ホーム > 農林水産省について > 採用案内 > 採用パンフレット > 採用パンフレット 2001年度版


ここから本文です。

 

1種事務系採用情報

1種技術系採用情報

採用パンフレット 2001年度版

I種事務系

巻頭言

農林水産行政の最前線から(各局庁の業務紹介)

世界を舞台に(在外勤務)

霞が関の一員として(他省庁への出向)

人材を育む(留学・研修)

一年生の声

コンテンツ

「変革の時」 

大臣官房企画評価課上席企画官
(現:生産局畜産部畜産企画課畜産総合対策室長)
水田 正和 (昭和59年入省)

皆さんは、農林水産省にどんなイメージをお持ちでしょうか。農林水産省が抱える「食料」と「農林水産業」の世界はここ2~3年の間に大きく変わりつつあります。

一昨年7月、戦後の農業政策の基本となっていた農業基本法に代わる「食料・農業・農村基本法」が制定され、この法律に基づき、昨年3月、「食料・農業・農村基本計画」が閣議決定されました。その背景には次のような事情があります。

世界の食料需給が中長期的にはひっ迫するとみられている中で、我が国の食料自給率は、年々低下し、平成11年度にはカロリーベースで40%という、主要先進国の中で最も低い水準となっています。これは、国民の食生活が変化し、畜産物や油脂の消費が増加したものの、飼料穀物や油量原料(大豆等)について国内生産で十分対応できなかったため、輸入に依存せざるを得なかったからです。

そのような状況の中、昨年の7月に行われた農産物貿易に関する世論調査では、国民の約8割が我が国の将来の食料供給について不安があると答えており、良質な食料を合理的な価格で安定的に供給するという、国内農業の役割に対する国民の期待は高まっています。

こうした「食料の安定供給」の役割のほかに、農業は、国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、良好な景観の形成などの「多面的な機能」を持っており、これらの役割を将来にわたり十分果たしていけるようにするため、「農業の持続的な発展」を図り、また、その基盤となる「農村の振興」を図ることが必要となっています。これらの4つを基本理念として新たな基本法が制定されたのです。

そして、基本計画においては、食料自給率の目標について、基本的には5割以上を目指すことが適当であるとしつつ、平成22年度までの目標値として、食料消費と農業生産における課題が解決された場合に実現可能な水準として45%とされたところです。この目標を目指して、消費面では適正な栄養バランスの実現や食べ残しを減らすなど食生活の見直しに向け、また、生産面においては自給率の低い麦、大豆、飼料作物の本格的生産に向け、各般の取組を始めているところです。

さらに、林政の基本的考え方については、木材生産主体から、森林の多様な機能の持続的発揮へと転換することとし、また、水産については、本格的な200海里時代を迎えて水産資源の保存管理と持続的利用を図ることとしており、こうした新たな理念と施策の方向を示す「森林・林業基本法案」、「水産基本法案」が今国会に提出されています。

このように、農林水産政策は今まさに変革の時を迎えています。国民の生活の基盤を支える食料や農林水産業に関心があり、意欲に燃えた皆さんが、農林水産省の門をくぐられることを大いに期待しています。 

ページトップへ

 


 

 「食料政策について」 

総合食料局食料政策課課長補佐
(現:石川県農林水産部農政課長)
吉田 誠(平成3年入省)

「食料」に関する政策の企画、政策評価といった仕事をしています。

食料政策の具体的テーマとしては「食料自給率の向上」、「望ましい食生活の実現」、「食品産業の健全な発展」、「安定的な輸入の確保」等いろいろあり、それぞれ話せば長いので詳しくは省略しますが、ぜひ言っておきたいのは、農林水産省の仕事は、「農業」や「農村」の範囲にとどまらないし、国民の生活に極めて密着したものであるということです。

