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農林水産省

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食料・農業・農村基本法のあらまし

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食料・農業・農村  基本法制定の背景

旧農業基本法は、昭和36年、その当時の社会経済の動向や見通しを踏まえて、我が国農業の向かうべき道すじを明らかにするものとして制定されました。
しかしながら、我が国経済社会が急速な経済成長、国際化の著しい進展等により大きな変化を遂げる中で、我が国食料・農業・農村をめぐる状況は大きく変化し、成果を上げた面がある一方、国民が不安を覚える事態が生じてきています。


1.食料自給率の低下

食生活の高度化・多様化が進む中で、我が国農業の基幹的な作物である米の消費が減退し、畜産物、油脂のように大量の輸入農産物を必要とする食料の消費が増加すること等により、食料自給率は一貫して低下してきました。このような食料需要の高度化等に対応した国内の供給体制は未だ十分に確立されていない状況です。


 日本の食料自給率の推移

 

2.農業者の高齢化・農地面積の減少など

農業者の高齢化とリタイアが進んでおり、また、農地面積の減少、耕作放棄地の増加も進行しています。農地を有効に利用する体制も十分ではありません。


 農業就業人口の減少・高齢化  農地面積の推移


3.農村の活力の低下

農業生産の場であり、生活の場でもある農村の多くが、高齢化の進行と人口の減少により、活力が低下し、地域社会の維持が困難な集落も相当数みられるようになっています。


 高齢化(65歳以上人口)の進行

 

一方、農業・農村に対する期待は高まっています。健康な生活の基礎となる良質な食料を合理的価格で安定的に供給する役割を果たすこと、国土や環境の保全、文化の伝承などの多面的機能を十分に発揮することなど、くらしといのちの安全と安心の礎として大きな役割を果たすものとして、農業・農村の役割に大きな価値を見出す動きは近年着実に増大しています。


 我が国の食料の生産、供給のあり方 農業の公益的機能


こうした農業・農村に対する期待に応えて、農政全般の総合的な見直しを行うとともに全国各地でみられる新しい芽生えに未来をくみ取り、早急に食料・農業・農村政策に関する基本理念を明確にし、政策の再構築を行う必要があります。
このため、21世紀を展望した新たな政策体系を確立し、国民は安全と安心を、農業者は自信と誇りを得ることができ、生産者と消費者、都市と農村の共生を可能とする食料・農業・農村基本法を制定することとなりました。


食料・農業・農村基本法の骨子

第1  基本理念

1.食料の安定供給の確保

  • 1.食料は、人間の生命の維持に欠くことができないものであり、かつ、健康で充実した生活の基礎として重要なものであることにかんがみ、将来にわたって、良質な食料が合理的な価格で安定的に供給されなければならない。
  • 2.国民に対する食料の安定的な供給については、世界の食料の需給及び貿易が不安定な要素を有していることにかんがみ、国内の農業生産の増大を図ることを基本とし、これと輸入及び備蓄とを適切に組み合わせて行われなければならない。
  • 3.食料の供給は、農業の生産性の向上を促進しつつ、農業と食品産業の健全な発展を総合的に図ることを通じ、高度化し、かつ、多様化する国民の需要に即して行われなければならない。
  • 4.国民が最低限度必要とする食料は、凶作、輸入の途絶等の不測の要因により国内における需給が相当の期間著しくひっ迫し、又はひっ迫するおそれがある場合においても、国民生活の安定及び国民経済の円滑な運営に著しい支障を生じないよう、供給の確保が図られなければならない。

2.多面的機能の発揮

  • 国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の伝承等農村で農業生産活動が行われることにより生ずる食料その他の農産物の供給の機能以外の多面にわたる機能(以下「多面的機能」という。)については、国民生活及び国民経済の安定に果たす役割にかんがみ、将来にわたって、適切かつ十分に発揮されなければならない。

