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林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法の運用について

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54林野企第83号
昭和54年8月23日
最終改正 令和5年3月30日 4林政企第80号

都道府県知事あて
沖縄総合事務局長あて

林野庁長官


林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法(昭和54年法律第51号。以下「法」という。)及び林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法施行令(昭和54年政令第205号。以下「令」という。)の施行については、「林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法の施行について」(昭和54年8月23日付け54林野企第82号農林水産事務次官依命通知。以下「次官通知」という。)によりその運用に関する大綱が定められているが、その実施に当たっては、下記事項に留意されたい。

第1 基本構想について
1 基本構想の報告の手続
基本構想の農林水産大臣に対する報告は、参考様式第1号により行うものとする。
2 基本構想の策定に当たり留意すべき事項
(1) 次官通知の記の第2の2の1の(2)のアの「林業経営基盤の強化に関する目標」については、各都道府県の林業経営をめぐる実態を踏まえ、地域の林業の主たる担い手として育成すべき林業経営体及び林業事業体が目指すべき林業経営基盤の強化に関する目標を記載するものである。
ア 林業経営体のうち林家にあっては、主たる従事者の生涯所得が基本的には地域における他産業従事者とそん色のない水準を確保(木材生産による所得を補完する観点から特用林産物等による所得を含む。)することとし、例えば、「年間林業所得を○○○~○○○万円程度とする。」等として示すこととする。
イ 林業経営体のうち林家が法人化した会社にあっては、継続的な林業生産活動を行い、これに必要な適切な経費を支出した上で利益の確保を達成することとし、例えば、「年間林業粗利益を○○○~○○○万円程度とする。」等として示すこととする。
ウ 森林整備法人、公有林を管理する地方公共団体等のように所得の目標等を示すことが不適切な場合は、効率的な事業の推進を図るための計画的・安定的な事業計画及び生産技術の向上等の経営方針を目標として示すものとする。
エ 林業事業体にあっては、生産性の高い林業生産活動を行い、これに必要な適切な経費を支出した上で利益を確保することとし、例えば、「年間林業粗利益を○○○~○○○万円程度とする。」等として示すこととする。
(2) 次官通知の記の第2の2の1の(2)のイの「林業経営の規模、生産方式等に関する林業経営の類型ごとの指標」については、林業経営基盤の強化の仕方が、林業経営体にあっては自己森林経営型、自己森林+施業受託経営型等、林業事業体にあっては造林事業主体型、素材生産主体型等のように、林業経営の類型ごとに異なると考えられることから、各都道府県における主要な経営類型(別添1参照)ごとに経営規模、生産方式、経営管理の方法及び事業実行の方式等を具体的な指標によって示すものとする(別添2参照)。
なお、これらの指標は、個別林家、会社等の林業経営体や森林組合、素材生産事業体等の林業事業体の経営改善を想定したものであり、森林整備法人等については、経営規模の拡大等の指標を同様に記載させることは現実的ではないと考えられることから、適宜工夫するものとする(別添3参照)。
(3) 次官通知の記の第2の2の1の(2)のウの「木材の生産及び流通の合理化に関する目標」については、国の基本方針に定められている、木材の生産及び流通を担う事業体の経営改善並びに事業者間の連携の強化等による木材の生産部門及び流通部門の構造改善の推進について、各都道府県の実態に即してその方向性を記載するものとする。なお、木材の生産及び流通の広域性についても十分配慮するものとする。
木材の生産及び流通を担う事業体については林業経営体と一体的に合理化を推進していくという位置付けであり、事業者の経営全体の改善を図るというよりは、木材の生産、流通部門の合理化を図ることに重点が置かれているため、林業経営体の場合とは異なり、事業者の経営の改善目標を明らかにし、これに向けて経営全体の計画的な改善を図っていくことまでは必要ないと考えており、林業経営体について示している改善目標や指標のような具体的な目標を掲げることは想定していない。
第2 林業経営改善計画について
1 林業経営改善計画の作成に当たり留意すべき事項
(1) 次官通知の記の第3の2の(2)のアのただし書の規定により数人共同して林業経営改善計画を作成する場合における「森林」の要件は、次のとおりとする。
ア その森林の面積が当該森林を含む小流域の森林(森林法施行令(昭和26年政令第276号)第3条第1号の規定により市町村の長が指定する森林の面積を除く。)の面積の2分の1以上であること。
イ アの面積の基準となる小流域は、尾根筋等の天然地形や、森林の更新、立木の保護等に影響を及ぼす主風、積雪等の気象条件等の自然的条件及び林道、作業道、木材集積場等森林施業の実施に必要な施設の整備の状況からみて、造林、保育、伐採及び木材の搬出が一体として効率的に行われ得る林班又は連たんする複数林班(林班が隣接している場合に限る。)のまとまりを有していると認められること。
(2) 次官通知の記の第6の2の資金のうち、おおむね500ヘクタール以上の面積を有し、かつ、集団的に存在する森林について施業を行うと見込まれる者に委託して行う当該森林の一部に係る造林についての措置に必要なものを借り受けようとする場合には、林業経営改善計画に記載する「林業経営の改善に関する目標を達成するためとるべき措置」のうち「事業実行方式の改善に関する目標」におおむね500ヘクタール以上の集団的に存在する森林について施業を行うと見込まれる者への積極的な施業委託を記載するものとする。