例えば、食料自給率向上対策といえば、農業や農村の問題であって、都会の人には関係ない話のように感じられるかもしれません。

しかしながら、自給率の低下は、朝昼晩と漬け物や魚をおかずにご飯を食べるといった食生活から、パンやパスタ、おかずとしても肉をたくさん食べるようになったという食生活の変化によるところが実は大きいのです。したがって、都市の消費者を中心として、食生活のあり方を見つめ直す幅広い活動を展開しているところです(例えば、国民全部が毎日ご飯をもう一口食べれば、それだけで自給率が1パーセント上昇します。)。

また、我々の食生活は、スーパー、食品メーカー、外食事業者など食品産業に大きく依存している部分があり、食品産業における国産農産物の需要の拡大に取り組んでいくことも極めて重要です。

このように、食料自給率の向上のためには、農業分野のみならず、消費者や食品産業事業者など食料の供給システム全体を視野に入れた総合的な取組が必要であり、いずれにしても容易なことではありませんが、国民の食に対する不安を取り除き、安心して食生活を送れるように努めていくことが農林水産省の第一の役割だと思っております。

公務員を志望されている皆さんが思い描く「いい国」とは、どのようなイメージのものでしょうか。

僕は、おいしい食べ物がとれ、豊かな食生活がある国だと思い、そのような国づくりをしたいということで当省に入りましたが、今も、自分の仕事を通じ、この国の生活がより楽しいものになるよう少しでも貢献していきたいと思っています。

国民の食生活を縁の下で支えるという農林水産省の仕事は、決して派手ではないし、世の中の最先端にある仕事とも思いません。

けれども僕は、愛する女性たちが食事をするときの楽しそうな笑顔をみるたびに、農林水産省で仕事をしていることを誇りに思うのです。

ページトップへ


「グローバリズムとリージョナリズムと日本の農林水産業と私の仕事」 

総合食料局国際部国際調整課課長補佐
(現:衆議院法制局参事)
金田 直樹(平成4年入省)

現在、我が国を取り巻く経済状況には様々なものがあります。その中でも特に、全世界の殆どの国々がプレーヤーとして参加する経済競争の激化や、EU(欧州共同体)やNAFTA(北米自由貿易協定)といった特定の地域の国々における経済関係の緊密化といった現象は、1990年代から顕著にみられるようになりました。

このような流れは、日本経済そして日本の農林水産業にも大きな影響を与えています。例えば、昨年春以降の生鮮野菜の価格低下傾向については、近隣諸国からの輸入の増大がその原因ではないか、と多方面の関係者から指摘されました。そのような声を踏まえ、農水省において事実把握に努めた結果、ねぎ、生しいたけ、畳表の3品目について、セーフガード(緊急輸入制限)に係る政府調査を我が国で初めて実施することになりました。

また、我が国初の自由貿易協定(締約国間の関税を原則として撤廃することを主たる内容とする協定)として、シンガポールとの間の経済連携協定についての交渉が現在なされています。これについても、我が国の農林水産業に与える影響を勘案して慎重に対処しなければなりません。

このような、新たに発生する状況に対処するに当たっては、何よりも柔軟な考え方が必要とされます。日々発生する業務が前例のないことばかりとなるからです。また、如何なる方向を目指して如何に対処していくべきか、は、今までの自分の業務経験や思考やその他諸々を踏まえ、自分の思想の全てを動員して決定するものとなります。

ある他省庁の担当者とのやりとりの中で、私は次のように言いました。「確かに、グローバリズムやリージョナリズムの傾向は否定できません。しかし、だからといって何の歯止めやセーフティーネットもないままそれらを我が国に導入することは適切なこととは思いません。現に、増大する輸入農産物に対処するためセーフガードを発動してくれ、という要望がここにはたくさん来ているのです。」

これは、あるべき日本経済の姿として私が思い描いているものを踏まえた発言です。一方、先方からは、別の観点からの意見をいただきました。先方にもその思い描くあるべき日本経済の姿があるのです。このような「あるべき姿」に関する議論を行うことは、特に役人らしい仕事といえるでしょう。

農水省に期待される役割には様々なものがあります。その中でも、グローバリズムやリージョナリズムへの適切な対処といったものは、今後、より一層大きくなるものと思われます。

