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商品先物取引法施行規則第三十八条第十三項及び第九十九条第一項各号の規定に基づき、商品先物取引業者の市場リスク相当額、取引先リスク相当額及び基礎的リスク相当額の算出の基準等を定める件

平成二十二年十月十五日 農林水産省・経済産業省告示第三号

最終改正:令和五年六月二十三日農林水産省経済産業省告示第二号

商品先物取引法施行規則(平成十七年農林水産省・経済産業省令第三号)第三十八条第十三項及び第九十九条第一項各号の規定に基づき、商品先物取引業者の市場リスク相当額、取引先リスク相当額及び基礎的リスク相当額の算出の基準等を次のように定める。

(控除資産の額の算出)

第一条 商品先物取引法施行規則(以下「規則」という。)第三十八条第一項第一号及び第三号から第六号までに掲げるもの以外の資産については、合理的な方法により、貸借対照表の資産の部に計上されるべき金額の合計額から控除することができる。

(市場リスク相当額)

第二条 規則第九十九条第一項第一号に規定する市場リスク相当額は、次条から第七条までの規定に基づいて算出した額をいう。

(市場リスク相当額の算出)

第三条 市場リスク相当額は、次に掲げるリスク・カテゴリーごとに算出した額の合計額とする。

一 金リスク(金、金の派生商品及び金のオフ・バランス取引に係るポジション(以下「金等」という。)の価格の変動により発生し得る危険であって、その相当額が次条及び第六条の規定に基づいて算出されるものをいう。)

二 コモディティ・リスク(石油、金属(金を除く。)及び農林水産物並びにこれらの加工物並びにこれらの派生商品並びにこれらのオフ・バランス取引に係るポジション(以下「コモディティ等」という。)の価格の変動により発生し得る危険であって、その相当額が第五条及び第六条の規定に基づいて算出されるものをいう。)

三 その他市場リスク(前二号に掲げる市場リスクのいずれにも属さない市場リスクをいう。)

(金リスク相当額)

第四条 金リスク相当額(第六条の規定に基づいて算出されるものを除く。)は、金のネット・ポジション(対当する(あるポジションと他のポジションが、相互に他方のポジションから生じ得る損失を減少させる状態にあることをいう。)ポジション同士を相殺した結果として残るポジションをいう。次条において同じ。)の額(標準的な測定単位で表示し円貨に換算するものをいう。)に八パーセントを乗じて得た額とする。

(コモディティ・リスク相当額)

第五条 コモディティ・リスク相当額(次条の規定に基づいて算出されるものを除く。次項において同じ。)は、コモディティ等ごとに算出した次に掲げる額の合計額とする。

一 ネット・ポジションの額に十五パーセントを乗じて得た額

二 ロング・ポジション(買持ちのポジションをいう。以下同じ。)の額及びショート・ポジション(売持ちのポジションをいう。以下同じ。)の額の合計額に三パーセントを乗じて得た額

2 コモディティ・リスク相当額の算出に当たっては、同一のコモディティ等のロング・ポジション及びショート・ポジションについて、直近の一年間又はそれ以上の期間の価格変動の間の相関係数が十分の九以上である場合には当該ポジションの対当額を相殺することができる。この場合において、相関係数が十分の九以上であることを説明した書類を保存しなければならない。

(オプション取引)

第六条 オプション取引(商品先物取引法(昭和二十五年法律第二百三十九号。以下「法」という。)第二条第三項第四号に掲げる取引(これに類似する外国商品市場において行われる取引を含む。)並びに同条第十四項第四号及び第五号に掲げる取引をいう。以下同じ。)及び当該取引に関連する原資産(オプションの行使の対象となる資産又は取引をいう。以下同じ。)のポジションに係る市場リスク相当額は、次の各号のいずれかに掲げる額とする。

一 オプション取引の原資産の時価額(計算を行う日の公表されている最終価格に基づき算出した価額又はこれに準ずるものとして合理的な方法により算出した価額をいう。以下同じ。)に次の表に掲げる区分に応じ同表に定める率を乗じて得た額