また、次官通知の記の第6の2の資金のうち、単層林を複層林に転換するために行う造林についての措置に必要なものを借り受けようとする場合には、林業経営改善計画に記載する「林業経営の改善の方向の概要」に複層林へ転換するための施業導入の考え方について記載するとともに、「林業経営の規模の拡大等に関する目標」に森林の取得等について記載するものとする。
(3) 申請者が森林整備法人又は地方公共団体の場合、林業経営の改善に関する目標のうち林業経営の規模の拡大等に関する目標については記載を要しないこととし、生産方式の合理化、経営管理の方法、事業実行方式について記載するものとする。
2 林業経営改善計画の認定の申請の手続
林業経営改善計画の認定の申請は、別記様式1により申請書1通及びその写し2通に所要の添付資料を添えて、当該林業経営改善計画の対象とする森林の所在地を管轄する都道府県知事に提出して行うものとする。
3 林業経営改善計画の認定に当たり留意すべき事項
(1) 林業経営改善計画が基本構想に照らして適切であるかどうかを判断する基準は次のとおりである。
ア 「林業経営の規模の拡大等に関する目標」については、基本構想で示された類型ごとの指標の経営規模を上回る場合は当然適切なものと判断するが、下回る場合でも、目標とする経営規模がおおむね指標の経営規模に近い水準で、結果的に所得水準等基本構想における林業経営基盤の強化に関する目標が達成されると見込まれるときは、これを適切と判断して差し支えない。
イ  「生産方式の合理化に関する目標」については、基本構想で示された類型ごとの生産方式におおむね準拠している場合には適切なものと判断する。なお、基本構想で示された生産方式以外の新しい生産方式等を取り入れている場合は、その生産方式による効果を見込んだ上で適切であるかどうかを判断して差し支えない。
ウ  「経営管理の合理化に関する目標」及び「事業実行方式の改善に関する目標」については、当該申請者が経営の改善に努め、基本構想で示されたこれらに関する指標に向かって努力を続けるものと見込まれる場合に、これを適切と判断して差し支えない。
エ 林業経営改善計画に記載された所得等そのものは認定の基準にはしないものとし、林業経営改善計画に記載された内容を総合的に勘案して、基本構想で示された目標所得等を実現し得るか否かを判断するものとする。
オ 基本構想で示された経営類型に該当しない経営の林業経営改善計画の認定に当たっては、類似の経営類型をもとに判断するものとするが、類似のものがないときは、目標とする所得等が当該計画に記載された内容を総合的に勘案して実現し得るか否かを判断するものとする。
カ 現在の経営が基本構想で示された指標を既に上回る者からの申請については、当該申請に係る林業経営改善計画の内容が一層の経営改善を図ろうとするものであれば、適切であると判断するものとする。
キ 林業経営体にあっては、2都道府県以上にまたがって所在する別個の団地についてそれぞれ林業経営改善計画を作成する者からの申請については、必要に応じ、他の都道府県に係る林業経営改善計画の内容を踏まえて適否を判断するものとする。
(2) 次官通知の記の第3の3の(3)の規定の運用に当たっては、林業経営改善計画の対象とする森林について森林法(昭和26年法律第249号)第11条第5項の森林経営計画の認定(同法第12条第3項において読み替えて準用する同法第11条第5項の変更を含む。以下同じ。)を受けている場合にあっては林業経営改善計画に記載された林業経営の改善に関する目標を達成するため必要な事項が当該認定に係る森林経営計画に即しているか否かにより、当該認定を受けていない場合にあっては3年以内に認定を受けることが確実であると認められる場合に限りその適否を判断するものとする。
ただし、次官通知の記の第5の3の資金の特例を受けようとする者にあっては、林地保有の合理化に寄与するものとして林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法施行規則(平成5年農林水産省令第35号。以下「規則」という。)第2条で定める森林の取得についての措置の要件について、次のア及びイを同時に満たす森林の取得についての措置に限りその適否を判断するものとする。なお、都道府県知事は、アの(ア)及び(ウ)までに定める森林の取得についてその適否を判断しようとするときは、事前に市町村の長との間で、間伐又は保育についての命令又は勧告の有無の確認等連絡調整を図るものとする。
ア 「林業上の利用の増進を図る必要がある森林」とは、以下のいずれかの森林であること。
(ア) 森林経営管理法(平成30年法律第35号)第42条第1項に定める災害等防止措置命令に係る森林(主伐の実施を除く。)
(イ) 森林法第39条の4第1項第1号の規定により定められた要整備森林
(ウ) その他地域において標準的と認められる施業体系(森林法第5条の地域森林計画、森林法第10条の5の市町村森林整備計画等)からみて間伐・保育等の施業管理が適切に行われていない森林
(エ) 上記(ア)から(ウ)の森林と当該借受者が既に所有している森林の間に介在しており一体的に取得する必要があると認められる森林。ただし、上記(ア)から(ウ)の要件に該当する森林の面積を上回らないものである場合に限る。
イ 「地形その他の自然的条件及び林道の開設その他の林業生産の基盤の整備の状況からみて法第5条第3項に規定する資金の貸付けを受けようとする者が森林所有者である森林と一体として効率的に施業を行うことが可能である森林」とは、当該借受者が所有している森林と隣接する森林、同一の小流域に所在する森林、同一の林道の利用区域内に所在する森林等であって、借受者が所有する森林と一体として施業が行われ得る団地的まとまりを有していると認められるものであること。
