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採用パンフレット 2002年
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採用パンフレット 2002年度版I種事務系巻頭言農林水産行政の最前線から(各局庁の業務紹介)
世界を舞台に(在外勤務)地域に根ざして(地方自治体への出向)霞が関の一員として(他省庁への出向)人材を育む(留学・研修)一年生の声
コンテンツ「新たな政策の時代」大臣官房企画評価課調査官 昨年は食品をめぐる事件が続発し、食品の安全性についての消費者の関心は極めて大きなものとなっています。今ほど「食」のあり方、未来が問われていることはないと言っても良いのではないでしょうか。 皆さんは「農林水産省」というと、どのような行政を想像しますか。「農林水産業」に関する行政を行っていることはもちろんですが、その領域は、「食」、「産業」(農林水産業に加えて食品産業、外食産業など)、「地域」(農山漁村、中山間地域など)に係る行政にわたっています。 ここ数年来、農林水産行政は「大変革期」にあります。 このような中、従来の政策手法では対応できなくなっている分野も多く、「食料・農業・農村基本法」「森林・林業基本法」「水産基本法」といった基本法やこれに基づく基本計画の策定に続き、各種法律・制度、予算等の見直しが進められています。 私が官庁訪問で農林水産省を訪問した際、ある先輩から聞いた「意気に感ずる仕事が多い」職場であるとの言葉が強く印象に残っています。私自身この言葉を実感しながら、十数年間この仕事をやってきました。(現在は、行政の透明化、効率化を目指す省全体の「政策評価」を担当しています。) 官庁訪問は、学生の皆さんにとって中央省庁の仕事の内容について直接話を聞くことのできる貴重な機会です。一人でも多くの皆さんが農林水産行政について関心を持ち、また農林水産行政を志すことを期待しています。 「美しい地球を残すために私たちができること」総合食料局食品環境対策室企画官 20世紀は、石油など有限な地下資源を使った、大量生産・大量消費・大量廃棄の時代と言われています。その代償として、地球温暖化、ゴミ問題など地球環境を悪化する事態が懸念されています。21世紀は、この「地下資源使い捨て社会」から脱却し、リサイクルに代表されるような資源を循環利用する「循環型社会」、バイオマス資源(生物由来資源)により石油資源を代替する「脱石油社会」へ移行していくことが求められています。 農林水産業は、本来的に、太陽・水・土という自然の恵みを利用して、持続的に農林水産物を生産する営みです。これにより生産される農林水産物、その副産物である家畜排せつ物や間伐材、消費に伴う生ゴミなどは、21世紀にその活躍が期待されるバイオマス資源です。地下資源は乏しいわが国ですが、このバイオマス資源では「アラブもうらやむ資源大国」。これを有効活用し、地球環境の保全に貢献するという課題が、今後、農林水産省として力を入れていくべきものとなっています。 これはほんの一例で、美しい地球を次世代に残していくために、今、私たちがしなければならないことが、まだまだたくさんあると思っています。誰しも無関係ではない環境問題は、多くの関係者と議論を重ね、少しずつ前に進んで行くもので、非常に刺激的でおもしろい前向きな仕事です。それだけにこれまで農林水産省がやってきた行政の手法や範囲をはみだすこともあります。だからお手本はありません。ただ、これからの地球のためにできること、それは若い世代の皆さんが主体的に新たな感覚で考えていくべきものだと思っています。是非、一度、農林水産省の門をくぐって、美しい地球を残すために、一緒に考えてみませんか。 「野菜農業の構造改革!?」生産局野菜課課長補佐 農林水産省には野菜に関することを所管する部署として「野菜課」という組織が一課あるだけである。野菜は米や畜産と並んで農業生産額の約4分の1を占める基幹的な部門となっているにもかかわらずである。極論すれば、農業全体の4分の1の問題が野菜課に集中するわけである。それだけに責任は重たい。野菜の生産、流通、消費にわたって、現状の把握・分析、政策の立案・実行といった野菜に関する一連の政策プロセスのすべてがここにある。 その中に、昨年ほぼ一年にわたり世間の耳目を集めたセーフガードの発動問題もある。経済のグローバリゼーションは輸入野菜の増加という形で野菜農業の世界を揺るがしている。しかし、SG(セーフガード)は所詮、水際措置であり、しかも永遠のものではない。大事なのは国内野菜農業の体質強化、筋力強化である。そこで、国際競争力強化のための新たな野菜政策を構築し、いかに野菜農業の構造改革を断行していくかがカギとる。 