区分

金等 八パーセント
コモディティ等 十八パーセント

二 次の表に掲げる区分に応じ同表に定める額

区分

市場リスク相当額

オプション取引に係る取引証拠金(外国におけるこれに相当するものを含む。)を商品取引所に預託している場合 当該商品取引所又は当該商品取引清算機関に預託している取引証拠金の額(取引証拠金の追加差入れ義務が生じた場合における当該追加額を含む。)
オプション取引の買いの場合 当該オプションの額
オプション取引の売りでアウト・オブ・ザ・マネーの場合 原資産の市場リスク相当額からアウト・オブ・ザ・マネーの額を控除した額
  • (注1) アウト・オブ・ザ・マネーとは、コール・オプション取引においては、原資産の価格が権利行使価格(オプション取引においてオプションが行使された場合に成立する取引に係る価格若しくは数値又はこれらと類似のものをいう。以下同じ。)を下回っている状態をいい、プット・オプション取引においては、原資産の価格が権利行使価格を上回っている状態をいう。
  • (注2) アウト・オブ・ザ・マネーの額とは、アウト・オブ・ザ・マネーにおける権利行使価格に取引の件数又は数量を乗じて得た額と原資産の時価額との差額をいう。
  • (注3) 原資産の市場リスク相当額とは、原資産の時価額に、前号の表に掲げる区分に応じ、同表に定める率を乗じて得た額をいう。次号において同じ。

三 オプション取引を原資産のヘッジを行う目的で行う場合において、次の表に掲げる区分に応じ同表に定める額

区分

市場リスク相当額

オプションがディープ・イン・ザ・マネーのとき 原資産の市場リスク相当額とオプションのイン・ザ・マネーの額(残存期間が六月超のオプション取引については、権利行使価格と適切な先物価格の差額をいう。これができない場合は、イン・ザ・マネーの額は零とする。)を相殺した額
原資産のロング・ポジションについてプット・オプションを買い付けることによりヘッジを行った場合であって、オプションがイン・ザ・マネーのとき
原資産のショート・ポジションについてコール・オプションを買い付けることによりヘッジを行った場合であって、オプションがイン・ザ・マネーのとき
原資産のロング・ポジションについてプット・オプションを買い付けることによりヘッジを行った場合であって、オプションがアウト・オブ・ザ・マネーのとき 原資産の市場リスク相当額とオプションのアウト・オブ・ザ・マネーの額のいずれか小さい方の額
原資産のショート・ポジションについてコール・オプションを買い付けることによりヘッジを行った場合であって、オプションがアウト・オブ・ザ・マネーのとき
原資産のロング・ポジションについてコール・オプションを売り付けることによりヘッジを行った場合であって、オプションがイン・ザ・マネーのとき 原資産の市場リスク相当額からオプションのイン・ザ・マネーの額を控除した額
原資産のショート・ポジションについてプット・オプションを売り付けることによりヘッジを行った場合であって、オプションがイン・ザ・マネーのとき
  • (注1) ディープ・イン・ザ・マネーとは、コール・オプション取引においては、原資産の価格がそのリスク・ウェイト分下落してもなお権利行使価格を上回る状態をいい、プット・オプション取引においては、原資産の価格がそのリスク・ウェイト分上昇してもなお権利行使価格を下回る状態をいう。
  • (注2) イン・ザ・マネーとは、コール・オプション取引においては、原資産の価格が権利行使価格を上回っている状態をいい、プット・オプション取引においては、原資産の価格が権利行使価格を下回っている状態をいう。
  • (注3) イン・ザ・マネーの額とは、イン・ザ・マネーのときの権利行使価格に取引の件数又は数量を乗じて得た額と原資産の時価額との差額をいう。

2 コール・オプションの買付け又はプット・オプションの売付けは原資産の買付けとみなし、コール・オプションの売付け又はプット・オプションの買付けは原資産の売付けとみなす。

3 同一のオプションの売付けと買付けが対当している場合は、これを相殺することができる。

(その他市場リスク相当額)

第七条 その他市場リスク相当額は、合理的な方法により算出した額とする。

(取引先リスク相当額)

第八条 規則第九十九条第一項第二号に規定する取引先リスク相当額は、次条及び第十条の規定に基づいて算出した額をいう。

(取引先リスク相当額の算出)

第九条 取引先リスク相当額は、次の各号に掲げる額に第三項に規定するリスク・ウェイトをそれぞれ乗じて得た額の合計額とする

一 次の表の上欄に掲げる取引の区分及び同表の中欄に掲げる期間の区分に応じ、同表の下欄に定める掛目を想定元本の額にそれぞれ乗じて得た額(以下この条において「アドオン」という。)及び正の値をとる再構築コスト(取引を与信相当額の算出時点における市場の実勢条件により評価することによって算出する額をいう。以下この条において同じ。)の合計額