(3) 都道府県知事は、林業経営改善計画を認定したときは、別記様式2によりその旨を本人に通知するとともに、その借り入れる資金の別に応じ、別記様式3により株式会社日本政策金融公庫(以下「公庫」という。)、第7の4の(3)の資金供給契約を締結している金融機関又は法第9条第1項の資金の貸付けに係る融資機関(4の(2)及び(3)において「公庫等」という。)に通知するものとする。
4 林業経営改善計画の変更及び取消し
(1) 林業経営改善計画の変更の認定の申請は、別記様式4により申請書1通及びその写し2通に所要の添付資料を添えて当該林業経営改善計画の対象とする森林の所在地を管轄する都道府県知事に提出して行うものとする。
(2) 都道府県知事は、林業経営改善計画の変更の認定をしたときは、別記様式2によりその旨を本人に通知するとともに、その借り入れる資金の別に応じ、別記様式3により、公庫等に通知するものとする。
(3) 都道府県知事は、林業経営改善計画の認定の取消しをしたときは、その旨を本人に通知するとともに、その借り入れる資金の別に応じ、公庫等に通知するものとする。
第3 合理化計画の作成
1 事業経営改善計画
(1) 都道府県知事は、その管轄する都道府県の区域内に住所を有する次に掲げる者の申請に基づき、その者の作成する木材の生産又は流通の合理化を図るための計画(以下「合理化計画」という。)であって生産行程の改善、経営管理の合理化その他の事業の経営改善に関する措置を内容とするもの(以下「事業経営改善計画」という。)が適当である旨の認定をすることができる。
ア 森林組合又は森林組合連合会
イ 森林所有者(森林法第2条第2項に規定する森林所有者をいう。以下同じ。)又はその組織する団体
ウ 素材生産業を営む者又はその組織する団体
エ 木材製造業を営む者又はその組織する団体
オ 木材卸売業を営む者又はその組織する団体
カ 木材市場を開設する者又はその組織する団体
(2) (1)のイからカまでに掲げる「団体」とは、必ずしも法人格を有することを要しないが、法人格を有しない団体については、おおむね4人(次に掲げる者に係るものにあっては2人)以上の者をもって構成する同一目的を有する組織体(以下「数人共同の事業体」という。)として存在し、目的、名称、代表者等に関する定めを備えていることが必要である。
ア 第8の1の(1)のアの素材生産等促進資金を借り受けようとする者(木材の年間取扱量の合計がおおむね3,000立方メートル以上の者又は間伐等に係る素材生産又は間伐材等の素材若しくはこれらに係る製品の引取りの事業を計画する者に限る。)
イ 第8の1の(1)のイの新規需要創出資金を借り受けようとする者
ウ 日本農林規格等に関する法律(昭和25年法律第175号)第2条第3項に規定する登録認証機関の認証を受けた木材製造業を営む者又は1年以内に当該認証を受けることが確実と見込まれる木材製造業を営む者(以下「JAS認証業者等」という。)
(3) (1)のイからカまでに掲げる者で、第8の1の(1)の事業経営改善合理化資金 を借り受けようとする者のうち中小企業等協同組合等の組合及びその連合会並びに数人共同の事業体以外の者(以下「単独事業体」という。)については、次のいずれかを満たしていることが必要である。なお、都道府県知事は単独事業体の認定に当たって、木材産業等高度化推進運営協議会の意見を聴いて認定することができるものとする。
ア 木材の年間取扱量がおおむね3,000立方メートル以上の事業体(第8の1の(1)のアの素材生産等促進資金を借り受けようとする第3の1の(1)のイからエまでに掲げる者にあっては、木材の年間取扱量がおおむね1,500立方メートル以上又は木材の年間取扱量がおおむね1,000立方メートル以上でかつ間伐材等の年間取扱量が木材の年間取扱量のおおむね5割以上で合理化計画期間内に木材の年間取扱量が増加するよう計画し、その達成が確実と見込まれる事業体とする。)
イ 第8の1の(1)のイの新規需要創出資金を借り受けようとする者にあっては、木材製品の生産量の増加が見込める事業体
ウ 新製品の開発等により木材の需要の拡大に努めている事業体(以下「需要開拓者」という。)
エ 日本農林規格等に関する法律第2条第3項に規定する登録認証機関の認証(製材の日本農林規格(平成19年農林水産省告示第1083号)のうち、構造用製材に係るものに限る。)を受けた木材製造業を営む者
(4) なお、造林の事業を行うことを主たる目的とする一般社団法人若しくは一般財団法人(いわゆる造林公社、林業公社等)又は第3セクターで素材生産の事業を併せて行うものについては、(1)のウに該当するものとする。
また、生産森林組合については、(1)のイの森林所有者に該当する。
(5) 事業経営改善計画の期間は5年とする。
(6) 事業経営改善計画の記載事項は、法第4条第3項第1号、第2号イ及び第3号に規定されているが、その内容は次のとおりとする。
ア 事業の経営の現状
(ア) 事業体等に係る基本的事項
(イ) 事業等の現状(実績)
a その行う事業における木材取扱量の実績
b 木材製品の規格化を推進するため第8の1の(1)の事業経営改善合理化資金を借り受けようとするJAS認証業者等にあっては、日本農林規格の格付けを受けた木材製品(以下「木材JAS製品」という。)の生産量の実績
c 第8の1の(1)事業経営改善合理化資金を借り受けようとする需要開拓者にあっては、当該新製品の生産量の実績
(ウ) 財務の状況
イ 事業の経営改善に関する措置
(ア) 事業の経営改善の基本的方向
a 第8の1の(1)のアの素材生産等促進資金を借り受けようとする者にあっては、素材の生産、素材若しくは木材製品の引取り又は素材若しくは木材製品の加工に係る事業の経営改善の基本的方向(木材製品の規格化を推進するため、JAS認証業者等にあっては木材製品の規格化の推進の基本的方向、需要開拓者にあっては木材の需要拡大の基本的方向を含む。)
b 第8の1の(1)のイの新規需要創出資金を借り受けようとする者にあっては、木材の需要拡大に係る基本的方向
(イ) 事業等の計画
a 第8の1の(1)のアの素材生産等促進資金を借り受けようとする者にあっては、素材の生産、素材若しくは木材製品の引取り又は素材若しくは木材製品の加工の年度別事業計画(木材製品の規格化を推進するため、JAS認証業者等にあっては木材JAS製品の生産の年度別事業計画、需要開拓者にあっては新製品の生産の年度別事業計画を含む。)
