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農林水産省

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農業経営の収入保険(詳細)

加入できる方

青色申告を行っている農業者(個人・法人)が対象です。保険期間の前年1年分の青色申告実績があれば、加入できます。
 (青色申告実績が5年未満の場合は、5年分ある場合に比べて小さい補償限度額での加入になります。)

収入保険に加入できるのは、正規の簿記(最高65万円の特別控除)又は簡易な方式(10万円の特別控除)による青色申告です。

現在、白色申告を行っている方は、青色申告に切り替えれば、その翌年から収入保険に加入できます。

青色申告を始めましょう!(PDF : 1,687KB)


<よくある質問>
Q1.収入保険の対象者を青色申告を行っている者としているのはなぜですか?
Q2.青色申告を行っている農業者が経営を移譲した場合、その青色申告実績は引き継がれるのですか?
Q3.法人化した場合、青色申告実績の取扱いはどうなるのですか?

加入・支払等のスケジュール

(1)保険開始前までに加入申請

加入申請は、保険期間が始まる前の月までに行います。

収入保険の保険期間は、1年間(12か月)で、税の収入算定期間と同じです。

個人の場合は、1~12月、法人の場合は、事業年度の1年間が保険期間となります。

収入保険の加入契約は、全国農業共済組合連合会(NOSAI全国連)と結びます。加入申請等の窓口業務は、各地域の農業共済組合が担当しますので、加入申請等の手続きについては、最寄りの農業共済組合に、お尋ねください。

〇収入保険の相談窓口(NOSAI全国連の業務委託先)(PDF : 263KB)

★保険期間が令和6年1月~12月の農業者の場合のスケジュール(イメージ)
スケジュール

(2)事故が発生した場合の対応

保険期間中に収入減少に関係する事故が発生した場合は、加入申請を行った農業共済組合に対して、事故発生の通知を行います。

事故発生の通知は、共通申請サービス(eMAFF)を利用して、ご自宅のパソコンなどから24時間365日いつでも行えるほか、メールや電話による連絡でも可能です。

自然災害や価格低下などにより補てん金の受け取りが見込まれる場合は、補てん金の受け取りまでのつなぎとして、NOSAI全国連から無利子の融資(つなぎ融資)を受けることができます。詳細は、「補てんの仕組み」の(6)つなぎ融資の実施を参照ください。

補償内容

(1)補償の対象

自然災害による収量減少や価格低下だけでなく、災害で作付不能、病気などで収穫不能など、農業者の経営努力では避けられない収入減少を広く補償します。
リスクの図


<よくある質問>
Q4.野菜等では、価格が著しく下落すると、出荷しても赤字が増加することから、収穫を中止する場合がありますが、その場合はどう取り扱われるのですか?

(2)対象収入

収入保険は、農業者が自ら生産し、販売した農産物の販売金額全体を対象収入とします。ただし、収入減少だけでなく、コスト増も補てんする肉用牛肥育経営安定交付金(マルキン)等が措置されている肉用牛、肉用子牛、肉豚、鶏卵については、収入保険の対象品目には含めません。
 (農産物には、精米、もち、荒茶、仕上茶、梅干し、干し大根、干し柿、干し芋、乾しいたけ、畳表、牛乳などの簡易な加工品も含まれます。)

収入保険の対象収入は、青色申告決算書等を用いて、次式により計算します。

     対象収入=農産物の販売金額+農産物の事業消費金額+(農産物の期末棚卸金額-農産物の期首棚卸金額)

対象収入の図

雑収入については、農産物の販売収入に関係ないものも含みますので、基本的には計算式には入れません。ただし、雑収入に計上されているものであっても、農産物の販売金額と同等のものについては、農産物の販売金額に含めることとしています。

例えば、(ア)農産物の精算金、(イ)畑作物の直接支払交付金、甘味資源作物交付金、でん粉原料いも交付金及び加工原料乳生産者補給金の数量払、(ウ)家畜伝染病予防法に基づく手当金、植物防疫法に基づく補償金、(エ)JTの葉たばこ災害援助金は、農産物の販売金額に含めます。


<よくある質問>
Q5.飼料用米の交付金にも数量払的な要素が入っていますが、対象収入に含まれるのですか?
Q6.作業受託料は、対象収入となるのですか?