取引

期間

掛目(パーセント)

金関連取引 一年以下
一年超五年以下
五年超
一・〇
五・〇
七・五
貴金属関連取引 一年以下
一年超五年以下
五年超
七・〇
七・〇
八・〇
その他のコモディティ関連取引 一年以下
一年超五年以下
五年超
十・〇
十二・〇
十五・〇
  • (注1) 再構築コストは、法的に有効な相対ネッティング契約下にある取引については、同一のネッティング契約下の取引について、当該取引に係る再構築コストを相殺した後の額とすることができる。
  • (注2) 金関連取引とは、金に係る法第二条第十四項第一号から第六号までに掲げる取引及びこれらに類似する取引をいう。
  • (注3) 貴金属関連取引とは、貴金属(金を除く。)に係る法第二条第十四項第一号から第六号までに掲げる取引及びこれらに類似する取引をいう。
  • (注4) その他のコモディティ関連取引とは、エネルギー取引、農産物取引若しくは卑金属その他の貴金属以外の金属のコモディティ取引に係る法第二条第十四項第一号から第六号までに掲げる取引及びこれらに類似する取引をいう。
  • (注5) この表の上欄に掲げる取引のうち、日々の値洗いによる証拠金を必要としている取引所取引及び日々の値洗いによるマージンコール(商品取引清算機関の債務の引受けが行われた取引に係る金銭の受領額の現在価値と有価証券の受領数量の時価額の合計が当該取引に係る金銭の支払額の現在価値と有価証券の引渡数量の時価額の合計に満たない場合に、商品取引清算機関の参加者がその不足額を商品取引清算機関に預託することをいう。)を必要としている商品取引清算機関の債務の引受けが行われた取引に係るものは除く。

二 次の表に掲げる資産等の区分に応じ、同表に定める与信相当額

資産等

与信相当額

短期貸付金
未収入金
未収収益
委託者等未収金
短期差入保証金
帳簿価額
保証債務 保証額
保証予約 保証予約額
  • (注1) 短期貸付金からは、規則第三十八条第一項第一号ロに掲げるものを除く。
  • (注2) 委託者等未収金(期間が二週間未満のものに限る。)は、商品デリバティブ取引に関し、当該委託者等から預託を受けた金銭、有価証券その他の物及び当該委託者等の計算に属する金銭(当該委託者等の計算による取引であって決済を結了していないものに係る差益金に相当する金銭を除く。)、有価証券その他の物の合計額を超える場合における当該超える部分の額に限り、非居住者(外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第六条第一項第六号に規定する非居住者をいう。)との先物取引(法第二条第三項第一号から第三号までに掲げる取引(これらに類似する外国商品市場において行われる取引を含む。)をいう。)における証拠金の授受において発生する一日分の立替金を除くことができる。
  • (注3) 短期差入保証金(取引相手方に短期で差し入れた担保金その他の資産をいう。以下この条において同じ。)からは、商品取引所、商品取引清算機関、証券金融会社、金融商品取引所又は金融商品取引清算機関に差し入れるもの及び信用取引差入保証金(金融商品取引法第百六十一条の二に規定する取引及びその保証金に関する内閣府令(昭和二十八年大蔵省令第七十五号)第三条に掲げる額をいう。)を除くことができる。
  • (注4) 短期差入保証金からは、前号の表の上欄に掲げる取引の再構築コストの算出に当たって考慮したものを除くことができる。
  • (注5) 上記資産等からは、法第二百十条の規定による信託、金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第四十三条の二第二項の規定による信託並びに金融商品取引業等に関する内閣府令(平成十九年内閣府令第五十二号)第百四十三条第一項第二号ロ及び第百四十五条第一項第四号に規定する金銭信託に係るものを除くことができる。

2 アドオンは、法的に有効な相対ネッティング契約下の取引について、当該取引に係るアドオンを次の算式により換算した額とすることができる。
ネットのアドオン=〇・四×グロスのアドオン+〇・六×ネット再構築コスト/グロス再構築コスト×グロスのアドオン

3 リスク・ウェイトは、次の表に掲げる取引先の区分に応じて、同表に定める率とする。

取引先

率(パーセント)