b 第8の1の(1)のイの新規需要創出資金を借り受けようとする者にあっては、木材製品の生産量に係る年度別事業計画
ウ イの(ア)及び(イ)の措置を実施するために必要な資金の額及び調達方法
2 構造改善計画
(1) 都道府県知事は、その管轄する都道府県の区域内に住所を有する1の(1)のアからカまでに掲げる者と次に掲げる者との共同の申請に基づき、これらの者の作成する合理化計画であって事業の協業化、安定的な取引関係の確立による事業規模の拡大その他の木材の生産部門又は流通部門の構造改善に関する措置を内容とするもの(以下「構造改善計画」という。)が適当である旨の認定をすることができる。
ア 1の(1)に掲げる者
イ 地方公共団体の出資又は拠出に係る法人で地域の林業の振興を図ることを目的とするもの
ウ 法第4条第2項第3号の関連業種に属する事業を行う者(以下「関連事業者」という。)又はその組織する団体
(2) (1)のウの「関連業種」とは、次に掲げる業種としている。
ア 建築工事業
イ 大工工事業
ウ 家具製造業
エ パルプ製造業
オ 紙製造業
カ 電気業
キ インテリアデザイン業
ク 設計監理業
(3) (1)のウに掲げる「団体」とは、必ずしも法人格を有することを要しないが、法人格を有しない団体については、同一目的を有する組織体として存在し、目的、名称、代表者等に関する定めを備えていることが必要である。
(4) 構造改善計画の期間は5年とする
(5) 構造改善計画の記載事項は、法第4条第3項第1号、第2号ロ及び第3号に規定されているが、その内容は次のとおりとする。
ア 事業の経営の現状
(ア) 申請者それぞれの事業体に係る基本的事項
(イ) 事業等の現状(実績)
申請者(第8の1の(2)の木材高度加工資金を借り受けようとする者に限る。)それぞれの行う事業における木材取扱量の実績
(ウ) 申請者(第8の1の(2)の木材高度加工資金を借り受けようとする者に限る。)それぞれの財務の状況
イ 木材の生産部門又は流通部門の構造改善に関する措置
(ア) 木材の生産部門又は流通部門の構造改善の基本的方向
高次加工機械等の活用、合併等の体質強化又は木材JAS製品、乾燥材等の高度加工に係る構造改善の基本的方向(原材料となる素材等の供給を行う共同申請者が資金を借り受けようとする場合にあっては、当該供給に係る基本的方向を含む。)
(イ) 事業等の計画
木材製品の生産量に係る年度別事業計画
ウ イの(ア)及び(イ)の措置を実施するために必要な資金の額及び調達方法
3 合理化計画の認定の申請は、参考様式第2号から4号までにより申請書1通及びその写し2通に所要の添付書類を添えて都道府県知事に提出して行うものとする。
4 構造改善計画の申請者が2都道府県以上にまたがって住所を有する場合には、当該計画の申請者のうち第8の1の(2)の木材高度加工資金を借り受けようとする者(以下この4において「借受者」という。)が住所を有する都道府県知事(借受者が2都道府県以上にまたがって住所を有する場合には、当該住所が含まれる区域を管轄する全ての都道府県知事)に認定を申請するものとする。
第4 合理化計画の認定
合理化計画の認定基準は法第4条第4項に規定されているが、都道府県知事は、認定に際しては特に次の事項に留意するとともに、認定の迅速化に努めるものとする。
1 事業経営改善計画
(1) 共通の基準(ア及びイの両者を満たすことが必要)
ア 事業の経営改善の基本的方向が、法第2条の2に規定する基本構想に照らし適切なものであり、その実施が確実と見込まれること。
イ 所要資金の額及び調達方法が事業の経営改善を確実に遂行するために適切なものであること。
(2) 第8の1の(1)の事業経営改善合理化資金を借り受けようとする者に係る基準
ア 素材生産等促進資金(第8の1の(1)のアの資金)
素材の生産、素材若しくは木材製品の引取り又は素材若しくは木材製品の加工に係る当該事業体における事業に直接従事する従業員一人当たりの取扱規模(木材製品の規格化を推進するため、JAS認証業者等にあっては、木材JAS製品の生産の規模を含む。)が増大すると見込まれること。
イ 新規需要創出資金(第8の1の(1)のイの資金)
木材製品の生産量が増加するように計画し、その達成が確実と見込まれること。
2 構造改善計画
(1) 共通の基準(ア、イ及びウの全てを満たすことが必要)
ア 共同申請する事業体間において、立木の購入又は素材若しくは木材製品の引取りについて、長期かつ安定的な供給・引取りに関する契約、協定等が締結されており、その実施が確実と見込まれること。
ただし、関連事業者又はその組織する団体が共同申請者の場合には、関連事業者又はその組織する団体と他の共同申請者との間に、長期かつ安定的な木材製品の供給、情報提供等に関する契約、協定等が締結されており、その実施が確実と見込まれること。
イ 所要資金の額及び調達方法が木材の生産部門又は流通部門の構造改善を確実に遂行するために適切なものであること。
ウ 構造改善計画の申請前に当該構造改善計画の申請者と同一の者が申請者である構造改善計画が認定されていないこと。
(2) 第8の1の(2)の木材高度加工資金を借り受けようとする者に係る基準
ア (1)のアの契約、協定等に係る供給量が、(3)に定める基準に適合していること。
イ 申請者のうち資金を借り受けようとする者の事業規模が拡大することが確実と見込まれ、かつ、当該事業規模の拡大が(4)に定める基準に適合していること。
ウ 素材又は木材製品の加工を行う事業体が、高次加工機械等の活用又は合併等を行うこと又は木材JAS製品、乾燥材等の生産を行う事業体が、高度加工を行うことにより、体質強化を確実に図ると見込まれること。
(3) (2)のアの基準は、契約、協定等に係る供給量が、資金を借り受けようとする者(関連事業者又はその組織する団体を除く。)の素材の年間生産量又は素材若しくは木材製品の年間取扱量の1割以上であること。