補てんの仕組み

(1)補てんの仕組みの概要

保険期間の収入が基準収入の9割(5年の青色申告実績がある場合の補償限度額の上限)を下回った場合に、下回った額の9割(支払率)を上限として補てんします。

補てん方式には、保険方式と積立方式を併用する「積立方式併用タイプ」と、保険方式のみの「保険方式補償充実タイプ」があり、農業者が選択できます。

補償限度額と支払率は複数の割合の中から選択できます。

積立方式併用タイプ+保険方式タイプのイメージ図


<よくある質問>
Q7.加入時の積立金の負担が大きいのですが、負担を軽減することはできませんか?

(2)基準収入の設定の仕方

基準収入は、農業者ごとの過去の収入の平均(例えば、青色申告実績が5年分あれば5中5、2年分あれば2中2)を基本としつつ、保険期間中に見込まれる農業収入金額を考慮して計算されます。

保険期間の経営面積を過去の平均よりも拡大する場合や、過去の単位面積当たり収入に上昇傾向がある場合には、基準収入上方修正できるほか、令和6年収入保険から、農産物が気象災害により被災した年の収入金額を補正して基準収入を算定できます。(下図参考)

規模拡大特例の図
収入上昇特例の図

気象災害特例の図

保険期間の収入が過去の平均よりも低くなる場合


<よくある質問>
Q8.基準収入は、一定額に固定するか、5中3にすべきではないですか?
Q9.経営面積を拡大する場合や過去の単位面積当たり収入に上昇傾向がある場合等は基準収入を修正するとありますが、具体的にどのように算定するのですか?
Q10.過去5年間のいずれかの年に、収入が皆無となるような大きな災害があった場合、基準収入を過去5中5平均とすると、基準収入が大きく下がり、十分な補償にならないのではないですか?

(3)補償限度の選択

補償限度(保険方式の補償限度+積立方式の補償幅)は、青色申告実績の年数に応じて、下表の割合を超えない範囲で選択します。

青色申告実績の年数 収入保険の補償限度の上限
5年 90%
4年 88%
3年 85%
2年 80%
1年 75%


補償限度の図

〇保険方式の補償限度
保険方式の補償限度は、下表のとおり、青色申告実績の年数に応じて選択できる割合が異なります。

青色申告実績の年数 保険方式の補償限度
5年 90%、88%、85%、83%、80%、78%、75%、70%、65%、60%、55%、50%
4年 88%、85%、83%、80%、78%、75%、70%、65%、60%、55%、50%
3年 85%、83%、80%、78%、75%、70%、65%、60%、55%、50%
2年 80%、78%、75%、70%、65%、60%、55%、50%
1年 75%、70%、65%、60%、55%、50%


〇積立方式の補償幅
積立方式の補償幅は、5%又は10%から選択できます。

(4)支払率の選択

保険方式の支払率は9割~5割の中から選択できます。積立方式の支払率は9~1割の中から選択できます。

積立方式の支払率は保険方式の支払率以下の割合から選択します。

支払率


<よくある質問>
Q11.収入保険では、ナラシ対策と異なり、基準収入の9割を下回った場合に、下回った額の9割を補てんすることとしていますが、どのような考えで補償の水準を設定したのですか?

(5)補てん金額の試算

基準収入が1,000万円で最大補償(補償限度90%、支払率90%)の場合の補てん金をご紹介します。
積立方式併用タイプ、保険方式補償充実タイプのどちらを選択した場合でも、補てんされる金額は同じです。

補てん金額の表

例えば、保険期間の収入が700万円の場合、900万円(補償限度額)を下回る額は、200万円となります。補てん金は、200万円×90%(支払率)= 180万円となります。

(6)つなぎ融資の実施

自然災害や価格低下などにより農産物の販売金額が減少し、補てん金の受け取りが見込まれる場合は、補てん金の受け取りまでのつなぎとして、NOSAI全国連から無利子の融資(つなぎ融資)を受けることができます。
つなぎ融資の図

融資額は、補てん金の受け取り見込額の8割を上限としています。

例えば、基準収入が1,000万円で最大補償(補償限度90%、支払率90%)の場合、保険期間中に農産物の販売金額が500万円まで減少すると見込まれる時は、400万円(補償限度を下回った額)×90%(支払率)×8割=280万円程度を限度として、つなぎ融資が受けられます。

収入保険の加入者は無利子のつなぎ融資が受けられます!(PDF : 503KB)

(7)補償の下限の選択

収入保険では、補償の下限(基準収入の7割、6割又は5割)を選択することにより、安い保険料で加入できます。

例えば、基準収入が1,000万円の方で、補償の下限70%を選択した場合、保険期間の収入が700万円になったときは、最大180万円の補てんが受けられます。ただし、700万円を下回った分の補てんはありません。