地方公共団体
中央銀行
外国政府その他の外国の法令上国、地方公共団体又は中央銀行に相当する者
商品先物取引業者等 適格格付を付与された者 一・二
適格格付を付与されていない者
その他の法人等 適格格付を付与された者
適格格付を付与されていない者 二十五
個人 二十五
    • (注1) 商品先物取引業者等とは、次に掲げるものをいう。
  • (1) 商品先物取引業者
  • (2) 金融商品取引業者(金融商品取引法第二十八条第一項に規定する第一種金融商品取引業を行う者に限る。以下同じ。)
  • (3) 商品先物取引業者又は金融商品取引業者に準ずる外国の者(純資産額規制比率又は自己資本規制比率(金融商品取引法第四十六条の六第一項に規定する自己資本規制比率をいう。以下この条において同じ。)と類似の基準の適用を受けている者に限る。)
  • (4) 国内の金融機関(規則第三十八条第一項第一号ロに規定する金融機関をいう。以下この条において同じ。)
  • (5) 国内の金融機関に準ずる外国の会社(自己資本比率基準の適用を受けている会社に限る。)
  • (6) 銀行持株会社(銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第十三項に規定する銀行持株会社をいう。以下この条において同じ。)
  • (7) 銀行持株会社に準ずる外国の会社(自己資本比率基準の適用を受けている会社に限る。)
  • (8) 商品先物取引業者又は金融商品取引業者を子会社とする持株会社及びこれに準ずる外国の会社(純資産額規制比率又は自己資本規制比率と類似の基準の適用を受けている者に限る。)
  • (9) 国際機関
  • (注2) 適格格付を付与された者とは、本格付又は予備格付の別を問わず、長期優先債務(これと同視し得る債務を含む。)に適格格付(金融商品取引業者の市場リスク相当額、取引先リスク相当額及び基礎的リスク相当額の算出の基準等を定める件(平成十九年金融庁告示第五十九号)第一条第二十一号の適格格付をいう。以下この条において同じ。)が付与されている者をいい、会社格付又は保険金支払能力格付において適格格付と同等の格付が付与されている場合には、適格格付を付与されたものとみなす。
  • (注3) 適格格付を付与されている連結財務諸表提出会社(連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(昭和五十一年大蔵省令第二十八号)第二条第一号に規定する連結財務諸表提出会社又は外国におけるこれに相当する者をいう。)の連結子会社(同条第四号に規定する連結子会社又は外国におけるこれに相当する者をいう。)については、当該連結子会社が適格格付以外の格付を付与されている場合を除き、適格格付を付与されたものとみなす。
  • (注4) 取引先の区分を行うことが困難な場合は、取引先の区分に応じて乗じる率を一律二十五パーセントとすることができる。
  • (注5) 次に掲げる者については、取引先の区分にかかわらず、取引先の区分に応じて乗じる率を一律百パーセントとする。
    • (1) 債務不履行宣言をした国、政府機関又は中央銀行
    • (2) 破産手続開始、再生手続開始、更生手続開始若しくは特別清算開始の申立てを行った者又は外国の法令に基づき同種類の申立てを行った者
    • (3) 破産手続開始の決定、再生手続開始の決定、更生手続開始の決定若しくは特別清算開始の命令を受けた者又は外国の法令に基づき同種類の判断を受けた者
    • (4) 客観的に債務超過状態にあると認められた法人
  • (注6) 商品取引清算機関及び金融商品取引清算機関は、商品先物取引業者等のうち適格格付を付与された者とみなす。

4 第一項各号に掲げる額の算出において、取引の相手方から担保金その他の資産の預託を受けている場合には、当該預託を受けている担保金その他の資産の時価額を当該与信相当額から控除することができる。

(その他取引先リスク相当額)

第十条 その他業務に係る取引の相手方の契約不履行その他の理由により発生し得る危険に相当する額を合理的な方法により算出し、これを取引先リスク相当額に加算することができる。

(基礎的リスク相当額)

第十一条 規則第九十九条第一項第三号に規定する基礎的リスク相当額は、合理的な方法により算出しなければならない。

附則

この告示は、平成二十三年一月一日から施行する。

(平成二十二年十二月二十八日農林水産省・経済産業省告示第六号)

附則

この告示は、平成二十三年一月一日から施行する。

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