(4) (2)のイの基準は、構造改善計画の計画期間内に素材の年間生産量又は素材若しくは木材製品の年間取扱量がおおむね2割以上拡大すること。
3 都道府県知事は、合理化計画を認定したときは、別記様式5によりその旨を本人に通知するとともに、別記様式6により第7の4の(3)の資金供給契約を締結している金融機関に通知するものとする。
第5 合理化計画の変更及び取消し
1 合理化計画の変更の認定の申請は、別記様式7により申請書1通及びその写し2通に所要の添付資料を添え都道府県知事に提出して行うものとする。
2 事業の経営改善又は木材の生産部門若しくは流通部門の構造改善の基本的方向の変更には、木材取扱規模(木材製品の規格化を推進するため第8の1の(1)のアの素材生産等促進資金を借り受けようとするJAS認証業者等にあっては、木材取扱規模及び木材JAS製品の生産の規模)の目標の変更を含むものとする。
3 都道府県知事は、合理化計画の変更の認定をしたときは別記様式5によりその旨を本人に通知するとともに、別記様式6により第7の4の(3)の資金供給契約を締結している金融機関に通知するものとする。
4 合理化計画が取り消された場合においてその取消しの理由が著しく本制度の趣旨に反すると認められるときは、貸付契約書の定めるところに従い貸付金の全部又は一部につき期限前の償還を行わせるものとする。
第6 独立行政法人農林漁業信用基金が行う無利子資金の融通について
次官通知の記の第6の4の独立行政法人農林漁業信用基金(以下「信用基金」という。)への推薦の申込みについては信用基金の定めるところによるものとする。
第7 木材産業等高度化推進資金制度
1 木材産業等高度化推進資金制度の仕組み
木材産業等高度化推進資金制度は、国が信用基金を通じて都道府県に資金を貸し付け、都道府県は当該貸付金及び当該貸付金と同額の自己資金を併せて金融機関に供給し、金融機関はこれを原資の一部として、都道府県知事による林業経営改善計画又は合理化計画の認定を受けた林業者又は木材産業事業者に低利で貸し付けるものである(この仕組みの中で金融機関が貸し付ける資金を、以下「木材産業等高度化推進資金」という。)。
2 木材産業等高度化推進資金事業計画書の作成及び承認
(1) 都道府県は、木材産業等高度化推進資金制度を実施しようとするときは、都道府県内の資金需要の実情に即し、別記様式8により木材産業等高度化推進資金事業計画書(以下「事業計画書」という。)を作成し、これを林野庁長官に提出してその承認を受けるものとする。
(2) 都道府県は、承認を受けた事業計画について、次に掲げる変更をしようとするときは、遅滞なく変更の承認を受けるものとし、その場合の様式は、別記様式9のとおりとする。また、それ以外の変更については、林野庁長官に届け出るものとする。
ア 貸付条件を変更すること。
イ 資金計画を変更すること。
なお、林野庁長官が別表に定める利率を改定し、都道府県知事がその範囲内で利率を改定する場合には、承認及び届出を要しない。
3 独立行政法人農林漁業信用基金からの資金の貸付け
(1) 信用基金は、第2の林業経営改善計画又は第3の合理化計画の認定を受けた者が当該認定に係る措置を実施する場合にこれを円滑にするために必要な資金の供給の事業を行う都道府県に対し、当該事業に必要な資金の2分の1の範囲内においてその資金を貸し付けることが業務の特例としてできることとされている。
なお、当該貸付業務において、信用基金は原則として都道府県の事業費の2分の1を貸し付けるものとする。
(2) 信用基金からの都道府県に対する資金の貸付けの利率は、年1パーセントとする。
ただし、日本銀行によって作成される「預金種類別店頭表示金利の平均年利率等定期預金・普通預金の平均金利(2022年4月以降)」のうち、データ系列「定期預金/預入金額1千万円以上/1年」において、当該事業の基準日(貸付予定日の属する事業年度(以下「貸付年度」という。)開始の日の直前の3月1日をいう。ただし、当該事業が複数年度にわたる場合であり、貸付年度の翌年度以降については、各年度の開始の日の直前の3月1日とする。以下同じ。)の直前の2月の利率が1パーセント未満のときは、当該利率とする。
(3) (2)の利率については、当該利率を適用することが適当でないと認めるときは林野庁長官が必要に応じて改定できるものとする。
(4) 貸付けの種類は、短期貸付(貸付期限が1会計年度内の貸付けをいう。)及び長期貸付(貸付期限が1会計年度を超える貸付けをいう。以下同じ。)とする。
なお、長期貸付を受けようとする都道府県は、総務大臣に起債の届出又は協議若しくは許可を受けることを要するので留意されたい。
4 都道府県から金融機関への資金の供給
(1) 都道府県は、第8の資金の貸付けを行う金融機関に対し、当該貸付けに必要な原資の一部となるべき資金を供給するものとする。なお、その場合の資金は、原則として、信用基金からの貸付金及び当該貸付金と同額の自己資金とする。
(2) (1)により都道府県が供給する資金の額は、金融機関が行う第8の1の(1)の事業経営改善合理化資金(アの素材生産等促進資金(林野庁長官が別に定めるところにより都道府県知事が選定した林業経営体(以下「選定経営体」という。)、単独事業体にあっては、大規模事業体及び中規模事業体への貸付けに係るものを除く。)に限る。)並びに(3)の林業経営改善資金(アの林業経営高度化推進資金に限る。)の貸付けに必要な原資の4分の1に、金融機関が行う第8の1の(1)の事業経営改善合理化資金(アの素材生産等促進資金(単独事業体にあっては、中規模事業体への貸付けに係るものに限る。)に限る。)並びに(3)の林業経営改善資金(イの伐採・造林一貫作業推進資金(選定経営体への貸付けに係るものを除く。)に限る。)の貸付けに必要な原資の3分の1に、金融機関が行う第8の1の(1)の事業経営改善合理化資金(アの素材生産等促進資金(選定経営体及び大規模事業体への貸付けに係るものに限る。)及びイの新規需要創出資金)、(2)の木材高度加工資金並びに(3)の林業経営改善資金(イの伐採・造林一貫作業推進資金(選定経営体への貸付けに係るものに限る。)に限る。)の貸付けに必要な原資の2分の1の額とする。