その新たな野菜政策の企画立案をするのが今の私の仕事と言えよう。具体的には、野菜の構造改革対策の一環として、野菜生産出荷安定法の改正作業を任されている。しかし...野菜農業の構造改革とは一体何なのか。「構造改革なくして日本の再生と発展はない・・・痛みを恐れず、既得権益の壁にひるまず、過去の経験にとらわれず、・・・二十一世紀にふさわしい経済・社会システムを確立」というのは、小泉総理の所信表明演説の一節である。ならば、野菜農業にとっての「痛み」とは?「既得権益の壁」とは?「過去の経験」とは?何だろう。これをよく考えれば自ずと答えが出てくる。それが新しい政策へと昇華していき、法律改正につながっていった。 今回の法律改正では、様々な痛み、既得権益の壁、過去の経験(詳細は農林水産省を訪問してくれれば直接説明します。)を乗り越え、生産者と実需者との契約取引を推進するためのまったく新しい制度を創設した。何もないところに新しいものを作るというのは大変な大作業だったが、構想段階から新制度の枠組みの検討、法律の制定までの一部始終をメインプレイヤーとして行動してきたので、その充実感は何とも表現しようがないほど大きなものだ。 このメインプレイヤー感というのは重要で、局長や課長は脇役で自分こそが主役と思うことこそが仕事を面白くさせる。そして、明日の日本を憂いこの国を改革しようという志を一層奮い立たせてくれる。食料・農業の問題に限らず、日本が希望に満ち溢れた未来を創造できるか否かは、君たち一人ひとりの改革に立ち向かう主体性と志にかかっている。民間企業であっても、中央官庁であっても、さらにどこの省庁であってもいい、君たちが最終的に選ぶフィールドにおいて、それぞれが高邁な志の下で主体的に行動していくことが未来の世界に光を与える。志は信念となって、信念は決意となって、決意は行動となって結晶するのだから。 「企業的農業経営の展開について」経営局構造改善課課長補佐 「昨年3月の農地法改正によって、株式会社が農地を取得して稲作などの農業の世界に参入できるようになりました。」 そこで、株式会社についても、一定の要件の下で、農地を取得して農業を営むことができるよう、法律改正が行われました。 意欲的に企業的農業経営に取り組む人を“アグリ・チャレンジャー”と呼んで様々な支援を実施しているところです。行政においても、斬新なアイデアを持ち、チャレンジャー精神にあふれる人材が求められています。そんな皆さんの来訪を是非お待ちしています。 「田舎へ行こう!」農村振興局地域振興課課長補佐 今、田舎が静かなブームである。田舎暮らしや農業体験をしてみようといった雑誌や本を、書店で良く目にすることが多いのではないか。電車のつり広告でもこの手のものを探すは簡単だ。某放送局では「ザ!鉄腕!DASH!!」という番組の中で農業体験を人気タレントが行うコーナーが人気を博している。 だが、このブームは、都市と農山漁村との関係が、今までと変わってきたということを意味するものではない。すなわち、都市は都市、農山漁村は農山漁村で別世界を構成しているという考え方がこのブームの底には潜んでいるのである。これでは、田舎への憧れは一過性のものに終わってしまう。 この新しい地域振興策の中で注目されているものの中にグリーン・ツーリズムがある。 このように、我が地域振興課では、日夜、一見、農村の地域振興という、極めてドメスティックと思われがちな政策課題を、欧米の例を参考に、日本人のライフスタイルをどう変えていくかといったグローバルで、かつ、文明論的な観点からも議論している。日本人のライフスタイルをどのように変えていくかといった広い視点に立った政策議論を、書生的な議論に終わらせず、地に足のついた議論にするためには、開かれた議論ができ、かつ、地域の実情にも目配りすることができる場と、日本の現状を何か変えられないかという情熱を持った人が必要である。農林水産省という組織は、その点で、全く問題のない組織だと思うが、真贋の程は、是非、当省を訪れ、自らの目で確かめて欲しい。 「21世紀は生命科学の時代」農林水産技術会議事務局技術安全課課長補佐 遺伝子組換え、クローンといった言葉を、最近テレビや新聞でよくみかけると思います。みなさんは、そのような言葉にどんな印象をお持ちでしょうか。マスコミなどで使われるときには、このような先端技術がもたらすベネフィットへの期待と今まで知らなかった危険へのおそれといった二つの意味が込められていることが多いと思います。 20世紀後半からは、物理化学を中心とする科学技術は、人類に明るい将来をもたらすだけでなく、その反面として危険性も伴うものだという考えが広がってきました。 さて、遺伝子組換え技術には、これまで述べたような輝かしい可能性の裏側に、今まで知られていないリスクを持っている可能性があります。