このような状況を敏感にとらえ、あるべき日本経済の姿を一緒に考えて下さる方の訪問を心からお待ちしています。

ページトップへ


「日本の原風景から21世紀へ向けて」 

農村振興局土地改良企画課課長補佐
(現:環境省自然環境局野生生物課課長補佐)
橋本 剛(平成5年入省)

  1. 日本の原風景と土地改良事業
    「春の小川はさらさらゆくよ・・・」小学唱歌で歌われるこの小川は、多分間違いなく「農業用用水路」でしょう。農村に育った日本人が、幼い頃どじょうをとったり鮒を捕まえたりした小川は、水田に水を導く用水路だったはずです。このように、日本の原風景としての「自然」は、原生林など手つかずの自然と異なり、水田や水路、お寺や神社といった人間の生活と自然が溶け合ったものであったと言えます。水田と用水路は、稲作のために私たちの祖先が二千年にわたり営々と作り上げてきたものですが、この水田の改修や水路の整備を行う事業が、私の担当する土地改良事業です。
  2. 2001年土地改良法改正
    皆さんご承知のように、このところ、土地改良事業などの公共事業に対する批判が強くなってきています。その内容は、財政再建のための公共事業費の削減、環境や生態系の保全、地域住民の反対運動など様々な方面にわたっており、現行の制度では対応が難しい問題が生じてきているのも事実です。つまりは、土地改良事業も21世紀にふさわしい新しい仕組みが必要となってきているのです。このため、今年、土地改良法の改正案を国会に提出することとなりました。
    法律「改正」といいますが、別にこれまでの法律が悪法だったわけではありません。ただ、制度を取り巻く環境は、時代によって少しずつ、時には大きく変わります。このとき、時代に追いつきながら制度も変えていかなければならないのです。私が担当した2001年改正では、[1]これまでの経済性のみを追求する事業から、自然環境や景観と調和した事業への転換、[2]農家の意向に加え、地域に暮らす人々の考えも取り込んだ事業の進め方の導入などを柱として、「日本の原風景」である自然と溶け合った農村景観を次の世代に伝えつつ、21世紀においても十分な食料の確保ができるような仕組みとすることを目指しました。もちろん、この法律だけで日本の農村が変わるわけではありませんが、しっかりとした第一歩を踏み出せたのではないかと思っています。
  3. 思うこと
    率直に言って、新しい制度作りはなかなか簡単なものではありません。変化の必要性は実感しつつも、その一歩が踏み出せない場合も多いのです。諦めたくもなるときもありますが、でも、もうちょっと踏ん張れば、今までになかったような新しいアイデアに基づく仕組みが動き出すかもしれないと思うと、モノづくりにも似た創造の喜びが湧いてくるものです。農林水産省の門をたたいたあなた、私たちと一緒に、この創造の現場に立ち会ってみませんか。

ページトップへ


「フランス、フランス人、フランス農業」 

日本貿易振興会パリ・センター駐在員
植村 悌明(平成元年入省)

Jetroパリセンターに勤務して1年半になる。Jetroの仕事は日本貿易振興会の名が示すとおり貿易の振興がその主なものとなる。今日本では世界中のあらゆる食品が食べられる。輸入に頼ることの是非はともかく、バラエティーに富んだ食卓となっている。フランスは世界第2位の農産物・食料品輸出国であり、日本へのワイン、コニャック、ミネラルウォーターなどの飲料を始めとして、チーズやバターなどの乳製品、ブレスの鶏など実に様々なものを輸出している。この手助けをするのが私の任務の一つだ。

人はいう「フランスは素晴らしい国だ。もしフランス人がいなければ。」これはフランス農業にも当てはまる。「フランス農業は素晴らしい。もしあの農民がいなければ。」彼らは実にアクティブである。野菜や果物の価格が下がったとする。彼らは直ちに行動する。道路を封鎖したり、農業関係の公的機関の前などに野菜や果物をぶちまける。早く救済しろというのだ。

彼らは自らの農産物に自信を持っている。確かにラベルルージュなどの品質保証マークが付いた農産物は実に美味い。こんなに美味しいものを作っている自分たちが悪いはずがないと思っている。需要と供給の関係などはどこ吹く風で、消費者がもっと買えばいいと思っているが、消費者に文句を言って補償をとるわけにはいかないので政府に要求するのだ。