★基準収入の7割を補償の下限とした場合のイメージ
下限の選択の図

収入保険は補償の下限を選択することで保険料を安くできます!(PDF : 579KB)

保険料・積立金・付加保険料(事務費)

加入する場合は、保険料・積立金・付加保険料(事務費)を支払います。
地域によっては、都道府県や市町村による保険料等への補助があります。→詳細はこちら(PDF : 353KB)

(1)保険料

保険料には、50%の国庫補助があります。

保険料は掛捨てになります。

保険料率は危険段階別に設定し、自動車保険と同様に、保険金の受取実績に応じて、毎年、適用される保険料率が変動します。なお、危険段階別に設定する保険料率は3年ごとに改定します。

(危険段階区分が「0」の場合の保険料率(新規加入に適用)

保険料率の表




<よくある質問>
Q12.危険段階別の保険料率はどのようになるのですか?

(2)積立金

積立金には、75%の国庫補助があります。

積立金は加入者自身のお金であり、補てんに使われない限り、翌年に持ち越されます。

(3)付加保険料(事務費)

収入保険の事業を行うための付加保険料(事務費)には、国庫補助があります。(50%以内)

納めていただく付加保険料(事務費)は、以下の計算式によります。
付加保険料(事務費)  =  加入者割(1年目4,500円、2年目以降3,200円)+  補償金額割(保険金額及び積立金額1万円当たり22円(※))
(※)保険方式の補償の下限7割を選択した場合  18円
保険方式の補償の下限6割を選択した場合  20円
保険方式の補償の下限5割を選択した場合  21円

また、付加保険料(事務費)が15万円を超える方は、次の金額が割引になります。
ア付加保険料(事務費)が15万円~30万円の場合は、15万円を超えた額の30%を割引
イ付加保険料(事務費)が30万円を超える場合は、アの割引に加えて30万円を超えた額の70%を割引
共通申請サービスを通じてインターネット申請した方や自動継続特約をする方は、付加保険料(事務費)が割引となります。
付加保険料の表
付加保険料※

(4)保険料・積立金・付加保険料(事務費)の試算

(例)基準収入が 1,000万円で最大補償の場合(新規加入)に農業者が負担する金額
農業者が負担する金額

(5)税務上の取扱い

保険料、積立金、付加保険料(事務費)、保険金及び特約補てん金については、税務上、以下のとおり取扱います。

保険料と付加保険料(事務費)は、保険期間の必要経費又は損金に算入
積立金については、預け金
保険金と、特約補てん金のうち国庫補助相当分は、保険期間の総収入金額に算入

類似制度とは選択加入

収入保険と収入減少を補てんする機能を有する類似制度については、国費の二重助成を避けつつ、農業者がそれぞれの経営実態に応じた適切なセーフティネットを利用できるよう、選択加入としています。

具体的には、収入保険と、農業共済、ナラシ対策、野菜価格安定制度などの類似制度については、どちらかを選択して加入します。

ただし、収入減少だけでなくコスト増も補てんする肉用牛肥育経営安定交付金(マルキン)等の対象である肉用牛、肉用子牛、肉豚、鶏卵については、収入保険の対象品目ではありません。

1)収入保険と、どちらか一方を選択して加入し
類似制度

◎収入保険と野菜価格安定制度の同時利用の取扱いについては、令和6年からの新規加入者は、2年間(令和4年、5年加入者は3年間)の同時利用を可能とし、令和7年以降の新規加入者には適用しないこととします。
※同時利用される方は、収入保険の保険料等と野菜価格安定制度の生産者の負担金の両方を支払います。
※また、収入保険の保険期間中に、野菜価格安定制度の補給金を受け取った場合、収入保険の補てん金の計算上、その金額を控除します。

(2)下記の畜産品目と他の品目の複合経営の場合、他の品目は収入保険に加入できます

  畜産品目の図

(3)収入保険と同時に加入できます

     収入保険と同時に加入できる事業


<よくある質問>
Q13.野菜価格安定制度の指定産地において、野菜価格安定制度から収入保険へ移行する農業者が増加すると、産地要件を満たさなくなりませんか?
Q14.JAが出荷団体として野菜価格安定制度に加入している場合、JAの組合員は、収入保険に加入することができますか?
Q15.集落営農(任意組合)がナラシ対策に加入する場合、その構成員は、収入保険に加入できますか?
Q16.集落営農法人がナラシ対策に加入している場合、その構成員は、収入保険に加入できますか?