よく知られているのは「今までなかった作物を食べても本当に大丈夫だろうか」という食品としての安全性でしょうが、もう一つ世界的な議論の的となっているのは、「遺伝子組換え生物は環境に悪影響を与えないのか」ということです。みなさん、こう言われても「?」かもしれませんが、例えば、砂漠や海水でも生育する遺伝子組換え作物ができたときのことを考えてみましょう。世界の食料供給に大きく貢献するでしょうが、同時に、砂漠や海での今までの生態系を変化させ、そこで暮らしていた生物や人の暮らしを脅かすかも知れません。私のいる技術安全課の大きな仕事は、組換え作物の環境に対して悪影響を与えないかのチェックです。 遺伝子組換え生物による環境に対する影響といっても、今までのところ、悪影響が実証された例は世界的にもありません。しかし、遺伝子組換え生物がそのようなリスクを持つ可能性は認められており、先進国では、国による審査をパスしなければ外に出せないこととしています。ただし、その遺伝子組換え生物に対する考え方は国によっても異なり、大きくいってアメリカやカナダでは許容している人が多いですが、ヨーロッパでは懐疑的な人が多いようです。しかし、どの国でも遺伝子組換え生物の持つ大きな将来性を考え、安全性のために努力する一方で、自国の将来のため、研究開発を強力に進めています。我々も、これからの生命科学の時代に我が国が乗り遅れることがないよう、研究開発の推進、安全性の確保、国民理解の促進を三つの大きな柱として施策を進めているところです。 21世紀の産業の礎を一緒に築いてみようと思う方の訪問を大いに期待しています。 「30年ぶりの改正について」食糧庁計画流通部計画課生産調整推進第1係長 「減反」という言葉を御存知ですか。遠い記憶を辿れば、小学校や中学校で、日本では、米余りが大問題となっており、それを解決するために、水田を使った米作りを制限しているということを勉強したなあ・・・と懐かしく振り返る方も多いでしょう。この減反(今は、「生産調整」という言葉が一般的です)は、昭和46年に開始されて以降、約30年間の歴史を重ねてきているのですが、今でもしっかりと残っているばかりではなく、むしろ、強化の一途を辿ってきています。つまり、日本の米については、供給能力が需要を圧倒的に上回る構造が続いており、今でも、その構造は解消されていないということなのです。昨年の夏、「青刈り」という措置が行われましたが、この聞き慣れない言葉を新聞紙上などで見つけた方もおられると思います。これは、豊作が予想され、米余りが心配される際に、収穫の前に刈取りを行う生産調整の一つの手法なのですが、このように、今でも、ありとあらゆる装置を用いて、米余りという大問題と対峙しているのです。 「生産調整は、もう、限界ではないか」といった声がよく聞かれます。生産調整は、米を作らない水田の面積は全国で○○haといった方式で行われているのですが、その面積が増加されていく中で、農業者からすれば、米を自由に作ることができず、悲鳴を上げているのも事実です。また、毎年毎年、地域・集落内を回り、生産調整を渋る農業者の説得などに膨大なエネルギーを費やしている現場の市町村や農協の担当者にしても同じ思いかもしれません。更には、政策を遂行してきた側からしても、生産調整をいくら強化しても米の需給と価格の安定が図られず、政策の手法そのものに欠陥があるのではないか、という一種の限界感を感じており、確かに、日本の米作関係者がそれぞれ大きな壁にぶちあたっているのです。 こうした行き詰まりから脱却するために、現在、「生産調整に関する研究会」が立ち上げられ、新しい米の生産調整のあり方について議論されています。30年間に蓄積した歪みや疲労感は相当なものがあります(私自身も、生産調整の開始年に生まれたことを考えると、その歴史の長さを実感します)。また、生産調整は、一人たりとも非協力者を出さないよう、地域・集落が一体となって取り組むといった伝統的な農村構造としっかりと結びついた形で行われてきましたが、最近よく登場する「担い手」育成の考え方となじむのかなど、日本の農業・農村に関する他の政策とどのように折り合いをつければよいのか難しい面も見られます。どこから手を付ければよいのか、わからない所もありますし、重い車輪を皆が「うーん」といって押してもビクともしない場面も見られますが、押し続ければ、いつか、導火線に火がつくように一気に突破する可能性も秘めています。そんな日を夢見て、皆さんもこの輪の中に入ってみませんか。 「緑の砂漠に立ち向かう」林野庁林政部企画課課長補佐 日本の国土の約70%は森に覆われています。森林は、木材の供給源となるだけでなく、人間の生命に不可欠な水の源であり、また土砂崩れを防止するなどの様々な機能を有しています。また、近年では森林浴など心身の癒しの場として利用されたり、二酸化炭素の吸収源として地球温暖化の防止に果たす役割が注目されています。 