なお、大規模事業体とは、木材の年間取扱量がおおむね10,000立方メートル以上の事業体をいう。
また、中規模事業体とは、木材の年間取扱量がおおむね3,000立方メートル以上の事業体をいう。
(3) 都道府県は、金融機関に対して資金の供給を行おうとするときは、あらかじめ当該金融機関と資金供給契約を締結するものとする。
(4) 資金供給契約においては、次の事項を定めるものとする。
ア 都道府県からの資金の供給を受けて金融機関が貸し付ける木材産業等高度化推進資金の貸付枠
イ 資金の供給の期間及び利率
ウ その他必要な事項
(5) (4)のイの都道府県が供給する資金の利率は、年1パーセントの範囲内とする。
ただし、日本銀行によって作成される「預金種類別店頭表示金利の平均年利率等定期預金・普通預金の平均金利(2022年4月以降)」のうち、データ系列「定期預金/預入金額1千万円以上/1年」において、当該事業の基準日(貸付予定日の属する事業年度(以下「貸付年度」という。)開始の日の直前の3月1日をいう。ただし、当該事業が複数年度にわたる場合であり、貸付年度の翌年度以降については、各年度の開始の日の直前の3月1日とする。以下同じ。)の直前の2月の利率が1パーセント未満のときは、当該利率の範囲内とする。
5 金融機関に対する指示
都道府県は、資金の供給を行うに当たっては、法、令、次官通知及びこの通知の定めるところに従って木材産業等高度化推進資金の貸付けを行うよう指示するものとする。
6 貸付状況等の報告
(1) 都道府県は、木材産業等高度化推進資金の貸付けを行う金融機関から年度の半期ごとに当該資金の貸付け状況について報告を徴するものとする。
なお、その他必要に応じて、月単位で報告を徴することができる。
(2) 都道府県は、木材産業等高度化推進資金の貸付けを受ける事業者から、合理化計画上の各年度終了後2か月以内(合理化計画上の年度の終了の日が3月中にある場合には、4月末日まで)に別記様式10により当該年度の資金の借受額及び資金の借受けに係る事業の実績報告を徴するものとする。
(3) 都道府県は、別記様式11により上半期末における木材産業等高度化推進資金の貸付状況について10月末日までに林野庁長官に報告するとともに、毎年度5月末日までに別記様式12により前年度の木材産業等高度化推進資金の貸付実績報告書を作成し、林野庁長官に提出するものとする。
(4) (1)から(3)までに規定するほか、林野庁長官は、木材産業等高度化推進資金制度の円滑な運用を図るために必要があると認めるときは、都道府県に対して木材産業等高度化推進資金の貸付状況について報告を求めることができるものとする。
7 信用基金からの貸付金の返還
都道府県は、3の資金の供給の事業を廃止又は縮小した場合には、信用基金からの借入金の全部又は一部を信用基金に返還しなければならない。
8 都道府県の規程
(1) 都道府県は、法、令、規則、次官通知及びこの通知に従って木材産業等高度化推進資金制度の実施のために必要な事項を定めるものとする。
(2) 都道府県は(1)の事項を定めたときは、これを林野庁長官に提出するものとする。
第8 木材産業等高度化推進資金の貸付け
木材産業等高度化推進資金の資金種類、資金内容及び貸付条件は、以下のとおりとする。
ただし、木材産業等高度化推進資金の対象には、既往借入金の借換え(本資金の初回の借入れ時における既往借入金(短期運転資金)からの切替えを除く。)は含まないものとする。
1 資金種類及び資金内容
(1) 事業経営改善合理化資金
ア 素材生産等促進資金
森林組合、中小企業等協同組合等の組合若しくはその連合会、森林所有者(素材生産に係るものに限る。)又は数人共同事業体若しくは単独事業体(数人共同事業体に単独事業体を加えた事業体を含む。以下「数人共同事業体等」という。)が素材生産、素材若しくは木材製品の引取り(木材市場に係る事業体にあっては、木材市場における卸売取引に係るものに限る。)又は素材若しくは木材製品の加工を行うのに必要な短期又は長期の運転資金(長期の運転資金については、資金の回収期間が1年を超えるものに限る。)であって、次に掲げるものとする。
(ア) 素材生産を行うのに必要な資金であって、施業集約化費用、立木購入代金(前渡金、予約金等を含む。)、素材生産を行うための作業現場から最終土場までの素材生産実施費用(作業道の開設又は改良に必要な費用を含む。)及び作業委託費
(イ) 素材の引取りを行うのに必要な資金であって、素材の購入代金(前渡金、予約金、木材市場における決済資金等を含む。)及び素材の引取りに必要な輸送費
(ウ) 木材製品の引取りを行うのに必要な資金であって、製材等の購入代金(前渡金、予約金、木材市場における決済資金等を含む。)及び製材等の引取りに必要な輸送費
(エ) 素材等の加工を行うのに必要な資金であって、作業労賃、電力費、燃料費その他の木材を加工するのに必要な資金(素材又は製材等の購入代金及び販売・管理費を除く。)
なお、(エ)の素材等の加工を行うのに必要な資金の貸付対象者は、(ア)から(ウ)までのいずれかの資金を借り受けようとする者に限る。
イ 新規需要創出資金
(ア) 木材の製造に係る事業体であって(イ)に掲げる木材の新規需要の創出に資する木材製品の生産を行う者が、当該製品の原材料となる素材若しくは木材製品の引取り又は素材若しくは木材製品の加工を行うのに必要な短期又は長期の運転資金(長期の運転資金については、資金の回収期間が1年を超えるものに限る。)であって、次に掲げるものとする。
a 素材の引取りを行うのに必要な資金であって、素材の購入代金(前渡金、予約金、木材市場における決済資金等を含む。)及び素材の引取りに必要な輸送費
b 木材製品の引取りを行うのに必要な資金であって、製材等の購入代金(前渡金、予約金、木材市場における決済資金等を含む。)及び製材等の引取りに必要な輸送費
c 素材等の加工を行うのに必要な資金であって、作業労賃、電力費、燃料費その他の木材を加工するのに必要な資金(素材又は製材等の購入代金及び販売・管理費を除く。)