政府再保険

収入保険は、不測時に、農業者に確実に保険金が支払われるようにするため、保険責任の一部を政府が負う「政府再保険」を措置しています。
 
政府再保険の実施体制

収入保険に関するQ&A

令和6年からの収入保険Q&A(PDF : 1,618KB)

(令和5年収入保険までに関するQ&Aはこちら)

<よくある質問>
Q1.収入保険の対象者を青色申告を行っている者としているのはなぜですか?

A.
1収入保険が青色申告を行う販売農家を対象にしている理由は、
(ア)国費を投入して収入減少を補てんする制度は、他産業にはない制度であるため、収入把握の正確性が納税者の理解を得るための「肝」であること
(イ)青色申告は、日々の取引を残高まで記帳する義務があり、在庫等と帳簿が照合でき、不正が起こりにくい一方、白色申告ではそこまでの義務がないこと
によるものです。

2また、青色申告には最高65万円の所得控除もありますので、白色申告から青色申告に切り替えるために、税務申告を税理士に委託するなどしても、その際に必要となる手数料に見合うメリットがあります。

3なお、収入保険では、「簡易な方式」による青色申告も対象にしています。「簡易な方式」では複式簿記までは求められておらず、現金出納帳等を整備し、日々の取引を残高まで記帳する方式であることから、現在、白色申告を行っている方でも、容易に取り組めるものと考えています。



Q2.青色申告を行っている農業者が経営を移譲した場合、その青色申告実績は引き継がれるのですか?

A.
1青色申告を行っている農業者が、経営を移譲する場合の青色申告実績の取扱いについては、
(ア)譲受人が青色申告を行う者であって、
(イ)経営移譲の前後で事業の同一性が認められる
場合は、青色申告実績を引き継げることとします。

2例えば、青色申告を行う子へ親の経営をそのまま移譲する場合は、青色申告実績を引き継ぐことができます



Q3.法人化した場合、青色申告実績の取扱いはどうなるのですか?

A.
1法人化した場合の青色申告実績の取扱いについては、
(ア)法人が青色申告を行う者である場合であって、
(イ)法人化の前後で事業の同一性が認められる
場合は、青色申告実績を引き継げることになります。

2例えば、個人経営がそのまま法人化する場合は、収入保険において、個人経営のときの青色申告実績を法人化した後の青色申告実績として引き継ぐことができます。



Q4.野菜等では、価格が著しく下落すると、出荷しても赤字が増加することから、収穫を中止する場合がありますが、その場合はどう取り扱われるのですか?

A.
価格の著しい低下により出荷しても赤字が増加するため、収穫を中止したことにより収入が減少した場合についても、補償の対象になり得ます。ただし、事故発生の通知を受けて、収穫の中止が野菜需給均衡総合推進対策事業のように地域ぐるみで行われているものであるかなど、個別に事情を確認して判断します。



Q5.飼料用米の交付金にも数量払的な要素が入っていますが、対象収入に含まれるのですか?

A.
1収入保険では、補助金については、政策的判断で改廃されるものであり、保険にはなじまないことから、収入保険の対象収入には含めないこととしていますが、畑作物の直接支払交付金(麦、大豆等)、甘味資源作物交付金(さとうきび)等の数量払については、販売収入と一体的に扱われている実態を踏まえ、対象収入に含めることとしています。

2一方、飼料用米の直接支払交付金については、単収に応じて面積当たり単価が変動しますが、麦、大豆等の水田活用の直接支払交付金と同じ面積払であり、畑作物の直接支払交付金などの数量払とは性格が異なることから、対象収入には含めないこととしています。



Q6.作業受託料は、対象収入となるのですか?

A.
作業受託料については、生産者と作業受託者の双方が収入保険に加入した場合に、例えば、ほ場が被害を受けて作物の生産ができなくなり、作業受託料が支払われなかったときに、生産者のみならず、作業受託者にも保険金が二重に支払われる可能性があること等から、対象収入に含まれません。



Q7.加入時の積立金の負担が大きいのですが、負担を軽減することはできませんか?