このように森林はきわめて重要な役割を果たしていますが、今、日本の森林は病んでいるのをみなさんご存じでしょうか。 手入れがされない森林は、もやしのような木しか育たないほか、日光が十分にはいらず下草が生えないため、表土が流出し、災害に非常に弱くなってしまいます。今まさに、我が国の森林は、緑の砂漠となる危機に直面しているのです。 このような状況を背景に、昨年、森林・林業政策の憲法とでもいうべき「林業基本法」が37年ぶりに改正され、「森林・林業基本法」となりました。 このように森林・林業政策の進むべき基本的な方向は決定しましたが、そのためにどのような政策を講じていくのかは今後の課題となっています。どのように国民の求める森林を維持造成していくのか、林業・木材産業の構造改革をどのように進めるのか、京都議定書にも掲げられた温暖化ガスの排出削減目標を達成するためどのような吸収源対策を講じていくかなど課題を掲げればキリがありません。 このように課題が山積していますが、その分やりがいのある職場です。私たちと一緒に、このような問題に立ち向かっていただける方の訪問をお待ちしています。 「森は海の恋人、港は?」水産庁漁港漁場整備部計画課課長補佐 私は、現在、農・林・水のうち、水を担当する水産庁に勤務しております。 このような中、私は読んで字の如く「漁港と漁場を整備すること」を通じ、政策をアウトカムすることが仕事としております。 新たな公共事業への試み漁港と漁場、そして漁村の生活環境整備は、その政策手段としては公共事業を通じて行っているものが大半です。皆さんも『公共事業』という言葉を耳にされると、まず「無駄だ!」「いつも事業をダラダラやってる」といった意見や感想を持たれている方も少なくないと思います。かくいう私も、これに近い考えを持っており、これらのマイナス要素を改善するため、この4月から制度を改め、徹底した情報公開と地方分権を柱としたものへの大転換を図ることとしました。これに併せ、漁業・漁村の活性化に本気で取り組む地域に対して重点的に投資をしていくシステムとし、行政としては実施した事業の効果を厳密に評価することとしております。この新たな取り組みがどのような成果をあげていくのか今から期待しております。 「一衣帯水の彼方から」在大韓民国日本大使館一等書記官 韓国の首都、ソウルの街中では、今ではほとんど農地を見ることができない。1960年代以降の経済成長により人口が膨れあがり、今や全人口(約47百万人)の4分の1がソウルに集中してしまったためである。 しかし、ひとたび街を離れれば、様相は一変する。ソウルから南、プサンまで4時間半で到着する国鉄セマウル号で1時間ほども走れば、窓の外には一面の田園風景が広がる。日本の農村地帯を走っているのではないかと思わず錯覚するほど、よく似た風景である。ヨーロッパのものでも、アメリカのものでもない風景がそこにある。 また、国際化の進展による影響も強まって来ている。先のガットUR交渉では、韓国は、いわゆるミニマムアクセスの受け入れにより、国内米消費量の最大4%を輸入することを約束させられた。また、韓国人の食生活に欠かせないにんにくやキムチの材料となる白菜までもが、安価な中国産の輸出の脅威にさらされている。一方で、食糧自給率は、日本以上に低い水準から抜け出せないでいる(注2)。 一方で、昨年の11月にカタール・ドーハにおいて新たなWTOラウンド交渉の開始が合意されたが、これにより、農業分野における交渉も本格的に進められることとなる。WTO交渉のように多くの国が参加する交渉においては、言うまでもなく、共通の利害を持つ国を多く味方に付けることが重要な作戦となる。今後、農林水産業の分野において、日韓が互いの課題を乗り越えて、共通の利益のために協力しあえるために、少しでも役に立てれば、と考えている。 (注1)年間コメ消費量 韓国96.9kg/人、日本65.1kg/人(99年度) 「高原の首都から」在オーストラリア大使館 参事官 オーストラリアにとって日本は最大の貿易相手です。主要な輸出品は地下資源に農林水産物(小麦、砂糖、牛肉、チーズ、パルプチップ、ロブスター等々)、そして自動車を始め日本の工業製品が普及しています。日本に対する関心は高く日本語学習も盛んです。 私が勤務するキャンベラは、標高600m前後の山の中に造られた計画都市で、緑も多く、自然公園も多数あります。もっともそれは市街地の話。周囲は数十キロにわたり殆ど人の住まない乾いた土地が広がっています。 オーストラリアは世界一乾燥した大陸なのです。そこで行われる農業は規模も方法も日本とはかけ離れており、また、農業による塩害など環境問題が生じています。農業をすることが環境保全になるというWTO農業交渉での日本の主張は、こうした農業を行っている人には理解しにくいだろうと感じます。