Jetroでは年に2回日本市場に関する大規模地方セミナーを行っている。ドサ回りをして日本市場の理解につとめるというフランス側にとっては実に有り難いプログラムである。このセミナーには毎回必ずこれらのやからが訪ねてくる。彼らは自信満々である。「さあ俺様の作ったものを売ってやるから、おまえは輸入業者さえ紹介すればいい。」と思っている。面談の過程でいろいろと日本市場の説明をする。あまり塩味のきついものは好まれない、個食化しつつあるので一人で食べきれるぐらいの量の方がいい等々である。結構素直に聞く場合が多い。ところがである。その後輸入業者などから色々話を聞くと、彼らの要求にほとんど応えないことが多いようだ。「俺様は昔からこの方法でやってきたんだ。フランスの消費者は美味いといっている。変える必要はない。」頑固者め。せっかくこちらが教えてやってるのに。まあ、この頑固さがフランス農業の質を支えていると考えると憎めないところはあるが。これからも戦いは続きそうである。

ページトップへ


「ニューヨークの知られざる郊外」 

在ニュー・ヨーク総領事館領事
(現:大臣官房文書課企画官)
森 重樹(平成2年入省)

ご存じニューヨーク

並び立つ摩天楼の間から見える抜けるような青空。私が勤務する在ニュー・ヨーク日本国総領事館は、マンハッタンの目抜き通りパーク・アヴェニューに面した高層ビルの19階にオフィスを構えています。
世界のビジネス、金融、メディアの中心地でCapitaloftheWorldと自称する活気にあふれる大都会。ネオンサインのきらびやかなブロードウエーや、ライトアップされた吊り橋と高層ビルの夜景の写真は、誰しも一度は目にしたことがあるでしょう。

知られざる郊外

そんなニューヨークから高速道路I-78を西へ2時間半、遠くに小高い山を望むなだらかな丘陵に、牧草地の緑のじゅうたんが広がり、ホルスタインのむれがのんびりと草を喰むランカスター郡。この辺りはペンシルバニア州有数の酪農地域であるとともに、200年以上も昔からの伝統的な生活を守り続けているアーミッシュの人々で知られています。
オランダ系移民の彼らは、信仰上の理由から機械文明をかたくなに拒み、電気を使わずテレビも見ません。自動車の代わりに馬車、農作業は馬と人力で行い、素朴な生活には無用と子供の教育は中学校まで。こうした彼らの生活ぶりは、最近の環境問題への意識の高まりや有機農業ブームの中で、新たな脚光を浴びつつあります。

ペンシルバニア国際農業祭

2000年1月、新たなミレニアムを迎えたタイムズ・スクエアのカウントダウンの興奮もさめやらぬまま、私はペンシルバニア国際農業祭に招待され、ランカスター郡にほど近い州都ハリスバーグにやってきました。
古都フィラデルフィアや鉄の街ピッツバーグを擁するペンシルバニア州にとっても農業は地域経済の重要な柱。各国の商社や外交団を招いて、農林産物から加工食品まで同州産品の売り込みを図ろうというのが州政府のねらいです。
同州の農業祭の中心は、州全土から選抜された農家が競う70年以上も続く家畜の品評会。1週間あまり続く品評会に出品するため、牛、豚、鶏、ウサギからバッファローまで、巨大な展示施設に所狭しと家畜が飼われています。

「森サン、牛に足を踏まれないように気を付けて。」と州政府の案内担当デービッド君。踏まれた足を急にのけようとすると、牛がバランスを保つためその脚に体重をのせて、かえって怪我をすることになるので、お牛様が脚をのけてくれるのを待たなければいけないそうです。感心するのは、農家の子供たちが家畜の毛をすいたり、敷きワラを交換したりと、両親と一緒になって家畜の世話をしていること。比較的長い農業の歴史がある北東部では、自家の牧草で牛を育て家族総出で世話をする伝統的な農業が今も続いているのです。

