合したものが肥料として登録されていなかったので、当該肥料は処分されます。

 

3.今回の肥料を使って作られた農産物は店頭に出回っていますか。 

検査の結果、安全性に懸念のある原料が使用されていたり、公定規格で定められた有害成分(カドミウム、ヒ素)の濃度が上限値を超えたりするなどの安全性を損なう問題はありませんでした。当該肥料を用いて作られた農産物を通常の農産物として扱うことは問題がありませんので、そのような農産物が店頭で売られている可能性はあります。

 

今回の肥料のうち、有機農産物の生産に使用されていたある1点は、「有機農産物の日本農林規格」(以下、「有機JAS規格」といいます。)上、使用することができないものでした。この肥料を使用して作られた農産物を「有機農産物」と表示して売ることは禁止されており、既に出荷されたものは出荷先に「有機農産物」として使用・販売しないよう要請しています。

 また、今回の肥料を使用していた場合同様に、「特別栽培農産物」の規格に適合しない可能性がありますので、「特別栽培農産物」の表示をして売ることはできません。

 

<参考情報>

 

4.問題の肥料を使って作られた農産物は食べても問題ありますか。 

農産物の安全性は、どのような土地で、どのような生産資材(肥料や農薬、農業機械や器具)をどのように使ってどのように作られたかによって決まってきます。

 例えば、農産物が栽培される土壌が、有害な微生物に感染した動物のふんや有害な物質で汚染されていたり、土の中に生息するカビが農産物に付いて有毒なカビ毒を発生したりすることがあります。また、腐敗しているものが付着した器具を使ったり、清潔でない手で作物を収穫したりすると、食品としての安全性は低くなるといえます。このように農産物の安全性は肥料やその他多くの要因によって決まります。

 

 検査の結果、安全性に懸念のある原料が使用されていたり、公定規格で定められた有害成分(カドミウム、ヒ素)の濃度が上限値を超えたりするなどの問題はありませんでしたので、この肥料を使ったことが原因で農産物の安全性が損なわれるということはないといえます。

 

5.「有機農業」、「有機農産物」、「有機質肥料」の「有機」とはどういう意味ですか。 

「有機」という言葉を聞いて、イメージする内容は人によって少しずつ異なっているかもしれません。

「有機=オーガニック、エコ」と思い浮かべる人もいるでしょうし、「有機=無機・有機の有機」と考える人もいらっしゃるかと思います。

「有機農業」、「有機農産物」、「有機質肥料」。「有機」という同じ用語が使われていますが、それぞれ意味や内容が異なります。

 

「有機農業」

 「有機農業の推進に関する法律」における「有機農業」の定義は、「化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業」とあります。

「有機農業」は、農業の自然循環機能を大きく増進し、環境への負荷を低減する、つまり「環境に優しい農業」であるといえます。

なお、「化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと」とは、化学物質を含まないという意味ではありません。人をはじめとする動物や植物、微生物、食品などは化学物質からできています。体を作っているタンパク質や、ビタミンなどの栄養素も化学物質です。有機農業の場合、使用してもよい生産資材等の製造方法についての制限を設けているのです。

 

「有機農産物」 有機JASマーク

次に、「有機農産物」という言葉は、「有機JAS規格」に適合した生産を確実に行う者と認定された事業者のみに表示を認められている表記内容です。

スーパーなどで「有機JASマーク」のついた商品をご覧になった方も多いと思います。

 この「有機JASマーク」がない農産物や農産物加工食品に、「有機◯◯」、「オーガニック◯◯」などの名称を表示したり、これと紛らわしい表示をしたりすることは法律で禁止されています。農産物に「有機◯◯」、「オーガニック◯◯」と表示するには、登録認定機関による認定を受け、有機JAS規格のルールを守って生産する必要があります。

 