農産物輸出国は、農産物貿易をもっと自由化するよう求めますが、日本としても簡単に応じらるわけではありません。大使館での仕事には、このような日本の国際交渉での立場を外国政府に説明・意見交換するという、いわゆる外交活動があります。 また、外国の制度・政策を調べることも、大使館の役割の一つであり、日本の国内の仕事と密接に関連しています。日本国内で政策などを検討する際に外国の例を参考にすることがあります。日本には古くから先進国の事情を熱心に調べてきた伝統がある上、様々な面で外国との関係が不可避になっている現代では他国との整合性にも配慮が必要ですし、輸入品などを通じて外国の制度が国内に直接的な影響を及ぼすこともあります。そこで、外国の例、私の場合はオーストラリアの例を調べて日本の同僚の側面支援をすることになります。ちなみに、オーストラリアの政府の仕組みは日本とかなり異なり、日本での常識が通じないことがしばしば。外交を除く内政面では州政府の権限が強く、中央政府に聞いてもわからないことが珍しくありません。外国で仕事、生活をしていると折に触れて日本との違いを発見することがあり、それはそれで興味深いものです。 「ロス・アンゼルスで思うこと」在ロス・アンゼルス領事館 領事 ロス・アンゼルスというと皆さんは何を思い浮かべますか。ディズニーランド、ユニバーサル・スタジオ、サンタモニカ、ハリウッドなどでしょうか。その周辺に広大な農業地帯が広がっていることを知っている人はあまり多くはないでしょう。 僕は、自然が好きだし、農村の人々が好きです。そう感じる人は決して少なくないと思っています。 「課長、朝ご飯、食べてっかっす?」山形県農政課長 と聞かれると、一瞬答えに詰まる。炊飯器もってないんだよなー。ここは米どころ山形、おっちゃんの目がイタイ。 そんな私も山形3年生。東京での生活と大きく変わった点、違う点多数。
色んな集まりに呼ばれて話しをさせられたり、現場を回って農業者の方達と夜の場も含めて意見交換したり、県議会で様々な質問に答弁したり。相手は、こっちを「農林水産省代表」とみて、国の施策も含め農政全般についての意見、不満をぶつけてくる。こっちも「農林水産省代表」のような顔をして、個人的な考えを大いに含めながら、随分と率直な気持ちをぶつけさせてもらっている。言い過ぎて?某県会議員の怒りを買ったこともあったっけ。 そんな日常の中、田園風景のあふれる、ここ山形でさえ、生産サイドと消費サイドの距離、食と農の距離が遠くなっていることに驚き、悪戦苦闘もしている。「だべ」「だべ」、「んだ」「んだ」言いながら・・・ 「天皇・皇后両陛下、つのだ☆ひろ、パパイヤ鈴木、日本丸!」静岡県焼津市経済部長
農林水産省でも、故郷兵庫県で発生した阪神大震災への復興業務(現場にも行きました)や、養殖関係の新法作成など思い出深い仕事の機会をいただきました。入省して10年。役所のフィールドの広さを改めて実感しています。 「田園の中にありて」徳島県阿南市産業部耕地課事務主任
それは、平成13年3月中旬のことでありました。水産庁管理課のタコ部屋(法律改正の検討室の通称)にいた私は、漁政課長から呼び出され、内示を受けました。「徳島県阿南市に行ってもらう」。それまで徳島県と全く縁のなかった私には、「とくしま県?あなん市??」。更に、「耕地課に配属になる」と漁政課長の一言。今まで全く触れたことのない農業公共事業、しかも市役所といえばバリバリの現場仕事。こうして、入省以来2年かけてやっと水産のさわりを理解した(つもり)だけの私は、「農業土木技官と間違えられているのだろうか」などとちょっとずれた(?)感想を持ちつつ、阿南市に赴任したのでした。 阿南市は徳島県の南東部に位置し、面積252.1平方km(市を横断するのに車で1時間かかる)、人口5万8千人、第1次産業就業者の割合が15.7%と農漁業の盛んなまちです。 耕地課で私は、県営、団体営(市営や土地改良区営等)の土地改良事業の採択までの調査や地元説明、県との調整を担当しています。ほ場整備(田んぼの区画整理)や農道、用排水路等の新設、改廃の必要な個所を調査し、補助事業の採択基準をクリアできるか検討し、採択にこぎつけるのが主な内容です。昼は市内を走り回って事業の必要な個所を調査し、夜は地元説明会で農家の方々に事業の必要性、内容を説明するという毎日から、農村の現状が見えてきます。 軽自動車が何とか一台通れるだけの幅しかない道。両側は、何枚にも細かく分かれた不整形な田んぼ。田んぼ1枚の面積はわずか10~20アールに過ぎず、水路も所々石垣が崩れかけている。こんなところをうねうねと走りながら、ほ場整備事業の説明会に行きます。やっとたどり着いた集会所で始まる説明会の参加者は、平均年齢60~70歳台。50歳台では「若い衆」の部類です。乏しい農業収入とかさむ機械代で生活が苦しく、専業でやるのはかなり困難。