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農林水産省

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おわりに

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日本の食文化とは何か、という問いに簡潔に答えることはとてもむずかしい。研究会のメンバーの間でも決して意見は統一されておらず、このテキストをもとに、もう一度研究会を開かなければならない、というのが実感である。将来、整理することを念頭において、各筆者の意のあるところを汲みとっていただきたい。

最後に一つつけ加えておきたい点は、さまざまのデータの中から浮かびあがってくる日本の伝統的な食文化といわれるものが、長い歴史をもつものではなく、常にドラスティックな変化にさらされながら今日に至っているということである。歴史からは、日本人が昔から米を常食にしていたわけではなく、また地域によって大きな変異を示していることを学んだ。調理をとってみても地域差や階級差が大きい。嗜好においてもしかり。こうしたさまざまなヴァリエーションをもつ日本の食文化のどこに焦点をあてるかで、議論は出発点に戻ってしまう。

そこで本書では、戦後の経済復興のもとに、急速に向上した国民生活のもとでカロリーバランスのよい食生活を達成した1980年前後の状況が一つの基準となっている。まだご飯を主食とする和食の基本がよく残り、家族が食卓を中心にコミュニケーションが十分とれた時代ともいえよう。その後の変化は今日に至るまで、とぎれることなく進んでいるのは、すでに歴史の章で適確に述べられている通りである。そうした変化を押しとどめることはできないが、和食の特質として何が最後に残されるのかが、本文の中で多彩に論じられた。たとえばうまみやだしの文化、調味料と調理法、一汁三菜の構造、三大栄養素の適正な摂取バランスなどが特質として提示されている。この主張自体は決して新しくないかもしれないが、いろいろな要素を取捨選択するなかで得られたところであり、これを次世代にいかに伝えてゆくかが、われわれに課せられた義務であると思う。

日本食文化テキスト作成共同研究会

代表 熊倉功夫 (静岡文化芸術大学学長、国立民族学博物館名誉教授)
  江原絢子 (東京家政学院大学名誉教授)
  髙橋英一 (株式会社 瓢亭 代表取締役)
  田中耕造 (京都市中央卸売市場協会 専務理事)
  田中直美 (食文化環境デザイン研究会 代表)
  原田信男 (国士舘大学21世紀アジア学部 教授)
  伏木 亨 (京都大学大学院農学研究科 教授)
  安本教傳 (京都大学名誉教授)

 

お問い合わせ先

食料産業局食文化・市場開拓課和食室
代表:03-3502-8111(内線3085
ダイヤルイン:03-3502-5516
FAX
03-6744-2013