A.
1積立金の負担が大きいと感じる方の要望に応えて、令和6年から、保険方式のみで基準収入の9割まで補償するタイプ(保険方式補償充実タイプ)を導入します。

2保険方式補償充実タイプには、
(ア)積立方式を使わず保険方式だけで、従来からの積立方式併用タイプと同じ最大補償の9割を選択できる
(イ)積立方式の積立金を負担しなくて済むので、新規加入時や特約補てん金を受け取った後の負担額が積立方式併用タイプよりも少なくてすむ
(ウ)積立方式併用タイプより保険料は高くなるが、その分必要経費として控除できる金額が多くなり、税負担が軽減される
といった特徴があります。

3例えば、基準収入が1,000万円の場合で、積立方式併用タイプ(保険80%+積立10%)、保険方式補償充実タイプ(保険90%)のそれぞれの保険料・積立金は下表のとおりです(支払率はどちらのタイプも90%)。

 
積立方式併用タイプ 保険方式補償充実タイプ
保険料 8.5万円 17.7万円
積立金 22.5万円
31.0万円 17.7万円

積立方式併用タイプ+保険方式タイプのイメージ図


Q8.基準収入は、一定額に固定するか、5中3にすべきではないですか?

A.
1収入は低下することもあれば上昇することもありますが、収入を意図的に下げて補てん金を受け取るといったモラルハザードを防ぐため、実際の収入を用いた過去5年間の平均収入(5中5)を基本として、基準収入を設定することとしています。

2仮に、5中3で算定することとした場合、地域データを用いる収入減少影響緩和交付金(ナラシ対策)と異なり、個々の農業者のデータを用いる収入保険では、保険期間の収入を大幅に下げても、翌年の基準収入は下がらないため、収入を意図的に下げて補てん金を受け取るといったモラルハザードにつながるおそれがあると考えています。


Q9.経営面積を拡大する場合や過去の単位面積当たり収入に上昇傾向がある場合等は基準収入を修正するとありますが、具体的にどのように算定するのですか?

A.
1基準収入については、過去5年間の平均収入(5中5)を基本(過去5年間の青色申告実績がない場合は、実績のある年の平均収入)としつつ、保険期間の営業計画を考慮して設定します。

2具体的には、
(ア)  経営面積を拡大する場合は、過去の単位面積当たり平均収入及び保険期間の経営面積を用いて上方修正(保険期間の見込収入金額の範囲内)
(イ)過去の単位面積当たり収入に上昇傾向がある場合は、過去5年間の平均収入及び各年の単位面積当たり収入の上昇傾向の平均値を用いて上方修正(保険期間の見込収入金額の範囲内)
(ウ)経営面積を縮小する場合や単収・単価の低い作物へ転換する場合などは、これらを加味して下方修正
するなど、客観的な算定ルールを用いて設定します。

(参考)
(ア)保険期間の経営面積を過去の平均よりも拡大する場合(規模拡大特例)
基準収入は、「過去の各年の収入金額を当該各年の経営面積で除した、単位面積当たり収入の平均額」に、「保険期間の経営面積の合計」を乗じて算出した金額を基に、保険期間中に見込まれる農業収入金額の範囲内で設定する。
(イ)過去の単位面積当たり収入に上昇傾向がある場合(収入上昇傾向特例)
基準収入は、「過去5年間の平均収入」に、「上昇指数(過去5年間の各年の単位面積当たり収入の増減率の平均の3乗)」を乗じて算出した金額を基に、保険期間中に見込まれる農業収入金額の範囲内で設定する。
(ウ)保険期間の収入が過去の平均よりも低くなる場合(経営面積の縮小等)
基準収入は、保険期間中に見込まれる農業収入金額となる。



Q10.過去5年間のいずれかの年に、収入が皆無となるような大きな気象災害があった場合、基準収入を過去5中5平均とすると、基準収入が大きく下がり、十分な補償にならないのではないですか?

A.
1個々の農業者のデータを用いる収入保険では、収入を意図的に下げて補てん金を受け取るといったモラルハザードを防ぐため、基準収入は、実際の収入を用いた過去5年間の平均収入(5中5)を基本とし、保険期間の営農計画も考慮して設定することとしています。

2近年、自然災害が頻発化・激甚化している中で、自然災害の影響が甚大な場合には、基準収入が著しく低くなり十分な補償が受けられないといった声を受け、安心して営農が継続できるよう、農産物が気象災害により被災した年の収入金額をその年の基準収入の8割まで補正して、保険期間の基準収入を算定する特例(気象災害特例)を、令和6年収入保険から措置します。

3なお、この気象災害特例による収入金額の補正は、令和5年以前の被災年にも適用されます。

(気象災害特例のイメージ)
気象災害特例の図



Q11.収入保険では、ナラシ対策と異なり、基準収入の9割を下回った場合に、下回った額の9割を補てんすることとしていますが、どのような考えで補償の水準を設定したのですか?