この地域の農業界は、「家族農業を守って地域の景観・環境を保全しよう」という主張を持っています。この考え方は日本やヨーロッパの農業に対する見方に近いように感じられ、新大陸農業にも共有できる価値観があるのだと、何故か心の安まるのを感じるのでした。

ページトップへ


「マクロ経済を眺めながら農林水産業を考える」 

財務省主計局調査課課長補佐
(現:生産局特産振興課課長補佐)
長井 俊彦(平成2年入省)

大蔵省(今は財務省になりますが)といえば、各省庁から要求される事業を査定し、予算を編成することが思い浮かぶと思いますが、私の職場は直接予算を査定するのではなく、予算編成や国会審議の際に必要なマクロ経済に関する資料を提供する、いわば後方支援とでもいうような部署にあたります。具体的には、諸外国の財政状況について資料を取りまとめたり、我が国のマクロ経済指標から、経済財政運営の参考となる資料を作成しています。

私が入省したての頃、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉の様子を聞いて、国際化の流れの中で日本の農林水産業を考えることが大切であると感じましたが、現在の仕事において、日本の財政を諸外国との比較の中で捉えていくというのは相通ずるものがあります。また、職場で飛び交うマクロ経済の話を聞きながら、就職して10年余を過ぎて、再び大学で学んだ経済学を勉強し直している、というところです。これまでは予算を要求する側にいたわけですが、今は予算査定部局の中で国の財政をどうするのかという話を聞いており、両面を眺めることでいろいろなことが見えてくるような気がしています。

経済学にマクロ経済学とミクロ経済学があるように、国の行政も、マクロ、ミクロの両面を見ながら、理念をもちつつ、現実に即した政策を立案していくことが重要であると思います。私のこれまでの職場の変遷をみると、地方自治体の現場から、法律改正、国の財政運営に至るまで、まさにマクロ、ミクロ両面に富んだものであり、その意味で、農林水産省は多角的にものごとを眺める機会を与えてくれる職場であると思います。

また、どんな仕事であっても、結局は人と人とのつながりが一番であります。これまで、私は仕事を通じて、幸運にも、多くの人と良いつながりをもつことができました。これからは、皆さんと、新たな、良いつながりを持つことができることを願っています。

ページトップへ


「田園の国からのメッセージ」 

イギリス・ケンブリッジ大学
加藤 貴司(平成7年入省)

政府派遣の留学生として渡英してから、はやくも半年が経ちました。欧米や東アジアの若者に混じりつつ、刻苦勉励の日々を過ごしています。

異国で改めて学生生活を送ってみると、かつての日本の学生時代には気付かなかったことに、いろいろと気付かされます。その1つ目は、学問と仕事の結び付きについてです。現在私は、欧州連合の共通農業政策(CAP)などについて勉強しています。さすがに本場だけあって、大学スタッフの陣容、学生のレベル、図書館の蔵書など、なかなかのものがあります。この地で、欧州統合のダイナミズム、CAPの政治過程などにアカデミックな立場から接近を試みるということは、職業的行政官としての私にとっても非常に意義深いことのように思われます。

かく言う私も、日本の学生時代には、「アカデミックな知力・技能とプロフェッショナルな知力・技能は別物だ」とひとり決め付け、それを口実に遊んでばかりいました。現役学生の皆さんは、どう思いますか?

2つ目は、学生とは実に自由な存在であり、様々なことを自分の頭でゆっくりと考えることができるということです。学校から与えられる課題は(少なくとも英語劣等生の私にとっては)質量ともにハードなものですが、それでも自律的にコントロールしていけば、霞が関の生活では得られないような自由な思考の時間を手にすることができます。考えてみれば、景気低迷のこのご時世に、海外で2年間も勉強する機会を与えてもらえるというのは、とても贅沢なことですよね。農林水産省の懐の深さが、しみじみ感じられる今日この頃です。