たとえ兼業でやるにしても、区画整理も水路の改修もなされていない土地では農業にとられる労力が大きすぎて、本業が成り立たない。自然、農業は老年世代に任されてしまい、若年層が都市部へ流出してしまうのです。 このように、マイナス面が目立つ今の農村です。しかし一方で、農家は自分達の作物の質に自信を持っています。食料供給は重要な課題であり、自分達がその担い手だと自覚しています。農地が管理されず、山や川、更には平地までもが荒廃するのを懸念しています(一年休耕しただけで田んぼは雑草がぼうぼうになります)。子孫に管理のしやすいきれいな田んぼを残し、伝統あるむらを維持したいという思いがあります。そのためには、枚数の少ない広区画の農地でリースの機械を使う、集約化低コスト化農業へ転換し農業収入を上げていく。そうすれば若い人がむらに戻る、産業としての活気も出てくる。ここに日本農業の活路があるといえます。 食料安全保障、国土保全、良好な景観の形成、農村文化の伝承等、農業について国に課された責任には重いものがあります。これらの諸課題を達成していくために、実際にこの国の農業を支えている現場、足元をよく眺めてみることは大切なのではないでしょうか。そして、皆さんにも地方に出てよく農業の現場を眺めていただきたい、そう思うのです。 「農産物輸入と農林水産省」経済産業省貿易経済協力局貿易審査課課長補佐 私は今、経済産業省に出向し、特殊関税等調査チームに勤務しています。「特殊関税等」とは、セーフガード、繊維セーフガード、アンチ・ダンピング、相殺関税、それから、中国のWTO加盟に伴って創設された対中国経過的セーフガード等の貿易救済措置(一時的に関税引き上げや輸入数量制限により国内産業の被害を防ぐ措置)のことであり、それらが発動できるかどうかWTO協定等に基づき調査を行うチームです。 最近では、ねぎ、生しいたけ、畳表のセーフガード調査を行いましたし、タオルの繊維セーフガード調査やポリエステル短繊維(ふとんの詰め綿など)のアンチ・ダンピング調査を行っているところです。 ここ数年、様々な産品の輸入が急増し、様々な業界からこれらの措置の発動を求める声があがっています。その意見の多くは、安い外国製品の輸入によりシェアが奪われ、国産品価格も低下して被害が出ているというものです。そのような事態の背景としては、諸外国の安価なコストなどがあげられますが、日本の何分の1のコストしかかからない諸外国と競争せざるを得ないなど、我が国の国内産業を取り巻く状況は厳しくなっており、ますます、貿易救済措置に対するニーズが高まることも予想されます。 しかし、貿易救済措置は一時的な麻酔のようなもので、いつまでも頼りつづけるわけにはいきません。したがって、輸入品との差別化等により国内産業に競争力をつけるための取り組みが大変重要で、国内産業の自助努力は勿論のこと、行政の支援方策も不可欠です。 「先端を最(再)先端に」~revitalization of peninsular areas~国土交通省都市・地域整備局
「海外で知る和食のチカラと重要性」ペンシルバニア大学ロースクール 農林水産省から2年間の留学という機会を与えられ、世界各国から集まる弁護士や、アメリカ人の学生と共に改めて法律を勉強しています。最初は回りが何を言っているのか分からないという程度の英語力で不安な留学生活をスタートさせた私ですが、バックグラウンドの全く異なるクラスメート達との交流は、食事やお酒を一緒に、お互いの国の料理を紹介したりすることで深まっていきました。農林水産省で鍛えた飲酒の成果もさることながら、妻がつくった和食に興味を持ってもらうことで、日本の文化を伝えられることができ(お陰で和食を紹介する妻との会話の方が弾む友人もいて、私は蚊帳の外になることもあるのですが・・・)、食事が生活を豊かにし、同時にその国の文化を伝えるものであることを改めて感じさせられ、日本の食事を守っていく重要性を痛感します。 さて、私が住むフィラデルフィアは全米第5位の都市でありながら、郊外には田園地帯が広がっており、農林水産業が都市の暮らしと一体になっているという側面もあります。農林水産業が都市に食料及び憩いの場を提供するとともに環境を保全している、一見理想的な姿に見えますが、アメリカにおいても農林水産業が抱える問題は日本と同じです。そして、農業の貿易問題、自然資源法等の勉強の中で気づくのは、アメリカのみならず各国政府が解決を模索しているものの、農林水産分野における行政課題は山積しているのは世界共通ということです。 皆さんは農林水産省について、国内マターばかり、国際交渉においては常に「守る側」、そういうイメージを持っていませんか。確かに派手な分野ではありませんが、行政改革や地方分権により、国の行政が果たす役割が小さくなる流れの中、(幸か不幸か)農林水産分野はこれからの行政課題が残されたフロンティアとは言えるのではないでしょうか。