(イ) 本資金の貸付対象となる木材の新規需要の創出に資する木材製品とは、次に掲げるものであって、非住宅分野における木材需要の開拓、地域材の利用が低位な部材における地域材利用の拡大又は木質バイオマス利用の拡大に資すると認められるものとする。
a 製材
b 合板
c 集成材
d 単板積層材
e 防腐、防虫、耐火処理材
f 直交集成板
g 木質チップ、ペレット
h その他林野庁長官が承認した製品
(2) 木材高度加工資金
ア 次に掲げる木材の製造に係る事業体が木材の加工を行うのに必要な短期又は長期の運転資金(長期の運転資金については、資金の回収期間が1年を超えるものに限る。)であって、作業労賃、電力費、燃料費その他の木材を加工するのに必要な資金並びに原材料となる素材の購入代金(前渡金、予約金、木材市場における決済資金等を含む。)及び素材の引取りに必要な輸送費(JAS無垢材に係るものに限る。)とする。
(ア) 次の施設又は設備を導入している木材の加工を行う事業体であって、素材又は木材製品の年間取扱量がおおむね3,000立方メートル以上のもの
a 集成材製造施設
b 人工乾燥施設
c 薬剤処理施設
d プレカット加工施設
e 廃木材破砕・再生処理施設
f 製材用省力化設備
g 合板用省力化設備
h 木製組立材料製造用省力化設備
i 合板用原材料として広葉樹から針葉樹への原料転換を図るための機械設備
(イ) 合併等により新たに設立された素材等の加工を行う事業体であって、素材又は木材製品の年間取扱量がおおむね5,000立方メートル以上のもの
(ウ) 木材JAS製品、乾燥材等の高度加工を行うもの
イ 長期かつ安定的な供給・引取りに関する契約、協定等に基づきアの資金を借り受けようとする者に原材料となる素材若しくは木材製品の供給を行うのに必要な短期又は長期の運転資金(長期の運転資金については、資金の回収期間が1年を超えるものに限る。)であって、次に掲げるものとする。
(ア) 素材生産を行うのに必要な資金であって、立木購入代金(前渡金、予約金等を含む。)、素材生産を行うための作業現場から最終土場までの素材生産実施費用(作業道の開設又は改良に必要な費用を含む。)及び輸送費
(イ) 素材又は木材製品の引取り及び素材若しくは木材製品の加工を行うのに必要な資金であって、素材若しくは木材製品の購入代金(前渡金、予約金、木材市場における決済資金等を含む。)、素材の引取りに必要な輸送費及び素材等の加工を行うのに必要な作業労賃、電力費、燃料費その他の素材等を加工するのに必要な資金
ウ 貸付対象者は、契約、協定等に基づき素材若しくは木材製品を引取り、その加工を行うのに必要となる資金又は当該素材若しくは木材製品の供給を行うのに必要な資金を借り受けようとする者とする。
(3) 林業経営改善資金
ア 林業経営高度化推進資金
(ア) 林業を営む者が行う造林に必要な短期又は長期の運転資金(長期の運転資金については、資金の回収期間が1年を超えるものに限る。)であって、作業労賃、苗木代、燃料費、機械・施設の使用料、作業委託費とする。
(イ) 効率的かつ安定的な林業経営を担い得る林業事業体又は森林経営管理法第36条第2項の規定により都道府県が公表する民間事業者として登録を受けている森林組合(ただし、令和12年度までは、令和2年度末時点において、都道府県知事により中核組合に認定されている森林組合を含む。)が素材生産を請負わせるのに必要な短期又は長期の運転資金(長期の運転資金については、資金の回収期間が1年を超えるものに限る。)であって、素材生産に係る請負契約に基づく前渡金及び中間払い金並びに当該請負契約を行うために必要となる作業労賃とする。
イ 伐採・造林一貫作業推進資金
森林所有者、森林組合、森林組合連合会又は素材生産業を営む者若しくはその組織する団体が素材生産及び造林を一貫的に行うのに必要な短期又は長期の運転資金(長期の運転資金については、資金の回収期間が1年を超えるものに限る。)であって、次に掲げるものとする。
(ア) 素材生産を行うのに必要な資金であって、立木購入代金(前渡金、予約金等を含む。)及び素材生産を行うための作業現場から最終土場までの素材生産実施費用(作業道の開設又は改良に必要な費用を含む。)
(イ) 造林を行うのに必要な資金であって、作業労賃、苗木代、燃料費、機械・施設の使用料、作業委託費とする。
2 利率
利率は、資金種類ごとに別表に定める利率の範囲内において都道府県知事が定めるものとする。ただし、地域の実情により、別表に定める利率を上回る利率を定める必要がある場合には、その理由を付して林野庁長官の承認を得るものとする。
3 償還期限及び据置期間
償還期限及び据置期間は、資金種類ごとに別表に定める範囲内において都道府県知事が定めるものとする。
4 貸付限度額及び貸付限度額の特認
(1) 貸付限度額は、資金の種類ごとに別表に定める範囲内において都道府県知事が定めるものとする。
(2) 貸付限度額の特認は、別表に定める条件に適合する場合により、資金の種類ごとに別表に定める範囲内において林野庁長官が承認した額とする。
5 借受資格者
事業経営改善合理化資金の借受資格者は、事業経営改善計画の認定を受けた者とし、木材高度加工資金の借受資格者は構造改善計画の認定を受けた者、林業経営改善資金の借受資格者は、林業経営改善計画の認定を受けた者とする。
6 木材産業等高度化推進資金の貸付けの方法
本資金の貸付けの方法は、証書貸付又は手形貸付によるものとする。
7 信用基金による保証の活用
都道府県は、木材産業等高度化推進資金制度の円滑な運営を図るため、関係者に対し、信用基金の債務保証制度の積極的な活用について十分指導するものとする。
第9 木材産業等高度化推進資金の貸付けの停止
金融機関は、林業経営改善計画又は合理化計画が取り消された場合には、木材産業等高度化推進資金の貸付けを停止するものとする。
第10 木材産業等高度化推進運営協議会
1 木材産業等高度化推進資金制度の適正かつ円滑な運用を図るため、都道府県に木材産業等高度化推進運営協議会(以下「協議会」という。)を設置することができるものとする。