有機質肥料

今回のニュースなどで、「有機質肥料」や「有機入り肥料」という言葉を初めて見聞きしたという方もいらっしゃるかと思います。

肥料は大きく分けて、化学的方法で生産されたものとそうでないものがあります。鉱物を加工したり、化学的に合成されて作られるものを無機質肥料といい、有機質肥料とは動物や植物由来の肥料のことです。肥料取締法の中で登録されている「有機質肥料」は現在約3,000銘柄ありますが、例えば、植物由来の「なたね油かす」や「大豆油かす」、動物由来の「魚かす肥料」や「肉かす粉末」、「加工家きんふん肥料」などがあります。家畜のふんなどは動物由来ですので「有機質」と一般的には言えますし、農産物に栄養分を供給することもできますが、法律に基づき登録された「有機質肥料」ではありませんので注意が必要です。

また、有機質の原料を用いたことを肥料の名称の中に入れる場合は、その種類を問わず「有機入り○○」と表すことになっています。ただし、その有機質の原料に由来する窒素の量を0.2%以上含んでいなければなりません。

なお、有機質肥料であっても、化学的方法で生産されたものであっても、肥料は化学物質からできています。それぞれの化学物質の性質や存在割合などは異なります。

 

<参考情報>

  

 6.「有機質肥料」で作られた農産物が「有機農産物」になるのですか。 

「有機農産物」は「有機JAS規格」に適合した生産を確実に行う者と認定された事業者のみに表示を認められています。

「有機JAS規格」は、諸外国と同様に、コーデックス(食品の国際規格を定める機関)のガイドラインに準拠して定められ、以下のような方法で生産することが決められています。

 

 

したがって、「有機農産物」と表示するには、肥料だけでなく、農薬など他の観点からも「有機JAS規格」に適合している必要があります。

なお、「有機JAS規格」の中に、「有機農産物」と表示しようとする農産物の生産に使ってもよい肥料が具体的に記載されています。具体的に記載された肥料だけが有機農産物の生産に使用可能です。肥料取締法上の「有機質肥料」であっても有機JAS規格上は使えないもの、「有機質肥料」として登録されていなくても有機JAS規格上使える肥料もあります。

 

<参考情報> 

 

7.農林水産省の検査体制に問題があったのではないか。今後も同じようなことが起きてしまうのではないですか。 

この度の問題で、消費者の皆様、生産者の皆様に多大なご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。

同じようなことを繰り返さないよう、今後は以下の再発防止の取組を強化し、皆様の信頼回復に努めてまいります。

 

通常行う検査時においても厳しい検査方法に改善します。

違反の疑いがある場合の検査では、これまでも、原料の種類、製造工程、在庫等の確認を含めて厳しく検査を行ってきました。

一方で、計画的に行う通常の検査では、出来上がった肥料のサンプルを採取し、ラベルと照らし合わせて内容量に問題がないか分析し点検してきました。

今後は、通常の検査においても、原料の種類や製造工程のチェック、検査職員自らが在庫を確認することを徹底してまいります。また、これまでどおり、疑義情報があった場合は速やかに立入検査を実施します。

 

今回の問題の原因究明を急ぎます。

法違反がみつかった7社(太平物産株式会社、旭肥料株式会社、相模肥糧株式会社、株式会社ジャット、株式会社中田商会、富山魚糧株式会社、九鬼肥料工業株式会社)に対して、違反事項の原因究明と再発防止策を報告するよう命じました。

 

法令違反がみつかった肥料の自主回収を徹底します。

全農などの肥料販売業者に対して、太平物産株式会社が製造し、法違反が確認された肥料の自主回収を徹底し、その実施結果を報告するよう指導通知を出しました。

 

肥料の登録・届出を行っているすべでの肥料メーカーに自主点検と改善を求めました。

約3,000の業者(肥料の銘柄数は約9万銘柄)に対して、原料の種類の記載に不適正はないか、あった場合には記載を正すよう指導通知を出しました。

 

関連情報 

 

 

 

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消費・安全局消費者行政課
担当者:リスクコミュニケーション推進班
代表:03-3502-8111(内線4600)
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FAX: 03-6744-1974

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