各国の精鋭たちが未だ解決していない問題に取り組むには、21世紀の担い手である皆さんのクリエイティビティが必要です。世界のモデルとなるような農林水産政策を一緒につくっていきませんか。 「カナダの豊かな自然に囲まれて」カナダ・ブリティッシュコロンビア大学 皆さんはカナダと聞いて何を想像しますか。カナディアン・ロッキーの雄大な景色、オーロラ、アイスホッケーをこよなく愛するカナダ人、赤毛のアンのプリンスエドワード島など色々あると思いますが、カナダは広大な国土と豊富な資源を利用して農業、木材生産が盛んで、食料品や木材の貿易相手国としても日本と非常に密接な関係があります。 意外に知られていないこのカナダという大国についてもっと知りたいと思い、私は現在、長期在外研修制度を利用してバンクーバーにあるブリティッシュコロンビア大学(UBC)に留学しています。海に囲まれたきれいなキャンパスで、食料資源経済学(「グローバル・フードマーケットの分析」、「持続可能な資源活用と林業・水産業」といった内容)を専攻していますが、久し振りにアカデミックな世界に戻るのも新鮮な感じです。 UBCには世界中から留学生が来てますが、バンクーバーがアジアへの玄関口となっているせいか、アジア諸国の留学生比率が高いのが特徴です。彼らとともに約半年間授業を受けて一番印象的なのは、日本の学生と比べて授業中とてもアグレッシブだということです。どう思うかと教授に聞かれて長々と演説を始めるような人が多く、彼らのプレゼンテーション能力の高さには感心させられます。将来の国際交渉の前哨戦と勝手に思って対抗しようとしてますが、現在のところ英語力で圧倒的な差があり、苦戦している毎日です。 これからの日本農業を考えるにあたって、食料安全保障、WTO農業交渉、遺伝子組換え作物の問題など、グローバルなものの考え方や知識を必要とする問題が今まで以上に重要になってきています。このような時期に海外から日本を客観的に眺める機会が与えられたことは本当に有益なことだと感じています。このカナダでの体験をもとに、皆さんとグローバルな視点から食料問題を議論する日を楽しみにしています。 「農林水産省の国際貢献」政策研究大学院大学 学生の皆さんこんにちは。私も今は皆さんと同じように学生として、レポートや試験に追われる毎日を過ごしています。農林水産省の能力開発(人材育成)制度のおかげで、数年の実務経験の後に再び大学で学べる機会をいただいているのです。政策研究大学院大学とは、学生の半数が国や県の公務員、半数が海外の公務員というユニークな構成で、私は国際開発(途上国開発についての経済学を中心とした政策研究)を日本に居ながら英語で学んでいます。(海外に留学させてもらえる語学レベルにはまったく達しなかった私でしたが、駅前留学を続けた努力が報われたのだと思っています。)今は、実務を離れ、理論を身につける機会と思って自己研鑚しているところです。もう一つのユニークな点は、このコースにはインターンシップとして国際機関(FAO(国連食糧農業機関)、世界銀行など)での実務を経験する機会があることです。農林水産省の数ある研修制度の中でもかなり充実したコースだと思います。 さて、皆さんの中には、「なぜ国際開発を学ぶのか?」と思われた方がいるかも知れません。農業面での国際貢献は農林水産省の重要な仕事の一つなのです。世界の栄養不足人口は8億人と言われます。多くの食料を輸入している日本の食料安定供給のためには、世界の食料安定供給は大変重要です。「緑の革命」に代表されるような先進国から途上国への技術移転は世界の食料安定供給に大いに貢献することは明らかで、この分野における日本の役割は大変大きいのです。正直に言えば、私自身、環境問題への強い関心と、自然と最も調和した産業である農業への親しみから農林水産省に入ったので、「国際貢献」という分野についてはほとんど知りませんでした。このような「幅広いフィールド」を持っていることも農林水産省の特徴の一つではないでしょうか。 最後になりますが、就職は人生の大きな転機です。皆さんもこの転機において、できる限り多くの社会人の話を聞き、疑問をぶつけ、世界を広げてください。 「南の果てからこの国を見つめて」食糧庁消費改善課