3.農業の持続的な発展

  • 農業については、その有する食料その他の農産物の供給の機能及び多面的機能の重要性にかんがみ、必要な農地、農業用水その他の農業資源及び農業の担い手が確保され、地域の特性に応じてこれらが効率的に組み合わされた望ましい農業構造が確立されるとともに、農業の自然循環機能(農業生産活動が自然界における生物を介在する物質の循環に依存し、かつ、これを促進する機能をいう。以下同じ。)が維持増進されることにより、その持続的な発展が図られなければならない。

4.農村の振興

  • 農村については、農業者を含めた地域住民の生活の場で農業が営まれていることにより、農業の持続的な発展の基盤たる役割を果たしていることにかんがみ、農業の有する食料その他の農産物の供給の機能及び多面的機能が適切かつ十分に発揮されるよう、農業の生産条件の整備及び生活環境の整備その他の福祉の向上により、その振興が図られなければならない。

第2  食料・農業・農村基本計画

1.計画の策定

  • 政府は、施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、基本計画を策定(策定後、国会報告し、公表)

2.計画の内容

  • ア食料、農業及び農村に関する施策についての基本的な方針
  • イ食料自給率の目標(食料自給率の向上を図ることを旨とし、国内農業生産及び食料消費に関する指針として、農業者等の関係者の取り組むべき課題を明確化して策定)
  • ウ食料、農業及び農村に関し、政府が総合的かつ計画的に講ずべき施策(農村に関する施策は、国土の総合的な利用、開発、及び保全に関する国の計画との調和を保つ)
  • エその他食料、農業及び農村に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3.計画の見直し

  • おおむね5年ごとに、食料、農業及び農村をめぐる情勢の変化を勘案し、施策の効果に関する評価を踏まえ、基本計画を変更

第3  食料の安定供給の確保に関する施策

1.食糧消費に関する施策の充実

  • 1食料の安全性の確保と品質の改善を図るとともに消費者の合理的な選択に資するため、食品の衛生管理・品質管理の高度化、食品の表示の適正化等を推進
  • 2健全な食生活に関する指針の策定、食料の消費に関する知識の普及及び情報の提供等を実施

2.食品産業の健全な発展

  • 食品産業の健全な発展を図るため、事業活動に伴う環境への負荷の低減と資源の有効利用の確保に配慮しつつ、事業基盤の強化、農業との連携、流通の合理化等を推進

3.農産物の輸出入に関する措置

  • 1国内生産では需要を満たすことのできない農産物の安定的な輸入を確保するため必要な施策を講ずるとともに、農産物の輸入によってこれと競争関係にある農産物の生産に重大な支障を与え、又は与えるおそれがある場合で緊急に必要があるときは、関税率の調整、輸入の制限等を実施
  • 2農産物の輸出を促進するため、農産物の競争力を強化するとともに、市場調査の充実、情報の提供、普及宣伝の強化等を実施

4.不測時における食糧安全保障

  • 不測の事態において、国民が最低限度必要とする食料の供給を確保するため必要があると認めるときは、食料の増産、流通の制限等を実施

5.国際協力の推進

  • 世界の食料需給の将来にわたる安定に資するため、開発途上地域における農業及び農村の振興に関する国際協力を推進

第4  農業の持続的な発展に関する施策

1.望ましい農業構造の確立

  • 効率的かつ安定的な農業経営を育成し、これらの経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立するため、営農類型及び地域の特性に応じ、生産基盤の整備、経営の規模拡大等農業経営基盤の強化を促進

2.専ら農業を営む者等による農業経営の展開

  • 専ら農業を営む者その他経営意欲のある農業者が、創意工夫を生かした農業経営を展開できるようにすることが重要であうことにかんがみ、経営の発展とその円滑な継承に資する条件を整備し、家族農業経営の活性化、農業経営の法人化を推進

3.農地の確保及び有効利用

  • 国内の農業生産に必要な農地の確保とその有効利用を図るため、農地として利用すべき土地の農業上の利用の確保、効率的かつ安定的な農業経営を営む者に対する農地の利用の集積、農地の効率的な利用等を推進