2 協議会は、都道府県、金融機関及び木材産業関係諸団体の代表者、その他都道府県知事が必要と認める者をもって構成するものとする。
3 協議会は、木材産業等高度化推進資金制度運用の基本的方針その他都道府県知事が必要と認めて付議した事項について審議することができるものとする。
第11 木材産業等高度化推進資金に係る指導等
1 都道府県知事は、木材産業等高度化推進資金の制度の運用に当たっては、当該資金が仮りにも投機的な木材取引に利用されることのないよう木材関連事業者及び金融機関に対し、十分指導するものとする。
2 都道府県知事は、合理化計画の作成及びその実施につき、林業普及指導組織等を通じ、森林組合連合会、木材関係協同組合連合会その他の関係団体との緊密な協力のもとに、経営的かつ技術的見地からの必要な指導助言を行うほか、本制度の円滑な実施が図られるようできる限り配意するものとする。
第12 あっせんについて
1 あっせんの要件
(1) 次官通知の記の第10のあっせんについては、林地保有又は森林施業の合理化に寄与するものとして規則第6条で定める森林所有権の移転等(森林(森林とする土地を含む。以下同じ。)についての所有権の移転、使用及び収益を目的とする権利の設定若しくは移転又は森林施業の委託をいう。以下同じ。)の要件について、森林所有権の移転等が行われる森林が次のアからウまでに掲げる全ての要件を満たす場合、これを満たすものと判断し、あっせんを実施するものとする。
ア 「市町村森林整備計画に定める森林法第10条の5第2項第4号の基準に従って間伐若しくは保育が適切に実施されていない森林若しくは伐採後一定期間造林が行われていない森林又はこれらのおそれがある森林」とは、次のいずれかの森林とする。
(ア) 森林経営管理法第42条第1項に定める災害等防止措置命令に係る森林その他の市町村森林整備計画に定められた森林法第10条の5第2項第4号の基準に従って間伐又は保育が適切に実施されていない森林
(イ) 伐採後3年以上経過しても植栽等の適切な更新が行われていない森林
(ウ) 当該森林の所有者の世代交代、離村等により、当該森林について施業を実施する者がいない森林
イ 「法第3条第1項の認定を受けた者が所有し、使用及び収益を目的とする権利を有し、又は委託を受けて施業を行っている森林と一体として効率的に施業を行うことが可能であると認められるもの」とは、林業経営改善計画の認定を受けた者が所有し、使用及び収益を目的とする権利を有し、又は森林施業の委託を受けている森林と隣接する森林、同一の小流域に所在する森林、同一の林道の利用区域内に所在する森林等であって、林業経営改善計画の認定を受けた者が所有し、使用及び収益を目的とする権利を有し、又は森林施業の委託を受けている森林と一体として施業が行われ得ると認められるものとする。
ウ  「市町村森林整備計画に従った施業の実施に寄与することが確実であると見込まれるものであること」とは、次のいずれかに該当することとする。
(ア) あっせんの対象行為が森林についての所有権の移転の場合は、所有権の移転後、当該森林について森林経営計画が作成されることが確実であると見込まれること。
(イ) あっせんの対象行為が森林についての使用及び収益を目的とする権利の設定又は移転の場合は、当該森林についての使用及び収益を目的とする権利の設定又は移転を受けた林業経営改善計画の認定を受けた者が市町村森林整備計画に定められた造林の標準的な方法並びに間伐及び保育の基準に従って施業を行うことが確実であると見込まれること。
(ウ) あっせんの対象行為が森林施業の委託の場合は、施業の委託をする者が市町村森林整備計画に定められる造林の標準的な方法並びに間伐及び保育の基準に従って施業の委託を行うことが確実であると見込まれること。
(2) 都道府県知事は、(1)のア及びイに該当するか否かを判断しようとするときは、その森林の所在地を管轄する市町村の長及びその森林の所在地をその地区に含む森林組合の長との間で連絡調整を図るものとする。
(3) (1)のウに該当するか否かは、次官通知の記の第10の3の(2)のアのあっせんの申出を行った者についてはあっせん申出書の内容を確認することにより、申出者以外の者の場合は森林所有権の移転等が行われた後の森林の取扱いについてその者の意思を確認することにより、それぞれ判断するものとする。
2 あっせんの手続
(1) あっせんの申出は、申出者が、林業経営改善計画の認定を受けた者の場合は別記様式15により、森林所有者の場合は別記様式16により作成したあっせん申出書1通及びその写し1通を、森林所有権の移転等のあっせんを受けることを希望する森林の所在地を管轄する都道府県知事に提出して行うものとする。
(2) 次官通知の記の第10の3の(2)のウの「あっせん申出者名簿」は、別記様式17により作成するものとする。
(3) 次官通知の記の第10の3の(3)のエのあっせんを行う旨の通知は、あっせんの申出者に対しては別記様式18により、申出者以外の当事者となるべき者に対しては別記様式19により行うものとする。
(4) 次官通知の記の第10の3の(3)のオのあっせんを行わない旨の通知及び次官通知の記の第10の3の(3)のカのあっせんを打ち切る旨の通知であってあっせんの申出者に対するものは、別記様式20により行うものとする。
(5) 次官通知の記の第10の3の(3)のカのあっせんを打ち切る旨の通知であって申出者以外の当事者に対するものは、別記様式21により行うものとする。
3 あっせん台帳の作成
(1) 次官通知の記の第10の3の(3)のキの「あっせん調書」は、別記様式22により作成するものとする。
(2) 次官通知の記の第10の3の(3)のキの「あっせん台帳」は、(1)の「あっせん調書」を時系列的につづったものとする。
附則
1 この通知は、令和5年4月1日から施行する。
2 この通知による改正前の林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法の運用について(昭和54年8月23日54林野企第83号林野庁長官通知)に基づいて都道府県知事から認定を受けた林業経営改善計画については、なお従前の例による。