「未来を担う筈の者として」総合食料局食品産業企画課 日々の作業に追われる生活。 ふらふらと昼食から帰る道すがら、路傍の木を眺めながら、そんなことを考えていた。 明治14年に農商務省として設置されてから121年、度重なる組織改編を経て、現在の農林水産省がある。 この100有余年、日本の農村、日本人の食は大きく変化してきた。 田舎を旅していると、多くの耕作放棄地が目に留まる。やはり淋しさを感じもするが、それが現実だという認識もある。一方、急斜面に石垣を作り、防風林を植えて作物を育てているところがある。小さな島の、ほんの猫の額ばかりの平地(又は緩傾斜地)に密集して家を建て、漁業を営んでいる村がある。そうまでして営む産業としての価値があったからこそ、そのような決して住む環境として有利とは言えない場所に、集落が形成された。 私は、人の営みのある風景が好きだ。大自然より、人の音や匂いのする場所が好きだ。おじいさんが港の片隅で漁の網を繕っている。おばあさんが段々畑に腰をかけてしばしの休憩。子供の小さなパンツと、おじいちゃんのももひきが並べて干してある庭先。ただの懐古主義かもしれないけれど、「そんな風景がずっと続いていてほしい」それがちょうど二年前、私がここを選んだときの漠とした想いだった。 この一年で、総務課で局の取りまとめをやり、原課に異動になって課内の取りまとめをやり、さらに法改正のプロジェクトチームに配置されることとなった。ミクロな業務へと変わっていく中で、自分がどこで何をやっているのか、少し見えてきた気もする。 本当に、もう、一年である。嘘のような勢いで過ぎた。 「心を亡くす」=「忙しい」という。この職場は確かに忙しい。(場合が多い。) 「『原課』での1年間」経営局金融調整課 農林水産省に入省して早くも1年が経とうとしています。社会人になるんだという昂揚感と、自分に果たしてこの仕事が勤まるのかという不安感が入り混じっていた入省式が、まだ昨日のことのように思い出されるのに、本当に1年というのは早いものです。 私は去年の4月に経営局総務課に配属となり、そこで、国会業務や予算業務の一端を経験した後、すぐに人事院主催の初任行政研修に派遣されました。そこで印象に残った経験として、地方行政研修で青森県の碇ヶ関村というところに派遣された際に、炭焼きを体験したことが挙げられます。文字通り業火の中の作業で、重労働ではありましたが、農林水産業とそれまで縁のなかった私にとっては貴重な体験でした。 8月に研修から帰ってくると、すぐに金融調整課への異動を命じられました。農業に金融なんて関係あるの?と思われるかもしれませんが、農業機械や施設などの大規模な資本投下が必要な農業にとって、金融の役割はとても重要です。農協や農林中央金庫、農林漁業金融公庫など農林水産業を資金面でバックアップする諸金融機関の監督業務を担う当課は所管する法律・政令も多く、法令改正に奔走する日々が続きました。現在国会で審議されている、通称「農業金融2法案」は、その中でも中心を占めるもので、法制局審査段階から作業に関わることができました。苦しいと感じることもありましたが、携わっている法令が何らかの形で農政に貢献すると思えば、苦労も報われるというものです。その点、法令改正等の作業に最初から最後まで関わることができ、その分仕事を成し遂げたという充実感と達成感を得られるところが、原課の魅力とも言えるでしょう。 最後になりますが、農林水産省に興味を持っている方は、ぜひ一度、足を運んで職員の話を聞いてみてください。どの人も様々なバックグラウンドを持っていて、その都度新たな発見があるはずです。そして、就職先を決めるときに悩んだら、そのときの話を思い出してみて下さい。悩んで、それでやりたい仕事が農林水産省にあると思ったら、門をたたいて下さい。我々は大歓迎であなたをお待ちしています。
「一年間で得たもの」生産局総務課 皆さんは「農水省」という言葉から何を連想しますか。その答は人それぞれでしょうが、「BSE(牛海綿状脳症)」の事が思い浮かんだ方も多いかと思います。 ここでは最も印象的だったBSEを例に挙げましたが、生産局にはその他にも、セーフガードや農薬、環境など私たちの生活に密接に結びついている課題が目白押しです。このことは他局庁でも同様ですし、更に言えば、農水省に留まらず霞が関の仕事全体がまさに社会と直結していると言えるかも知れません。しかしながら、よく自分が官庁訪問をしていた頃にも耳にした「国民のために仕事をする」というフレーズは、以前の私には、その意味を概念的・抽象的にしか受け止めることしかできませんでした。その意味で、今回のBSE問題を通じて、その漠然としたイメージが非常に具体的かつ刺激的なものとして実感できたことは、とても幸運だったと感じています。 私たちの仕事は非常に多岐に渡り、その興味深さをこのパンフレットで全て伝え尽くすのは困難です。今回、紙面の都合上、「自分のやっている仕事がどれほど面白いか」を説明する機会を得られず残念に思っている多くの職員のためにも、是非、一度話を聞きに農水省の門を叩いてみてください。心よりお待ちしています。
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大臣官房秘書課
ダイヤルイン:03-6744-2001
FAX:03-3592-7696