ところで、18~19世紀に活躍したケンブリッジ大学出身の学者たちは、「人類は近き将来において、食料不足のために自滅するであろう」(『人口論』のマルサス)とか、「世界の人類は、人口の増加によって、ついには食料の奪い合いとなり、強者は残り、弱者は滅びる」(『進化論』のダーウィン)などの言葉を残しています。今日の発展途上国の食料問題を思えば、21世紀に生きる私たち全てにとって、含蓄ある警句となっているのではないでしょうか。まさに21世紀の世界を創らんとする皆さんと、食料政策についてスケールの大きな議論ができることを楽しみにしています。

ページトップへ

 


 

「つなぎとめてくれるもの」 

農林水産技術会議事務局先端産業技術研究課
(現:大臣官房秘書課)
姫野 崇範(平成11年入省)

皆さんが農林水産省の職員とお話しするときに「農村派遣研修」について一度は耳にされると思いますので、ここでこの研修について、私の体験を交えて簡単に紹介させていただきたいと思います。農村派遣研修は、入省2年目の職員が秋の1ヶ月間、農家に泊まり込んで実際に農作業の体験をする制度です。派遣先の地方、作物(漁業、畜産も含まれます。)等については、事前に希望を出すことができます。

私は、山形県の南部に位置する南陽市において、さくらんぼ、りんご、洋なし(ラ・フランス)と米を作っている農家にお世話になりました。後継者不足は現代の農村が直面している問題の一つですが、お世話になった農家では私と同じくらいの年齢の息子さんが後継者として御両親と一緒に3人で働いていました。その中にあって、私はまるで次男坊のように温かく受け入れていただき、非常に幸せに有意義な日々を送ることができました。

研修期間であった9月の下旬から10月の中旬の時期は、その農家の主力商品であるさくらんぼの収穫期(6月下旬)に比べると「だいぶ落ち着いている」とのことで、毎日大体朝の8時半頃から夕方の6時頃まで作業をしていました。稲刈り(初めての経験でした。)に始まり、りんごの葉摘み、玉回し(この2つの作業はりんごを日光に当てて着色をよくするために行われます。)、ラ・フランスの収穫、果樹園の草刈り、施肥、明渠(みぞ)掘りなど、丁寧な技術指導を受けながら、「一通りの秋の仕事」をこなしました。作業の合間に父子の間で、「この一角のりんごはさくらんぼに植え換えよう」などと、積極的に意見の交換が行われていたことが強く印象に残りました。

また、研修期間中には農作業の体験だけでなく、地区の青年団の会合、JAの会議、りんご共選場での作業、改良普及センターによる管内の視察、市内の農業施設の見学、等に参加し、多くの方と出会い、多くの農業の現場の姿を見る機会を得ることができました。

農家の方々は、私が農林水産省の職員であると自己紹介すると、日頃の思いをぶつけて来られ、多くの場合、「生産物(特に米)の価格が安く、生活が安定しない」ことに対する強い不満を述べられます。しかし、よくお話を伺うと、首都圏等の家庭への果物の直接販売等によって、収益を上げている方も中にはいらっしゃいます。全体として私は、農家は生活に対して危機感(不安感)を持っているという印象を受けました。個々の農家において何が解決可能であり、何が解決困難な問題であるのか、また、その困難な部分に対して、国としてどのようにアプローチすればよいのか、という問題意識が研修を通じて芽生えたように思います。

「一面の雪景色を見に遊びに来てください。」という言葉に甘えて、2月の中頃に私は再び研修先農家を訪れました。久しぶりの一家団欒の中、ふとお父さんに「姫野君、米はまだ安くなるのかな。」と尋ねられ、私は思わず身を正しくしました。

行政官として、行政対象の視点に立つことは非常に大切だと考えます。そして、農村派遣研修は、農家との密接なつながりを与えてくれる、非常に意義深い制度です。皆さんが農村派遣研修に興味を持たれ、実際に体験していただけることを願っています。

ページトップへ


「ドタバタの中で」 

水産庁漁政部漁政課
(現:大臣官房企画評価課)
猪口 隼人(平成12年入省)