A.
1ナラシ対策では当年産収入が標準的収入を下回った場合にその9割が補てんされるのに対し、収入保険では保険期間の収入が基準収入の9割を下回った場合に、下回った額の9割を補てんします。

2収入保険は、地域データを用いるナラシ対策とは異なり、農業者個々の収入に着目した仕組みであるので、
(ア)基準収入を少しでも下回った場合に補てんすることとすれば、補てんが行われる農業者数が増加することとなり、事務コストが大幅に増加し、加入者に負担いただく付加保険料(事務費)も高くなるとともに、補てん金の総額も増えることから、加入者に負担いただく保険料も高くなるという問題があるため、農業共済と同様、補償限度額を設けます。
(イ)また、自然災害以外による収入減少も補償の対象とすることから、収入が下がる事故があった際に、それ以降の経営努力を全く行わなかった農業者であっても、経営努力によって収入を少しでも維持・確保しようとした農業者と同じ手取りを得ることとなり、経営努力のインセンティブが働かなくなるという問題があることから、支払率を設けます。



Q12.危険段階別の保険料率はどのようになるのですか?

A. 
1収入保険では、保険料率は危険段階別に設定し、保険金の受領がない者の危険段階区分は段階的に下がり、逆に保険金の受領が多い者は上がる仕組みとしています。

2具体的には、危険段階区分「0」を中心として、上下10区分(全21区分)の保険料率を設定し、最低区分「-10」の保険料率は、区分「0」の 5 割水準とすることとし、農業者ごとに、
(ア) 加入1年目は、区分「0」の保険料率を適用し、
(イ) 加入2年目以降は、加入者ごとに、保険金の受取実績を基に損害率(保険金÷保険料)を計算し、該当する区分の保険料率を適用します。

3その際、保険金の受取りがなければ、基本 1 段階ずつ下がることになり、保険金の受取りがあれば、段階は上がりますが、加入者の負担が極端に増加することのないよう、年最大 3 区分まででとどめることとします。

<参考>危険段階別の保険料率

危険段階の図



Q13.野菜価格安定制度の指定産地において、野菜価格安定制度から収入保険へ移行する農業者が増加すると、産地要件を満たさなくなりませんか?

A. 
1野菜価格安定制度における指定産地の要件は、野菜価格安定制度に加入していない農業者も含め、産地における指定野菜の作付面積等に基づき判定することになっています。

2このため、指定産地において野菜価格安定制度から収入保険へ移行する農業者が増加したとしても、それにより産地要件を満たさなくなることはありません。
(参考)指定産地の要件
(ア) 指定野菜の作付面積が20ha以上
(イ) 出荷団体( JA 等)及び大規模生産者における指定野菜の出荷割合が指定産地全体の出荷数量の 2 / 3 以上



Q14.JAが出荷団体として野菜価格安定制度に加入している場合、JAの組合員は、収入保険に加入することができますか?

A.
1JA が出荷団体として野菜価格安定制度に加入している場合でも、JA の組合員は、野菜価格安定制度から収入保険に移行することは可能です。

2この場合、組合員は収入保険に加入しても、従前のとおり JA の生産部会への加入を継続したり、 JA に出荷を継続することは何ら差し支えありません。

3なお、出荷団体は、野菜価格安定制度への申込みに当たり、収入保険に移行した組合員の出荷数量を除外した数量に基づき、申込みを行うことになります。



Q15.集落営農(任意組合)がナラシ対策に加入する場合、その構成員は、収入保険に加入できますか?

A.
集落営農(任意組合)がナラシ対策に加入する場合、集落営農(任意組合)で取り組むナラシ対策の対象農産物について収入保険に加入する構成員がいるときは、その分を除いてナラシ対策に加入申請すれば、当該構成員は、収入保険に加入できます。



Q16.集落営農法人がナラシ対策に加入している場合、その構成員は、収入保険に加入できますか?

A.
集落営農法人とその構成員は、経営が分離されており、それぞれごとに税務申告を行うことから、集落営農法人がナラシ対策に加入していても、その構成員が、法人とは別に農業経営を行っている場合は、収入保険に加入することができます。

お問合せ先

経営局保険課

担当者:収入保険企画班
代表:03-3502-8111(内線5148)
ダイヤルイン:03-6744-2175

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