4.農業生産の基盤の整備

  • 良好な営農条件を備えた農地及び農業用水を確保し、これらの有効利用を図ることにより、生産性向上を促進するため、地域の特性に応じて、環境との調和に配慮しつつ、事業の効率的実施を旨として、農地の区画の拡大、水田の汎用化、農業用用排水施設の機能の維持増進等の農業生産の基盤の整備を推進

5.人材の育成及び確保

  • 1効率的かつ安定的な農業経営を担うべき人材の育成及び確保を図るため、農業者の技術及び経営管理能力の向上、新規就農者に対する技術及び経営方法の習得等を促進
  • 2国民が農業に対する理解と関心を深めるよう、農業に関する教育を振興

6.女性の参画の促進

  • 女性の農業経営における役割を適正に評価し、女性が自らの意志によって農業経営及びこれに関連する活動に参画する機会を確保するための環境整備を推進

7.高齢農業者の活動の促進

  • 高齢農業者の役割分担とその有する技術・能力に応じ、生きがいを持って農業に関する活動を行うことができる環境整備を推進し、高齢農業者の福祉を向上

8.農業生産組織の活動の促進

  • 地域の農業における効率的な農業生産の確保のため、集落を基礎とした農業者の組織等農業生産活動を共同して行う組織、農作業の受託組織等の活動を促進

9.技術の開発及び普及

  • 技術の研究開発の目標の明確化、国・都道府県の試験研究機関、大学、民間等の連携の強化、地域の特性に応じた農業に関する技術の普及事業を推進

10.農産物の価格の形成と経営の安定

  • 1消費者の需要に即した農業生産を推進するため、農産物の価格が需給事情及び品質評価を適切に反映して形成されるよう、施策を実施
  • 2農産物の価格の著しい変動が育成すべき農業経営に及ぼす影響を緩和するための施策を実施

11.農業の災害による損失の補てん

  • 災害による損失の合理的な補てんその他の施策を実施

12.自然循環機能の維持増進

  • 農業の自然循環機能の維持増進を図るため、農薬及び肥料の適正な使用の確保、家畜排せつ物等の有効利用による地力の増進等を推進

13.農業資材の生産及び流通の合理化

  • 農業経営における資材費の低減に資するため、農業資材の生産及び流通の合理化を促進

第5  農村の振興に関する施策

1.農村の総合的な振興

  • 1農村における土地の農業上の利用と他の利用との調整に留意して、農業の振興その他農村の総合的な振興に関する施策を計画的に推進
  • 2地域の農業の健全な発展を図り、景観が優れ、豊かで住みよい農村とするため、地域の特性に応じた農業生産基盤の整備と交通、情報通信、衛生、教育、文化等の生活環境の整備その他の福祉の向上とを総合的に推進

2.中山間地域等の振興

  • 1中山間地域等において、その地域の特性に応じて、新規作物の導入、地域特産物の生産、販売等を通じた農業その他の産業の振興による就業機会の増大、生活環境の整備による定住の促進等を推進
  • 2中山間地域等においては、適切な農業生産活動が継続的に行われるよう農業の生産条件に関する不利を補正するための支援を行うこと等により、多面的機能の確保を特に図るための施策を実施

3.都市と農村の交流等

  • 1国民の農業及び農村に対する理解と関心を深めるとともに、健康的でゆとりのある生活に資するため、都市と農村との間の交流、市民農園の整備等を推進
  • 2都市及びその周辺における農業について、消費地に近い特性を生かし、都市住民の需要に即した農業生産を振興

第6  その他

以上のほか、
  • 1国の責務、地方公共団体の責務、農業者等・事業者の努力とその支援、消費者の役割
  • 2施策実施のために必要な法制上、財政上及び金融上の措置
  • 3年次報告
  • 4食料・農業・農村政策審議会の設置
  • 5行政機関及び団体の組織の整備
  • 6水産業及び林業の振興への配慮

等についての規定を設ける。

 基本法が目指すもの

 

食料・農業・農村基本法(全文)

お問い合わせ先

大臣官房政策課総括班
代表:03-3502-8111(内線3087)
ダイヤルイン:03-3502-8448
FAX:03-3508-4080