今、水産庁は激動の時にある。今後の水産政策の基本理念と施策の方向を定める「水産基本法」の策定作業が大詰めを迎えており、また、毎日のように紙面を賑わす「有明海ノリ不作問題」の対応に追われているのである。さらに、このようなドメスティックなことだけでなく、水産物の貿易問題や捕鯨問題、周辺諸国との漁業交渉など、国際的話題にも事欠かない。私は、このような水産庁の庶務課である「漁政課」に配属されて、そろそろ1年になる。

この一年間は、無我夢中で仕事をこなし、本当にあっという間に過ぎていった。4月に入って間もない頃、漁港法改正の法案審議で夜が白むまでの国会対応を経験して度肝を抜かれ、その後組織再編の政令改正の関係で上司が法制局対応に苦労しているのを訳も分からず眺め、夏には2ヶ月間研修に出て他省庁の仲間たちと学生に戻ったように楽しんだのだが、戻ってきたら初めての予算の季節のバタバタにただただ戸惑い、上司が財政当局とぎりぎりの折衝をしているのをこれまた訳も分からず眺め、、、こうして庶務課のドタバタの中でいつの間にか21世紀を迎えたのである。そして水産庁の動きの中で訳も分からず揉まれているうちに、いろいろな破片が繋がってきて、急に色々なことが判ってきた(気がする)のがこの頃である。

そんなときに起きた大事件が「有明海ノリ不作問題」である。漁業者の不満と不安、政治家の思惑、役人の理屈、マスコミの描きたがる構図。これらが絡み合って非常に複雑な問題になっているが、ここからどう世の中が納得する論理的な答えを生み出していけるか。もちろん私は決定権など全くないのだが、農林水産省のさまざまな意志決定の中で、資料作成などを手伝い(それが翌日新聞、テレビで報道されるのである)、その動きの一角に参加しているのが非常にオモシロイ。

さて、思いつくまま書きつづってみましたが、とにかく一度農林水産省を覗いてみて話を聞いてみてください。私がそうであったように、たとえ農林水産業を全く知らない人でも、わくわくする話がきっと待ってるはずです。

ページトップへ

 


 

「1年を振り返って・・・」 

生産局畜産部食肉鶏卵課
(現:島根県農林水産部農業振興課)
細川 美香(平成12年入省)

入省して約1年。私は今、食肉鶏卵課というところにいます。食肉鶏卵課・・・すごい名前だと思いませんか?わが課に限らず、生産局には面白い名前の課がたくさんあります。他には例えば、牛乳乳製品課とか、砂糖類課(今は特産振興課になってしまいましたが。)とか、野菜課とか・・・。さすが農林水産省!という感じです。

ここで働いていると、普段何気なく食卓に並べられている食品も、実は奥が深いということを痛感します。当たり前のことですが、それぞれの品目毎に生産している農家があって、流通・加工する業者がいて、そしてそれを支える政策や制度、事業がある。品目毎に課があるのも納得。私たちが食べ物を目の前にして、「おいしい!」とか「栄養満点!」とか話しているのが、いかに表層的かがわかります。レストランや家庭の食卓で私たちが目にする食べ物は、いわば氷山の一角なんですよね。

また、業務には、国内の事情だけでなく海外の事情も深く関わってきます。海外事情によって国内の食品の価格が上下したり、時差のある外国との交渉に即座に対応するため夜遅くまで待機したり。時には、今やっている仕事が新聞記事に載る、なんてことも。今まで味、価格にしか興味のなかった輸入品が、交渉や政策の結果に見えて来ちゃったりして・・・。ここまでくれば、立派な霞ヶ関人。

時にはハードな仕事だと感じることもあるけど、予測できない毎日に飽きることはないし、気さくな上司や気のおけない同僚に囲まれ笑いも絶えません。毎日をドラマティックに過ごしたい方、この上ない充実した日々を過ごしたいガッツのある方、是非農林水産省の扉を叩いて下さい。大歓迎でお待ちしています!

ページトップへ

 

お問い合わせ先

大臣官房秘書課 
ダイヤルイン:03-6744-2001
FAX:03-3592-7696

ページトップへ

農林水産省案内

リンク集


アクセス・地図